JP2000174379A - 化合物半導体発光素子 - Google Patents

化合物半導体発光素子

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 端面での外因的な界面準位密度を長期間にわ
たって安定に抑制することができ、高出力と長寿命を両
立させた高性能な化合物半導体発光素子を提供するこ
と。 【解決手段】 第一導電型クラッド層、活性層および第
二導電型クラッド層を含む化合物半導体層を基板上に有
し、対向する二つの化合物半導体層の端面が共振器構造
を形成している化合物半導体発光素子であって、該化合
物半導体層の端面を形成する第一導電型クラッド層、活
性層および第二導電型クラッド層の表面が4族の元素を
含む不活性化層で被覆されていることを特徴とする化合
物半導体発光素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体発光素子、特
に半導体レーザに関するものである。本発明は、光ファ
イバー増幅器用励起光源や光情報処理用の光源等のよう
に、高出力かつ長寿命であることを要求される場合に好
適に利用することができる。また本発明は、スーパール
ミネッセントダイオード等のLEDで、光の出射端が端
面により形成されているものや、面発光レーザ等へも応
用することができる。
【0002】
【従来の技術】近年における光情報処理技術、光通信技
術の進展には目ざましいものがある。例えば、光磁気デ
ィスクによる高密度記録、光ファイバーネットワークに
よる双方向通信など枚挙に暇がない。
【0003】例えば、通信分野においては、今後のマル
チメディア時代に本格的に対応する大容量の光ファイバ
ー伝送路とともに、その伝送方式に対する柔軟性を持つ
信号増幅用のアンプとして、Er3+等の希土類をドープ
した光ファイバー増幅器(EDFA)の研究が各方面で
盛んに行なわれている。そして、EDFAのコンポーネ
ントとして不可欠な要素である、高効率な励起光源用の
半導体レーザの開発が待たれている。
【0004】EDFA応用に供することのできる励起光
源の発振波長は、原理的に800nm、980nm、1
480nmの3種類存在する。このうち増幅器の特性か
ら見れば980nmでの励起が、利得やノイズ等を考慮
すると最も望ましいことが知られている。このような9
80nmの発振波長を有するレーザは、励起光源として
高出力でありながら長寿命であるという相反する要求を
満たすことが要求されている。さらにこの近傍の波長、
例えば890〜1150nmにおいてはSHG光源、レ
ーザプリンタ用の熱源としての要求もあり、その他種々
の応用面においても高出力で信頼性の高いレーザの開発
が待たれている。また、情報処理分野では高密度記録、
高速書き込みおよび読み出しを目的として半導体レーザ
の高出力化、短波長化が進んでいる。従来の780nm
発振波長のレーザダイオード(以下「LD」という)に
関しては高出力化が強く望まれており、また、630〜
680nm帯のLDの開発も各方面で精力的に行われて
いる。
【0005】これまで980nm近傍の半導体レーザに
ついては、50〜100mW程度の光出力において2年
程度の連続使用に耐える半導体レーザがすでに開発され
ている。しかしながら、より高い光出力における動作で
は急速な劣化がおこり、信頼性は不十分である。これは
780nm帯、630〜680nm帯のLDにおいても
同様であり、高出力時の信頼性確保は特にGaAs基板
を用いた系の半導体レーザ全体の課題になっている。
【0006】信頼性が不充分である原因の1つは、非常
に高い光密度にさらされるレーザ光の出射端面の劣化に
ある。GaAs/AlGaAs系半導体レーザでもよく
知られているように、端面近傍には多数の表面準位が存
在するが、これらの準位が非発光再結合中心となってレ
ーザ光を吸収するために一般的に端面近傍の温度はレー
ザ内部の温度よりも高くなり、この温度上昇がさらに端
面近傍のバンドギャップを狭くし、さらにレーザ光を吸
収しやすくするといった正帰還がおきると説明されてい
る。この現象は瞬時に大電流を流した際に観測される端
面破壊いわゆるCOD(Catastrophic Optical Damag
e)として知られ、また長期に通電試験した際のCODレ
ベルの低下に伴う素子の突然劣化は多くの半導体レーザ
素子において共通の問題となっている。
【0007】これらの問題を解消するために、これまで
にも種々の提案がなされている。例えば、端面近傍の活
性層領域のバンドギャップを発振波長に対して透明にな
るようにし、前述の端面近傍での光吸収をおさえる方法
がこれまでにも種々提案されている。これらの構造のレ
ーザは一般に窓構造レーザあるいはNAM(Non Absorb
ing Mirror)構造レーザと呼ばれており、高出力を必要
とする際には非常に効果的である。しかしながら、レー
ザ端面上に発振波長に対して透明な半導体材料をエピタ
キシャル成長させる方法では、レーザをいわゆるバーの
状態にして端面へエピタキシャル成長を行うために、こ
の後に行う電極工程が非常に煩雑なものとなってしま
う。
【0008】また、ZnあるいはSi等をレーザの端面
近傍の活性層に不純物として意図的に熱拡散またはイオ
ン打ち込みさせることによって活性層を無秩序化させる
方法も種々提案されている(特開平2−45992号公
報、特開平3−31083号公報、特開平6−3029
06号公報)。しかし、一般にLD製造工程で行われる
不純物拡散はレーザ素子のエピタキシャル方向から基板
方向に向かって行われるため、拡散深さの制御や共振器
方向に対する横方向拡散の制御に問題があり安定した作
製は難しい。また、イオン打ち込みの場合には高エネル
ギーのイオンが端面から導入されるため、たとえアニー
ル処理を施したとしてもLD端面にダメージが残存しが
ちである。また不純物導入を行なった領域での抵抗の低
下に伴う無効電流の増加はレーザの閾値電流や駆動電流
を増加させる等の問題がある。
【0009】一方、特開平3−101183号公報に
は、汚染のない端面を形成し、これに半導体端面との反
応やそれ自体が拡散を起こさない酸素非含有物質をパッ
シベーション層や該層の一部として形成する製法が記載
されている。一般に大気中(例えばクリーンルーム内)
での作業では、劈開時に端面に発生するGa−OやAs
−O等の非発光再結合中心の生成を抑制することはでき
ない。したがって、この公報に記載されるように「汚染
のない端面を形成」するためには、劈開したその場で不
活性化層を形成することが不可欠であるが、これを実現
しうるのは真空中での劈開だけである。しかし、真空中
の劈開は大気中での一般的な劈開に比較して、非常に煩
雑な装置と作業が要求される。また、この公報にはドラ
イエッチングによって端面を形成する方法も記載されて
いるが、劈開によって形成される端面と比較して多くの
非発光再結合中心を形成するため、長寿命を要求される
LDの作製方法には適さない。
【0010】また、この公報に類するものとして、L.W.
