JP3695382B2 - 電力供給装置、電動機駆動装置、電力供給装置の制御方法 - Google Patents

電力供給装置、電動機駆動装置、電力供給装置の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流電源を短絡または開放する短絡手段の制御パターンを負荷に応じて変更し、広範囲の運転領域において力率を改善しながら、高い変換効率で交流電源を直流に変換し負荷に供給する電力供給装置やこの電力装置により駆動される電動機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電源力率を改善し入力電流に含まれる高調波成分を低減する力率改善回路として、例えば、特開平3−65056号公報に示される方式がある。この方式での構成は交流電源に接続される電源力率を改善するためのリアクトルを介して短絡する短絡素子と交流を直流に整流する整流器とを組み合わせた高力率コンバータ回路であり、短絡素子交流電源をリアクトルを介して短絡することで、リアクトルに磁気エネルギーが蓄積され、その後短絡素子を開放することでリアクトルの蓄積エネルギーが直流側の平滑コンデンサに転送される。従って、短絡素子の短絡/開放を制御することで入力電流及び直流出力電圧を制御でき、電源力率が改善される。
【0003】
更に整流モードを全波或いは倍電圧整流モードに切り換える整流回路切換用スイッチのリレー接点を設け、電流検出値に応じて直流出力電圧基準値Vdcを設定し、直流出力電圧、即ち平滑コンデンサの端子間電圧が基準値Vdcとなるようフィードバック制御し、また、検出される電流が交流電源1に同期する正弦波形状となるよう高力率コンバータ回路を高周波にて制御するものである。従って、電流検出値に応じ、高負荷領域では、リレー接点を開放して全波整流モードにて高力率コンバータ回路を動作、中間負荷領域では、リレー接点を短絡して倍電圧整流モードにて高力率コンバータ回路は停止、低負荷領域では、直流出力電圧が昇圧し過ぎないよう低い昇圧比にて高力率コンバータ回路を動作するか或いは完全に停止、等とすることで直流出力電圧を制御しつつ、力率を改善することができる。
【0004】
他の従来技術として、特開平11−206130号公報に示される方式がある。この方式での構成も上記と同様で、リアクトルの磁気エネルギーをコントロールし、入力電流及び直流出力電圧を制御でき、電源力率が改善される。
【0005】
この方式では整流回路切換用スイッチ及び短絡素子を制御するコントローラにより、検出される負荷の消費電力量或いはこれを模擬できる入力電流や直流出力電圧に応じて、全波/倍電圧整流モードを選択すると共に、短絡素子の短絡開始時期と短絡時間をオープンループにて制御することで力率改善機能と昇圧機能を実現するものである。
【0006】
以上のように構成される力率改善回路の作用は、まず、入力電流が小さい場合には、整流回路切換用スイッチをオフに制御して全波整流モードを選択すると共に、短絡素子の短絡動作を行わず、即ち、力率改善を行わないように制御し、力率改善回路の直流出力電圧を小さく制御する。次に、全波整流モードを選択した状態において、入力電流が少し大きい場合には、短絡素子の短絡開始時期及び短絡時間を可変制御して断続制御し、力率改善すると共に直流出力電圧を少し大きく制御する。更に、入力電流が大きく、力率改善回路の昇圧比が所定の値を超えた場合には、整流回路切換用スイッチをオンに制御して倍電圧整流モードを選択すると共に、短絡素子の短絡動作を行わず、即ち、力率改善を行わないように制御し、力率改善回路の直流出力電圧を大きく制御する。また、倍電圧整流モードを選択した状態において、入力電流が更に大きく、更に大きな直流出力電圧が必要である場合には、短絡素子の短絡開始時期及び短絡時間を可変制御し、力率改善すると共に直流出力電圧を更に大きく制御する。
【0007】
以上のように、特開平11−206130号公報の技術では、整流回路切換用スイッチのオン/オフにより整流回路を全波整流モード又は倍電圧整流モードに制御し、力率改善回路の直流出力電圧を大きく2段階に分け、この2段階に分けた領域を更に短絡素子のオープンループでの短絡可変制御により、力率改善なしと力率改善ありの2段階に分けることにより、全体で4段階の直流出力電圧領域を構成し、これにより直流出力電圧の出力範囲を拡大しつつ、高負荷側での力率を改善することができる。
【0008】
また、電源力率を改善し入力電流に含まれる高調波成分を低減する為の更に他の従来技術として、例えば、特許第2140103号がある。この方式での構成は、前記特開平3−65056号公報の技術でのリレー接点を削除した構成に相当する。即ち、負荷に応じて設定された直流出力電圧基準値Vdcと平滑コンデンサの端子間電圧との偏差値に応じて直流電圧制御信号を出力する直流電圧制御手段を設け、また、直流電圧制御手段からの制御信号と前記交流電源に同期した正弦波状の同期信号との積から電流基準信号を出力する電流基準演算手段を設ける。この電流基準信号と前記整流素子の交流側電流とを比較することでスイッチ素子を高周波でオン/オフ制御し、交流入力電流を正弦波状に制御しながら直流出力電圧を所望の値に制御するものであり、電源力率をほぼ1とし、高調波の発生を抑制することができる。また同様に力率改善回路としては特開2001−145360号公報の技術なども知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような従来技術、特開平3−65056号公報、特開平11−206130号公報、特許第2140103号、特開2001−145360号公報等では、短絡素子の制御パターンが限定され、例えば全負荷領域において、電流をフィードバックする高周波スイッチングモード(特開平3−65056号公報、特許第2140103号)あるいは電流オープンループ制御の部分スイッチングモード(特開平11−206130号公報)のいずれか一方のみ、低負荷側では直流出力電圧を昇圧し過ぎるのを避ける為、短絡素子を動作させず力率改善を行わない。その為、低負荷側では入力電流の波形歪みが大きく、高調波成分を多く含む電流がリアクトル2を流れてしまい、リアクトル鉄損が増大し、これにより力率改善回路の交直変換効率が低下してしまう。
【0010】
また、特開平11−206130号公報での力率改善を行う際の短絡素子の短絡制御は、短絡開始時期及び短絡時間をオープンループにて制御し、電源周期に対し一定区間だけ短絡動作を行う部分スイッチング方式である為、力率改善及び直流出力電圧の昇圧ができるものの、高調波発生量が多くなる高負荷側ではその効果が小さい。その為、今後の高調波規制強化に伴い、従来技術にて充分な力率改善効果即ち高調波抑制能力を得る為には、大きなインダクタンス値を有するリアクトルを必要とし、その為、交直変換効率の低下、回路の大型化、コストアップ等の不具合を招いてしまう。また、高調波発生量を一定レベルに抑制しつつ直流出力電圧を昇圧する場合、昇圧能力に限界がある為、高負荷側での運転が不安定になったり、高負荷側での安定運転を考えると負荷の選択幅が狭くなったりしてしまう。
