JP2000315339A - 記録媒体の製造方法 - Google Patents

記録媒体の製造方法

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JP2000315339A
JP2000315339A JP11125237A JP12523799A JP2000315339A JP 2000315339 A JP2000315339 A JP 2000315339A JP 11125237 A JP11125237 A JP 11125237A JP 12523799 A JP12523799 A JP 12523799A JP 2000315339 A JP2000315339 A JP 2000315339A
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JP
Japan
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substrate
sputtering
layer
range
coating
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Pending
Application number
JP11125237A
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English (en)
Inventor
Yoshihisa Usami
由久 宇佐美
Koichi Kawai
晃一 河合
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】基板上に光反射層をほぼ均一に形成することが
できるようにして、ジッタの劣化を抑制する。 【解決手段】基板上に、情報を記録することができる記
録層を有し、該記録層上に光反射層を有する記録媒体の
製造方法において、前記記録層上に光反射層を形成する
際に、前記光反射層における膜厚の面内変動が10%以
内となるように、少なくとも雰囲気ガスの流量とチャン
バ内の圧力を設定して前記光反射層を形成する。この場
合、前記雰囲気ガスの流量としては、0.5〜90SC
CMがよく、好ましくは1〜70SCCMであり、更に
好ましくは2〜60SCCMである。また、前記チャン
バ内の圧力としては、0.1〜18Paがよく、好まし
くは0.5〜15Paであり、更に好ましくは1〜12
Paである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に、情報を
記録することができる記録層を有し、該記録層上に光反
射層を有する記録媒体の製造方法に関し、特に、レーザ
光を用いて情報の記録及び再生を行うことができるヒー
トモード型の光情報記録媒体の製造方法に使用して好適
な記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、レーザ光により1回限りの情報
の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)として
は、追記型CD(いわゆるCD−R)やDVD−Rなど
があり、従来のCD(コンパクトディスク)の作製に比
べて少量のCDを手頃な価格でしかも迅速に市場に供給
できる利点を有しており、最近のパーソナルコンピュー
タなどの普及に伴ってその需要も増している。
【0003】CD−R型の光情報記録媒体の代表的な構
造は、厚みが約1.2mmの透明な円盤状基板上に有機
色素からなる記録層、金などの金属からなる光反射層、
更に樹脂製の保護層をこの順に積層したものである(例
えば特開平6−150371号公報参照)。
【0004】また、DVD−R型の光情報記録媒体は、
2枚の円盤状基板(厚みが約0.6mm)の各情報記録
面をそれぞれ内側に対向させて貼り合わせた構造を有
し、記録情報量が多いという特徴を有する。
【0005】そして、これら光情報記録媒体への情報の
書き込み(記録)は、近赤外域のレーザ光(CD−Rで
は通常780nm付近、DVD−Rでは635nm付近
の波長のレーザ光)を照射することにより行われ、色素
記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇
し、物理的あるいは化学的な変化(例えばピットの生
成)が生じて、その光学的特性を変えることにより情報
が記録される。
【0006】一方、情報の読み取り(再生)も、通常、
記録用のレーザ光と同じ波長のレーザ光を照射すること
により行われ、色素記録層の光学的特性が変化した部位
(ピットの生成による記録部分)と変化しない部位(未
記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報
が再生される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、記録層
上に形成される光反射層の膜厚が不均一であると、レー
ザ光によるアクセス位置によって熱の伝わり方等が変化
し、アクセス位置ごとに孔(ピット)の大きさが変わっ
てしまう。これは、ジッタの劣化につながるという問題
がある。
【0008】本発明はこのような課題を考慮してなされ
たものであり、基板上に光反射層をほぼ均一に形成する
ことができ、ジッタの劣化を抑制することができる記録
媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に、情
報を記録することができる記録層を有し、該記録層上に
光反射層を有する記録媒体の製造方法において、前記記
録層上に光反射層を形成する際に、前記光反射層におけ
る膜厚の面内変動が10%以内となるように、少なくと
も雰囲気ガスの流量とチャンバ内の圧力を設定して前記
光反射層を形成することを特徴とする。
【0010】これにより、基板上に光反射層をほぼ均一
に形成することができ、ジッタの劣化を抑制することが
できる。
【0011】そして、前記雰囲気ガスの流量としては、
0.5〜90SCCMがよく、好ましくは1〜70SC
CMであり、更に好ましくは2〜60SCCMである。
【0012】また、前記チャンバ内の圧力としては、
0.1〜18Paがよく、好ましくは0.5〜15Pa
であり、更に好ましくは1〜12Paである。
【0013】また、前記光反射層をスパッタ法にて形成
する際に、スパッタ出力を2〜5kWとし、スパッタ時
間を4〜5秒とすることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る記録媒体の製
造方法を例えばCD−R等の光ディスクを製造するシス
テムに適用した実施の形態例(以下、単に実施の形態に
係る製造システムと記す)を図1〜図20を参照しなが
