JP4219010B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長1.2〜1.6μmでレーザ発振する半導体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバーを用いた光通信システムでは、光ファイバーの損失特性から1.3μm,1.55μmの波長で発振する半導体レーザが光源として用いられている。それらの波長で発光する半導体レーザは、InP基板に結晶成長させたInGaAsPやAlGaInAsといった混晶半導体材料で構成されており、実用的な特性が得られつつあった。しかしながらこれらの混晶材料系を用いて構成された半導体レーザでは、周囲の温度によって発振閾値電流,効率,動作電流等が大きく変化するなど、温度特性が良くない点に問題点があった。通常、半導体レーザの温度特性は特性温度T0で評価されるが、InP上に構成された上記のものにおいては、T0として50〜80K程度の値が報告されている。
【0003】
一方で近年、InP基板に結晶成長させたInGaAsPやAlGaInAsで構成された半導体レーザに比べて格段に温度特性が良好な構成として、GaAs基板に結晶成長させたGaInNAsなる混晶半導体材料を活性層に用いることが提案された。
【0004】
96年度秋季応用物理学会8p−KH−7に報告されたGaInNAsを活性層とする半導体レーザは、図7に示された構成がとられている(第一従来例)。図7の各部の導電型、材料、層厚をまとめて示すと次のようになる。
【0005】
基板1 :n型GaAs
n型クラッド層7:n型Al0.3Ga0.7As
活性層3 :単一量子井戸
井戸層4 :Ga0.7In0.30.004As0.996,層厚7nm
ガイド層6 :GaAs,層厚140nm
p型クラッド層2:p型Al0.3Ga0.7As
コンタクト層9 :p型GaAs
絶縁膜11 :SiO2
このような構成をとることにより、発光層であるGaInNAs量子井戸層4とその上下の層であるGaAsガイド層6,AlGaAsクラッド層2,7とのエネルギーバンドギャップの差が十分に大きくなる為に発光層への注入キャリアの閉じ込めが十分に行われ、半導体レーザの特性が周囲の温度によって変化しにくい高温動作特性に優れた半導体レーザができるとされている。この第一従来例の構成において、T0として126Kの良好な値が報告されている。
【0006】
また、96年度秋季応用物理学会8p−KH−8には、GaAsに格子整合するGaInNAsを活性層とし、p/n両クラッド層を共にGaInPで構成するダブルヘテロ型半導体レーザの構成により、T0として約70〜100Kの良好な温度特性が報告されている(第二従来例)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した第一従来例は特別な電流狭窄構造がとられていないブロードストライプ構造で作製されているが、無効電流を抑えて動作電流を極力低減する為には、埋め込みヘテロ構造に加工するのが望ましい。ところが第一従来例の構造ではクラッド層の構成元素として空気中で酸化しやすいAlを多く含有している為、埋め込みヘテロ構造に加工しようとすると加工断面が酸化され、その影響で活性層に結晶欠陥が誘起される問題点があった。活性層に結晶欠陥が誘起されると素子の寿命が短くなり、光通信用半導体レーザ光源として用いるのに十分な信頼性が得られない。また、半導体レーザ装置を構成する材料にAlが構成元素として含まれていると、結晶成長により各層を作製する際に酸素が混入されやすい。内部に混入された酸素は活性層中で非発光中心を招いてレーザ素子の動作電流の大幅な増加を招き、活性層に結晶欠陥を誘起して素子の寿命が短くなる。
【0008】
Alを含まないGaAsでもGaInNAs活性層より十分に禁制帯幅が大きく、p/n両クラッド層をGaAsで構成することによりこの問題を避けることができるとも考えられるが、GaInNAsとGaAsとのヘテロ接合では価電子帯のバンド不連続(ΔEv)がほとんど無い為、活性層へ注入されたホールの閉じ込めが行えない。その為、Alを混晶化し、Al混晶比xを第一従来例のように例えば0.3程度の大きな値にせざるを得ない。
【0009】
一方で第二従来例においては上述のようなAlの酸化の問題はない点で優れた構成であるものの、バンドラインナップの上で大きな障害があることを見い出した。すなわち、GaInNAsとGaInPとのヘテロ接合では価電子帯のバンド不連続(ΔEv)が約640meVの大きな値になることを見い出し、図8の様にGaInPをp/n両クラッド層とした場合には、p型クラッド層とGaInNAs活性層との間の価電子帯側にスパイク状の大きなエネルギー障壁(図8においてΔEv2で示されている)が発生することがわかった。この為にp型クラッド層から活性層へのホールの注入効率が大幅に低下し、動作電圧の大幅な増加が生じる。この動作電圧、即ち消費電力の大幅な増加は素子の寿命を短くする原因となることがわかった。
【0010】
本発明は上記の問題点を解決することを目的にしてなされたものである。すなわち、半導体レーザの各層を少ないAl混晶比で構成することができ、かつ、クラッド層から活性層への電子・ホールの注入を余分なエネルギー障壁なしに行うことができ、かつ、活性層へ注入された電子・ホールを効果的に閉じ込めることができ、その結果として低電流・長寿命を実現できるように好適にヘテロ接合構造が構成された半導体レーザ装置を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1においては、誘導放出光を発生する活性層と、活性層を挟んで異なる導電型を有するクラッド層を備え、レーザ発振を得るための共振器構造を備えた半導体レーザ装置であって、前記活性層が少なくともGa,In,N,Asを含む層からなり、前記クラッド層のうちでp型の導電型を示す層がAlx1Ga1-x1Asから成り、前記クラッド層のうちでn型の導電型を示す層がAlx2InyGa1-x2-yPから成り、前記半導体レーザ装置を構成する各層のAlのIII族比x1,x2(0≦x1,x2≦1)が0.05以下であることにより上記の目的を達成する。
