JP3699842B2 - 化合物半導体発光素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体発光素子、特に半導体レーザに関するものである。本発明は、光ファイバー増幅器用励起光源や光情報処理用の光源等のように、高出力かつ長寿命であることを要求される場合に好適に利用することができる。また本発明は、スーパールミネッセントダイオード等のLEDで、光の出射端が端面により形成されているものや、面発光レーザ等へも応用することができる。
【0002】
【従来の技術】
近年における光情報処理技術、光通信技術の進展には目ざましいものがある。例えば、光磁気ディスクによる高密度記録、光ファイバーネットワークによる双方向通信など枚挙に暇がない。
【0003】
例えば、通信分野においては、今後のマルチメディア時代に本格的に対応する大容量の光ファイバー伝送路とともに、その伝送方式に対する柔軟性を持つ信号増幅用のアンプとして、Er3+等の希土類をドープした光ファイバー増幅器(EDFA)の研究が各方面で盛んに行なわれている。そして、EDFAのコンポーネントとして不可欠な要素である、高効率な励起光源用の半導体レーザの開発が待たれている。
【0004】
EDFA応用に供することのできる励起光源の発振波長は、原理的に800nm、980nm、1480nmの3種類存在する。このうち増幅器の特性から見れば980nmでの励起が、利得やノイズ等を考慮すると最も望ましいことが知られている。このような980nmの発振波長を有するレーザは、励起光源として高出力でありながら長寿命であるという相反する要求を満たすことが要求されている。さらにこの近傍の波長、例えば890〜1150nmにおいてはSHG光源、レーザプリンタ用の熱源としての要求もあり、その他種々の応用面においても高出力で信頼性の高いレーザの開発が待たれている。
また、情報処理分野では高密度記録、高速書き込みおよび読み出しを目的として半導体レーザの高出力化、短波長化が進んでいる。従来の780nm発振波長のレーザダイオード(以下「LD」という)に関しては高出力化が強く望まれており、また、630〜680nm帯のLDの開発も各方面で精力的に行われている。
【0005】
これまで980nm近傍の半導体レーザについては、50〜100mW程度の光出力において2年程度の連続使用に耐える半導体レーザがすでに開発されている。しかしながら、より高い光出力における動作では急速な劣化がおこり、信頼性は不十分である。これは780nm帯、630〜680nm帯のLDにおいても同様であり、高出力時の信頼性確保は特にGaAs基板を用いた系の半導体レーザ全体の課題になっている。
【0006】
信頼性が不充分である原因の1つは、非常に高い光密度にさらされるレーザ光の出射端面の劣化にある。GaAs/AlGaAs系半導体レーザでもよく知られているように、端面近傍には多数の表面準位が存在するが、これらの準位が非発光再結合中心となってレーザ光を吸収するために一般的に端面近傍の温度はレーザ内部の温度よりも高くなり、この温度上昇がさらに端面近傍のバンドギャップを狭くし、さらにレーザ光を吸収しやすくするといった正帰還がおきると説明されている。この現象は瞬時に大電流を流した際に観測される端面破壊いわゆるCOD(Catastrophic Optical Damage)として知られ、また長期に通電試験した際のCODレベルの低下に伴う素子の突然劣化は多くの半導体レーザ素子において共通の問題となっている。
【0007】
これらの問題を解消するために、これまでにも種々の提案がなされている。例えば、端面近傍の活性層領域のバンドギャップを発振波長に対して透明になるようにし、前述の端面近傍での光吸収をおさえる方法がこれまでにも種々提案されている。これらの構造のレーザは一般に窓構造レーザあるいはNAM(Non Absorbing Mirror)構造レーザと呼ばれており、高出力を必要とする際には非常に効果的である。しかしながら、レーザ端面上に発振波長に対して透明な半導体材料をエピタキシャル成長させる方法では、レーザをいわゆるバーの状態にして端面へエピタキシャル成長を行うために、この後に行う電極工程が非常に煩雑なものとなってしまう。
【0008】
また、ZnあるいはSi等をレーザの端面近傍の活性層に不純物として意図的に熱拡散またはイオン打ち込みさせることによって活性層を無秩序化させる方法も種々提案されている(特開平2−45992号公報、特開平3−31083号公報、特開平6−302906号公報)。しかし、一般にLD製造工程で行われる不純物拡散はレーザ素子のエピタキシャル方向から基板方向に向かって行われるため、拡散深さの制御や共振器方向に対する横方向拡散の制御に問題があり安定した作製は難しい。また、イオン打ち込みの場合には高エネルギーのイオンが端面から導入されるため、たとえアニール処理を施したとしてもLD端面にダメージが残存しがちである。また不純物導入を行なった領域での抵抗の低下に伴う無効電流の増加はレーザの閾値電流や駆動電流を増加させる等の問題がある。
【0009】
一方、特開平3−101183号公報には、汚染のない端面を形成し、これに半導体端面との反応やそれ自体が拡散を起こさない酸素非含有物質をパッシベーション層や該層の一部として形成する製法が記載されている。
一般に大気中(例えばクリーンルーム内)での作業では、劈開時に端面に発生するGa−OやAs−O等の非発光再結合中心の生成を抑制することはできない。したがって、この公報に記載されるように「汚染のない端面を形成」するためには、劈開したその場で不活性化層を形成することが不可欠であるが、これを実現しうるのは真空中での劈開だけである。しかし、真空中の劈開は大気中での一般的な劈開に比較して、非常に煩雑な装置と作業が要求される。また、この公報にはドライエッチングによって端面を形成する方法も記載されているが、劈開によって形成される端面と比較して多くの非発光再結合中心を形成するため、長寿命を要求されるLDの作製方法には適さない。
【0010】
また、この公報に類するものとして、L.W.Tu et al.,(In-vacuum cleaving and coating of semiconductor laser facets using silicon and a dielectric、 J.Appl.Phys.80(11) 1 DEC. 1996)には、Si/AlOx構造をレーザ端面にコーティングする際に真空中で劈開すると、劈開面でのキャリアの再結合速度が遅くなり、初期的なCODレベルが上がることが記載されている。しかしながら、この論文には長期の信頼性に関する記述はなく、コーティングとLD構造の関連についても述べられていない。
【0011】
また、半導体レーザの光出射端面での電界強度を下げるために、共振器方向に存在する定在波の腹の部分が端面部分と一致しないように、Siをコーティング膜と半導体との界面に1/4波長分挿入することも提案されている。しかし、一般の半導体レーザが実現されている波長帯、特に高出力LDが望まれている400〜1600nmにおいては、Siそのものが光の吸収体として作用してしまうため、端面での温度上昇がデバイスの劣化を加速してしまう可能性がある。
このように、これまでに提案された半導体発光素子およびその製造方法はいずれも技術的に満足しうるものではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の従来技術の問題点を解決することを課題とした。