ら説明する。
【0015】本実施の形態に係る製造システム10は、
図1に示すように、例えば射出成形、圧縮成形又は射出
圧縮成形によって基板を作製する2つの成形設備(第1
及び第2の成形設備12A及び12B)と、基板の一主
面上に色素塗布液を塗布して乾燥させることにより、該
基板上に色素記録層を形成する塗布設備14と、基板の
色素記録層上に光反射層を例えばスパッタリングにより
形成し、その後、光反射層上にUV硬化液を塗布した
後、UV照射して前記光反射層上に保護層を形成する後
処理設備16とを有して構成されている。
【0016】第1及び第2の成形設備12A及び12B
は、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成形、圧縮
成形又は射出圧縮成形して、一主面にトラッキング用溝
又はアドレス信号等の情報を表す凹凸(グルーブ)が形
成された基板を作製する成形機20と、該成形機20か
ら取り出された基板を冷却する冷却部22と、冷却後の
基板を段積みして保管するためのスタックポール24が
複数本設置された集積部26(スタックポール回転台)
を有する。
【0017】塗布設備14は、3つの処理部30、32
及び34から構成され、第1の処理部30には、前記第
1及び第2の成形設備12A及び12Bから搬送された
スタックポール24を収容するためのスタックポール収
容部40と、該スタックポール収容部40に収容された
スタックポール24から1枚ずつ基板を取り出して次工
程に搬送する第1の搬送機構42と、該第1の搬送機構
42によって搬送された1枚の基板に対して静電気の除
去を行う静電ブロー機構44とを有する。
【0018】第2の処理部32は、第1の処理部30に
おいて静電ブロー処理を終えた基板を次工程に順次搬送
する第2の搬送機構46と、該第2の搬送機構46によ
って搬送された複数の基板に対してそれぞれ色素塗布液
を塗布する色素塗布機構48と、色素塗布処理を終えた
基板を1枚ずつ次工程に搬送する第3の搬送機構50と
を有する。この色素塗布機構48は6つのスピンコート
装置52を有して構成されている。
【0019】第3の処理部34は、前記第3の搬送機構
50にて搬送された1枚の基板の裏面を洗浄する裏面洗
浄機構54と、裏面洗浄を終えた基板を次工程に搬送す
る第4の搬送機構56と、該第4の搬送機構56によっ
て搬送された基板に対してロット番号等の刻印を行う番
号付与機構58と、ロット番号等の刻印を終えた基板を
次工程に搬送する第5の搬送機構60と、該第5の搬送
機構60によって搬送された基板に対して欠陥の有無並
びに色素記録層の膜厚の検査を行う検査機構62と、該
検査機構62での検査結果に応じて基板を正常品用のス
タックポール64あるいはNG用のスタックポール66
に選別する選別機構68とを有する。
【0020】第1の処理部30と第2の処理部32との
間に第1の仕切板70が設置され、第2の処理部32と
第3の処理部34にも同様の第2の仕切板72が設置さ
れている。第1の仕切板70の下部には、第2の搬送機
構46による基板の搬送経路を塞がない程度の開口(図
示せず)が形成され、第2の仕切板72の下部には、第
3の搬送機構50による基板の搬送経路を塞がない程度
の開口(図示せず)が形成されている。
【0021】後処理設備16は、塗布設備14から搬送
された正常品用のスタックポール64を収容するための
スタックポール収容部80と、該スタックポール収容部
80に収容されたスタックポール64から1枚ずつ基板
を取り出して次工程に搬送する第6の搬送機構82と、
該第6の搬送機構82によって搬送された1枚の基板に
対して静電気の除去を行う第1の静電ブロー機構84
と、静電ブロー処理を終えた基板を次工程に順次搬送す
る第7の搬送機構86と、該第7の搬送機構86によっ
て搬送された基板の一主面に光反射層をスパッタリング
にて形成するスパッタ機構88と、光反射層のスパッタ
リングを終えた基板を次工程に順次搬送する第8の搬送
機構90と、該第8の搬送機構90によって搬送された
基板の周縁(エッジ部分)を洗浄するエッジ洗浄機構9
2とを有する。
【0022】また、この後処理設備16は、エッジ洗浄
を終えた基板に対して静電気の除去を行う第2の静電ブ
ロー機構94と、静電ブロー処理を終えた基板の一主面
に対してUV硬化液を塗布するUV硬化液塗布機構96
と、UV硬化液の塗布を終えた基板を高速に回転させて
基板上のUV硬化液の塗布厚を均一にするスピン機構9
8と、UV硬化液の塗布及びスピン処理を終えた基板に
対して紫外線を照射することによりUV硬化液を硬化さ
せて基板の一主面に保護層を形成するUV照射機構10
0と、前記基板を第2の静電ブロー機構94、UV硬化
液塗布機構96、スピン機構98及びUV照射機構10
0にそれぞれ搬送する第9の搬送機構102と、UV照
射された基板を次工程に搬送する第10の搬送機構10
4と、該第10の搬送機構104によって搬送された基
板に対して塗布面と保護層面の欠陥を検査するための欠
陥検査機構106と、基板に形成されたグルーブによる
信号特性を検査するための特性検査機構108と、これ
ら欠陥検査機構106及び特性検査機構108での検査
結果に応じて基板を正常品用のスタックポール110あ
るいはNG用のスタックポール112に選別する選別機
構114とを有する。
【0023】ここで、1つのスピンコート装置52の構
成について図2〜図6を参照しながら説明する。
【0024】このスピンコート装置52は、図2及び図
3に示すように、塗布液付与装置400、スピナーヘッ
ド装置402及び飛散防止壁404を有して構成されて
いる。塗布液付与装置400は、塗布液が充填された加
圧タンク(図示せず)と、該加圧タンクからノズル40
6に引き回されたパイプ(図示せず)と、ノズル406
から吐出される塗布液の量を調整するための吐出量調整
バルブ408とを有し、塗布液は前記ノズル406を通
してその所定量が基板202の表面上に滴下されるよう
になっている。この塗布液付与装置400は、ノズル4
06を下方に向けて支持する支持板410と該支持板4
10を水平方向に旋回させるモータ412とを有するハ
ンドリング機構414によって、待機位置から基板20
2の上方の位置に旋回移動できるように構成されてい
る。
【0025】スピナーヘッド装置402は、前記塗布液
付与装置400の下方に配置されており、着脱可能な固
定具420により、基板202が水平に保持されると共
に、駆動モータ(図示せず)により軸回転が可能とされ
ている。
【0026】スピナーヘッド装置402により水平に保
持された状態で回転している基板202上に、上記の塗
布液付与装置400のノズル406から滴下した塗布液
は、基板202の表面上を外周側に流延する。そして、