【0011】
本発明は、上記のような課題を解消する為になされたもので、負荷の広い運転領域全体に渡り損失を低減して効率向上を可能にし、力率改善により電力供給を安定に行おうというものである。本発明は信頼性が高く小型の電力供給装置を提供するものである。また本発明は電動機に供給する電力を制御し装置全体の効率を向上させるとともに、負荷及び電源共に高周波問題を解消するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る電力供給装置は、交流電源からの交流を整流し直流に変換する整流器と、整流器の出力を平滑化し負荷に電力を供給する平滑手段と、整流器の交流側あるいは直流側に接続されたリアクトルと、リアクトルを介して交流側電源を短絡あるいは開放しリアクトルの電磁エネルギー蓄積効果を利用して平滑手段の端子間電圧の増減を行う短絡手段と、整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードとに切換える整流回路切換用スイッチと、平滑手段の端子間に接続された負荷に供給される電力や電流等の供給情報あるいは負荷からの情報に基づいて、短絡手段の短絡動作を電源半周期に1回もしくは複数回行う部分スイッチングモードと高周波で行う高周波スイッチングモードとに切換える、且つ、整流回路切換用スイッチを全波整流モードあるいは倍電圧整流モードに切換えるコントローラと、を備え、コントローラは低い負荷領域から高い負荷領域に負荷が増大する際、負荷量にに応じて整流回路用スイッチを全波整流モードから倍電圧整流モードに切換えて、更にこの負荷量に応じて短絡手段を部分スイッチングモードから高周波スイッチングモード切換えることにより、全負荷領域において電源力率を上昇させる制御を行うものである。
【0013】
この発明に係る電力供給装置は、整流器と倍電圧整流用コンデンサとを接続可能にして整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードに切換える整流回路切換用スイッチにて高い負荷領域では倍電圧整流モードとし、更に負荷が増大した場合は短絡手段を電流オープンループ制御である部分スイッチングモードから電流フィードバック制御である高周波スイッチングモードに切換えて制御するものである。
【0014】
この発明における電力供給装置は、整流器と倍電圧整流用コンデンサとを接続可能にして整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードを整流回路切換用スイッチにて切換える際、整流モード切換え前後で直流電圧変動を抑制する様に短絡手段を制御するものである。
【0016】
この発明に係る電力供給装置のコントローラは、整流回路切換用スイッチの切換え判断基準として2つの異なる閾値を設け、値の大きい方を整流回路切換用スイッチのターンオン用、小さい方をターンオフ用とし、これに基づいて整流回路切換用スイッチを制御するものである。
【0018】
この発明に係る電力供給装置のコントローラは、整流回路切換用スイッチを全波整流モードから倍電圧整流モードに切換える場合、整流器からの直流出力電圧が倍電圧整流モードに切換えた後に得られる電圧値あるいは予め設定した最大の全波整流モードでの直流出力電圧値となる様に、短絡手段を制御するものである。
【0019】
この発明に係る電力供給装置のコントローラは、整流回路切換用スイッチを倍電圧整流モードから全波整流モードに切換える場合、全波整流モードに切換えた後の直流出力電圧値が切換える前の倍電圧整流モードでの電圧値となる様に、短絡手段を制御するものである。
【0021】
この発明に係る電力供給装置のコントローラは、入力電流に含まれる高調波成分を低減させる様に整流回路切換用スイッチおよび短絡手段を制御するものである。
【0022】
この発明に係る電力供給装置のコントローラは、直流出力電圧を負荷の要する電圧値に近づける様に整流回路切換用スイッチおよび短絡手段を制御するものである。
【0023】
この発明に係る電力供給装置の短絡手段は、ダイオードブリッジと片方向通電性の半導体スイッチとを組合せて構成される双方向通電性短絡阻止である。
【0024】
この発明に係る電力供給装置の短絡手段は、片方向通電性の半導体スイッチを2個以上互いに逆極性となる様に組合せて構成される双方向通電性短絡阻止である。
【0025】
この発明に係る電力供給装置の短絡手段は、リアクトルの一端と整流器の直流側端子との間に設けられた複数のスイッチング素子である。
【0026】
この発明に係る電力供給装置は、整流器を構成する整流素子の少なくとも一部は高速リカバリダイオードで構成するものである。
【0027】
この発明に係る電動機駆動装置は、電力供給装置が負荷であるインバータおよび電動機に電力を供給する際、コントローラは、整流回路切換用スイッチを、電動機の回転速度指令値が小さい場合には全波整流モード、大きい場合には倍電圧整流モードに制御し、あるいは、短絡手段を電動機の回転速度指令値が小さく電動機駆動の為に直流電圧の昇圧をほとんど必要としない場合には部分スイッチングモード、回転速度指令値が大きく電動機駆動の為に高い昇圧値にて直流電圧を出力する必要がある場合には高周波スイッチングモードにて制御するものである。
【0028】
この発明に係る電動機駆動装置は、電力供給装置が負荷である直流電動機に電力を供給する際、コントローラは、整流回路切換用スイッチを、直流電動機の回転速度指令値が小さい場合には全波整流モード、大きい場合には倍電圧整流モードに制御し、あるいは、短絡手段を、直流電動機の回転速度指令値が小さく直流電動機駆動の為に直流電圧の昇圧をほとんど必要としない場合には部分スイッチングモード、回転速度指令値が大きく直流電動機駆動の為に高い昇圧値にて直流電圧を出力する必要がある場合には高周波スイッチングモードにて制御するものである。
【0030】
この発明に係る電力供給装置の制御方法は、運転する際に、短絡手段の短絡動作は負荷に応じて効率が良くなる方向であって、且つ、入力電流に含まれる高周波成分を所定値以内に収める方向に制御するものである。
【0031】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の一例を示す回路構成図、図2はスイッチング回路の構成図、図3は少ない回数の短絡を行うスイッチング回路の動作説明図、図4は高周波にて短絡を行うスイッチング回路の動作説明図、図5は他の回路構成を示す回路構成図である。図において、40は力率善回路を示し、1は例えば商用などの電源である交流電源、2は交流電源1にその一端が接続されたリアクトル、3は交流電源1からの交流を整流して直流に変換する整流器、6は整流器3の直流出力電圧を平滑化する平滑コンデンサ、7は平滑コンデンサ6から直流電圧を供給されて駆動する負荷、9はスイッチング回路である双方向通電性の短絡素子、10は短絡素子9のオン/オフを制御する制御手段14や負荷制御手段15などから成るコントローラ、11は電源電圧検出手段、12は入力電流検出手段、16はダイオードブリッジ、17は片方向通電性短絡素子、18はダイオード、19は逆流防止用整流素子である。
