JPH10107381A - 金属酸化膜の製造方法 - Google Patents
金属酸化膜の製造方法Info
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- JPH10107381A JPH10107381A JP25808396A JP25808396A JPH10107381A JP H10107381 A JPH10107381 A JP H10107381A JP 25808396 A JP25808396 A JP 25808396A JP 25808396 A JP25808396 A JP 25808396A JP H10107381 A JPH10107381 A JP H10107381A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 堆積速度が速く、吸収係数の低い金属酸化膜
の製造方法を提供する。 【解決手段】 ECR装置に固体金属をターゲットとし
てセットし、アルゴンガスおよび酸素ガスを導入しなが
らECRプラズマを起こす。ECRプラズマにより金属
と酸素が効率よく反応し、堆積速度が速く、吸収係数の
小さい金属酸化膜を製造できる。このようにECRプラ
ズマを用いた金属酸化膜の製造方法により、高純度の固
体金属を用いているので当然高純度の金属酸化膜を低温
で堆積でき、堆積速度が速く、吸収係数が低く、基板に
はダメージを与えず、非常に平坦な金属酸化膜の製造が
可能となる。
の製造方法を提供する。 【解決手段】 ECR装置に固体金属をターゲットとし
てセットし、アルゴンガスおよび酸素ガスを導入しなが
らECRプラズマを起こす。ECRプラズマにより金属
と酸素が効率よく反応し、堆積速度が速く、吸収係数の
小さい金属酸化膜を製造できる。このようにECRプラ
ズマを用いた金属酸化膜の製造方法により、高純度の固
体金属を用いているので当然高純度の金属酸化膜を低温
で堆積でき、堆積速度が速く、吸収係数が低く、基板に
はダメージを与えず、非常に平坦な金属酸化膜の製造が
可能となる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属酸化膜の製造
方法およびそれを利用した半導体レーザの製造方法に関
するものである。
方法およびそれを利用した半導体レーザの製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体レーザの端面反射膜は光を吸収し
ないものを利用するのが望ましい。これは反射膜の吸収
係数が1.0×102cm-1以上であると光の吸収による発熱で
光学損傷が発生するためである。
ないものを利用するのが望ましい。これは反射膜の吸収
係数が1.0×102cm-1以上であると光の吸収による発熱で
光学損傷が発生するためである。
【0003】発振波長が690nmより長波長の半導体レー
ザでは、共振器端面に高い反射率を得るために屈折率の
高いシリコン(Si)膜(n>3)が端面反射膜として利
用できる。ところがSi膜は波長が690nmより短波長側で
は吸収係数が高く(4×104cm- 1以上)、共振器端面の光
学損傷の原因となるため発振波長が690nmより短波長の
半導体レーザでは利用できない。
ザでは、共振器端面に高い反射率を得るために屈折率の
高いシリコン(Si)膜(n>3)が端面反射膜として利
用できる。ところがSi膜は波長が690nmより短波長側で
は吸収係数が高く(4×104cm- 1以上)、共振器端面の光
学損傷の原因となるため発振波長が690nmより短波長の
半導体レーザでは利用できない。
【0004】酸化チタン(以下TiO2)は、チタンが十分
に酸化され良質な場合、屈折率が高く、光吸収が少ない
ので半導体レーザの端面反射膜等に利用できる。
に酸化され良質な場合、屈折率が高く、光吸収が少ない
ので半導体レーザの端面反射膜等に利用できる。
【0005】従来、TiO2等の金属酸化膜はマグネトロン
スパッタ装置を用いて堆積していた(特開平6-97570号
公報参照)。ターゲットに堆積膜と同じ金属酸化物を用
い、プラズマガスにはアルゴンを用いた。マグネトロン
スパッタ装置は、装置が安価で取り扱いが簡単である反
面、ターゲットの金属酸化物は化合物であるため高純度
ではなく、その結果堆積した金属酸化膜も高純度のもの