余分の塗布液は基板202の外周縁部で振り切られ、そ
の外側に放出され、次いで塗膜が乾燥されることによ
り、基板202の表面上に塗膜(色素記録層204)が
形成される。
【0027】飛散防止壁404は、基板202の外周縁
部から外側に放出された余分の塗布液が周辺に飛散する
のを防止するために設けられており、上部に開口422
が形成されるようにスピナーヘッド装置402の周囲に
配置されている。飛散防止壁404を介して集められた
余分の塗布液はドレイン424を通して回収されるよう
になっている。
【0028】また、第2の処理部32(図1参照)にお
ける各スピンコート装置52の局所排気は、前記飛散防
止壁404の上方に形成された開口422から取り入れ
た空気を基板202の表面上に流通させた後、各スピナ
ーヘッド装置402の下方に取り付けられた排気管42
6を通じて排気されるようになっている。
【0029】塗布液付与装置400のノズル406は、
図4及び図5に示すように、軸方向に貫通孔430が形
成された細長い円筒状のノズル本体432と、該ノズル
本体432を支持板410(図3参照)に固定するため
の取付部434を有する。ノズル本体432は、その先
端面及びその先端面から1mm以上の範囲の外側又は内
側、あるいは両方の壁面がフッ素化合物からなる表面を
有する。このフッ素化合物としては、例えばポリテトラ
フルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン含有物
等を使用することができる。
【0030】この実施の形態で用いられる好ましいノズ
ル406の例としては、例えば、図5に示すように、ノ
ズル本体432の先端面及びその先端面から1mm以上
の範囲をフッ素化合物を用いて形成したノズル406
や、図6に示すように、ノズル本体432の先端面44
0及びその先端面440から1mm以上の範囲の外側又
は内側、あるいは両方の壁面442及び444をフッ素
化合物を用いて被覆したノズル406を挙げることがで
きる。
【0031】ノズル本体432の先端面及びその先端面
から1mm以上の範囲をフッ素化合物で形成する場合、
強度などを考慮すると、実用的には、例えばノズル本体
432をステンレススチールで形成し、その先端面及び
その先端面から最大で5mmの範囲をフッ素化合物で形
成することが好ましい。
【0032】また、図6に示すように、ノズル本体43
2の先端面440及びその先端面440から1mm以上
の範囲の外側又は内側、あるいは両方の壁面442及び
444をフッ素化合物で被覆する場合、ノズル本体43
2の先端面440から10mm以上、更に好ましくは、
ノズル本体432の全領域をフッ素化合物で被覆するこ
とが好ましい。被覆する場合のその厚みは、特に制限は
ないが、5〜500μmの範囲が適当である。また、ノ
ズル本体432の材質としては、上記のように、ステン
レススチールが好ましい。ノズル本体432に形成され
た貫通孔430の径は一般に0.5〜1.0mmの範囲
である。
【0033】次に、光反射層を形成するスパッタ機構8
8について図7を参照しながら説明する。
【0034】このスパッタ機構88は、図7に示すよう
に、内部に回転テーブル500が設置され、かつ、上部
に開口が設けられた筒状のチャンバ502と、該チャン
バ502の前記開口に対して開閉自在に設けられたスパ
ッタ源504とを有する。
【0035】前記スパッタ源504をチャンバ502に
対して閉状態としたとき、回転テーブル500上にスパ
ッタ空間506が形成されるようになっており、このス
パッタ空間506は、図示しない排気孔を通じて排気さ
れることで所定の真空度に設定される。前記回転テーブ
ル500上には基板202が載置され、回転されるよう
になっている。
【0036】スパッタ源504の下部には、基板202
に対するスパッタ処理に対して基板202の外周部分を
マスクするアウターマスク508と、基板202に対す
るスパッタ処理に対して基板202の中央部分をマスク
するインナーマスク510と、アウターマスク508上
に設置されたアッパーマスク512と、これらアウター
マスク508、インナーマスク510及びアッパーマス
ク512を固定支持する支持部材514と、前記回転テ
ーブル500に載置された基板202に対向し、かつ、
前記各種マスク508、510及び512や支持部材5
14と絶縁リング516等によって絶縁されて支持され
た例えばAgによるターゲット518とが設けられてい
る。前記各種マスク508、510及び512や支持部
材514は共に金属製、例えば銅製とされている。な
お、スパッタ源504の上部には、マグネット520と
モータ522が設けられている。
【0037】アウターマスク508は、下部開口524
の径が、基板202の外径よりも僅かに小に設定されて
いる。また、スパッタ空間506の下部が、前記下部開
口524から上方に向かって広くなるようにアウターマ
スク508の下部内壁にテーパ面526や水平面528
が形成されている。
【0038】具体的には、アウターマスク508の内壁
のうち、下部開口524から上方に向かって高さAにわ
たる部分が鉛直方向に沿って立ち上がる第1の垂直面5
30とされ、該第1の垂直面530の上端部分から上方
に向かって距離Bにわたる部分が前記テーパ面526と
され、更に、テーパ面526の上端部分から所定距離だ
け水平方向に広がるように形成された前記水平面528
と、該水平面528の終端からアウターマスク508の
上端にわたる部分が鉛直方向に沿って立ち上がる第2の
垂直面532とされている。前記第1の垂直面530の
高さAとしては、例えば0.4mmが好ましい。
【0039】アウターマスク508とアッパーマスク5
12との間にはガス導入孔534が形成され、該ガス導
入孔534に接続されたガス導入管536及びガス導入
孔534を通じて雰囲気ガス(例えばArガス)がスパ
ッタ空間506に導入されるようになっている。
【0040】そして、各種マスク508、510及び5
12を陽極とし、ターゲット518を陰極として所定の
電圧(400〜500V)が印加されるようになってい
る。
【0041】ここで、簡単に前記スパッタ機構88によ
る光反射層208の形成について説明すると、ガス導入
孔534を通じてスパッタ空間506に導入された雰囲
気ガス(例えばArガス)はスパッタ空間506におい
てArイオンと電子に電離し、プラズマが発生する。
【0042】電離したArイオンは、陰極であるターゲ
ット518に飛び込む。ターゲット518は、飛び込ん
だエネルギー(Arイオンの入射エネルギー)を受けて
玉突きのように原子から原子に伝わり、表面近くのター
ゲット518の原子はスパッタ空間506(真空)に飛
び出して、基板202並びに各種マスク508、510
及び512の表面に到達し、これによって、基板202
