JP3700305B2 - ブラシレスモータの駆動装置とモータのロータ位置検出装置 - Google Patents

ブラシレスモータの駆動装置とモータのロータ位置検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明中の請求項1〜16に記載の発明は、ロータに磁石を使用したブラシレスモータの駆動装置に関するものである。また、請求項17〜29に記載の発明は、モータのロータ位置検出装置に関するものであり、ブラシレスモータのみならず広範囲のモータに適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、空調機の送風用ファン駆動等に使用されるモータにおいては、高効率化、小型化が強く求められる背景のもと、従来主流であったインダクションモータからブラシレスモータへの転換が広く行われてきている。
【0003】
この種の従来のブラシレスモータの駆動装置としては、例えば図34に示す構成のものがある。
【0004】
図34において、内部にパワートランジスタ6個を備えるインバータ回路1は直流電源2から電力の供給を受け、かつ、U,V,Wの出力線で3相のモータ3に接続されている。4A,4B,4Cはモータ3のロータの磁極位置を検出し、これをパルス信号4a,4b,4cとして出力するパルス発生器であり、例えば互いに電気角120度の間隔をもって配設されたホール素子の出力信号を波形整形して出力するものが一般に使用されている。このパルス発生器4A,4B,4Cの出力パルス信号4a,4b,4cは通電相切り替え信号を作成する矩形波駆動ロジック回路5に入力されている。この矩形波駆動ロジック回路5の出力信号と、モータ3に印加する電圧量を指令する電圧指令値7はパルス幅変調(以下PWMと略称する)処理を行うPWM回路6に入力され、そして、その出力信号uh,vh,wh,ul,vl,wlはパワートランジスタの通電信号としてインバータ回路1に入力されている。
【0005】
以上の構成により、パルス発生器4A,4B,4Cが出力するモータ3のロータ磁極位置を示すパルス信号4a,4b,4cに基づいて、矩形波駆動ロジック回路5とPWM回路6がパワートランジスタの通電信号を作成し、この通電信号でインバータ回路1がスイッチング動作を行っている。このときの動作波形を図35に示す。本構成の駆動方式は一般に矩形波PWM駆動と呼ばれているものであり、本従来例では電圧指令値7に応じてインバータ回路1の上アームのパワートランジスタをPWM制御し、モータ3の回転数を制御する構成のものを表している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のブラシレスモータの駆動装置では、図35に示したようにモータ3に流れる相電流が矩形波状となるため、騒音及び振動が大きいという問題を有していた。これは通電相の切り替わり時に電流が急峻に変化して発生トルクに脈動の生じることが主な原因であり、特にモータ3の出力容量が大きい場合や、共振を生じ易い鋼板フレーム構造等の場合に大きな問題となっていた。空調機は夜間にも運転されるため静粛性を強く要求されるが、近年、それに使用される送風ファン駆動用モータは熱交換特性をより高めるために次第に出力容量が大型化する傾向にあり、前述した問題を以前にも増して大きなものにしている。
【0007】
駆動波形を正弦波状にすればこの問題は解決されるが、正弦波駆動するためには高分解能でモータ3のロータ位置を検出する必要があり、このために要する検出器は一般に構成が複雑なため高価でかつ信頼性が低く、民生分野に広く普及させることができなかった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するもので、ロータ位置を検出するのに分解能の低い検出器を用いながらも駆動波形を正弦波状とし、騒音,振動の低減を図ることのできるブラシレスモータの駆動装置を安価に提供することを主な目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明のブラシレスモータの駆動装置は、ロータ位置を検出しこの位置信号を出力するロータ位置検出手段と、ロータ位置と対応したアドレスを前記ロータ位置検出手段の出力信号よりも高い分解能でカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータに基づきモータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備え、前記ロータ位置検出手段の信号出力時に、そのロータ位置に相当する基準アドレス値と現在のアドレス値との差に制御ゲインを乗じる演算に基づいて前記アドレスカウンタのカウント速度調整することにより、前記アドレスカウンタの出力するアドレスがロータ位置に追従する構成としたものである。
【0010】
この構成により、ロータ位置検出手段の出力信号が低分解能であっても、アドレスカウンタの出力アドレスがロータ位置に追従する動作によって、結果的にロータ位置検出手段の出力信号の情報を高いカウント分解能を有するアドレスカウンタが補間する形となる。これによって微細なロータ位置検出が可能となり、波形データメモリに書き込んだ任意の波形でモータを駆動することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
上記の課題を解決するために本発明のブラシレスモータの駆動装置は、ロータ位置を検出しこの位置信号を出力するロータ位置検出手段と、ロータ位置と対応したアドレスを前記ロータ位置検出手段の出力信号よりも高い分解能でカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータに基づきモータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備え、前記ロータ位置検出手段の信号出力時に、そのロータ位置に相当する基準アドレス値と現在のアドレス値との差に制御ゲインを乗じる演算に基づいて前記アドレスカウンタのカウント速度調整することにより、前記アドレスカウンタの出力するアドレスがロータ位置に追従する構成としたものである。
【0012】
また、ロータの磁極位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号の周波数を検出する回転周波数検出手段と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と制御ゲインとの積に、前記回転周波数検出手段が出力する回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力する第1の周波数調整手段と、前記第1の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータと直流指令値とを乗算し、モータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備えたものである。
【0013】
また、ロータの磁極位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と制御ゲインとの積に、現在の周波数指令を加算した結果を新たな周波数指令として出力する第2の周波数調整手段と、前記第2の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータと直流指令値とを乗算し、モータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備えたものである。
【0014】
また、ロータの磁極位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号の周波数を検出する回転周波数検出手段と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と前記回転周波数検出手段が出力する回転周波数と制御ゲインとの積に、前記回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力する第3の周波数調整手段と、前記第3の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータと直流指令値とを乗算し、モータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備えたものである。
【0015】
また、ロータの磁極位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と現在の周波数指令と制御ゲインとの積に、現在の周波数指令を加算した結果を新たな周波数指令として出力する第4の周波数調整手段と、前記第4の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータと直流指令値とを乗算し、モータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備えたものである。
【0016】
また、ロータの磁極位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差であるアドレス誤差と波形の単位周期に相当する単位アドレス長との和を分子とし、かつ前記単位アドレス長から前記アドレス誤差を減算した値と前記エッジの前回検出時におけるアドレス誤差とを加算した値をもって分母とした分数値と、制御ゲインと、現在の周波数指令とを乗算した値を新たな周波数指令として出力する第5の周波数調整手段と、前記第5の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータと直流指令値とを乗算し、モータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備えたものである。
【0017】
また、モータの加速度に基づく値を周波数指令値に加算して周波数指令値を補正する周波数指令補正手段を備えたものである。
【0018】
また、モータを起動する際に、時間の経過に伴い徐々に上昇する周波数値を前記アドレスカウンタに指令する構成としたものである。
【0019】
また、モータを起動する際に、前記インバータ回路が直流通電を一定時間行った後に、時間の経過に伴い徐々に上昇する周波数値を前記アドレスカウンタに指令する構成としたものである。
【0020】
また、パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分の絶対値が予め設定した値を超えたことを検出し位相誤差過大信号を出力する位相誤差過大検出手段を備え、前記位相誤差過大信号出力時に前記インバータ回路が一時的に矩形波通電処理を行う構成としたものである。
【0021】
また、パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分の絶対値が予め設定した値を超えたことを検出し位相誤差過大信号を出力する位相誤差過大検出手段と、モータの誘起電圧からロータの磁極位置を検出するロータ磁極位置検出回路と、前記ロータ磁極位置検出回路の出力信号に基づき矩形波通電にて駆動を行う第2の矩形波駆動手段とを備え、前記位相誤差過大信号出力時に前記インバータ回路が一時的に矩形波通電処理を行う構成としたものである。
【0022】
また、アドレスカウンタの現在の出力アドレス値から、前記パルス発生器の出力信号の最新エッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値を減算した差分の絶対値が、予め設定した値を超えたことを検出し位相誤差過大信号を出力する位相誤差過大検出手段を備え、前記位相誤差過大信号出力時に前記インバータ回路が一時的に矩形波通電処理を行う構成としたものである。
【0023】
また、パルス発生器の出力信号のエッジ検出周期を計測する周期カウンタと、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、前記周期カウンタが計測した周期データに基づき次回計測される周期データの許容範囲を設定する許容周期範囲設定手段と、前記周期カウンタの現在のカウント値が前記許容周期範囲設定手段が設定した許容範囲を超過した場合、もしくは、許容範囲に至る以前に前記パルス発生器の出力信号のエッジを検出した場合に周期急変信号を出力する周期急変検出手段を備え、前記周期急変信号出力時に前記インバータ回路が一時的に矩形波通電処理を行う構成としたものである。
【0024】
また、基準アドレス値は任意に設定変更可能なる値としたものである。
【0025】
また、基準アドレス値は任意に設定変更可能なる値と、モータの回転数、もしくは電流値に基づき駆動中に動的に変化する値との和としたものである。
【0026】
また、パルス発生器の出力信号のエッジ検出周期を計測する周期カウンタと、前記周期カウンタが計測した過去の周期データを記憶する複数の周期データメモリと、前記周期データメモリを読み出し、新旧順にモータの1回転に相当する数量の周期データを加算し出力する1回転周期データ演算手段とを備え、前記回転周波数検出手段は前記1回転周期データ演算手段から得られる1回転周期データに基づき回転周波数を作成する構成としたものである。
【0027】
次に、本発明のブラシレスモータの駆動装置を応用して構成したモータのロータ位置検出装置は、ロータ位置を検出しこの位置信号を出力するロータ位置検出手段と、ロータ位置と対応したアドレスを前記ロータ位置検出手段の出力信号よりも高い分解能でカウントするアドレスカウンタとを備え、前記ロータ位置検出手段の信号出力時に、そのロータ位置に相当する基準アドレス値と現在のアドレス値との差に制御ゲインを乗じる演算に基づいて前記アドレスカウンタのカウント速度調整することにより、前記アドレスカウンタの出力するアドレスがロータ位置に追従する構成とし、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別するものである。
【0028】
また、ロータ位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号の周波数を検出する回転周波数検出手段と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と制御ゲインとの積に、前記回転周波数検出手段が出力する回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力する第1の周波数調整手段と、前記第1の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタとを備え、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別するものである。
【0029】
また、ロータ位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と制御ゲインとの積に、現在の周波数指令を加算した結果を新たな周波数指令として出力する第2の周波数調整手段と、前記第2の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタとを備え、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別するものである。
【0030】
また、ロータ位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号の周波数を検出する回転周波数検出手段と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と前記回転周波数検出手段が出力する回転周波数と制御ゲインとの積に、前記回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力する第3の周波数調整手段と、前記第3の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタとを備え、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別するものである。
【0031】
また、ロータ位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と現在の周波数指令と制御ゲインとの積に、現在の周波数指令を加算した結果を新たな周波数指令として出力する第4の周波数調整手段と、前記第4の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタとを備え、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別するものである。
【0032】
また、ロータ位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差であるアドレス誤差と波形の単位周期に相当する単位アドレス長との和を分子とし、かつ前記単位アドレス長から前記アドレス誤差を減算した値と前記エッジの前回検出時におけるアドレス誤差とを加算した値をもって分母とした分数値と、制御ゲインと、現在の周波数指令とを乗算した値を新たな周波数指令として出力する第5の周波数調整手段と、前記第5の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタとを備え、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別するものである。
【0033】
また、モータの加速度に基づく値を周波数指令値に加算して周波数指令値を補正する周波数指令補正手段を備えたものである。
【0034】
また、パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分の絶対値が予め設定した値を超えたことを検出し位相誤差過大信号を出力する位相誤差過大検出手段を備えたものである。
【0035】
また、アドレスカウンタの現在の出力アドレス値から、前記パルス発生器の出力信号の最新エッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値を減算した差分の絶対値が、予め設定した値を超えたことを検出し位相誤差過大信号を出力する位相誤差過大検出手段を備えたものである。
【0036】
また、パルス発生器の出力信号のエッジ検出周期を計測する周期カウンタと、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、前記周期カウンタが計測した周期データに基づき次回計測される周期データの許容範囲を設定する許容周期範囲設定手段と、前記周期カウンタの現在のカウント値が前記許容周期範囲設定手段が設定した許容範囲を超過した場合、もしくは、許容範囲に至る以前に前記パルス発生器の出力信号のエッジを検出した場合に周期急変信号を出力する周期急変検出手段を備えたものである。
【0037】