【0012】
すなわち、GaInNAsから成る活性層に対し、p/n両クラッド層がバンドラインナップの上で好適な材料で構成されている為、GaInNAs活性層へ注入される電子,ホールを効果的に閉じ込め、かつ活性層へのキャリア注入時に過剰なエネルギー障壁が小さくなる。また、各層のAlの混晶比を小さく構成できる為に、素子寿命が長くなる。このような作用により上記の目的が達成されるものである。
【0013】
請求項2においては、誘導放出光を発生する活性層と、活性層を挟んで異なる導電型を有するクラッド層を備え、レーザ発振を得るための共振器構造を備えた半導体レーザ装置であって、前記活性層が少なくともGa,In,N,Asを含む層からなり、前記クラッド層のうちでp型の導電型を示す層がAlx1Ga1-x1Asから成り、前記クラッド層のうちでn型の導電型を示す層が2層以上の多層から成っており、2層以上の多層のn型クラッド層のうちで最も活性層に隣接する層(第一n型クラッド層)がAlx2InyGa1-x2-yPから成っており、その次に隣接する層(第二n型クラッド層)がAlx3Ga1-x3Asから成り、前記半導体レーザ装置を構成する各層のAlのIII族比x1,x2,x3(0≦x1,x2,x3≦1)が0.05以下であることにより上記の目的を達成する。
【0014】
すなわち、GaInNAsから成る活性層に対し、p/n両クラッド層がバンドラインナップの上で好適な材料で構成されている為、GaInNAs活性層へ注入される電子,ホールを効果的に閉じ込め、かつ活性層へのキャリア注入時に過剰なエネルギー障壁が小さくなる。また、各層のAlの混晶比を小さく構成できる為に、素子寿命が長くなる。このような作用により上記の目的が達成されるものである。
【0015】
請求項3においては、前記AlのIII族比が0であることにより上記の目的を達成する。
【0016】
すなわち、各層を構成する材料がAlを含まない為、請求項1〜2の作用・効果をより効果的に実現できるものである。
【0017】
請求項4においては、多層のn型クラッド層のうちで最も活性層に隣接する層(n型第一クラッド層)の厚さが0.02μm以上0.2μm以下であることにより上記の目的を達成する。
【0018】
すなわち、n型第一クラッド層の厚さを一定値以上にしている為、GaInNAs活性層へ注入されるホールを効果的に閉じ込めることができ、請求項2,3の作用を効果的に実現できるものである。また、n型第一クラッド層の厚さを一定値以下にしている為、GaInNAs活性層での発熱を効果的に放熱することができ、請求項2,3の作用を効果的に実現できるものである。
【0019】
請求項5においては、n型の導電型を示す層がヒートシンクに近くしてなることにより上記の目的を達成する。
【0020】
すなわち、GaInNAs活性層での発熱を効果的に放熱することができ、請求項2,3,4の作用を効果的に実現できるものである。
【0021】
請求項6においては、埋め込みヘテロ型の電流狭窄構造を有していることにより上記の目的を達成する。
【0022】
すなわち、各層のAl含有率が低い為に埋め込みヘテロ型の電流狭窄構造を適用することが可能となる。
【0023】
請求項7においては、誘導放出光を発生する活性層と、活性層を挟んで異なる導電型を有するクラッド層を備え、レーザ発振を得るための共振器構造を備えた半導体レーザ装置であって、前記活性層が少なくともGa,In,N,Asを含む層からなり、前記クラッド層のうちでp型の導電型を示す層がAlxGa1-xAs(0≦x≦0.05)から成り、前記クラッド層のうちでn型の導電型を示す層がAlx’Ga1-x’As(0≦x’≦0.05)から成り、前記n型の導電型を示すクラッド層と前記活性層のうちの誘導放出光を発生する層との間に、GaAsの薄膜と引っ張り歪を有するGaAsN層の薄膜が交互に積層された多層構造で構成された中間層を備えたことにより上記の目的を達成する。
【0024】
すなわち、各層のAlの混晶比を小さく構成できる為に、BH構造にしても素子寿命が長くなる。また、GaInNAsから成る発光層に対し、p/n両クラッド層が低Al混晶比のAlGaAs(またはGaAs)からなる場合に生じるホールの閉じ込めが引っ張り歪を有するGaInNAs層またはGaNAs層を少なくとも1層含む中間層によってブロックされる構成となる為、GaInNAs活性層へ注入される電子、ホールを効果的に閉じ込め、かつ活性層へのキャリア注入時に過剰なエネルギー障壁を小さくできる。このような作用により上記の目的が達成されるものである。
【0026】
すなわち、n型クラッド層からGaInNAs活性層へ注入される電子に対して過剰なエネルギー障壁が発生せず、かつ活性層からp型クラッド層へリークするホールを効果的に閉じ込めることができる構成となる。このような作用により上記の目的が達成されるものである。
【0028】
すなわち、n型クラッド層からGaInNAs活性層へ注入される電子に対して過剰なエネルギー障壁が発生せず、かつ活性層からp型クラッド層へリークするホールを効果的に閉じ込めることができる構成となると共に、活性層への光閉じ込めを大きくする光ガイド構造を兼ねることができる。このような作用により上記の目的が達成されるものである。
【0029】
請求項10においては、請求項7から9のいずれかに記載の半導体レーザ装置において、基板の導電型がn型であり、少なくともGa,In,N,Asを含み圧縮歪を有する層を井戸層とする活性層を備えたことにより上記の目的を達成する。
【0030】
すなわち、圧縮歪を有する活性層の下地として前記の引っ張り歪を有するGaInNAs層を少なくとも1層含む中間層を設けることにより、活性層の結晶性を高めることができる。このような作用により上記の目的が達成されるものである。