が得られなかった。純度の低い膜を用いると半導体素子
が汚染される恐れがある。また金属酸化物中の金属原子
と酸素原子では、スパッタ速度が異なり、積された金属
酸化膜は金属成分が多い。このため吸収係数の高い金属
酸化膜になりやすく、屈折率は2.25程度と、あまり高く
ない。
スパッタ装置を用いて堆積していた(特開平6-97570号
公報参照)。ターゲットに堆積膜と同じ金属酸化物を用
い、プラズマガスにはアルゴンを用いた。マグネトロン
スパッタ装置は、装置が安価で取り扱いが簡単である反
面、ターゲットの金属酸化物は化合物であるため高純度
ではなく、その結果堆積した金属酸化膜も高純度のもの
が得られなかった。純度の低い膜を用いると半導体素子
が汚染される恐れがある。また金属酸化物中の金属原子
と酸素原子では、スパッタ速度が異なり、積された金属
酸化膜は金属成分が多い。このため吸収係数の高い金属
酸化膜になりやすく、屈折率は2.25程度と、あまり高く
ない。
【0006】この吸収係数の高い金属酸化膜を高出力半
導体レーザの堆端面反射膜に用いた場合、吸収による発
熱で膜が破壊することが実験により初めて分かった。
導体レーザの堆端面反射膜に用いた場合、吸収による発
熱で膜が破壊することが実験により初めて分かった。
【0007】また、金属が十分に酸化され、吸収係数が
低い良質の金属酸化膜を形成するためにはプラズマガス
に酸素を添加すればよいが、酸素を添加するとターゲッ
ト表面に強固な金属酸化物が形成されるためアルゴンプ
ラズマによるスパッタ速度が低下し、その結果、金属酸
化膜の堆積速度が非常に遅くなる。典型的な堆積速度は
10Å/min程度である。
低い良質の金属酸化膜を形成するためにはプラズマガス
に酸素を添加すればよいが、酸素を添加するとターゲッ
ト表面に強固な金属酸化物が形成されるためアルゴンプ
ラズマによるスパッタ速度が低下し、その結果、金属酸
化膜の堆積速度が非常に遅くなる。典型的な堆積速度は
10Å/min程度である。
【0008】堆積速度を向上させるにはプラズマのRF
パワーを増加すればよいが、金属酸化膜の堆積がプラズ
マの放電電極間で行われるため、被堆積基板にプラズマ
照射のダメージを与え素子が劣化する。また、プラズマ
のRFパワーを増加すれば、被堆積物に堆積された金属
酸化膜自身がスパッタされ、平坦性の乏しい堆積膜しか
得ることができない。平坦性の乏しい金属酸化膜を半導
体レーザの端面反射膜として用いた場合、光の散乱を生
じるため、反射率が低下する。半導体レーザの発振波長
が短波長化すると光の散乱はさらに顕著になる。
パワーを増加すればよいが、金属酸化膜の堆積がプラズ
マの放電電極間で行われるため、被堆積基板にプラズマ
照射のダメージを与え素子が劣化する。また、プラズマ
のRFパワーを増加すれば、被堆積物に堆積された金属
酸化膜自身がスパッタされ、平坦性の乏しい堆積膜しか
得ることができない。平坦性の乏しい金属酸化膜を半導
体レーザの端面反射膜として用いた場合、光の散乱を生
じるため、反射率が低下する。半導体レーザの発振波長
が短波長化すると光の散乱はさらに顕著になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように従来のマグ
ネトロンスパッタ装置による金属酸化膜の堆積では、タ
ーゲットに金属酸化物を用いるため純度があまり高くな
く、高純度の金属酸化膜を得られず一定の屈折率を再現
するのが困難であった。また堆積された金属酸化膜は金
属成分が多くなりやすく、屈折率が低く、吸収係数の高
い金属酸化物になりやすい。また吸収係数が低い金属酸
化物を形成するためにプラズマガスに酸素を添加すると
金属酸化膜の堆積速度が非常に遅くなる。さらに金属酸
化膜の堆積がプラズマの放電電極間で行われるため、堆
積基板自身がスパッタされ堆積物の平坦性に欠け、堆積
基板にプラズマ照射のダメージを与えるということがが
あった。
ネトロンスパッタ装置による金属酸化膜の堆積では、タ
ーゲットに金属酸化物を用いるため純度があまり高くな
く、高純度の金属酸化膜を得られず一定の屈折率を再現
するのが困難であった。また堆積された金属酸化膜は金
属成分が多くなりやすく、屈折率が低く、吸収係数の高
い金属酸化物になりやすい。また吸収係数が低い金属酸
化物を形成するためにプラズマガスに酸素を添加すると
金属酸化膜の堆積速度が非常に遅くなる。さらに金属酸