また、基準アドレス値は任意に設定変更可能なる値としたものである。
【0038】
また、基準アドレス値は任意に設定変更可能なる値と、モータの回転数、もしくは電流値に基づき駆動中に動的に変化する値との和としたものである。
【0039】
また、パルス発生器の出力信号のエッジ検出周期を計測する周期カウンタと、前記周期カウンタが計測した過去の周期データを記憶する複数の周期データメモリと、前記周期データメモリを読み出し、新旧順にモータの1回転に相当する数量の周期データを加算し出力する1回転周期データ演算手段とを備え、前記回転周波数検出手段は前記1回転周期データ演算手段から得られる1回転周期データに基づき回転周波数を作成する構成としたものである。
【0040】
以上の構成により、ロータ位置検出手段の出力信号が低分解能であっても、アドレスカウンタの出力アドレスがロータ位置に追従する動作によって、結果的にロータ位置検出手段の出力信号の情報を高いカウント分解能を有するアドレスカウンタが補間する形となる。これによって微細なロータ位置検出が可能となり、波形データメモリに書き込んだ任意の波形でモータを駆動することができる。
【0041】
また、第1の周波数調整手段がパルス発生器の出力信号のエッジを検出する毎に、アドレスの誤差と制御ゲインとの積に回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力し、この周波数指令値に比例した速度でアドレスカウンタがカウント動作するものでは、アドレスカウンタのカウント速度を変化させることでアドレスの誤差の修正を行うため、アドレスの急変が無くなり出力波形をより滑らかにすることができる。
【0042】
また、第2の周波数調整手段がパルス発生器の出力信号のエッジを検出する毎に、アドレスの誤差と制御ゲインとの積に現在の周波数指令を加算した結果を新たな周波数指令として出力し、この周波数指令値に比例した速度でアドレスカウンタがカウント動作するものでは、構成要素に回転周波数検出手段を必要としない。
【0043】
また、第3の周波数調整手段がパルス発生器の出力信号のエッジを検出する毎に、アドレスの誤差と回転周波数と制御ゲインとの積に回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力し、この周波数指令値に比例した速度でアドレスカウンタがカウント動作するものでは、アドレス誤差の修正を行う際の周波数操作量は回転周波数に応じて加減するため、回転周波数の大きさに関わらず安定したアドレス誤差修正を行うことができる。
【0044】
また、第5の周波数調整手段がパルス発生器の出力信号のエッジを検出する毎に、アドレス誤差と波形の単位周期に相当する単位アドレス長との和を分子とし、かつ前記単位アドレス長から前記アドレス誤差を減算した値と前回のアドレス誤差とを加算した値をもって分母とした分数値と、制御ゲインと、現在の周波数指令とを乗算した値を新たな周波数指令として出力し、この周波数指令値に比例した速度でアドレスカウンタがカウント動作するものでは、周波数の調整に際して前回のアドレス誤差も考慮することにより、構成要素に回転周波数検出手段を必要とせず、かつ、回転周波数の大きさ及び前回のアドレス誤差量に関わらず安定したアドレス誤差修正を行うことができる。
【0045】
また、モータの加速度に基づく値を周波数指令値に加算して周波数指令値を補正する周波数指令補正手段を備えたものでは、モータの速度が変化した場合でもその変化に応じて周波数指令値を補正することにより、安定したアドレス誤差修正を行うことができる。
【0046】
また、時間の経過に伴い徐々に上昇する周波数値を前記アドレスカウンタに指令して起動するものでは、外力によらず起動を行うことができ、さらに、この動作前にインバータ回路が直流通電を一定時間行うものでは、起動時に高いトルクが発生し安定した起動特性を得ることができる。
【0047】
また、アドレスの誤差が予め設定した値を超えた場合に一時的に矩形波駆動を行うものでは、モータに急に外乱トルクが加わりアドレスの誤差が大きくなった場合でも、駆動トルクを確保して回転を維持することができ、さらに、この時の矩形波駆動はモータの誘起電圧からロータの磁極位置を検出して行うものでは、少ない数のパルス発生器で構成することができる。
【0048】
また、パルス発生器の出力信号のエッジに対応する基準アドレス値を任意に設定変更可能としたものでは、パルス発生器の機械的な取り付け精度の問題から生じるロータ磁極位置と基準アドレス値との対応の誤差を容易に修正することができ、さらに、基準アドレス値をモータの回転数、もしくは電流値に基づき駆動中に動的に変化するものでは、回転数の増大に伴う電流位相の遅れを防止するための位相進め処理等を容易に実現できる。
【0049】
また、パルス発生器の出力信号のエッジ間周期データを順次周期データメモリに記憶し、これを新しいものから順にモータの1回転に相当する分、読み出して加算した1回転周期データに基づき回転周波数を作成するものでは、ロータの着磁バラツキ,パルス発生器の特性及び機械的な取り付け精度等に起因して生じるエッジ間周期データの誤差の影響が無くなり、精度の高い回転周波数の検出が行えるため、安定した駆動を行うことができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら順に説明する。
【0051】
(実施例1)
図1は本発明のブラシレスモータの駆動装置における第1の実施例を示すブロック図である。図1において、ロータ位置検出手段4は内部に従来例と同様のパルス発生器4Aを含有するものであり、モータ3のロータの磁極位置を検出し、これをパルス信号4aとして出力するものである。回転周波数検出手段8はパルス信号4aの周波数を検出し、これを回転周波数Fsenとして出力するものである。アドレスカウンタ9はオーバーフローする周期とパルス信号4aの周期とが同じになるように信号Fsenと比例させた速度でアドレスAuをカウントアップして出力するもので、この出力するアドレスAuはモータ3のロータの磁極位置に対応している。このアドレスカウンタ9は、Auの他にAuを基準に作成したAv,Awも同時に出力しており、Au,Av,Awが互いに電気角120度に相当するアドレス差を有している。第1のエッジ検出手段10はパルス信号4aの立ち上がりエッジを検出し、アドレス修正手段11はそのエッジ検出時にエッジが示すモータ3のロータの磁極位置に相当する基準アドレス値Arefをアドレスカウンタ9にプリセット、すなわちアドレスAuの値を強制的に基準アドレス値Arefにするものである。波形データメモリ12は正弦波の基準振幅値データが書き込まれたもので、入力されるアドレスAu,Av,Aw上にあるデータを読み出し、それぞれ相出力波形データDu,Dv,Dwとして出力するものである。相出力指令作成手段13は、相出力波形データDu,Dv,Dwを直流指令値14と乗算し相出力指令値Vu,Vv,Vwを作成するものである。インバータ回路15は相出力指令値Vu,Vv,Vwに従いPWM処理してモータ3を駆動する電力を出力制御するものである。
【0052】
以上の構成において、その動作を図2,図3を加えて説明する。なお、アドレスカウンタ9のデータ長は8bit、すなわちアドレスの最大値がFFHであり、基準アドレス値Arefは00Hであるものとして説明する。
【0053】
モータ3が回転しているとき、パルス発生器4Aが出力するロータの磁極位置を示したパルス信号4aから、回転周波数検出手段8は周期計測により回転周波数を検出する。例えば、エッジe0からエッジe1までの期間の周期T0を計測し、その周期T0から逆数演算して求めた値を回転周波数Fsenとして、新たな次のエッジe2が来るまでの間、アドレスカウンタ9に伝える。すなわち、エッジe1からエッジe2までの期間は回転周波数Fsenは、Fsen=Kf/T0となる。ここで、Kfは係数である。同様のことを繰り返し行うため、エッジe2からエッジe3までの期間はFsen=Kf/T1に、また、エッジe3からエッジe4までの期間はFsen=Kf/T2となる。
【0054】
アドレスカウンタ9はオーバーフローする周期とパルス信号4aの周期とが同じになるように、回転周波数Fsenに比例した速度でアドレスAuをカウントアップする。また、パルス信号4aの立ち上がりエッジにて、アドレス修正手段11がアドレスカウンタ9に基準アドレス値Arefをプリセットし、Auは00Hとなる。
【0055】
これらの動作により、エッジe2からエッジe3までの期間のように前回のエッジ間周期T1と現在のエッジ間周期T2とが等しい場合には、その期間の最後のエッジe3のタイミングと、アドレスカウンタ9がプリセットされることなく自然にオーバーフローしてアドレスAuが00Hとなるタイミングとが一致する。すなわち、このエッジe2からエッジe3の期間においてはアドレスAuは正しいロータ磁極位置を示している。
【0056】
逆に、エッジe1からエッジe2までの期間や、エッジe3からエッジe4までの期間のように前回のエッジ間周期と現在のエッジ間周期とが異なる場合には、その期間の最後のエッジのタイミングと、アドレスカウンタ9が自然にオーバーフローしてアドレスAuが00Hとなるタイミングとは一致せず、すなわち、アドレスAuは正しいロータ磁極位置を示しておらず誤差を生じている。しかし、その期間の最後のエッジタイミングにて、アドレス修正手段11のプリセット動作によりアドレスAuは00HとなりアドレスAuの誤差が修正される。
【0057】
アドレスAuは波形データメモリ12に伝えられてアドレスAuの値に対応した波形データが読み出され、モータ3のU相に入力する相電圧の基準振幅値を持った相出力波形データDuとして出力される。このとき、モータ3が最大トルクを出力するように入力アドレスAuと出力データDuの位相との対応がとられており、出力データDuを、Du=Kr・sinθで表した場合、図2ではアドレスAuの00Hとθ=0°とが対応している例を示している。ここでKrは基準振幅値である。
【0058】
アドレスカウンタ9はAuの他に、Auから電気角120度に相当するアドレス量を減算してAvを、Avからさらに電気角120度に相当するアドレス量を減算してAwを作成して出力しており、Au,Av,Awが互いに電気角120度に相当するアドレス差をもっている。アドレスAv,AwはAuと同様に、波形データメモリ12に伝えられてその値に対応した波形データが読み出され、モータ3のV相及びW相に入力する相出力波形データDv,Dwとして出力される。これにより、相出力波形データDu,Dv,Dwは互いに120度の位相差を持つ3相正弦波データとなる。
【0059】
このアドレスAu,Av,Awの値に対応した波形データメモリ12の内容を読み出す動作は、アドレスAu,Av,Awの値を直接用いてアドレスAu,Av,Awが示す波形データメモリ12の内容を読み出すことによって行う他には、例えば、アドレスAu,Av,Awの下位側ビットの値は用いずに上位側ビットの値のみを使用し、この上位アドレスが示す波形データメモリ12の内容を読み出すこと等により行う。
【0060】
これらの相出力波形データDu,Dv,Dwは相出力指令作成手段13にて直流指令値
14と乗算され、直流指令値14に比例した振幅値をもつ相出力指令値Vu,Vv,Vwとなり、インバータ回路15がこの相出力指令値Vu,Vv,Vwに基づきPWM処理して電力を出力制御しモータ3を駆動する。図3はインバータ回路15におけるこのときのPWM処理をU相のみ表したもので、相出力指令値Vuと三角波とを大小比較してuh,ulを作成し、この信号に必要に応じて上下アームの同時導通防止期間を設けたものをパワートランジスタの通電信号としている。なお、直流指令値14は相出力波形データDu,Dv,Dwの交流的な動きに対して直流的な動きをする指令値を意味するものであり、時間的に変化しない厳密な直流を意味するものではない。
【0061】
以上のようにしてモータ3は駆動するのであるが、図2のエッジe1からエッジe2までの期間や、エッジe3からエッジe4までの期間のように、アドレスAuに誤差を生じていて正しいロータ磁極位置を示していない場合には、相出力指令値Vu,Vv,Vwの位相は最大出力トルクの得られる位相からずれるために出力トルクが乱れる。しかし、モータ3には慣性があり、特にファン等のように大きな慣性モーメントの負荷を駆動する場合にはその慣性力も大きく作用するため、アドレスAuの誤差が極端に大きく無い限り、これを原因として急にモータ3の回転周波数が大きく変動することは無い。したがって、アドレスAuに誤差があってもパルス信号4aのエッジ間周期は一定値となり、過渡的にアドレスAuに誤差を生じても、定常的には前述した動作により、アドレスAuに誤差は無くなり正しいロータ磁極位置を示すようになる。換言すれば、ロータ磁極位置の不明なパルス信号4aのエッジとエッジの間をアドレスカウンタ9の高い分解能で正しく補完できることになり、安定した正弦波駆動を行うことができる。
【0062】
以上のように本実施例によれば、モータ3の回転周波数に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスAuをアップカウントし、パルス発生器4Aの出力信号のエッジ検出時に基準アドレス値ArefをアドレスAuにプリセットすることで、アドレスAuは正しいロータ磁極位置を示すようになり、このアドレスAuに基づいて正弦波駆動を行うので、騒音,振動の低減を図ることができる。また、パルス発生器4Aとしてはホール素子等を用いた簡単な構成のもので良く、さらに、構成の大半はソフトウェアで容易に実現可能なため、安価に提供することができる。
【0063】
なお、本実施例ではパルス信号4aの立ち上がりエッジにて、無条件にアドレスAuを基準アドレス値Arefにプリセットする構成としたが、アドレスAuの誤差が大きな場合にはその誤差を一度に修正してしまわず、修正量の絶対値に上限を設け、完全な修正は次回以降のエッジで行う構成としても良い。図4がこの動作を示すもので、修正量の絶対値の上限を20Hとした場合の例である。パルス信号4aのエッジe5においてアドレスAuの誤差は30Hあり、一度に基準アドレス値Arefである00Hをプリセットすると修正量の絶対値は30Hとなって、上限を超えてしまうため、修正量を上限値である20Hに留めて10Hをプリセットしている。そして、次のエッジe6にて00Hをプリセットして完全な修正を行っている。このようにアドレス修正量が一定範囲内に留まるようにすることで出力トルクの変化が小さくなり、より安定した動作、並びに騒音の低減を実現することができる。
【0064】
また、パルス発生器を複数備えた構成でも良く、この場合は、複数のパルス信号から得られるエッジ毎に、これに対応する基準アドレス値Arefを予め設定しておき、エッジを検出する毎に、このエッジに対応する基準アドレス値Arefを選択してアドレスカウンタ9にプリセットする構成とすればよい。このようにすれば、モータ3の1回転当たりのアドレスAuの誤差の修正回数が増すため、制御をより安定したものにできる。さらに、パルス発生器4Aとしてホール素子を例に挙げたが、この他にはモータ3のステータにロータの磁極検出用のコイルを設けて構成したものや、モータ3の誘起電圧を検出する構成のもの等、幅広く利用することが可能である。
【0065】
また、パルス発生器4Aは必ずしも直接的にロータの磁極位置を検出するものである必要はなく、例えば、機械角から電気角は一義的に定まることを利用して、パルス発生器4Aは機械的なロータ位置を検出するものとしても良い。この場合、ロータの磁極位置に対応した信号となるように変換処理して信号を出力する構成とすれば、結果的に同じとなる。あるいは、パルス発生器4Aの出力信号は機械的なロータ位置を示すものとしておいて、アドレスカウンタ9がロータの機械的な位置と対応したアドレスをカウントし、波形データメモリ12の内容をロータの機械的な位置に対応した出力波形データとする構成であっても構わない。すなわち、ロータの機械角に基づいた制御を行う構成としたものであっても構わない。この構成をとった場合は、ブラシレスモータに限らずロータに磁石を有さないリラクタンスモータ等、同期モータ全般の駆動装置としても利用することができるため、極めて応用範囲の広いものとすることができる。
【0066】
また、回転周波数検出手段8はパルス信号4aの周波数を検出し、この回転周波数Fsenに比例した速度でアドレスカウンタ9がカウント動作する構成としたが、パルス信号4aの周波数を求めずエッジ間の周期を検出するのみに留め、この周期に比例したカウント周期でアドレスカウンタ9が動作する構成でも良い。これは演算を周波数で行うか、周期で行うかの単なる演算処理上の違いであり、本質的に何ら変わりのないものである。
【0067】
また、アドレスカウンタ9はアップカウントするものとして説明したが、パルス発生器の数を2つにし、この出力信号を90度位相差2相信号とする等してモータ3の回転方向を検出し、モータ3の回転方向に応じてアドレスカウンタ9のアップカウントとダウンカウントの切り替えを行う構成とすれば、モータ3が正逆の両方に回転する用途にも適用することができる。
【0068】
また、波形データメモリ12のデータを正弦波として説明したが、これは正弦波でなくても構わない。一般に、PWMインバータ回路において相電圧指令を、例えば正弦波にその3次の整数倍の高周波を重畳した波形にすれば、線間電圧の最大値を正弦波の場合より大きくでき電圧の利用率を高めることができることが知られている。したがって、波形データメモリ12のデータはこのような波形としても構わない。さらに、モータ3の誘起電圧の波形が正弦波で無い場合には、モータ3に流れる電流も正弦波とはならないが、この場合は波形データメモリ12のデータをモータ3の誘起電圧の波形に応じて変形させればモータ3に流れる電流を正弦波にすることができる。また、インバータ回路15の内部のパワー素子は、上アームと下アームのいずれか一方がオンし、もう一方がオフする動作が基本であるが、波形データメモリ12の値が予め設定した値と一致した時に上アームと下アームの両方をオフする、すなわち、その相の電位を確定しない状態をとる構成とすれば、モータ駆動波形をより自由度の高い任意の波形にすることが可能である。これは、騒音、振動の低減よりも効率の向上を重視するために駆動波形を矩形波状とし、かつ通電角を任意に設定するような場合や、モータ駆動中に上アームと下アームの両方オフの期間を利用して誘起電圧を検出する必要のある場合などで特に有効である。すなわち本実施例の構成は、目的に応じて波形データメモリ12のデータを変更することにより任意の波形でモータ3を駆動できるため、騒音,振動の低減以外の例えば効率向上等の目的にも適用できるなど、応用範囲の広いものである。加えて、波形データメモリ12のデータが一周期分に満たなくても、一周期を再生できるものであれば良いことは言うまでもないことである。
【0069】
また、インバータ回路15はPWM制御するもので説明したが、パワートランジスタの損失が問題無ければ、パワートランジスタを活性領域で使用することで実現しても良い。また、電圧制御ではなく相電流を検出する電流検出手段を設けて、相出力指令値Vu,Vv,Vwを相電流指令とした電流制御を行う構成でも構わない。コストは上昇するものの、制御誤差となるモータ3の誘起電圧の波形歪の影響を受けなくなり出力トルクが安定するため望ましい構成である。