【0031】
請求項11においては、請求項7から10のいずれかに記載の半導体レーザ装置において、前記AlのIII族比が0であることにより上記の目的を達成する。
【0032】
すなわち、各層を構成する材料がAlを含まない為、請求項7から9の作用・効果をより効果的に実現できるものである。
【0033】
請求項12においては、請求項7から11のいずれかに記載の半導体レーザ装置において、引っ張り歪を有するGa1-hInhkAs1-k層(0≦h<1,0<k<1)を少なくとも1層含む部分が、活性層からn型クラッド層へのホールのリークをブロックするように設けられていることにより上記の目的を達成する。
【0034】
すなわち、請求項7から10のいずれかに記載の構成が最適になるよう構成されている為、その作用・効果をより効果的に実現できるものである。
【0035】
請求項13においては、請求項7から12のいずれかに記載の半導体レーザ装置において、埋め込みヘテロ型の電流狭窄構造を有していることにより上記の目的を達成する。
【0036】
すなわち、各層のAl含有率が低い為に埋め込みヘテロ型の電流狭窄構造を適用することが可能となり、高性能な半導体レーザが実現されるものである。
【0037】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は本発明の第一実施形態による半導体レーザ装置を説明するための図であり、素子内部の構造がわかりやすいようにレーザ出射端面方向から見た断面図となっている。図1の各部の導電型、材料、層厚をまとめて示すと次のようになる。
【0038】
基板1 :n型GaAs,層厚100μm
n型クラッド層7:n型Ga0.51In0.49P,層厚1μm
活性層3 :ノンドープGaInNAs(λ=1.3μm),層厚0.1μm
p型クラッド層2:p型GaAs,層厚1μm
コンタクト層9 :p型GaAs,層厚1μm
電流狭窄層10a:p型Ga0.51In0.49P,層厚0.8μm
電流狭窄層10b:n型Ga0.51In0.49P,層厚0.5μm
電流狭窄層10c:p型Ga0.51In0.49P,層厚0.8μm
絶縁膜11 :SiNx,層厚0.3μm
n型用電極12 :AuGe
p型用電極13 :AuZn
電流狭窄構造は埋め込みヘテロ構造であり、活性層の幅は1.5μmである。また、この素子をp型電極がヒートシンクに接する向きでマウントした。
【0039】
従来のものは活性層を挟むp/n両クラッド層が同一の材料で構成されているのに対し、本実施形態の半導体レーザでは、p型クラッド層にはGaAs、n型クラッド層にはGaInPと、それぞれ異なる材料を用いている点が従来のものと異なる。
【0040】
この構成により作製した半導体レーザは、端面にλ/2コーティングを施した状態で、室温において波長1.3μm,閾値電流10mA,効率0.33W/Aで連続発振した。また、室温から85℃の範囲でのT0は170Kであった。
【0041】
この素子を60℃,10mWで駆動することにより信頼性試験を行ったところ、5000時間以上安定に動作し、光通信用半導体レーザ光源として用いるのに十分な寿命が得られた。比較の為に従来のようにp/n両クラッド層をAl0.3Ga0.7Asで構成されたものに対して埋め込みヘテロ構造を作製しても、1000時間も安定に動作せず、光通信用半導体レーザ光源として用いるのに不十分であった。また、従来のp/n両クラッド層をAl0.3Ga0.7Asで構成されたものに対してリッジ型の電流狭窄構造を作製すると閾値電流30mAと大きくて消費電力が大幅に増加した上、安定な動作は得られなかった。このことから、Alを含まない材料で構成された本実施形態のレーザ素子の第一従来例の構造に対する優位性が確かめられる。
【0042】
図1に示したA−A’間のエネルギーバンドのラインナップを図2に示す。GaInPから成るn型クラッド層7から、GaInNAsから成る活性層3に注入された電子は、GaAsから成るp型クラッド層2による伝導帯のエネルギー障壁ΔEc1(約470meV)により活性層3内に強く閉じ込められる。また、GaAsから成るp型クラッド層2から、GaInNAsから成る活性層3に注入されたホールは、InGaPから成るn型クラッド層7による価電子帯のエネルギー障壁ΔEv1(約640meV)により活性層3内に強く閉じ込められる。また、第二従来例に見られたような活性層へのキャリアの注入時に余分なエネルギー障壁は生じない。この様に本願発明者は、本実施形態の構成を用いることによって、GaInNAsから成る活性層に対して、注入されたキャリアの閉じ込めが十分となり、かつ活性層へのキャリアの注入時に余分なエネルギー障壁が生じなくなることを新たに見い出し、従来の構造に対して格段に低い閾値電流、高い効率、高い温度特性でのレーザ発振が生じるようになった。また、Alを含まない材料系で各層が構成されている為に埋め込みヘテロ構造が採用でき、低い閾値電流、高い効率、十分な素子寿命が得られるようになった。
【0043】
(実施の形態2)
図3は本発明の第二実施形態による半導体レーザ装置を説明するための図である。図3(a)は素子内部の構造がわかりやすいようにレーザ出射端面方向から見た断面図となっている。図3(b)は活性層近傍のX部の拡大図となっている。図3(c)はB−B’間の側面の断面図となっている。図3の各部の導電型、材料、層厚をまとめて示すと次のようになる。
【0044】
基板1 :p型GaAs,層厚100μm
p型クラッド層2 :p型Al0.05Ga0.95As,層厚1μm
活性層3 :三重量子井戸(λ=1.55μm)
井戸層4 :ノンドープGaInNAs,層厚8nm
障壁層5 :ノンドープInGaAsPN,層厚8nm
ガイド層6 :ノンドープInGaAsPN,層厚30nm
n型第一クラッド層7:n型Al0.05Ga0.45In0.5P,層厚0.2μm
n型第二クラッド層8:n型GaAs,層厚0.8μm
コンタクト層9 :n型GaAs,層厚1μm