【0032】
整流回路である整流器3は短絡素子9を高周波にて動作しても、平滑コンデンサ6からの逆流が生じないよう、整流器3の回路構成として、2つのダイオード3a及び3cは、優れた電流遮断特性を示す高速リカバリーダイオードにて構成される。なお、高速リカバリーダイオードは3a、3cに限定するものではなく、これらの代わりにダイオード3b及び3dとしても良く、あるいは3a及び3b、あるいは、3c及び3dとしても同様の効果が得られる。また高速リカバリーダイオードは2つに限定するもので無く整流器3のうち3つあるいはすべてを高速リカバリーダイオードで構成しても良いが、その場合、コストアップにつながる。
【0033】
スイッチング回路としての短絡素子9は、双方向通電性を有するものであり、例えば、図2(a)に示すように、ダイオードブリッジ16と、IGBT又はバイポーラトランジスタ又はMOSFET等の片方向通電性短絡素子17、あるいは、図2(b)に示すように、IGBT又はバイポーラトランジスタ又はMOSFET等の片方向通電性短絡素子17とダイオードを複数個互いに逆極性となるよう組み合わせて構成される。図2のような構成により交流電源からの交流を短絡できることになる。なお、図2(b)の構成とする方が、片方向通電性短絡素子17オン時の電流径路に含まれる素子数を低減、即ち、通流損失を低減でき、図2(a)よりも高効率化を実現できる。
【0034】
コントローラ10は、短絡素子9の動作パターンを高周波スイッチングモードと部分スイッチングモードとに切り換えが可能であり、短絡素子9を力率改善無しモード、或いは、部分スイッチングモード、或いは、高周波スイッチングモード、のいずれかに制御するものである。
【0035】
ここで、力率改善無しモード、部分スイッチングモード、高周波スイッチングモードについて説明する。便宜上、交流電源1の電源電圧実行値をVs、瞬時値をVst、リアクトル3のインダクタンスをL、平滑コンデンサ6の端子電圧をVdc、またリアクトル3を流れる電流をIとして以下用いる。なお、電源電圧実行値Vsは、電源系統により予め設定された値で、電源100V系統ではVs=100V、電源200V系統ではVs=200Vの値である。
【0036】
まず、力率改善無しモードとは、短絡素子9を全く動作させない、整流器3による通常のコンデンサインプット型整流モードである。図1における短絡素子9は開放されたままの状態で、即ち、入力電流は、交流電圧瞬時値Vstが直流出力電圧Vdcよりも高くなる区間のみを流れる為、波形歪みが大きく、高調波を多く含む。
【0037】
次に、部分スイッチングモードとは、電流オープンループ制御にて、短絡素子9を電源半周期に1回から複数回オン/オフ動作させるものである。この動作について図3を参照しつつ説明する。図において、(a)は短絡素子9のオン/オフ時での電流径路、(b)は電源半周期に1回スイッチング動作を行ったときの電源電圧、入力電流、スイッチ駆動信号を示す。まず、短絡素子9をオンさせると、図3(a)に示すように、交流電源1がリアクトル2を介して短絡され、交流電源1、リアクトル2、短絡素子9から成る回路に電流Iが流れ、リアクトル2に磁気エネルギー1/2LIが蓄積される。この蓄積エネルギーは、短絡素子9をオフさせると同時に、整流器3を介して、平滑コンデンサ6に転送される。この一連の動作により、図3(b)に示すような入力電流が流れ、力率改善無しモードよりも通電角を広げられ、ある程度まで力率を改善できる。図では電源半周期に1回のみスイッチング動作する場合を示したが、スイッチング回数は何回でも良い。但し、電流オープンループ制御の為、数kHz以上の高周波でスイッチングする場合には回路に電流が流れすぎて直流出力電圧を昇圧し過ぎ、回路の破壊につながる恐れがある。その為、一般に、部分スイッチングモードでのスイッチング動作は、電源半周期に1回もしくは周波数数kHzまでの複数回とする。なお、部分スイッチングモードでは、短絡素子9の短絡開始時間、短絡時間、及び短絡回数を制御することで、リアクトル2に蓄積するエネルギーを制御でき、直流出力電圧Vdcは、力率改善無しモードよりも高いある値まで無段階で昇圧させられる。
【0038】
また、高周波スイッチングモードとは、直流出力電圧、入力電流をフィードバック制御するもので、図4に示すように、前記部分スイッチングモードでのスイッチング周波数を数kHz以上として、直流出力電圧が所望の値となるように、また、入力電流が電源電圧に同期する正弦波に近づくように短絡素子9のオン/オフ時間を制御するものである。短絡素子9のオン/オフ時の電流径路は図3(a)に示す場合と同じであり、このスイッチングモードにより、力率をほぼ1まで改善できる。また、前記部分スイッチングモードよりも昇圧能力が高く、直流出力電圧Vdcは、力率改善無しモードでの電圧値よりも高い任意の値に無段階で制御することができる。
【0039】
図1の回路構成にて、入力電流及び直流出力電圧を制御する場合のコントローラ10の動作を説明する。図1において、11は交流電源1の両端に接続され、正弦波交流の電源電圧ゼロクロス点、或いは、電源電圧ピーク点、或いは、電源電圧の任意点すなわち瞬時値、あるいは、電源電圧の正弦波交流波形を検出する電源電圧検出手段、12は交流電源1の電流路に挿入されたシャント抵抗などにより、回路の入力電流を検出する入力電流検出手段、13は平滑コンデンサ6の端子電圧である直流出力電圧Vdcを検出する直流電圧検出手段、15は負荷を制御する負荷制御手段である。
【0040】
また、14は記憶手段や演算手段を有するマイコンなどからなり、電源電圧検出手段11からの電源電圧情報と、入力電流検出手段12からの入力電流情報と、直流電圧検出手段13からの直流出力電圧情報と、所定の直流出力電圧の指令値Vdcが入力ポートから入力され、入力された情報に応じて、短絡素子9をオン/オフ制御する信号を発する制御手段である。ここで、直流出力電圧指令値Vdcは、例えば、直接検出される負荷の消費電力量、或いは、これを模擬できる入力電流情報や直流出力電圧情報等から負荷状態にふさわしい値が、負荷を制御する負荷制御手段、或いは、外部の人力により入力されるものである。
【0041】
制御手段14は、短絡素子9を力率改善無しモードで制御する場合には、常に短絡素子9へオフ信号を出力する。これによりスイッチング回路9は開放された状態を維持する。
【0042】
また、制御手段14は、短絡素子9を部分スイッチングモードで制御する場合には、電源電圧検出手段11からの電源電圧情報の任意タイミング、例えばゼロクロス点、を基準点として、図3(b)に示すように、基準点から短絡開始時間だけ遅延させて短絡素子9のオン信号を出力し、短絡時間だけオンしつづけるように短絡素子9へ制御信号を出力する。このとき、直流出力電圧Vdcが直流出力電圧の指令値Vdcよりも小さいときには、マイコンにて電圧比較・演算し短絡開始時間を遅らせるか、或いは、短絡時間を長くするか、或いは、スイッチング回数を増やすように制御し、直流出力電圧Vdcが直流出力電圧の指令値Vdcよりも大きいときには、その逆となるように制御することで、直流出力電圧Vdcを指令値Vdcに近づけるよう制御できる。
