JPH10107362A - 高出力半導体レーザ素子 - Google Patents

高出力半導体レーザ素子

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JPH10107362A
JPH10107362A JP25461696A JP25461696A JPH10107362A JP H10107362 A JPH10107362 A JP H10107362A JP 25461696 A JP25461696 A JP 25461696A JP 25461696 A JP25461696 A JP 25461696A JP H10107362 A JPH10107362 A JP H10107362A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 端面劣化のない高信頼な0.6〜1.0μm
帯高出力半導体レーザを作成する。 【解決手段】 発光ストライプ領域4を有する半導体レ
ーザにおいて、共振器端面に酸化物又はフッ化物の高Δ
0誘電体膜1,2を形成し、さらに前面にAl23
SiO2又はSi34のカバー誘電体膜5を、裏面には
高屈折率層と低屈折率層から成る誘電体多層膜3を形成
する。前記誘電体膜1,2の化学式をMnm(酸化物)
又は Mnm'(フッ化物)とし、常温での標準生成エ
ンタルピーをΔH0とした場合、酸化物ではΔH0/m<
−558 kJ/molを、フッ化物ではΔH0/m'<
−485 kJ/molを満たすことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信及び光情報
処理用光源として有用な高出力半導体レーザ素子に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】GaAs基板上のInGaAs歪量子井
戸層を用いた0.7〜1.0μm帯半導体レーザは、高
効率で優れた温度特性を有するため、ファイバアンプ励
起、固体レーザ励起及び空間光伝送用の高出力光源とし
て大きな市場が見込まれている。従来のInGaAs/
GaAs高出力半導体レーザとしては、たとえば図8,
9のような構造が報告されている(アイイーイーイー
フォトニクス テクノロジー レターズ IEEE Photon
ics Technology Letters, Vol.2, NO. 10, p689-691 1
990 あるいはアイイーイーイー ジャーナル オブ ク
ォンタム エレクトロニクス IEEE Journal of Quant
um Electronics, Vol.30, NO.2, p471-4761994)。
【0003】この構造では、GaAs基板6上にn−A
lGaAsクラッド層25、In0. 24Ga0.76As/G
aAs−SCH活性層26、p−AlGaAsクラッド
層27及びp−GaAsキャップ層10を順次積層す
る。その後ドライエッチング法により、p−AlGaA
sクラッド層27中に発光部となるリッジ構造を形成す
る。600〜900μmの共振器長でへき開面を形成し
た後、前面にAl23膜23、裏面にAl23/TiO
2の誘電体多層膜24をそれぞれ用いて、5%−75%
の非対称コーティング膜を形成する。この構造では、光
及び電流はリッジ構造に有効に閉じこめられており、か
つ非対称コーティング法により発振光を前端面から効果
的に取り出せるため、低しきい値で高効率な発振特性が
得られる。図9の構造では、発振しきい値〜30mA,
最大出力>400mWの高出力特性を得ている。
【0004】一般にInGaAs/GaAs系半導体レ
ーザの高出力特性は、端面破壊(Catastrophic Optical
Damage:COD)によって支配される。レーザ端面には
多くの非発光再結合準位が存在しており、その準位を介
した再結合により端面近傍では注入キャリヤが欠乏して
いる。注入キャリヤの欠乏は、実効的なバンドギャップ
を減少させるため、発振光は端面部で多くの光吸収を受
ける。この光吸収は新たな電子−ホール対を生成し、非
発光準位を介した再結合により端面の温度上昇をもたら
す。端面温度上昇はバンドギャップの減少を誘発し、さ
らなる光吸収の増加をもたらす。このフィードバックル
ープはある光出力以上では暴走状態となり、端面温度が
InGaAsの融点にまで到達し、端面CODが発生す
る。