電流狭窄層10a :p型Ga0.51In0.49P,層厚0.8μm
電流狭窄層10b :n型Ga0.51In0.49P,層厚0.5μm
電流狭窄層10c :p型Ga0.51In0.49P,層厚0.8μm
絶縁膜11 :SiNx,層厚0.3μm
n型用電極12 :AuGe
p型用電極13 :AuZn
導波路構造は埋め込みヘテロ構造であり、活性層の幅wは2μmである。n型第一クラッド層7には回折格子14を備えており、図次はされていないがλ/4シフト回折格子を備え、単一波長でレーザ発振する分布帰還型半導体レーザを構成している。また、この素子をn型電極がヒートシンクに接する向きでマウントした。
【0045】
従来のものは活性層を挟むp/n両クラッド層が同一の材料で構成されているのに対し、本実施形態の半導体レーザでは、p型クラッド層はAl0.05Ga0.95As、n型クラッド層はAl0.05Ga0.45In0.5PとGaAsとの2重構造になっており、かつp/n非対称である点が従来のものと異なる。
【0046】
この構成により作製した半導体レーザは、両端面に無反射コーティングを施した状態で、室温において波長1.55μm,閾値電流8mA,効率0.3W/Aで連続発振した。また、室温から85℃の範囲で見積もったファブリペロー発振時のT0は185Kであった。
【0047】
この素子を、50℃,10mWで信頼性試験を行ったところ、5000時間以上安定に動作し、十分な寿命が得られた。
【0048】
図3に示したB−B’間のエネルギーバンドのラインナップを図4に示す。n型クラッド層7から、GaInNAs/AlGaInNAs多重量子井戸から成る活性層3に注入された電子は、Al0.05Ga0.95Asから成るp型クラッド層2による伝導帯のエネルギー障壁ΔEc1(約510meV)により活性層3内に強く閉じ込められる。また、p型クラッド層2から、活性層3に注入されたホールは、Al0.05Ga0.45In0.5Pから成るn型第一クラッド層7による価電子帯のエネルギー障壁ΔEv1(約680meV)により活性層3内に強く閉じ込められる。本実施形態の構成では注入されたキャリアの閉じ込めが十分であり、かつ活性層へのキャリアの注入時に余分なエネルギー障壁が生じないことを見い出し、低い閾値電流、高い効率、高い温度特性でのレーザ発振が生じるようになった。
【0049】
本実施形態の構造において、n型第一クラッド層は、p型クラッド層から活性層へ注入されたホールがn型クラッド層側へあふれ出るのを抑制する役目を果たす。図4にこのn型第一クラッド層の厚さと特性温度T0との相関を示すように、n型第一クラッド層の厚さは少なくとも0.02μmの厚さが必要であった。これよりも薄くなるとホールのリークを防ぐ障壁層としての効果がない。また、n型第一クラッド層の厚さが0.2μmを超えると再び特性温度が減少し始める為、n型第一クラッド層の厚さは少なくとも0.2μm以内であることが望ましい。これは、n型第一クラッド層を構成するAlGaInPの熱抵抗が特に大きい為に厚くなると活性層での発熱を放熱の点でやや不利となる傾向があると推測できる。活性層で発生する熱を効果的に放熱しないと、活性層に閉じ込められたキャリアのオーバーフローが大きくなる点で望ましくない。
【0050】
本実施形態の構成において、各層のAlのIII族比を上記以外の値にすることも可能である。p/n両クラッド層を構成する各層のうちで最もAlを多く含む層のAlのIII族比(III族元素のうちでAlの占める割合)と素子の劣化率との相関を図6示す。AlのIII族比は0.05以下でないと埋め込みヘテロ構造にした時に寿命がもたないことが見い出された。
【0051】
この様に本願発明者は、本実施形態の構成を用いることによって、GaInNAsから成る層を含む活性層に対して、注入されたキャリアの閉じ込めが十分となり、かつ活性層へのキャリアの注入時に余分なエネルギー障壁が生じなくなることを新たに見い出し、従来の構造に対して格段に低い閾値電流、高い効率、高い温度特性でのレーザ発振が生じるようになった。また、各層のAlのIII族比を一定値以下にすることによって埋め込みヘテロ構造が採用でき、低い閾値電流、高い効率、十分な素子寿命が得られるようになった。
【0052】
(実施の形態3)
図9は本発明の第三実施形態による半導体レーザ装置を説明するための図であり、素子内部の構造がわかりやすいようにレーザ出射端面方向から見た断面図となっている。従来のものは活性層を挟むp/n両クラッド層が同一の材料で構成されているのに対し、本実施形態の半導体レーザでは、p型クラッド層にはGaAs、n型クラッド層にはGaInPとGaAsの2層とし、n型クラッド層と活性層との間にGaInP層を挟んでいる点が従来のものと異なる。図9の各部の導電型、材料、層厚をまとめて示すと次のようになる。
【0053】
Figure 0004219010
電流狭窄構造は埋め込みヘテロ構造であり、活性層の幅は1.5μmである。また、この素子をp型電極がヒートシンクに接する向きでマウントした。
【0054】
この構成により作製した半導体レーザは、端面にλ/2コーティングを施した状態で、室温において波長1.31μm,閾値電流8mA,効率0.35W/Aで連続発振した。また、室温から85℃の範囲でのT0は175Kであった。
【0055】
この素子を85℃,10mWで駆動することにより信頼性試験を行ったところ、5000時間以上安定に動作し、光通信用半導体レーザ光源として用いるのに十分な寿命が得られた。比較の為に従来のようにp/n両クラッド層をAl0.3Ga0.7Asで構成されたものに対して埋め込みヘテロ構造を作製しても、1000時間も安定に動作せず、光通信用半導体レーザ光源として用いるのに不十分であった。また、従来のp/n両クラッド層をAl0.3Ga0.7Asで構成されたものに対してリッジ型の電流狭窄構造を作製すると閾値電流30mA以上と大きくて消費電力が大幅に増加した上、安定な動作は得られなかった。このことから、Alを含まない材料で埋め込みヘテロ型の導波路を構成した本実施形態のレーザ素子が従来の構造に対して格段に優れていることが確かめられた。