【0070】
(実施例2)
図5は本発明の第2の実施例を示すブロック図である。図5において、ロータ位置検出手段4,回転周波数検出手段8,第1のエッジ検出手段10,アドレスカウンタ9,波形データメモリ12,相出力指令作成手段13,直流指令値14,インバータ回路15については第1の実施例を示す図1の構成と同様のものである。図1の構成と異なるのは、第1のエッジ検出手段10の出力信号タイミングでアドレスAuの値を保持しアドレス値Ausとして出力する第1のデータラッチ16と、これを包含し、基準アドレス値Arefから第1のデータラッチ16で保持するアドレス値Ausを減算して得られるアドレス誤差Aerrと制御ゲインKaとの積に、回転周波数Fsenを加算した結果を周波数指令Frefとしてアドレスカウンタ9に出力する第1の周波数調整手段17を備える点である。
【0071】
以下、本第2の実施例の動作を第1の実施例と異なる点のみ説明する。
【0072】
第1の周波数調整手段17は第1のエッジ検出手段10がパルス信号4aの立ち上がりエッジを検出すると、このタイミングにて第1のデータラッチ16が現在の出力アドレスAuを保持し、この保持したデータをアドレス値Ausとして出力する。そして、パルス信号4aの立ち上がりエッジでのモータ3のロータ磁極位置に相当する基準アドレス値Arefから、アドレス値Ausを減算したものをアドレス誤差Aerrとし、このアドレス誤差Aerrに制御ゲインKaを乗じたものを回転周波数Fsenに加算した周波数指令Frefをアドレスカウンタ9に出力する。したがって、周波数指令FrefはFref=Fsen+Ka・Aerrとなる。
【0073】
アドレスカウンタ9の動作は第1の実施例と同様であるが、入力される周波数指令Frefと比例した速度でアドレスAuをカウントアップするのみで、プリセットはされない。
【0074】
以下、図5における各部の動作を示す図6を加えて説明する。なお、第1の実施例と同じく、アドレスAuの最大値はFFHで基準アドレス値Arefは00Hであり、エッジe1のタイミングにおいてアドレスAuは00Hであるものとしている。また、アドレス誤差Aerrを作成する減算においてオーバーフローもしくはアンダーフローが発生しても、そのときのキャリーもしくはボローは無視してアドレス誤差Aerrを算出し、この結果得られたアドレス誤差Aerrは2の補数で表された正負の極性を有する数値として扱う。したがって、エッジにおいて、アドレスAuの値が01Hから80Hまでの範囲にあるときはアドレス誤差Aerrは負の値になり、また、アドレスAuの値が81HからFFHまでの範囲にあるときはアドレス誤差Aerrは正の値になる。
【0075】
まず、エッジe1のタイミングにおけるアドレスAuは00Hであり、基準アドレス値Arefに等しくアドレス誤差Aerrはゼロである。よって、エッジe1からエッジe2までの期間においては、周波数指令Frefは回転周波数Fsenと同じになり、回転周波数Fsenは、Fsen=Kf/T0であるから、周波数指令Frefは、Fref=Kf/T0となる。したがって、エッジ間周期T1がT0と等しければ、第1の実施例で述べたようにエッジe2においてアドレスAuが自然にオーバーフローして基準アドレス値Arefと同じ00Hとなるが、エッジ間周期T1の方が大きいのでエッジe2においてアドレスAuは基準アドレス値Arefをオーバーし、負のアドレス誤差Aerrを生じる。よって、エッジe2からエッジe3までの期間は、周波数指令Frefは回転周波数Fsenよりも小さな値となり、このときの回転周波数Fsenは、Fsen=Kf/T1であるから、周波数指令Frefは、Fref<Kf/T1となる。仮に、アドレスカウンタ9をKf/T1の値でカウント動作させたならば、エッジ間周期T1とT2は等しいもののエッジe2においてアドレス誤差Arefがゼロでないため、第1の実施例とは異なりエッジe3のタイミングとアドレスAuが00Hとなるタイミングは一致しない。しかし、周波数指令Frefが、Fref<Kf/T1であり、かつこの大小差を決定する制御ゲインKaを適切な値に設定しているので、エッジe3においてアドレスAuが基準アドレス値Arefに等しい00Hとなっておりアドレス誤差Aerrがゼロとなっている。エッジe4のようにアドレス誤差Aerrが正になる場合は、周波数指令Frefを加減する極性が変わるだけであって同様の動作であり、周波数指令Frefを回転周波数Fsenよりも大きな値にしてアドレス誤差Aerrが無くなるようにしていく。
【0076】
このように、アドレス誤差Aerrがゼロでない場合にはアドレスカウンタ9に出力する周波数指令Frefを加減することによってアドレス誤差Aerrが無くなるように動作し、アドレスAuが正しいロータ磁極位置を示すように誤差が修正されていく。第1の実施例と異なるのは一連の動作においてアドレスAuが急変することが無い点であり、このため相出力波形データDuに不連続点が生じない。よって、相出力指令値Vu,Vv,Vwも滑らかな連続したものとなり出力トルクの乱れが少なくなって、さらなる騒音の低減を図ることができる。
【0077】
以上のように本実施例によれば、第1の出力周波数調整手段17が基準アドレス値Arefから現在のアドレス値Auを減算したアドレス誤差Aerrと制御ゲインKaとの積に、回転周波数Fsenを加算した結果を周波数指令Frefとして出力し、この周波数指令Frefに応じたカウント速度でアドレスカウンタ9が動作するため、アドレスAuを急変させること無く正しいロータ磁極位置を示すように修正していくことができる。これにより、相出力指令値Vu,Vv,Vwが滑らかになり出力トルクの乱れが少なくなって、騒音,振動の低減を図ることができるものである。さらに、パルス発生器4Aとしてはホール素子等を用いた簡単な構成のもので良く、また、構成の大半はソフトウェアで容易に実現可能なため、安価に提供することのできるものである。
【0078】
また、パルス発生器4Aの特性及び機械的な取り付け誤差、あるいはノイズ等に起因して、モータ3が一定回転数でムラ無く回転していても出力パルス信号4aの周期に変動が生じる場合がある。このような場合、前述した実施例1の構成ではパルス信号4aのエッジ検出時にアドレスカウンタ9をプリセットするため、この誤差がそのままインバータ回路15まで伝わり出力位相誤差を生じてしまう。特に、パルス発生器4Aとしてホール素子を用い、なおかつ複数個使用するような場合には、互いのホール素子の間隔が均一となるように配設することが一般に困難なため、この問題を大きくする。これに対し本実施例の構成では、パルス信号4aのエッジ検出時にアドレスカウンタ9を即プリセットするのではなく、この時に生じているアドレス誤差Aerrが徐々に無くなるように制御を行うので、出力パルス信号4aの周期誤差が出力に与える影響を緩和する効果を有する。制御ゲインKaの値を小さく設定し、アドレス誤差Aerrに対してある程度鈍感に作用するようにしておけば、さらにこの効果を高めることができる。
【0079】
なお、本実施例では周波数で演算処理する例を示したが、これは周期で行っても当然良く、この場合は、回転周波数検出手段8がパルス信号4aのエッジ間周期を検出するだけとし、第1の出力周波数調整手段17がアドレス誤差Aerrに制御ゲインKaを乗じたものを、その検出したエッジ間周期から減算して周期指令としてアドレスカウンタ9に伝え、この周期指令に比例したカウント周期でアドレスカウンタ9がカウント動作する構成とすればよい。
【0080】
また、パルス発生器を複数備えた構成でも良く、この場合は、複数のパルス信号から得
られるエッジ毎に、これに対応する基準アドレス値Arefを予め設定しておき、エッジを検出する毎に、このエッジに対応する基準アドレス値Arefを選択して一連の制御を行う構成とすれば良い。このようにすれば、モータ3の1回転当たりのアドレスAuの誤差修正操作の数が増すため、制御をより安定したものにできる。
【0081】
さらに、アドレスカウンタ9をアップダウン動作させるとモータ3の正逆の両方の回転に対応できること、波形データメモリ12のデータは正弦波でなく例えば正弦波にその3次の整数倍の高周波を重畳した波形とすれば電圧の利用率を高めることができること、インバータ回路15はPWM制御でなくパワートランジスタを活性領域で使用する構成でも良いこと、電圧制御ではなく電流制御を行っても良いこと、パルス発生器4Aとしてホール素子以外のものも利用できること、ロータの機械角に基づいた制御を行う構成でも良いこと等は第1の実施例で説明したのと同様である。
【0082】
(実施例3)
図7は本発明の第3の実施例を示すブロック図である。図7に示す構成は、第2の実施例を示す図5に近い構成となっており、図5と異なるのは、回転周波数検出手段8を備えず、第1の周波数調整手段17に替えて、第1のエッジ検出手段10の出力信号タイミングでアドレスAuの値を保持しアドレス値Ausとして出力する第1のデータラッチ16と、これと同じタイミングで現在の周波数指令Frefの値を保持し周波数Frefzとして出力する第2のデータラッチ18と、これらを包含し、基準アドレス値Arefから第1のデータラッチ16で保持するアドレス値Ausを減算して得られるアドレス誤差Aerrと制御ゲインKaとの積に、第2のデータラッチ18で保持する周波数Frefzを加算した結果を周波数指令Frefとしてアドレスカウンタ9に出力する第2の周波数調整手段19を備える点である。
【0083】
以下、本第3の実施例の動作を説明する。
【0084】
第2の周波数調整手段19は第1のエッジ検出手段10がパルス信号4aの立ち上がりエッジを検出すると、このタイミングにて第1のデータラッチ16が現在の出力アドレスAuを保持し、この保持したデータをアドレス値Ausとして出力する。これと同じタイミングで、第2のデータラッチ18は現在の周波数指令Frefを保持しこの保持したデータを周波数Frefzとして出力する。そして、パルス信号4aの立ち上がりエッジが示すモータ3のロータ磁極位置に相当する基準アドレス値Arefから、アドレス値Ausを減算したものをアドレス誤差Aerrとし、このアドレス誤差Aerrに制御ゲインKaを乗じたものを周波数Frefzに加算した周波数指令Frefをアドレスカウンタ9に出力する。したがって、周波数指令FrefはFref=Frefz+Ka・Aerrとなる。
【0085】
前述した第2の実施例と動作が異なるのは、アドレス誤差Aerrと制御ゲインKaとの積に回転周波数Fsenに替えて、現在の周波数指令であるFrefzを加えて、新たな周波数指令Frefを作成する点である。
【0086】
以下、図7における各部の動作を示す図8を加えて説明する。なお、第2の実施例と同じく、アドレスAuの最大値はFFHで基準アドレス値Arefは00Hであり、エッジe1においてアドレスAuは00Hであるものとしている。また、アドレス誤差Aerrを作成する減算においてオーバーフローもしくはアンダーフローが発生しても、そのときのキャリーもしくはボローは無視してアドレス誤差Aerrを算出し、この結果得られたアドレス誤差Aerrは2の補数で表された正負の極性を有する数値として扱う。
【0087】
まず、エッジe1のタイミングにおけるアドレスAuは00Hであり、基準アドレス値
Arefに等しくアドレス誤差Aerrはゼロである。よって、エッジe1からエッジe2までの期間においては、周波数指令Frefは周波数Frefzと同じ、すなわち周波数指令Frefは前回のエッジe0からエッジe1までの期間と同じ値をとる。そして、エッジ間周期T0よりエッジ間周期T1の方が大きいのでエッジe2においてアドレスAuは00Hをオーバーし、負のアドレス誤差Aerrを生じる。よって、エッジe2からエッジe3までの期間は、周波数指令Frefは周波数Frefz、すなわちエッジe1からe2までの期間の周波数指令Frefより小さな値となり、かつ、この大小差を決定する制御ゲインKaを適切な値に設定しているので、エッジe3においてアドレスAuが00Hとなっておりアドレス誤差Aerrがゼロとなっている。エッジe4のようにアドレス誤差Aerrが正になる場合は、周波数指令Frefを加減する極性が変わるだけで同様の動作であり、周波数指令Frefを現在の値よりも大きな値にしてアドレス誤差Aerrが無くなるようにしていく。
【0088】
このように、アドレス誤差Aerrがゼロでない場合にはアドレスカウンタ9に出力する周波数指令Frefを加減することによってアドレス誤差Aerrが無くなるように動作し、アドレスAuが正しいロータ磁極位置を示すように誤差が修正されていく。第2の実施例と同様に、一連の動作においてアドレスAuが急変することが無く、このため相出力波形データDuに不連続点が生じない。よって、相出力指令値Vu,Vv,Vwも滑らかな連続したものとなり出力トルクの乱れが少なくなって、騒音の低減を図ることができる。
【0089】
以上のように本実施例によれば、第2の出力周波数調整手段19が基準アドレス値Arefから現在のアドレス値Auを減算したアドレス誤差Aerrと制御ゲインKaとの積に、現在の周波数Frefzを加算した結果を周波数指令Frefとして出力し、この周波数指令Frefでもってアドレスカウンタ9がカウント動作するため、アドレスAuを急変させること無く正しいロータ磁極位置を示すように修正していくことができる。これにより、相出力指令値Vu,Vv,Vwが滑らかになり出力トルクの乱れが少なくなって、騒音,振動の低減を図ることができるものである。また、構成要素に回転周波数検出手段8を必要としないため構成を簡単にすることができると共に、このため当然に回転周波数検出時の検出誤差により制御が不安定になることが無い。さらに、パルス発生器4Aとしてはホール素子等を用いた簡単な構成のもので良く、また、構成の大半はソフトウェアで容易に実現可能なため、安価に提供することのできるものである。
【0090】
なお、本実施例では周波数で演算処理する例を示したが、これは周期で行っても当然良く、この場合は、第2の出力周波数調整手段19がアドレス誤差Aerrに制御ゲインKaを乗じたものを第2のデータラッチ18の出力データから減算して周期指令としてアドレスカウンタ9に伝え、この周期指令に比例したカウント周期でアドレスカウンタ9がカウント動作する構成とすればよい。
【0091】
また、パルス発生器を複数備えた構成でも良いのは、第2の実施例で説明したのと同様であり、さらに、アドレスカウンタ9をアップダウン動作させるとモータ3の正逆の両方の回転に対応できること、波形データメモリ12のデータは正弦波でなく例えば正弦波にその3次の整数倍の高周波を重畳した波形とすれば電圧の利用率を高めることができること、インバータ回路15はPWM制御でなくパワートランジスタを活性領域で使用する構成でも良いこと、電圧制御ではなく電流制御を行っても良いこと、パルス発生器4Aとしてホール素子以外のものも利用できること、ロータの機械角に基づいた制御を行う構成でも良いこと等は第1の実施例で説明したのと同様である。
【0092】
(実施例4)
図9は本発明の第4の実施例を示すブロック図である。図9に示す構成は、第2の実施
例を示す図5に近い構成となっており、図5と異なるのは、第1の周波数調整手段17に替えて、第1のエッジ検出手段10の出力信号タイミングでアドレスAuの値を保持しアドレス値Ausとして出力する第1のデータラッチ16と、これを包含し、基準アドレス値Arefから第1のデータラッチ16で保持するアドレス値Ausを減算して得られるアドレス誤差Aerrと回転周波数Fsenと制御ゲインKaとの積に、回転周波数Fsenを加算した結果を周波数指令Frefとしてアドレスカウンタ9に出力する第3の周波数調整手段20を備える点である。
【0093】
以下、本第4の実施例の動作を前述の第2の実施例の動作と比較して説明する。
【0094】
第3の周波数調整手段20は第1のエッジ検出手段10がパルス信号4aの立ち上がりエッジを検出すると、このタイミングにて第1のデータラッチ16が現在の出力アドレスAuを保持し、この保持したデータをアドレス値Ausとして出力する。そして、パルス信号4aの立ち上がりエッジが示すモータ3のロータ磁極位置に相当する基準アドレス値Arefから、アドレス値Ausを減算したものをアドレス誤差Aerrとし、このアドレス誤差Aerrに回転周波数Fsenと制御ゲインKaとを乗じたものを回転周波数Fsenに加算した周波数指令Frefをアドレスカウンタ9に出力する。したがって、周波数指令FrefはFref=Fsen+Ka・Aerr・Fsenとなる。
【0095】
第2の実施例と動作が異なるのは、アドレス誤差Aerrと制御ゲインKaとの積にさらに回転周波数Fsenを乗じている点であり、これに回転周波数Fsenを加算し新たな周波数指令Frefを作成している。
【0096】
図10はすでに説明した第2の実施例の動作を示すものであり、上段は下段に示すものよりモータ3の回転周波数が低い場合を示すものである。上段も下段もエッジ間周期T7とT8及びT10とT11は等しく、また、エッジe8におけるアドレスAuの値とエッジe11におけるアドレスAuの値は共にA1であり、アドレス誤差Aerrの値は等しい。しかし、上段に示すエッジe9においては前述した動作によりアドレスAuが00Hとなっているのに対して、下段に示すエッジe12ではアドレスAuは00Hをオーバーしており、アドレスAuが正しいモータ3のロータ磁極位置に追従していく位相追従性に差が出ている。これは、前述したように周波数指令FrefはFref=Fsen+Ka・Aerrの関係式で表されるが、この右辺第2項が制御ゲインKa、アドレス誤差Aerr共に同じ値であるならば同じ値、すなわちアドレス誤差Aerrに応じて回転周波数Fsenを加減する操作量がモータ3の回転数によらず一定の値となることに起因している。図示していないが、逆に上段よりもモータ3の回転数が低くなった場合には、周波数の操作量が大きくなり過ぎて周波数指令Frefが小さくなり、次のエッジにてアドレスAuが00Hに至らずアドレス誤差Aerrが正の値になってしまう。つまり、アドレス誤差Aerrを無くすための操作がその逆の極性のアドレス誤差Aerrを生むわけであり、条件によってはこの動作を繰り返し、アドレス誤差Aerrの極性が変わるだけでその値がいつまでもゼロにならないハンチングを生じてしまう。この問題を解決する構成が本第4の実施例である。
【0097】
図11は本第4の実施例の動作を示すものであり、例として制御ゲインKaの値をアドレスAuのデータ長の逆数である1/100Hとして、周波数指令FrefがFref=Fsen+Aerr・Fsen/100Hの関係式で表される場合を示したものである。ここで、制御ゲインの1/100Hは正数として取り扱う。なお、第2の実施例と同じく、アドレスAuの最大値はFFHで基準アドレス値Arefは00Hであり、アドレス誤差Aerrの算出も同じである。また、エッジ間周期Tn0とTn1とは等しい。上図の(a)はエッジen1においてアドレスAuの値が基準アドレス値の00Hをオーバーして、負のアドレス誤差Aerrを生じている状態を示し、下図の(b)はエッジen1においてアドレスAuの値が基準アドレス値の00Hに至らず、正のアドレス誤差Aerrを生じている状態を示している。