【0005】この端面COD現象は最大出力だけではな
く、素子の信頼性をも支配する。レーザ端面は通電によ
って酸化が進行するため、その非発光準位も通電ととも
に増大する。これは、エージングによって端面部での光
吸収が増加することを意味し、CODレベルの経時変化
をもたらす。このCODレベルが動作光出力に等しくな
った時点で突発的な端面劣化が発生する。このCODレ
ベルの減少が、高信頼なInGaAs/GaAs系半導
体レーザを実現する上で最大の課題である。図8,9の
構造では、酸化による端面光吸収の増加をAl23誘電
体膜23で防止しているため、高出力でも比較的安定な
動作を得ることができる。この構造では、50℃,60
mWで5000時間以上の安定動作を実現している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の構造で
は端面酸化によるCOD低下を抑制できても、本質的な
端面部での温度上昇を抑制できているわけではない。端
面温度上昇はInGaAs/GaAs半導体とAl23
誘電体との相互拡散を誘発する。この相互拡散はレーザ
端面近傍の結晶欠陥を増加させるため、光吸収の増加、
すなわちCODレベルの減少をもたらす。こうしたパッ
シベイション膜と半導体表面との相互拡散による端面劣
化現象は、例えば文献(電子情報通信学会論文誌 C-I
Vol.J78-C-I No.3 pp.143-149 1995)に報告されて
いる。この相互拡散現象は、端面酸化現象に比べてゆる
やかに進行するため、Al23膜を誘電体膜とした素子
では、アンコート素子に比べて安定な動作を実現でき
る。しかし、CODレベルの経時変化を完全には防止で
きないため、150mW以上の高出力では安定動作を得
ることは出来ない。こうした高出力レベルでの信頼性の
低さが従来構造の問題点であった。また、この相互拡散
に起因した端面劣化は、0.9〜1.0μm帯のInG
aAs/GaAs系半導体レーザだけでなく、GaAs
又はAlGaAsを量子井戸層とする0.7〜0.8μ
m帯半導体レーザ及びGaInP/AlGaInP系の
0.6μm帯半導体レーザにも共通する現象であり、こ
れら高出力半導体レーザの安定動作を実現する上で最大
の課題であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明を構成する手段は
主に四つあり、その一つは共振器端面の少なくとも一方
に、酸化物誘電体からなる保護膜を形成する半導体レー
ザであって、前記酸化物誘電体の化学式をMnm(Mは
金属原子、nは金属原子数、mは酸素原子数を表す)、
常温での標準生成エンタルピーをΔH0とした時、ΔH0
/m<−558 kJ/molを満たすことを特徴とす
る。
【0008】他の一つは、酸化物誘電体からなる第1保
護膜と他の誘電体からなる第2保護膜の2層の保護膜を
順次形成する半導体レーザ素子であって、前記酸化物誘
電体の化学式をM nm(Mは金属原子、nは金属原子
数、mは酸素原子数を表す)、常温での標準生成エンタ
ルピーをΔH0とした時、ΔH0/m<−558 kJ/
molを満たし、かつ前記第2保護膜がAl23,Si
34又はSiO2からなることを特徴とする。
【0009】他の一つは、共振器端面の少なくとも一方
に、フッ化物誘電体からなる保護膜を形成する半導体レ
ーザであって、前記フッ化物誘電体の化学式をMnm'
(Mは金属原子、nは金属原子数、m’はフッ素原子数
を表す)、常温での標準生成エンタルピーをΔH0とし
た時、ΔH0/m’<−485 kJ/molを満たす
ことを特徴とする。
【0010】さらに他の一つは、共振器端面の少なくと
も一方に、フッ化物誘電体からなる第1保護膜と他の誘
電体からなる第2保護膜の2層の保護膜を順次形成する
半導体レーザ素子であって、前記フッ化物誘電体の化学
式をMnm'(Mは金属原子、nは金属原子数、m’は
フッ素原子数を表す)、常温での標準生成エンタルピー
をΔH0とした時、ΔH0/m’<−485 kJ/mo
lを満たし、かつ前記第2保護膜がAl23,Si34
又はSiO2からなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】前述したように、端面を誘電体膜
で保護しても端面の温度上昇に起因して半導体/誘電体
間の相互拡散が発生し、通電とともにCODレベルが減
少していく。この相互拡散は熱現象であるため、半導体