【0056】
以下に、本実施形態における作用と効果について説明する。
【0057】
図9に示したC−C’間のエネルギーバンドのラインナップを図10に示す。GaInPから成るn型第一クラッド層7を通して、GaInNAsから成る活性層3に注入された電子は、GaAsから成るp型クラッド層2による伝導帯のエネルギー障壁ΔEc1により活性層3内に強く閉じ込められる。また、GaAsから成るp型クラッド層2から、GaInNAsから成る活性層3に注入されたホールは、InGaPから成るn型第一クラッド層7による価電子帯のエネルギー障壁ΔEv1により活性層3内に強く閉じ込められる。また、第二従来例に見られたようなクラッド層と活性層との間に高いエネルギースパイクが生じることはなく、活性層へのキャリアの注入がスムースに行われる。
【0058】
この様に本願発明者は、本実施形態の構成を用いることによって、GaInNAsから成る活性層に対して、注入されたキャリアの閉じ込めが十分となり、かつ活性層へのキャリアの注入時に余分なエネルギー障壁が生じなくなることを新たに見い出し、従来の構造に対して格段に低い閾値電流、高い効率、高い温度特性でのレーザ発振が生じるようになった。また、Alを含まない材料系で各層が構成されている為に埋め込みヘテロ構造が採用でき、低い閾値電流、高い効率、十分な素子寿命が得られるようになった。
【0059】
なお、本実施形態の構成において、クラッド層等の各層にIII族比は0.05以下までのAlであれば混晶化しても問題がないことは実施形態2の場合と同じであった。
【0060】
(実施の形態4)
図11は本発明の第四実施形態による半導体レーザ装置を説明するための図であり、素子内部の構造がわかりやすいようにレーザ出射端面方向から見た断面図となっている。従来のものは活性層を挟むp/n両クラッド層が同一の材料(AlGaAsまたはInGaP)で構成されていているのに対し、本実施形態の半導体レーザでは、p/n両クラッド層にAlを混晶化していないGaAsを用いながら、n型クラッド層と活性層との間にGaAsの薄膜とGaAsNの薄膜が交互に積層された多層構造を設けてp/n非対称となっている点が従来のものと異なる。図11の各部の導電型、材料、層厚をまとめて示すと次のようになる。
【0061】
Figure 0004219010
電流狭窄構造は埋め込みヘテロ構造であり、活性層の幅は1.2μmである。また、この素子をp型電極がヒートシンクに接する向きでマウントした。
【0062】
この構成により作製した半導体レーザは、端面にλ/2コーティングを施した状態で、室温において波長1.31μm,閾値電流7mA,効率0.33W/Aで連続発振した。また、室温から85℃の範囲でのT0は165Kであった。
【0063】
この素子を85℃,10mWで駆動することにより信頼性試験を行ったところ、5000時間以上安定に動作し、光通信用半導体レーザ光源として用いるのに十分な寿命が得られた。比較の為に従来のようにp/n両クラッド層をAl0.3Ga0.7Asで構成されたものに対して埋め込みヘテロ構造を作製しても、1000時間も安定に動作せず、光通信用半導体レーザ光源として用いるのに不十分であった。また、従来のp/n両クラッド層をAl0.3Ga0.7Asで構成されたものに対してリッジ型の電流狭窄構造を作製すると閾値電流30mA以上と大きくて消費電力が大幅に増加した上、安定な動作は得られなかった。このことから、Alを含まない材料で構成された本実施形態の埋め込みヘテロ型レーザ素子が従来の構造に対して格段に優れていることが確かめられた。
【0064】
以下に、本実施形態における作用と効果について説明する。
【0065】
図11に示したD−D’間のエネルギーバンドのラインナップを図12に示す。GaAsから成るn型第一クラッド層7から、多層膜15を通してGaInNAsを井戸層とする活性層3に注入された電子は、GaAsから成るp型クラッド層2による伝導帯のエネルギー障壁ΔEc1により活性層3内に強く閉じ込められる。また、GaAsから成るp型クラッド層2から、GaInNAsから成る活性層3に注入されたホールは、GaAsとGaAsNから成る多層膜15による価電子帯のエネルギー障壁ΔEv1により活性層3内に強く閉じ込められる。
【0066】
また、第二従来例に見られたようなクラッド層と活性層との間に高いエネルギースパイクが生じることはなく、活性層へのキャリアの注入がスムースに行われる。これは、GaAsにNを混晶化した引っ張り歪GaAsNでは、Nの混晶化に伴ってエネルギーバンドのボーイングによりGaAsに対して価電子帯のエネルギー端が低エネルギー側へ大きくシフトすることから、活性層3とn型クラッド層7との間に引っ張り歪GaAsNを含む多層膜を挟むことによって、活性層3からn型クラッド層7へホールがリークするのを低減することができ、かつn型クラッド層7から活性層3への電子の注入を妨げない構成となるものである。
【0067】
また引っ張り歪GaAsNの部分は、引っ張り歪GaInNAsであってもよい。この様に本願発明者は、本実施形態の構成を用いることによって、GaInNAsから成る活性層に対して、注入されたキャリアの閉じ込めが十分となり、かつ活性層へのキャリアの注入時に余分なエネルギー障壁が生じなくなる構成が得られることを新たに見い出し、従来の構造に対して格段に低い閾値電流、高い効率、高い温度特性でのレーザ発振が生じるようになった。
【0068】
また、Alを含まない材料系で各層が構成されている為に埋め込みヘテロ構造が採用でき、低い閾値電流、高い効率、十分な素子寿命が得られるようになった。さらに、実施形態1,2,3のようにV族元素としてPを含む層を用いることがなく、V族元素が増えることによる結晶成長の困難さをも克服することができた。
【0069】