【0098】
図11(a)において、エッジen1からエッジen2までの期間における周波数指令FrefはFref=Fsen+Aerr・Fsen/100Hとなるが、この関係式を変形するとFref=Fsen・(100H+Aerr)/100Hとなる。今、Aerrの極性は負であるから、関係式中の(100H+Aerr)は100HからAerrの絶対値を減算した値となり、図11(a)におけるアドレス差Arを示すものとなる。したがって、これに置き換えるとFref=Fsen・Ar/100Hとなる。なお、図11は複雑になることを避けるために、アドレス差ArがアドレスAuの最大値であるFFHを基準としているかのように描画しているが、実際はFFHの1カウント上である仮想的な値100Hが基準である。
【0099】
すでに述べた通り、エッジ間周期Tn0とTn1とが等しいので、エッジen1におけるアドレス誤差Aerrがゼロの場合には周波数指令Frefを、Fref=Fsenとすれば次のエッジen2においてもアドレス誤差Aerrはゼロとなる。周波数は図におけるアドレスAuの傾きを示すものであり、周波数指令Frefが、Fref=Fsenのときの傾きは100H/Tn1で示される。よって、周波数指令Frefが、Fref=Fsen・Ar/100Hの場合の傾きはFref=Fsenのときの(Ar/100H)倍であるから(100HTn1)・(Ar/100H)で示され、整理するとAr/Tn1となる。この傾きは時間Tn1経過したときArだけアドレスAuが進むことを示すものであるから、次のエッジen2においてアドレス誤差Aerrはゼロとなる。
【0100】
図11(b)のようにエッジen1において正のアドレス誤差Aerrを生じている場合は、(100H+Aerr)の値は図11(b)におけるアドレス量Arを示すものとなり、アドレス誤差Aerrが負の場合と同様に、周波数指令Frefを傾きAr/Tn1で示されるFref=Fsen+Aerr・Fsen/100Hとすることで、次のエッジen2においてアドレス誤差Aerrをゼロにすることができる。
【0101】
図11(a)(b)共に重要なことは、エッジ間周期Tn1が任意の周期を表している点であり、エッジ間周期の大きさ、すなわち、モータ3の回転数に依存せず同じ位相追従性にて動作することを示している。
【0102】
以上のように本実施例によれば、前述した第2の実施例の効果に加え、周波数指令Frefを、回転周波数Fsen,アドレス誤差Aerr,制御ゲインKaを用いて,Fref=Fsen+Ka・Aerr・Fsenの演算にて作成することにより、アドレス誤差Aerrに応じて回転周波数Fsenを加減する操作量が回転周波数Fsenに比例するため、モータ3の回転数の大きさに関わらず同じ位相追従性を示す安定した制御を行うことができるものである。
【0103】
なお、本実施例では周波数で演算処理する例を示したが、これは周期で行っても当然良く、回転周波数検出手段8がパルス信号4aのエッジ間周期Tsenを検出するのみとして、アドレスカウンタ9が周期指令Trefに比例したカウント周期で動作し、第3の周波数調整手段20がTref=Tsen/(1+Ka・Aerr)で表される動作を行う構成とすればよい。単なる演算処理上の違いであり、本質的に何ら変わりのないものである。
【0104】
また、パルス発生器を複数備えた構成でも良いのは、第2の実施例で説明したのと同様であり、さらに、アドレスカウンタ9をアップダウン動作させるとモータ3の正逆の両方の回転に対応できること、波形データメモリ12のデータは正弦波でなく例えば正弦波にその3次の整数倍の高周波を重畳した波形とすれば電圧の利用率を高めることができること、インバータ回路15はPWM制御でなくパワートランジスタを活性領域で使用する構成でも良いこと、電圧制御ではなく電流制御を行っても良いこと、パルス発生器4Aとしてホール素子以外のものも利用できること、ロータの機械角に基づいた制御を行う構成でも良いこと等は第1の実施例で説明したのと同様である。
【0105】
(実施例5)
図12は本発明の第5の実施例を示すブロック図である。図12に示す構成は、第3の実施例を示す図7に近い構成となっており、図7と異なるのは、第2の周波数調整手段19に替えて、第1のエッジ検出手段10の出力信号タイミングでアドレスAuの値を保持しアドレス値Ausとして出力する第1のデータラッチ16と、これと同じタイミングで現在の周波数指令Frefの値を保持し周波数Frefzとして出力する第2のデータラッチ18と、これらを包含し、基準アドレス値Arefから第1のデータラッチ16で保持するアドレス値Ausを減算して得られるアドレス誤差Aerrと周波数Frefzと制御ゲインKaとの積に、周波数Frefzを加算した結果を周波数指令Frefとしてアドレスカウンタ9に出力する第4の周波数調整手段21を備える点である。
【0106】
以下、本第5の実施例の動作を前述の第3の実施例の動作と比較して説明する。
【0107】
第4の周波数調整手段21は第1のエッジ検出手段10がパルス信号4aの立ち上がりエッジを検出すると、このタイミングにて第1のデータラッチ16が現在の出力アドレスAuを保持し、この保持したデータをアドレス値Ausとして出力する。これと同じタイミングで、第2のデータラッチ18は現在の周波数指令Frefを保持しこの保持したデータを周波数Frefzとして出力する。そして、パルス信号4aの立ち上がりエッジが示すモータ3のロータ磁極位置に相当する基準アドレス値Arefから、アドレス値Ausを減算したものをアドレス誤差Aerrとし、このアドレス誤差Aerrに周波数Frefzと制御ゲインKaとを乗じたものを周波数Frefzに加算した周波数指令Frefをアドレスカウンタ9に出力する。したがって、周波数指令FrefはFref=Frefz+Ka・Aerr・Frefzとなる。
【0108】
第3の実施例と動作が異なるのは、アドレス誤差Aerrと制御ゲインKaとの積にさらに周波数Frefzを乗じている点であり、これに周波数Frefzを加算し新たな周波数指令Frefを作成している。
【0109】
第3の実施例においてはモータ3の回転数によって、アドレスAuが正しいロータ磁極位置に追従していく位相追従性に差が出るという、前述した第2の実施例と同じ問題点がある。これは、前述したように周波数指令FrefはFref=Frefz+Ka・Aerrの関係式で表されるが、この右辺第2項が制御ゲインKa,アドレス誤差Aerr共に同じ値であるならば同じ値、すなわちアドレス誤差Aerrに応じて回転周波数Fsenを加減する操作量がモータ3の回転数によらず一定の値となることに起因している。したがって、条件によってはハンチングが発生する等の不安定な動作を生じてしまう。この問題を解決する構成が本第5の実施例である。
【0110】
本第5の実施例では周波数指令Frefを、Fref=Frefz+Ka・Aerr・Frefzの演算にて作成するため、この関係式の右辺第2項が示すアドレス誤差Aerrに応じて周波数Frefzを加減する操作量が、周波数Frefzに比例する。周波数Frefzは現在出力している周波数指令Frefを第2のデータラッチ18が保持したものであるが、通常アドレス誤差Aerrは小さな値であり、周波数指令Frefはモータ3の回転周波数にほぼ等しいものであるため、アドレス誤差Aerrに応じて周波数Frefzを加減する操作量は、ほぼモータ3の回転周波数に比例することになる。したが
って、モータ3の回転数の大きさに関わらず同じ位相追従性を得ることができる。
【0111】
以上のように本実施例によれば、前述した第3の実施例の効果に加え、周波数指令Frefを、周波数Frefz,アドレス誤差Aerr,制御ゲインKaを用いて,Fref=Frefz+Ka・Aerr・Frefzの演算にて作成することにより、アドレス誤差Aerrに応じて周波数Frefzを加減する操作量が周波数Frefzに比例するため、モータ3の回転数の大きさに関わらず同じ位相追従性を示す安定した制御を行うことができるものである。
【0112】
なお、本実施例では周波数で演算処理する例を示したが、これは周期で行っても当然良く、単なる演算処理上の違いであり本質的に何ら変わりのないものである。
【0113】
また、パルス発生器を複数備えた構成でも良いのは、第2の実施例で説明したのと同様であり、さらに、アドレスカウンタ9をアップダウン動作させるとモータ3の正逆の両方の回転に対応できること、波形データメモリ12のデータは正弦波でなく例えば正弦波にその3次の整数倍の高周波を重畳した波形とすれば電圧の利用率を高めることができること、インバータ回路15はPWM制御でなくパワートランジスタを活性領域で使用する構成でも良いこと、電圧制御ではなく電流制御を行っても良いこと、パルス発生器4Aとしてホール素子以外のものも利用できること、ロータの機械角に基づいた制御を行う構成でも良いこと等は第1の実施例で説明したのと同様である。
【0114】
(実施例6)
図13は本発明の第6の実施例を示すブロック図である。前述した第5の実施例を示す図12と異なるのは、第4の周波数調整手段21に替えて第5の周波数調整手段40を備える点であり、この内部のブロック図を図13(b)に示す。
【0115】
図13(b)において、第5の周波数調整手段40は、前述した第1のエッジ検出手段10の出力信号タイミングでアドレスAuの値を保持しアドレス値Ausとして出力する第1のデータラッチ16と、これと同タイミングで現在の周波数指令Frefの値を保持し周波数Frefzとして出力する第2のデータラッチ18に加え、これと同タイミングで基準アドレス値Arefから第1のデータラッチ16で保持するアドレス値Ausを減算して得られるアドレス誤差Aerrを保持し、パルス信号4aの前回のエッジタイミングにおけるアドレス誤差Aerrzを出力する第3のデータラッチ41を備えるものであり、さらに、これらの出力を用いてアドレス誤差Aerrと駆動波形の単位周期に相当する単位アドレス長Alとの和を分子とし、かつ単位アドレス長Alからアドレス誤差Aerrを減算した値と前回のアドレス誤差Aerrzとを加算した値をもって分母とした分数値と、制御ゲインKaと、周波数Frefzとを乗算した値を新たな周波数指令Frefとして作成し出力するものである。
【0116】
以上の構成により、第5の周波数調整手段40は周波数指令FrefをFref=((Al+Aerr)/(Al−Aerr+Aerrz))・Ka・Frefzの演算結果として出力し、アドレスカウンタ9はこの周波数指令Frefに応じたカウント速度で動作する。その他の動作については既に説明した実施例と同様である。
【0117】
図14は本第6の実施例の動作を示すタイムチャートであり、例として制御ゲインKaの値を1とし、単位アドレス長AlをアドレスAuのデータ長である100Hと同じに設定した場合を示している。また、これまでに示した実施例と同様に、パルス信号4aのエッジタイミングでアドレス値が00Hとなるときアドレスが正しいロータ位置を示しているもの、すなわち基準アドレス値Aref=00Hであるものとして説明する。なお、アドレス値FFHの次の値はオーバーフローして00HとなるためアドレスAuの動作を示す図はアドレスAuを三角波状に描画するのが通常であるが、説明を理解しやすくするために、アドレスAuがFFHから00Hに移る時にオーバーフローせずにカウント値が増え続けていくように描画している。
【0118】
パルス信号4aのエッジe101の発生タイミングにおいては、アドレスAuは正しいロータ位置を示しておらず、カウント値に遅れがあり正極性のアドレス誤差を生じている。そして、この次のエッジe102の発生タイミングにおいても、値は異なるものの同様に正極性のアドレス誤差を生じている。さらに、次のエッジe103のタイミングにおいてはアドレス誤差は無く、アドレスAuが00Hとなっている。ここで、エッジe102のタイミングを基準に考えこのとき生じているアドレス誤差をAerrとすれば、エッジe101のタイミングでのアドレス誤差は前回のアドレス誤差なのでAerrzで表される。
【0119】
ここで、図中に示した三角形q1q2q3と三角形q1q4q5が相似形であることから、q1q2:q2q3=q1q4:q4q5の関係が成立する。この中のq2q3は単位アドレス長Alであり、q1q2はエッジe102からエッジe103までの期間におけるアドレスAuが単位アドレス長Al分カウントするに要する時間を示すアドレス周期Taである。また、q1q4はエッジe102からエッジe103までの周期T102からアドレス周期Taを引いた残りであるから(T102−Ta)で表される。さらに、q4q5はアドレス誤差Aerrを示すものである。したがって、前記関係式はTa:Al=(T102−Ta):Aerrとなり、この関係式からT102=Ta・(Al+Aerr)/Alが導かれる。
【0120】
また、図中に示した三角形q6q7q8と三角形q5q9q10が相似形であることから、q7q8:q8q6=q9q10:q10q5の関係が成立する。ここで、q8q6は単位アドレス長Alであり、q7q8はエッジe101からエッジe102までの期間におけるアドレスAuが単位アドレス長Al分カウントするに要する時間を示すアドレス周期Tazである。また、q9q10はエッジe101からエッジe102までの周期T101であり、さらに、q10q5は(Al−Aerr+Aerrz)で表される。したがって、前記関係式はTaz:Al=T101:(Al−Aerr+Aerrz)となり、この関係式からT101=Taz・(Al−Aerr+Aerrz)/Alが導かれる。
【0121】
ここでモータ3の回転に変動が無いものとすればT101=T102であるから、前記2式をまとめて、Taz・(Al−Aerr+Aerrz)/Al=Ta・(Al+Aerr)/Alとなり、これを整理するとTa=((Al−Aerr+Aerrz)/(Al+Aerr))・Tazの関係式が得られる。ここで、アドレス周期Taは周波数指令Frefの逆数に比例し、また、アドレス周期Tazは周波数指令Frefzの逆数に比例し、共にその比例係数は同じであることから、Fref=((Al+Aerr)/(Al−Aerr+Aerrz))・Frefzの関係が成立する。
【0122】
したがって、この関係式がエッジe103の発生タイミングにおいてアドレス誤差を生じずにアドレスAuが正しいロータ位置を示す条件を表す式である。換言すれば、エッジe102の発生タイミングにおいて、このタイミングでのアドレス誤差Aerrと、この前回のエッジe101発生タイミングでのアドレス誤差Aerrzと、周波数指令Frefzとを用いて、新たな周波数指令FrefをFref=((Al+Aerr)/(Al−Aerr+Aerrz))・Frefzの演算で得られる値とすれば、次のエッジe103の発生タイミングにおいてアドレス誤差をゼロにすることができる。エッジe103のタイミングにおいて一度にアドレス誤差をゼロにせずにある程度の値に留め、次回以降のエッジ発生タイミングでアドレス誤差をゼロにするようにして徐々にアドレス誤差を減少させていくには、制御ゲインKaを前記関係式右辺に乗じて、Fref=((Al+Aerr)/(Al−Aerr+Aerrz))・Ka・Frefzとし、この制御ゲインKaの値を調節すれば良い。このようにすれば、より円滑にアドレス誤差をゼロに収束させていくことができる。前記第5の周波数調整手段40はこの関係式に基づいて周波数指令Frefを作成する一実施例であり、この第5の周波数調整手段40の動作によってアドレス誤差を無くし、アドレスAuが正しいロータ位置に追従していく。なお、前回のアドレス誤差Aerrzと今回のアドレス誤差Aerrは共に正の値である場合を例として説明したが、極性が負の場合であっても動作に違いはなく、式中の各項が極性を含むものとして扱えば周波数指令Frefを作成する演算式は同じである。
【0123】
以上に述べた動作の説明において、パルス信号4aのエッジ間の周期は任意の大きさであり、モータの回転数の大小によってアドレスAuが正しいロータ位置に追従していく度合いが変化するような問題は生じない。また、構成要素に回転周波数検出手段を必要としない点は前述した実施例5と同様であるが、周波数指令Frefの作成において前回のアドレス誤差Aerrzを考慮するため、前回のアドレス誤差Aerrzがゼロでない場合であっても安定してアドレスAuが正しいロータ位置に追従していくことができる点がさらに優れる。
【0124】
以上のように本実施例によれば、周波数指令Frefを周波数Frefz,アドレス誤差Aerr,前回のアドレス誤差Aerrz,単位アドレス長Al,制御ゲインKaを用いて、Fref=((Al+Aerr)/(Al−Aerr+Aerrz))・Ka・Frefzの演算にて作成することにより、前述した第5の実施例と同様の効果に加え、前回のアドレス誤差Aerrzがゼロでない場合であっても安定してアドレスAuが正しいロータ位置に追従していくことができるものである。
【0125】
なお、本実施例では周波数で演算処理する例を示したが、これは周期で行っても当然良い。例えば、動作説明中に示したアドレス周期Taの関係式右辺に制御ゲインKaを乗じて、Ta=((Al−Aerr+Aerrz)/(Al+Aerr))・Ka・Tazの演算からアドレス周期Taを算出し、このアドレス周期Taに基づいたカウント周期でアドレスカウンタ9が動作する構成としても良い。これは、単なる演算処理上の違いであり本質的に何ら変わりのないものである。
【0126】
また、パルス発生器を複数備えた構成でも良いのは、第2の実施例で説明したのと同様であり、さらに、アドレスカウンタ9をアップダウン動作させるとモータ3の正逆の両方の回転に対応できること、波形データメモリ12のデータは正弦波でなく例えば正弦波にその3次の整数倍の高周波を重畳した波形とすれば電圧の利用率を高めることができること、インバータ回路15はPWM制御でなくパワートランジスタを活性領域で使用する構成でも良いこと、電圧制御ではなく電流制御を行っても良いこと、パルス発生器4Aとしてホール素子以外のものも利用できること、ロータの機械角に基づいた制御を行う構成でも良いこと等は第1の実施例で説明したのと同様である。
【0127】
(実施例7)
図15は本発明の第7の実施例を示すブロック図である。図15において、周波数指令補正手段42は、パルス信号4aからモータ3の加速度を検出する加速度検出手段43を包含し、加速度と係数Kaccの積を周波数指令Frefに加算した結果を周波数指令Frefrとして、アドレスカウンタ9に対し出力するものである。この他の構成については、これまでに示した実施例と同様であるので図面からは省略している。なお、周波数指令Frefはこれまでに示した実施例においてはアドレスカウンタ9のカウント速度を決定する指令としていたものであり、第2の実施例以降については同記号のものがこれに相当するが、第1の実施例においては回転周波数Fsenがこれに相当するものである。以
下、説明を簡便にするため語句を周波数指令Frefに統一して説明する。