/誘電体界面の熱力学的安定性によって左右される。界
面が熱的に安定であれば、温度上昇によって相互拡散が
発生しづらく、結果的にCODレベルの低下が抑制され
る。材料の熱力学的安定性は、標準生成エンタルピーΔ
0を用いて考察できる。ΔH0は材料を各構成元素から
生成した場合に発生する反応熱であり、負で絶対値が大
きい程、その材料の熱的安定性が高いことを示してい
る。また化学的な安定性もΔH0を用いて推定すること
ができる。例えば、従来用いられているAl23誘電体
膜とGaAsが反応してGa23が生成するような以下
の化学反応を考えた場合、 1/2Al23+GaAs→1/2Ga23+Al+A
s この反応での生成熱は、各材料の標準生成エンタルピー
から +1/2ΔH0(Al23)+ΔH0(GaAs)−1/
2ΔH0(Ga23) で求めることができる。この値は−364.15 kJ
/molとなり、吸熱反応となるため、一般に反応は進
まない。すなわちAl23と反応させて、1モルのGa
Asを酸化させるためには、外部から−364.15k
Jの熱量が必要であり、常温では反応しづらい事を示唆
している。
【0012】一般の金属酸化物MnmとGaAsとの以
下のような反応を考えた場合、 3/2mMnm+GaAs →1/2Ga23+3n/
2mM+As での生成熱も同様に各材料の標準生成エンタルピーを用
いて +3/2mΔH0(Mnm)+ΔH0(GaAs)−1/
2ΔH0(Ga23) で求めることができる。この値が負で絶対値が大きいほ
ど1モルのGaAsを酸化させるのに多くの外部熱量を
必要とするため、反応が進みづらくなる。H0(GaA
s)とΔH0(Ga23)は定数であるため、ΔH0(M
nm)/mの値が負で絶対値が大きいほど反応に必要な
熱量が多くなる。表1には、従来のAl23と、本発明
で用いる各種材料の、ΔH0,ΔH0/m及び1モルのG
aAsを酸化させるのに必要な外部熱量を示す。Sc2
3等,本発明で用いる酸化物誘電体は、ΔH0/mの絶
対値がAl23よりも大きく、従ってGaAsとの反応
がAl23に比べて進行しづらい。これは、本発明の構
造を用いれば、誘電体膜と半導体界面との相互拡散が発
生しづらくなり、CODレベルの低下を効果的に抑制で
きる。すなわち端面劣化のない高信頼な半導体レーザを
実現できる。
【0013】
【表1】
【0014】また上記の酸化物誘電体だけでなく、熱的
に安定な金属フッ化物も誘電体膜として用いることがで
きる。一般の金属フッ化物Mnm'とGaAsとの以下
のような反応を考えた場合、 3/m’Mnm'+GaAs→GaF3+3n/m’M+
As での生成熱は、各材料の標準生成エンタルピーを用いて +3/m’ΔH0(Mnm')+ΔH0(GaAs)−Δ
0(GaF3) で求めることができる。表2には、本発明で用いる各種
フッ化物材料の、ΔH0,ΔH0/m’及び1モルのGa
Asをフッ化させるのに必要な外部熱量を示す。本発明
で用いるThF4,SmF3,YF3,HoF3,Nd
3,ScF3等のフッ化物では、この外部熱量がAl2
3との反応を考えた場合より常に大きく、従ってGa
Asとの反応がAl23より進みづらいことを示してい
る。すなわち本発明のフッ化物を誘電体膜として用いれ
ば、半導体界面との相互拡散が発生しづらくなり、CO
Dレベルの低下を効果的に抑制できる。ここで、対象と
するフッ化物(Mnm')がAl23に比べてGaAs
との反応性が低くなるためには、 +3/m’ΔH0(Mnm')+ΔH0(GaAs)−Δ
0(GaF3)<+1/2ΔH0(Al23)+ΔH
0(GaAs)−1/2ΔH0(Ga23)、 すなわちΔH0(Mnm')/m’<−485.38 k
J/molを満足すればよい。
【0015】
【表2】
【0016】次に図面を用いて本発明を詳しく説明す
る。
【0017】図1、2は本発明の基本的な構造を模式的
に示している。発光ストライプ領域4を有するIII−V
族半導体レーザにへき開により共振器端面を形成した
後、両端面に高い標準生成エンタルピー(ΔH0)を有
するSc23等の高誘電体膜1、2を形成する。薄膜の
形成法には、高周波スパッタ法、イオンビームスパッタ
法、及び電子ビーム蒸着法を用いる。さらに片側端面に
は、高屈折率層と低屈折率層を交互に積層した誘電体多
層膜3を形成する。高屈折率層としては、アモルファス
Si、TiO2等を、また低屈折率層としてはAl