化膜の堆積がプラズマの放電電極間で行われるため、堆
積基板自身がスパッタされ堆積物の平坦性に欠け、堆積
基板にプラズマ照射のダメージを与えるということがが
あった。
【0010】そこで本発明は、堆積速度が速く、吸収係
数の低い金属酸化膜の製造方法およい半導体レーザの製
造方法を提供する。
数の低い金属酸化膜の製造方法およい半導体レーザの製
造方法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明の金属酸化物の製造方法は、ECRプラズマを
用いるものである。その原料には、高純度の金属と酸素
を用いる。またこの金属酸化膜の製造方法を、半導体レ
ーザの共振器端面の端面反射膜等、半導体発光素子に応
用するものである。
に本発明の金属酸化物の製造方法は、ECRプラズマを
用いるものである。その原料には、高純度の金属と酸素
を用いる。またこの金属酸化膜の製造方法を、半導体レ
ーザの共振器端面の端面反射膜等、半導体発光素子に応
用するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て説明する。
て説明する。
【0013】(実施の形態1)金属酸化物の一例として
酸化チタン(TiO2)の堆積条件を具体的に説明する。TiO2
膜の堆積にはECR(Electron Cyclotron Resonance)プ
ラズマを用いる。
酸化チタン(TiO2)の堆積条件を具体的に説明する。TiO2
膜の堆積にはECR(Electron Cyclotron Resonance)プ
ラズマを用いる。
【0014】反応式は、Ti(金属)+O2 → TiO2であ
る。チタン(Ti)の原料には金属Tiを用いる。この理由は
高純度のもの(99.999%(5N)以上)が簡単に手に入
るからであり、かつ、高純度のTiO2膜が堆積できるから
である。
る。チタン(Ti)の原料には金属Tiを用いる。この理由は
高純度のもの(99.999%(5N)以上)が簡単に手に入
るからであり、かつ、高純度のTiO2膜が堆積できるから
である。
【0015】図1にECR装置を示す。装置の構成は電
磁石コイル103が設置されたプラズマ生成室102に、酸素
ガス109およびアルゴンガス110が接続されている。また
プラズマ生成室103にプラズマを発生するためのマグネ
トロン101が接続されている。さらにプラズマ生成室102
に薄膜堆積室108が接続され、接続部にTiターゲット104
が接続されている。
磁石コイル103が設置されたプラズマ生成室102に、酸素
ガス109およびアルゴンガス110が接続されている。また
プラズマ生成室103にプラズマを発生するためのマグネ
トロン101が接続されている。さらにプラズマ生成室102
に薄膜堆積室108が接続され、接続部にTiターゲット104
が接続されている。
【0016】図1のECRスパッタ装置に純度5N以上
の金属Tiをターゲットになるようセットし、アルゴンガ
ス(流量20sccm)及び酸素ガスを導入しながらECRプラズ
マ106を起こす。このときのマグネトロン101のマイクロ
波出力は500W、RF電源105の出力は600W、ECRプラズ
マ106照射前の試料107の温度は常温である。アルゴンプ
ラズマによりスパッタされた Tiと酸素プラズマが反応
し試料107にTiO2が形成される。
の金属Tiをターゲットになるようセットし、アルゴンガ
ス(流量20sccm)及び酸素ガスを導入しながらECRプラズ
マ106を起こす。このときのマグネトロン101のマイクロ
波出力は500W、RF電源105の出力は600W、ECRプラズ
マ106照射前の試料107の温度は常温である。アルゴンプ
ラズマによりスパッタされた Tiと酸素プラズマが反応
し試料107にTiO2が形成される。
【0017】図3はTiO2の堆積速度および吸収係数の酸
素分圧依存性を示したものである。酸素分圧が2.3×10
-2Pa以上ではターゲット表面が酸素プラズマにより酸化
され堆積速度が遅くなるため酸素分圧は2.3×10-2Pa未
満が望ましい。このときの堆積速度は125Å/min以上で
あった。また、酸素分圧が1.2×10-2Pa未満ではTiが十
分に酸素と反応せず、Ti成分の多いTiO2となってしま
い、吸収係数が非常に大きくなる。酸素分圧が1.2×10