【0128】
この構成により、モータ3の加速度に比例した値が周波数指令Frefに加算され周波数指令Frefrとなり、アドレスカウンタ9に伝えられる。すなわち、モータ3の加速時には周波数指令Frefはプラス補正され、逆に減速時には周波数指令Frefはマイナス補正されて周波数指令Frefrとなりアドレスカウンタ9に伝えられる。アドレスカウンタ9はこの周波数指令Frefrの値に応じた速度でカウント動作を行う。この動作における補正の度合いは係数Kaccの値で定まり、モータ3が加速中においてもアドレスAuが正しくロータ位置を追従するように設定されている。
【0129】
これまでに述べた実施例においては、モータ3の速度が一定でありパルス信号4aのエッジ間周期が一定周期である時に、アドレスAuが正しいロータ位置を示すように追従動作する構成となっている。したがって、パルス信号4aのあるエッジ発生タイミングにおいてアドレス誤差Aerrがゼロであっても、この次のエッジ発生タイミングにおいては、モータが加速しているときにはアドレスAuが正しい値に至らず正のアドレス誤差Aerrを生じ、逆にモータが減速しているときにはアドレスAuが正しい値を越えて負のアドレス誤差Aerrを生じてしまう。本実施例はこの問題を解決するものであり、モータ3の加速時には周波数指令Frefはプラス補正され、逆に減速時には周波数指令Frefはマイナス補正されて周波数指令Frefrとなりアドレスカウンタ9に伝えられるため、モータ3の速度が変化していてもアドレスAuが正しくロータ位置を追従することができる。
【0130】
なお、加速度検出手段43は、パルス信号4aのエッジを検出する毎にエッジ間周期から速度を求め、この速度から前回のエッジ検出時の速度を減じた結果を出力するもの、あるいは、単に前回検出したエッジ間周期から今回検出したエッジ間周期を減じた結果を出力するもの等のように、簡略した構成のものであっても構わない。理論的に厳密な加速度は得られないため制御特性は若干劣化するものの、加速度の近似値を容易に得ることができるため構成を簡素化することができる。また、周波数でなく周期を指令としてアドレスカウンタ9を動作させる構成としても当然良く、この場合は、モータ3の加速時には周期指令をマイナス補正し、減速時には周期指令をプラス補正した結果をアドレスカウンタ9に入力し、アドレスカウンタ9がこの補正結果に応じたカウント周期で動作する構成とすれば良い。これは、単なる演算処理上の違いであり本質的に何ら変わりのないものである。さらに、係数Kaccは動作中に任意に可変できる構成として、より自由度の高い制御を行えるようにしても当然構わない。
【0131】
(実施例8)
以上に説明してきた実施例では、モータ3が停止しているとパルス発生器4Aの出力パルス信号4aのエッジが検出されないため、アドレスカウンタ9の出力アドレスAuが正しいロータ磁極位置を示すことができず、自ら起動することができない。また、モータ3の回転数が低いときは、単位時間当たりのアドレスAuの修正回数が少ないため安定した位相追従性が得られない。こういった問題を解決するのが本第8の実施例である。
【0132】
図16は本発明の第8の実施例を示すブロック図である。図16において、周波数上昇手段22は時間の経過に伴い周波数を徐々に上昇して出力するもので、第1のセレクタ23は周波数上昇手段22の出力する周波数と、周波数指令Frefとのどちらか一方を選択して出力し、アドレスカウンタ9へ周波数指令として伝えるものである。ここで、周波数指令Frefは第2の実施例以降では同じ周波数指令Frefが相当するが、第1の実施例においては回転周波数検出手段8が出力する回転周波数Fsenがこれに相当するものである。この他の構成はすでに説明した実施例と同様である。
【0133】
以下、本第8の実施例の動作を説明する。モータ3を起動する際には、まず、第1のセレクタ23は周波数上昇手段22の出力を選択しアドレスカウンタ9に伝える。この周波数上昇手段22の動作は図17に示すように、時間tの経過に伴い直線的に周波数fが上昇するものであり、これによって、モータ3には周波数が徐々に上昇していく交流電圧が印加され、回転磁界が発生する。ロータはこの回転磁界に引かれて連れ回りし次第に加速していく。そして、モータ3の回転数が予め設定した値を超えたとき、もしくは周波数上昇手段22の出力する周波数の値が予め設定した値を超えたときに、第1のセレクタ23はアドレスカウンタ9に伝える周波数を周波数上昇手段22の出力する周波数から周波数指令Frefに切り替える。この後は、すでに説明した実施例の動作となって、起動は完了する。前述した第3、第5、第6の実施例に本実施例を適用する際には、第1のセレクタ23が周波数上昇手段22の出力する周波数から周波数指令Frefに切り替えた後に、周波数指令Frefの値が不定であることに起因して不安定な動作を生じてしまうが、第2のデータラッチ18が保持するデータを第1のセレクタ23の出力データとすれば、この問題は回避できる。
【0134】
以上のように本実施例によれば、モータを起動する際に、周波数上昇手段22が時間の経過に伴い徐々に上昇する周波数値を、アドレスカウンタ9に指令する構成としたことにより、安定した起動が行えるものである。
【0135】
なお、周波数上昇手段22の動作はモータ3が連れ回りするように徐々に上昇すれば良いのであって、直線的でなく、曲線的に周波数が上昇する構成であっても構わない。
【0136】
(実施例9)
第8の実施例ではモータ3を起動させる際に、ロータの磁極位置に関わらず、時間の経過に伴い徐々に上昇する周波数値をアドレスカウンタ9に指令する構成としているが、停止時のロータの磁極位置と通電開始時の最初の磁界の向きによっては、発生トルクが不安定で起動できない場合がある。この問題を解決するのが本第9の実施例である。
【0137】
本第9の実施例のブロック図は第8の実施例のブロック図を示す図16と同様であるが、周波数上昇手段22の内部の構成が異なっており、モータ3を起動する際に、図18に示す動作を行う。すなわち、起動の最初に予め設定された時間、周波数fがゼロの直流通電期間tdcがあり、この後、周波数fは時間の経過に伴い徐々に上昇していく構成となっている。この他の構成はすでに説明した第8の実施例と同様である。
【0138】
第9の実施例においては、モータ3を起動させる際の通電開始時に周波数fがゼロの直流通電期間tdcがあるため、発生する磁界の向きが固定された状態が一定時間続く。この時間は例えば数秒程度のものである。これにより、ロータの磁極位置はこの磁界の向きに沿った位置に固定される。そして、この後に周波数が時間の経過に伴い徐々に上昇し、モータ3は回転磁界に引かれて連れ回りして次第に加速していく。この後の動作は第8の実施例と同様である。この動作の中において、通電開始時にロータの磁極位置が特定の位置に定まるため、この後に周波数を上昇させる際に滑らかにロータを連れ回りさせることができ、安定した起動を行うことができる。
【0139】
以上のように本実施例によれば、モータを起動する際の通電開始時に、周波数fがゼロの直流通電期間tdcを設けたことによって、まず、ロータの磁極位置が特定の位置に定まり、そして、その後に時間の経過に伴い徐々に上昇する周波数値を、アドレスカウンタ9に指令する構成としたことにより、安定した起動が行えるものである。
【0140】
(実施例10)
図19は本発明の第10の実施例を示すブロック図である。図19においてパルス発生
器は4A,4B,4Cの3個、すなわちモータ3の相数と同数備えており、第1の矩形波駆動手段24はこのパルス発生器4A,4B,4Cの出力信号をロジック処理して、矩形波通電を行うための電圧指令を作成し出力するものである。正弦波駆動手段25はすでに説明した第1から第6の実施例におけるインバータ回路15を除いた部分に相当するものである。第2のセレクタ26は起動完了判定手段27の出力に応じて、第1の矩形波駆動手段24の出力する電圧指令と正弦波駆動手段25の出力する電圧指令のいずれか一方を選択して、インバータ回路15に伝えるものである。この他の構成はすでに説明した第1から第6の実施例と同様である。
【0141】
この構成において、モータ3を起動させる際には、まず、第2のセレクタ26は第1の矩形波駆動手段24の電圧指令を選択してインバータ回路15に伝える。このため、まず、第1の矩形波駆動手段24がパルス発生器4A,4B,4Cの出力する3つのロータ磁極位置検出信号に基づいて作成した電圧指令をインバータ回路15に与え、矩形波駆動を行う通常のブラシレスモータの動作を行う。こうして、モータ3が回転すると起動完了判定手段27がモータ3の回転数が予め設定した値を超えたこと、または、パルス発生器の4A,4B,4Cの出力する信号のエッジの検出回数が予め設定した値を超えたことによって起動の完了を判定し、第2のセレクタ26に切り替え信号を伝える。第2のセレクタ26はこの切り替え信号を受けると、インバータ回路15に伝える電圧指令を、第1の矩形波駆動手段24の出力から正弦波駆動手段25の出力する電圧指令に切り替える。この後は、すでに説明した実施例の動作となって、起動は完了する。したがって、起動の際は通常の矩形波駆動のブラシレスモータとして動作するので安定した起動特性が得られる。
【0142】
以上のように本実施例によれば、3個のパルス発生器4A,4B,4Cの出力信号に基づき矩形波通電にて駆動を行う第1の矩形波駆動手段24を備え、モータ3を起動する際に、インバータ回路15が第1の矩形波駆動手段24による矩形波通電処理を行うため安定した起動特性が得られるものである。
【0143】
なお、起動の際に限らず、モータ3の回転数にしきい値を設け、このしきい値より低い場合は矩形波通電を行い、このしきい値より高い場合は正弦波駆動を行う構成としても良い。一般にモータ3が低速で回転しているときは、外乱トルクの影響を受け易く回転が不安定となり易い。このため、前述した正弦波駆動は低速時にアドレスに誤差を生じ、出力トルクが変動し不安定な動作をする場合がある。低速時に積極的に矩形波駆動に切り替えることにより、広い回転数範囲で安定した動作を行うことができる。さらに、この場合に矩形波と正弦波とを切り替える回転数にヒステリシス特性を持たせても当然良く、このようにすれば切り替え回転数付近での切り替えのバタツキを防止することができる。
【0144】
(実施例11)
モータ3に急に外乱トルクが加わる等して、アドレスAuが正しいロータ磁極位置を示さなくなると出力トルクは減少し、場合によっては停止してしまう。この問題を解決するのが本第11の実施例である。
【0145】
図20は本発明の第11の実施例を示すブロック図である。図20において、位相誤差過大検出手段28はアドレス誤差Aerrの絶対値が予め設定した値を超えたことを検出し、このとき位相誤差過大信号28aを'H'として出力するものである。論理反転手段29は位相誤差過大信号28aを論理反転して出力するものであり、また、論理積手段30は起動完了判定手段27の出力信号と論理反転手段29の出力信号の論理積をとって第2のセレクタ26に出力するものである。この他の構成は前述の第10の実施例と同様である。
【0146】
この構成における動作を図21のタイムチャートを加えて説明する。本実施例では3個
のパルス発生器4A,4B,4Cで構成しているので、この出力パルス信号4a,4b,4cの各エッジ毎にアドレス誤差Aerrを更新するのが望ましいが、説明を理解し易くするため、パルス信号4aの立ち上がりエッジを検出した時のみアドレス誤差Aerrを更新するものとして説明する。
【0147】
図21において、パルス信号4aのエッジe13ではアドレス誤差Aerrがゼロであるが、エッジe14,e15となるにつれて、アドレス誤差Aerrが増大している様子を示している。エッジe14ではアドレス誤差Aerrの絶対値は予め設定したしきい値28bより小さい値であるが、エッジe15ではしきい値28bを超えたため、位相誤差過大信号28aが'H'に変化している。位相誤差過大信号28aが'H'になると論理反転手段29の出力信号は'L'になり、論理積手段30の出力信号も'L'となる。また、起動時においても起動完了判定手段27が'L'を出力するため、論理積手段30の出力信号は'L'となる。論理積手段30の出力信号が'L'となると、第2のセレクタ26はインバータ回路15に伝える電圧指令を、正弦波駆動手段25の出力する電圧指令から第1の矩形波駆動手段24の出力に切り替える。すなわち、起動時と、起動完了後においてもアドレス誤差Aerrの絶対値がしきい値28bを超えたときには、第2のセレクタ26はインバータ回路15に伝える電圧指令として、第1の矩形波駆動手段の出力する電圧指令を選択する。したがって、アドレスAuが正しいロータ磁極位置を示さなくなると、通常の矩形波駆動のブラシレスモータとして動作するので回転を維持することができる。位相誤差過大信号28aが'H'となって、矩形波駆動に切り替わると、この一定時間経過後に位相誤差過大検出手段28は位相誤差過大信号28aを'L'に戻し、正弦波駆動に復帰する。
【0148】
以上のように本実施例によれば、位相誤差過大検出手段28がアドレス誤差Aerrの絶対値が予め設定したしきい値28bを超えた場合にこれを検出し位相誤差過大信号28aを出力し、このときインバータ回路15が矩形波通電処理を行うことにより、モータ3に急に外乱トルクが加わる等して、アドレスAuが正しいロータ磁極位置を示さなくなっても、回転を維持することができるものである。
【0149】
(実施例12)
モータ3とこれを駆動する回路とを分離して配設する場合には、パルス発生器の数は少ないほどパルス発生器の出力信号線の本数は減りコストを低減できる。少ない数のパルス発生器で前述した第11の実施例と同じ目的を果たすのが、本第12の実施例である。
【0150】
図22は本発明の第12の実施例を示すブロック図である。図22において、ロータ磁極位置検出回路31はモータ3の誘起電圧を検出し、これに基づいてロータの磁極位置を検出するものである。第2の矩形波駆動手段32は、ロータ磁極位置検出回路31の出力信号に基づいて矩形波駆動を行うための電圧指令を作成し出力するものである。正弦波駆動手段25はすでに説明した第1から第6の実施例におけるインバータ回路15を除いた部分に相当するものであり、1個のパルス発生器4Aの出力パルス信号4aに基づいて正弦波駆動を行うための電圧指令を作成し出力するものである。第2のセレクタ26と位相誤差過大検出手段28は第11の実施例で説明したものと同様である。この他の構成は第6および第9の実施例と同様である。
【0151】
この構成における動作を説明する。通常時は、第2のセレクタ26は正弦波駆動手段25の出力する電圧指令を選択してインバータ回路15に伝え、正弦波駆動を行う。ここで第11の実施例で説明したように、モータ3に急に外乱が加わる等してアドレス誤差Aerrの絶対値がしきい値28bを超えると、位相誤差過大検出手段28は位相誤差過大信号28aを'H'にするため、第2のセレクタ26は切り替え操作を行い、インバータ回路15に対して第2の矩形波駆動手段32が出力する電圧指令を伝えるようになる。この第2の矩形波駆動手段32はロータ磁極位置検出回路31からの入力信号に基づいて、120度通電矩形波駆動を行う。このロータ磁極位置検出回路31はインバータ回路15の出力、すなわちモータ3の巻き線の電圧を入力としてモータ3の誘起電圧を検出するものである。第2の矩形波駆動手段32が行う120度矩形波通電では1周期(電気角360度)あたり2回、電気角60度のインバータ回路15のパワートランジスタが上下アーム同時にOFFとなる期間があり、この期間にモータ3の誘起電圧を検出することができる。このことを利用してロータ磁極位置検出回路31は、例えば3つの入力信号をフィルタにより積分処理して、積分処理後の信号の1つを他の2つの信号の分圧電位と比較する等してロータ磁極位置検出信号を作成する。したがって、アドレスAuが正しいロータ磁極位置を示さなくなると、モータ3の誘起電圧を利用したロータ磁極位置検出による矩形波駆動のブラシレスモータとして動作するので回転を維持することができる。位相誤差過大信号28aが'H'となって、矩形波駆動に切り替わると、この一定時間経過後に位相誤差過大検出手段28は位相誤差過大信号28aを'L'に戻し、正弦波駆動に復帰する。
【0152】
以上のように本実施例によれば、位相誤差過大検出手段28がアドレス誤差Aerrの絶対値が予め設定したしきい値28bを超えた場合にこれを検出して位相誤差過大信号28aを出力し、ロータ磁極位置検出回路31がモータ3の誘起電圧からロータの磁極位置を検出した信号に基づきインバータ回路15が矩形波通電処理を行うことにより、モータ3に急に外乱トルクが加わる等してアドレスAuが正しいロータ磁極位置を示さなくなっても、回転を維持することができる。さらに、パルス発生器の数を1個で構成できるため、パルス発生器の出力信号線の本数が減りコストを低減できるものである。
【0153】
なお、正弦波駆動から矩形波駆動に切り替える際に一時的にインバータ回路15のパワートランジスタをすべてOFFにする、いわゆるフリーラン状態とする期間を設けてもよい。このようにすれば、ロータ磁極位置検出回路31が確実にモータ3の誘起電圧を検出できるので、円滑に矩形波駆動に移行することができる。
【0154】
(実施例13)
第9および第12の実施例ではアドレス誤差Aerrがパルス発生器4Aの出力パルス信号4aのエッジ毎にしか更新されないので、急にモータ3の回転数が低下して次のエッジが検出されるまでの時間が長くなってしまった場合には、アドレスAuに生じる誤差は増大していくにも関わらず、次のエッジが検出されるまで矩形波駆動に切り替えることができないことから、一時的に不安定な動作をする場合がある。この問題を解決するのが本第13の実施例である。
【0155】
本第13の実施例のブロック図は第11の実施例のブロック図を示す図20、または、第12の実施例のブロック図を示す図22と同様であるが、位相誤差過大検出手段28の内部の構成が異なっており、図23のタイムチャートに示す動作を合わせ持つ構成となっている。
【0156】
図23において、アドレス差分Adifは現在のアドレスAuからパルス信号4aの立ち上がりエッジが示す基準アドレス値Arefである00Hを差し引いたものである。但し、アドレスAuが正しいロータ磁極位置を示しているときの、パルス信号4aのエッジ間の周期に相当するアドレス量100Hを超える量をもカウントできるように、カウントビット幅はアドレスAuよりも多く確保している。
【0157】
