JP3698919B2 - 光情報記録媒体の製造方法及び色素系光ディスクの色素塗布方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を用いて情報の記録及び再生を行うことができるヒートモード型の光情報記録媒体の製造方法及び色素系光ディスクの色素塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、レーザ光により1回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)としては、追記型CD(いわゆるCD−R)やDVD−Rなどがあり、従来のCD(コンパクトディスク)の作製に比べて少量のCDを手頃な価格でしかも迅速に市場に供給できるという利点を有しており、最近のパーソナルコンピュータなどの普及に伴ってその需要も増している。
【0003】
CD−R型の光情報記録媒体の代表的な構造は、厚みが約1.2mmの透明な円盤状基板上に有機色素からなる記録層、金や銀などの金属からなる光反射層、更に樹脂製の保護層をこの順に積層したものである(例えば特開平6−150371号公報参照)。
【0004】
また、DVD−R型の光情報記録媒体は、2枚の円盤状基板(厚みが約0.6mm)を、各情報記録面をそれぞれ内側に対向させて貼り合わせた構造を有し、記録情報量が多いという特徴を有する。
【0005】
そして、これら光情報記録媒体への情報の書き込み(記録)は、近赤外域のレーザ光(CD−Rでは通常780nm付近、DVD−Rでは635nm付近の波長のレーザ光)を照射することにより行われ、色素記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的な変化(例えばピットの生成)が生じて、その光学的特性を変えることにより情報が記録される。
【0006】
一方、情報の読み取り(再生)も、通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を照射することにより行われ、色素記録層の光学的特性が変化した部位(ピットの生成による記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、レーザ光を用いて情報の記録及び再生を行うことができるヒートモード型の光情報記録媒体においては、レーザ光のトラッキングサーボをプッシュプル信号に基づいて行うようにしている。
【0008】
プッシュプル信号は、例えばCD−Rの場合、グルーブを0.1μmずらしたときの信号強度を反射率の信号強度で規格化したものである。これは、トラッキングを外したときのプッシュプル信号の振幅を測定し、計算によってその値を得るようにしている。
【0009】
トラッキングサーボのためのプッシュプル信号は、レーザ光が1つのグルーブに沿って規定通りに走査している場合はほぼゼロレベルとなり、レーザ光が1つのグルーブに対して外周側あるいは内周側にずれている場合は、そのずれ量に応じたレベルとなる。また、信号の極性によって外周側あるいは内周側にずれていることがわかる。
【0010】
従って、プッシュプル信号のレベル変化を監視することによって、レーザ光の1つのトラックに対するトラッキングサーボが可能になるばかりか、所望のトラックアドレスへのアクセスも可能となる。
【0011】
従来の光情報記録媒体においては、基板上に有機色素による記録層を形成する場合、基板を回転させながら色素溶液を基板上に塗布するようにしており、特に、基板の外周側や内周側に拘わりなく、一定の回転数で基板を回転させながら色素溶液を塗布するようにしている。
【0012】
そのため、基板の内周側における色素の塗布膜厚が厚くなってしまい、トラッキングサーボのための例えばプッシュプル信号の信号強度が小さくなることがあり、基板の半径方向に関するプッシュプル信号のレベルについてもばらつきが大きくなることがある。このような場合、レーザ光のトラッキング外れが生ずる蓋然性が高くなってしまう。
【0013】
膜厚とプッシュプル及び反射率の挙動は、必ずしも一定ではない。しかし、一般に、膜厚が変わることによって、プッシュプルが大きくなると、反射率が小さくなるといったトレードオフの関係にある。
【0014】
一方、プッシュプル信号の信号強度が大きくなる場合は、反射率が低くなりすぎていることに基づくもので、この場合、再生信号の振幅が小さくなりすぎて読込みエラーが発生し易くなるという不都合がある。
【0015】
また、色素溶液は、光ディスクの材料費の約30%を占める。そのため、光ディスクの製造コストを削減するには、基板への色素溶液の塗布量をできるだけ少なくすることが必要となる。
【0016】
色素溶液の塗布量を少なくすると、内周の塗布部の形状が乱れたり、色素膜厚の分布(円周方向)が悪くなったり、未塗布部分が発生してしまうという問題がある。
【0017】
色素溶液の塗布量を少なくする手法には、以下の方法があるが、それぞれ問題点がある。
【0018】
(1) 吐出圧力を下げる。この手法の問題点は、基板に色素溶液を塗布しても、色素溶液が、いわゆる玉状になって基板から転がり落ちてしまい、基板の全面に均一に色素溶液を塗布することができないことである。この場合、未塗布部分の発生や膜厚不均一といった問題が生じる。
【0019】
(2) 塗布時間を短くする。この手法の問題点は、色素溶液が基板全体に行き渡らず、未塗布部分の発生や膜厚不均一といった問題が生じる。
【0020】
(3) ノズルの基板内周での停止時間を短くする。この手法の問題点は、最内周の塗布部形状が乱れ、真円状とならないことである。この場合も膜厚不均一が生じる。
【0021】
(4) ノズルの移動速度を速くする。この手法の問題点は、基板に色素溶液を塗布しても、色素溶液が、いわゆる玉状になって基板から転がり落ちてしまい、基板の全面に均一に色素溶液を塗布することができないことである。この場合、未塗布部分の発生や膜厚不均一といった問題が生じる。
【0022】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、半径方向のプッシュプル信号におけるレベル上のばらつきを小さくすることができ、しかも、プッシュプル信号の信号強度を規定の範囲内に収めることができ、高品質な光情報記録媒体を作製することができる光情報記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0023】
また、本発明の他の目的は、少ない液量でも最内周の塗布部形状を良好にでき、しかも、基板の全面に対して均一な色素塗布膜を形成することができ、高品質な光情報記録媒体を作製することができる光情報記録媒体の製造方法を提供することにある。
【0024】
また、本発明の他の目的は、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層を有するヒートモード型の色素系光ディスクにおいて、その半径方向のプッシュプル信号におけるレベル上のばらつきを小さくすることができ、しかも、プッシュプル信号の信号強度を規定の範囲内に収めることができ、高品質な色素系光ディスクを作製することができる色素系光ディスクの色素塗布方法を提供することにある。
【0025】
また、本発明の他の目的は、少ない液量でも最内周の塗布部形状を良好にでき、しかも、基板の全面に対して均一な色素塗布膜を形成することができ、高品質な色素系光ディスクを作製することができる色素系光ディスクの色素塗布方法を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明に係る光情報記録媒体の製造方法は、基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる記録層を有するヒートモード型の光情報記録媒体の製造方法において、前記記録層を形成するための溶液を塗布するためのノズルが、回転中の前記基板上のうち、前記基板の外周の位置にあるときに、前記ノズルによる前記溶液の前記基板への塗布を開始する工程と、前記溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の最内周の位置まで移動させる工程と、前記溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の外周に向けて移動させ、併せて前記基板の回転数を増加させる工程と、前記ノズルが、回転中の前記基板の最外周に到達する前で、前記ノズルによる塗布を停止する工程とを有することを特徴とする。
また、第2の本発明に係る光情報記録媒体の製造方法は、基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる記録層を有するヒートモード型の光情報記録媒体の製造方法において、前記記録層を形成するための溶液を塗布するためのノズルが、回転中の前記基板上のうち、前記基板の外周の位置にあるときに、前記ノズルによる前記溶液の前記基板への塗布を開始する工程と、前記溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の最内周の位置まで移動させ、併せて前記基板の回転数を増加させる工程と、前記溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の外周に向けて移動させる工程と、前記ノズルが、回転中の前記基板の最外周に到達する前で、前記ノズルによる塗布を停止する工程とを有することを特徴とする。
【0028】
これにより、基板に対する溶液の塗布膜厚が基板の全面においてほぼ均一となり、半径方向のプッシュプル信号におけるレベル上のばらつきを小さくすることができ、しかも、プッシュプル信号の信号強度を規定の範囲内に収めることができる。これは、光情報記録媒体の高品質化につながる。
特に、第2の発明においては、少ない液量でも最内周の塗布部形状を良好にでき、しかも、基板の全面に対して均一な塗布膜を形成することができ、高品質な光情報記録媒体を作製することができる。
【0029】
そして、第1の本発明において、塗布停止時点の前記基板の回転数を、塗布開始時点の前記基板の回転数よりも、約2倍程度増加させて行うことが好ましい。また、塗布開始時点の前記基板の回転数を300rpm以下とすることが好ましい。