-2Pa以上の時は吸収係数が1.0×102cm-1以下であり良質
なTiO2膜であった。このため酸素分圧は1.2×10-2Pa以
上2.3×10-2Pa未満でなければならない。
素分圧依存性を示したものである。酸素分圧が2.3×10
-2Pa以上ではターゲット表面が酸素プラズマにより酸化
され堆積速度が遅くなるため酸素分圧は2.3×10-2Pa未
満が望ましい。このときの堆積速度は125Å/min以上で
あった。また、酸素分圧が1.2×10-2Pa未満ではTiが十
分に酸素と反応せず、Ti成分の多いTiO2となってしま
い、吸収係数が非常に大きくなる。酸素分圧が1.2×10
-2Pa以上の時は吸収係数が1.0×102cm-1以下であり良質
なTiO2膜であった。このため酸素分圧は1.2×10-2Pa以
上2.3×10-2Pa未満でなければならない。
【0018】上記のように、堆積速度が速くかつ吸収係
数が非常に低いという条件はマグネトロンスパッタ装置
等の電極間放電プラズマでは存在せず、ECRプラズマ
を用いることにより初めて成立する。
数が非常に低いという条件はマグネトロンスパッタ装置
等の電極間放電プラズマでは存在せず、ECRプラズマ
を用いることにより初めて成立する。
【0019】堆積したTiO2膜の屈折率を測定すると波長
632.8nmにおいて2.50であった。この値はマグネトロン
スパッタ装置では得られなかった値であり、 ECRプ
ラズマを用いることにより初めて得られた。 ECR法
ではTiとO2が十分に反応するため高い屈折率を得ること
ができる。
632.8nmにおいて2.50であった。この値はマグネトロン
スパッタ装置では得られなかった値であり、 ECRプ
ラズマを用いることにより初めて得られた。 ECR法
ではTiとO2が十分に反応するため高い屈折率を得ること
ができる。
【0020】堆積したTiO2膜の平坦性を調べると図2に
示すように極めて平坦であった。ECRプラズマは指向
性が強く、基板に対して垂直に反応種が供給されるの
で、均等にTiO2が堆積され平坦なTiO2膜を得ることがで
きる。またECRプラズマはダメージが少なく堆積した
TiO2膜をスパッタしないので、堆積したままの平坦性を
保つことができる。平坦性が良好でないと堆積物表面で
光の乱反射および吸収を発生し光学特性上望ましくな
い。堆積物の平坦性は半導体レーザが短波長化するとさ
らに重要となる。
示すように極めて平坦であった。ECRプラズマは指向
性が強く、基板に対して垂直に反応種が供給されるの
で、均等にTiO2が堆積され平坦なTiO2膜を得ることがで
きる。またECRプラズマはダメージが少なく堆積した
TiO2膜をスパッタしないので、堆積したままの平坦性を
保つことができる。平坦性が良好でないと堆積物表面で
光の乱反射および吸収を発生し光学特性上望ましくな
い。堆積物の平坦性は半導体レーザが短波長化するとさ
らに重要となる。
【0021】この様にECRプラズマを用いたTiO2膜の
製造方法は、常温で良質の膜を堆積できるため熱に弱い
材料に利用できる。また、高純度の金属Tiを用いるの
で、当然高純度のTiO2膜を堆積できるだけでなく、不純
物による被堆積物の汚染を防ぐ。また、マグネトロンス
パッタ装置のようにプラズマによるダメージはなく、堆
積膜自身がスパッタされることもないので平坦性の良好
な堆積膜を形成できる。
製造方法は、常温で良質の膜を堆積できるため熱に弱い
材料に利用できる。また、高純度の金属Tiを用いるの
で、当然高純度のTiO2膜を堆積できるだけでなく、不純
物による被堆積物の汚染を防ぐ。また、マグネトロンス
パッタ装置のようにプラズマによるダメージはなく、堆
積膜自身がスパッタされることもないので平坦性の良好
な堆積膜を形成できる。
【0022】(実施の形態2)実施の形態1で説明したTi
O2膜をAlGaInP系高出力赤色半導体レーザの端面反射膜
に応用した実施の形態について説明する。
O2膜をAlGaInP系高出力赤色半導体レーザの端面反射膜
に応用した実施の形態について説明する。
【0023】図1の装置内に、試料107としてウエハーか
らバーの状態に切り出した半導体レーザを、一方の端面
にプラズマが照射されるように薄膜堆積室108に設置
し、例えば実施の形態1で述べた条件でTiO2膜を658Å堆
積する。堆積温度は常温である。TiO2膜により端面反射