これより動作を順を追って説明する。まず、パルス信号4aのエッジe16においてはアドレスAuに誤差は無いが、アドレスカウンタ9のカウント速度が速く、次のエッジe17を検出する前にアドレスAuはオーバーフローしている。基準アドレス値Arefが00Hなのでアドレス差分AdifはアドレスAuと同じ値を示すが、アドレスAuがオーバーフローした場合には、アドレスAuが桁上がりしたものと見なしてアドレス差分Adifの演算を行うため、アドレス差分AdifはアドレスAuの最大値であるFFHを超えてカウントを続ける。次の新しいエッジであるエッジe17を検出すると、処理は最初に戻り、現在のアドレスAuから基準アドレス値00Hを差し引いたものをアドレス差分Adifとする。この後も引き続き同じ動作を行うが、次のエッジe18の来るタイミングが遅いためにアドレスAuに生じる誤差は大きくなっていくが、エッジe18が来る前のp1のタイミングでアドレス差分Adifの値は予め設定したしきい値28cを超える。アドレス差分Adifがしきい値28cを超えると、位相誤差過大検出手段28は位相誤差過大信号28aを'H'にするため、第2のセレクタ26は切り替え操作を行い、正弦波駆動から矩形波駆動に切り替わる。したがって、次のエッジe18の検出を待たずに、アドレスAuに生じた誤差が一定値を越えたことを検出し、矩形波駆動に切り替えることができる。
【0158】
この動作の中で、アドレス差分AdifはアドレスAuが進み過ぎていることを検出するのに使用している。よって、アドレスAuのカウントが遅れていて、エッジ時点でアドレス差分Adifが80HからFFHまでの値であった時には、この遅れ分を打ち消すため、アドレス差分Adifが100Hになった時にアドレス差分Adifを000Hにリセットする。また、モータ3が逆転駆動も行う場合には、アドレスAuの値は時間の経過に伴い減少するので、アドレス差分Adifの絶対値としきい値28cの比較で位相誤差過大を判定するようにする。
【0159】
以上のように本実施例によれば、位相誤差過大検出手段28がアドレスAuから基準アドレス値Arefを減算したアドレス差分Adifが予め設定した値28cを超えた場合に、これを検出して位相誤差過大信号28aを出力し、インバータ回路15が矩形波通電処理に切り替えるため、モータ3に急に外乱トルクが加わる等した場合でも安定した回転を維持することができるものである。
【0160】
なお、1個のパルス発生器4Aの出力パルス信号4aに基づいた説明をしたのは、理解し易くするためであって、第11の実施例のように複数のパルス発生器を備える場合には、この複数のパルス発生器から得られる複数のエッジタイミング毎に一連の動作を行えば、アドレス差分Adifをカウントするビット幅は少なくて済み、構成及び演算が簡単にできる。
【0161】
(実施例14)
図24は第14の実施例を表すブロック図である。図24において、パルス発生器4Aと第1のエッジ検出手段10はすでに説明したものと同じものである。周期カウンタ33はパルス発生器4Aが出力するパルス信号4aの立ち上がりエッジ間の周期を測定するカウンタであり、周期データラッチ34は周期カウンタ33の周期カウントデータ33aを第1のエッジ検出手段10の出力タイミング毎に読み込み保持するものである。許容周期範囲設定手段35は周期データラッチ34の出力に基づいて、周期カウンタ33が測定する周期の許容範囲を設定するもので、周期上限値35aと周期下限値35bを出力する。周期急変検出手段36は周期カウンタ33の周期カウントデータ33aが周期上限値35aを超えたとき、もしくは、周期下限値35bに至る以前にパルス信号4aの立ち上がりエッジを検出したときに周期急変信号36aを出力するものである。この他の構成は第8,第9,第10,第13の実施例と同様であり、周期急変信号36aは第2のセレクタ26に伝えられ、周期急変信号36aが'L'から'H'になると正弦波駆動から矩形波駆動に切り替わる構成となっている。
【0162】
図25はモータ3に急に外乱が作用する等して、パルス信号4aの周期が急に長くなった時の動作を示すものである。パルス信号4aの立ち上がりエッジを検出すると、周期カウンタ33が出力する周期カウントデータ33aを周期データラッチ34に保持させて、周期カウンタ33をリセットする。許容周期範囲設定手段35はこの周期データラッチ34の保持するデータに基づいて周期上限値35aを設定する。例えば、周期データラッチ34の保持するデータに予め設定しておいた値を加算あるいは、乗算する等して周期上限値35aを設定する。パルス信号4aの新しい立ち上がりエッジを検出する毎にこの動作を繰り返し行う。エッジe19からエッジe20までの期間では、周期カウントデータ33aは周期上限値35aより小さな値をとっているが、次のエッジe20からエッジe21までの期間は周期が急に長くなったため、p2のタイミングで周期カウントデータ33aが周期上限値35aを超え、これにより、周期急変信号36aが'L'から'H'に変化している。周期急変信号36aは第2のセレクタ26に伝えられ、周期急変信号36aが'L'から'H'になると、インバータ回路15は正弦波駆動から矩形波駆動に動作が切り替わる。
【0163】
図26は図25とは逆に、パルス信号4aの周期が急に短くなった時の動作を示すものである。許容周期範囲設定手段35は周期上限値35aを設定すると同時に、周期データラッチ34の保持するデータに基づき周期下限値35bも設定する。例えば、周期データラッチ34の保持するデータから予め設定しておいた値を減算あるいは、除算する等して周期上限値35aを設定する。エッジe22からエッジe23までの期間では、エッジe23が来る前に周期カウントデータ33aは周期下限値35bを超えるが、次のエッジe23からエッジe24までの期間は周期が急に短くなったため、エッジe24が来た時点で周期カウントデータ33aは周期下限値35bに達しておらず、これにより、周期急変信号36aが'L'から'H'に変化している。このとき、パルス信号4aの周期が急に長くなった場合と同様に、インバータ回路15は正弦波駆動から矩形波駆動に動作が切り替わる。
【0164】
これまでの実施例で既に説明したとおり、アドレスカウンタ9のカウント速度は、パルス信号4aのエッジ間の周期に基づいて作成している。よって、パルス信号4aの周期が急に大きく変動すると、アドレスAuに生じる誤差は当然大きくなる。本第14の実施例は、パルス信号4aの周期が急に大きく変化したことを検出することで、アドレスAuに生じる誤差が過大となることを予測し、正弦波駆動から矩形波駆動に切り替えて回転を維持するものである。周期急変信号36aが'H'となって、矩形波駆動に切り替わると、この一定時間経過後に周期急変検出手段36は周期急変信号36aを'L'に戻し、正弦波駆動への復帰を行う。
【0165】
以上のように本実施例によれば、周期カウンタ33が計測したパルス信号4aの周期データに基づき、許容周期範囲設定手段35が次回計測される周期データの許容範囲として周期上限値35aと周期下限値35bを設定し、周期カウントデータ33aが周期上限値35aを超過した場合、もしくは、周期下限値35bに至る以前にパルス信号4aの立ち上がりエッジを検出した場合に周期急変信号36aを出力し、インバータ回路15が矩形波通電処理に動作を切り替えるため、モータ3に急に外乱トルクが加わる等した場合でも安定した回転を維持することができるものである。
【0166】
(実施例15)
図27は第15の実施例を表すブロック図である。図27において、駆動モード切替制御手段44は、駆動モード切替信号45とロータ位置検出手段4の出力パルス信号4a,4b,4cを入力として処理を行い、第2のセレクタ26に駆動モード切替信号47aを、また正弦波駆動手段25にアドレスプリセット信号48aを出力するものであり、内部にパルス信号4a,4b,4cのエッジを検出する第2のエッジ検出手段46と駆動モード切替信号47aを作成する切替タイミング制御手段47とアドレスプリセット信号48aを作成するアドレスプリセット制御手段48とを包含する。この他の構成は第11の実施例で示した図20とほぼ同様であり、図20における論理積手段30の出力信号が本図27の駆動モード切替信号45に相当する。この駆動モード切替信号45を作成する構成要素については省略している。
【0167】
この構成において、起動時または位相誤差過大発生時において矩形波通電処理を実施している状態から、通常の波形データメモリ12の内容に従い通電する正弦波駆動処理に移行するため、駆動モード切替信号45が変化すると、駆動モード切替制御手段44はこの信号をすぐに第2のセレクタ26に伝えるのではなく、内部の切替タイミング制御手段47が第2のエッジ検出手段46からのエッジ検出信号46aが得られるまで遅延処理を行うことにより、パルス信号4a,4b,4cのエッジタイミングで第2のセレクタ26に伝える。このとき同時に、アドレスプリセット制御手段48が、このエッジに対応した基準アドレス値Arefをアドレスプリセット信号48aとして正弦波駆動手段25に出力し、この基準アドレス値Arefが正弦波駆動手段25内部のアドレスカウンタ9にプリセットされる。そして、第2のセレクタ26が駆動モードを切り替え矩形波駆動から正弦波駆動に移行する。すなわち、駆動モード切替信号45が正弦波駆動を指令するとパルス信号4a,4b,4cのエッジを検出するまで待った後に、このエッジに対応した基準アドレス値Arefを正弦波駆動手段25内のアドレスカウンタ9にプリセットし、正弦波駆動に切り替わる。駆動モード切替制御手段44が以上の動作を行うのは、矩形波駆動から正弦波駆動に移行する際であり、逆に、正弦波駆動から矩形波駆動に移行する際には駆動モード切替信号45はそのままのタイミングで第2のセレクタ26に伝えられ、アドレスプリセット信号48aは出力されない。したがって、駆動モード切替信号45が矩形波駆動を指令すると直ちに矩形波駆動に切り替わる。
【0168】
図28は矩形波駆動から正弦波駆動に切り替わる際の動作を示すタイムチャートである。パルス信号4a,4b,4cの状態に基づいて矩形波駆動を行っている時に、タイミングp101にて駆動モード切替信号45が'L'から'H'に変化し正弦波駆動を指令する。すると、前述した起動モード切替制御手段44の作用によりパルス信号4a,4b,4cのいずれかのエッジ、すなわち、本図ではパルス信号4aのエッジが得られたタイミングp102で駆動モード切替信号47aが'L'から'H'に変化し正弦波駆動に切り替わる。このとき同時に基準アドレス値Arefが正弦波駆動手段25内のアドレスカウンタ9にプリセットされるので、この切り替え時点においてアドレスAuに誤差は無く、アドレスAuは正しいロータ位置を示す。
【0169】
以上で説明した本実施例の構成をとらず、任意のタイミングで矩形波から正弦波に切り替えた際には切り替え時点でのアドレスAuに大きな誤差が生じる場合がある。これは、負荷トルクの変動や外乱トルク等により、パルス信号4a,4b,4cのエッジとエッジの間の期間においては、必ずしもアドレスカウンタ9の出力するアドレスAuが正しいロータ位置を示しているとは限らないためである。また、特にソフトウェアで構成した場合等において処理時間を削減する等の目的で、第1の矩形波駆動手段24と正弦波駆動手段25は、いずれか一方しか動作を行わない場合がある。このような場合では、矩形波駆動時には正弦波駆動手段25は動作が停止しているため、アドレスAuは正しいロータ位置を示していない。よって、矩形波駆動に切り替える時に、現在のパルス信号4a,4b,4cの状態から大まかなロータ位置を示すアドレス値を求め、これをアドレスカウンタ9にプリセットしてから切り替えることになる。このような場合では、切り替え時のアドレス誤差はさらに大きな値となる。アドレスAuに大きな誤差が生じている状態で矩形波から正弦波に切り替えると、切り替え時点で十分な駆動トルクが得られず回転数に変動をきたす場合があり、安定した切り替え動作を行うことができない。これに対し本実施例の構成であれば、切り替え時に基準アドレス値Arefをプリセットするため、アドレスAuに誤差は生じない。したがって、最大トルクが得られ円滑な切り替えが可能となる。
【0170】
なお、起動時、位相誤差過大時だけに限定するのではなく、一時的に高い出力を得たい等の理由により任意のタイミングで矩形波から正弦波、逆に正弦波から矩形波に駆動を切り替えたい場合などでも本実施例の構成は有効である。
【0171】
(実施例16)
パルス発生器4Aとしては、例えばホール素子を用いてモータ3のロータの磁極位置を検出する構成が一般的であるが、こうしたものの場合には機械的なホール素子の取り付け精度あるいは素子の特性等によって、パルス発生器4Aの出力パルス信号4aのエッジが示すロータ磁極位置にはバラツキが生じ、モータ3の出力トルク、効率に個体差が出る場合がある。この問題を解決するのが本第16の実施例である。
【0172】
本第16の実施例では、パルス発生器4Aの出力パルス信号4aのエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値Arefは、理想的なパルス信号4a0のエッジが示すロータ磁極位置に相当する理想基準アドレス値Aref0に、任意に変更可能なるオフセットアドレス値Aofsを加算して作成する構成としている。すなわち、基準アドレス値Arefは、Aref=Aref0+Aofsの関係式で表される。オフセットアドレス値Aofsが任意に変更可能としているので、結果的に基準アドレス値Arefは任意に変更可能なるものとなる。
【0173】
図29は第16の実施例の動作を示すタイムチャートである。理想的なパルス信号4a0の立ち上がりエッジに対応する理想基準アドレス値Aref0が00Hである場合を表している。理想的なパルス信号4a0に対して、実際のパルス信号4aはtdの遅れを生じている。このため、エッジe26に対応する基準アドレス値Arefを、理想基準アドレス値Aref0にオフセットアドレス値Aofsを加えたもの、すなわち、オフセットアドレス値Aofsとすることで、アドレスAuが正しくロータ磁極位置を示すようになっている。エッジe25に対するエッジe26の遅れtdは、パルス発生器4Aの機械的な取り付け精度等に起因するものであるから、バラツキが生じる。したがって、モータ3毎にオフセットアドレス値Aofsを適切な値に設定することにより、最大の出力トルク及び効率が得られるようになる。
【0174】
以上のように本実施例によれば、基準アドレス値Arefを理想基準アドレス値Aref0と、任意に変更可能なるオフセットアドレス値Aofsとを用い、Aref=Aref0+Aofsの関係式で作成することで、基準アドレス値Arefを任意に設定変更可能とし、これにより、パルス発生器4Aの機械的な取り付け精度等に起因するパルス信号4aのエッジタイミング誤差を打ち消し、モータ3を最大の出力トルク及び効率で駆動することができるものである。
【0175】
なお、オフセットアドレス値AofsはEEPROM、フラッシュメモリ等のように、書き換え可能でかつ電源停止時も記憶内容を保持するものに記憶する構成としても良い。オフセットアドレス値Aofsをモータ3に合わせて一度最適な値に設定すれば、電源投入毎に再度設定する必要を無くすことができる。
【0176】
(実施例17)
モータ3は誘導性負荷であるためインバータ回路15が電流制御を行わない構成とした場合には、相出力指令値Vu,Vv,Vwに対してモータ3の相電流には位相遅れが生じる。モータ3の回転数が高いほど周波数が高くなるので、この位相遅れは大きな値となり、回転数の上昇につれて十分な出力トルクが得られなくなってしまう。この問題を解決するのが本第17の実施例である。
【0177】
本第17の実施例では、基準アドレス値Arefは、理想的なパルス信号4a0のエッジに対応する理想基準アドレス値Aref0に、任意に変更可能なるオフセットアドレス値Aofsと、回転周波数検出手段8が出力する回転周波数信号Fsenに基づいて決定する可変アドレス値Avarとを加算して作成する構成としている。すなわち、基準アドレス値Arefは、Aref=Aref0+Aofs+Avarの関係式で表される。前述した第16の実施例と異なるのは、この関係式の右辺第3項に可変アドレス値Avarが存在する点である。
【0178】
オフセットアドレス値Aofsは第16の実施例で述べたとおり、パルス発生器4Aの機械的な取り付け精度等に起因するパルス信号4aのエッジタイミング誤差を打ち消すものであり、モータ3の駆動中は変化しないが、可変アドレス値Avarは回転周波数信号Fsenに基づいて動的に変化する。図30は回転周波数信号Fsenと可変アドレス値Avarの関係の一例を表したグラフである。このグラフが示す関係により、モータ3の回転数が上昇すると基準アドレス値Arefは大きな値となり、インバータ回路15への電圧指令値となる相出力指令値Vu,Vv,Vwの位相は進む。したがって、モータ3に印加する電圧の位相は進むが、電流の位相はこれより遅れて適切な位相関係となり、所望の出力トルクが得られる。
【0179】
モータ3は誘起電圧と電流の位相が一致したときに出力トルク、効率共に最大値が得られる。この位相関係が得られるように、モータ3に印加する電圧の位相を基準アドレス値Arefを変化させることによって適切に設定するのであって、回転周波数信号Fsenと可変アドレス値Avarの関係は図30で示した直線的なグラフに限定されるものではなく、曲線関係であって構わない。また、モータ3の電流の位相遅れ量は、回転数だけに依存して変化するものでは無く、例えば電流の大きさによっても変化する。したがって、電流検出器を設けて、電流の大きさも考慮して可変アドレス値Avarを設定するのが、より望ましい構成である。
【0180】
以上のように本実施例によれば、基準アドレス値Arefを理想基準アドレス値Aref0と、任意に変更可能なるオフセットアドレス値Aofsと、回転周波数信号Fsen、または、モータ3の電流値に基づいて決定する可変アドレス値Avarとを用い、Aref=Aref0+Aofs+Avarの関係式で作成することにより、前述した第16の実施例の効果に加えて、モータ3の電流位相の遅れを打ち消す位相進め処理を容易に行うことができ、所望の出力トルクを得ることができる。
【0181】
また、本実施例の構成をとれば、基準アドレス値Arefを操作することでモータ3の駆動中に電流位相を自在に変化させることができるので、極めて容易に出力トルクを制御できる。したがって、単に効率を高める目的にとどまらず、例えば、回転周波数信号Fsenと可変アドレス値Avarの関係を変更することにより、ある回転数より高い領域では位相をずらせて出力トルクを減少させ、回生電力の発生を防止することもできる。モータ3の用途がファン駆動でなおかつ室外に設置されるものの場合には、強風などを受けて通電中にモータ3の回転方向と同じ方向の強い外力が作用することがあるが、このときモータ3に印加する電圧より誘起電圧の方が上回ると回生電力が発生する。一般的な構成であるインバータ回路15に電力供給する直流電源が交流電源を整流平滑したコンデンサインプット型の場合などでは、モータ3から回生電力が返るとエネルギが蓄積して電圧が上昇し、構成部品の耐圧を超えてしまうなどの問題が生じる。このため、回生電力の発生を防止することは重要な課題であったが、本実施例の構成をとれば容易に回避することができる。電流の位相をずらすと効率が低下しモータ3は発熱するが、回生電力は発生しない。この場合のモータ3の発熱は、強風を受けて十分に冷却されるので問題とならない。このように、本実施例はモータ3の駆動中に電流位相の変更を容易に行えるため、効率向上目的に限定されない利用用途の多いものである。
【0182】
なお、回転周波数検出手段8を備えない構成とする場合は、周波数指令Frefに基づ