具体的には、本発明は、端面での外因的な界面準位密度を長期間にわたって安定に抑制することができ、高出力と長寿命を両立させた高性能の半導体発光素子を提供することを解決すべき課題とした。また本発明は、端面での劣化を抑え、大気中での劈開も可能である簡便な方法で製造することができる半導体発光素子を提供することを解決すべき課題とした。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、化合物半導体層の端面を形成する第一導電型クラッド層、活性層および第二導電型クラッド層の表面を4族の元素を含む不活性化層で被覆することによって、端面の界面準位密度を長期間安定に制御しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち本発明は、第一導電型クラッド層、活性層および第二導電型クラッド層を含む化合物半導体層を基板上に有し、対向する二つの化合物半導体層の端面が共振器構造を形成している化合物半導体発光素子であって、該化合物半導体層の端面を形成する第一導電型クラッド層、活性層および第二導電型クラッド層の表面が4族の元素を含む不活性化層で被覆されており、該化合物半導体層の端面を構成する元素の少なくとも1つは酸素との結合を持たず、該不活性化層の化合物半導体層の端面に隣接する部分は酸素を構成元素として含有するものの、該不活性化層は酸素を構成元素として含有しない部分をも有することを特徴とする化合物半導体発光素子を提供するものである。
【0015】
本発明の化合物半導体発光素子を構成する不活性化層はTiおよびZrからなる群から選択される1以上の元素を含有し、厚みTp(nm)は下記式(I)を満足するのが望ましい。
【数2】
0.2(nm)<Tp(nm)<λ/8n(nm)・・・・・(I)
(上式において、λは化合物半導体発光素子の発振波長(nm)であり、nは不活性化層の波長λにおける全体の平均屈折率の実数部分である)
【0016】
本発明の化合物半導体発光素子では、不活性化層の表面が誘電体または誘電体と半導体との組合せからなるコーティング層で被覆されているのが好ましい。そのコーティング層はAlOx、TiOx、SiOx、SiN、SiおよびZnSからなる群から選択される1以上の化合物を含んでいるのが好ましく、特に一端はAlOx等の低反射率のコーティング層からなり、他端は例えばAlOxおよびSiを含む高反射率のコーティング層からなるものが好ましい。また、不活性化層のコーティング層に隣接する部分は構成元素として酸素を含んでいるのが好ましい。
【0017】
化合物半導体層の端面は(110)面またはそれと結晶学的に等価な面であり、不活性化層形成前にプラズマ照射されているのが好ましい。また、不活性化層の表面がコーティング層の形成時にプラズマ照射されているのも好ましい。これらのプラズマ照射は、エネルギーが25eV以上300eV以下のイオン照射を含むのが望ましい。
【0018】
活性層はInxGa1-xAs(0<x<1)や(AlxGa1-xyIn1-yP(0<x,y<1)等のInを構成元素として含むことが好ましく、また量子井戸構造であるのが望ましい。
また、不活性化層を構成する元素の酸化物の生成エンタルピーの絶対値は、化合物半導体層の端面を構成する少なくとも1つの元素の酸化物の生成エンタルピーの絶対値よりも大きいことが望ましい。
【0019】
不活性化層に構成元素として含まれる酸素は、該不活性化層の形成前に化合物半導体層の端面を構成する元素と結合していた酸素であって、該不活性化層に対するプラズマ照射や熱線の照射によって化合物半導体層の端面から不活性化層に移行した酸素であるのが好ましい。また、不活性化層に構成元素として含まれる酸素は、コーティング層の形成時に行われるプラズマ照射の際に化合物半導体層の端面から不活性化層に移行した酸素であるのも好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明の半導体発光素子について詳細に説明する。
本発明の化合物半導体発光素子は、第一導電型クラッド層、活性層および第二導電型クラッド層を含む化合物半導体層を基板上に有し、対向する二つの化合物半導体層の端面が共振器構造を形成しているものである。そして、本発明の化合物半導体発光素子の特徴は、化合物半導体層の端面を形成する第一導電型クラッド層、活性層および第二導電型クラッド層の表面が4族の元素を含む不活性化層で被覆されている点にある。
【0021】
本発明の化合物半導体発光素子は、このような条件を満たすものであれば特にその構造は制限されない。したがって、第一導電型クラッド層、活性層および第二導電型クラッド層以外の層が存在していても構わない。また、各層に使用する材料の種類や量、その層構造も特に限定されない。さらに、本発明の化合物半導体発光素子の製造方法も特に制限されるものではない。典型的な製造方法としては、基板上に各層を形成して半導体ウエハーを作製し、作製した半導体ウエハーに共振器端面を形成して該端面を不活性化層で被覆する方法を挙げることができる。
【0022】
以下において、本発明の化合物半導体発光素子の好ましい構成例およびその製造法について具体的に説明する。本発明の化合物半導体発光素子の製造に用いる半導体ウエハーは、屈折率導波構造を有し、第二導電型クラッド層が二層に分かれ、第二導電型第二クラッド層と電流ブロック層とで電流注入領域を形成し、さらに電極との接触抵抗を下げるためのコンタクト層を有するものである(図2)。この例を始めとする様々なレーザの基本的エピタキシャル構造の製法については、例えば特開平8−130344号公報を参考にすることができる。この種のレーザは光通信に用いられる光ファイバー増幅器用の光源や、情報処理用の大規模光磁気メモリーのピックアップ光源として用いられ、層構成や使用材料等を適宜選択することによってさらに様々な用途へ応用することもできる。
【0023】
図2は、本発明の半導体レーザにおけるエピタキシャル構造の一例としてグルーブ型の半導体レーザの構成を示した概略断面図である。
基板(1)としては、所望の発振波長、格子整合性、意図的に活性層等に導入される歪、ガイド層等に用いられる活性層の歪み補償等の点からInP、GaAs、GaN、InGaAs、Al23等の単結晶基板が使用される。場合によってはAl23のような誘電体基板も使用することができる。本発明の実施形態としては、V族としてAs、P等を含むIII-V族半導体発光素子に対する格子整合性の観点から、InP基板やGaAs基板を使用するのが望ましい。V族としてAsを含む場合にはGaAs基板を使用するのが最も好ましい。なお、本明細書において元素の<族>の記述はアラビア数字で記載されているものはIUPACの記述にしたがい、ローマ数字で記載されているものは旧来の表現方法にしたがっている。
【0024】
また、Al23等の誘電体基板は、III-V族半導体発光素子の中でもV族として窒素等を含む材料に使用されることがある。
基板はいわゆるジャスト基板だけではなく、エピタキシャル成長の際の結晶性を向上させる観点から、いわゆるオフ基板(miss oriented substrate)の使用も可能である。オフ基板は、ステップフローモードでの良好な結晶成長を促進する効果を有しており、広く使用されている。オフ基板は0.5度から2度程度の傾斜を持つものが広く用いられるが、量子井戸構造を構成する材料系によっては傾斜を10度前後にすることもある。
基板は、MBEあるいはMOCVD等の結晶成長技術を利用して発光素子を製造するために、あらかじめ化学エッチングや熱処理等を施しておいてもよい。
【0025】
バッファ層(2)は、基板バルク結晶の不完全性を緩和し、結晶軸を同一にしたエピタキシャル薄膜の形成を容易にするために設けることが好ましい。バッファ層(2)は、基板(1)と同一の化合物で構成するのが好ましく、基板がGaAsの場合は通常、GaAsが使用される。しかし、超格子層をバッファ層に使用することも広く行われており、同一の化合物で形成されない場合もある。一方、誘電体基板を用いた場合には必ずしも基板と同一の物質ではなく、その所望の発光波長、デバイス全体の構造から、適宜、基板と異なった材料が選ばれる場合もある。
【0026】
第一導電型クラッド層(3)は一般的には活性層(4)の平均的屈折率より小さな屈折率を有する材料で構成され、所望の発振波長を実現するために準備される基板(1)、バッファ層(2)、活性層(4)等により適宜材料が規定される。例えば基板(1)としてGaAsが使用され、バッファ層(2)もGaAsの際にはAlGaAs系材料、InGaAs系材料、AlGaInP系材料、InGaP系材料等が用いられる。また場合によっては、クラッド層全体を超格子構造にすることも可能である。