上に例えばAgによる光反射層208が形成されること
になる。
【0043】このとき、ターゲット518からの電子は
マグネット520の磁界によってインナーマスク510
に収束され、陽極(アウターマスク508やインナーマ
スク510)に集められる。雰囲気ガスとしては、スパ
ッタ中に目的金属(ターゲット518の金属)と反応し
ないもの、例えば前記ArガスやN2 ガス等が好まし
い。
【0044】そして、本実施の形態では、光反射層20
8における膜厚の面内変動が10%以内となるように、
少なくとも雰囲気ガスの流量とチャンバ502内の圧力
とを設定して光反射層208を形成する。
【0045】雰囲気ガスの流量としては、0.5〜90
SCCMがよく、好ましくは1〜70SCCMであり、
更に好ましくは2〜60SCCMである。また、前記チ
ャンバ502内の圧力としては、0.1〜18Paがよ
く、好ましくは0.5〜15Paであり、更に好ましく
は1〜12Paである。また、スパッタ出力を2〜5k
Wとし、スパッタ時間を4〜5秒とすることが好まし
い。
【0046】更に、光反射層208の安定した成膜、光
反射層208の連続成膜、並びに歩留まりの向上を図る
ための手法としては、例えば以下に示す方法が挙げられ
る。
【0047】(1) 例えばアウターマスク508の下
部開口524を基板202の外径よりも僅かに小さくし
て、基板202の径を例えば120mmとしたとき、外
径が例えば119mmの光反射層208を形成する。
【0048】(2) アウターマスク508やインナー
マスク510に付着したスパッタ層をメンテナンス作業
において除去しやすくするために、アウターマスク50
8の表面とインナーマスク510の表面にめっき処理や
カーボン塗布を施す。めっき処理としては、例えばNi
−Znめっきが好ましい。
【0049】(3) アウターマスク508の内壁面の
うち、スパッタ層が付着しやすい箇所である水平面52
8から第2の垂直面532にわたる部分に例えばステン
レス製の防着板538を取り付けて、アウターマスク5
08へのスパッタ層の付着を回避する。防着板538に
付着したスパッタ層はメンテナンス作業において簡単に
除去することができる。
【0050】(4) スパッタ空間506の高さを標準
の高さ(30mm)よりも高い40mmに設定してい
る。これにより、スパッタレートが標準の場合よりも低
下するが、基板202に形成される光反射層208の膜
厚分布を良好にすることができる。
【0051】(5) 定期的に光反射層208の成膜の
状態を監視する。例えば150枚単位に視認にて監視す
る。そして、光反射層208の成膜状態が悪ければアウ
ターマスク508等を交換する。
【0052】(6) 基板202やターゲット518な
どスパッタにかかわる部材を手で触らないようにする。
【0053】(7) チャンバ502の内部を大気に解
放した場合、次にスパッタを行う際に、予めプリスパッ
タを行ってチャンバ502内をスパッタに適した環境に
保持させる。
【0054】(8) 酸素を除去した環境でターゲット
518を保存する。
【0055】次に、この製造システム10によって光デ
ィスクDを製造する過程について図8A〜図9Bの工程
図も参照しながら説明する。
【0056】まず、第1及び第2の成形設備12A及び
12Bにおける成形機20において、ポリカーボネート
などの樹脂材料が射出成形、圧縮成形又は射出圧縮成形
されて、図8Aに示すように、一主面にトラッキング用
溝又はアドレス信号等の情報を表す凹凸(グルーブ)2
00が形成された基板202が作製される。
【0057】前記基板202の材料としては、例えばポ
リカーボネート、ポリメタルメタクリレート等のアクリ
ル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化
ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフ
ィン及びポリエステルなどを挙げることができ、所望に
よりそれらを併用してもよい。上記の材料の中では、耐
湿性、寸法安定性及び価格などの点からポリカーボネー
トが好ましい。また、グルーブ200の深さは、0.0
1〜0.3μmの範囲であることが好ましく、その半値
幅は、0.2〜0.9μmの範囲であることが好まし
い。
【0058】成形機20から取り出された基板202
は、後段の冷却部22において冷却された後、一主面が
下側に向けられてスタックポール24に積載される。ス
タックポール24に所定枚数の基板202が積載された
段階で、スタックポール24はこの成形設備12A及び
12Bから取り出されて、次の塗布設備14に搬送さ
れ、該塗布設備14におけるスタックポール収容部40
に収容される。この搬送は、台車で行ってもよいし、自
走式の自動搬送装置で行うようにしてもよい。
【0059】スタックポール24がスタックポール収容
部40に収容された段階で、第1の搬送機構42が動作
し、スタックポール24から1枚ずつ基板202を取り
出して、後段の静電ブロー機構44に搬送する。静電ブ
ロー機構44に搬送された基板202は、該静電ブロー
機構44において静電気が除去された後、第2の搬送機
構46を介して次の色素塗布機構48に搬送され、6つ
のスピンコート装置52のうち、いずれか1つのスピン
コート装置52に投入される。スピンコート装置52に
投入された基板202は、その一主面上に色素塗布液が
塗布された後、高速に回転されて塗布液の厚みが均一に
された後、乾燥処理が施される。これによって、図8B
に示すように、基板202の一主面上に色素記録層20
4が形成されることになる。
【0060】即ち、スピンコート装置52に投入された
基板202は、図2に示すスピナーヘッド装置402に
装着され、固定具420により水平に保持される。次
に、加圧式タンクから供給された塗布液は、吐出量調整
バルブ408によって所定量が調整され、基板202上
の内周側にノズル406を通して滴下される。
【0061】このノズル406は、上述したように、そ
の先端面及びその先端面から1mm以上の範囲の外側又
は内側、あるいは両方の壁面がフッ素化合物からなる表
面を有しているため、塗布液の付着が生じにくく、ま
た、これが乾燥して色素の析出やその堆積物が生じにく
く、従って、塗膜を塗膜欠陥などの障害を伴うことなく
スムーズに形成させることができる。
【0062】なお、塗布液としては色素を適当な溶剤に
溶解した色素溶液が用いられる。塗布液中の色素の濃度
は一般に0.01〜15重量%の範囲にあり、好ましく
は0.1〜10重量%の範囲、特に好ましくは0.5〜
5重量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3重量%の範
囲にある。