いて可変アドレス値Avarを決定する構成でも良い。通常状態では回転周波数Fsenと周波数指令Frefに大きな差はないので、代用することができる。
【0183】
(実施例18)
以上に説明した実施例の中で、構成要素に回転周波数検出手段8を備えるものでは、ロータの着磁精度、パルス発生器4Aの特性及び機械的な取り付け精度等に起因して、モータ3が一定回転数でムラ無く回転していても出力パルス信号4aの周期に揺らぎが生じ回転周波数信号Fsenに誤差が生じることがある。この問題を解決するのが本第18の実施例である。
【0184】
図31は本第18の実施例のブロック図を示すものである。図31において、パルス発生器4Aと第1のエッジ検出手段10と周期カウンタ33は、すでに説明したものと同様である。第1の周期データメモリ37は周期カウンタ33の周期カウントデータ33aを、第1のエッジ検出手段10の出力タイミング毎に読み込み記憶するものであり、第2の周期データメモリ38は第1の周期データメモリ37の記憶するデータを、第1のエッジ検出手段10の出力タイミング毎に読み込み記憶するものである。1回転周期データ演算手段39は第1の周期データメモリ37が記憶するデータと第2の周期データメモリ38が記憶するデータを加算して、これを回転周波数検出手段8に伝えるものである。なお、図示していないが、例としてモータ3の極数は4極としている。この他の構成はすでに説明した実施例と同様である。
【0185】
第1のエッジ検出手段10がパルス信号4aの立ち上がりエッジを検出すると、第1の周期データメモリ37のデータを第2の周期データメモリ38に移動し、同時に周期カウンタ33が測定したパルス信号4aのエッジ間の周期データを、第1の周期データメモリ37に記憶する。よって、最も新しいパルス信号4aのエッジ間の周期データを第1の周期データメモリ37が、その1つ前のエッジ間の周期データを第2の周期データメモリ38がそれぞれ記憶することになる。1回転周期データ演算手段39は第1の周期データメモリ37のデータと第2の周期データメモリ38のデータを加算して出力する。モータ3の極数が4極の場合にはモータ3が1回転したときパルス信号4aは2周期出力される。したがって、1回転周期データ演算手段39の出力するデータはモータ3の1回転に相当する最新の周期データを示すものとなる。回転周波数検出手段8はこのモータ3の1回転に相当する周期データに基づいて回転周波数Fsenを作成し出力する。
【0186】
図32はこの動作を示すタイムチャートである。図32において、Sn1,Sn2,Sn3は1回転周期データ演算手段39の出力する周期データを表したものである。この周期データはパルス信号4aのその時点における最新のエッジ間周期データと、この1つ前の周期データを加算したものであり、例えばSn1は、Sn1=Tn0+Tn1の関係式で表される。
【0187】
モータ3が一定回転数でムラ無く回転していてもロータの着磁精度,パルス発生器4Aの特性及び機械的な取り付け精度等が原因で、パルス信号4aのエッジ間周期は一定にはならない。例えば、エッジ間周期Tn0とTn1とは等しくならない。しかし、エッジen0とエッジen2、また、エッジen1とエッジen3のようにパルス信号4aの1つおきの立ち上がりエッジは、モータ3が4極なのでロータの同じ磁極変化点をパルス発生器4Aが検出して得られたものであるから、エッジen0からエッジen2までの周期であるSn1や、エッジen1からエッジen3までの周期であるSn2のように、モータ3の1回転に相当する周期は一定となる。この1回転に相当する周期に基づいて回転周波数Fsenを作成し制御を行うので、ロータの着磁精度やパルス発生器4Aの特性に影響されることなく、安定した動作を行うことができる。
【0188】
以上のように本実施例によれば、第1の周期データメモリ37と第2の周期データメモリ38がそれぞれ記憶した最新の周期データと1つ前の周期データを1回転周期データ演算手段39が加算し、この加算して得られたモータ3の1回転に相当する周期に基づいて回転周波数Fsenを作成し制御を行う。このためロータの着磁精度やパルス発生器4Aの特性及び機械的な取り付け精度等に影響されること無く、高い精度で回転周波数Fsenが得られ、安定した正弦波駆動を行うことができるものである。
【0189】
なお、説明を理解し易くするため1個のパルス発生器の出力パルス信号4aにて説明したが、これは当然複数備えた構成でも良く、この場合でも同様にモータ3の1回転分の周期において得られるエッジ数の周期データメモリを備えて、この周期データメモリの内容を加算して1回転に相当する周期を作成する構成とすれば良い。検出するエッジの数が増す分、回転周波数Fsenの更新周期が短くなり、より早く回転数の変化が検出されるので制御特性を向上することができる。
【0190】
(実施例19)
以上に示した実施例ではブラシレスモータの駆動装置の構成について述べたが、アドレスカウンタ9の出力アドレスAuが現在のロータ位置を表すものであることから、これまでの実施例に示したブラシレスモータの駆動装置の構成主要部をロータ位置検出装置として見ることができ、駆動の目的以外にも幅広く応用することができる。さらに、パルス発生器4Aをロータの磁極位置を検出するのではなく、ロータのある特定の部位を検出するものとすれば、ブラシレスモータのみならず例えばロータに磁石を有さないリラクタンスモータ、インダクションモータ等にも幅広く使用することができる。すなわち、一般のモータのロータ位置検出装置として広く応用することができる。
【0191】
図33はこのようなモータのロータ位置検出装置としての一実施例を示すものであり、ロータが所定の位置にある時に所定の制御処理を行うのに用いた例を表したものである。図33(a)は、前述した第4の実施例の構成の一部を用いた構成例を示しており、構成要素は既に第4の実施例で説明したものと同様である。但し、パルス発生器4Aはロータのある特定の部位を検出するものとしている。例えば、モータ3がブラシレスモータの場合にはこれまでの実施例で説明したのと同様に、ロータの磁極位置を検出するホール素子等がこれに利用でき、また、モータ3がリラクタンスモータである場合にはロータの磁気抵抗の変化を利用して検出するものが利用できる。あるいは、モータ3にエンコーダを取り付けることにより構成することも可能である。
【0192】
この構成により、アドレスカウンタ9の出力アドレスAuは既に説明した実施例と同様に、ロータ位置を示すように動作する。そして、図33(b)のフローチャートに示した動作を周期的に繰り返し行うことにより、アドレスAuの値がCである時、すなわちロータ位置がこのアドレス値Cに対応した位置にあるときに処理Rを行うように動作する。この処理Rの内容は任意である。つまり、アドレスカウンタ9の出力アドレスAuからロータ位置が検出でき、このことを利用してモータ3の駆動処理だけでなく任意の処理を行うことができる。本実施例のロータ位置検出装置は、簡単な構成のパルス発生器4Aを用いながら構成の大半をソフトウェアで実現できるため低コスト、かつ、高精度である等、これまでに述べた実施例におけるブラシレスモータの駆動装置が持つ効果とほぼ同様の効果を有する。
【0193】
なお、図33(a)では、第4の実施例の一部を用いた構成としているが、第1、第2、第3、第5、第6の実施例の一部を用い、そのアドレスカウンタ9の出力アドレスAuを取り出す構成であっても当然構わない。それぞれのブラシレスモータの駆動装置の構成が有する特徴的な効果は、ロータ位置検出装置の構成としてもそのまま現れる。
【0194】
また、第7の実施例で説明した周波数指令補正手段42を設ければ、モータ3の速度が変化している際にもロータ位置を正しく検出することができ、検出安定性を高めることができる。
【0195】
また、第11の実施例、第13の実施例で説明した位相誤差過大検出手段28、および第14の実施例で説明した周期急変検出手段36を設け、これらの出力で例えばフラグをセットするようにすれば、このフラグを見て現在のアドレスAuがロータ位置を正しく示しているか否かの確認をすることができる。よって、フラグがセットされていれば処理内容を変更する構成とすれば、検出誤差に起因して処理が不安定になることを防止することができる。
【0196】
また、第16の実施例、第17の実施例で説明したように、基準アドレス値Arefは任意に設定変更可能なる値としたり、あるいは任意に設定変更可能なる値と、モータ3の回転数、もしくは電流値に基づき駆動中に動的に変化する値との和とすれば、パルス発生器4Aの機械的な取り付け精度等に起因するパルス信号4aのエッジタイミング誤差を打ち消し、位置検出精度の向上を図ることができる。また、ロータ位置検出値をモータの駆動処理に用いる場合には、位相調整処理を容易に行うことができる。
【0197】
また、第18の実施例で説明したように、回転周波数検出手段8を有する構成とした場合には1回転周期データ演算手段39を設け、回転周波数検出手段8は1回転周期データに基づき回転周波数Fsenを作成する構成とすれば、パルス発生器4Aの特性及び機械的な取り付け精度等に影響されること無く、高い精度で回転周波数Fsenが得られ、ロータ位置検出精度を向上させることができる。
【0198】
【発明の効果】
以上に示した実施例から明らかなようにように、請求項1記載の発明によれば、ロータ位置検出手段の信号出力時に、そのロータ位置に相当する基準アドレス値と現在のアドレス値との差に制御ゲインを乗じる演算に基づいて出力信号に応じて前記アドレスカウンタのカウント速度調整することにより、前記アドレスカウンタの出力するアドレスがロータ位置に追従し、この高い分解能を有するアドレスカウンタの出力するアドレスを用いて、波形データメモリに書き込んだ任意の波形でモータを駆動することができるため、騒音,振動の低減を図ることができる。
【0199】
また、請求項記載の発明によれば、第1の出力周波数調整手段が基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と制御ゲインとの積に、回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力し、この周波数指令でもってアドレスカウンタがカウント動作するため、アドレスを急変させること無く正しいロータ磁極位置を示すように修正していくことができる。これにより、相出力指令値が滑らかになり出力トルクの乱れが少なくなって、騒音,振動の低減を図ることができる。
【0200】
また、請求項記載の発明によれば、第2の出力周波数調整手段が基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と制御ゲインとの積に、現在の周波数指令を加算した結果を新たな周波数指令として出力し、この周波数指令でもってアドレスカウンタがカウント動作するため、アドレスを急変させること無く正しいロータ磁極位置を示すように修正していくことができる。これにより、相出力指令値が滑らかになり出力トルクの乱れが少なくなって、騒音,振動の低減を図ることができるものである。また、構成要素に回転周波数検出手段を必要としないため構成を簡単にすることができると共に、回転周波数検出時の検出誤差による制御の不安定要素を排除することができる。
【0201】
また、請求項記載の発明によれば、第3の周波数調整手段が基準アドレス値から現在
のアドレス値を減算した差分と回転周波数と制御ゲインとの積に、回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力し、この周波数指令でもってアドレスカウンタがカウント動作するため、基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分に応じて回転周波数を加減する操作量が回転周波数に比例し、モータの回転数の大きさに関わらず同じ位相追従性を示す安定した制御を行うことができる。
【0202】
また、請求項記載の発明によれば、第4の周波数調整手段が基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と現在の周波数指令値と制御ゲインとの積に、現在の周波数指令値を加算した結果を新たな周波数指令として出力し、この周波数指令でもってアドレスカウンタがカウント動作するため、基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分に応じて現在の周波数指令値を加減する操作量が現在の周波数指令値に比例し、モータの回転数の大きさに関わらず同じ位相追従性を示す安定した制御を行うことができる。
【0203】
また、請求項記載の発明によれば、第5の周波数調整手段がパルス発生器の出力信号のエッジを検出する毎に、アドレス誤差と波形の単位周期に相当する単位アドレス長との和を分子とし、かつ前記単位アドレス長から前記アドレス誤差を減算した値と前回のアドレス誤差とを加算した値をもって分母とした分数値と、制御ゲインと、現在の周波数指令とを乗算した値を新たな周波数指令として出力し、この周波数指令値に比例した速度でアドレスカウンタがカウント動作するため、周波数の調整に際して前回のアドレス誤差も考慮することにより、構成要素に回転周波数検出手段を必要とせず、かつ、回転周波数の大きさ及び前回のアドレス誤差量に関わらず安定したアドレス誤差修正を行うことができる。
【0204】
また、請求項記載の発明によれば、モータの加速度に基づく値を周波数指令値に加算して周波数指令値を補正する周波数指令補正手段を備えることにより、モータの速度が変化した場合でもその変化に応じて周波数指令値が補正されるため、安定したアドレス誤差修正を行うことができる。
【0205】
また、請求項記載の発明によれば、モータを起動する際に、時間の経過に伴い徐々に上昇する周波数値をアドレスカウンタに指令する構成としたことにより、安定した起動を行うことができ、加えて、請求項記載の発明のように、モータを起動する際の通電開始時に周波数がゼロの直流通電期間を設けた場合には、ロータの磁極位置が特定の位置に定まり、停止時のロータ磁極位置に関わらず安定した起動を行うことができる。
【0206】
また、請求項10記載の発明によれば、位相誤差過大検出手段が基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分の絶対値が、予め設定した値を超えた場合にこれを検出し位相誤差過大信号を出力し、このとき矩形波通電処理を行うことにより、モータに急に外乱トルクが加わる等して、アドレスが正しいロータ磁極位置を示さなくなっても回転を維持することができる。
【0207】
また、請求項11記載の発明によれば、位相誤差過大検出手段が基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分の絶対値が、予め設定した値を超えた場合にこれを検出して位相誤差過大信号を出力し、ロータ磁極位置検出回路がモータの誘起電圧からロータの磁極位置を検出した信号に基づき矩形波通電処理を行うことにより、モータに急に外乱トルクが加わる等して、アドレスが正しいロータ磁極位置を示さなくなっても、回転を維持することができる。さらに、パルス発生器の数を1個で構成できるため、パルス発生器の出力信号線の本数が減りコストを低減できる。
【0208】
また、請求項12記載の発明によれば、位相誤差過大検出手段がアドレスから基準アドレス値を減算したアドレス差分が予め設定した値を超えた場合に、これを検出して位相誤
差過大信号を出力し矩形波通電処理に切り替えるため、モータに急に外乱トルクが加わる等した場合でも安定した回転を維持することができる。
【0209】
また、請求項13記載の発明によれば、周期カウンタが計測した周期データに基づき、許容周期範囲設定手段が次回計測される周期データの許容範囲を設定し、周期カウンタのカウント値が許容範囲を超過した場合、もしくは、許容範囲に至る以前にパルス発生器の出力信号のエッジを検出した場合に、周期急変信号を出力し矩形波通電処理に動作を切り替えるため、モータに急に外乱トルクが加わる等した場合でも安定した回転を維持することができる。
【0210】
また、請求項14記載の発明によれば、基準アドレス値を任意に設定変更可能としたことにより、機械的な取り付け精度等に起因するパルス発生器の出力信号のエッジタイミング誤差を打ち消し、モータを最大の出力トルク及び効率で駆動することができる。さらにこれに加えて、請求項18記載の発明のように、基準アドレス値を任意に設定変更可能なる値と、モータの回転数、もしくは電流値に基づき駆動中に動的に変化する値との和とすれば、モータの電流位相の遅れを打ち消す位相進め処理を容易に行うことができ、広い速度範囲および負荷範囲で所望の出力トルクを得ることができる。
【0211】
また、請求項16記載の発明によれば、周期カウンタが計測した過去の周期データを記憶する複数の周期データメモリの内容を読み出し、新旧順にモータの1回転に相当する数量の周期データを加算した周期データを作成し、この1回転に相当する周期データに基づいて回転周波数を作成し制御を行うため、ロータの着磁精度やパルス発生器の特性及び機械的な取り付け精度等に影響されること無く高い精度で回転周波数が得られ、安定した駆動を行うことができる。
【0212】
また、請求項17から請求項29記載の発明によれば、請求項1から請求項16記載のブラシレスモータの駆動装置における構成の主要部を用い、モータのロータ位置検出装置として構成したことにより、分解能の低いロータ位置検出手段を用いて低コストでありながらもロータ位置を高分解能で検出することができ、しかも、ブラシレスモータのみならず例えばリラクタンスモータ、インダクションモータ等、極めて広範囲のモータに適用することができる。
【0213】
また、すべての請求項の発明において、パルス発生器としてホール素子等を用いた簡単な構成のものが使用でき、また、ハードウェア的に説明した構成要素でも大半はソフトウェアで容易に構成できるため、安価に提供することができる。さらに、駆動波形を正弦波状のみならず波形データメモリに書き込んだ任意の波形で、しかも位相を含めて極めて微細に制御してモータを駆動することができるため、単に低騒音化だけでなく高効率化を図る目的にも使用できる等、応用範囲の広いものである。
【0214】
なお、実施例中の説明で理解し易くするために、パルス信号4aの立ち上がりエッジとアドレスAuの00Hと相出力波形データDuのゼロクロス点のタイミングを一致させているが、言うまでもなく相互の位相関係は任意である。また、モータの相数と極数は3相4極を例に挙げて説明したが、これに限定されずに任意の相数と極数のモータに適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のブラシレスモータの駆動装置における第1の実施例を示すブロック図
【図2】 第1の実施例における動作を示すタイムチャート
【図3】 第1の実施例における動作説明図
【図4】 第1の実施例における動作を示すタイムチャート
【図5】 第2の実施例におけるブロック図
【図6】 第2の実施例における動作を示すタイムチャート
【図7】 第3の実施例におけるブロック図
【図8】 第3の実施例における動作を示すタイムチャート