【0027】
本発明の効果は活性層(4)の導電型、材料、構造等の如何によらず認められるが、材料選択の観点からは、活性層(4)はInおよび/またはGaを含む系、特にInを含む系であるのが好ましい。最も好ましいのはInおよびGaを含む系である。これは、種々の態様に応用したときにこれらの材料系によって実現される波長帯は、長寿命と高出力という相反する特性を要求される可能性が最も大きいためである。
【0028】
これら観点から、活性層(4)の材料としては、AlGaAs系材料、InGaAs系材料、InGaP系、AlGaInP系材料、AlInGaAs系材料、InGaAsP系材料、GaAsP系材料等が望ましく、具体的にはInxGa1-xAs(0≦x≦1)または(AlxGa1-xyIn1-yP(0≦x,y≦1)であるのが望ましい。高出力レーザの実現のためには、特に量子井戸構造をとっていることが好ましい。これら材料の選択は所望する発振波長によって規定されるのが一般的である。
【0029】
また、活性層(4)の構造は、単一の層からなる通常のバルク活性層でもよいが、単一量子井戸(SQW)構造、二重量子井戸(DQW)構造、多重量子(MQW)構造等の量子井戸構造も目的に応じて採用することができる。量子井戸構造には、通常、光ガイド層が併用され、必要に応じて量子井戸の分離のために障壁層が併用される。活性層の構造としては、量子井戸の両側に光ガイド層を設けた構造(SCH構造)、光ガイド層の組成を徐々に変化させることにより屈折率を連続的に変化させた構造(GRIN−SCH構造)等を採用することができる。また、レーザの特性改善のためにひずみ量子井戸構造を用いる場合がある。さらに活性層全体としてはひずみが打ち消される様に、光ガイド層の材料等を量子井戸層の有する歪みと逆の歪みを持つ様に選択する場合等もある。光ガイド層の材料としてはAlGaAs系材料、InGaAs系材料、InGaP系、AlGaInP系材料、AlInGaAs系材料、InGaAsP系材料、GaAsP系材料等活性層にあわせて選択することができる。
【0030】
また、光ガイド層は前記材料を組み合わせた超格子とすることも可能である。さらに、量子井戸と光ガイド層の間に意図的にバンドギャップの大きな材料を挿入して、温度特性の改善を行うことも可能である。
【0031】
第二導電型第一クラッド層(5)および第二導電型第二クラッド層(8)は、第一導電型クラッド層(3)と同様に一般的には活性層(4)の平均的屈折率より小さな屈折率を有する材料で構成され、基板(1)、バッファ層(2)、活性層(4)等により適宜材料が規定される。例えば基板(1)としてGaAsが使用され、バッファ層(2)にもGaAsが使用されているときにはAlGaAs系材料、InGaAs系材料、InGaP系、AlGaInP系材料、AlInGaAs系材料、InGaAsP系材料、GaAsP系材料等が用いられる。
【0032】
図2には、二種類のエッチング阻止層(6)(7)およびキャップ層(10)が記載されているが、これらの層は、本発明の好ましい態様において採用され、電流注入領域の作り込みを精密かつ容易に行うのに有効である。
【0033】
第二エッチング阻止層(6)が例えば、AlaGa1-aAs(0≦a≦1)材料にて構成される場合には、通常はGaAsが好適に使用される。これはMOCVD法等で第二導電型第二クラッド層(8)等を、特にAlGaAs系で再成長させる際に結晶性よく積層することができるためである。第二エッチング阻止層(6)の厚さは通常2nm以上が好ましい。
【0034】
第一エッチング阻止層(7)は、InbGa1-bP(0≦b≦1)で表される層が好適であり、GaAsを基板として使用した場合は通常歪みのない系でb=0.5にする。第一エッチング阻止層(7)の厚さは通常5nm以上であり、好ましくは10nm以上である。5nm未満であると、膜厚の乱れ等により、エッチングを阻止することができなくなってしまう危険性がある。一方膜厚によっては歪み系を用いることもでき、b=0、b=1等の組成を採用することも可能である。
【0035】
キャップ層(10)は、第1回目の成長において電流ブロック層(9)の保護層として用いられると同時に第二導電型第二クラッド層(8)の成長を容易にするために用いられ、素子構造を得る前に、一部または全て除去される。
【0036】
電流ブロック層(9)は、文字通り電流をブロックして実質的に流さないようにすることが要求されるので、その導電型は第一導電型クラッド層(3)と同一かあるいはアンドープとすることが好ましい。また、例えばAlGaAs系で電流ブロック層(9)を形成する場合であれば、AlyGa1-yAs(0<y≦1)からなる第二導電型第二クラッド層(8)より屈折率が小さいことが好ましい。すなわち、電流ブロック層(9)がAlzGa1-zAs(0≦z≦1)であれば、混晶比としてはz>yになることが好ましい。
【0037】
第二導電型第二クラッド層(8)の屈折率は、通常、活性層(4)の屈折率以下である。また、第二導電型第二クラッド層(8)は通常第一導電型クラッド層(3)および第二導電型第一クラッド層(5)と同一とされる。また、本発明の好ましい態様の1つとして、第二導電型第一クラッド層(5)、第二導電型第二クラッド層(8)および電流ブロック層(9)の全てを同一組成の同一材料系で構成する場合を挙げることができる。その場合、第一エッチング阻止層(7)によって実効屈折率差が形成され、また、キャップ層(10)を完全には除去しない場合においては、第一エッチング層(7)に加えてキャップ層(10)によっても実効屈折率差が形成される。この様な層構成を採ることにより、第二導電型第二クラッド層(8)および電流ブロック層(9)のそれぞれの界面における材料または組成の不一致に起因する諸問題を回避することができるため非常に好ましい。
【0038】
第二導電型第二クラッド層(8)上には電極(12)との接触抵抗率を下げるため等の目的でコンタクト層(11)を設けるのが好ましい。コンタクト層(11)は、通常、GaAs材料にて構成される。この層は、通常電極との接触抵抗率を低くするためにキャリア濃度を他の層より高くする。
【0039】
また、通常、バッファ層(2)の厚さは0.1〜3μm、第一導電型クラッド層(3)の厚さは0.5〜3μm、活性層(4)の厚さは量子井戸構造の場合1層当たり0.0005〜0.02μm、第二導電型第一クラッド層(5)の厚さは0.05〜0.3μm、第導電型第二クラッド層(8)の厚さは0.5〜3μm、キャップ層(10)の厚さは0.005〜0.5μm、電流ブロック層(9)の厚さは0.3〜2μmの範囲から選択される。
【0040】
図2に示す半導体発光素子は、さらに電極(12)、(13)を形成して構成される。電極(12)は、p型の場合、コンタクト層(11)表面に例えばTi/Pt/Auを順次に蒸着した後、合金化処理することによって形成される。一方、電極(13)は基板(1)の表面に形成され、n型電極の場合、例えばAuGe/Ni/Auを基板表面に順に蒸着した後、合金化処理することによって形成される。
以上、好ましい半導体ウエハーの構成例と製造例について説明したが、本発明によって上記以外の構成を有する半導体ウエハーを製造することもできる。
【0041】
製造した半導体ウエハーには、共振器端面を形成する。共振器端面は半導体発光素子の製造工程で通常用いられている方法によって調製することができ、その具体的な方法は特に制限されない。
好ましいのは、劈開により端面を形成していわゆるレーザバーの状態にする方法である。劈開は端面発光型レーザの場合に広く用いられており、劈開によって形成される端面は使用する基板の方位によって異なる。例えば、好適に利用されるnominally(100)と結晶学的に等価な面をもつ基板を使用して端面発光型レーザ等の素子を形成する際には、(110)もしくはこれと結晶学的に等価な面が共振器を形成する面となる。一方、オフ基板を使用するときには、傾斜させた方向と共振器方向の関係によっては端面が共振器方向と90度にならない場合もある。例えば(100)基板から、(1−10)方向に向けて角度を2度傾けた基板を使用した場合には端面も2度傾くことになる。なお、面発光レーザの様に共振器が結晶成長過程で作製される場合もある。