【0043】
また、制御手段14は、短絡素子9を高周波スイッチングモードで制御する場合には、図1に示すように、直流出力電圧Vdcと直流出力電圧の指令値Vdcとの誤差量ΔVdcと、電源電圧検出手段11からの電源電圧情報と、を基に電源電圧に同期する正弦波状の入力電流指令値を生成し、入力電流検出手段12からの入力電流情報と前記入力電流指令値とを比較し、入力電流が入力電流指令値よりも小さいときには、短絡素子9のオン信号を出力し、入力電流が入力電流指令値よりも大きいときには、短絡素子9のオフ信号を出力する。この一連動作を高周波で繰り返すことにより、図4のように入力電流は正弦波に近づき、また直流出力電圧Vdcは指令値Vdcに制御できる。
【0044】
ここで、力率改善回路の短絡手段9での損失に触れると、高周波スイッチングモードの方が部分スイッチングモードよりも短絡手段9自体の損失は増加する。その理由としては、高周波スイッチングモードでは、高速スイッチング動作を繰り返し行う為、短絡手段9でのスイッチングロスが増加する為である。
【0045】
従って、制御手段14では、負荷制御手段にて負荷状態に基づき生成される直流出力電圧指令値Vdcに応じて、以下のように短絡手段9を制御することで、高効率な力率改善回路を実現することができる。指令値Vdcが大きい領域、即ち、入力電流が大きく、高調波電流成分が多くなる重負荷領域では、高調波成分によるリアクトル2及び整流器3での鉄損が増加し、力率改善回路40の全損失に対し、短絡手段9での損失割合が小さくなる為、このような条件では、高調波成分による損失を抑制するよう、制御手段14は、高周波スイッチングモードにて短絡手段9を動作し、入力電流波形を正弦波波形に近づけるようにして高調波成分を少なくする。逆に、指令値Vdcが小さい領域、即ち、入力電流が小さく、高調波電流成分が少ない軽負荷領域では、力率改善回路40の全損失に対し、短絡手段9での損失割合が大きくなる為、短絡手段9自体の損失が小さくなるよう、制御手段14は、部分スイッチングモードにて短絡手段9を動作させスイッチング損失を減少させる。
【0046】
前記の如く本実施の形態の例では、負荷の要求する直流出力電圧に応じて、制御手段14は短絡手段9の動作パターンを切り換えるので、全負荷領域において力率改善回路の高効率化を図れる。また、高調波電流成分が多くなる重負荷領域では、高調波抑制能力が高い高周波スイッチングモードとするので、高調波規制をクリアする為のリアクトル2のインダクタンス値を小さな値に選択でき、回路の小型化、低コスト化、及び高効率化を計れる。また、小さなインダクタンス値のリアクトルにて一連の動作を行う為、直流出力電圧の昇圧をあまり必要としない運転領域では、部分スイッチングモードにて制御される短絡素子9の短絡時のリアクトル蓄積エネルギー(1/2LI)を小さくでき、それ故、力率を改善しつつ直流出力電圧の昇圧量を微少に抑えることができ、低負荷時の交直変換効率を改善することができる。
【0047】
また、上記説明では、短絡手段9を整流器3の交流側に設けたが、図5(a)に示す如く、短絡手段9を整流器3の直流側端子間に設けても良く、また、図5(b)に示す如く、短絡手段9のみならず、リアクトル2も直流側に設けて良い。但し、これらの場合、短絡手段9をオンした場合に平滑コンデンサ6が短絡しないよう、短絡手段9と平滑コンデンサ6との間に逆流防止用ダイオード19を設ける必要がある。なお図5の回路における動作は図1乃至図4で説明した動作と同じで、同じ効果を得ることが出来る。
【0048】
また、本実施の形態では、負荷を制御する負荷制御手段15をコントローラ10の内部に設けたが、コントローラ10の外部に別に設けても良く、この場合も負荷の消費電力に応じた直流出力電圧指令値Vdcを負荷制御手段15からコントローラ10へ入力する構成とすることで同様の効果が得られる。
【0049】
図6は本発明の別の回路を示す回路構成図である。図6において、40は力率改善回路を示し、1は交流電源、2は交流電源1にその一端が接続されたリアクトル、3は交流電源1を整流して直流に変換する整流器、4〜5は倍電圧整流用コンデンサ、6は整流器3の直流出力電圧を平滑化する平滑コンデンサ、7は平滑コンデンサ6から直流電圧を供給されて駆動する負荷、8は整流器3の整流モードを全波整流或いは倍電圧整流に切り換える整流回路切換用スイッチ、9は双方向通電性の短絡素子、10は整流回路切換用スイッチ8及び短絡素子9のオン/オフを制御するコントローラである。
【0050】
整流器3は、短絡素子9を高周波にて動作しても、倍電圧整流用コンデンサ4〜5或いは平滑コンデンサ6からの逆流が生じないよう、整流器3の2つのダイオード3a及び3cは、優れた電流遮断特性を示す高速リカバリーダイオードにて構成される。また、高速リカバリーダイオードは3a、3cに限定するものではなく、これらの代わりにダイオード3b及び3d、あるいは、3a及び3b、あるいは3c及び3dを高速リカバリーダイオードとしても良く、また、整流器3の2つ以上のダイオードを高速リカバリーダイオードで構成しても良い。
【0051】
平滑コンデンサ6は、図には示してないが、これと並列に接続されている倍電圧整流用コンデンサ4〜5の容量を大きくすることで機能的な代用が可能であり、即ち、平滑コンデンサ6は省略可能である。この場合負荷に出力する平滑コンデンサを倍電圧整流用コンデンサが担うことになる。
【0052】
整流回路切換用スイッチ8は、リレーやトライアック等の双方向通電素子、或いは、図2(a)に示すように、ダイオードブリッジ16と、IGBT又はバイポーラトランジスタ又はMOSFET等の片方向通電性短絡素子17、或いは、図2(b)に示すように、IGBT又はバイポーラトランジスタ又はMOSFET等の片方向通電性短絡素子17とダイオード18を複数個互いに逆極性となるよう組み合わせて構成される。なお、図2(b)の構成とする方が、片方向通電性短絡素子17オン時の電流径路に含まれる素子数を低減、即ち、通流損失を低減でき、図2(a)よりも高効率化を実現できる。
【0053】
スイッチング回路としての短絡素子9は、双方向通電性を有するものであり、例えば、図2(a)に示すように、ダイオードブリッジ16と、IGBT又はバイポーラトランジスタ又はMOSFET等の片方向通電性短絡素子17、或いは、図2(b)に示すように、IGBT又はバイポーラトランジスタ又はMOSFET等の片方向通電性短絡素子17とダイオードを複数個互いに逆極性となるよう組み合わせて構成される。なお、図2(b)の構成とする方が、片方向通電性短絡素子17オン時の電流径路に含まれる素子数を低減、即ち、通流損失を低減でき、図2(a)よりも高効率化を実現できる。
【0054】