【図9】 第4の実施例におけるブロック図
【図10】 第4の実施例における動作を示すタイムチャート
【図11】 第4の実施例における動作を示すタイムチャート
【図12】 第5の実施例におけるブロック図
【図13】 第6の実施例におけるブロック図
【図14】 第6の実施例における動作を示すタイムチャート
【図15】 第7の実施例におけるブロック図
【図16】 第8の実施例におけるブロック図
【図17】 第8の実施例における動作説明図
【図18】 第9の実施例における動作説明図
【図19】 第10の実施例におけるブロック図
【図20】 第11の実施例におけるブロック図
【図21】 第11の実施例における動作を示すタイムチャート
【図22】 第12の実施例におけるブロック図
【図23】 第13の実施例における動作を示すタイムチャート
【図24】 第14の実施例におけるブロック図
【図25】 第14の実施例における動作を示すタイムチャート
【図26】 第14の実施例における動作を示すタイムチャート
【図27】 第15の実施例におけるブロック図
【図28】 第15の実施例における動作を示すタイムチャート
【図29】 第16の実施例における動作を示すタイムチャート
【図30】 第17の実施例における動作を説明するグラフ
【図31】 第18の実施例におけるブロック図
【図32】 第18の実施例における動作説明図
【図33】 第19の実施例におけるブロック図
【図34】 従来のブラシレスモータの駆動装置におけるブロック図
【図35】 従来のブラシレスモータの駆動装置における動作を示すタイムチャート
【符号の説明】
3 モータ
4 ロータ位置検出手段
4A,4B,4C パルス発生器
8 回転周波数検出手段
9 アドレスカウンタ
10 第1のエッジ検出手段
11 アドレス修正手段
12 波形データメモリ
13 相出力指令作成手段
15 インバータ回路
17 第1の周波数調整手段
19 第2の周波数調整手段
20 第3の周波数調整手段
21 第4の周波数調整手段
22 周波数上昇手段
24 第1の矩形波駆動手段
28 位相誤差過大検出手段
31 ロータ磁極位置検出回路
32 第2の矩形波駆動手段
33 周期カウンタ
35 許容周期範囲設定手段
36 周期急変検出手段
37 第1の周期データメモリ
38 第2の周期データメモリ
39 1回転周期データ演算手段
40 第5の周波数調整手段
42 周波数指令補正手段
44 駆動モード切替制御手段

Claims (29)

  1. ロータ位置を検出しこの位置信号を出力するロータ位置検出手段と、ロータ位置と対応したアドレスを前記ロータ位置検出手段の出力信号よりも高い分解能でカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータに基づきモータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備え、前記ロータ位置検出手段の信号出力時に、そのロータ位置に相当する基準アドレス値と現在のアドレス値との差に制御ゲインを乗じる演算に基づいて前記アドレスカウンタのカウント速度調整することにより、前記アドレスカウンタの出力するアドレスがロータ位置に追従する構成としたことを特徴とするブラシレスモータの駆動装置。
  2. ロータの磁極位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号の周波数を検出する回転周波数検出手段と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と制御ゲインとの積に、前記回転周波数検出手段が出力する回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力する第1の周波数調整手段と、前記第1の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータと直流指令値とを乗算し、モータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備えたブラシレスモータの駆動装置。
  3. ロータの磁極位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と制御ゲインとの積に、現在の周波数指令を加算した結果を新たな周波数指令として出力する第2の周波数調整手段と、前記第2の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータと直流指令値とを乗算し、モータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備えたブラシレスモータの駆動装置。
  4. ロータの磁極位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号の周波数を検出する回転周波数検出手段と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と前記回転周波数検出手段が出力する回転周波数と制御ゲインとの積に、前記回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力する第3の周波数調整手段と、前記第3の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータと直流指令値とを乗算し、モータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備えたブラシレスモータの駆動装置。
  5. ロータの磁極位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と現在の周波数指令と制御ゲインとの積に、現在の周波数指令を加算した結果を新たな周波数指令として出力する第4の周波数調整手段と、前記第4の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータと直流指令値とを乗算し、モータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備えたブラシレスモータの駆動装置。
  6. ロータの磁極位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差であるアドレス誤差と波形の単位周期に相当する単位アドレス長との和を分子とし、かつ前記単位アドレス長から前記アドレス誤差を減算した値と前記エッジの前回検出時におけるアドレス誤差とを加算した値をもって分母とした分数値と、制御ゲインと、現在の周波数指令とを乗算した値を新たな周波数指令として出力する第5の周波数調整手段と、前記第5の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタと、波形データを記憶し前記アドレスカウンタが出力するアドレス上のデータを出力する波形データメモリと、前記波形データメモリが出力するデータと直流指令値とを乗算し、モータの各相の交流指令値を作成する相出力指令作成手段と、前記相出力指令作成手段の出力する交流指令値を相電圧指令値もしくは相電流指令値としてモータ駆動電力を出力制御するインバータ回路とを備えたブラシレスモータの駆動装置。
  7. モータの加速度に基づく値を周波数指令値に加算して周波数指令値を補正する周波数指令補正手段を備えた、請求項1〜のいずれか1項記載のブラシレスモータの駆動装置。
  8. モータを起動する際に、時間の経過に伴い徐々に上昇する周波数値を前記アドレスカウンタに指令する構成としたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載のブラシレスモータの駆動装置。
  9. モータを起動する際に、前記インバータ回路が直流通電を一定時間行った後に、時間の経過に伴い徐々に上昇する周波数値を前記アドレスカウンタに指令する構成
    としたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載のブラシレスモータの駆動装置。
  10. パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分の絶対値が予め設定した値を超えたことを検出し位相誤差過大信号を出力する位相誤差過大検出手段を備え、前記位相誤差過大信号出力時に前記インバータ回路が一時的に矩形波通電処理を行う構成としたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載のブラシレスモータの駆動装置。
  11. パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分の絶対値が予め設定した値を超えたことを検出し位相誤差過大信号を出力する位相誤差過大検出手段と、モータの誘起電圧からロータの磁極位置を検出するロータ磁極位置検出回路と、前記ロータ磁極位置検出回路の出力信号に基づき矩形波通電にて駆動を行う第2の矩形波駆動手段とを備え、前記位相誤差過大信号出力時に前記インバータ回路が一時的に矩形波通電処理を行う構成としたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載のブラシレスモータの駆動装置。
  12. アドレスカウンタの現在の出力アドレス値から、前記パルス発生器の出力信号の最新エッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値を減算した差分の絶対値が、予め設定した値を超えたことを検出し位相誤差過大信号を出力する位相誤差過大検出手段を備え、前記位相誤差過大信号出力時に前記インバータ回路が一時的に矩形波通電処理を行う構成としたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載のブラシレスモータの駆動装置。
  13. パルス発生器の出力信号のエッジ検出周期を計測する周期カウンタと、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、前記周期カウンタが計測した周期データに基づき次回計測される周期データの許容範囲を設定する許容周期範囲設定手段と、前記周期カウンタの現在のカウント値が前記許容周期範囲設定手段が設定した許容範囲を超過した場合、もしくは、許容範囲に至る以前に前記パルス発生器の出力信号のエッジを検出した場合に周期急変信号を出力する周期急変検出手段を備え、前記周期急変信号出力時に前記インバータ回路が一時的に矩形波通電処理を行う構成としたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載のブラシレスモータの駆動装置。
  14. 基準アドレス値は任意に設定変更可能なる値であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のブラシレスモータの駆動装置。
  15. 基準アドレス値は任意に設定変更可能なる値と、モータの回転数、もしくは電流値に基づき駆動中に動的に変化する値との和であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のブラシレスモータの駆動装置。
  16. パルス発生器の出力信号のエッジ検出周期を計測する周期カウンタと、前記周期カウンタが計測した過去の周期データを記憶する複数の周期データメモリと、前記周期データメモリを読み出し、新旧順にモータの1回転に相当する数量の周期データを加算し出力する1回転周期データ演算手段とを備え、前記回転周波数検出手段は前記1回転周期データ演算手段から得られる1回転周期データに基づき回転周波数を作成する構成としたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載のブラシレスモータの駆動装置。
  17. ロータ位置を検出しこの位置信号を出力するロータ位置検出手段と、ロータ位置と対応したアドレスを前記ロータ位置検出手段の出力信号よりも高い分解能でカウントするアドレスカウンタとを備え、前記ロータ位置検出手段の信号出力時に、そのロータ位置に相当する基準アドレス値と現在のアドレス値との差に制御ゲインを乗じる演算に基づいて前記アドレスカウンタのカウント速度調整することにより、前記アドレスカウンタの出力するアドレスがロータ位置に追従する構成とし、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別することを特徴とするモータのロータ位置検出装置。
  18. ロータ位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号の周波数を検出する回転周波数検出手段と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と制御ゲインとの積に、前記回転周波数検出手段が出力する回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力する第1の周波数調整手段と、前記第1の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ磁極位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタとを備え、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別することを特徴とするモータのロータ位置検出装置。
  19. ロータ位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と制御ゲインとの積に、現在の周波数指令を加算した結果を新たな周波数指令として出力する第2の周波数調整手段と、前記第2の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタとを備え、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別することを特徴とするモータのロータ位置検出装置。
  20. ロータ位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号の周波数を検出する回転周波数検出手段と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と前記回転周波数検出手段が出力する回転周波数と制御ゲインとの積に、前記回転周波数を加算した結果を周波数指令として出力する第3の周波数調整手段と、前記第3の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタとを備え、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別することを特徴とするモータのロータ位置検出装置。
  21. ロータ位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分と現在の周波数指令と制御ゲインとの積に、現在の周波数指令を加算した結果を新たな周波数指令として出力する第4の周波数調整手段と、前記第4の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタとを備え、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別することを特徴とするモータのロータ位置検出装置。
  22. ロータ位置を示す信号を出力する少なくとも1個のパルス発生器と、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差であるアドレス誤差と波形の単位周期に相当する単位アドレス長との和を分子とし、かつ前記単位アドレス長から前記アドレス誤差を減算した値と前記エッジの前回検出時におけるアドレス誤差とを加算した値をもって分母とした分数値と、制御ゲインと、現在の周波数指令とを乗算した値を新たな周波数指令として出力する第5の周波数調整手段と、前記第5の周波数調整手段の出力する周波数指令値に比例した速度でロータ位置と対応したアドレスをカウントするアドレスカウンタとを備え、前記アドレスカウンタの出力アドレス値に基づいてロータ位置を識別することを特徴とするモータのロータ位置検出装置。
  23. モータの加速度に基づく値を周波数指令値に加算して周波数指令値を補正する周波数指令補正手段を備えた、請求項17〜22のいずれか1項記載のモータのロータ位置検出装置。
  24. パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、このエッジが示すロータ磁極位置に相当する基準アドレス値から現在のアドレス値を減算した差分の絶対値が予め設定した値を超えたことを検出し位相誤差過大信号を出力する位相誤差過大検出手段を備えたことを特徴とする請求項18〜22のいずれか1項記載のモータのロータ位置検出装置
  25. アドレスカウンタの現在の出力アドレス値から、前記パルス発生器の出力信号の最新エッジが示すロータ位置に相当する基準アドレス値を減算した差分の絶対値が、予め設定した値を超えたことを検出し位相誤差過大信号を出力する位相誤差過大検出手段を備えたことを特徴とする請求項18〜22のいずれか1項記載のモータのロータ位置検出装置。
  26. パルス発生器の出力信号のエッジ検出周期を計測する周期カウンタと、前記パルス発生器の出力信号のエッジ検出時に、前記周期カウンタが計測した周期データに基づき次回計測される周期データの許容範囲を設定する許容周期範囲設定手段と、前記周期カウンタの現在のカウント値が前記許容周期範囲設定手段が設定した許容範囲を超過した場合、もしくは、許容範囲に至る以前に前記パルス発生器の出力信号のエッジを検出した場合に周期急変信号を出力する周期急変検出手段を備えたことを特徴とする請求項18〜22のいずれか1項記載のモータのロータ位置検出装置。
  27. 基準アドレス値は任意に設定変更可能なる値であることを特徴とする請求項17〜22のいずれか1項記載のモータのロータ位置検出装置。
  28. 基準アドレス値は任意に設定変更可能なる値と、モータの回転数、もしくは電流値に基づき駆動中に動的に変化する値との和であることを特徴とする請求項17〜22のいずれか1項記載のモータのロータ位置検出装置。
  29. パルス発生器の出力信号のエッジ検出周期を計測する周期カウンタと、前記周期カウンタが計測した過去の周期データを記憶する複数の周期データメモリと、前記周期データメモリを読み出し、新旧順にモータの1回転に相当する数量の周期データを加算し出力する1回転周期データ演算手段とを備え、前記回転周波数検出手段は前記1回転周期データ演算手段から得られる1回転周期データに基づき回転周波数を作成する構成としたことを特徴とする請求項18〜22のいずれか1項記載のモータのロータ位置検出装置。
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