Tu et al.,(In-vacuum cleavingand coating of se
miconductor laser facets using silicon and a
dielectric、 J.Appl.Phys.80(11) 1 DEC. 1996)に
は、Si/AlOx構造をレーザ端面にコーティングす
る際に真空中で劈開すると、劈開面でのキャリアの再結
合速度が遅くなり、初期的なCODレベルが上がること
が記載されている。しかしながら、この論文には長期の
信頼性に関する記述はなく、コーティングとLD構造の
関連についても述べられていない。
【0011】また、半導体レーザの光出射端面での電界
強度を下げるために、共振器方向に存在する定在波の腹
の部分が端面部分と一致しないように、Siをコーティ
ング膜と半導体との界面に1/4波長分挿入することも
提案されている。しかし、一般の半導体レーザが実現さ
れている波長帯、特に高出力LDが望まれている400
〜1600nmにおいては、Siそのものが光の吸収体
として作用してしまうため、端面での温度上昇がデバイ
スの劣化を加速してしまう可能性がある。このように、
これまでに提案された半導体発光素子およびその製造方
法はいずれも技術的に満足しうるものではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の従来技
術の問題点を解決することを課題とした。具体的には、
本発明は、端面での外因的な界面準位密度を長期間にわ
たって安定に抑制することができ、高出力と長寿命を両
立させた高性能の半導体発光素子を提供することを解決
すべき課題とした。また本発明は、端面での劣化を抑
え、大気中での劈開も可能である簡便な方法で製造する
ことができる半導体発光素子を提供することを解決すべ
き課題とした。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討を進めた結果、化合物半導体層
の端面を形成する第一導電型クラッド層、活性層および
第二導電型クラッド層の表面を4族の元素を含む不活性
化層で被覆することによって、端面の界面準位密度を長
期間安定に制御しうることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0014】すなわち本発明は、第一導電型クラッド
層、活性層および第二導電型クラッド層を含む化合物半
導体層を基板上に有し、対向する二つの化合物半導体層
の端面が共振器構造を形成している化合物半導体発光素
子であって、該化合物半導体層の端面を形成する第一導
電型クラッド層、活性層および第二導電型クラッド層の
表面が4族の元素を含む不活性化層で被覆されているこ
とを特徴とする化合物半導体発光素子を提供するもので
ある。
【0015】本発明の化合物半導体発光素子では、化合
物半導体層の端面を構成する元素の少なくとも1つは酸
素との結合を持たず、前記不活性化層の化合物半導体層
の端面に隣接する部分が酸素を構成元素として含有して
いることが好ましい。また、不活性化層が酸素を構成元
素として含まない部分を有していることが好ましい。さ
らに、不活性化層は、TiおよびZrからなる群から選
択される1以上の元素を含有し、厚みTp(nm)は下
記式(I)を満足するのが望ましい。
【数2】 0.2(nm)<Tp(nm)<λ/8n(nm)・・・・・(I) (上式において、λは化合物半導体発光素子の発振波長
(nm)であり、nは不活性化層の波長λにおける全体
の平均屈折率の実数部分である)
【0016】本発明の化合物半導体発光素子では、不活
性化層の表面が誘電体または誘電体と半導体との組合せ
からなるコーティング層で被覆されているのが好まし
い。そのコーティング層はAlOx、TiOx、SiO
x、SiN、SiおよびZnSからなる群から選択され
る1以上の化合物を含んでいるのが好ましく、特に一端
はAlOx等の低反射率のコーティング層からなり、他
端は例えばAlOxおよびSiを含む高反射率のコーテ
ィング層からなるものが好ましい。また、不活性化層の
コーティング層に隣接する部分は構成元素として酸素を
含んでいるのが好ましい。
【0017】化合物半導体層の端面は(110)面また
はそれと結晶学的に等価な面であり、不活性化層形成前
にプラズマ照射されているのが好ましい。また、不活性
化層の表面がコーティング層の形成時にプラズマ照射さ
れているのも好ましい。これらのプラズマ照射は、エネ
ルギーが25eV以上300eV以下のイオン照射を含
むのが望ましい。
【0018】活性層はInxGa1-xAs(0<x<1)
や(AlxGa1-xyIn1-yP(0<x,y<1)等の
Inを構成元素として含むことが好ましく、また量子井
戸構造であるのが望ましい。また、不活性化層を構成す
る元素の酸化物の生成エンタルピーの絶対値は、化合物
半導体層の端面を構成する少なくとも1つの元素の酸化
物の生成エンタルピーの絶対値よりも大きいことが望ま
しい。
【0019】不活性化層に構成元素として含まれる酸素
は、該不活性化層の形成前に化合物半導体層の端面を構
成する元素と結合していた酸素であって、該不活性化層
に対するプラズマ照射や熱線の照射によって化合物半導
体層の端面から不活性化層に移行した酸素であるのが好
ましい。また、不活性化層に構成元素として含まれる酸
素は、コーティング層の形成時に行われるプラズマ照射
の際に化合物半導体層の端面から不活性化層に移行した
酸素であるのも好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の半導体発
光素子について詳細に説明する。本発明の化合物半導体
発光素子は、第一導電型クラッド層、活性層および第二
導電型クラッド層を含む化合物半導体層を基板上に有
し、対向する二つの化合物半導体層の端面が共振器構造
を形成しているものである。そして、本発明の化合物半
導体発光素子の特徴は、化合物半導体層の端面を形成す
る第一導電型クラッド層、活性層および第二導電型クラ
ッド層の表面が4族の元素を含む不活性化層で被覆され
ている点にある。
【0021】本発明の化合物半導体発光素子は、このよ
うな条件を満たすものであれば特にその構造は制限され
ない。したがって、第一導電型クラッド層、活性層およ
び第二導電型クラッド層以外の層が存在していても構わ
ない。また、各層に使用する材料の種類や量、その層構
造も特に限定されない。さらに、本発明の化合物半導体
発光素子の製造方法も特に制限されるものではない。典
型的な製造方法としては、基板上に各層を形成して半導
体ウエハーを作製し、作製した半導体ウエハーに共振器
端面を形成して該端面を不活性化層で被覆する方法を挙
げることができる。
【0022】以下において、本発明の化合物半導体発光
素子の好ましい構成例およびその製造法について具体的
に説明する。本発明の化合物半導体発光素子の製造に用
いる半導体ウエハーは、屈折率導波構造を有し、第二導
電型クラッド層が二層に分かれ、第二導電型第二クラッ
ド層と電流ブロック層とで電流注入領域を形成し、さら
に電極との接触抵抗を下げるためのコンタクト層を有す
るものである(図2)。この例を始めとする様々なレー
ザの基本的エピタキシャル構造の製法については、例え
ば特開平8−130344号公報を参考にすることがで
きる。この種のレーザは光通信に用いられる光ファイバ
ー増幅器用の光源や、情報処理用の大規模光磁気メモリ
ーのピックアップ光源として用いられ、層構成や使用材
料等を適宜選択することによってさらに様々な用途へ応
用することもできる。
【0023】図2は、本発明の半導体レーザにおけるエ
ピタキシャル構造の一例としてグルーブ型の半導体レー
ザの構成を示した概略断面図である。基板(1)として
は、所望の発振波長、格子整合性、意図的に活性層等に
導入される歪、ガイド層等に用いられる活性層の歪み補
償等の点からInP、GaAs、GaN、InGaA
s、Al23等の単結晶基板が使用される。場合によっ
てはAl23のような誘電体基板も使用することができ
る。本発明の実施形態としては、V族としてAs、P等
を含むIII-V族半導体発光素子に対する格子整合性の観
点から、InP基板やGaAs基板を使用するのが望ま
しい。V族としてAsを含む場合にはGaAs基板を使
用するのが最も好ましい。なお、本明細書において元素
の<族>の記述はアラビア数字で記載されているものは
IUPACの記述にしたがい、ローマ数字で記載されて
いるものは旧来の表現方法にしたがっている。
【0024】また、Al23等の誘電体基板は、III-V
族半導体発光素子の中でもV族として窒素等を含む材料
に使用されることがある。基板はいわゆるジャスト基板
だけではなく、エピタキシャル成長の際の結晶性を向上
させる観点から、いわゆるオフ基板(miss oriented su
bstrate)の使用も可能である。オフ基板は、ステップ
フローモードでの良好な結晶成長を促進する効果を有し