【0032】
第2の発明においては、前記溶液の塗布を、前記基板の半径の中心から3/4の位置より外側、好ましくは5/6より外側、最も好ましくは9/10より外側から開始する。内周だけに溶液を塗布すると、溶液が基板の全面に行き渡らず、外周での膜厚分布が悪くなるおそれがあるからである。
【0033】
また、第1及び第2の発明においては、塗布開始時点の前記基板の回転数を300rpm以下、好ましくは250rpm以下、最も好ましくは200rpm以下とする。外周に対する溶液の塗布において回転数が大きいと溶液が玉状になって転がり落ちやすくなり、基板に対する溶液の塗布が不完全になるからである。
【0034】
第2の発明において、前記ノズルによる前記溶液の塗布圧力を1.0気圧以下、好ましくは0.7気圧以下、最も好ましくは0.5気圧以下にする。圧力が高いと溶液の流量が多くなり使用液量が増え、製造コストが上がってしまうからである。なお、ノズルの径が2倍になった場合、圧力は前記数値の1/4が好ましい。ノズルの径が1/2になった場合、圧力は前記数値の4倍が好ましい。
【0035】
また、第2の発明において、前記ノズルによる前記溶液の塗布流量を0.5cc/秒以下、好ましくは0.3cc/秒以下、最も好ましくは0.2cc/秒以下にする。塗布流量が多いと色素溶液の使用量が増え、製造コストが上がってしまうからである。
【0036】
また、第2の発明において、前記基板の最内周への前記溶液の塗布の際に、前記基板の回転数を300rpm以上、好ましくは350rpm以上、最も好ましくは400rpm以上とする。回転数が少ないと最内周での塗布部形状がほぼ真円とならなくなり、記録層の膜厚不均一が生じてしまうからである。ノズルは、最内周において最低でも1回転は停止していなければならない。このとき、回転数が少ないと停止している時間が長くなり、吐出液量が増加するという問題が生じる。従って、前記回転数の範囲内に設定することが好ましい。
【0037】
また、第2の発明において、前記基板の最内周に対して前記溶液を塗布する際の前記基板の回転数を、塗布開始時点の前記基板の回転数よりも50回転以上多くする。好ましくは100回転以上、最も好ましくは200回転以上多くする。
【0038】
この場合、前記基板の回転数を上げるタイミングは、前記ノズルが最内周に到達する直前とする。具体的には、前記ノズルが前記基板の最内周に対して20mmより近くの位置に到達した段階、好ましくは10mmより近くの位置に到達した段階、最も好ましくは5mmより近くの位置に到達した段階で前記基板の回転数を上げる。
【0039】
また、第1及び第2の発明において、前記基板の塗布面に対する空調風速を約0.4m/sec以下に設定することが好ましい。
【0040】
なお、前記基板上に前記溶液を塗布するためのノズルを前記基板の最内周から最外周に向かって移動させる際に、前記基板の回転数を増加させる場合と、前記基板上に前記溶液を塗布するためのノズルを前記基板の最内周に向かって移動させる際に、前記基板の回転数を増加させる場合とを組み合わせるようにしてもよい。
【0041】
次に、第3の本発明に係る色素系光ディスクの色素塗布方法は、基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層を有するヒートモード型の色素系光ディスクの色素塗布方法において、前記色素記録層を形成するための色素溶液を塗布するためのノズルが、回転中の前記基板上のうち、前記基板の外周の位置にあるときに、前記ノズルによる前記色素溶液の前記基板への塗布を開始する工程と、前記色素溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の最内周の位置まで移動させる工程と、前記色素溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の外周に向けて移動させ、併せて前記基板の回転数を増加させる工程と、前記ノズルが、回転中の前記基板の最外周に到達する前で、前記ノズルによる塗布を停止する工程とを有することを特徴とする。
また、第4の本発明に係る色素系光ディスクの色素塗布方法は、基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層を有するヒートモード型の色素系光ディスクの色素塗布方法において、前記色素記録層を形成するための色素溶液を塗布するためのノズルが、回転中の前記基板上のうち、前記基板の外周の位置にあるときに、前記ノズルによる前記色素溶液の前記基板への塗布を開始する工程と、前記色素溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の最内周の位置まで移動させ、併せて前記基板の回転数を増加させる工程と、前記色素溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の外周に向けて移動させる工程と、前記ノズルが、回転中の前記基板の最外周に到達する前で、前記ノズルによる塗布を停止する工程とを有することを特徴とする。
【0042】
これにより、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層を有するヒートモード型の色素系光ディスクにおいて、その半径方向のプッシュプル信号におけるレベル上のばらつきを小さくすることができ、しかも、プッシュプル信号の信号強度を規定の範囲内に収めることができ、高品質な色素系光ディスクを作製することができる。
特に、第2の発明においては、少ない液量でも最内周の塗布部形状を良好にでき、しかも、基板の全面に対して均一な色素塗布膜を形成することができ、高品質な色素系光ディスクを作製することができる。
【0043】
そして、第3の発明において、塗布停止時点の前記基板の回転数を、塗布開始時点の前記基板の回転数よりも、約2倍程度増加させて行うことが好ましい。また、塗布開始時点の前記基板の回転数を300rpm以下とすることが好ましい。
【0045】
第4の発明においては、前記色素溶液の塗布を前記基板の半径の中心から3/4の位置より外側から開始することが好ましい。
【0046】
第3及び第4の発明においては、塗布開始時点の前記基板の回転数を300rpm以下とすることが好ましく、第4の発明においては、前記ノズルによる前記色素溶液の塗布圧力を1.0気圧以下にすることが好ましい。
【0047】
また、第4の発明において、前記ノズルによる前記色素溶液の塗布流量を0.5cc/秒以下にすることが好ましく、前記基板の最内周への前記色素溶液の塗布の際に、前記基板の回転数を300rpm以上とすることが好ましい。
【0048】
また、第4の発明において、前記基板の最内周に対して前記色素溶液を塗布する際の前記基板の回転数を、塗布開始時点の前記基板の回転数よりも50回転以上多くすることが好ましい。この場合、前記基板の回転数を上げるタイミングは、前記ノズルが最内周に到達する直前であり、具体的には、前記ノズルが前記基板の最内周に対して20mmより近くの位置に到達した段階で前記基板の回転数を上げることが好ましい。
【0049】
また、第3及び第4の発明において、前記基板の塗布面に対する空調風速が約0.4m/sec以下に設定されていることが好ましい。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光情報記録媒体の製造方法及び色素系光ディスクの色素塗布方法を例えばCD−R等の光ディスクを製造するシステムに適用した実施の形態例(以下、単に実施の形態に係る製造システムと記す)を図1〜図21を参照しながら説明する。
【0053】
本実施の形態に係る製造システム10は、図1に示すように、例えば射出成形、圧縮成形又は射出圧縮成形によって基板を作製する2つの成形設備(第1及び第2の成形設備12A及び12B)と、基板の一主面上に色素塗布液を塗布して乾燥させることにより、該基板上に色素記録層を形成する塗布設備14と、基板の色素記録層上に光反射層を例えばスパッタリングにより形成し、その後、光反射層上にUV硬化液を塗布した後、UV照射して前記光反射層上に保護層を形成する後処理設備16とを有して構成されている。
【0054】
第1及び第2の成形設備12A及び12Bは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形、圧縮成形又は射出圧縮成形して、一主面にトラッキング用溝又はアドレス信号等の情報を表す凹凸(グルーブ)が形成された基板を作製する成形機20と、該成形機20から取り出された基板を冷却する冷却部22と、冷却後の基板を段積みして保管するためのスタックポール24が複数本設置された集積部26(スタックポール回転台)を有する。
【0055】
塗布設備14は、3つの処理部30、32及び34から構成され、第1の処理部30には、前記第1及び第2の成形設備12A及び12Bから搬送されたスタックポール24を収容するためのスタックポール収容部40と、該スタックポール収容部40に収容されたスタックポール24から1枚ずつ基板を取り出して次工程に搬送する第1の搬送機構42と、該第1の搬送機構42によって搬送された1枚の基板に対して静電気の除去を行う静電ブロー機構44とを有する。
【0056】
第2の処理部32は、第1の処理部30において静電ブロー処理を終えた基板を次工程に順次搬送する第2の搬送機構46と、該第2の搬送機構46によって搬送された複数の基板に対してそれぞれ色素塗布液を塗布する色素塗布機構48と、色素塗布処理を終えた基板を1枚ずつ次工程に搬送する第3の搬送機構50とを有する。この色素塗布機構48は6つのスピンコート装置52を有して構成されている。
【0057】
第3の処理部34は、前記第3の搬送機構50にて搬送された1枚の基板の裏面を洗浄する裏面洗浄機構54と、裏面洗浄を終えた基板を次工程に搬送する第4の搬送機構56と、該第4の搬送機構56によって搬送された基板に対してロット番号等の刻印を行う番号付与機構58と、ロット番号等の刻印を終えた基板を次工程に搬送する第5の搬送機構60と、該第5の搬送機構60によって搬送された基板に対して欠陥の有無並びに色素記録層の膜厚の検査を行う検査機構62と、該検査機構62での検査結果に応じて基板を正常品用のスタックポール64あるいはNG用のスタックポール66に選別する選別機構68とを有する。
