JP3698612B2 - 可変抵抗器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は可変抵抗器に係わり、特に抵抗体、及び集電体の電極部との接触を、確実にすることができるリード端子を有する可変抵抗器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来可変抵抗器は、絶縁基板11を有し、この絶縁基板11は、図7に示すように、一方の面にカーボン被膜等からなる抵抗体12、及び集電体13とが略馬蹄形状に印刷形成されている。
前記抵抗体12、及び集電体13の端部には、銀粉を含む導電パターンからなる電極部14がそれぞれ印刷等により形成されている。前記抵抗体12、及び集電体13の端部は、それぞれ電極部14の上に重ねて印刷形成されて階段状になっている。
【0003】
前記抵抗体12、及び集電体13の端部が重ねて形成された電極部14上には、リード端子15が位置し、このリード端子15の鳩目15aを絶縁基板11にカシメ付けて、電極部14とリード端子15とを電気的に接続していた。
このような従来の可変抵抗器は、絶縁基板11の電極部14にリード端子15を半田付け等で接続することがなく、組立性が良かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の可変抵抗器は、電極部14の上に抵抗体12、及び集電体13の端部が階段状に形成されているので、図8に示すように、リード端子15の鳩目15aを絶縁基板11にカシメ付けると、リード端子15が斜めになる。
そのために、電極部14とリード端子15との接触面積が小さくなる。あるいは、階段状の抵抗体12、及び集電体13の端部近傍に、鳩目部15aのカシメ荷重が集中するが、この部分においては、導電性が低く、弾性の低い抵抗体に接しているため、温度サイクル試験等による環境特性試験で、電極部14とリード端子15との接触不良が発生するおそれがあった。
【0005】
また、前記接触不良対策として、電極部14の幅寸法を広くして電極部14とリード端子15との接触面積を大きくする方法がある。しかし、この方法では、それぞれの電極部14間の隙間寸法が小さくなり、電極部14に含まれている銀が水分を含んでイオン化し、電圧の印加方向に析出するマイグレーションという現象が発生して、隣り合う電極部14間でショートする危険性があった。
そのために、それぞれの電極部14の幅寸法は、マイグレーショの発生を防ぐために大きくできなかった。
本発明は、前述したような問題点に鑑みてなされたもので、抵抗体、及び集電体の電極部とリード端子との接触が、環境特性試験を行っても劣化することなく、且つマイグレーションの発生を防ぐことができる可変抵抗器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の解決手段として本発明の可変抵抗器は、摺動子片と、この摺動子片が弾接する抵抗体、及び集電体と、この抵抗体、及び集電体を一方の面に形成した絶縁基板と、前記抵抗体、及び集電体の終端部にそれぞれ接続する電極部と、このそれぞれの電極部上に当接して配置されたリード端子とを備え、前記電極部は銀粉を含む導電パターンで形成し、前記リード端子は、板状をなし幅方向の両端部、又はいずれか一方の端部に、板厚方向に突出する鋸刃状の突起部を設け、この突起部を前記電極部の一部に喰い込ませるような構成とした。
【0007】
また、上記課題を解決するための第2の解決手段として、前記電極部は、幅方向の両端部、又はいずれか一方の端部を前記リード端子の前記突起部より外側に延出させて延出部を形成し、この延出部に前記リード端子の前記突起部を喰い込ませるような構成とした。
【0008】
また、上記課題を解決するための第3の解決手段として、前記電極部は、前記絶縁基板の一端部に第1、第2、第3電極部を並設し、前記第1、第3電極部に挟まれた前記第2電極部に前記延出部を形成し、この第2電極部の前記延出部と対向する前記第1、第2電極部の内側端部を凹ませた構成とした。
【0009】
また、上記課題を解決するための第4の解決手段として、前記第1、又は/及び第3電極部の外側端部に、前記リード端子の前記突起部より外側に延出させて前記延出部を形成し、この延出部に前記リード端子の前記突起部を喰い込ませるような構成とした。
【0010】
また、上記課題を解決するための第5の解決手段として、前記リード端子は、前記両端部、又はいずれか一方の端部の一部を切り欠いて凹部を形成し、この凹部に前記突起部を形成した構成とした。
【0011】