ており、広く使用されている。オフ基板は0.5度から
2度程度の傾斜を持つものが広く用いられるが、量子井
戸構造を構成する材料系によっては傾斜を10度前後に
することもある。基板は、MBEあるいはMOCVD等
の結晶成長技術を利用して発光素子を製造するために、
あらかじめ化学エッチングや熱処理等を施しておいても
よい。
【0025】バッファ層(2)は、基板バルク結晶の不
完全性を緩和し、結晶軸を同一にしたエピタキシャル薄
膜の形成を容易にするために設けることが好ましい。バ
ッファ層(2)は、基板(1)と同一の化合物で構成す
るのが好ましく、基板がGaAsの場合は通常、GaA
sが使用される。しかし、超格子層をバッファ層に使用
することも広く行われており、同一の化合物で形成され
ない場合もある。一方、誘電体基板を用いた場合には必
ずしも基板と同一の物質ではなく、その所望の発光波
長、デバイス全体の構造から、適宜、基板と異なった材
料が選ばれる場合もある。
【0026】第一導電型クラッド層(3)は一般的には
活性層(4)の平均的屈折率より小さな屈折率を有する
材料で構成され、所望の発振波長を実現するために準備
される基板(1)、バッファ層(2)、活性層(4)等
により適宜材料が規定される。例えば基板(1)として
GaAsが使用され、バッファ層(2)もGaAsの際
にはAlGaAs系材料、InGaAs系材料、AlG
aInP系材料、InGaP系材料等が用いられる。ま
た場合によっては、クラッド層全体を超格子構造にする
ことも可能である。
【0027】本発明の効果は活性層(4)の導電型、材
料、構造等の如何によらず認められるが、材料選択の観
点からは、活性層(4)はInおよび/またはGaを含
む系、特にInを含む系であるのが好ましい。最も好ま
しいのはInおよびGaを含む系である。これは、種々
の態様に応用したときにこれらの材料系によって実現さ
れる波長帯は、長寿命と高出力という相反する特性を要
求される可能性が最も大きいためである。
【0028】これら観点から、活性層(4)の材料とし
ては、AlGaAs系材料、InGaAs系材料、In
GaP系、AlGaInP系材料、AlInGaAs系
材料、InGaAsP系材料、GaAsP系材料等が望
ましく、具体的にはInxGa1-xAs(0≦x≦1)ま
たは(AlxGa1-xyIn1-yP(0≦x,y≦1)で
あるのが望ましい。高出力レーザの実現のためには、特
に量子井戸構造をとっていることが好ましい。これら材
料の選択は所望する発振波長によって規定されるのが一
般的である。
【0029】また、活性層(4)の構造は、単一の層か
らなる通常のバルク活性層でもよいが、単一量子井戸
(SQW)構造、二重量子井戸(DQW)構造、多重量
子(MQW)構造等の量子井戸構造も目的に応じて採用
することができる。量子井戸構造には、通常、光ガイド
層が併用され、必要に応じて量子井戸の分離のために障
壁層が併用される。活性層の構造としては、量子井戸の
両側に光ガイド層を設けた構造(SCH構造)、光ガイ
ド層の組成を徐々に変化させることにより屈折率を連続
的に変化させた構造(GRIN−SCH構造)等を採用
することができる。また、レーザの特性改善のためにひ
ずみ量子井戸構造を用いる場合がある。さらに活性層全
体としてはひずみが打ち消される様に、光ガイド層の材
料等を量子井戸層の有する歪みと逆の歪みを持つ様に選
択する場合等もある。光ガイド層の材料としてはAlG
aAs系材料、InGaAs系材料、InGaP系、A
lGaInP系材料、AlInGaAs系材料、InG
aAsP系材料、GaAsP系材料等活性層にあわせて
選択することができる。
【0030】また、光ガイド層は前記材料を組み合わせ
た超格子とすることも可能である。さらに、量子井戸と
光ガイド層の間に意図的にバンドギャップの大きな材料
を挿入して、温度特性の改善を行うことも可能である。
【0031】第二導電型第一クラッド層(5)および第
二導電型第二クラッド層(8)は、第一導電型クラッド
層(3)と同様に一般的には活性層(4)の平均的屈折
率より小さな屈折率を有する材料で構成され、基板
(1)、バッファ層(2)、活性層(4)等により適宜
材料が規定される。例えば基板(1)としてGaAsが
使用され、バッファ層(2)にもGaAsが使用されて
いるときにはAlGaAs系材料、InGaAs系材
料、InGaP系、AlGaInP系材料、AlInG
aAs系材料、InGaAsP系材料、GaAsP系材
料等が用いられる。
【0032】図2には、二種類のエッチング阻止層
(6)(7)およびキャップ層(10)が記載されてい
るが、これらの層は、本発明の好ましい態様において採
用され、電流注入領域の作り込みを精密かつ容易に行う
のに有効である。
【0033】第二エッチング阻止層(6)が例えば、A
aGa1-aAs(0≦a≦1)材料にて構成される場合
には、通常はGaAsが好適に使用される。これはMO
CVD法等で第二導電型第二クラッド層(8)等を、特
にAlGaAs系で再成長させる際に結晶性よく積層す
ることができるためである。第二エッチング阻止層
(6)の厚さは通常2nm以上が好ましい。
【0034】第一エッチング阻止層(7)は、Inb
1-bP(0≦b≦1)で表される層が好適であり、G
aAsを基板として使用した場合は通常歪みのない系で
b=0.5にする。第一エッチング阻止層(7)の厚さ
は通常5nm以上であり、好ましくは10nm以上であ
る。5nm未満であると、膜厚の乱れ等により、エッチ
ングを阻止することができなくなってしまう危険性があ
る。一方膜厚によっては歪み系を用いることもでき、b
=0、b=1等の組成を採用することも可能である。
【0035】キャップ層(10)は、第1回目の成長に
おいて電流ブロック層(9)の保護層として用いられる
と同時に第二導電型第二クラッド層(8)の成長を容易
にするために用いられ、素子構造を得る前に、一部また
は全て除去される。
【0036】電流ブロック層(9)は、文字通り電流を
ブロックして実質的に流さないようにすることが要求さ
れるので、その導電型は第一導電型クラッド層(3)と
同一かあるいはアンドープとすることが好ましい。ま
た、例えばAlGaAs系で電流ブロック層(9)を形
成する場合であれば、AlyGa1-yAs(0<y≦1)
からなる第二導電型第二クラッド層(8)より屈折率が
小さいことが好ましい。すなわち、電流ブロック層
(9)がAlzGa1-zAs(0≦z≦1)であれば、混
晶比としてはz>yになることが好ましい。
【0037】第二導電型第二クラッド層(8)の屈折率
は、通常、活性層(4)の屈折率以下である。また、第
二導電型第二クラッド層(8)は通常第一導電型クラッ
ド層(3)および第二導電型第一クラッド層(5)と同
一とされる。また、本発明の好ましい態様の1つとし
て、第二導電型第一クラッド層(5)、第二導電型第二
クラッド層(8)および電流ブロック層(9)の全てを
同一組成の同一材料系で構成する場合を挙げることがで
きる。その場合、第一エッチング阻止層(7)によって
実効屈折率差が形成され、また、キャップ層(10)を
完全には除去しない場合においては、第一エッチング層
(7)に加えてキャップ層(10)によっても実効屈折
率差が形成される。この様な層構成を採ることにより、
第二導電型第二クラッド層(8)および電流ブロック層
(9)のそれぞれの界面における材料または組成の不一
致に起因する諸問題を回避することができるため非常に
好ましい。
【0038】第二導電型第二クラッド層(8)上には電
極(12)との接触抵抗率を下げるため等の目的でコン
タクト層(11)を設けるのが好ましい。コンタクト層
(11)は、通常、GaAs材料にて構成される。この
層は、通常電極との接触抵抗率を低くするためにキャリ
ア濃度を他の層より高くする。
【0039】また、通常、バッファ層(2)の厚さは
0.1〜3μm、第一導電型クラッド層(3)の厚さは
0.5〜3μm、活性層(4)の厚さは量子井戸構造の
場合1層当たり0.0005〜0.02μm、第二導電
型第一クラッド層(5)の厚さは0.05〜0.3μ
m、第導電型第二クラッド層(8)の厚さは0.5〜3
μm、キャップ層(10)の厚さは0.005〜0.5
μm、電流ブロック層(9)の厚さは0.3〜2μmの
範囲から選択される。
【0040】図2に示す半導体発光素子は、さらに電極
(12)、(13)を形成して構成される。電極(1
2)は、p型の場合、コンタクト層(11)表面に例え
ばTi/Pt/Auを順次に蒸着した後、合金化処理す
ることによって形成される。一方、電極(13)は基板
(1)の表面に形成され、n型電極の場合、例えばAu
Ge/Ni/Auを基板表面に順に蒸着した後、合金化
処理することによって形成される。以上、好ましい半導
体ウエハーの構成例と製造例について説明したが、本発
明によって上記以外の構成を有する半導体ウエハーを製
造することもできる。