【0058】
第1の処理部30と第2の処理部32との間に第1の仕切板70が設置され、第2の処理部32と第3の処理部34にも同様に第2の仕切板72が設置されている。第1の仕切板70の下部には、第2の搬送機構46による基板の搬送経路を塞がない程度の開口(図示せず)が形成され、第2の仕切板72の下部には、第3の搬送機構50による基板の搬送経路を塞がない程度の開口(図示せず)が形成されている。
【0059】
後処理設備16は、塗布設備14から搬送された正常品用のスタックポール64を収容するためのスタックポール収容部80と、該スタックポール収容部80に収容されたスタックポール64から1枚ずつ基板を取り出して次工程に搬送する第6の搬送機構82と、該第6の搬送機構82によって搬送された1枚の基板に対して静電気の除去を行う第1の静電ブロー機構84と、静電ブロー処理を終えた基板を次工程に順次搬送する第7の搬送機構86と、該第7の搬送機構86によって搬送された基板の一主面に光反射層をスパッタリングにて形成するスパッタ機構88と、光反射層のスパッタリングを終えた基板を次工程に順次搬送する第8の搬送機構90と、該第8の搬送機構90によって搬送された基板の周縁(エッジ部分)を洗浄するエッジ洗浄機構92とを有する。
【0060】
また、この後処理設備16は、エッジ洗浄を終えた基板に対して静電気の除去を行う第2の静電ブロー機構94と、静電ブロー処理を終えた基板の一主面に対してUV硬化液を塗布するUV硬化液塗布機構96と、UV硬化液の塗布を終えた基板を高速回転させて基板上のUV硬化液の塗布膜厚を均一にするスピン機構98と、UV硬化液の塗布及びスピン処理を終えた基板に対して紫外線を照射することによりUV硬化液を硬化させて基板の一主面に保護層を形成するUV照射機構100と、前記基板を第2の静電ブロー機構94、UV硬化液塗布機構96、スピン機構98及びUV照射機構100にそれぞれ搬送する第9の搬送機構102と、UV照射された基板を次工程に搬送する第10の搬送機構104と、該第10の搬送機構104によって搬送された基板に対して塗布面と保護層面の欠陥を検査するための欠陥検査機構106と、基板に形成されたグルーブによる信号特性を検査するための特性検査機構108と、これら欠陥検査機構106及び特性検査機構108での検査結果に応じて基板を正常品用のスタックポール110あるいはNG用のスタックポール112に選別する選別機構114とを有する。
【0061】
ここで、1つのスピンコート装置52の構成について図2〜図6を参照しながら説明する。
【0062】
このスピンコート装置52は、図2及び図3に示すように、塗布液付与装置400、スピナーヘッド装置402及び飛散防止壁404を有して構成されている。塗布液付与装置400は、塗布液が充填された加圧タンク(図示せず)と、該加圧タンクからノズル406に引き回されたパイプ(図示せず)と、ノズル406から吐出される塗布液の量を調整するための吐出量調整バルブ408とを有し、塗布液は前記ノズル406を通してその所定量が基板202の表面上に滴下されるようになっている。この塗布液付与装置400は、ノズル406を下方に向けて支持するアーム410と該アーム410を水平方向に旋回させるモータ412とを有するハンドリング機構414によって、待機位置から基板202の上方の位置に旋回移動できるように構成されている。
【0063】
スピナーヘッド装置402は、前記塗布液付与装置400の下方に配置されており、着脱可能な固定具420により、基板202が水平に保持されると共に、駆動モータ(図示せず)により軸回転が可能とされている。
【0064】
スピナーヘッド装置402により水平に保持された状態で回転している基板202上に、上記の塗布液付与装置400のノズル406から滴下した塗布液は、基板202の表面上を外周側に流延する。そして、余分の塗布液は基板202の外周縁部で振り切られ、その外側に放出され、次いで塗膜が乾燥されることにより、基板202の表面上に塗膜(色素記録層204)が形成される。
【0065】
飛散防止壁404は、基板202の外周縁部から外側に放出された余分の塗布液が周辺に飛散するのを防止するために設けられており、上部に開口422が形成されるようにスピナーヘッド装置402の周囲に配置されている。飛散防止壁404を介して集められた余分な塗布液はドレイン424を通して回収されるようになっている。
【0066】
また、第2の処理部32(図1参照)における各スピンコート装置52の局所排気は、前記飛散防止壁404の上方に形成された開口422から取り入れた空気を基板202の表面上に流通させた後、各スピナーヘッド装置402の下方に取り付けられた排気管426を通じて排気されるようになっている。
【0067】
塗布液付与装置400のノズル406は、図4及び図5に示すように、軸方向に貫通孔430が形成された細長い円筒状のノズル本体432と、該ノズル本体432をアーム410(図3参照)に固定するための取付部434を有する。ノズル本体432は、その先端面及びその先端面から1mm以上の範囲の外側又は内側、あるいは両方の壁面がフッ素化合物からなる表面を有する。このフッ素化合物としては、例えばポリテトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン含有物等を使用することができる。
【0068】
この実施の形態で用いられる好ましいノズル406の例としては、例えば、図5に示すように、ノズル本体432の先端面及びその先端面から1mm以上の範囲をフッ素化合物を用いて形成したノズル406や、図6に示すように、ノズル本体432の先端面440及びその先端面440から1mm以上の範囲の外側又は内側、あるいは両方の壁面442及び444をフッ素化合物を用いて被覆したノズル406を挙げることができる。
【0069】
ノズル本体432の先端面及びその先端面から1mm以上の範囲をフッ素化合物で形成する場合、強度などを考慮すると、実用的には、例えばノズル本体432をステンレススチールで形成し、その先端面及びその先端面から最大で5mmの範囲をフッ素化合物で形成することが好ましい。
【0070】
また、図6に示すように、ノズル本体432の先端面440及びその先端面440から1mm以上の範囲の外側又は内側、あるいは両方の壁面442及び444をフッ素化合物で被覆する場合、ノズル本体432の先端面440から10mm以上、更に好ましくは、ノズル本体432の全領域をフッ素化合物で被覆することが好ましい。被覆する場合のその厚みは、特に制限はないが、5〜500μmの範囲が適当である。また、ノズル本体432の材質としては、上記のように、ステンレススチールが好ましい。ノズル本体432に形成された貫通孔430の径は一般に0.5〜1.0mmの範囲内である。
【0071】
更に、前記製造システム10は、図1に示すように、塗布設備14の第2の処理部32と並行して空調システム300が設置されると共に、図7及び図8に示すように、第1の処理部30の天井には高性能充填層フィルタ(HEPAフィルタ)700を介して空調機704が設置され、第3の処理部34の天井には、HEPAフィルタ702が設置されている。
【0072】
空調機704は、第1の処理部30に対して清浄な空気を送り込むことにより、第1の処理部30内の温度をコントロールできるようになっている。また、第3の処理部34内には、HEPAフィルタ702を通じて清浄な空気が入り込むようになっている。
【0073】
空調機704は、第1の処理部50に対して清浄な空気を送り込むことにより、第1の処理部50内の温度をコントロールできるようになっている。また、第3の処理部54内には、HEPAフィルタ702を通じて清浄な空気が入り込むようになっている。
【0074】
一方、空調システム300は、図7及び図12に示すように、前記塗布設備14に対して清浄な空気caを送り込む空気調和機302と、外気eaを取り入れて除湿を行い、一次空気a1として出力する除湿機304と、塗布設備14からの一部の排気(局所排気)daを上位の排気系統に送る排気装置306(図10参照)とを有して構成されている。前記局所排気daとしては、例えば塗布設備14の色素塗布機構48における6つのスピンコート装置52からの排気が挙げられる。
【0075】
一方、前記空調システム300は、図7及び図8に示すように、除湿機304と空気調和機302との間に、除湿機304から出力される一次空気a1を空気調和機302に送出するためのダクト310が設けられ、図10に示すように、塗布設備14の色素塗布機構48における前記6つのスピンコート装置52の各排気側と排気装置306との間に上述した排気管426が設けられている。
【0076】
空気調和機302と塗布設備14との間には、空気調和機302から出力される清浄な空気caを塗布設備14に給気させるための複数本(図示の例では4本)の給気ダクト320a〜320dと、塗布設備14における前記局所排気da以外の排気raを空気調和機302に帰還させるための複数本(図示の例では8本)のリターンダクト322が設置されている。
【0077】
また、空気調和機302は、外気eaを取り入れるための導入口710が設置され、該導入口710にはプレフィルタ712が取り付けられている。通常の空調制御(低湿制御でない場合)においては、この導入口710から取り入れられた空気が一次空気として空気調和機302に供給されるようになっている。
【0078】
前記除湿機304は、低湿制御のときに使用され、図7及び図8に示すように、外気eaを取り入れるための導入口324が設置され、該導入口324にはプレフィルタ326が取り付けられている。従って、導入口324を通じて導入された外気eaは、前記プレフィルタ326によってほこりや塵芥等が除去されて、除湿機304の内部に取り入れられ、該除湿機304内において除湿処理が行われる。除湿された外気は一次空気として後段の空気調和機302に供給される。
【0079】