ところで、本実施形態では、n型クラッド層7の上に引っ張り歪を有する薄層を含む多層膜15を設け、その上に圧縮歪を有するGaInNAs井戸層4を含む活性層3を設けている。このように、圧縮歪を有するGaInNAs井戸層を発光層として用いる場合、その下地に引っ張り歪を有する層を用いると活性層の発光効率が20%程度上昇することがわかった。引っ張り歪を内包した下地の上に圧縮歪を有する発光層を作製した場合、発光層の圧縮歪が下地によって相殺されることによっていると推測される。このように、基板の導電型がn型であり、圧縮歪を有するGaInNAs層を井戸層とする活性層を備えた場合、圧縮歪を有する活性層の下地として前記の引っ張り歪を有するGaAsNまたはGaInNAs層を少なくとも1層含む中間層を設けることにより、活性層へのキャリアの閉じ込め効果の他にも、活性層そのものの質を高める効果も同時に生じていることが見い出された。
【0070】
なお、本実施形態の構成において、クラッド層等の各層にIII族比は0.05以下までのAlであれば混晶化しても問題がないことは実施形態2の場合と同じであった。
【0071】
(実施の形態5)
図13は本発明の第五実施形態による半導体レーザ装置を説明するための図であり、素子内部の構造がわかりやすいようにレーザ出射端面方向から見た断面図となっている。従来のものは活性層を挟むp/n両クラッド層が同一の材料(AlGaAsまたはInGaP)で構成されてp/n対称となっているのに対し、本実施形態の半導体レーザでは、p/n両クラッド層にAlを混晶化していないGaAsを用いながら、n型クラッド層と活性層との間のガイド層にGaAsNの薄膜とGaInNAsの薄膜が交互に積層された多層構造を設けてp/n非対称となっている点が従来のものと異なる。図13の各部の導電型、材料、層厚をまとめて示すと次のようになる。
【0072】
Figure 0004219010
電流狭窄構造は埋め込みヘテロ構造であり、活性層の幅は1.0μmとした。また、この素子をp型電極がヒートシンクに接する向きでマウントした。
【0073】
この構成により作製した半導体レーザは、端面にλ/2コーティングを施した状態で、室温において波長1.31μm,閾値電流6mA,効率0.38W/Aで連続発振した。また、室温から85℃の範囲でのT0は180Kであった。
【0074】
この素子を85℃,10mWで駆動することにより信頼性試験を行ったところ、5000時間以上安定に動作し、光通信用半導体レーザ光源として用いるのに十分な寿命が得られた。比較の為に従来のようにp/n両クラッド層をAl0.3Ga0.7Asで構成されたものに対して埋め込みヘテロ構造を作製しても、1000時間も安定に動作せず、光通信用半導体レーザ光源として用いるのに不十分であった。また、従来のp/n両クラッド層をAl0.3Ga0.7Asで構成されたものに対してリッジ型の電流狭窄構造を作製すると閾値電流30mA以上と大きくて消費電力が大幅に増加した上、安定な動作は得られなかった。このことから、Alを含まない材料で構成された本実施形態の埋め込みヘテロ型レーザ素子が従来の構造に対して格段に優れていることが確かめられた。
【0075】
以下に、本実施形態における作用と効果について説明する。
【0076】
図13に示したE−E’間のエネルギーバンドのラインナップを図14に示す。GaAsから成るn型第一クラッド層7から、GaInNAsを井戸層とする活性層3に注入された電子は、GaAsから成るp型クラッド層2による伝導帯のエネルギー障壁ΔEc1により活性層3内に強く閉じ込められる。また、GaAsから成るp型クラッド層2から、GaInNAsから成る活性層3に注入されたホールは、GaAsNとGaInNAsから成るn側ガイド層6bにより活性層3からn型クラッド層7へ漏れ出ることはない。また、第二従来例に見られたようなクラッド層と活性層との間に高いエネルギースパイクが生じることはなく、活性層へのキャリアの注入がスムースに行われる。
【0077】
これは、GaAsにNを混晶化した引っ張り歪GaAsNでは、Nの混晶化に伴ってエネルギーバンドのボーイングによりGaAsに対して価電子帯のエネルギー端,伝導帯のエネルギー端共に低エネルギー側へ大きくシフトすることから、活性層3とn型クラッド層7との間に引っ張り歪GaAsNを含む多層膜を挟むことによって、活性層3からn型クラッド層7へホールがリークするのを低減することができ、かつn型クラッド層7から活性層3への電子の注入を妨げない構成となるものである。
【0078】
また、引っ張り歪GaAsNの部分は、引っ張り歪GaInNAsであってもよい。また、引っ張り歪GaAsNとペアとして多層に積層する材料は、上記の例では格子整合GaInNAsとしたが、圧縮歪GaInNAsであってもよい。
【0079】
この様に本願発明者は、本実施形態の構成を用いることによって、GaInNAsから成る活性層に対して、注入されたキャリアの閉じ込めが十分となり、かつ活性層へのキャリアの注入時に余分なエネルギー障壁が生じなくなる構成が得られることを新たに見い出し、従来の構造に対して格段に低い閾値電流、高い効率、高い温度特性でのレーザ発振が生じるようになった。また、多層からなるn側ガイド層6bは、クラッド層2,7を構成するGaAsよりも屈折率が高くなる材料で構成されている為、この多層膜を活性層内に設けることによって上述のホールのリークを防ぐ効果と共に光ガイドの効果も兼ねることができる。また、Alを含まない材料系で各層が構成されている為に埋め込みヘテロ構造が採用でき、低い閾値電流、高い効率、十分な素子寿命が得られるようになった。さらに、実施形態1,2,3のようにV族元素としてPを含む層を用いることがなく、V族元素が増えることによる結晶成長の困難さをも克服することができた。
【0080】