コントローラ10は、整流回路切換用スイッチ8をオフして全波整流モードに制御、或いは、オンして倍電圧整流モードに制御するものである。更に、短絡素子9を力率改善無しモード、或いは、部分スイッチングモード、或いは、高周波スイッチングモード、のいずれかに制御するものである。
【0055】
ここで、力率改善無しモード、部分スイッチングモード、高周波スイッチングモードについて説明する。便宜上、交流電源1の電源電圧実行値をVs、瞬時値をVst、リアクトル3のインダクタンスをL、平滑コンデンサ6の端子電圧をVdc、またリアクトル3を流れる電流をIとして以下用いる。なお、電源電圧実行値Vsは、電源系統により予め設定された値で、電源100V系統ではVs=100V、電源200V系統ではVs=200Vの値である。
【0056】
まず、力率改善無しモードとは、短絡素子9を全く動作させない、整流器3による通常のコンデンサインプット型整流モードである。即ち、入力電流は、交流電圧瞬時値Vstが直流出力電圧Vdcよりも高くなる区間のみを流れる為、波形歪みが大きく、高調波を多く含む。このとき、直流出力電圧Vdcは、整流回路切換用スイッチ8が全波整流モードのときには√2×Vs、倍電圧整流モードのときには2√2×Vsとなる。
【0057】
次に、部分スイッチングモードとは、電流オープンループ制御にて、短絡素子9を電源半周期に1回から複数回オン/オフ動作させるものである。この動作について既に説明しているが図3を参照しつつ説明する。図において、(a)は短絡素子9のオン/オフ時での電流径路、(b)は電源半周期に1回スイッチング動作を行ったときの電源電圧、入力電流、スイッチ駆動信号を示す。まず、短絡素子9をオンさせると、図3(a)に示すように、交流電源1がリアクトル2を介して短絡され、交流電源1、リアクトル2、短絡素子9から成る回路に電流Iが流れ、リアクトル2に磁気エネルギー1/2LIが蓄積される。この蓄積エネルギーは、短絡素子9をオフさせると同時に、整流器3を介して、倍電圧整流用コンデンサ4,5に転送される。この一連の動作により、図3(b)に示すような入力電流が流れ、力率改善無しモードよりも通電角を広げられ、ある程度まで力率を改善できる。図では電源半周期に1回のみスイッチング動作する場合を示したが、スイッチング回数は何回でも良い。但し、電流オープンループ制御の為、数kHz以上の高周波でスイッチングする場合には行き過ぎが抑えられず直流出力電圧を昇圧し過ぎ、回路の破壊につながる恐れがある。その為、一般に、部分スイッチングモードでのスイッチング動作は、電源半周期に1回もしくは周波数数kHzまでの複数回とする。なお、部分スイッチングモードでは、短絡素子9の短絡開始時間、短絡時間、及び短絡回数を制御することで、リアクトル2に蓄積するエネルギーを制御でき、直流出力電圧Vdcは、力率改善無しモードよりも高いある値まで無段階で昇圧させられる。
【0058】
また、高周波スイッチングモードとは、直流出力電圧、入力電流をフィードバック制御するもので、図4に示すように、前記部分スイッチングモードでのスイッチング周波数を数kHz以上として、直流出力電圧が所望の値となるように、また、入力電流が電源電圧に同期する正弦波に近づくように短絡素子9のオン/オフ時間を制御するものである。短絡素子9のオン/オフ時の電流径路は図3(a)に示す場合と同じであり、このスイッチングモードにより、力率をほぼ1まで改善できる。また、前記部分スイッチングモードよりも昇圧能力が高く、直流出力電圧Vdcは、力率改善無しモードでの電圧値よりも高い任意の値に無段階で制御することができる。
【0059】
図6の構成にて、入力電流及び直流出力電圧を制御する場合のコントローラ10の動作を説明する。図6において、11は交流電源1の両端に接続され、正弦波交流の電源電圧ゼロクロス点、或いは、電源電圧ピーク点、或いは、電源電圧の任意点、或いは、電源電圧の正弦波交流波形を検出する電源電圧検出手段、12は交流電源1の電流路に挿入され、回路の入力電流を検出する入力電流検出手段、13は平滑コンデンサ6の端子電圧である直流出力電圧Vdcを検出する直流電圧検出手段、15は負荷を制御する負荷制御手段である。
【0060】
また、14は電源電圧検出手段11からの電源電圧情報と、入力電流検出手段12からの入力電流情報と、直流電圧検出手段13からの直流出力電圧情報と、所定の直流出力電圧の指令値Vdcが入力され、入力された情報に応じて整流回路切換用スイッチ8を制御すると共に、短絡素子9をオン/オフ制御する制御手段である。ここで、直流出力電圧指令値Vdcは、例えば、直接検出される負荷の消費電力量、或いは、これを模擬できる入力電流情報や直流出力電圧情報等から負荷状態にふさわしい値が、負荷を制御する負荷制御手段、或いは、外部の人力により入力れるものである。
【0061】
制御手段14は、短絡素子9を力率改善無しモードで制御する場合には、常に短絡素子9へオフ信号を出力する。また、制御手段14は、短絡素子9を部分スイッチングモードで制御する場合には、電源電圧検出手段11からの電源電圧情報の任意タイミング、例えばゼロクロス点、を基準点として、図3(b)に示すように、基準点から短絡開始時間だけ遅延させて短絡素子9のオン信号を出力し、短絡時間だけオンしつづけるように短絡素子9へ制御信号を出力する。このとき、直流出力電圧Vdcが直流出力電圧の指令値Vdcよりも小さいときには、短絡開始時間を遅らせるか、或いは、短絡時間を長くするか、或いは、スイッチング回数を増やすように制御し、直流出力電圧Vdcが直流出力電圧の指令値Vdcよりも大きいときには、その逆となるように制御することで、直流出力電圧Vdcを指令値Vdcに近づけるよう制御できる。
【0062】
図7は直流出力電圧及び入力電流を制御する場合のシステム構成図である。制御手段14は、短絡素子9を高周波スイッチングモードで制御する場合には、図7に示すように、直流出力電圧Vdcと直流出力電圧の指令値Vdcとの誤差量ΔVdcと、電源電圧検出手段11からの電源電圧位相の情報と、を基に電源電圧に同期する正弦波状の入力電流指令値を生成し、入力電流検出手段12からの入力電流情報と前記入力電流指令値とを比較し、入力電流が入力電流指令値よりも小さいときには、短絡素子9のオン信号を出力し、入力電流が入力電流指令値よりも大きいときには、短絡素子9のオフ信号を出力する。この一連動作を高周波で繰り返すことにより、入力電流は正弦波に近づき、また直流出力電圧Vdcは指令値Vdcに制御できる。
【0063】
ここで、力率改善回路の交直変換効率に触れると、直流出力電圧の昇圧量が増す程、変換効率は低下する。その理由としては、前記制御手段14の制御動作でも説明した通り、直流出力電圧の昇圧量を増す程、リアクトル2の蓄積エネルギーを増すように制御する為、即ち、短絡開始時間を短絡電流が大きくなるよう遅らせ、或いは、短絡時間を長く、或いは、短絡回数を増やすように制御する為、短絡素子9を流れる電流量が増し、短絡素子9での損失が増加する為である。
【0064】