空気調和機302は、図12に示すように、除湿機304あるいは導入口710からの一次空気a1と塗布設備14からの排気(局所排気以外の排気)raを混合して混合空気haとして出力する混合機330と、該混合機330から出力される混合空気haに対して加湿処理を行って二次空気a2として出力する2つの加湿機332a及び332bと、これら2つの加湿機332a及び332bからの二次空気a2を塗布設備14に給気する4つの送風機334a〜334dとを有して構成されている。
【0080】
加湿機332a及び332bは、その内部に、前記一次空気a1に対して水蒸気化した水分を加えるための加熱板336を有する。この加熱板336には純水が張られている。この場合の純水としては、比抵抗が0.15MΩ(室温)以上の純水が適当であり、好ましくは比抵抗が1.5MΩ(室温)以上、より好ましくは比抵抗が15MΩ(室温)以上の純水を使用することができる。この実施の形態では、比抵抗が2MΩ(室温)の純水を使用した。
【0081】
前記純水を得る方法としては、例えば蒸留やイオン交換樹脂を用いる方法などがあるが、不純物の除去効率の点などからみてイオン交換樹脂を用いる方法が好ましい。
【0082】
一方、図7及び図8に示すように、塗布設備14への給気経路のうち、塗布設備14の上部には4つの高性能充填層フィルタ(HEPAフィルタ)340a〜340dが設置されている。また、4つの送風機334a〜334dからそれぞれ対応する4本の給気ダクト320a〜320dの間には、それぞれ指向板342a〜342dが設置されている。また、塗布設備14の上部において、4本の給気ダクト320a〜320dとそれぞれ対応するHEPAフィルタ340a〜340dとの間にも、それぞれ指向板344a〜344dが設置されている。
【0083】
これらの指向板342a〜342d並びに344a〜344dは、第1〜第4の送風機334a〜334dからそれぞれ第1〜第4の給気ダクト320a〜320dを通じて給気される清浄な空気caが第2の処理部32内の6つのスピンコート装置52に対して均等に行き渡るように斜め向きに設置されている。
【0084】
つまり、送風経路に上述のような複数の指向板を設けることにより、空気調和機302で加湿された空気中の水分を均等にミキシング(攪拌、分散)し、第2の処理部32における各スピンコート装置52での湿度のばらつきを軽減させることができ、しかも、各スピンコート装置52における下向きの風速に関し、各スピンコート装置52間での風速差をなくすことができる。
【0085】
また、図1に示すように、第1及び第2の処理部30及び32間に第1の仕切板70を設け、第2及び第3の処理部32及び34間に第2の仕切板72を設けるようにしているため、第1の処理部30から第2の処理部32への空気の回り込み並びに第3の処理部34から第2の処理部32への空気の回り込みがなくなり、第2の処理部32における雰囲気中の圧力を、第1及び第3の処理部30及び34における各雰囲気中の圧力よりも高い状態を維持させることができる。
【0086】
即ち、空気調和機302側の4つの指向板342a〜342dと塗布設備14側の4つの指向板344a〜344d、並びに前記第1及び第2の仕切板70及び72は、第2の処理部32における雰囲気中の圧力を第1及び第3の処理部30及び34における各雰囲気中の圧力よりも高い状態にするための送風量制御手段として機能することになる。
【0087】
次に、排気装置306は、図10及び図11に示すように、外筐がほぼ直方体状に形成され、内部が気密化されたバッファボックス500を有する。このバッファボックス500内には、塗布設備14における6つのスピンコート装置52に対応して6つの排気ブロア502が設けられている。
【0088】
また、6つのスピンコート装置52と対応する排気ブロア502との間には、例えばバタフライ弁504とシャッタ506で構成された排気量調節弁機構508と、排気量を電気的に検出するための排気量センサ510が設置され、排気量の調整によって塗膜の乾燥条件を適宜変更できるようになっている。
【0089】
前記バッファボックス500の後段には上位の排気系統520が接続されている。この上位の排気系統520は、図10に示すように、この塗布設備14の排気のほか、成形設備や後処理設備、その他の各種製造設備の排気が屋外に設置された屋外ブロア522を通じて行われるようになっている。
【0090】
上位の排気系統520における多数の排気管のうち、塗布設備用に割り当てられた6本の排気管524は、それぞれバッファボックス500に接続されている。そして、この実施の形態では、図11に示すように、上位の排気系統520から塗布設備14に延びる6本の排気管524と、排気ブロア502から導出された6本の排気管426はバッファボックス500内においてそれぞれ分離されている。なお、上位の排気系統520から塗布設備14に延びる6本の排気管520にはそれぞれバタフライ弁526が設置され、上位の排気系統520への排気量を調整できるようになっており、また、屋外ブロア522の前段と後段にはそれぞれバタフライ弁528及び530が設置されて、屋外への排気量を調整できるようになっている。
【0091】
次に、この製造システム10によって光ディスクを製造する過程について図13A〜図14Bの工程図をも参照しながら説明する。
【0092】
まず、第1及び第2の成形設備12A及び12Bにおける成形機20において、ポリカーボネートなどの樹脂材料が射出成形、圧縮成形又は射出圧縮成形されて、図13Aに示すように、一主面にトラッキング用溝又はアドレス信号等の情報を表す凹凸(グルーブ)200が形成された基板202が作製される。
【0093】
前記基板202の材料としては、例えばポリカーボネート、ポリメタルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィン及びポリエステルなどを挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。上記の材料の中では、耐湿性、寸法安定性及び価格などの点からポリカーボネートが好ましい。また、グルーブの深さは、0.01〜0.3μmの範囲内であることが好ましく、その半値幅は、0.2〜0.9μmの範囲内であることが好ましい。
【0094】
成形機20から取り出された基板202は、後段の冷却部22において冷却された後、一主面が下側に向けられてスタックポール24に積載される。スタックポール24に所定枚数の基板202が積載された段階で、スタックポール24はこの成形設備12A及び12Bから取り出されて、次の塗布設備14に搬送され、該塗布設備14におけるスタックポール収容部40に収容される。この搬送は、台車で行ってもよいし、自走式の自動搬送装置で行うようにしてもよい。
【0095】
スタックポール24がスタックポール収容部40に収容された段階で、第1の搬送機構42が動作し、スタックポール24から1枚ずつ基板202を取り出して、後段の静電ブロー機構44に搬送する。静電ブロー機構44に搬送された基板202は、該静電ブロー機構44において静電気が除去された後、第2の搬送機構46を介して次の色素塗布機構48に搬送され、6つのスピンコート装置52のうち、いずれか1つのスピンコート装置52に投入される。スピンコート装置52に投入された基板202は、その一主面上に色素塗布液が塗布された後、高速回転されて塗布液の厚みが均一にされた後、乾燥処理が施される。これによって、図13Bに示すように、基板202の一主面上に色素記録層204が形成されることになる。
【0096】
即ち、スピンコート装置52に投入された基板202は、図2に示すスピナーヘッド装置402に装着され、固定具420により水平に保持される。次に、加圧式タンクから供給された塗布液は、吐出調整用バルブ408によって所定量が調整され、基板202上の内周側にノズル406を通して滴下される。
【0097】
このノズル406は、上述したように、その先端面及びその先端面から1mm以上の範囲の外側又は内側、あるいは両方の壁面がフッ素化合物からなる表面を有しているため、塗布液の付着が生じにくく、また、これが乾燥して色素の析出やその堆積物が生じにくく、従って、塗膜を塗膜欠陥などの障害を伴うことなくスムーズに形成させることができる。
【0098】
なお、塗布液としては色素を適当な溶剤に溶解した色素溶液が用いられる。塗布液中の色素の濃度は一般に0.01〜15重量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜10重量%の範囲、特に好ましくは0.5〜5重量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3重量%の範囲にある。
【0099】
駆動モータによってスピナーヘッド装置402は高速回転が可能である。基板202上に滴下された塗布液は、スピナーヘッド装置402の回転により、基板202の表面上を外周方向に流延し、塗膜を形成しながら基板202の外周縁部に到達する。
【0100】
特に、本実施の形態では、図15に示すような第1の処理手順あるいは図16に示すような第2の処理手順で基板202上に色素溶液を塗布する。
【0101】
まず、第1の処理の手順について説明する。図15のステップS1において、基板202を回転数=約270rpmまで上昇させると同時に、塗布液付与装置400におけるアーム410(図3参照)を水平方向に回転させてノズル406を基板202の半径46mmの位置までもっていく。
【0102】
その後、ステップS2において、基板202の回転数を270rpmとしたまま、色素溶液の塗布を開始し、その状態でアーム410を水平方向に回転させてノズル406を半径23mmの位置まで約2秒で移動させる。
【0103】
次に、ステップS3において、色素溶液の塗布を行いながら、アーム410を水平方向に回転させてノズル406を半径40mmの位置まで約3秒かけて移動させ、同時に基板202の回転数を550rpmまで上昇させる。
【0104】
その後、ステップS4において、色素溶液の塗布を停止し、アーム410を水平方向に回転させてノズル406を元の位置(初期状態)に戻す。
【0105】
次に、ステップS5において、基板202の回転数を630rpmまで6秒かけて上昇させる。
【0106】
その後、ステップS6において、基板202の回転数を6.3秒かけて1400rpmまで上昇させる。
【0107】
そして、ステップS7において、基板202の回転数を1.7秒かけて2200rpmまで上昇させ、その後、基板202の回転数(=2200rpm)を5秒間維持させる。