【0041】製造した半導体ウエハーには、共振器端面
を形成する。共振器端面は半導体発光素子の製造工程で
通常用いられている方法によって調製することができ、
その具体的な方法は特に制限されない。好ましいのは、
劈開により端面を形成していわゆるレーザバーの状態に
する方法である。劈開は端面発光型レーザの場合に広く
用いられており、劈開によって形成される端面は使用す
る基板の方位によって異なる。例えば、好適に利用され
るnominally(100)と結晶学的に等価な面をもつ基
板を使用して端面発光型レーザ等の素子を形成する際に
は、(110)もしくはこれと結晶学的に等価な面が共
振器を形成する面となる。一方、オフ基板を使用すると
きには、傾斜させた方向と共振器方向の関係によっては
端面が共振器方向と90度にならない場合もある。例え
ば(100)基板から、(1−10)方向に向けて角度
を2度傾けた基板を使用した場合には端面も2度傾くこ
とになる。なお、面発光レーザの様に共振器が結晶成長
過程で作製される場合もある。
【0042】本発明では、真空中での繁雑な劈開工程を
行うことは必ずしも必要とされない。常圧の大気中ある
いは窒素雰囲気中で劈開しても構わない。これは、劈開
後に行うプラズマ照射等のプロセスによって、安定的に
再現性良く、外因的な表面準位をおさえることができる
からである。したがって、本発明の化合物半導体発光素
子は簡便な方法で製造することができる。
【0043】安定的に再現性良く、外因的な表面準位を
おさえるプラズマ照射は、端面に露出している第一導電
型クラッド層(3)、活性層(4)、第二導電型クラッ
ド層(5)(8)に対して少なくとも行うのが好まし
い。このとき、端面に露出している基板(1)、バッフ
ァ層(2)、第一エッチング阻止層(7)、第二エッチ
ング阻止層(6)、電流ブロック層(9)、キャップ層
(10)、コンタクト層(11)等の構成要素に対して
も併せてプラズマ照射を行うことができる。通常はこの
ように端面全体にわたってプラズマ照射するのが好まし
い。
【0044】具体的には、25〜300eV程度の低エ
ネルギーの荷電粒子、即ちイオン、電子またはそれらの
組み合わせであるプラズマ、好ましくはプラズマ種とし
て18属または水素プラズマを照射する方法を例示する
ことができる。ここで、18族のプラズマ種としては、
具体的にはヘリウムまたはアルゴンプラズマ、クリプト
ンプラズマ、キセノンプラズマなどを挙げることができ
る。これらを端面に照射することによって、端面を構成
する元素の酸化物のうち、特にV族またはVI族のよう
な比較的酸化物の蒸気圧の小さいもの(例えばAs−O
等)を取り除くことができる。プラズマ照射は、10-3
Torr以下程度、好ましくは10-4Torr以下、最も好まし
くは10-5Torr以下程度の真空中で行う。後述するよう
に、端面上に形成される不活性化層に対してこのような
プラズマ照射を行うのも、安定的に再現性良く、外因的
な表面準位をおさえるのに寄与しうる点で効果的であ
る。
【0045】25〜300eV程度の低エネルギーのア
ルゴンプラズマや水素プラズマを照射すれば、As−O
やGa−O、特にAs−Oを効果的に除去することがで
きる。特に、低エネルギーのアルゴンプラズマの照射に
よる効果は絶大である。また、この方法は、不純物のイ
オン打ち込み等に比較すると、処理エネルギーが非常に
低くて、端面へのダメージを抑えながら処理できる点で
優れている。
【0046】さらにこの際に、端面の温度を比較的高温
に保ち、半導体端面を形成する元素の酸化物の脱離を熱
的に促進することが望ましい。そのためには、ハロゲン
ランプ等を用いて短時間で温度を上昇させ、半導体発光
素子の内部での不純物等の拡散が助長されない範囲で処
理するのが望ましい。
【0047】本発明の化合物半導体発光素子は、これら
の方法等を活用することによって、化合物半導体層端面
を構成する元素の少なくとも1つは酸素との結合を持た
ず、該不活性化層の化合物半導体層端面に隣接する部分
が酸素を構成元素として含有するようにしたものである
のが好ましい。
【0048】半導体端面の構成元素の少なくとも1つが
酸化物の形態では存在しないことを確認する方法や、ま
た後述する不活性化層がどの様な状態で存在するかを分
析する方法としては、例えばXPS(X-ray Photo-elec
tron Spectroscopy:X線光電子分光法)がある。これ
は各元素の化学結合状態を知るうえで非常に有益な手段
であって、100μm×100μm程度の大きさに絞っ
たX線を、サンプルに照射し、この結果発生する光電子
のエネルギーを分光することによってサンプルを構成す
る各元素の化学的結合状態を確認することができる。こ
の時に、光電子検出器のサンプル表面となす角度を変化
させることによって、所望の位置における表面または界
面近傍の情報を容易に得ることができる。また、一般の
レーザは後述の通り誘電体、あるいは誘電体と半導体の
対によるコーティングが端面に施されているため、上記
XPS測定の前に種々のエッチング法を用いて分析に適
した厚みになるまでコーティング膜を薄くするのが普通
である。また、2〜5nm程度の薄いコーティング膜が
形成されているレーザに関しては、この様なエッチング
等の処理を行うことなく半導体レーザ端面を分析するこ
とも可能である。
【0049】上記の方法によって形成した共振器端面に
は不活性化層(14)を形成する。本明細書において
「不活性化層」とは、化合物半導体発光素子の端面上に
形成され、端面を構成する元素が結合すると非発光再結
合中心を形成してしまう例えば酸素等の元素との化学反
応を防止する層である。不活性化層は、端面に酸素等が
存在している場合には、半導体端面を構成する元素と結
合した酸素の少なくとも一部を、不活性化層自身が酸化
することによって引き離す機能を有する。この様に自身
が酸化してその一部に酸化物を含むようになった層も、
本明細書においては全体として不活性化層と呼ぶ。
【0050】不活性化層は、少なくとも端面を形成する
第一導電型クラッド層、活性層および第2導電型クラッ
ド層を被覆する様に形成するが、通常は、端面全体を被
覆する様に形成する。本発明において不活性化層は、端
面に真空中でプラズマ照射した後、引き続き真空中、即
ち、10-3Torr以下程度の真空中、好ましくは10-6To
rr以下程度、最も好ましくは10-7Torr以下程度の高真
空中で形成する。
【0051】不活性化層は、半導体端面を構成する元素
のうち少なくとも1つの元素の酸化物の生成エンタルピ
ー(eV/metal atom)の絶対値よりも、酸化物の生成エ
ンタルピーの絶対値が大きな元素を含んでいるのが望ま
しい。中でも、半導体端面を構成するどの元素の酸化物
の生成エンタルピーの絶対値よりも、酸化物の生成エン
タルピーの絶対値が大きな元素を含んでいるのが好まし
い。
【0052】半導体材料としては、AlGaAs系材
料、InGaAs系材料、InGaP系、AlGaIn
P系材料、AlInGaAs系材料、InGaAsP系
材料、GaAsP系材料等が主として使用されている。
また、半導体材料として2族元素も使用可能である。こ
れらの半導体材料を構成する元素として、例えばGa2
3の生成エンタルピーは−5.64eV/metal atomであ
り、In23の生成エンタルピーは−4.80eV/metal
atomである。また、MgOの生成エンタルピーは−
6.24eV/metal atomである。
【0053】これに対して、本発明で不活性化層に使用
する元素は、酸化物の生成エンタルピーの絶対値が極め
て大きい。特に、4族に属するTi(TiO2の生成エ
ンタルピーは−9.74eV/metal atom)、Zr(Zr
2の生成エンタルピーは−11.41eV/metal atom)
は不活性化層に使用する元素として極めて好ましい。し
たがって、これらの元素を含有する不活性化層は、広範
な半導体材料に対して有用である。特に、Alを含まな
い半導体材料に対しては、効果が大きくて特に有用であ
る。
【0054】半導体端面に不活性化層(14)として付
着させる元素の結晶学的構造や特徴は製法によって異な
るが、単結晶、多結晶、アモルファスのいずれの場合に
ついても効果が認められる。中でも、高真空中で低製膜
レートで形成されたものは効果的であり特に好ましい。
【0055】一般に、不活性化層(14)の厚みTp
(nm)は、0.2(nm)より厚いことが望ましい。
一方、100nm等のように極端に厚い膜厚は適当でな
い場合がある。不活性化層(14)の望ましい厚みは、
下限はそれ自体が膜として存在するための要件から規定
され、また上限は活性層から出射される光が不活性化層
の一部によって吸収される場合にはその光吸収による効
果とのバランスで決定される。すなわち、不活性化層を
端面に堆積させた場合には、端面が全面不活性化膜で覆
われる要件と、出射光の吸収による端面の温度上昇の両
面の効果を考慮する必要がある。また、プラズマ照射を