膜を形成し、レーザ端面の劣化を防止する。
らバーの状態に切り出した半導体レーザを、一方の端面
にプラズマが照射されるように薄膜堆積室108に設置
し、例えば実施の形態1で述べた条件でTiO2膜を658Å堆
積する。堆積温度は常温である。TiO2膜により端面反射
膜を形成し、レーザ端面の劣化を防止する。
【0024】高出力赤色半導体レーザの場合、前方反射
膜の反射率はスロープ効率や閾値電流を考慮して6〜12
%程度が適当であるが、シリコン系の材料(例えばSiO
2、SiNなど)を用いた場合、発振波長の1/4の光学厚さ
の組み合わせでは少なくとも2層以上形成しなければ所
望の反射率を得ることができないが、前方反射膜として
TiO2膜を形成した場合、1層で反射率9%程度を得るこ
とができ、作業工程が削減される。さらに堆積膜厚が少
なくて済むため端面反射膜の応力を減少でき、端面反射
膜のはがれ等が発生しにくいため、半導体レーザの信頼
性が向上する。
膜の反射率はスロープ効率や閾値電流を考慮して6〜12
%程度が適当であるが、シリコン系の材料(例えばSiO
2、SiNなど)を用いた場合、発振波長の1/4の光学厚さ
の組み合わせでは少なくとも2層以上形成しなければ所
望の反射率を得ることができないが、前方反射膜として
TiO2膜を形成した場合、1層で反射率9%程度を得るこ
とができ、作業工程が削減される。さらに堆積膜厚が少
なくて済むため端面反射膜の応力を減少でき、端面反射
膜のはがれ等が発生しにくいため、半導体レーザの信頼
性が向上する。
【0025】次に、このバーの状態の半導体レーザを、
他方の端面にプラズマが照射されるように設置する。後
方反射膜としてまず、シリコン酸化膜(SiO2)を1098Å
堆積する。その後、実施の形態1の条件でTiO2を厚さ65
8Å堆積する。SiO2とTiO2の組み合わせでおよそ65%の
高反射膜を得ることができる。さらに高い反射率が必要
な場合はSiO2とTiO2の積層を繰り返せばよい。
他方の端面にプラズマが照射されるように設置する。後
方反射膜としてまず、シリコン酸化膜(SiO2)を1098Å
堆積する。その後、実施の形態1の条件でTiO2を厚さ65
8Å堆積する。SiO2とTiO2の組み合わせでおよそ65%の
高反射膜を得ることができる。さらに高い反射率が必要
な場合はSiO2とTiO2の積層を繰り返せばよい。
【0026】最後に、このバーの状態の半導体レーザを
ストライプ方向にへき開することにより図4に示すレー
ザチップを得ることができる。
ストライプ方向にへき開することにより図4に示すレー
ザチップを得ることができる。
【0027】図5は実施の形態2において作製した半導
体レーザの光出力特性である。ECRプラズマによるTi
O2膜の堆積においては、ダメージが少ないのでレーザ共
振器端面が劣化せず、光出力が増大する。
体レーザの光出力特性である。ECRプラズマによるTi
O2膜の堆積においては、ダメージが少ないのでレーザ共
振器端面が劣化せず、光出力が増大する。
【0028】図6は半導体レーザの光出力一定の動作電
流の経時変化を示す。ECRプラズマにより堆積したTi
O2膜を用いたものは共振器端面へのダメージが少なく膜
の堆積による劣化がないため経時変化も少なく信頼性が
高い。さらに堆積したTiO2膜は平坦であり、レーザの共
振器端面での反射率を正確に制御することができる。
流の経時変化を示す。ECRプラズマにより堆積したTi
O2膜を用いたものは共振器端面へのダメージが少なく膜
の堆積による劣化がないため経時変化も少なく信頼性が
高い。さらに堆積したTiO2膜は平坦であり、レーザの共
振器端面での反射率を正確に制御することができる。
【0029】尚、本発明による金属酸化膜の堆積方法
は、ZnSe系の原料を用いた半導体発光素子にも利用でき
る。ECRプラズマを用いた金属酸化膜の製造は、常温
で堆積できるため被堆積物の加熱が不要である。このた
め熱に弱いZnSe系半導体レーザの端面反射膜も、素子を
加熱しなくとも形成できる。また、マグネトロンスパッ
タ装置のようにプラズマによるダメージはなく素子が劣
化することはない。
は、ZnSe系の原料を用いた半導体発光素子にも利用でき
る。ECRプラズマを用いた金属酸化膜の製造は、常温
で堆積できるため被堆積物の加熱が不要である。このた
め熱に弱いZnSe系半導体レーザの端面反射膜も、素子を