23,SiO2,Si34等を用いる。ここで、各層の
層厚は、発振波長λの半導体レーザに対しそれぞれ以下
のように設定する。
【0018】
【表3】 この構造で、前面3〜32%、裏面>90%の非対称共
振器が形成される。
【0019】高ΔH0誘電体膜1,2としては、化学式
をMnm、常温での標準生成エンタルピーをΔH0とし
た時、ΔH0/m<−558 kJ/molを満たす、
前記表1に示したようなSc23,Y23,Er23
Tm23,Ho23,Lu23,Tb23,Sm23
Gd23,Yb23,Pr23,HfO2等の酸化物誘
電体を用いる。また、酸化物誘電体だけでなく、化学式
をMnm'、常温での標準生成エンタルピーをΔH0とし
た時、ΔH0/m’<−485 kJ/molを満たす
前記表2に示したようなThF4,SmF3,YF3,H
oF3,NdF3,ScF3等のフッ化物誘電体を用いる
こともできる。
【0020】これらの材料は半導体レーザの発振光に対
して必ずしも透明とは限らない。発振光に対して吸収損
失がある場合は、高ΔH0誘電体膜1,2を10nm程
度と薄膜化した図2の構造が望ましい。この場合、前面
にはさらにAl23,SiO 2,Si34等のカバー誘
電体膜5で覆い、2層構造全体での光路長を設定反射率
に応じて4分の1〜2分の1波長に設定すればよい。ま
た裏面には、同様な誘電体多層膜3を形成するが、高Δ
0誘電体膜2と多層膜3の第1層とから成る光路長を
4分の1波長となるようにする。図2の構造では、光学
的透明性が十分でなくとも、吸収損失のない非対称共振
器面を形成することができる。
【0021】
【実施例】
実施例1 次に本発明の具体的な実施例を図3,4を用いて説明す
る。これは、リッジ埋め込み型InGaAs/GaAs
歪量子井戸レーザに本発明を適用した例である。
【0022】まず、MOVPE法又はMBE法を用いて
n−GaAs基板6上にn−AlyGa1-yAsクラッド
層7(Siドープ1×1017cm-3、層厚1.5μ
m)、ノンドープSCH活性層8、p−AlyGa1-y
sクラッド層9(Mgドープ1×1018cm-3、層厚
1.5μm)、p−GaAsキャップ層10(Mgドー
プ5×1018cm-3、層厚0.5μm)を順次積層す
る。ここで、活性層8は図4に示すように、グレーディ
ッド光ガイド層(Al組成yから0まで線形に変化、層
厚120nm)の中央に2層のInxGa1-xAs歪量子
井戸層(0<X<0.3,層厚5nm)及びGaAsバ
リヤ層(層厚5nm)を配置した構造とする。次にフォ
トリソグラフィーの手法で成長層表面の<−110>方
向に幅3μmのSiO2マスクを形成した後、ドライ又
はウェットのエッチングを用いてSCH活性層8までの
距離を0.3μmとしたメサストライプを形成する。そ
の後再びMOVPE法を用いて、メサ側部に選択的にn
−AlZGa1-ZAs電流ブロック層11(y<Z,Si
ドープ1×1017cm-3、層厚1.2μm)を形成す
る。この電流ブロック層の働きで、電流及び光が効果的
に発光ストライプ領域4に閉じこめられる。さらにSi
2マスクを除去した後、p側全面にp−GaAsキャ
ップ層10(Mgドープ5×1018cm-3、層厚0.5
μm)を形成し、n側にAuGeNi/AuNi電極1
2、p側にTi/Pt/Au電極13を形成する。さら
にへき開法により700μmのレーザ共振器を切り出
し、両端面に図1又は2に示す高ΔH0誘電体膜1,2
を含むコーティングを行って、本発明の一実施例の構造
が実現できる。
【0023】実施例2 図5は、本発明の別の具体的な実施例を示している。こ
れは、リッジ型InGaAs/GaAs歪量子井戸レー
ザに本発明を適用した例である。
【0024】まず図3と同様にMOVPE法又はMBE
法を用いてn−GaAs基板6上にn−AlyGa1-y
sクラッド層7(Siドープ1×1017cm-3、層厚
1.5μm)、ノンドープSCH活性層8、p−Aly
Ga1-yAsクラッド層9(Mgドープ1×1018cm
-3、層厚1.5μm)、p−GaAsキャップ層10
(Mgドープ5×1018cm-3、層厚0.5μm)を順
次積層する。ここで、活性層8は図4に示すように、グ
レーディッド光ガイド層(Al組成yから0まで線形に
変化、層厚120nm)の中央に2層のInxGa1-x
s歪量子井戸層(0<X<0.3,層厚5nm)及びG
aAsバリヤ層(層厚5nm)を配置した構造とする。