不活性化層上から行う場合には、半導体端面の還元反応
が十分に誘導されるエネルギーが端面に到達する程度に
不活性化層は薄くなければならない。不活性化層の望ま
しい厚さの範囲は、以下の式で表されることが確認され
ている。
【0056】
【数3】 0.2(nm)<Tp(nm)<λ/8n(nm)・・・・・(I) (式中、nは前記不活性化層の全体の平均的な波長λで
の屈折率の実数部分を表す) なお、上式はあくまでも望ましい範囲を規定したもので
あり、厚みが0.2nm以下の場合にも改善効果は確認
されている。
【0057】端面に残存する酸素を引き離すために行わ
れるプラズマ照射や熱線の照射、あるいは不活性化層形
成後にコーティング材料の供給とともに行われるプラズ
マ照射(いわゆるIAD法)等によって、不活性化層の
一部では半導体端面由来の酸素による酸化反応が促進さ
れる。このとき、不活性化層には、すべての不活性化層
構成元素が酸化されない程度の厚みがあることが望まし
い。これは、不活性化層全体が酸化されてしまうと、不
活性化層中に一時取り込まれた酸素が長期間レーザを駆
動しているうちに再度、端面の酸化を引き起こす懸念が
あるからである。また、半導体端面を構成する元素はす
べてが酸素との結合を持たないのが好ましいが、不活性
化層全体が酸化されてしまうと、半導体端面を構成する
元素の酸素との結合を完全に無くすことができなくなる
懸念もある。これらは寿命改善の効果を減じることにな
るため好ましくない。
【0058】本発明では、露出した半導体端面上に構成
した不活性化層(14)の上に、さらに誘電体または誘
電体および半導体の組合せからなるコーティング層(1
5)(16)を形成するのが好ましい(図1)。特に、
端面へのプラズマ照射、不活性化層(14)の形成、コ
ーティング層(15)(16)の形成は、連続して負圧
下、より好ましくは真空中で行うことが望ましい。コー
ティング層は、主に半導体レーザからの光の取り出し効
率を上げ、端面の保護を強化するという2つの目的のた
めに形成する。特に高出力を達成するためには、発振波
長に対して低反射率のコーティング層を前端面に施し、
発振波長に対して高反射率のコーティング層を後端面に
施す非対称コーティングを行うのが一般的である。
【0059】コーティング層(15)(16)には、さ
まざまな材料を用いることができる。例えば、AlO
x、TiOx、SiOx、SiN、SiおよびZnSか
らなる群から選ばれる1種または2種以上の組合せを用
いることが好ましい。低反射率のコーティング層として
はAlOx、TiOx、SiOx等が、また高反射率の
コーティング層としてはAlOx/Siの多層膜、Ti
Ox/SiOxの多層膜等が用いられる。それぞれの膜
厚を調節することによって、所望の反射率を実現するこ
とができる。しかし、一般に低反射率のコーティング層
とするAlOx、TiOx、SiOx等の膜厚は、その
波長λでの屈折率の実数部分をnとしてλ/4n近傍に
なるように調整するのが一般的である。また、高反射多
層膜もそれを構成する各材料がλ/4n近傍になるよう
に調整するのが一般的である。
【0060】コーティング層(15)(16)の製法に
おいてはいわゆるIAD(Ion Assisted Depositio
n)法が好適に用いられる。これはコーティング材料の
真空蒸着と同時に、あるエネルギーをもったプラズマ
(特にその中のイオン)を照射する方法であって、特に
希ガスによるプラズマ照射が好適である。さらには希ガ
スの中でもArイオンによるIAD法は、前記コーティ
ング材料の膜質向上に多大な効果がある。特にArイオ
ンの照射エネルギーは、好ましくは25〜300eV程
度、より好ましくは50〜200eV程度の低エネルギ
ー範囲にする。これによって、半導体端面へのダメージ
を与えずにコーティングすることができる。
【0061】ここで注目すべき点は、このコーティング
膜の形成と同時に照射されるプラズマのエネルギーによ
って以下の反応が促進され、半導体端面に酸化物が残存
している場合は少なくともその一部が酸化物の形態をと
らなくなることである。すなわち、不活性化層の中に存
在していて特に半導体端面に隣接している部分の構成元
素が、半導体端面に残存している酸素と結合する反応が
促進される。その結果、半導体端面を構成する元素と酸
素との結合を非常に少なくするか、または皆無にするこ
とが可能になる。したがって、このプラズマ照射も前述
した外因的な表面準位をおさえるために有効である。な
お、プラズマ照射はコーティング膜の形成と同時に行う
のが最も好ましいが、コーティング膜の前後に行うこと
もできる。
【0062】このような反応の促進を可能にするために
は、不活性化層を構成する元素のうちの少なくとも1種
と酸素との生成エンタルピーの絶対値が、化合物半導体
層端面を構成する元素のうちの少なくとも1種と酸素と
の生成エンタルピーの絶対値よりも大きくなければなら
ない。また、供給するプラズマのエネルギーや熱エネル
ギー等が、この反応を引き起こすのに十分な大きさであ
ることも必要である。ただし、これらのエネルギーは半
導体端面に過大なダメージを与えない範囲内で選択する
ことが望ましい。
【0063】例えば、半導体端面にGa−Oが残存して
いるときに、Tiを含む不活性化層を形成し、ここにA
lOxの原料供給を行いながらアルゴンプラズマを照射
すると、不活性化層の半導体端面側のTiはGa−Oに
由来する酸素との結合が促進され、その結果、一部がT
iOxの形態をとるようになる。このため、半導体端面
の一部を構成するGaは酸化物の形態ではなく、金属G
a、または半導体端面を構成する他の元素と結合し、例
えばGa−Asとなる。この結果、Ga−O結合に由来
する半導体端面に存在する非発光再結合中心は大幅に減
少することになり、高出力でありながら長寿命でもある
望ましい半導体発光素子の提供に大きく貢献することが
できる。
【0064】また、上記の反応は原料供給を同時に行う
IAD法でもっとも効果があるが、不活性化層形成後に
単独でイオン照射を不活性化層に行った場合、また不活
性化層形成後に熱線の照射を行った場合、さらにプラズ
マ照射と同時に熱線の照射を行った場合にも同様の効果
をもたらす。
【0065】さらに特にIAD法によって上記反応を誘
導するときには、不活性化層のコーティング膜側ではコ
ーティング膜を構成する一部の元素や製膜時にプラズマ
の形で供給される窒素プラズマ等によって、半導体端面
側とは別の反応が起きることもある。すなわち、コーテ
ィング膜が酸化物であるときには、不活性化層がこれに
よって酸化されることもある。またコーティング膜が窒
化物であるときには、窒化反応が促進されることもあ
る。
【0066】これらの反応の結果、不活性化層は化合物
半導体層端面に隣接する部分が酸化物などからなり、他
の部分が初期に形成した不活性化層の構成元素そのもの
となる場合がある。また、不活性化層は化合物半導体層
端面に隣接する部分が酸化物等からなり、中間部が初期
に形成した不活性化層の構成元素あるいは化合物そのも
のからなり、コーティング層に隣接する部分が酸化物、
窒化物、硫化物等からなる場合がある。これらの各層の
厚みは初期に形成される不活性化層の厚みに依存する。
通常は、半導体端面側、またコーティング膜側には1〜
10Å程度の酸化物層または窒化物層が生成され、その
中心にはさらに変質しない数Åから数十Åの不活性化層
が残る。
【0067】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。以下の実施例に示す材料、濃度、厚さ、操
作手順等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更
することができる。したがって、本発明の範囲は以下の
実施例に示す具体例に制限されるものではない。
【0068】(実施例1)図2に示すグルーブ型のレー
ザ素子を以下の手順にしたがって製造した。キャリア濃
度1×1018cm-3のn型GaAs基板(1)の(10
0)面上に、MBE法にて、バッファ層(2)として厚
さ1μmでキャリア濃度1×1018cm-3のn型GaA
s層;第一導電型クラッド層(3)として厚さ1.5μ
mでキャリア濃度1×1018cm-3のn型Al0.35Ga
0.65As層;次いで、厚さ30nmのアンドープのGa
As光ガイド層上に厚さ6nmのアンドープIn0.16
0.84Asの単一量子井戸(SQW)、さらにその上に
厚さ30nmのアンドープGaAs光ガイド層を有する
活性層(4);第二導電型第一クラッド層(5)として
厚さ0.1μmでキャリア濃度1×1018cm-3のp型
Al0.35Ga0. 65As層;第2エッチング阻止層(6)
として厚さ10nmでキャリア濃度1×1018cm-3
p型GaAs層;第一エッチング阻止層(7)として厚
さ20nmでキャリア濃度5×1017cm-3のn型In
0.5Ga0.5P層;電流ブロック層(9)として厚さ0.