【0108】
ステップS5〜ステップS7での回転数の上昇によって、基板202の外周縁部に達した余分の塗布液は、更に遠心力により振り切られ、基板202の縁部の周囲に飛散する。飛散した余分の塗布液は、図2及び図3に示すように、飛散防止壁404に衝突し、更にその下方に設けられた受皿に集められた後、ドレイン424を通して回収される。塗膜の乾燥はその形成過程及び塗膜形成後に行われる。塗膜(色素記録層)の厚みは、一般に20〜500nmの範囲内に、好ましくは50〜300nmの範囲内に設けられる。
【0109】
また、上述のステップS1〜ステップS7における色素塗布処理においては、前記空調システム300において、塗布設備14に送り込む清浄な空気の風速を約0.4m/sec以下に設定している。つまり、基板202の色素塗布面に対する空調風速を約0.4m/sec以下に設定するようにしている。
【0110】
前記ステップS7での処理が終了した段階で、基板202の回転を停止させて基板202に対する色素溶液の塗布処理が終了する。
【0111】
次に、第2の処理の手順は、まず、図16のステップS101において、基板202を300rpm以下の回転数で回転させると同時に、塗布液付与装置400におけるアーム410(図3参照)を水平方向に回転させてノズル406を基板202の半径の中心から3/4の位置より外側の位置まで搬送し、ノズル406が所定位置に達した時点で色素溶液の塗布を開始する。この場合、基板202の回転数としては、300rpm以下、好ましくは250rpm以下、最も好ましくは200rpm以下であり、ノズル406の位置としては、基板202の半径の中心から3/4の位置より外側、好ましくは5/6より外側、最も好ましくは9/10より外側の位置である。
【0112】
この場合、ノズル406による色素溶液の塗布圧力は1.0気圧以下、好ましくは0.7気圧以下、最も好ましくは0.5気圧以下にする。なお、ノズル406の径が2倍になった場合、圧力は前記数値の1/4が好ましい。ノズル406の径が1/2になった場合、圧力は前記数値の4倍が好ましい。
【0113】
また、ノズル406による色素溶液の塗布流量を0.5cc/秒以下、好ましくは0.3cc/秒以下、最も好ましくは0.2cc/秒以下にする。
【0114】
次に、ステップS102において、色素溶液の塗布を行いながら、アーム410を所定の移動速度、例えば30mm/sの速度で基板202の内周側に向けて移動させる。
【0115】
次に、ステップS103において、ノズル406が最内周に到達する直前で、基板202の回転数を上述した基板202の回転数(塗布開始時点の回転数)よりも上げる。
【0116】
この場合、基板202の回転数を上げるタイミングは、図17中、直線Aで示すように、ノズル406が最内周に到達する直前に行う場合は、ノズル406が基板202の最内周に対して20mmより近くの位置に到達した段階、好ましくは10mmより近くの位置に到達した段階、最も好ましくは5mmより近くの位置に到達した段階である。
【0117】
また、基板202の回転数を上げるタイミングとしては、図17中、一点鎖線で示すように、ノズル406が基板202の最内周に移動するのに連れて比例的に上昇させるようにしてもよいし、破線Cで示すように、指数関数的に上げるようにしてもよい。
【0118】
また、基板202の回転数としては、塗布開始時点の回転数よりも50回転以上多くする。好ましくは100回転以上、最も好ましくは200回転以上である。
【0119】
次に、ステップS104において、ノズル406が最内周(例えば半径22mmの位置)に到達した段階で、アーム410を0.2秒間停止させる。
【0120】
その後、ステップS105において、アーム410を所定の移動速度、例えば60mm/sの速度で基板202の外周側に向けて移動させる。
【0121】
次に、ステップS106において、ノズル406が最内周から半径方向に所定距離ほど離れた段階で、色素溶液の塗布を停止し、アーム410を水平方向に回転させてノズル406を元の位置(初期状態)に戻す。この場合、前記塗布を停止するタイミングとしては、最内周に対して20mmより近くの位置に到達した段階、好ましくは10mmより近くの位置に到達した段階、最も好ましくは5mmより近くの位置に到達した段階である。
【0122】
次に、ステップS107において、基板202の回転数を6秒かけて630rpmまで上昇させる。
【0123】
その後、ステップS108において、基板202の回転数を6.3秒かけて1400rpmまで上昇させる。
【0124】
そして、ステップS109において、基板202の回転数を1.7秒かけて2200rpmまで上昇させ、その後、基板202の回転数(=2200rpm)を5秒間維持させる。
【0125】
ステップS107〜ステップS109での回転数の上昇によって、基板202の外周縁部に達した余分の塗布液は、更に遠心力により振り切られ、基板202の縁部の周囲に飛散する。飛散した余分な塗布液は、図2及び図3に示すように、飛散防止壁404に衝突し、更にその下方に設けられた受皿に集められた後、ドレイン424を通して回収される。
【0126】
この第2の処理においても前記空調システム300において、塗布設備14に送り込む清浄な空気の風速を約0.4m/sec以下に設定している。つまり、基板202の色素塗布面に対する空調風速を約0.4m/sec以下に設定するようにしている。
【0127】
前記ステップS109での処理が終了した段階で、基板202の回転を停止させて基板202に対する色素溶液の塗布処理が終了する。
【0128】
なお、図15に示す第1の処理と、図16に示す第2の処理とを組み合わせるようにしてもよい。
【0129】
ここで、色素記録層204に用いられる色素は特に限定されない。使用可能な色素の例としては、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、イミダゾキノキサリン系色素、ピリリウム系色素、チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、Ni、Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、メロシアニン系色素、オキソノール系色素、アミニウム系色素、ジインモニウム系色素及びニトロソ化合物を挙げることができる。これらの色素のうちでは、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、オキソノール系色素及びイミダゾキノキサリン系色素が好ましい。
【0130】
色素記録層204を形成するための塗布剤の溶剤の例としては、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロ−1−プロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。
【0131】
前記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独または二種以上を適宜併用することができる。好ましくは、2,2,3,3−テトラフロロ−1−プロパノールなどのフッ素系溶剤である。なお、塗布液中には、所望により退色防止剤や結合剤を添加してもよいし、更に酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、そして潤滑剤など各種の添加剤を、目的に応じて添加してもよい。
【0132】
退色防止剤の代表的な例としては、ニトロソ化合物、金属錯体、ジインモニウム塩、アミニウム塩を挙げることができる。これらの例は、例えば、特開平2−300288号、同3−224793号、及び同4−146189号等の各公報に記載されている。
【0133】
結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。
【0134】
結合剤を使用する場合に、結合剤の使用量は、色素100重量部に対して、一般に20重量部以下であり、好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5重量部以下である。
【0135】
なお、色素記録層204が設けられる側の基板202の表面には、平面性の改善、接着力の向上および色素記録層204の変質防止などの目的で、下塗層が設けられてもよい。
【0136】
下塗層の材料としては例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;およびシランカップリング剤などの表面改質剤を挙げることができる。
【0137】
下塗層は、前記物質を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調整した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法を利用して基板表面に塗布することにより形成することができる。下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲内、好ましくは0.01〜10μmの範囲内に設けられる。
【0138】
色素記録層204が形成された基板202は、第3の搬送機構50を介して次の裏面洗浄機構54に搬送され、基板202の一主面の反対側の面(裏面)が洗浄される。その後、基板202は、第4の搬送機構56を介して次の番号付与機構58に搬送され、基板202の一主面又は裏面に対してロット番号等の刻印が行われる。
【0139】
その後、基板202は、第5の搬送機構60を介して次の検査機構62に搬送され、基板202の欠陥の有無や色素記録層204の膜厚の検査が行われる。この検査は、基板202の裏面から光を照射してその光の透過状態を例えばCCDカメラで画像処理することによって行われる。この検査機構62での検査結果は次の選別機構68に送られる。
【0140】
上述の検査処理を終えた基板202は、その検査結果に基づいて選別機構68によって正常品用のスタックポール64か、NG用のスタックポール66に搬送選別される。
【0141】