【0063】駆動モータによってスピナーヘッド装置4
02は高速回転が可能である。基板202上に滴下され
た塗布液は、スピナーヘッド装置402の回転により、
基板202の表面上を外周方向に流延し、塗膜を形成し
ながら基板202の外周縁部に到達する。外周縁部に達
した余分の塗布液は、更に遠心力により振り切られ、基
板202の縁部の周囲に飛散する。飛散した余分の塗布
液は飛散防止壁404に衝突し、更にその下方に設けら
れた受皿に集められた後、ドレイン424を通して回収
される。塗膜の乾燥はその形成過程及び塗膜形成後に行
われる。塗膜(色素記録層204)の厚みは、一般に2
0〜500nmの範囲で、好ましくは50〜300nm
の範囲で設けられる。
【0064】色素記録層204に用いられる色素は特に
限定されない。使用可能な色素の例としては、シアニン
系色素、フタロシアニン系色素、イミダゾキノキサリン
系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系色素、アズレ
ニウム系色素、スクワリリウム系色素、Ni、Crなど
の金属錯塩系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノ
ン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系
色素、トリフェニルメタン系色素、メロシアニン系色
素、オキソノール系色素、アミニウム系・ジインモニウ
ム系色素及びニトロソ化合物を挙げることができる。こ
れらの色素のうちでは、シアニン色素、フタロシアニン
系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、
オキソノール系色素及びイミダゾキノキサリン系色素が
好ましい。
【0065】色素記録層204を形成するための塗布剤
の溶剤の例としては、酢酸ブチル、セロソルブアセテー
トなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサ
ノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロル
メタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの
塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;
シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、
エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノー
ル、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノ
ール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,
2,3,3−テトラフロロ−1−プロパノールなどのフ
ッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、
エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレング
リコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル
類などを挙げることができる。
【0066】前記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮し
て単独または二種以上を適宜併用することができる。好
ましくは、2,2,3,3−テトラフロロ−1−プロパ
ノールなどのフッ素系溶剤である。なお、塗布液中に
は、所望により退色防止剤や結合剤を添加してもよい
し、更に酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、そして潤滑
剤など各種の添加剤を、目的に応じて添加してもよい。
【0067】退色防止剤の代表的な例としては、ニトロ
ソ化合物、金属錯体、ジインモニウム塩、アミニウム塩
を挙げることができる。これらの例は、例えば、特開平
2−300288号、同3−224793号、及び同4
−146189号等の各公報に記載されている。
【0068】結合剤の例としては、ゼラチン、セルロー
ス誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機
高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・
ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリ
ル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹
脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポ
キシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・
ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物な
どの合成有機高分子を挙げることができる。
【0069】結合剤を使用する場合に、結合剤の使用量
は、色素100重量部に対して、一般に20重量部以下
であり、好ましくは10重量部以下、更に好ましくは5
重量部以下である。
【0070】なお、色素記録層204が設けられる側の
基板202表面には、平面性の改善、接着力の向上およ
び記録層204の変質防止などの目的で、下塗層が設け
られてもよい。
【0071】下塗層の材料としては例えば、ポリメチル
メタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、
スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ
ール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニ
ルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、
ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフ
ィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビ
ニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子
物質、およびシランカップリング剤などの表面改質剤を
挙げることができる。
【0072】下塗層は、前記物質を適当な溶剤に溶解ま