【0042】
本発明では、真空中での繁雑な劈開工程を行うことは必ずしも必要とされない。常圧の大気中あるいは窒素雰囲気中で劈開しても構わない。これは、劈開後に行うプラズマ照射等のプロセスによって、安定的に再現性良く、外因的な表面準位をおさえることができるからである。したがって、本発明の化合物半導体発光素子は簡便な方法で製造することができる。
【0043】
安定的に再現性良く、外因的な表面準位をおさえるプラズマ照射は、端面に露出している第一導電型クラッド層(3)、活性層(4)、第二導電型クラッド層(5)(8)に対して少なくとも行うのが好ましい。このとき、端面に露出している基板(1)、バッファ層(2)、第一エッチング阻止層(7)、第二エッチング阻止層(6)、電流ブロック層(9)、キャップ層(10)、コンタクト層(11)等の構成要素に対しても併せてプラズマ照射を行うことができる。通常はこのように端面全体にわたってプラズマ照射するのが好ましい。
【0044】
具体的には、25〜300eV程度の低エネルギーの荷電粒子、即ちイオン、電子またはそれらの組み合わせであるプラズマ、好ましくはプラズマ種として18属または水素プラズマを照射する方法を例示することができる。ここで、18族のプラズマ種としては、具体的にはヘリウムまたはアルゴンプラズマ、クリプトンプラズマ、キセノンプラズマなどを挙げることができる。これらを端面に照射することによって、端面を構成する元素の酸化物のうち、特にV族またはVI族のような比較的酸化物の蒸気圧の大きいもの(例えばAs−O等)を取り除くことができる。プラズマ照射は、10-3Torr以下程度、好ましくは10-4Torr以下、最も好ましくは10-5Torr以下程度の真空中で行う。後述するように、端面上に形成される不活性化層に対してこのようなプラズマ照射を行うのも、安定的に再現性良く、外因的な表面準位をおさえるのに寄与しうる点で効果的である。
【0045】
25〜300eV程度の低エネルギーのアルゴンプラズマや水素プラズマを照射すれば、As−OやGa−O、特にAs−Oを効果的に除去することができる。特に、低エネルギーのアルゴンプラズマの照射による効果は絶大である。また、この方法は、不純物のイオン打ち込み等に比較すると、処理エネルギーが非常に低くて、端面へのダメージを抑えながら処理できる点で優れている。
【0046】
さらにこの際に、端面の温度を比較的高温に保ち、半導体端面を形成する元素の酸化物の脱離を熱的に促進することが望ましい。そのためには、ハロゲンランプ等を用いて短時間で温度を上昇させ、半導体発光素子の内部での不純物等の拡散が助長されない範囲で処理するのが望ましい。
【0047】
本発明の化合物半導体発光素子は、これらの方法等を活用することによって、化合物半導体層端面を構成する元素の少なくとも1つは酸素との結合を持たず、該不活性化層の化合物半導体層端面に隣接する部分が酸素を構成元素として含有するようにしたものであるのが好ましい。
【0048】
半導体端面の構成元素の少なくとも1つが酸化物の形態では存在しないことを確認する方法や、また後述する不活性化層がどの様な状態で存在するかを分析する方法としては、例えばXPS(X-ray Photo-electron Spectroscopy:X線光電子分光法)がある。これは各元素の化学結合状態を知るうえで非常に有益な手段であって、100μm×100μm程度の大きさに絞ったX線を、サンプルに照射し、この結果発生する光電子のエネルギーを分光することによってサンプルを構成する各元素の化学的結合状態を確認することができる。この時に、光電子検出器のサンプル表面となす角度を変化させることによって、所望の位置における表面または界面近傍の情報を容易に得ることができる。また、一般のレーザは後述の通り誘電体、あるいは誘電体と半導体の対によるコーティングが端面に施されているため、上記XPS測定の前に種々のエッチング法を用いて分析に適した厚みになるまでコーティング膜を薄くするのが普通である。また、2〜5nm程度の薄いコーティング膜が形成されているレーザに関しては、この様なエッチング等の処理を行うことなく半導体レーザ端面を分析することも可能である。
【0049】
上記の方法によって形成した共振器端面には不活性化層(14)を形成する。本明細書において「不活性化層」とは、化合物半導体発光素子の端面上に形成され、端面を構成する元素が結合すると非発光再結合中心を形成してしまう例えば酸素等の元素との化学反応を防止する層である。不活性化層は、端面に酸素等が存在している場合には、半導体端面を構成する元素と結合した酸素の少なくとも一部を、不活性化層自身が酸化することによって引き離す機能を有する。この様に自身が酸化してその一部に酸化物を含むようになった層も、本明細書においては全体として不活性化層と呼ぶ。
【0050】
不活性化層は、少なくとも端面を形成する第一導電型クラッド層、活性層および第2導電型クラッド層を被覆する様に形成するが、通常は、端面全体を被覆する様に形成する。本発明において不活性化層は、端面に真空中でプラズマ照射した後、引き続き真空中、即ち、10-3Torr以下程度の真空中、好ましくは10-6Torr以下程度、最も好ましくは10-7Torr以下程度の高真空中で形成する。
【0051】
不活性化層は、半導体端面を構成する元素のうち少なくとも1つの元素の酸化物の生成エンタルピー(eV/metal atom)の絶対値よりも、酸化物の生成エンタルピーの絶対値が大きな元素を含んでいるのが望ましい。中でも、半導体端面を構成するどの元素の酸化物の生成エンタルピーの絶対値よりも、酸化物の生成エンタルピーの絶対値が大きな元素を含んでいるのが好ましい。
【0052】
半導体材料としては、AlGaAs系材料、InGaAs系材料、InGaP系、AlGaInP系材料、AlInGaAs系材料、InGaAsP系材料、GaAsP系材料等が主として使用されている。また、半導体材料として2族元素も使用可能である。これらの半導体材料を構成する元素として、例えばGa23の生成エンタルピーは−5.64eV/metal atomであり、In23の生成エンタルピーは−4.80eV/metal atomである。また、MgOの生成エンタルピーは−6.24eV/metal atomである。
【0053】
これに対して、本発明で不活性化層に使用する元素は、酸化物の生成エンタルピーの絶対値が極めて大きい。特に、4族に属するTi(TiO2の生成エンタルピーは−9.74eV/metal atom)、Zr(ZrO2の生成エンタルピーは−11.41eV/metal atom)は不活性化層に使用する元素として極めて好ましい。したがって、これらの元素を含有する不活性化層は、広範な半導体材料に対して有用である。特に、Alを含まない半導体材料に対しては、効果が大きくて特に有用である。
【0054】
半導体端面に不活性化層(14)として付着させる元素の結晶学的構造や特徴は製法によって異なるが、単結晶、多結晶、アモルファスのいずれの場合についても効果が認められる。中でも、高真空中で低製膜レートで形成されたものは効果的であり特に好ましい。
【0055】
一般に、不活性化層(14)の厚みTp(nm)は、0.2(nm)より厚いことが望ましい。一方、100nm等のように極端に厚い膜厚は適当でない場合がある。不活性化層(14)の望ましい厚みは、下限はそれ自体が膜として存在するための要件から規定され、また上限は活性層から出射される光が不活性化層の一部によって吸収される場合にはその光吸収による効果とのバランスで決定される。すなわち、不活性化層を端面に堆積させた場合には、端面が全面不活性化膜で覆われる要件と、出射光の吸収による端面の温度上昇の両面の効果を考慮する必要がある。また、プラズマ照射を不活性化層上から行う場合には、半導体端面の還元反応が十分に誘導されるエネルギーが端面に到達する程度に不活性化層は薄くなければならない。不活性化層の望ましい厚さの範囲は、以下の式で表されることが確認されている。