加熱しなくとも形成できる。また、マグネトロンスパッ
タ装置のようにプラズマによるダメージはなく素子が劣
化することはない。
【0030】同様に本発明による金属酸化膜の堆積方法
は、GaN系半導体レーザなどの発光素子にも利用でき
る。この場合発振波長はさらに短く(紫外領域)、端面
反射膜の膜厚も高い精度が要求されるが、ECRプラズ
マを用いた金属酸化膜の製造は堆積基板自身がスパッタ
されることもないので平坦性が良好で高品質の端面反射
膜を形成できる。
は、GaN系半導体レーザなどの発光素子にも利用でき
る。この場合発振波長はさらに短く(紫外領域)、端面
反射膜の膜厚も高い精度が要求されるが、ECRプラズ
マを用いた金属酸化膜の製造は堆積基板自身がスパッタ
されることもないので平坦性が良好で高品質の端面反射
膜を形成できる。
【0031】以上、本発明による金属酸化膜の堆積方法
を、劈開面を反射面とするファブリペロ型半導体レーザ
に関して述べたが、本発明は垂直共振器型面発光レーザ
にも利用できる。面発光レーザは反射層に99%以上の反
射率が必要で、これを実現するには各層の膜厚の制御と
平坦性が重要である。本発明による金属酸化膜は、堆積
膜は極めて平坦である。ECRプラズマは指向性が強
く、基板に対して垂直に反応種が供給されるので、均等
に膜が堆積され平坦な膜を得ることができ、良好な反射
層を得ることができる。
を、劈開面を反射面とするファブリペロ型半導体レーザ
に関して述べたが、本発明は垂直共振器型面発光レーザ
にも利用できる。面発光レーザは反射層に99%以上の反
射率が必要で、これを実現するには各層の膜厚の制御と
平坦性が重要である。本発明による金属酸化膜は、堆積
膜は極めて平坦である。ECRプラズマは指向性が強
く、基板に対して垂直に反応種が供給されるので、均等
に膜が堆積され平坦な膜を得ることができ、良好な反射
層を得ることができる。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、高純度、
基板にダメージを与えず、吸収係数が低く、屈折率が高
く、堆積速度が速く、かつ平坦性の高い金属酸化膜を容
易に堆積することができる。
基板にダメージを与えず、吸収係数が低く、屈折率が高
く、堆積速度が速く、かつ平坦性の高い金属酸化膜を容
易に堆積することができる。
【0033】また、ECR法により作製した金属酸化膜
を半導体レーザの端面反射膜に用いると、光の吸収がな
いため光出力が向上し、堆積時のダメージが少ないので
動作電流の安定した信頼性の高い半導体レーザを実現す
ることができる。
を半導体レーザの端面反射膜に用いると、光の吸収がな
いため光出力が向上し、堆積時のダメージが少ないので
動作電流の安定した信頼性の高い半導体レーザを実現す
ることができる。
【図1】ECR装置の構造断面図
【図2】ECR装置によりGaAs基板上に堆積したTiO2膜
の断面図
の断面図
【図3】ECR装置の酸素分圧と堆積速度および吸収係
数の関係を示した特性図
数の関係を示した特性図
【図4】TiO2膜を端面に形成した半導体レーザの共振器
方向の構造斜視図
方向の構造斜視図
【図5】ECR装置を用いて端面反射膜を形成した半導
体レーザの光出力を示す特性図
体レーザの光出力を示す特性図
【図6】ECR装置を用いて端面反射膜を形成した半導
体レーザの動作電流を示す特性図
体レーザの動作電流を示す特性図
101 マグネトロン 102 プラズマ生成室 103 電磁石コイル 104 Tiターゲット 105 RF電源 106 ECRプラズマ 107 試料 108 薄膜生成室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 5/08 G02B 5/08 A
Claims (13)
- 【請求項1】 固体金属と酸素ガスを用い、ECRプラ
ズマを用いて金属酸化膜を堆積する金属酸化膜の製造方
法。 - 【請求項2】 吸収係数が1.0×10cm-1未満であること
を特徴とする請求項1に記載の金属酸化膜の製造方法。 - 【請求項3】 酸素分圧が1.5×10-2Pa以上2.3×10-2Pa
未満であることを特徴とする請求項2に記載の金属酸化
膜の製造方法。 - 【請求項4】 金属酸化膜がチタン(Ti)、ジルコニウム
(Zr)、ハフニウム(Hf)、アルミニウ(Al)、亜鉛(Zn)の