従って、制御手段14では、負荷の所望する直流出力電圧指令値Vdcに基づき整流回路切換用スイッチ8をおよそ図8に示す動作フローの如く制御すれば、直流出力電圧の昇圧量を小さくでき、低損失にて昇圧動作を行う力率改善回路を実現できる。図8は、制御手段14におけるリレー制御シーケンスを示すフローチャートである。まず、この制御がスタートすると、ステップ21として、負荷状態にふさわしい直流出力電圧指令値Vdcが負荷制御手段15或いは外部の人力等によりコントローラ10のキーボードや入力スイッチなどから入力される。次に、ステップ22として、入力された指令値Vdcが前回入力された値と異なるかを判断する。ここで、指令値Vdcが前回の値と異なる場合にはステップ23へ進む。また指令値Vdcが前回の値と等しい場合には整流回路切換用スイッチ8の切り換えは行わず、前回の整流モードを維持するのでこの判断のルートは終了される。指令値が異なる場合、ステップ23では、入力された直流出力電圧指令値Vdcが、電源系統によって予め定められる電源電圧実行値Vsの2√2倍以上かどうかを判断する。この判定結果がYESの場合には、ステップ24へ進み整流回路切換用スイッチ8をオンとし、倍電圧整流モードを選択する。また、ステップ23での判定結果がNOの場合には、ステップ25へ進み整流回路切換用スイッチ8をオフとし、全波整流モードを選択する。
【0065】
なお、図8ではステップ23での整流回路切換用スイッチ8の切換判断基準のしきい値を電源電圧実行値Vsの2√2倍の値としたが、実際には、整流器3のダイオード3a〜3d或いはリアクトル2での電圧降下、短絡素子9のスイッチングによる昇圧効果の影響等がある為、しきい値は前記の上の値としてもまた下の値としても良い。また、2つの異なるしきい値を設けておき、値の大きい方を整流回路切換用スイッチ8のターンオン用、小さい方をターンオフ用とし、差を設けることにより、直流出力電圧指令値Vdcが前記しきい値近傍で変動する際の整流回路切換用スイッチ8のチャタリングを防止することができる。
【0066】
次に、このシステムの概略動作を図9を用いて説明する。なお、図9は負荷の消費電力量に対する力率改善回路の力率及び直流出力電圧Vdcを示す図である。まず、負荷の消費電力量が0、或いは、ほとんど0に等しいくらい極低負荷(消費電力量が負荷の許容電力量の10%未満)の場合、即ち、図9の運転モード1の場合、コントローラ10により、整流回路切換用スイッチ8は全波整流モード、短絡スイッチ9は力率改善無しモードに制御される。これにより、直流出力電圧Vdcは√2×Vsと低い値に制御される。
【0067】
また、負荷の消費電力量が運転モード1よりも若干増加し、消費電力量が負荷の許容電力量の10〜30%の低負荷領域、即ち、図9の運転モード2の場合、コントローラ10により、整流回路切換用スイッチ8は全波整流モードに保たれ、短絡素子9は部分スイッチングモードにて制御される。故に、力率は、図中の破線の部分に制御でき、力率改善無しモードよりも改善され、入力電流に含まれる高調波成分を低減できる。これに伴い、リアクトル2での鉄損を抑制できる。この鉄損抑制量よりも昇圧に伴う短絡素子9での損失量が小さくなるようすることで、力率改善無しモードよりも力率改善回路の変換効率を向上できる。また、直流出力電圧Vdcも破線領域の値を出力することができる。
【0068】
全波整流モードにて運転中、更に負荷の消費電力が増し、消費電力が負荷の許容電力量の30〜50%の中間負荷領域、即ち、図9の運転モード3の場合、短絡素子9は高周波スイッチングモードにて制御される。故に、直流出力電圧は、図中の斜線の如く上限なく制御することが可能であり、負荷の消費電力量に適する所望の任意の値となるよう制御される。また、このとき力率は、ほぼ1に制御できる。
【0069】
次に、負荷の消費電力量が更に大きくなり、直流出力電圧指令値Vdcが電源電圧実行値Vsの2√2倍以上となる高負荷領域(消費電力量が負荷の許容電力量の50〜70%)、即ち、図9の運転モード4の場合、コントローラ10により整流回路切換用スイッチ8は倍電圧整流モードに切り換えられる。また、短絡素子9は部分スイッチングモードに制御され、力率は図中の破線の部分に制御でき、直流出力電圧も2√2×Vs付近の破線領域の値を出力できる。
【0070】
また、倍電圧整流モードにて運転中、負荷の消費電力量が更に増し、消費電力量が負荷の許容電力量の70%以上の極高負荷領域、即ち、図9の運転モード5の場合、短絡素子9は高周波スイッチングモードに切り換えられる。故に、直流出力電圧は、図中の斜線領域のように上限なく昇圧することが可能であり、負荷の消費電力量に見合うだけの任意の値となるよう制御され、また、力率はほぼ1となり、入力電流の波形歪みが改善される。従って、この運転モードでは高調波抑制能力が高く、また、倍電圧整流モードから高周波スイッチングにて直流出力電圧を制御する為、高い交直変換効率を維持しつつ直流出力電圧を昇圧することができる。
【0071】
前記コントローラ10の一連の制御シーケンスを図10のフローチャートを用いて説明すると以下のようである。まず、ステップ1として、負荷の消費電力量を得る。次に、ステップ2として、負荷状態にふさわしい直流出力電圧指令値Vdcが負荷制御手段或いは外部の人力等により入力される。更に、ステップ3として、入力された指令値Vdcが前回入力された値と異なるかを判断する。ここで、指令値Vdcが前回の値と異なる場合にはステップ4へ進み、指令値Vdcが前回の値と等しい場合には整流回路切換用スイッチ8の切り換えは行わず、前回の運転モードを維持する。ステップ4では、入力された直流出力電圧指令値Vdcが、電源系統によって予め定められる電源電圧実行値Vsの2√2倍以上かどうかを判断する。この判定結果が偽の場合には、ステップ5へ進み整流回路切換用スイッチ8をオフとし、全波整流モードを選択する。更に、ステップ6へ進み、ステップ1で得た消費電力量が負荷の許容電力量の何パーセントにあたるかを判断し、消費電力量が許容電力量の0〜10%である極低負荷領域のときにはステップ7からステップ8へ進み、短絡素子9を力率改善無しモードにて制御する。なお、これは図9の運転モード1に相当する。また、消費電力量が許容電力量の10〜30%である低負荷領域のときにはステップ7からステップ9へ進み、短絡素子9を部分スイッチングモードにて制御する。なお、これは図9の運転モード2に相当する。また、消費電力量が許容電力量の30〜50%である中間負荷領域のときにはステップ10へ進み、短絡素子9を高周波スイッチングモードにて制御する。なお、これは図9の運転モード3に相当する。
【0072】
なお、ステップ4での判定結果が真の場合には、ステップ11へ進み整流回路切換用スイッチ8をオンとし、倍電圧整流モードを選択する。更に、ステップ12へ進み、ステップ1で得た消費電力量が負荷の許容電力量の70%以上であるかを判断し、その判定結果が偽となる高負荷領域の場合にはステップ13へ進み、短絡素子9を部分スイッチングモードにて制御する。なお、これは図9の運転モード4に相当する。また、ステップ12において、判定結果が真となる極高負荷領域の場合にはステップ14へ進み、短絡素子9を高周波スイッチングモードにて制御する。なお、これは図9の運転モード5に相当する。