たは分散して塗布液を調整した後、この塗布液をスピン
コート、ディップコート、エクストルージョンコートな
どの塗布法を利用して基板202の表面に塗布すること
により形成することができる。下塗層の層厚は一般に
0.005〜20μmの範囲、好ましくは0.01〜1
0μmの範囲で設けられる。
【0073】色素記録層204が形成された基板202
は、第3の搬送機構50を介して次の裏面洗浄機構54
に搬送され、基板202の一主面の反対側の面(裏面)
が洗浄される。その後、基板202は、第4の搬送機構
56を介して次の番号付与機構58に搬送され、基板2
02の一主面又は裏面に対してロット番号等の刻印が行
われる。
【0074】その後、基板202は、第5の搬送機構6
0を介して次の検査機構62に搬送され、基板202の
欠陥の有無や色素記録層204の膜厚の検査が行われ
る。この検査は、基板202の裏面から光を照射してそ
の光の透過状態を例えばCCDカメラで画像処理するこ
とによって行われる。この検査機構62での検査結果は
次の選別機構68に送られる。
【0075】上述の検査処理を終えた基板202は、そ
の検査結果に基づいて選別機構68によって正常品用の
スタックポール64か、NG用のスタックポール66に
搬送選別される。
【0076】正常品用のスタックポール64に所定枚数
の基板202が積載された段階で、正常品用のスタック
ポール64はこの塗布設備14から取り出されて、次の
後処理設備16に搬送され、該後処理設備16のスタッ
クポール収容部80に収容される。この搬送は、台車で
行ってもよいし、自走式の自動搬送装置で行うようにし
てもよい。
【0077】正常品用のスタックポール64がスタック
ポール収容部80に収容された段階で、第6の搬送機構
82が動作し、スタックポール64から1枚ずつ基板2
02を取り出して、後段の第1の静電ブロー機構84に
搬送する。第1の静電ブロー機構84に搬送された基板
202は、該第1の静電ブロー機構84において静電気
が除去された後、第7の搬送機構86を介して次のスパ
ッタ機構88に搬送される。スパッタ機構88に投入さ
れた基板202は、図8Cに示すように、その一主面
中、周縁部分(エッジ部分)206を除く全面に光反射
層208がスパッタリングによって形成される。
【0078】光反射層208の材料である光反射性物質
はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、その例と
しては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、N
b、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、
Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、A
u、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、T
e、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属ある
いはステンレス鋼を挙げることができる。
【0079】これらのうちで好ましいものは、Cr、N
i、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼で
ある。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは
二種以上を組み合わせて用いてもよい。または合金とし
て用いてもよい。特に好ましくはAgもしくはその合金
である。
【0080】光反射層208は、例えば、前記光反射性
物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティン
グすることにより記録層の上に形成することができる。
反射層の層厚は、一般的には10〜800nmの範囲、
好ましくは20〜500nmの範囲、更に好ましくは5
0〜300nmの範囲で設けられる。
【0081】光反射層208が形成された基板202
は、第8の搬送機構90を介して次のエッジ洗浄機構9
2に搬送され、図9Aに示すように、基板202の一主
面中、エッジ部分206が洗浄されて、該エッジ部分2
06に形成されていた色素記録層204が除去される。
その後、基板202は、第9の搬送機構102を介して
次の第2の静電ブロー機構94に搬送され、静電気が除
去される。
【0082】その後、基板202は、同じく前記第9の
搬送機構102を介してUV硬化液塗布機構96に搬送
され、基板202の一主面の一部分にUV硬化液が滴下
される。その後、基板202は、同じく前記第9の搬送
機構102を介して次のスピン機構98に搬送され、高
速に回転されることにより、基板202上に滴下された
UV硬化液の塗布厚が基板全面において均一にされる。
【0083】この実施の形態においては、前記光反射層
208の成膜後から前記UV硬化液の塗布までの時間が
2秒以上、5分以内となるように時間管理されている。
【0084】その後、基板202は、同じく前記第9の
搬送機構102を介して次のUV照射機構100に搬送
され、基板202上のUV硬化液に対して紫外線が照射
される。これによって、図9Bに示すように、基板20
2の一主面上に形成された色素記録層204と光反射層
208を覆うようにUV硬化樹脂による保護層210が
形成されて光ディスクDとして構成されることになる。
【0085】保護層210は、色素記録層204などを
物理的及び化学的に保護する目的で光反射層208の上
に設けられる。保護層210は、基板202の色素記録
層204が設けられていない側にも耐傷性、耐湿性を高
める目的で設けることもできる。保護層210で使用さ
れる材料としては、例えば、SiO、SiO2 、MgF
2 、SnO2 、Si3 4 等の無機物質、及び熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂、そしてUV硬化性樹脂等の有機物
質を挙げることができる。
【0086】保護層210は、例えば、プラスチックの
押出加工で得られたフィルムを接着剤を介して光反射層
208上及び/または基板202上にラミネートするこ
とにより形成することができる。あるいは真空蒸着、ス
パッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。
また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合には、これら
を適当な溶剤に溶解して塗布液を調整したのち、この塗
布液を塗布し、乾燥することによっても形成することが
できる。
【0087】UV硬化性樹脂の場合には、上述したよう