ところで、本実施形態では、n型クラッド層7の上に引っ張り歪を有する薄層を含む多層膜ガイド層6bを設け、その上に圧縮歪を有するGaInNAs井戸層4を含む活性層3を設けている。このように、圧縮歪を有するGaInNAs井戸層を発光層として用いる場合、その下地に引っ張り歪を有する層を用いると活性層の発光効率が20%程度上昇することがわかった。引っ張り歪を内包した下地の上に圧縮歪を有する発光層を作製した場合、発光層の圧縮歪が下地によって相殺されることによっていると推測される。このように、基板の導電型がn型であり、圧縮歪を有するGaInNAs層を井戸層とする活性層を備えた場合、圧縮歪を有する活性層の下地として前記の引っ張り歪を有するGaAsNまたはGaInNAs層を少なくとも1層含む中間層を設けることにより、活性層へのキャリアの閉じ込め効果の他にも、活性層そのものの質を高める効果も同時に生じていることが見い出された。
【0081】
なお、本実施形態の構成において、クラッド層等の各層にIII族比は0.05以下までのAlであれば混晶化しても問題がないことは実施形態2の場合と同じであった。
【0082】
上記の全ての実施形態において、いずれも発振波長1.3μmまたは1.55μm、活性層はバルクまたは多重量子井戸のいずれかの構成についてその具体例を示したが、本発明はGaInNAsを含む活性層を有する波長1.2〜1.6μmでレーザ発振する半導体レーザ装置であれば、特定の発振波長,特定の活性層の構成などの特定の組み合わせに限定されるものではない。また、ガイド構造に関しては埋め込みヘテロ型が最も望ましいが、リッジガイド型等、適宜公知の構造を適用することもできる。
【0083】
また、これまでの記述の中で「上」と記したものは基板から離れる方向にあることを示しており、「下」と記したものは基板側の方向にあること示している。また、基板の導電型を上記実施形態に示したものと反転させ、全ての構成を上下逆にしてもよい。
【0084】
本発明の構造を作製する為の結晶成長の方法に対しては、種々の公知技術を適用することが可能である。また、各層のドーパントとなる不純物の種類、ストライプ状の導波路の構造や作製方法、回折格子の構造や作製方法に関しても、様々な公知の技術を用いることが可能である。また、各層の結晶性を良好なものとするために例えば基板と下クラッド層との間等に適宜バッファ層(緩衝層)を用いることも可能である。
【0085】
また、レーザ素子の光出射端面の処理方法、コーティング材料とその形成方法に関して上記実施形態では特定のもに関してしか言及していないが、様々な公知の技術を適用してレーザ素子の構成を変形させることは容易に可能である。
【0086】
さらに、本発明の半導体レーザは上下から電流を注入して端面からレーザ光が出射するもののみならず、面発光レーザ,横注入型のレーザ,光増幅器等にも適用可能である。また、単体のレーザ素子のみならず、光集積回路等におけるモノリシック光源に適用することも可能であることは言うまでもない。
【0087】
【発明の効果】
請求項1,2に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、活性層へ注入される電子,ホールを効果的に閉じ込めかつ活性層へのキャリア注入時に過剰なエネルギー障壁が小さくなるバンドラインナップとなるので低い動作電流・高い特性温度でのレーザ発振が可能となる。さらに、各層がAlの少ない材料で構成されている為に素子の寿命が長くなり、また埋め込みヘテロ型の電流狭窄構造が利用できる為に動作電流が大幅に低減できる。
【0088】
請求項3に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、請求項1〜2の作用・効果をより効果的に実現できるものである。
【0089】
請求項4に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、活性層へ注入されるホールを効果的に閉じ込めることができ、かつ、活性層での発熱を効果的に放熱することができることから、請求項2〜3の作用・効果をより効果的に実現できるものである。
【0090】
請求項5に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、活性層での発熱を効果的に放熱することができることから、請求項2〜4の作用・効果をより効果的に実現できるものである。
【0091】
請求項6に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、請求項1〜5の作用・効果をより効果的に実現できるものであり、動作電流を最も小さくできる。
【0092】
請求項7に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、活性層へ注入される電子,ホールを効果的に閉じ込めかつ活性層へのキャリア注入時に過剰なエネルギー障壁が小さくなるバンドラインナップとなるので低い動作電流・高い特性温度でのレーザ発振が可能となる。さらに、各層がAlの少ない材料で構成されている為に素子の寿命が長くなり、また埋め込みヘテロ型の電流狭窄構造が利用できる為に動作電流が大幅に低減できる。
【0093】
請求項8,9に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、請求項7の作用・効果をより効果的に実現できる。
【0094】
請求項10に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、請求項7〜9の作用・効果をより効果的に実現できると共に、活性層に内包される歪が緩和されて活性層の発光効率が向上する効果が得られ、より望ましい。
【0095】
請求項11に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、請求項7〜10の作用・効果をより効果的に実現できるものである。
【0096】
請求項12に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、請求項7〜11の作用・効果をより効果的に実現できるものである。