うち少なくとも1種類の金属を含有することを特徴とす
る請求項2に記載の金属酸化膜の製造方法。 - 【請求項5】 金属酸化膜が酸化チタン(TiO2)である
ことを特徴とする請求項3に記載の金属酸化膜の製造方
法。 - 【請求項6】 吸収係数が1.0×102cm-1未満であること
を特徴とする酸化チタン(TiO2)。 - 【請求項7】 屈折率が2.5以上であることを特徴とす
る請求項6に記載の酸化チタン(TiO2)。 - 【請求項8】 固体金属と酸素ガスを用い、ECRプラ
ズマを用いて堆積した金属酸化膜を光の出射端面に有す
る半導体発光素子。 - 【請求項9】 前記金属酸化膜の吸収係数が1.0×102cm
-1未満であることを特徴とする請求項8に記載の半導体
発光素子。 - 【請求項10】 金属酸化膜がチタン(Ti)、ジルコニウ
ム(Zr)、ハフニウム(Hf)、アルミニウム(Al)のうち少な
くとも1種類の金属を含有することを特徴とする請求項
8に記載の半導体発光素子。 - 【請求項11】 金属酸化膜が酸化チタン(TiO2)であ
ることを特徴とする請求項9に記載の半導体発光素子。 - 【請求項12】 シリコン酸化膜(SiO2)と酸化チタン
(TiO2)を積層したことを特徴とする請求項11に記載
の半導体発光素子。 - 【請求項13】 発振波長が690nm以下であることを特
徴とする請求項11に記載の半導体発光素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25808396A JPH10107381A (ja) | 1996-09-30 | 1996-09-30 | 金属酸化膜の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25808396A JPH10107381A (ja) | 1996-09-30 | 1996-09-30 | 金属酸化膜の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10107381A true JPH10107381A (ja) | 1998-04-24 |
Family
ID=17315290
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25808396A Pending JPH10107381A (ja) | 1996-09-30 | 1996-09-30 | 金属酸化膜の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10107381A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000138215A (ja) * | 1998-10-29 | 2000-05-16 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 薄膜の形成方法及び半導体発光素子の製造方法 |
JP2000174379A (ja) * | 1998-12-04 | 2000-06-23 | Mitsubishi Chemicals Corp | 化合物半導体発光素子 |
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CN1298886C (zh) * | 2004-09-28 | 2007-02-07 | 中国科学院上海光学精密机械研究所 | 提高光学薄膜激光损伤阈值的镀膜方法 |
JP2011144408A (ja) * | 2010-01-13 | 2011-07-28 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 透明導電膜の形成方法 |
JP2012247593A (ja) * | 2011-05-27 | 2012-12-13 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 薄膜形成方法および装置 |
-
1996
- 1996-09-30 JP JP25808396A patent/JPH10107381A/ja active Pending
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