また、上記課題を解決するための第6の解決手段として、前記リード端子は、金属板をプレス加工により打ち抜き形成して外周端部に破断面を設け、前記突起部は、前記破断面に発生する破断バリで構成した。
【0012】
また、上記課題を解決するための第7の解決手段として、前記抵抗体、及び集電体の前記終端部に接続する前記電極部の端面を、山裾状のテーパ面で形成し、この電極部の前記端面に前記抵抗体、及び集電体の前記終端部を重ねて形成した構成とした。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の可変抵抗器を図1〜図6に基づいて説明する。図1は本発明に係わるリード端子と電極部との関係を説明する平面図であり、図2は本発明に係わるリード端子の部分斜視図であり、図3は図1の3−3断面図であり、図4は図1の4−4断面図であり、図5、6は本発明の変形例を説明する平面図である。
【0014】
本発明の可変抵抗器は、図1に示すように、外形が略矩形の絶縁基板1が配設され、この絶縁基板1の一方の面には、略馬蹄形状のカーボン被膜等からなる抵抗体2、及び集電体3とがスクリーン印刷等により形成されている。
前記抵抗体2、及び集電体3の終端部には、銀粉を含む導電パターンからなる第1、第2、第3電極部4、5、6が印刷等により形成されている。この第1、第2、第3電極部4、5、6は、絶縁基板1の図示下方の端部に、略等間隔に並設されている。
【0015】
前記第1、第2、第3電極部4、5、6は、図1に示すように、それぞれ異なる形状に形成され、第1電極部4は、抵抗体2の終端部近傍に幅方向の端部が、外側端部4a、及び内側端部4bとで構成され、外側端部4aには、図示左側に延出する第1延出部4dが形成されている。そして、この第1延出部4dは、第1電極部4上に配置される後述するリード端子7の突起部7bより外側に延出して形成されている。
この第1延出部4dは、外側端部4a全体を、後述するリード端子7の突起部7bより外側に延出させたものでも良い。
また、内側端部4bは、後述するリード端子7の突起部7bより内側に位置して形成され、内側端部4bの一部である図示下方を凹ませて逃げ部4cが形成されている。
【0016】
前記第2電極5は、幅方向の両端部5a、5aの一部である図示下部に、両端部5a、5aから延出する第2延出部5b、5bが形成され、この第2延出部5b、5bは、後述するリード端子7の突起部7bより外側に延出するようになっている。
また、第3電極部6は、抵抗体2の終端部近傍に幅方向の端部が、外側端部6a、及び内側端部6bとで構成され、外側端部6aには、後述するリード端子7の突起部7bより外側に延出する第3延出部6dが形成されている。そして、この第3延出部6dは、第3電極部6上に配置される後述するリード端子7の突起部7bより外側に延出して形成されている。
この第3延出部6dは、外側端部6a全体を、後述するリード端子7の突起部7bより外側に延出させたものでも良い。
【0017】
また、内側端部6bは、後述するリード端子7の突起部7bより内側に位置して形成され、内側端部7bの一部である図示下方を凹ませて逃げ部6cが形成されている。
前記第1電極部4の逃げ部4c、及び第3電極部6の逃げ部6cは、第2電極部5の第2延出部5b、5bと対向する位置に設けられて、第2延出部5b、5bとの間隔を広くするようになっている。
そのために、それぞれの電極部4、5、6間で発生する危険性のあるをマイグレーションを防ぐことができる。
【0018】
また、抵抗体2の終端部に接続する第1電極4の端面4aは、図3に示すように、山裾状のテーパ面で形成され、この端面4aに抵抗体2、及び集電体3の終端部を重ねて印刷形成して、抵抗体2に第1電極4が電気的に接続されている。前記第2、第3電極5、6も、第1電極4の端部4aと同様の端面(図示せず)がそれぞれ形成されて、集電体3、抵抗体2に、それぞれ電気的に接続されている。
そのために、第1、第2、第3電極部4、5、6の表面積を大きくすることができ、後述するリード端子7との接触面積が広くなり、電気的な接触を安定させることができる。
【0019】
また、第1、第2、第3電極部4、5、6上に当接して配置されたリード端子7は、金属板からなり、プレス加工により板状に打ち抜き形成され、図2に示すように、絞り加工等により鳩目部7aが幅方向の略中央部に形成されている。
そして、リード端子7は、幅方向の左右両端部に、板厚方向に突出する鋸刃状の突起部7b、7bが設けられている。この突起部7b、7bは、外周部に形成される破断面に発生する破断バリで構成している。
そのために、突起部7bの高さ寸法は、プレス金型のポンチとダイのクリアランスで、容易に調整可能になっている。