次にフォトリソグラフィーの手法で成長層表面の<−1
10>方向に幅3μmのマスクを形成した後、ドライ又
はウェットのエッチングを用いてSCH活性層8までの
距離を0.3μmとしたメサストライプを形成する。メ
サ上部を除いてSiO2等の絶縁膜をp側全面に形成し
た後、n側にAuGeNi/AuNi電極12、p側に
Ti/Pt/Au電極13を形成する。この構造で、電
流及び光が効果的に発光ストライプ領域4に閉じこめら
れる。さらにへき開法により700μmのレーザ共振器
を切り出し、両端面に図1又は2に示す高ΔH0誘電体
膜1,2を含むコーティングを行って、本発明の一実施
例の構造が実現できる。
【0025】この実施例では半導体と接しているのは、
熱的に安定な高ΔH0誘電体膜であるため、カバー用の
誘電体膜5との相互拡散は発生せず、端面劣化は発生し
ない。一方、共振器面の反射率はカバー用の誘電体膜5
でコントロールできるため、非対称共振器による高いス
ロープ効率を実現できる。
【0026】以上はInGaAs歪量子井戸層を用いた
0.9〜1.0μm帯の半導体レーザを用いて説明した
が、GaAs又はAlGaAsを量子井戸層とする0.
7〜0.8μm帯の半導体レーザにも適用することがで
きる。さらにGaInP/AlGaInP材料を用いた
0.6μm帯赤色半導体レーザにも適用することが可能
である。
【0027】実施例3 図6,7は赤色半導体レーザに本発明を適用した例を示
している。まずMOVPE法を用いてn−GaAs基板
6上にn−(Al0.6Ga0.40.5In0.5Pクラッド層
17(Siドープ1×1017cm-3、層厚1.5μ
m)、ノンドープの多重量子井戸活性層18、p−(A
0.6Ga0.40.5In0.5Pクラッド層19(Znドー
プ1×1018cm-3、層厚1.5μm)、p−GaAs
キャップ層10(Znドープ5×1018cm-3、層厚
0.5μm)を順次積層する。ここで、多重量子井戸活
性層18は、図7に示すように4層のGa0.5In0.5
量子井戸層21(層厚9nm,歪み量+0.4%)及び
3層の(Al0.6Ga0.40.5In0.5Pバリヤ層22
(層厚4nm)から形成される。次にフォトリソグラフ
ィーの手法で成長層表面の<−110>方向に幅4μm
のマスクを形成した後、ドライ又はウェットのエッチン
グを用いて多重量子井戸活性層18までの距離を0.3
μmとしたメサストライプを形成する。その後再びMO
VPE法を用いて、メサ側部に選択的にn−GaAs電
流ブロック層20(Siドープ1×1017cm-3、層厚
1.2μm)を形成する。この電流ブロック層の働き
で、電流及び光が効果的に発光ストライプ領域4に閉じ
こめられる。さらにSiO2マスクを除去した後、p側
全面にp−GaAsキャップ層10(Znドープ5×1
18cm -3、層厚0.5μm)を形成し、n側にAuG
eNi/AuNi電極12、p側にTi/Pt/Au電
極13を形成する。さらにへき開法により700μmの
レーザ共振器を切り出し、両端面に図1、2に示す高Δ
0誘電体膜1,2を含むコーティングを行って、本発
明の一実施例の構造が実現できる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、CODレベルを維持し
て端面劣化のない高信頼性の0.6〜1.0μm帯高出
力半導体レーザ素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す基本構造図である
【図2】本発明の別の実施例を示す基本構造図である
【図3】本発明の一実施例を示す構造斜視図である
【図4】本発明の一実施例における活性層周辺の層構造
を示す図である
【図5】本発明の別の実施例を示す構造斜視図である
【図6】本発明の別の実施例を示す構造斜視図である
【図7】本発明の別の実施例における活性層周辺の層構
造を示す図である
【図8】従来の高出力半導体レーザを示す構造図である
【図9】従来の高出力半導体レーザを示す構造斜視図で
ある
【符号の説明】
1 高ΔH0誘電体膜(前面) 2 高ΔH0誘電体膜(裏面) 3 誘電体多層膜 4 発光ストライプ領域 5 カバー誘電体膜 6 n−GaAs基板 7 n−AlyGa1-yAsクラッド層 8 SCH活性層 9 p−AlyGa1-yAsクラッド層 10 p−GaAsキャップ層 11 n−AlZGa1-ZAs電流ブロック層 12 AuGeNi/AuNi電極 13 Ti/Pt/Au電極 14 AlGaAsグレーディッド光ガイド層 15 InxGa1-xAs歪量子井戸層 16 GaAsバリヤ層 17 n−(Al0.6Ga0.40.5In0.5Pクラッド