に、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調
整したのちこの塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化
させることによって形成することができる。これらの塗
布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤
等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。保護層
210の層厚は一般には0.1〜100μmの範囲で設
けられる。
【0088】その後、光ディスクDは、第10の搬送機
構104を介して次の欠陥検査機構106と特性検査機
構108に搬送され、色素記録層204の面と保護層2
10の面における欠陥の有無や光ディスクDの基板20
2に形成されたグルーブ200による信号特性が検査さ
れる。これらの検査は、光ディスクDの両面に対してそ
れぞれ光を照射してその反射光を例えばCCDカメラで
画像処理することによって行われる。これらの欠陥検査
機構106及び特性検査機構108での各検査結果は次
の選別機構114に送られる。
【0089】上述の欠陥検査処理及び特性検査処理を終
えた光ディスクDは、各検査結果に基づいて選別機構1
14によって正常品用のスタックポール110か、NG
用のスタックポール112に搬送選別される。
【0090】正常品用のスタックポール110に所定枚
数の光ディスクDが積載された段階で、該スタックポー
ル110が後処理設備16から取り出されて図示しない
ラベル印刷工程に投入される。
【0091】このように、本実施の形態に係る製造シス
テム10、特に光反射層208を形成する方法において
は、記録層204上に光反射層208を形成する際に、
光反射層208における膜厚の面内変動が10%以内と
なるように、少なくとも雰囲気ガスの流量とチャンバ5
02内の圧力を設定して、光反射層208を形成するよ
うにしたので、基板202上に光反射層208をほぼ均
一に形成することができ、ジッタの劣化を抑制すること
ができる。
【0092】
【実施例】次に、4つの実験例について説明する。ま
ず、第1の実験例は、図1に示す製造システム10にて
光ディスクDを作製する場合において、実施例1〜7に
係るサンプル並びに比較例1〜3に係るサンプルに関
し、雰囲気ガスの流量とチャンバ502内の圧力をそれ
ぞれ変えたときの光反射層208の膜厚の面内変動とジ
ッタをみたものである。
【0093】各サンプルの作製法は以下の通りである。
まず、厚さ1.2mm、直径120mmのスパイラル状
のグルーブ(深さ160nm、幅0.4μm、トラック
ピッチ1.6μm)を有する基板202を用意する。
【0094】下記の一般式(1)で表されるベンゾイン
ドレニン骨格を有するシアニン系色素に、下記の一般式
(2)で表される退色防止剤を前記色素に対して10%
添加し、これらを下記の一般式(3)で表される2,
2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールに混
ぜ、2時間超音波を当てて溶解して色素記録層204を
形成するための色素塗布液を調製した。
【0095】
【化1】
【0096】
【化2】
【0097】
【化3】
【0098】この色素塗布液をスピンコート法により回
転数を300rpmから4000rpmまで変化させな
がら基板202のグルーブが有する面上に塗布した。
【0099】その後、色素記録層204上にAgをスパ
ッタして光反射層208を形成し、その後、UV硬化樹
脂(大日本インキ化学工業社製SD−318)をスピン
コート法により300rpmから4000rpmまで変
化させながら塗布した後、高圧水銀灯にて紫外線を照射
して硬化させ、膜厚が約10μmの保護層210を形成
した。
【0100】このようにして、基板202、色素記録層
204、光反射層208及び保護層210からなるサン
プルを作製した。
【0101】光反射層208は、芝浦メカトロニクス社
製のスパッタ装置(MCD−5000)を使い、ターゲ
ット518の金属をAg、雰囲気ガスをArガスとし
て、目標膜厚150nmだけ成膜した。実施例7のみ目
標膜厚を300nmとしている。
【0102】第1の実験例の結果を図10に示す。この
実験結果から、雰囲気ガスの流量が2〜60SCCMの
範囲にあって、かつ、チャンバ502内の圧力が1〜1
2Paの範囲にある実施例1〜7においては、膜厚の面
内変動が10未満であり、膜厚分布が良好になってお
り、それに伴ってジッタも改善されていることがわか
る。また、スパッタレート(速度)も30〜33の範囲
にあり、比較例1や3と比べて速くなっている。
【0103】実施例1〜7並びに比較例1〜3につい
て、雰囲気ガスの流量とチャンバ502内の圧力との関
係でプロットすると、図11に示すようになる。そし
て、上述の結果からスパッタの条件として好適な範囲
は、雰囲気ガスの流量については0.5〜90SCCM
の範囲であり、好ましくは、1〜70SCCMの範囲で
あり、更に好ましくは2〜60SCCMの範囲である。
チャンバ502内の圧力については0.1〜18Paの
範囲であり、好ましくは0.5〜15Paの範囲であ
り、更に好ましくは1〜12Paの範囲である。
【0104】次に、第2の実験例は、スパッタ出力とス
パッタ時間を一定にし、雰囲気ガスの流量を5〜100
SCCMに変化させたときの光反射層208の膜厚分布
をみたものである。スパッタ出力は2.5kWであり、
スパッタ時間は1秒である。
【0105】図12にスパッタ速度(OPD)について
の最大値、最小値及び平均値の分布をプロットした特性
を示し、図13にスパッタ速度の面内変動(最大値−最
小値/平均値)をプロットした特性を示し、図14に膜
厚の面内変動(%)をプロットした特性を示し、図15
に膜厚の周内変動(%)をプロットした特性を示す。
【0106】この実験例でのスパッタ速度(OPD)と
膜厚の関係は、1OPD=35nmである。また、図1
5において、半径位置23mmの周内変動を曲線Aで示
し、半径位置42mmの周内変動を曲線Bで示す。
【0107】この第2の実験例から、スパッタ速度が最
大になるのは、雰囲気ガスの流量が20SCCMであっ
て、流量が5〜20SCCMではスパッタ速度の変動は
ほとんどない。流量が20SCCMを超えると急激にス
パッタ速度が低下することがわかる。
【0108】膜厚の面内変動は、雰囲気ガスの流量が2
0SCCM以上で大きくなり、流量が5〜10SCCM
ではほぼ一定となる。これは周内変動においても同様の
傾向がある。
【0109】次に、第3の実験例は、雰囲気ガスの流量
とスパッタ時間を一定にし、スパッタ出力を1、2.