5μmでキャリア濃度5×1017cm-3のn型Al0.39
Ga0.61As層;キャップ層(10)として厚さ10n
mでキャリア濃度1×10 18cm-3のn型GaAs層を
順次積層した。
【0069】最上層の電流注入領域部分を除く部分に窒
化シリコンのマスクを設けた。このとき、窒化シリコン
マスクの開口部の幅は1.5μmとした。第一エッチン
グ阻止層(7)をエッチングストップ層として25℃で
30秒間エッチングを行い、電流注入領域部分のキャッ
プ層(10)と電流ブロック層(9)を除去した。エッ
チング剤は、硫酸(98wt%)、過酸化水素(30w
t%水溶液)および水を体積比で1:1:5で混合した
混合液を使用した。
【0070】次いでHF(49%)とNH4F(40
%)を1:6で混合した混合液に2分30秒浸漬して窒
化シリコン層を除去した。その後、第2エッチング阻止
層(6)をエッチングストップ層として25℃で2分間
エッチングを行い、電流注入領域部分の第一エッチング
阻止層(7)をエッチング除去した。エッチング剤は、
塩酸(35wt%)と水を2:1に混合した混合液を使
用した。
【0071】その後、MOCVD法にて第二導電型第二
クラッド層(8)としてキャリア濃度1×1018cm-3
のp型Al0.35Ga0.65As層を埋め込み部分(電流注
入領域部分)の厚さが1.5μmになるように成長させ
た。さらに、電極との良好な接触を保つためのコンタク
ト層(11)として、キャリア濃度1×1019cm-3
p型GaAs層を厚さ3.5μmになるように成長させ
た。電流注入領域の幅W(第二エッチング阻止層との界
面における第二導電型第二クラッド層の幅)は2.2μ
mであった。さらに、基板側にはn型電極(13)とし
てAuGeNi/Auを、またp型電極(12)にはT
i/Pt/Auを蒸着させ400℃で合金化を5分間行
って半導体ウエハーを完成させた。
【0072】続いて、大気中で、共振器長700μmの
レーザバーの状態に劈開して(110)面を露出させ、
プラズマ発生装置を有する真空チャンバーの中に入れ
た。3x10-5Torrの真空チャンバー内で、平均エネル
ギー60eV、電流密度150μA/cm2のArプラ
ズマを1分間端面(劈開面)に照射した。連続して、2
x10-7Torr以下の真空中で通常の電子ビーム蒸着法を
用いてTiを2nm端面に堆積させて、Ti不活性化層
(14)を形成した。さらに連続的にAlOx膜を発振
波長980nmにおいて前端面の反射率が2.5%にな
るように165nm製膜し、コーティング層(15)を
形成した。AlOx製膜はIAD法により行い、4x1
-5Torrの真空中でAlOxの端面への供給と同時に平
均エネルギー120eV、電流密度200μA/cm2
Arプラズマを照射した。
【0073】さらに後端面側の処理を行うために、一度
レーザバーを真空層から取り出した。後端面側において
も前端面側と全く同様にしてArプラズマ照射、Ti不
活性化層(14)の形成、さらに連続して、厚さ170
nmのAlOx層/厚さ60nmのアモルファスSi層
/厚さ170nmのAlOx層/厚さ60nmのアモル
ファスSi層の4層からなるコーティング層(16)を
形成し、反射率92%の後端面を作製した。AlOx膜
の製膜は、前端面側と同様にIAD法により行ない、ア
モルファスSiの形成は前端面側と同様の電子ビーム蒸
着法により行った。
【0074】得られた化合物半導体発光素子の1サンプ
ル前端面の端面分析のためにXPS測定を行なった。先
ず前端面のAlOxの厚さをウエットエッチングによっ
て20Å程度にしてから、測定を行った。光電子のとり
だし角度は75度として、半導体レーザ端面の状態を観
測した。この結果、大気に一度さらされた(110)面
に通常存在するGa−OとAs−Oは、まったく検出さ
れなかった。
【0075】また、角度分解XPS法を用いて、Tiの
状態を調べた。この結果、良好な真空中で製膜したにも
かかわらずTiの半導体界面側はTiOxとなっている
ことが確認された。これは、最初のプラズマ照射を経て
もなお化合物半導体の端面に残存している酸化物の酸素
が、コーティング時のプラズマ照射のエネルギーによっ
て、不活性化層として製膜したTiと結合したものであ
る。なお、Ga23の生成エンタルピーは−5.64eV
/ metal atomであり、TiO2の生成エンタルピーは−
9.74eV/ metal atomである。
【0076】さらに、角度分解XPS法により、不活性
化層として製膜したTiのAlOxコーティング膜との
界面も、AlOxからの酸素によって一部がTiOxと
なっていることが確認された。すなわち、不活性化層と
して製膜したTiの層は、半導体端面側からTiOx/
Ti/TiOxの構造となっていたことを確認した。そ
れぞれの厚みはおよそ6Å/6Å/8Åであった。
【0077】製造した化合物半導体発光素子10デバイ
スを放熱用サブマウント上にのせ、窒素雰囲気中でパッ
ケージした。この化合物半導体発光素子の平均的初期特
性は、25℃で閾値電流が23mAであり、350m
A、250mWでキンクが観測された。この集団に対し
て寿命試験を行なった。200mW、50℃で加速試験
をした結果、図3に示す通り1000時間経過した時点
でも突然死はなく安定な動作が確認された。
【0078】(実施例2)前端面と後端面に対して、と
もに平均エネルギー120eV、電流密度150μA/
cm2のH2プラズマを5分間照射し、その際にハロゲン
ランプを用いて端面での温度を400度程度に上昇させ
た点を変更した以外は、実施例1と同様にして化合物半
導体発光素子を作製した。
【0079】得られた化合物半導体発光素子の1サンプ
ル前端面の端面分析のためにXPS測定を行なった。先
ず前端面のAlOxの厚さをウエットエッチングによっ
て20Å程度にしてから、測定を行った。光電子のとり
だし角度は75度として、半導体レーザ端面の状態を観
測した。この結果、大気に一度さらされた(110)面
に通常存在するGa−OとAs−Oは、まったく検出さ
れなかった。
【0080】また、角度分解XPS法を用いて、Tiの
状態を調べた。この結果、良好な真空中で製膜したにも
かかわらずTiの半導体界面側はTiOxとなっている
ことが確認された。これは、最初のプラズマ照射を経て
もなお化合物半導体の端面に残存している酸化物の酸素
が、コーティング時のプラズマ照射のエネルギーによっ
て、不活性化層として製膜したTiと結合したものであ
る。
【0081】さらに、角度分解XPS法により、不活性
化層として製膜したTiのAlOxコーティング膜との
界面も、AlOxからの酸素によって一部がTiOxと
なっていることが確認された。すなわち、不活性化層と
して製膜したTiの層は、半導体端面側からTiOx/
Ti/TiOxの構造となっていたことを確認した。そ
れぞれの厚みはおよそ5Å/8Å/7Åであった。
【0082】製造した化合物半導体発光素子5デバイス
を放熱用サブマウント上にのせ、窒素雰囲気中でパッケ
ージした。この化合物半導体発光素子の平均的初期特性
は、25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、
250mWでキンクが観測された。この集団に対して寿
命試験を行なった。200mW、50℃で加速試験をし
た結果、図4に示す通り1000時間経過した時点でも
突然死はなく安定な動作が確認された。
【0083】(実施例3)前端面および後端面に不活性
化層を形成した後、その不活性化層に対して、コーティ
ング層の原料供給を行わずに4×10-5Torrの真空中で
平均エネルギー110eV、電流密度200μA/cm
2のArプラズマを30秒ほど照射し、引き続きAlO
xを通常の電子ビーム蒸着によって形成した点を変更し
た以外は、実施例1と同様にして化合物半導体発光素子
を作製した。
【0084】得られた化合物半導体発光素子の1サンプ
ル前端面の端面分析のためにXPS測定を行なった。先
ず前端面のAlOxの厚さをウエットエッチングによっ
て20Å程度にしてから、測定を行った。光電子のとり
だし角度は75度として、半導体レーザ端面の状態を観
測した。この結果、大気に一度さらされた(110)面
に通常存在するGa−OとAs−Oは、まったく検出さ
れなかった。
【0085】また、角度分解XPS法を用いて、Tiの
状態を調べた。この結果、良好な真空中で製膜したにも
かかわらずTiの半導体界面側はTiOxとなっている
ことが確認された。これは、最初のプラズマ照射を経て
もなお化合物半導体の端面に残存している酸化物の酸素
が、コーティング時のプラズマ照射のエネルギーによっ
て、不活性化層として製膜したTiと結合したものであ
る。
【0086】さらに、角度分解XPS法により、不活性
化層として製膜したTiのAlOxコーティング膜との
界面も、AlOxからの酸素によって一部がTiOxと
なっていることが確認された。すなわち、不活性化層と
して製膜したTiの層は、半導体端面側からTiOx/
Ti/TiOxの構造となっていたことを確認した。そ
れぞれの厚みはおよそ7Å/5Å/8Åであった。
【0087】製造した化合物半導体発光素子5デバイス
を放熱用サブマウント上にのせ、窒素雰囲気中でパッケ
ージした。この化合物半導体発光素子の平均的初期特性