【0056】
【数3】
0.2(nm)<Tp(nm)<λ/8n(nm)・・・・・(I)
(式中、nは前記不活性化層の全体の平均的な波長λでの屈折率の実数部分を表す)
なお、上式はあくまでも望ましい範囲を規定したものであり、厚みが0.2nm以下の場合にも改善効果は確認されている。
【0057】
端面に残存する酸素を引き離すために行われるプラズマ照射や熱線の照射、あるいは不活性化層形成後にコーティング材料の供給とともに行われるプラズマ照射(いわゆるIAD法)等によって、不活性化層の一部では半導体端面由来の酸素による酸化反応が促進される。このとき、不活性化層には、すべての不活性化層構成元素が酸化されない程度の厚みがあることが望ましい。これは、不活性化層全体が酸化されてしまうと、不活性化層中に一時取り込まれた酸素が長期間レーザを駆動しているうちに再度、端面の酸化を引き起こす懸念があるからである。また、半導体端面を構成する元素はすべてが酸素との結合を持たないのが好ましいが、不活性化層全体が酸化されてしまうと、半導体端面を構成する元素の酸素との結合を完全に無くすことができなくなる懸念もある。これらは寿命改善の効果を減じることになるため好ましくない。
【0058】
本発明では、露出した半導体端面上に構成した不活性化層(14)の上に、さらに誘電体または誘電体および半導体の組合せからなるコーティング層(15)(16)を形成するのが好ましい(図1)。特に、端面へのプラズマ照射、不活性化層(14)の形成、コーティング層(15)(16)の形成は、連続して負圧下、より好ましくは真空中で行うことが望ましい。コーティング層は、主に半導体レーザからの光の取り出し効率を上げ、端面の保護を強化するという2つの目的のために形成する。特に高出力を達成するためには、発振波長に対して低反射率のコーティング層を前端面に施し、発振波長に対して高反射率のコーティング層を後端面に施す非対称コーティングを行うのが一般的である。
【0059】
コーティング層(15)(16)には、さまざまな材料を用いることができる。例えば、AlOx、TiOx、SiOx、SiN、SiおよびZnSからなる群から選ばれる1種または2種以上の組合せを用いることが好ましい。低反射率のコーティング層としてはAlOx、TiOx、SiOx等が、また高反射率のコーティング層としてはAlOx/Siの多層膜、TiOx/SiOxの多層膜等が用いられる。それぞれの膜厚を調節することによって、所望の反射率を実現することができる。しかし、一般に低反射率のコーティング層とするAlOx、TiOx、SiOx等の膜厚は、その波長λでの屈折率の実数部分をnとしてλ/4n近傍になるように調整するのが一般的である。また、高反射多層膜もそれを構成する各材料がλ/4n近傍になるように調整するのが一般的である。
【0060】
コーティング層(15)(16)の製法においてはいわゆるIAD(Ion Assisted Deposition)法が好適に用いられる。これはコーティング材料の真空蒸着と同時に、あるエネルギーをもったプラズマ(特にその中のイオン)を照射する方法であって、特に希ガスによるプラズマ照射が好適である。さらには希ガスの中でもArイオンによるIAD法は、前記コーティング材料の膜質向上に多大な効果がある。特にArイオンの照射エネルギーは、好ましくは25〜300eV程度、より好ましくは50〜200eV程度の低エネルギー範囲にする。これによって、半導体端面へのダメージを与えずにコーティングすることができる。
【0061】
ここで注目すべき点は、このコーティング膜の形成と同時に照射されるプラズマのエネルギーによって以下の反応が促進され、半導体端面に酸化物が残存している場合は少なくともその一部が酸化物の形態をとらなくなることである。すなわち、不活性化層の中に存在していて特に半導体端面に隣接している部分の構成元素が、半導体端面に残存している酸素と結合する反応が促進される。その結果、半導体端面を構成する元素と酸素との結合を非常に少なくするか、または皆無にすることが可能になる。したがって、このプラズマ照射も前述した外因的な表面準位をおさえるために有効である。なお、プラズマ照射はコーティング膜の形成と同時に行うのが最も好ましいが、コーティング膜の前後に行うこともできる。
【0062】
このような反応の促進を可能にするためには、不活性化層を構成する元素のうちの少なくとも1種と酸素との生成エンタルピーの絶対値が、化合物半導体層端面を構成する元素のうちの少なくとも1種と酸素との生成エンタルピーの絶対値よりも大きくなければならない。また、供給するプラズマのエネルギーや熱エネルギー等が、この反応を引き起こすのに十分な大きさであることも必要である。ただし、これらのエネルギーは半導体端面に過大なダメージを与えない範囲内で選択することが望ましい。
【0063】
例えば、半導体端面にGa−Oが残存しているときに、Tiを含む不活性化層を形成し、ここにAlOxの原料供給を行いながらアルゴンプラズマを照射すると、不活性化層の半導体端面側のTiはGa−Oに由来する酸素との結合が促進され、その結果、一部がTiOxの形態をとるようになる。このため、半導体端面の一部を構成するGaは酸化物の形態ではなく、金属Ga、または半導体端面を構成する他の元素と結合し、例えばGa−Asとなる。この結果、Ga−O結合に由来する半導体端面に存在する非発光再結合中心は大幅に減少することになり、高出力でありながら長寿命でもある望ましい半導体発光素子の提供に大きく貢献することができる。
【0064】
また、上記の反応は原料供給を同時に行うIAD法でもっとも効果があるが、不活性化層形成後に単独でイオン照射を不活性化層に行った場合、また不活性化層形成後に熱線の照射を行った場合、さらにプラズマ照射と同時に熱線の照射を行った場合にも同様の効果をもたらす。
【0065】
さらに特にIAD法によって上記反応を誘導するときには、不活性化層のコーティング膜側ではコーティング膜を構成する一部の元素や製膜時にプラズマの形で供給される窒素プラズマ等によって、半導体端面側とは別の反応が起きることもある。すなわち、コーティング膜が酸化物であるときには、不活性化層がこれによって酸化されることもある。またコーティング膜が窒化物であるときには、窒化反応が促進されることもある。
【0066】
これらの反応の結果、不活性化層は化合物半導体層端面に隣接する部分が酸化物などからなり、他の部分が初期に形成した不活性化層の構成元素そのものとなる場合がある。また、不活性化層は化合物半導体層端面に隣接する部分が酸化物等からなり、中間部が初期に形成した不活性化層の構成元素あるいは化合物そのものからなり、コーティング層に隣接する部分が酸化物、窒化物、硫化物等からなる場合がある。これらの各層の厚みは初期に形成される不活性化層の厚みに依存する。通常は、半導体端面側、またコーティング膜側には1〜10Å程度の酸化物層または窒化物層が生成され、その中心にはさらに変質しない数Åから数十Åの不活性化層が残る。
【0067】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、濃度、厚さ、操作手順等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下の実施例に示す具体例に制限されるものではない。
【0068】
(実施例1)
図2に示すグルーブ型のレーザ素子を以下の手順にしたがって製造した。