正常品用のスタックポール64に所定枚数の基板202が積載された段階で、正常品用のスタックポール64はこの塗布設備14から取り出されて、次の後処理設備16に搬送され、該後処理設備16のスタックポール収容部80に収容される。この搬送は、台車で行ってもよいし、自走式の自動搬送装置で行うようにしてもよい。
【0142】
正常品用のスタックポール64がスタックポール収容部80に収容された段階で、第6の搬送機構82が動作し、スタックポール64から1枚ずつ基板202を取り出して、後段の第1の静電ブロー機構84に搬送する。第1の静電ブロー機構84に搬送された基板202は、該第1の静電ブロー機構84において静電気が除去された後、第7の搬送機構86を介して次のスパッタ機構88に搬送される。
【0143】
スパッタ機構88に投入された基板202は、図13Cに示すように、その一主面中、周縁部分(エッジ部分)206を除く全面に光反射層208がスパッタリングによって形成される。
【0144】
光反射層208の材料である光反射性物質はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。
【0145】
これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上を組み合わせて用いてもよい。または合金として用いてもよい。特に好ましくはAgもしくはその合金である。
【0146】
光反射層208は、例えば、前記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより記録層の上に形成することができる。反射層の層厚は、一般的には10〜800nmの範囲、好ましくは20〜500nmの範囲、更に好ましくは50〜300nmの範囲で設けられる。
【0147】
光反射層208が形成された基板202は、第8の搬送機構90を介して次のエッジ洗浄機構92に搬送され、図14Aに示すように、基板202の一主面中、エッジ部分206が洗浄されて、該エッジ部分206に形成されていた色素記録層204が除去される。その後、基板202は、第9の搬送機構102を介して次の第2の静電ブロー機構94に搬送され、静電気が除去される。
【0148】
その後、基板202は、同じく前記第9の搬送機構102を介してUV硬化液塗布機構96に搬送され、基板202の一主面の一部分にUV硬化液が滴下される。その後、基板202は、同じく前記第9の搬送機構102を介して次のスピン機構98に搬送され、高速回転されることにより、基板202上に滴下されたUV硬化液の塗布膜厚が基板202の全面において均一にされる。
【0149】
この実施の形態においては、前記光反射層208の成膜後から前記UV硬化液の塗布までの時間が2秒以上、5分以内となるように時間管理されている。
【0150】
その後、基板202は、同じく前記第9の搬送機構102を介して次のUV照射機構100に搬送され、基板202上のUV硬化液に対して紫外線が照射される。これによって、図14Bに示すように、基板202の一主面上に形成された色素記録層204と光反射層208を覆うようにUV硬化樹脂による保護層210が形成されて光ディスクDとして構成されることになる。
【0151】
保護層210は、色素記録層204などを物理的及び化学的に保護する目的で光反射層208上に設けられる。保護層210は、基板202の色素記録層204が設けられていない側にも耐傷性、耐湿性を高める目的で設けることもできる。保護層210で使用される材料としては、例えば、SiO、SiO2 、MgF2 、SnO2 、Si2 N4 等の無機物質、及び熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、そしてUV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。
【0152】
保護層210は、例えば、プラスチックの押出加工で得られたフイルムを接着剤を介して光反射層208上及び/または基板202上にラミネートすることにより形成することができ、あるいは真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けてもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調整したのち、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。
【0153】
UV硬化性樹脂の場合には、上述したように、そのまま、もしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調整したのちこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することができる。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。保護層210の層厚は一般には0.1〜100μmの範囲内に設けられる。
【0154】
その後、光ディスクDは、第10の搬送機構104を介して次の欠陥検査機構106と特性検査機構108に搬送され、色素記録層204の面と保護層210の面における欠陥の有無や光ディスクDの基板202に形成されたグルーブ200による信号特性が検査される。これらの検査は、光ディスクDの両面に対してそれぞれ光を照射してその反射光を例えばCCDカメラで画像処理することによって行われる。これらの欠陥検査機構106及び特性検査機構108での各検査結果は次の選別機構114に送られる。
【0155】
上述の欠陥検査処理及び特性検査処理を終えた光ディスクDは、各検査結果に基づいて選別機構114によって正常品用のスタックポール110またはNG用のスタックポール112に搬送選別される。
【0156】
正常品用のスタックポール110に所定枚数の光ディスクDが積載された段階で、該スタックポール110が後処理設備16から取り出されて図示しないラベル印刷工程に投入される。
【0157】
このように、本実施の形態に係る製造システム10で製造される光ディスクDは、色素溶液の塗布処理において、基板202の内周側に色素溶液を塗布する際に、塗布開始時点の基板202の回転数を増加させるようにしている。
【0158】
この場合、図15に示す第1の処理においては、ノズル406を基板202の最内周から最外周に向かって移動させる際に、基板202の回転数を増加させるようにしたので、基板202に対する色素溶液の塗布膜厚が基板202の全面においてほぼ均一となり、半径方向のプッシュプル信号におけるレベル上のばらつきを小さくすることができ、しかも、プッシュプル信号の信号強度を規定の範囲内に収めることができる。これは、光ディスクDの高品質化につながる。
【0159】
また、図16に示す第2の処理においては、ノズル406を基板202の最内周に向かって移動させる際に、基板202の回転数を増加させるようにしたので、図18に示すように、色素溶液の液量を少なくしても最内周の塗布部形状800を良好(ほぼ真円)にでき、しかも、基板202の全面に対して均一な色素記録層204を形成することができ、高品質な光ディスクDを作製することができる。
【0160】
本実施の形態に係る光ディスクDは、図1に示す製造システム10のほか、図19に示す製造システム600によっても製造することができる。
【0161】
この図19に示す製造システム600は、例えば射出成形、圧縮成形又は射出圧縮成形によって基板202を作製する2つの成形設備(第1及び第2の成形設備602A及び602B)と、基板202の一主面上に色素塗布液を塗布して乾燥させることにより、該基板202上に色素記録層204を形成する2つの塗布設備(第1及び第2の塗布設備604A及び604B)と、これら塗布設備604A及び604Bにおいて形成された色素記録層204に対して検査を行う検査設備606と、基板202の色素記録層204上に光反射層を例えばスパッタリングにより形成し、その後、光反射層上にUV硬化液を塗布した後、UV照射して前記光反射層上に保護層を形成する後処理設備608とを有して構成されている。
【0162】
第1及び第2の成形設備602A及び602Bは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形、圧縮成形又は射出圧縮成形して、一主面にトラッキング用溝又はアドレス信号等の情報を表す凹凸(グルーブ)200が形成された基板202を作製する成形機610と、該成形機610から取り出された基板202を搬送しながら冷却する冷却コンベア612とを有し、冷却コンベア612の終端には冷却処理後の基板202を段積みして保管するためのスタックポール614が設置されている。
【0163】
第1及び第2の塗布設備604A及び604Bは、色素塗布とエッジ洗浄を行うための3つのスピンコート装置616と、第1及び第2の成形設備602A及び602Bにおけるスタックポール614に集積された基板202を1枚ずつ取り出して、いずれかのスピンコート装置616に搬送する多関節ロボット618とを有して構成されている。
【0164】
検査設備606は、第1の塗布設備604Aでの処理を終えた基板202を次工程に搬送するための第1の搬送コンベア620と、第2の塗布設備604Bでの処理を終えた基板202を次工程に搬送するための第2の搬送コンベア622と、第1及び第2の搬送コンベア620及び622を介して搬送された基板202に対してロット番号等の刻印を行う番号付与機構624と、ロット番号等の刻印を終えた基板202を次工程に搬送する第1の搬送機構626と、該第1の搬送機構626によって搬送された基板202に対して欠陥の有無並びに色素記録層204の膜厚の検査を行う検査機構628とを有する。
【0165】