【0073】
なお、前記動作説明において、全波/倍電圧整流モード及び短絡素子制御モードは消費電力量が負荷の許容電力量の何パーセントにあたるかによってモード切り換えを行ったが、これは何も前記数値に限定するものではなく、運転条件や用途に応じて任意に設定して良い。また図10ではステップ2からステップ4の次のステップ5とステップ11までをステップ1の後に置くという、整流回路切換えを先に行い、その後でステップ6以下、ステップ12以下の短絡素子を切換える運転を行う例で説明したが、負荷領域などの条件に応じて短絡素子切換えを先に行い、その後で整流回路切換えを行っても結果的には同一の動作や効果が得られる。または整流回路切換えスイッチの有無にかかわらず、すなわち整流回路がどのような構成であろうと、あるいは直流電圧の大小に関係無く、負荷の電力に応じて、あるいは電動機の回転数などに応じて短絡素子を切換える運転だけでも良いことは当然である。
【0074】
前記の如く本発明では、直流出力電圧の低下量及び高調波発生量が最も多くなる極高負荷領域(図9の運転モード5)では、昇圧能力及び高調波抑制能力が高い倍電圧整流モード/高周波スイッチングモードにて運転する為、直流出力電圧不足による負荷の不安定動作を回避でき、負荷の選択幅を広げることができる。また、高調波規制をクリアする為のリアクトル2のインダクタンス値を小さな値に選択でき、回路の小型化、低コスト化、及び高効率化を計れる。また、小さなインダクタンス値のリアクトルにて運転モード1〜5の一連の動作を行う為、直流出力電圧の昇圧をあまり必要としない運転モード2或いは4では、部分スイッチングモードにて制御される短絡素子9の短絡時のリアクトル蓄積エネルギー(1/2LI)を小さくでき、それ故、力率を改善しつつ直流出力電圧の昇圧量を微少に抑えることができ、低負荷時の交直変換効率を改善することができる。
【0075】
また、前記システムの一連の運転モードは、何もこれに限るものではなく、例えば、運転モード1を省いた運転モード構成、或いは、運転モード3を省いた運転モード構成、或いは、運転モード4を省いた運転モード構成等負荷によりあるいは所望する運転条件により自由に選択でき、そのような使用条件でもでも同様の効果が得られる。
【0076】
また、本発明では、負荷を制御する負荷制御手段15をコントローラ10の内部に設けたが、コントローラ10の外部に別に設けても良く、この場合も負荷の消費電力に応じた直流出力電圧指令値Vdcを負荷制御手段15からコントローラ10へ入力する構成とすることで同様の効果が得られる。
【0077】
また、本発明では、負荷の消費電力に応じて動作説明を行ったが、負荷状態を判別できるものであれば何でも良く、例えば、入力電流や直流出力電圧に応じて運転モードを切り換えてもあるいは負荷の運転モードなどで切換えても同様の効果が得られる。
【0078】
なお、参考までに、現在検討されている高調波に関する国内規制クラスA(2004年〜)を図11に示す。図11において、nは高調波次数、Vnomは機器の定格電圧を示し、40次までの高調波に対して規制が設けられている。なお、表中の[×(230/Vnom)]の計算値は、Vnomが220V、230V、240Vの電源系統以外の電圧の場合に適用する。220−240Vの電圧に対してはこの表をそのまま使用すれば良い。また、図中の「奇数高調波」とは、周波数が電源系統の奇数倍である高調波を指し、同様に、「偶数高調波」とは、周波数が電源系統の偶数倍である高調波を指す。図より、例えば、定格100V機器の3次高調波の規制値は、2.30×(230/100)=5.29A、として求まる。この規制値を従来技術にて満たそうとした場合、リアクトル2が大型化してしまい、効率悪化、高コスト化、装置の大型化の要因となる。
【0079】
図1の回路構成と図6の回路構成との違いは、整流器3の整流モードとして、全波整流モードと倍電圧整流モードを選択できるように、整流器3の直流側に互いに直列接続された倍電圧整流用コンデンサ4及び5を設け、前記倍電圧整流用コンデンサ4及び5の相互接続点を整流回路切換用スイッチ8を介して整流器3の交流側に接続した点で、図6の回路では負荷の所望する直流出力電圧値に応じて整流モードを切り換えられることであり、これにより、直流出力電圧を幅広い領域に渡って安定且つ高効率に、出力可能となる。
【0080】
図12は本発明の別の構成を示す回路構成図である。図12において、図1他と対応する部分には同一符号を付し、その重複説明を省略する。図12は図1他における双方向通電性の短絡素子9を、例えば、IGBT又はバイポーラトランジスタ又はMOSFET等の半導体素子を用いた1対のスイッチング素子20a及び20bを整流器3の1相に並列接続させて、代替させたものである。図12において、20a及び20bは図1他での短絡素子9を代替する1対のスイッチング素子であって、これらのスイッチング素子20a、20bは、それぞれ整流回路3のダイオード3a、3cに並列接続され、そのゲートにコントローラ10からの制御信号が印加されるように成されている。また、19は、整流器3と倍電圧コンデンサ4〜5との間に挿入された逆流防止用整流素子であり、スイッチング素子20a、20bの短絡動作に伴う、倍電圧整流用コンデンサ4〜5或いは平滑コンデンサ6から整流器3側への逆流を防止する為のものである。
【0081】
次に、動作について説明する。まず、コントローラ10の電源電圧検出手段11により交流電源1の電圧極性を検出する。このとき、交流電源1の一方の端子aの電位が他方の端子bの電位よりも高い(この状態を正極性とし、これと逆の状態を負極性とする)場合には、コントローラ10の制御手段14は、スイッチング素子20aをオフに制御し、スイッチング素子20bのみのスイッチング動作を許可する。また、交流電源1の電圧極性が負極性の場合には、コントローラ10は、スイッチング素子20bをオフに制御し、スイッチング素子20aのみのスイッチング動作を許可する。ここで、スイッチングの形態は先に説明したと同様、力率改善無しモード、部分スイッチングモード、高周波スイッチングモードにより行われるものとする。
【0082】
図1や図6の構成と図12の構成との効果の差異は、スイッチング素子20a、20bをオンとしたときの電流径路の素子数が減らせ、スイッチング素子オン時の損失を低減できることにある。但し、スイッチング素子20a、20bをオフとしたときは電流径路の素子数が図1などよりも増加する。その為、スイッチング素子20a又は20bのオン時間が長くなるような動作条件において、本回路構成の方が図1などの構成よりも高い変換効率となる。
【0083】