【0020】
このような可変抵抗器の絶縁基板1の組立は、第1、第2、第3電極部4、5、6の上に、それぞれリード端子7を位置させて、絶縁基板1に鳩目部7aをカシメ付けると、図3に示すように、リード端子7の平坦部がそれぞれの電極部4、5、6に圧接して当接すると共に、図4に示すように、それぞれの電極部4、5、6の一部である第1、第2、第3延出部4d、5b、6dに突起部7bが喰い込んで、リード端子7とそれぞれの電極部4、5、6との電気的接触を確実にして、環境特性試験等を行っても前記電気的接触が劣化することなく安定させることができる。
【0021】
本発明の実施の形態では、リード端子7の突起部7bを、幅方向の左右端部の両側に形成したもので説明したが、例えば図1に示す第1電極4上に位置するリード端子7は、図示左側の第1延出部4d上に位置する側にだけ突起部7bを設け、第2電極5上のリード端子7は、左右いずれか一方の第2延出部5b上に位置する側にだけ突起部7bを設け、第3電極6上に位置するリード端子7は、図示右側の第3延出部6d上に位置する側にだけ突起部を設けたものでも良い。
即ち、リード端子7は、幅方向の両端部、又はいずれか一方の端部に、板厚方向に突出する鋸刃状の突起部7bを設け、この突起部7bをそれぞれの電極部4,5、6の一部に喰い込ませるようにしたものであれば良い。
【0022】
また、第2電極5の外側に位置する第1、第3電極4、6は、それぞれの外側端部4a、6aから外向きに延出する第1、第3延出部4d、6dを設けたもので説明したが、図5に示すように、第1、第3電極24、26は、第2電極部25の左右の端部25a、25aと対向する内側端部24b、26bの一部に、第2電極部25側に延出する、第1、第3延出部24d、26dを設けても良い。
この時の第2電極部25は、上部側に第2延出部25b、25bが形成され、第1、第3延出部24d、26dと対向する下部側を凹ませて、第1、第2、第3電極部24、25、26のそれぞれの間隔が狭くならないようになっている。
前記第1、第3電極部24、26の、第1、第3延出部24d、26dは、第1、第3電極部24、26のいずれか一方に、第2電極部25側に延出する第1延出部24d、又は第3延出部26dを形成しても良い。(図示せず)
【0023】
また、図1に示す第2電極部5の第2延出部5b、5bは、左右の両方の端部5a、5aに形成しなくて、いずれか一方の端部5aに形成したものでも良い。この時の第1、第3電極部4、6の逃げ部4c、6cは、前記いずれか一方の端部5aに形成した第2延出部5bと対向する側だけに形成すれば良い。
【0023】
また、図6に示すように、第1、第2第3電極部24、25、26は、外形を縦長の矩形で同形状に形成し、リード端子27は、幅方向の左右両側の端部の一部を、略半円状に切り欠いて凹部27aを形成し、この凹部27aに前記破断バリからなる突起部を形成し、この突起部を第1、第2第3電極部24、25、26に喰い込ませるようにしたものでも良い。
前記凹部27aは、図示上下方向の幅寸法が直線距離Eで形成され、この直線距離Eに対して、半円状の凹部27aの円周距離を距離を長くすることができる。
前記凹部27aは、リード端子27の幅方向の左右両側の端部に形成したものに限定されず、いずれか一方の端部に形成しても良い。
【0024】
【発明の効果】
本発明の可変抵抗器は、リード端子は板状をなし幅方向の両端部、又はいずれか一方の端部に、板厚方向に突出する鋸刃状の突起部を設け、この突起部を電極部の一部に喰い込ませるようにしたので、温度サイクル等の環境特性試験を行っても、電極部とリード端子との接触が劣化することなく、接触の安定した高品質の可変抵抗器を提供できる。
【0025】
また、前記電極部は、幅方向の両端部、又はいずれか一方の端部を前記リード端子の前記突起部より外側に延出させて延出部を形成し、この延出部に前記リード端子の前記突起部を喰い込ませるようにしたので、リード端子を複雑な形状にしなくて、電極部のパターン形状を変更するのみで、接触の安定した高品質の可変抵抗器を提供できる。
【0026】
また、前記電極部は、前記絶縁基板の一端部に第1、第2、第3電極部を並設し、前記第1、第3電極部に挟まれた前記第2電極部に前記延出部を形成し、この第2電極部の前記延出部と対向する前記第1、第2電極部の内側端部を凹ませたので、それぞれの電極部間の間隔を十分に確保でき、マイグレーションの発生を防止することができる。
【0027】