後処理設備608は、検査機構628での検査処理を終えた基板202を受け入れる基板搬入機構630と、該基板搬入機構630によって搬入された基板202の一主面に光反射層をスパッタリングにて形成するスパッタ機構632と、光反射層のスパッタリングを終えた基板202を次工程に順次搬送する第2の搬送機構634と、該第2の搬送機構634を介して搬送された基板202に対してUV硬化液を塗布した後、高速回転させて基板202上のUV硬化液の塗布膜厚を均一にする2つの塗布スピン機構(第1及び第2の塗布スピン機構636A及び636B)と、第1及び第2の塗布スピン機構636A及び636Bのいずれか一方で処理を終えた基板202を次工程に搬送する第3の搬送機構638と、該第3の搬送機構638を介して搬送された基板202に対して紫外線を照射することによりUV硬化液を硬化させて基板202の一主面に保護層を形成するUV照射機構640と、UV照射された基板202を次工程に搬送する第4の搬送機構642と、該第4の搬送機構642によって搬送された基板202に対して塗布面と保護層面の欠陥を検査するための欠陥検査機構644と、欠陥検査機構644での検査結果に応じて基板202を正常品用のスタックポール646あるいはNG用のスタックポール648に選別する選別機構650とを有する。
【0166】
この製造システム600においても、基板202への色素溶液の塗布処理において、基板202の内周側に色素溶液を塗布する際に、図15に示す第1の処理を行うことにより、基板202に対する色素溶液の塗布膜厚が基板202の全面においてほぼ均一となり、半径方向のプッシュプル信号におけるレベル上のばらつきを小さくすることができ、光ディスクDの高品質化を図ることができる。
【0167】
また、基板202への色素溶液の塗布の際に、図16に示す第2の処理を行うことにより、色素溶液の液量を少なくしても最内周の塗布部形状800を良好(ほぼ真円)にでき、しかも、基板202の全面に対して均一な色素記録層204を形成することができ、高品質な光ディスクDを作製することができる。
【0168】
上述の製造システム10及び600においては、光反射層208の成膜後に、基板202を連続して搬送して、光反射層208上に保護層形成のためのUV硬化液を滴下するようにしているが、光反射層208を成膜した基板202を一旦集積して、例えば枚葉方式によって基板202上にUV硬化液を滴下するようにしてもよい。この場合、光反射層208が成膜された基板202をスタックポールに集積して、これを次の例えばUV硬化液塗布工程に運搬するようにしてもよいが、光反射層208の形成工程と、UV硬化液塗布工程とが連続したラインになっていることが好ましい。
【0169】
【実施例】
次に、2つの実験例(便宜的に第1及び第2の実験例と記す)について説明する。まず、第1の実験例は、図1に示す製造システム10にて光ディスクDを作製する場合における、実施例1〜3並びに比較例1、2に関し、基板202への色素溶液の塗布処理において塗布面に対する風速並びに塗布パターンをそれぞれ変えたときの光ディスクDの所定位置におけるプッシュプル信号のレベルと光反射率をみたものである。
【0170】
ここで、光反射率(%)は、グルーブにピットを形成しないとき、即ち、無記録状態のときの光反射率を示す。実際の光ディスクDに対する再生時の光反射率としては、65%以上であることが規定されているため、無記録状態での光反射率としては67%以上あればよい。
【0171】
また、プッシュプル信号は、完成した実施例1〜3並びに比較例1、2に関する光ディスクDに対してレーザ光を照射して、それぞれ3つのポイント(半径23mm、45mm及び58mmのポイント)において、トラッキングを外したときのプッシュプル信号の振幅(信号強度)をみたものである。なお、振幅の単位は、任意単位である。
【0172】
プッシュプル信号の信号強度が0.09未満であると、トラッキング外れが生じ易くなり、反対に0.14以上であれば、光反射率が低くなりすぎていることを示す。
【0173】
ここで、色素記録層204の形成は以下の通りである。下記の一般式(A1)で表されるシアニン系色素化合物2.65gと下記の一般式(A2)で表される退色防止剤0.265gを組み合わせて配合し、これらを下記の一般式(A3)で表される2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール100ccに溶解して記録層形成用の塗布液を調製した。
【0174】
【化1】
【0175】
【化2】
【0176】
【化3】
【0177】
この塗布液を表面にスパイラル状のグルーブ(トラックピッチ:1.6μm、グルーブ幅:0.4μm、グルーブの深さ:0.16μm)が射出成形により形成されたポリカーボネート基板(直径:120mm、厚さ:1.2mm)のそのグルーブ側の表面に、回転数を270rpm〜2000rpmまで変化させながらスピンコートにより塗布し、色素記録層(グルーブ内の厚さ:約200nm)を形成した。
【0178】
そして、風速として、実施例1では0.1m/sec、実施例2では0.2m/sec、実施例3では0.4m/sec、比較例1では0.6m/sec、比較例2では0.1m/secとした。
【0179】
また、色素溶液の塗布パターンは、実施例1〜3及び比較例1については、図15に示す第1の処理にて塗布を行い(便宜的にAパターンとする)、比較例2については、図15のステップS3において、基板202の回転数を270rpmとした場合、即ち、基板202の回転数を変化させないで塗布を行う場合を示す(便宜的にBパターンとする)。
【0180】
この実験結果を図20に示す。この実験結果から、塗布パターンをAパターンとし、風速を0.4m/sec以下とした実施例1〜3においては、3つのポイントでのプッシュプル信号の信号強度が0.09〜0.12の範囲内にあって、しかも、3つのポイントにわたってほぼ一定となっている。また、光反射率も無記録状態で68%以上となっている。
【0181】
一方、比較例1は、光反射率については十分であるが、3つのポイントにおけるプッシュプル信号の信号強度が0.09以下となっており、トラッキングサーボにおいて問題が生じることがわかる。
【0182】
比較例2は、半径23mmの位置におけるプッシュプル信号の信号強度が0.15で光反射率が不十分であることを示しており、計測した光反射率も66%であって、規定の67%に満たないものとなっている。
【0183】
このように、実施例1〜3では、比較例1、2の場合と比べてプッシュプル信号の信号強度及び光反射率において良好な結果が得られていることがわかる。
【0184】
次に、第2の実験例は、図1に示す製造システム10にて光ディスクD(半径60mm)を作製する場合における、実施例11並びに比較例11〜16について、基板202への色素溶液の塗布処理において、図16に示す塗布面に対する塗布パターンをそれぞれ変えたときの特性をみたものである。
【0185】
実施例11では、まず、基板202を200rpmの回転数で回転させると同時に、塗布液付与装置400におけるアーム410(図3参照)が基板202の中心から55mmの地点に到達した段階で色素溶液の塗布を開始し(図16のステップS101参照)、その後、色素溶液の塗布を行いながら、アーム410を30mm/sの速度で基板202の内周側に向けて移動させる(ステップS102参照)。
【0186】
この場合、ノズル406による色素溶液の塗布圧力を0.5気圧以下にし、ノズル406による色素溶液の塗布流量を0.2cc/秒にした。
【0187】
ノズル406が基板202の中心から30mmの地点に到達した段階で基板202の回転数を400rpmに上げ(ステップS103参照)、ノズル406が基板202の中心から20mm(最内周)の地点に到達した段階でアーム410を0.2秒間停止させる(ステップS104参照)。
【0188】
その後、アーム410を60mm/sの速度で基板202の外周側に向けて移動させ(ステップS105参照)、ノズル406が基板202の中心から30mmの地点に到達した段階で色素溶液の塗布を停止し(ステップS106参照)、アーム410を水平方向に回転させてノズル406を元の位置(初期状態)に戻す。
【0189】
その後、基板202の回転数を6秒かけて630rpmまで上昇させ(ステップS107参照)、基板202の回転数を6.3秒かけて1400rpmまで上昇させる(ステップS108参照)。次いで、基板202の回転数を1.7秒かけて2200rpmまで上昇させ、その後、基板202の回転数(=2200rpm)を5秒間維持させる(ステップS109参照)。その後、基板202の回転を停止させて基板202に対する色素溶液の塗布処理を終了する。
【0190】
一方、比較例11は、ステップS101において、色素溶液の塗布開始を基板202の中心から40mmの地点としたこと以外は、前記実施例11と同じである。比較例12は、色素溶液の塗布を開始するときの回転数を350rpmとしている点以外は、前記実施例11と同じである。
【0191】
比較例13は、ステップS102において、色素溶液の塗布を行いながら、アーム410を60mm/sの速度で基板202の内周側に向けて移動させる点以外は、前記実施例11と同じである。比較例14は、ステップS103において、ノズル406が基板202の中心から30mmの地点に到達した段階でも基板202の回転数を200rpmとしている点以外は、前記実施例11と同じである。
【0192】
比較例15は、ステップS104において、ノズル406が最内周に到達した段階でもアーム410を停止させない点以外は、前記実施例11と同じである。比較例16は、色素溶液の塗布流量を1cc/秒としている点以外は、実施例11と同じである。
【0193】
実験の結果、実施例11については、基板202の中心から25mmの地点でのジッタが31nsであって、色素記録層204の膜厚変動がほとんどないこと、即ち、基板202の全面に色素溶液が均一に塗られていることがわかった。
【0194】
比較例11では、外周部分に未塗布部分が発生していた。比較例12及び13では、基板202の外周に対する色素溶液の塗布時に該色素溶液が玉状になって転がり落ち、未塗布部分が発生した。
【0195】
比較例14及び15は、図21に示すように、最内周の塗布部形状800が乱れ、真円状とならなかった。特に、基板202の中心から25mmの地点(特に、図21において斜線で示す領域802)で周内膜厚変動が大きくなり、ジッタが41nsと増大していた。比較例16では、塗布流量が多くなり、コストが高くなるという問題が生じた。
【0196】
このように、実施例11においては、色素溶液を基板202の全面に均一に塗布することができ、ジッタの低減を促進させることができる。
【0197】