【0097】
請求項13に記述された本発明の半導体レーザ装置によれば、請求項7〜12の作用・効果をより効果的に実現できるものであり、動作電流が小さな高性能な半導体レーザ素子が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態による半導体レーザ装置の構造を示す図であり、レーザ出射端面方向から見た断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態による半導体レーザ装置の活性層付近のバンドラインナップを示す図である。
【図3】本発明の第二実施形態による半導体レーザ装置の構造を示す図であり、レーザ出射端面方向から見た断面図である。
【図4】本発明の第二実施形態による半導体レーザ装置の活性層付近のバンドラインナップを示す図である。
【図5】本発明の第二実施形態による半導体レーザ装置のn型第一クラッド層の厚さとT0との相関を示す図である。
【図6】本発明の第二実施形態による半導体レーザ装置のAlのIII族比と素子の劣化率との相関を示す図である。
【図7】第一従来例の半導体レーザ装置の構造を示す図であり、レーザ出射端面方向から見た断面図である。
【図8】第二従来例の半導体レーザ装置の活性層付近のバンドラインナップを示す図である。
【図9】(a)本発明の第三実施形態による半導体レーザ装置の構造を示す図であり、レーザ出射端面方向から見た断面図である。(b)Y部の拡大図を示す。
【図10】本発明の第三実施形態による半導体レーザ装置の活性層付近のバンドラインナップを示す図である。
【図11】(a)本発明の第四実施形態による半導体レーザ装置の構造を示す図であり、レーザ出射端面方向から見た断面図である。(b)Z部の拡大図を示す。
【図12】本発明の第四実施形態による半導体レーザ装置の活性層付近のバンドラインナップを示す図である。
【図13】(a)本発明の第五実施形態による半導体レーザ装置の構造を示す図であり、レーザ出射端面方向から見た断面図である。(b)W部の拡大図を示す。
【図14】本発明の第五実施形態による半導体レーザ装置の活性層付近のバンドラインナップを示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 p型クラッド層
3 活性層
4 井戸層
5 障壁層
6 ガイド層
6a p側ガイド層
6b n側ガイド層
7 n型クラッド層またはn型第1クラッド層
8 n型第2クラッド層
9 コンタクト層
10 電流狭窄層
11 絶縁膜
12 n型用電極
13 p型用電極
14 回折格子

Claims (7)

  1. 誘導放出光を発生する活性層と、活性層を挟んで異なる導電型を有するクラッド層を備え、レーザ発振を得るための共振器構造を備えた半導体レーザ装置であって、
    前記活性層が少なくともGa,In,N,Asを含む層からなり、前記クラッド層のうちでp型の導電型を示す層がAlx1Ga1-x1Asから成り、前記クラッド層のうちでn型の導電型を示す層がAlx2InyGa1-x2-yPから成り、前記半導体レーザ装置を構成する各層のAlのIII族比x1,x2(0≦x1,x2≦1)が0.05以下であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 誘導放出光を発生する活性層と、活性層を挟んで異なる導電型を有するクラッド層を備え、レーザ発振を得るための共振器構造を備えた半導体レーザ装置であって、
    前記活性層が少なくともGa,In,N,Asを含む層からなり、前記クラッド層のうちでp型の導電型を示す層がAlx1Ga1x1Asから成り、前記クラッド層のうちで
    n型の導電型を示す層が2層以上の多層から成っており、そのうちで最も活性層に隣接する層(第一n型クラッド層)がAlx2InyGa1x2-yPから成っており、その次に隣接する層(第二n型クラッド層)がAlx3Ga1x3Asから成り、前記半導体レーザ装置を構成する各層のAlのIII族比x1,x2,x3(0≦x1,x2,x3≦1)が0.05以下であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  3. 請求項1又は2に記載の半導体レーザ装置において、前記AlのIII族比が0であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  4. 請求項2又は3に記載の半導体レーザ装置において、多層のn型クラッド層のうちで最も活性層に隣接する層(n型第一クラッド層)の厚さが0.02μm以上0.2μm以下であることを特徴とする半導体レーザ装置。
  5. 請求項2、3、又は4のいずれかに記載の半導体レーザ装置において、n型の導電型を示す層が、p型の導電型を示す層よりもヒートシンクに近くしてなることを特徴とする半導体レーザ装置。
  6. 請求項1、2、3、4又は5のいずれかに記載の半導体レーザ装置において、埋め込みヘテロ型の電流狭窄構造を有していることを特徴とする半導体レーザ装置。
  7. 誘導放出光を発生する活性層と、該活性層を挟むように設けられ、異なる導電型を有する2つのクラッド層を備え、レーザ発振を得るための共振器構造を備えた半導体レーザ装置であって、
    前記クラッド層のうちでp型の導電型を示す層がAlxGa1-xAs(0≦x≦0.05)から成り、
    前記クラッド層のうちでn型の導電型を示す層がAlx'Ga1-x'As(0≦x’≦0.05)から成り、
    前記活性層が少なくともGa,In,N,Asを含む層からなり、
    n型の導電型を示す前記クラッド層と前記活性層との間に、GaAsの薄膜と引っ張り歪を有するGaAsN層の薄膜が交互に積層された多層構造で構成された中間層を備えたことを特徴とする半導体レーザ装置。
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