また、前記第1、又は/及び第3電極部の外側端部に、前記リード端子の前記突起部より外側に延出させて前記延出部を形成し、この延出部に前記リード端子の前記突起部を喰い込ませるようにしたので、第1、第3電極とリード端子の接触の信頼性も高められる。そのために、全てのリード端子と電極との接触の信頼性を高めることができると共に、マイグレーションが発生しにくい、信頼性の高い可変抵抗器を提供できる。
【0028】
また、前記リード端子は、前記両端部、又はいずれか一方の端部を切り欠いて凹部を形成し、この凹部に前記突起部を形成したので、半円状の凹部の円周距離を長くすることができ、凹部に形成した突起部とそれぞれの電極部との接触距離を長くすることができる。
そのために、接触の信頼性を高められる。また、隣り合う電極との距離を確保でき、マイグレーションが発生しにくい、信頼性の高い可変抵抗器を提供できる。
【0029】
また、前記リード端子は、金属板をプレス加工により打ち抜き形成して外周端部に破断面を有し、前記突起部は、前記破断面に発生する破断バリで構成したので、突起部の形成が容易である。
【0030】
また、前記抵抗体、及び集電体の前記終端部が接続する前記電極部の端面を山裾状のテーパ面で形成し、この電極部の前記端面に前記抵抗体、及び集電体の前記終端部を重ねて形成したので、リード端子が圧接される電極部の表面の面積を広くすることができ、電極部とリード端子との接触を更に安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるリード端子と電極部との関係を説明する平面図である。
【図2】本発明に係わるリード端子の要部斜視図である。
【図3】図1の3−3断面図である。
【図4】図1の4−4断面図である。
【図5】本発明の変形例を説明する平面図である。
【図6】本発明のその他の実施の形態を説明する平面図である。
【図7】従来のリード端子と電極部との関係を説明する平面図である。
【図8】従来の絶縁基板にリード端子を取り付けた時の要部断面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板
2 抵抗体
3 集電体
4 第1電極部
4a 外側端部
4b 内側端部
4c 逃げ部
4d 第1延出部
5 第2電極部
5a 端部
5b 第2延出部
6 第3電極部
6a 外側端部
6b 内側端部
6c 逃げ部
6d 第3延出部
7 リード端子
7b 突起部

Claims (7)

  1. 摺動子片と、この摺動子片が弾接する抵抗体、及び集電体と、この抵抗体、及び集電体を一方の面に形成した絶縁基板と、前記抵抗体、及び集電体の終端部にそれぞれ接続する電極部と、このそれぞれの電極部上に当接して配置されたリード端子とを備え、前記電極部は銀粉を含む導電パターンで形成し、前記リード端子は、板状をなし幅方向の両端部、又はいずれか一方の端部に、板厚方向に突出する鋸刃状の突起部を設け、この突起部を前記電極部の一部に喰い込ませるようにしたことを特徴とする可変抵抗器。
  2. 前記電極部は、幅方向の両端部、又はいずれか一方の端部を前記リード端子の前記突起部より外側に延出させて延出部を形成し、この延出部に前記リード端子の前記突起部を喰い込ませるようにしたことを特徴とする請求項1記載の可変抵抗器。
  3. 前記電極部は、前記絶縁基板の一端部に第1、第2、第3電極部を並設し、前記第1、第3電極部に挟まれた前記第2電極部に前記延出部を形成し、この第2電極部の前記延出部と対向する前記第1、第2電極部の内側端部を凹ませたことを特徴とする請求項2記載の可変抵抗器。
  4. 前記第1、又は/及び第3電極部の外側端部に、前記リード端子の前記突起部より外側に延出させて前記延出部を形成し、この延出部に前記リード端子の前記突起部を喰い込ませるようにしたことを特徴とする請求項2記載の可変抵抗器。
  5. 前記リード端子は、前記両端部、又はいずれか一方の端部の一部を切り欠いて凹部を形成し、この凹部に前記突起部を形成したことを特徴とする請求項1、2、3、または4記載の可変抵抗器。
  6. 前記リード端子は、金属板をプレス加工により打ち抜き形成して外周端部に破断面を設け、前記突起部は、前記破断面に発生する破断バリで構成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5記載の可変抵抗器。
  7. 前記抵抗体、及び集電体の前記終端部に接続する前記電極部の端面を、山裾状のテーパ面で形成し、この電極部の前記端面に前記抵抗体、及び集電体の前記終端部を重ねて形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の可変抵抗器。
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