キャリア濃度1×1018cm-3のn型GaAs基板(1)の(100)面上に、MBE法にて、バッファ層(2)として厚さ1μmでキャリア濃度1×1018cm-3のn型GaAs層;第一導電型クラッド層(3)として厚さ1.5μmでキャリア濃度1×1018cm-3のn型Al0.35Ga0.65As層;次いで、厚さ30nmのアンドープのGaAs光ガイド層上に厚さ6nmのアンドープIn0.16Ga0.84Asの単一量子井戸(SQW)、さらにその上に厚さ30nmのアンドープGaAs光ガイド層を有する活性層(4);第二導電型第一クラッド層(5)として厚さ0.1μmでキャリア濃度1×1018cm-3のp型Al0.35Ga0.65As層;第2エッチング阻止層(6)として厚さ10nmでキャリア濃度1×1018cm-3のp型GaAs層;第一エッチング阻止層(7)として厚さ20nmでキャリア濃度5×1017cm-3のn型In0.5Ga0.5P層;電流ブロック層(9)として厚さ0.5μmでキャリア濃度5×1017cm-3のn型Al0.39Ga0.61As層;キャップ層(10)として厚さ10nmでキャリア濃度1×1018cm-3のn型GaAs層を順次積層した。
【0069】
最上層の電流注入領域部分を除く部分に窒化シリコンのマスクを設けた。このとき、窒化シリコンマスクの開口部の幅は1.5μmとした。第一エッチング阻止層(7)をエッチングストップ層として25℃で30秒間エッチングを行い、電流注入領域部分のキャップ層(10)と電流ブロック層(9)を除去した。エッチング剤は、硫酸(98wt%)、過酸化水素(30wt%水溶液)および水を体積比で1:1:5で混合した混合液を使用した。
【0070】
次いでHF(49%)とNH4F(40%)を1:6で混合した混合液に2分30秒浸漬して窒化シリコン層を除去した。その後、第2エッチング阻止層(6)をエッチングストップ層として25℃で2分間エッチングを行い、電流注入領域部分の第一エッチング阻止層(7)をエッチング除去した。エッチング剤は、塩酸(35wt%)と水を2:1に混合した混合液を使用した。
【0071】
その後、MOCVD法にて第二導電型第二クラッド層(8)としてキャリア濃度1×1018cm-3のp型Al0.35Ga0.65As層を埋め込み部分(電流注入領域部分)の厚さが1.5μmになるように成長させた。さらに、電極との良好な接触を保つためのコンタクト層(11)として、キャリア濃度1×1019cm-3のp型GaAs層を厚さ3.5μmになるように成長させた。電流注入領域の幅W(第二エッチング阻止層との界面における第二導電型第二クラッド層の幅)は2.2μmであった。さらに、基板側にはn型電極(13)としてAuGeNi/Auを、またp型電極(12)にはTi/Pt/Auを蒸着させ400℃で合金化を5分間行って半導体ウエハーを完成させた。
【0072】
続いて、大気中で、共振器長700μmのレーザバーの状態に劈開して(110)面を露出させ、プラズマ発生装置を有する真空チャンバーの中に入れた。3x10-5Torrの真空チャンバー内で、平均エネルギー60eV、電流密度150μA/cm2のArプラズマを1分間端面(劈開面)に照射した。連続して、2x10-7Torr以下の真空中で通常の電子ビーム蒸着法を用いてTiを2nm端面に堆積させて、Ti不活性化層(14)を形成した。さらに連続的にAlOx膜を発振波長980nmにおいて前端面の反射率が2.5%になるように165nm製膜し、コーティング層(15)を形成した。AlOx製膜はIAD法により行い、4x10-5Torrの真空中でAlOxの端面への供給と同時に平均エネルギー120eV、電流密度200μA/cm2のArプラズマを照射した。
【0073】
さらに後端面側の処理を行うために、一度レーザバーを真空層から取り出した。後端面側においても前端面側と全く同様にしてArプラズマ照射、Ti不活性化層(14)の形成、さらに連続して、厚さ170nmのAlOx層/厚さ60nmのアモルファスSi層/厚さ170nmのAlOx層/厚さ60nmのアモルファスSi層の4層からなるコーティング層(16)を形成し、反射率92%の後端面を作製した。AlOx膜の製膜は、前端面側と同様にIAD法により行ない、アモルファスSiの形成は前端面側と同様の電子ビーム蒸着法により行った。
【0074】
得られた化合物半導体発光素子の1サンプル前端面の端面分析のためにXPS測定を行なった。先ず前端面のAlOxの厚さをウエットエッチングによって20Å程度にしてから、測定を行った。光電子のとりだし角度は75度として、半導体レーザ端面の状態を観測した。この結果、大気に一度さらされた(110)面に通常存在するGa−OとAs−Oは、まったく検出されなかった。
【0075】
また、角度分解XPS法を用いて、Tiの状態を調べた。この結果、良好な真空中で製膜したにもかかわらずTiの半導体界面側はTiOxとなっていることが確認された。これは、最初のプラズマ照射を経てもなお化合物半導体の端面に残存している酸化物の酸素が、コーティング時のプラズマ照射のエネルギーによって、不活性化層として製膜したTiと結合したものである。なお、Ga23の生成エンタルピーは−5.64eV/ metal atomであり、TiO2の生成エンタルピーは−9.74eV/ metal atomである。
【0076】
さらに、角度分解XPS法により、不活性化層として製膜したTiのAlOxコーティング膜との界面も、AlOxからの酸素によって一部がTiOxとなっていることが確認された。すなわち、不活性化層として製膜したTiの層は、半導体端面側からTiOx/Ti/TiOxの構造となっていたことを確認した。それぞれの厚みはおよそ6Å/6Å/8Åであった。
【0077】
製造した化合物半導体発光素子10デバイスを放熱用サブマウント上にのせ、窒素雰囲気中でパッケージした。この化合物半導体発光素子の平均的初期特性は、25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、250mWでキンクが観測された。この集団に対して寿命試験を行なった。200mW、50℃で加速試験をした結果、図3に示す通り1000時間経過した時点でも突然死はなく安定な動作が確認された。
【0078】
(実施例2)
前端面と後端面に対して、ともに平均エネルギー120eV、電流密度150μA/cm2のH2プラズマを5分間照射し、その際にハロゲンランプを用いて端面での温度を400度程度に上昇させた点を変更した以外は、実施例1と同様にして化合物半導体発光素子を作製した。
【0079】
得られた化合物半導体発光素子の1サンプル前端面の端面分析のためにXPS測定を行なった。先ず前端面のAlOxの厚さをウエットエッチングによって20Å程度にしてから、測定を行った。光電子のとりだし角度は75度として、半導体レーザ端面の状態を観測した。この結果、大気に一度さらされた(110)面に通常存在するGa−OとAs−Oは、まったく検出されなかった。
【0080】
また、角度分解XPS法を用いて、Tiの状態を調べた。この結果、良好な真空中で製膜したにもかかわらずTiの半導体界面側はTiOxとなっていることが確認された。これは、最初のプラズマ照射を経てもなお化合物半導体の端面に残存している酸化物の酸素が、コーティング時のプラズマ照射のエネルギーによって、不活性化層として製膜したTiと結合したものである。
【0081】
さらに、角度分解XPS法により、不活性化層として製膜したTiのAlOxコーティング膜との界面も、AlOxからの酸素によって一部がTiOxとなっていることが確認された。すなわち、不活性化層として製膜したTiの層は、半導体端面側からTiOx/Ti/TiOxの構造となっていたことを確認した。それぞれの厚みはおよそ5Å/8Å/7Åであった。
【0082】
製造した化合物半導体発光素子5デバイスを放熱用サブマウント上にのせ、窒素雰囲気中でパッケージした。この化合物半導体発光素子の平均的初期特性は、25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、250mWでキンクが観測された。この集団に対して寿命試験を行なった。200mW、50℃で加速試験をした結果、図4に示す通り1000時間経過した時点でも突然死はなく安定な動作が確認された。
【0083】
(実施例3)