層 18 多重量子井戸活性層 19 p−(Al0.6Ga0.40.5In0.5Pクラッド
層 20 n−GaAs電流ブロック層 21 Ga0.5In0.5P量子井戸層 22 (Al0.6Ga0.40.5In0.5Pバリヤ層 23 Al23誘電体膜 24 Al23/TiO2誘電体多層膜 25 n−AlyGa1-yAsクラッド層 26 In0.24Ga0.76As/GaAs−SCH活性
層 27 p−AlyGa1-yAsクラッド層 28 n−電極 29 p−電極

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共振器端面の少なくとも一方に、酸化物
    誘電体からなる保護膜を形成する半導体レーザであっ
    て、前記酸化物誘電体の化学式をMnm(Mは金属原
    子、nは金属原子数、mは酸素原子数を表す)、常温で
    の標準生成エンタルピーをΔH0とした時、ΔH0/m<
    −558 kJ/molを満たすことを特徴とする半導
    体レーザ素子。
  2. 【請求項2】 共振器端面の少なくとも一方に、酸化物
    誘電体からなる第1保護膜と他の誘電体からなる第2保
    護膜の2層の保護膜を順次形成する半導体レーザ素子で
    あって、前記酸化物誘電体の化学式をMnm(Mは金属
    原子、nは金属原子数、mは酸素原子数を表す)、常温
    での標準生成エンタルピーをΔH0とした時、ΔH0/m
    <−558 kJ/molを満たし、かつ前記第2保護
    膜がAl23,Si34又はSiO2からなることを特
    徴とする半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記酸化物誘電体がSc23,Y23
    Er23,Tm23,Ho23,Lu23,Tb23
    Sm23,Gd23,Yb23,Pr23,及びHfO
    2からなる群より選択されるものであることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 【請求項4】 共振器端面の少なくとも一方に、フッ化
    物誘電体からなる保護膜を形成する半導体レーザであっ
    て、前記フッ化物誘電体の化学式をMnm'(Mは金属
    原子、nは金属原子数、m’はフッ素原子数を表す)、
    常温での標準生成エンタルピーをΔH0とした時、ΔH0
    /m’<−485 kJ/molを満たすことを特徴と
    する半導体レーザ素子。
  5. 【請求項5】 共振器端面の少なくとも一方に、フッ化
    物誘電体からなる第1保護膜と他の誘電体からなる第2
    保護膜の2層の保護膜を順次形成する半導体レーザ素子
    であって、前記フッ化物誘電体の化学式をMnm'(M
    は金属原子、nは金属原子数、m’はフッ素原子数を表
    す)、常温での標準生成エンタルピーをΔH0とした
    時、ΔH0/m’<−485 kJ/molを満たし、
    かつ前記第2保護膜がAl23,Si34又はSiO2
    からなることを特徴とする半導体レーザ素子。
  6. 【請求項6】 前記フッ化物誘電体がThF4,Sm
    3,YF3,HoF3,NdF3,及びScF3からなる
    群より選択されることを特徴とする請求項4又は5に記
    載の半導体レーザ素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2000174379A (ja) * 1998-12-04 2000-06-23 Mitsubishi Chemicals Corp 化合物半導体発光素子
JP2000174377A (ja) * 1998-12-04 2000-06-23 Mitsubishi Chemicals Corp 化合物半導体発光素子
JP2008306126A (ja) * 2007-06-11 2008-12-18 Nec Corp 面発光レーザ

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