なお、この発明に係る光情報記録媒体の製造方法及び色素系光ディスクの色素塗布方法は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0198】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光情報記録媒体の製造方法によれば、半径方向のプッシュプル信号におけるレベル上のばらつきを小さくすることができ、しかも、プッシュプル信号の信号強度を規定の範囲内に収めることができ、高品質な光情報記録媒体を作製することができる。
【0199】
また、本発明に係る光情報記録媒体の製造方法によれば、少ない液量でも最内周の塗布部形状を良好にでき、しかも、基板の全面に対して均一な塗布膜を形成することができ、高品質な光情報記録媒体を作製することができる。
【0200】
また、本発明に係る色素系光ディスクの色素塗布方法によれば、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層を有するヒートモード型の色素系光ディスクにおいて、その半径方向のプッシュプル信号におけるレベル上のばらつきを小さくすることができ、しかも、プッシュプル信号の信号強度を規定の範囲内に収めることができ、高品質な色素系光ディスクを作製することができる。
【0201】
また、本発明に係る色素系光ディスクの色素塗布方法によれば、少ない液量でも最内周の塗布部形状を良好にでき、しかも、基板の全面に対して均一な色素塗布膜を形成することができ、高品質な色素系光ディスクを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る製造システムの一例を示す構成図である。
【図2】塗布設備に設置されるスピンコート装置を示す構成図である。
【図3】塗布設備に設置されるスピンコート装置を示す斜視図である。
【図4】スピンコート装置のノズルを示す平面図である。
【図5】スピンコート装置のノズルの一例を示す側面図である。
【図6】スピンコート装置のノズルの他の例を一部省略して示す縦断面図である。
【図7】空調システムを示す平面図である。
【図8】空調システムを示す正面図である。
【図9】空調システムを示す側面図である。
【図10】空調システムにおける排気装置の構成を上位の排気系統と共に示す図である。
【図11】排気装置に設置されるバッファボックスの構成を示す断面図である。
【図12】空気調和機の構成を示すブロック図である。
【図13】図13Aは基板にグルーブを形成した状態を示す工程図であり、図13Bは基板上に色素記録層を形成した状態を示す工程図であり、図13Cは基板上に光反射層を形成した状態を示す工程図である。
【図14】図14Aは基板のエッジ部分を洗浄した状態を示す工程図であり、図14Bは基板上に保護層を形成した状態を示す工程図である。
【図15】本実施の形態に係る製造システムにおいて、基板に色素溶液を塗布する場合の第1の処理手順を示す工程ブロック図である。
【図16】本実施の形態に係る製造システムにおいて、基板に色素溶液を塗布する場合の第2の処理手順を示す工程ブロック図である。
【図17】第2の処理において、基板の回転数を上げるタイミングを示す説明図である。
【図18】第2の処理を行った場合の最内周の塗布部形状を示す説明図である。
【図19】本実施の形態に係る製造システムの他の例を示す構成図である。
【図20】第1の実験例の結果を示す図表である。
【図21】比較例14及び15での最内周の塗布部形状を示す説明図である。
【符号の説明】
10、600…製造システム 14…塗布設備
48…色素塗布機構 52、616…スピンコート装置
202…基板 204…色素記録層
300…空調システム 400…塗布液付与装置
406…ノズル 410…アーム
432…ノズル本体 800…塗布部形状
Claims (13)
- 基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる記録層を有するヒートモード型の光情報記録媒体の製造方法において、
前記記録層を形成するための溶液を塗布するためのノズルが、回転中の前記基板上のうち、前記基板の外周の位置にあるときに、前記ノズルによる前記溶液の前記基板への塗布を開始する工程と、
前記溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の最内周の位置まで移動させる工程と、
前記溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の外周に向けて移動させ、併せて前記基板の回転数を増加させる工程と、
前記ノズルが、回転中の前記基板の最外周に到達する前で、前記ノズルによる塗布を停止する工程とを有することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1記載の光情報記録媒体の製造方法において、
塗布停止時点の前記基板の回転数を、塗布開始時点の前記基板の回転数よりも、約2倍程度増加させることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる記録層を有するヒートモード型の光情報記録媒体の製造方法において、
前記記録層を形成するための溶液を塗布するためのノズルが、回転中の前記基板上のうち、前記基板の外周の位置にあるときに、前記ノズルによる前記溶液の前記基板への塗布を開始する工程と、
前記溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の最内周の位置まで移動させ、併せて前記基板の回転数を増加させる工程と、
前記溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の外周に向けて移動させる工程と、
前記ノズルが、回転中の前記基板の最外周に到達する前で、前記ノズルによる塗布を停止する工程とを有することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項3記載の光情報記録媒体の製造方法において、
前記溶液の塗布を前記基板の半径の中心から3/4の位置より外側から開始することを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項3記載の光情報記録媒体の製造方法において、
前記ノズルによる前記溶液の塗布圧力を1.0気圧以下にすることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項3記載の光情報記録媒体の製造方法において、
前記ノズルによる前記溶液の塗布流量を0.5cc/秒以下にすることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項3記載の光情報記録媒体の製造方法において、
前記基板の最内周への前記溶液の塗布の際に、前記基板の回転数を300rpm以上とすることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項3記載の光情報記録媒体の製造方法において、
前記基板の最内周に対して前記溶液を塗布する際の前記基板の回転数を、塗布開始時点の前記基板の回転数よりも50回転以上多くすることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項8記載の光情報記録媒体の製造方法において、
前記ノズルが前記基板の最内周に対して20mmより近くの位置に到達した段階で前記基板の回転数を上げることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法において、
塗布開始時点の前記基板の回転数を300rpm以下とすることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1〜10のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法において、
前記基板の塗布面に対する空調風速が約0.4m/sec以下に設定されていることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。 - 基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層を有するヒートモード型の色素系光ディスクの色素塗布方法において、
前記色素記録層を形成するための色素溶液を塗布するためのノズルが、回転中の前記基板上のうち、前記基板の外周の位置にあるときに、前記ノズルによる前記色素溶液の前記基板への塗布を開始する工程と、
前記色素溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の最内周の位置まで移動させる工程と、
前記色素溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の外周に向けて移動させ、併せて前記基板の回転数を増加させる工程と、
前記ノズルが、回転中の前記基板の最外周に到達する前で、前記ノズルによる塗布を停止する工程とを有することを特徴とする色素系光ディスクの色素塗布方法。 - 基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することができる色素記録層を有するヒートモード型の色素系光ディスクの色素塗布方法において、
前記色素記録層を形成するための色素溶液を塗布するためのノズルが、回転中の前記基板上のうち、前記基板の外周の位置にあるときに、前記ノズルによる前記色素溶液の前記基板への塗布を開始する工程と、
前記色素溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の最内周の位置まで移動させ、併せて前記基板の回転数を増加させる工程と、
前記色素溶液を塗布しながら、前記ノズルを、回転中の前記基板の外周に向けて移動させる工程と、
前記ノズルが、回転中の前記基板の最外周に到達する前で、前記ノズルによる塗布を停止する工程とを有することを特徴とする色素系光ディスクの色素塗布方法。
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