前端面および後端面に不活性化層を形成した後、その不活性化層に対して、コーティング層の原料供給を行わずに4×10-5Torrの真空中で平均エネルギー110eV、電流密度200μA/cm2のArプラズマを30秒ほど照射し、引き続きAlOxを通常の電子ビーム蒸着によって形成した点を変更した以外は、実施例1と同様にして化合物半導体発光素子を作製した。
【0084】
得られた化合物半導体発光素子の1サンプル前端面の端面分析のためにXPS測定を行なった。先ず前端面のAlOxの厚さをウエットエッチングによって20Å程度にしてから、測定を行った。光電子のとりだし角度は75度として、半導体レーザ端面の状態を観測した。この結果、大気に一度さらされた(110)面に通常存在するGa−OとAs−Oは、まったく検出されなかった。
【0085】
また、角度分解XPS法を用いて、Tiの状態を調べた。この結果、良好な真空中で製膜したにもかかわらずTiの半導体界面側はTiOxとなっていることが確認された。これは、最初のプラズマ照射を経てもなお化合物半導体の端面に残存している酸化物の酸素が、コーティング時のプラズマ照射のエネルギーによって、不活性化層として製膜したTiと結合したものである。
【0086】
さらに、角度分解XPS法により、不活性化層として製膜したTiのAlOxコーティング膜との界面も、AlOxからの酸素によって一部がTiOxとなっていることが確認された。すなわち、不活性化層として製膜したTiの層は、半導体端面側からTiOx/Ti/TiOxの構造となっていたことを確認した。それぞれの厚みはおよそ7Å/5Å/8Åであった。
【0087】
製造した化合物半導体発光素子5デバイスを放熱用サブマウント上にのせ、窒素雰囲気中でパッケージした。この化合物半導体発光素子の平均的初期特性は、25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、250mWでキンクが観測された。この集団に対して寿命試験を行なった。200mW、50℃で加速試験をした結果、図5に示す通り1000時間経過した時点でも突然死はなく安定な動作が確認された。
【0088】
(実施例4)
前端面および後端面に不活性化層を形成した後、その不活性化層に対して、4×10-5Torrの真空中で平均エネルギー110eV、電流密度200μA/cm2のArプラズマをTi不活性化層が形成されている端面へ照射し、連続して2×10-7Torr以下の真空中で通常の電子ビーム蒸着法を用いてさらに不活性化層となるTiを10Åほど蒸着し、この後さらに4×10-5Torrの真空中でIAD法を用いて平均エネルギー120eV、電流密度200μA/cm2のArプラズマを端面へのAlOx供給と同時に照射した点を変更した以外は、実施例1と同様にして化合物半導体発光素子を作製した。
【0089】
得られた化合物半導体発光素子の1サンプル前端面の端面分析のためにXPS測定を行なった。先ず前端面のAlOxの厚さをウエットエッチングによって20Å程度にしてから、測定を行った。光電子のとりだし角度は75度として、半導体レーザ端面の状態を観測した。この結果、大気に一度さらされてしまった(110)面に通常存在するGa−OとAs−Oは、まったく検出されなかった。
【0090】
また、角度分解XPS法を用いて、Tiの状態を調べた。この結果、良好な真空中で製膜したにもかかわらずTiの半導体界面側はTiOxとなっていることが確認された。これは、最初のプラズマ照射を経てもなお化合物半導体の端面に残存している酸化物の酸素が、コーティング時のプラズマ照射のエネルギーによって、不活性化層として製膜したTiと結合したものである。
【0091】
さらに、角度分解XPS法により、不活性化層として製膜したTiのAlOxコーティング膜との界面も、AlOxからの酸素によって一部がTiOxとなっていることが確認された。すなわち、不活性化層として製膜したTiの層は、半導体端面側からTiOx/Ti/TiOxの構造となっていたことを確認した。それぞれの厚みはおよそ7Å/15Å/8Åであった。
【0092】
製造した化合物半導体発光素子5デバイスを放熱用サブマウント上にのせ、窒素雰囲気中でパッケージした。この化合物半導体発光素子の平均的初期特性は、25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、250mWでキンクが観測された。この集団に対して寿命試験を行なった。200mW、50℃で加速試験をした結果、図6に示す通り1000時間経過した時点でも突然死はなく安定な動作が確認された。
【0093】
(実施例5)
Ti不活性化層の代わりにZr不活性化層を形成した点を変更した以外は、実施例1と同様にして化合物半導体発光素子を作製した。
得られた化合物半導体発光素子の1サンプル前端面の端面分析のためにXPS測定を行なった。先ず前端面のAlOxの厚さをウエットエッチングによって20Å程度にしてから、測定を行った。光電子のとりだし角度は75度として、半導体レーザ端面の状態を観測した。この結果、大気に一度さらされてしまった(110)面に通常存在するGa−OとAs−Oは、まったく検出されなかった。
【0094】
また、角度分解XPS法を用いて、Zrの状態を調べた。この結果、良好な真空中で製膜したにもかかわらずZrの半導体界面側はZrOxとなっていることが確認された。これは、最初のプラズマ照射を経てもなお化合物半導体の端面に残存している酸化物の酸素が、コーティング時のプラズマ照射のエネルギーによって、不活性化層として製膜したZrと結合したものである。
【0095】
さらに、角度分解XPS法により、不活性化層として製膜したZrのAlOxコーティング膜との界面も、AlOxからの酸素によって一部がZrOxとなっていることが確認された。すなわち、不活性化層として製膜したZrの層は、半導体端面側からZrOx/Zr/ZrOxの構造となっていたことを確認した。それぞれの厚みはおよそ5Å/8Å/7Åであった。
【0096】
製造した化合物半導体発光素子5デバイスを放熱用サブマウント上にのせ、窒素雰囲気中でパッケージした。この化合物半導体発光素子の平均的初期特性は、25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、250mWでキンクが観測された。この集団に対して寿命試験を行なった。200mW、50℃で加速試験をした結果、図7に示す通り1000時間経過した時点でも突然死はなく安定な動作が確認された。
【0097】
(比較例1)
前端面および後端面の両面とも、Ti不活性化層の形成とそれに先立つArプラズマ照射を行わず、かつコーティング層の形成をIAD法ではなく、すべての層に対して通常の電子ビーム蒸着法で行った点を変更した以外は、前記実施例1と同様にして化合物半導体発光素子を調製した。
【0098】
調製した化合物半導体発光素子の平均的初期特性は、上記実施例と同様に25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、250mWでキンクが観測された。しかし、寿命試験(200mW、50℃)においては、図8に示すように100時間経過するまでに10デバイスすべてが突然死した。また、前記実施例1と同様にXPS分析を行ったところ、端面にGa−Oが存在することが確認された。
【0099】
(比較例2)
前端面および後端面の両面とも、Ti不活性化層の形成を行わなかった点を変更した以外は、前記実施例1と同様にして化合物半導体発光素子を調製した。
調製した化合物半導体発光素子の平均的初期特性は、上記実施例と同様に25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、250mWでキンクが観測された。しかし、寿命試験(200mW、50℃)においては、図9に示すように1250時間経過した時点で11デバイス中5デバイスが突然死した。また劣化速度も実施例1より大きかった。
【0100】
(比較例3)
前端面および後端面の両面とも、Ti不活性化層の形成に先立つArプラズマ照射を行わなかった点を変更した以外は、前記実施例1と同様にして化合物半導体発光素子を調製した。