5、3.3及び5kWに変化させたときの光反射層の膜
厚分布をみたものである。雰囲気ガスの流量は10SC
CMであり、スパッタ時間は2kW・秒となるように設
定した。
【0110】図16にスパッタ速度(OPD)について
の最大値、最小値及び平均値の分布をプロットした特性
を示し、図17にスパッタ速度の面内変動(最大値−最
小値/平均値)をプロットした特性を示し、図18に膜
厚の面内変動(%)を示し、図19に膜厚の周内変動
(%)を示す。図19において、半径位置23mmの周
内変動を曲線Aで示し、半径位置42mmの周内変動を
曲線Bで示す。
【0111】この第3の実験例から、スパッタ速度が最
大になるのは3.3kWである。スパッタ出力が2.5
〜3.3kWではスパッタ速度の変化はほとんどない。
スパッタ出力が2kW以下や4kW以上で急激にスパッ
タ速度が低下する。
【0112】スパッタ出力が1kWでの面内変動は大き
い。半径方向の変動が特に著しい。スパッタ出力を上げ
すぎると、基板温度が上昇し、基板が変形する懸念があ
り、スパッタ出力を下げすぎると、タクトタイムが遅く
なるというデメリットがある。
【0113】そこで、上述の実験結果から、スパッタ出
力として、2.5〜3.3kWであれば、スパッタ速度
も高く、周内変動も小さいため、良好な範囲と考えられ
る。
【0114】次に、第4の実験例は、雰囲気ガスの流量
とスパッタ出力を一定にし、スパッタ出力を0.94秒
(3.76秒)〜1.4秒(5.6秒)に変化させたと
きの光反射層の膜厚分布をみたものである。
【0115】スパッタ時間として、実際は4秒程度必要
であるが、その時間では、OPDが高すぎ、膜厚の測定
が困難となるため、通常のスパッタ時間の1/4程度の
時間でスパッタを行った。
【0116】従って、通常の目標膜厚は150nmであ
るが、この実験では、その1/4を目標膜厚とした。つ
まり、37.5nmが目標膜厚であり、これをOPD値
に換算すると、1.149である。なお、雰囲気ガスの
流量は10SCCMであり、スパッタ出力は2.5kW
である。
【0117】図20に、スパッタ時間に対するスパッタ
速度(OPD)の最小値の変化を示す。この図20か
ら、スパッタ時間の変数をxとし、スパッタ速度の最小
値の変数をyとしたとき、 y=1.4272x−0.3763 の直線的な関係となる。
【0118】この直線の式からOPDが1.149にな
る条件を求めると、 スパッタ時間=(1.149+0.3763)/1.4272 =1.0687秒 である。実際には、この4倍の時間が必要で、4.27
秒を標準のスパッタ時間として定義した。そして、この
標準のスパッタ時間を中心にして前後30秒程度の範囲
(4〜5秒)を好適なスパッタ時間としてとらえること
ができる。
【0119】なお、この発明に係る記録媒体の製造方法
は、上述の実施の形態に限らず、この発明の要旨を逸脱
することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんで
ある。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る記録
媒体の製造方法によれば、基板上に光反射層をほぼ均一
に形成することができ、ジッタの劣化を抑制することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る製造システムの一例を示す
構成図である。
【図2】塗布設備に設置されるスピンコート装置を示す
構成図である。
【図3】塗布設備に設置されるスピンコート装置を示す
斜視図である。
【図4】スピンコート装置のノズルを示す平面図であ
る。
【図5】スピンコート装置のノズルの一例を示す側面図
である。
【図6】スピンコート装置のノズルの他の例を一部省略
して示す拡大断面図である。
【図7】本実施の形態に係る製造システムにおけるスパ
ッタ機構を示す構成図である。
【図8】図8Aは基板にグルーブを形成した状態を示す
工程図であり、図8Bは基板上に色素記録層を形成した
状態を示す工程図であり、図8Cは基板上に光反射層を
形成した状態を示す工程図である。
【図9】図9Aは基板のエッジ部分を洗浄した状態を示
す工程図であり、図9Bは基板上に保護層を形成した状
態を示す工程図である。
【図10】第1の実験例(雰囲気ガスの流量とチャンバ
内の圧力をそれぞれ変えたときの光反射層の膜厚の面内
変動とジッタをみた実験例)の結果を示す表図である。
【図11】実施例1〜7並びに比較例1〜3について、
雰囲気ガスの流量とチャンバの圧力との関係でプロット
した特性図である。
【図12】第2の実験例において、スパッタ速度(OP
D)についての最大値、最小値及び平均値の分布をプロ
ットした特性を示す図である。
【図13】第2の実験例において、スパッタ速度の面内
変動(最大値−最小値/平均値)をプロットした特性を
示す図である。
【図14】第2の実験例において、膜厚の面内変動
(%)をプロットした特性を示す図である。
【図15】第2の実験例において、膜厚の周内変動
(%)をプロットした特性を示す図である。
【図16】第3の実験例において、スパッタ速度(OP
D)についての最大値、最小値及び平均値の分布をプロ
ットした特性を示す図である。
【図17】第3の実験例において、スパッタ速度の面内
変動(最大値−最小値/平均値)をプロットした特性を
示す図である。
【図18】第3の実験例において、膜厚の面内変動
(%)をプロットした特性を示す図である。
【図19】第3の実験例において、膜厚の周内変動
(%)をプロットした特性を示す図である。
【図20】第4の実験例において、スパッタ時間に対す
るスパッタ速度(OPD)の最小値の変化を示す特性図
である。
【符号の説明】
10…製造システム 88…スパッ
タ機構 202…基板 204…色素
記録層 208…光反射層 210…保護
層 502…チャンバ 504…スパ
ッタ源 506…スパッタ空間 508…アウ
ターマスク 510…インナーマスク 512…アッ
パーマスク 518…ターゲット 524…下部
開口 526…テーパ面 528…水平
面 530…第1の垂直面 532…第2
の垂直面 538…防着板 D…光ディス

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、情報を記録することができる記
    録層を有し、該記録層上に光反射層を有する記録媒体の
    製造方法において、 前記記録層上に光反射層を形成する際に、 前記光反射層における膜厚の面内変動が10%以内とな
    るように、少なくとも雰囲気ガスの流量とチャンバ内の
    圧力とを設定して前記光反射層を形成することを特徴と
    する記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の記録媒体の製造方法におい
    て、 前記雰囲気ガスの流量が0.5〜90SCCMであるこ
    とを特徴とする記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の記録媒体の製造方法におい
    て、 前記チャンバ内の圧力が0.1〜18Paであることを
    特徴とする記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の記録
    媒体の製造方法において、 前記光反射層をスパッタ法にて形成する際に、スパッタ
    出力を2〜5kWとすることを特徴とする記録媒体の製
    造方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載の記録
    媒体の製造方法において、 前記光反射層をスパッタ法にて形成する際に、スパッタ
    時間を4〜5秒とすることを特徴とする記録媒体の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003085158A1 (fr) * 2002-04-04 2003-10-16 Tdk Corporation Dispositif de pulverisation cathodique, procede de formation de couche mince par pulverisation cathodique et procede de fabrication de support d'enregistrement en forme de disque au moyen de ce dispositif

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003085158A1 (fr) * 2002-04-04 2003-10-16 Tdk Corporation Dispositif de pulverisation cathodique, procede de formation de couche mince par pulverisation cathodique et procede de fabrication de support d'enregistrement en forme de disque au moyen de ce dispositif

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