は、25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、
250mWでキンクが観測された。この集団に対して寿
命試験を行なった。200mW、50℃で加速試験をし
た結果、図5に示す通り1000時間経過した時点でも
突然死はなく安定な動作が確認された。
【0088】(実施例4)前端面および後端面に不活性
化層を形成した後、その不活性化層に対して、4×10
-5Torrの真空中で平均エネルギー110eV、電流密度
200μA/cm 2のArプラズマをTi不活性化層が
形成されている端面へ照射し、連続して2×10-7Torr
以下の真空中で通常の電子ビーム蒸着法を用いてさらに
不活性化層となるTiを10Åほど蒸着し、この後さら
に4×10-5Torrの真空中でIAD法を用いて平均エネ
ルギー120eV、電流密度200μA/cm2のAr
プラズマを端面へのAlOx供給と同時に照射した点を
変更した以外は、実施例1と同様にして化合物半導体発
光素子を作製した。
【0089】得られた化合物半導体発光素子の1サンプ
ル前端面の端面分析のためにXPS測定を行なった。先
ず前端面のAlOxの厚さをウエットエッチングによっ
て20Å程度にしてから、測定を行った。光電子のとり
だし角度は75度として、半導体レーザ端面の状態を観
測した。この結果、大気に一度さらされてしまった(1
10)面に通常存在するGa−OとAs−Oは、まった
く検出されなかった。
【0090】また、角度分解XPS法を用いて、Tiの
状態を調べた。この結果、良好な真空中で製膜したにも
かかわらずTiの半導体界面側はTiOxとなっている
ことが確認された。これは、最初のプラズマ照射を経て
もなお化合物半導体の端面に残存している酸化物の酸素
が、コーティング時のプラズマ照射のエネルギーによっ
て、不活性化層として製膜したTiと結合したものであ
る。
【0091】さらに、角度分解XPS法により、不活性
化層として製膜したTiのAlOxコーティング膜との
界面も、AlOxからの酸素によって一部がTiOxと
なっていることが確認された。すなわち、不活性化層と
して製膜したTiの層は、半導体端面側からTiOx/
Ti/TiOxの構造となっていたことを確認した。そ
れぞれの厚みはおよそ7Å/15Å/8Åであった。
【0092】製造した化合物半導体発光素子5デバイス
を放熱用サブマウント上にのせ、窒素雰囲気中でパッケ
ージした。この化合物半導体発光素子の平均的初期特性
は、25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、
250mWでキンクが観測された。この集団に対して寿
命試験を行なった。200mW、50℃で加速試験をし
た結果、図6に示す通り1000時間経過した時点でも
突然死はなく安定な動作が確認された。
【0093】(実施例5)Ti不活性化層の代わりにZ
r不活性化層を形成した点を変更した以外は、実施例1
と同様にして化合物半導体発光素子を作製した。得られ
た化合物半導体発光素子の1サンプル前端面の端面分析
のためにXPS測定を行なった。先ず前端面のAlOx
の厚さをウエットエッチングによって20Å程度にして
から、測定を行った。光電子のとりだし角度は75度と
して、半導体レーザ端面の状態を観測した。この結果、
大気に一度さらされてしまった(110)面に通常存在
するGa−OとAs−Oは、まったく検出されなかっ
た。
【0094】また、角度分解XPS法を用いて、Zrの
状態を調べた。この結果、良好な真空中で製膜したにも
かかわらずZrの半導体界面側はZrOxとなっている
ことが確認された。これは、最初のプラズマ照射を経て
もなお化合物半導体の端面に残存している酸化物の酸素
が、コーティング時のプラズマ照射のエネルギーによっ
て、不活性化層として製膜したZrと結合したものであ
る。
【0095】さらに、角度分解XPS法により、不活性
化層として製膜したZrのAlOxコーティング膜との
界面も、AlOxからの酸素によって一部がZrOxと
なっていることが確認された。すなわち、不活性化層と
して製膜したZrの層は、半導体端面側からZrOx/
Zr/ZrOxの構造となっていたことを確認した。そ
れぞれの厚みはおよそ5Å/8Å/7Åであった。
【0096】製造した化合物半導体発光素子5デバイス
を放熱用サブマウント上にのせ、窒素雰囲気中でパッケ
ージした。この化合物半導体発光素子の平均的初期特性
は、25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、
250mWでキンクが観測された。この集団に対して寿
命試験を行なった。200mW、50℃で加速試験をし
た結果、図7に示す通り1000時間経過した時点でも
突然死はなく安定な動作が確認された。
【0097】(比較例1)前端面および後端面の両面と
も、Ti不活性化層の形成とそれに先立つArプラズマ
照射を行わず、かつコーティング層の形成をIAD法で
はなく、すべての層に対して通常の電子ビーム蒸着法で
行った点を変更した以外は、前記実施例1と同様にして
化合物半導体発光素子を調製した。
【0098】調製した化合物半導体発光素子の平均的初
期特性は、上記実施例と同様に25℃で閾値電流が23
mAであり、350mA、250mWでキンクが観測さ
れた。しかし、寿命試験(200mW、50℃)におい
ては、図8に示すように100時間経過するまでに10
デバイスすべてが突然死した。また、前記実施例1と同
様にXPS分析を行ったところ、端面にGa−Oが存在
することが確認された。
【0099】(比較例2)前端面および後端面の両面と
も、Ti不活性化層の形成を行わなかった点を変更した
以外は、前記実施例1と同様にして化合物半導体発光素
子を調製した。調製した化合物半導体発光素子の平均的
初期特性は、上記実施例と同様に25℃で閾値電流が2
3mAであり、350mA、250mWでキンクが観測
された。しかし、寿命試験(200mW、50℃)にお
いては、図9に示すように1250時間経過した時点で
11デバイス中5デバイスが突然死した。また劣化速度
も実施例1より大きかった。
【0100】(比較例3)前端面および後端面の両面と
も、Ti不活性化層の形成に先立つArプラズマ照射を
行わなかった点を変更した以外は、前記実施例1と同様
にして化合物半導体発光素子を調製した。調製した化合
物半導体発光素子の平均的初期特性は、上記実施例と同
様に25℃で閾値電流が23mAであり、350mA、
250mWでキンクが観測された。しかし、寿命試験
(200mW、50℃)においては、図10に示すよう
に250時間経過した時点で10デバイスすべてが突然
死した。また、前記実施例1と全く同様にXPS分析を
行ったところ、端面に若干のAs−OとGa−Oが存在
することが確認された。
【0101】(比較例4)前端面および後端面の両面と
も、Ti不活性化層の形成およびそれに先立つArプラ
ズマ照射を行わなかった点を変更した以外は、実施例2
と同様にして化合物半導体発光素子を調製した。調製し
た化合物半導体発光素子に対して寿命試験(200m
W、50℃)を行った結果、図11に示すとおり100
時間経過した時点で5デバイスすべてが突然死した。
【0102】
【発明の効果】本発明の化合物半導体発光素子は、端面
での外因的な界面準位密度を長期間にわたって安定に抑
制することができ、高出力かつ長寿命で極めて性能が高
い。また、本発明の化合物半導体発光素子は、端面での
劣化を抑え、大気中での劈開も可能である簡便な方法で
製造することができるという実際上の利点も有する。し
たがって、本発明の化合物半導体発光素子は、多大な工
業的利益を提供するものでありその応用範囲は極めて多
岐にわたる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の化合物半導体発光素子の一態様を示
す斜視図である。
【図2】 本発明の化合物半導体発光素子の一態様を示
す断面図である。
【図3】 実施例1の化合物半導体発光素子の寿命試験
結果である。
【図4】 実施例2の化合物半導体発光素子の寿命試験
結果である。
【図5】 実施例3の化合物半導体発光素子の寿命試験
結果である。
【図6】 実施例4の化合物半導体発光素子の寿命試験
結果である。
【図7】 実施例5の化合物半導体発光素子の寿命試験
結果である。
【図8】 比較例1の化合物半導体発光素子の寿命試験
結果である。
【図9】 比較例2の化合物半導体発光素子の寿命試験
結果である。
【図10】 比較例3の化合物半導体発光素子の寿命試
験結果である。
【図11】 比較例4の化合物半導体発光素子の寿命試
験結果である。
【符号の説明】
1:基板 2:バッファ層 3:第一導電型クラッド層
4:活性層 5:第二導電型第一クラッド層 6:第
二エッチング阻止層 7:第一エッチング阻止層8:第
二導電型第二クラッド層 9:電流ブロック層 10:
キャップ層 11:コンタクト層 12:電極 13:
電極 14:不活性化層 15:コーティング層 1
6:コーティング層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年12月16日(1999.12.