調製した化合物半導体発光素子の平均的初期特性は、上記実施例と同様に25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、250mWでキンクが観測された。しかし、寿命試験(200mW、50℃)においては、図10に示すように250時間経過した時点で10デバイスすべてが突然死した。また、前記実施例1と全く同様にXPS分析を行ったところ、端面に若干のAs−OとGa−Oが存在することが確認された。
【0101】
(比較例4)
前端面および後端面の両面とも、Ti不活性化層の形成およびそれに先立つArプラズマ照射を行わなかった点を変更した以外は、実施例2と同様にして化合物半導体発光素子を調製した。
調製した化合物半導体発光素子に対して寿命試験(200mW、50℃)を行った結果、図11に示すとおり100時間経過した時点で5デバイスすべてが突然死した。
【0102】
【発明の効果】
本発明の化合物半導体発光素子は、端面での外因的な界面準位密度を長期間にわたって安定に抑制することができ、高出力かつ長寿命で極めて性能が高い。また、本発明の化合物半導体発光素子は、端面での劣化を抑え、大気中での劈開も可能である簡便な方法で製造することができるという実際上の利点も有する。したがって、本発明の化合物半導体発光素子は、多大な工業的利益を提供するものでありその応用範囲は極めて多岐にわたる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化合物半導体発光素子の一態様を示す斜視図である。
【図2】 本発明の化合物半導体発光素子の一態様を示す断面図である。
【図3】 実施例1の化合物半導体発光素子の寿命試験結果である。
【図4】 実施例2の化合物半導体発光素子の寿命試験結果である。
【図5】 実施例3の化合物半導体発光素子の寿命試験結果である。
【図6】 実施例4の化合物半導体発光素子の寿命試験結果である。
【図7】 実施例5の化合物半導体発光素子の寿命試験結果である。
【図8】 比較例1の化合物半導体発光素子の寿命試験結果である。
【図9】 比較例2の化合物半導体発光素子の寿命試験結果である。
【図10】 比較例3の化合物半導体発光素子の寿命試験結果である。
【図11】 比較例4の化合物半導体発光素子の寿命試験結果である。
【符号の説明】
1:基板 2:バッファ層 3:第一導電型クラッド層 4:活性層 5:第二導電型第一クラッド層 6:第二エッチング阻止層 7:第一エッチング阻止層8:第二導電型第二クラッド層 9:電流ブロック層 10:キャップ層 11:コンタクト層 12:電極 13:電極 14:不活性化層 15:コーティング層 16:コーティング層

Claims (20)

  1. 第一導電型クラッド層、活性層、および第導電型クラッド層を含む化合物半導体層を基板上に有し、対向する二つの化合物半導体層の端面が共振器構造を形成してなる化合物半導体発光素子であって、
    該化合物半導体層の端面を形成する第一導電型クラッド層、活性層、および第導電型クラッド層の表面が4族の元素を含む不活性化層で被覆されており、
    該化合物半導体層の端面を構成する元素の少なくとも1つは酸素との結合を持たず、
    該不活性化層の化合物半導体層の端面に隣接する部分は酸素を構成元素として含有するものの、該不活性化層は酸素を構成元素として含有しない部分をも有する
    ことを特徴とする化合物半導体発光素子。
  2. 前記不活性化層がTiおよびZrからなる群から選択される1以上の元素を含有することを特徴とする請求項に記載の化合物半導体発光素子。
  3. 前記不活性化層の厚みTp(nm)が下記式(I)を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の化合物半導体発光素子。
    Figure 0003699842
    (上式において、λは化合物半導体発光素子の発振波長(nm)であり、nは不活性化層の波長λにおける全体の平均屈折率の実数部分である)
  4. 前記不活性化層の表面が、誘電体または誘電体と半導体との組合せからなるコーティング層で被覆されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の化合物半導体発光素子。
  5. 前記コーティング層が、AlOx、TiOx、SiOx、SiN、SiおよびZnSからなる群から選択される1以上の化合物を含むことを特徴とする請求項に記載の化合物半導体発光素子。
  6. 前記コーティング層が一端では低反射率のコーティング層からなり、他端では高反射率のコーティング層からなることを特徴とする請求項またはに記載の化合物半導体発光素子。
  7. 前記低反射率のコーティング層がAlOxを含み、前記高反射率のコーティング層がAlOxおよびSiを含むことを特徴とする請求項に記載の化合物半導体発光素子。
  8. 前記不活性化層のコーティング層に隣接する部分が、構成元素として酸素を含むことを特徴とする請求項のいずれかに記載の化合物半導体発光素子。
  9. 前記化合物半導体層の端面が(110)面またはそれと結晶学的に等価な面であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の化合物半導体発光素子。
  10. 前記化合物半導体層の端面が、不活性化層形成前にプラズマ照射されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の化合物半導体発光素子。
  11. 前記不活性化層の表面がコーティング層の形成時にプラズマ照射されていることを特徴とする請求項のいずれかに記載の化合物半導体発光素子。
  12. 前記プラズマ照射が、エネルギーが25eV以上300eV以下のイオン照射を含むことを特徴とする請求項10または11に記載の化合物半導体発光素子。
  13. 前記活性層がInを構成元素として含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の化合物半導体発光素子。
  14. 前記活性層が、InxGa1-xAs(0<x<1)または(AlxGa1-xyIn1-yP(0<x,y<1)を含むことを特徴とする請求項13に記載の化合物半導体発光素子。
  15. 前記活性層が量子井戸構造であることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の化合物半導体発光素子。
  16. 前記不活性化層を構成する元素の酸化物の生成エンタルピーの絶対値が、化合物半導体層の端面を構成する少なくとも1つの元素の酸化物の生成エンタルピーの絶対値よりも大きいことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の化合物半導体発光素子。
  17. 前記不活性化層に構成元素として含まれる酸素が、該不活性化層の形成前に化合物半導体層の端面を構成する元素と結合していた酸素であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の化合物半導体発光素子。
  18. 前記不活性化層に構成元素として含まれる酸素が、該不活性化層に対するプラズマ照射によって化合物半導体層の端面から不活性化層に移行した酸素であることを特徴とする請求項17に記載の化合物半導体発光素子。
  19. 前記不活性化層に構成元素として含まれる酸素が、該不活性化層に対する熱線の照射によって化合物半導体層の端面から不活性化層に移行した酸素であることを特徴とする請求項17記載の化合物半導体発光素子。
  20. 前記不活性化層に構成元素として含まれる酸素が、前記コーティング層の形成時に行われるプラズマ照射の際に化合物半導体層の端面から不活性化層に移行した酸素であることを特徴とする請求項11に記載の化合物半導体発光素子。
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