16)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】具体的には、25〜300eV程度の低エ
ネルギーの荷電粒子、即ちイオン、電子またはそれらの
組み合わせであるプラズマ、好ましくはプラズマ種とし
て18属または水素プラズマを照射する方法を例示する
ことができる。ここで、18族のプラズマ種としては、
具体的にはヘリウムまたはアルゴンプラズマ、クリプト
ンプラズマ、キセノンプラズマなどを挙げることができ
る。これらを端面に照射することによって、端面を構成
する元素の酸化物のうち、特にV族またはVI族のよう
な比較的酸化物の蒸気圧の大きいもの(例えばAs−O
等)を取り除くことができる。プラズマ照射は、10-3
Torr以下程度、好ましくは10-4Torr以下、最も好まし
くは10-5Torr以下程度の真空中で行う。後述するよう
に、端面上に形成される不活性化層に対してこのような
プラズマ照射を行うのも、安定的に再現性良く、外因的
な表面準位をおさえるのに寄与しうる点で効果的であ
る。

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第一導電型クラッド層、活性層および第
    二導電型クラッド層を含む化合物半導体層を基板上に有
    し、対向する二つの化合物半導体層の端面が共振器構造
    を形成している化合物半導体発光素子であって、 該化合物半導体層の端面を形成する第一導電型クラッド
    層、活性層および第二導電型クラッド層の表面が4族の
    元素を含む不活性化層で被覆されていることを特徴とす
    る化合物半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 前記化合物半導体層の端面を構成する元
    素の少なくとも1つは酸素との結合を持たず、前記不活
    性化層の化合物半導体層の端面に隣接する部分が酸素を
    構成元素として含有することを特徴とする請求項1に記
    載の化合物半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 前記不活性化層が酸素を構成元素として
    含まない部分を有することを特徴とする請求項1または
    2に記載の化合物半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 前記不活性化層が、TiおよびZrから
    なる群から選択される1以上の元素を含有することを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化合物半導体
    発光素子。
  5. 【請求項5】 前記不活性化層の厚みTp(nm)が下
    記式(I)を満足することを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかに記載の化合物半導体発光素子。 【数1】 0.2(nm)<Tp(nm)<λ/8n(nm)・・・・・(I) (上式において、λは化合物半導体発光素子の発振波長
    (nm)であり、nは不活性化層の波長λにおける全体
    の平均屈折率の実数部分である)
  6. 【請求項6】 前記不活性化層の表面が、誘電体または
    誘電体と半導体との組合せからなるコーティング層で被
    覆されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の化合物半導体発光素子。
  7. 【請求項7】 前記コーティング層が、AlOx、Ti
    Ox、SiOx、SiN、SiおよびZnSからなる群
    から選択される1以上の化合物を含むことを特徴とする
    請求項6に記載の化合物半導体発光素子。
  8. 【請求項8】 前記コーティング層が一端では低反射率
    のコーティング層からなり、他端では高反射率のコーテ
    ィング層からなることを特徴とする請求項6または7に
    記載の化合物半導体発光素子。
  9. 【請求項9】 前記低反射率のコーティング層がAlO
    xを含み、前記高反射率のコーティング層がAlOxお
    よびSiを含むことを特徴とする請求項8に記載の化合
    物半導体発光素子。
  10. 【請求項10】 前記不活性化層のコーティング層に隣
    接する部分が、構成元素として酸素を含むことを特徴と
    する請求項6〜9のいずれかに記載の化合物半導体発光
    素子。
  11. 【請求項11】 前記化合物半導体層の端面が(11
    0)面またはそれと結晶学的に等価な面であることを特
    徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の化合物半導
    体発光素子。
  12. 【請求項12】 前記化合物半導体層の端面が、不活性
    化層形成前にプラズマ照射されていることを特徴とする
    請求項1〜11のいずれかに記載の化合物半導体発光素
    子。
  13. 【請求項13】 前記不活性化層の表面がコーティング
    層の形成時にプラズマ照射されていることを特徴とする
    請求項6〜10のいずれかに記載の化合物半導体発光素
    子。
  14. 【請求項14】 前記プラズマ照射が、エネルギーが2
    5eV以上300eV以下のイオン照射を含むことを特
    徴とする請求項12または13に記載の化合物半導体発
    光素子。
  15. 【請求項15】 前記活性層がInを構成元素として含
    むことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の
    化合物半導体発光素子。
  16. 【請求項16】 前記活性層が、InxGa1-xAs(0
    <x<1)または(Al xGa1-xyIn1-yP(0<
    x,y<1)を含むことを特徴とする請求項15に記載
    の化合物半導体発光素子。
  17. 【請求項17】 前記活性層が量子井戸構造であること
    を特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の化合物
    半導体発光素子。
  18. 【請求項18】 前記不活性化層を構成する元素の酸化
    物の生成エンタルピーの絶対値が、化合物半導体層の端
    面を構成する少なくとも1つの元素の酸化物の生成エン
    タルピーの絶対値よりも大きいことを特徴とする請求項
    1〜17のいずれかに記載の化合物半導体発光素子。
  19. 【請求項19】 前記不活性化層に構成元素として含ま
    れる酸素が、該不活性化層の形成前に化合物半導体層の
    端面を構成する元素と結合していた酸素であることを特
    徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の化合物半導
    体発光素子。
  20. 【請求項20】 前記不活性化層に構成元素として含ま
    れる酸素が、該不活性化層に対するプラズマ照射によっ
    て化合物半導体層の端面から不活性化層に移行した酸素
    であることを特徴とする請求項19に記載の化合物半導
    体発光素子。
  21. 【請求項21】 前記不活性化層に構成元素として含ま
    れる酸素が、該不活性化層に対する熱線の照射によって
    化合物半導体層の端面から不活性化層に移行した酸素で
    あることを特徴とする請求項19記載の化合物半導体発
    光素子。
  22. 【請求項22】 前記不活性化層に構成元素として含ま
    れる酸素が、前記コーティング層の形成時に行われるプ
    ラズマ照射の際に化合物半導体層の端面から不活性化層
    に移行した酸素であることを特徴とする請求項13に記
    載の化合物半導体発光素子。
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