図13は本発明の別の回路構成を示す回路構成図である。図13において、図1他と対応する部分には同一符号を付し、その重複説明を省略する。本回路構成は、例えば、IGBT又はバイポーラトランジスタ又はMOSFET等のスイッチング素子20a’及び20b’を、整流器3の交流入力端子と直流出力端子の低電圧側の間に接続させて、前記図1他における双方向通電性の短絡素子9を代替させたものである。図13において、20a’及び20b’は図1他の短絡素子9を代替する1対のスイッチング素子であって、これらのスイッチング素子20a’、20b’は、それぞれ整流回路3のダイオード3c、3dに並列接続され、そのゲートにコントローラ10からの制御信号が印加されるように成されている。また、19’は、整流器3と倍電圧コンデンサ4との間、スイッチング素子20a’、20b’と倍電圧コンデンサ5との間に挿入された逆流防止用整流素子であり、スイッチング素子20a’、20b’の短絡動作に伴う、倍電圧整流用コンデンサ4−5の短絡を防止する為のものである。但し整流器3のうち少なくとも3aを、優れた電流遮断特性を示す高速リカバリーダイオードで構成した場合、整流器3と倍電圧コンデンサ4との間に設けた逆流防止用整流素子19’は省略することが出来る。
【0084】
次に、動作について説明する。まず、コントローラ10により交流電源1の電圧極性を検出する。このとき、交流電源1の一方の端子aの電位が他方の端子bの電位よりも高い(この状態を正極性とし、これと逆の状態を負極性とする)場合には、コントローラ10は、スイッチング素子20a’をオフに制御し、スイッチング素子20b’のみのスイッチング動作を許可する。また、交流電源1の電圧極性が負極性の場合には、コントローラ10は、スイッチング素子20b’をオフに制御し、スイッチング素子20a’のみのスイッチング動作を許可する。ここで、スイッチングの形態は前記説明と同様、力率改善無しモード、部分スイッチングモード、高周波スイッチングモードにより行われるものとする。
【0085】
図13の構成における図12の回路構成との効果の差異は、整流素子3aを高速リカバリーダイオードで構成し、倍電圧コンデンサ4と整流器3との間に設けた逆流防止用整流素子19’を省略する構成とすることで、スイッチング素子20a、20bをオンとしたときに倍電圧整流用コンデンサ4、5が短絡するのを防止する為に設けた逆流防止用整流素子19の個数を低減できることにある。
【0086】
また、本発明では、図12や図13の如く交流側にリアクトルを設ける構成の例を説明したが、図14のように、リアクトル2を整流器3の直流側に配置しても同様の回路動作及び効果が得られる。更に、図には示さないが、リアクトルを介して交流電源を短絡し、力率改善を行う回路なら、リアクトル及び短絡素子を整流器の交流側、直流側のどちらに設けようが、負荷の所望する直流出力電圧指令値Vdcに応じて、短絡素子の動作パターンを高周波スイッチングモードと部分スイッチングモードとに切り換えることで、先に述べたような効果を得ることができる。
【0087】
図15は本発明の別の構成を示す回路構成図である。同図において、図1他と対応する部分には同一符号を付し、その重複説明を省略する。図において、21は平滑コンデンサ6の両端子間に接続され、その両端子間に得られる直流電圧を交流電圧に変換するインバータ、22はインバータ21により駆動される電動機、23はインバータ21を制御するインバータ制御手段である。インバータ制御手段23は、電動機22の回転速度指令値fが入力され、電動機22の回転速度がこれと一致するよう制御信号をインバータ21へ出力する。この制御信号に基づき、インバータ21は交流電圧を発生して電動機22を駆動する。
【0088】
図15の構成と先に述べた構成における差異は、負荷7として、インバータ制御手段23により制御されるインバータ21を介して電動機22を接続した点である。既に説明したように、直流出力電圧指令値Vdcは、負荷の消費電力量、或いは、直流出力電圧情報や入力電流情報に応じて生成されるとしたが、本構成では、電動機22の出力は回転数に比例する為、負荷の消費電力量は、電動機22の回転速度指令値fにより代用できる。
【0089】
また、力率改善回路の負荷の消費電力量を電動機22の回転速度指令値fにより代用しない場合でも、インバータ制御手段23内部の設定値を用いることで、力率改善回路の負荷の消費電力量を推測することは可能である。例えば、電動機22に印加する電圧指令値でも同等効果を有する。また、電動機22の相電流を検出するような構成であれば相電流値でも良く、負荷の消費電力量はインバータ制御手段23から容易に得られる。
【0090】
以上のように、力率改善回路の負荷がインバータである場合、その動作指令値等の設定値から負荷の消費電力量を容易に推測でき、この負荷の消費電力量に適する直流出力電圧指令値Vdcに基づき直流出力電圧を制御すると共に入力電流に含まれる高調波成分を抑制する為、不要に直流出力電圧を昇圧することがなく、リアクトルの鉄損と共に電動機鉄損も低減でき、高効率な駆動装置が得られる。また、回路損失が低減できる分、電動機の出力を大きくできる為、電動機の最大回転数を高くすることができる。
【0091】
図16は本発明の別の構成を示す回路構成図である。図16において、図1他と対応する部分には同一符号を付し、その重複説明を省略する。図16において、24は平滑コンデンサ6の両端子間に接続され、その両端子間に得られる直流電圧により駆動される直流電動機である。本構成の例は、実質的に前記図15のインバータ及び電動機を直流電動機に置換した形態に相当する。この場合も、負荷の消費電力量は、直流電動機24の回転速度指令値fにより代用でき、前述の通り、負荷の消費電力量に適する値に直流出力電圧を制御すると共に入力電流に含まれる高調波成分を抑制する為、リアクトルの鉄損と共に電動機鉄損も低減でき、高効率な電動機駆動装置が得られる。このように直接直流電動機を駆動する電力供給装置のリアクトルの小型化などにより電源及び電動機の組合せを自由に選ぶことが出来、効率が最も良い装置を選択できる。
【0092】
上記回路構成の説明で入力電力は電源電圧検出手段11と入力電流検出手段12から得られる。負荷消費電力、負荷がモーターの場合の回転数、負荷電流、インバータのスイッチングデューティなどの負荷情報は負荷制御手段15から得られる。このように本発明は図1、図6他の構成により、入力電流に含まれる高調波成分を抑制すると共に、高調波発生量が多くなる高負荷側においても、リアクトルを大きくせずとも充分な高調波抑制能力及び昇圧能力を有する交直変換効率の高い力率改善回路を得ることが出来る。
【0093】
本発明の回路構成による力率改善回路は、交流電源にその一端が接続されたリアクトルと、このリアクトルを介して交流電源を短絡/開放する双方向通電性の短絡素子と、短絡素子の両端電圧を整流し直流に変換する整流器と、整流器を倍電圧整流モードにて整流する倍電圧整流用コンデンサと、整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードとに切り換える整流回路切換用スイッチと、整流器の出力を平滑化し負荷に電力を供給する平滑コンデンサと、平滑コンデンサの両端子間に接続された負荷状態に応じて整流回路切換用スイッチを全波整流モード或いは倍電圧整流モードに制御すると共に、短絡素子を、短絡動作を行わない力率改善無しモード或いは短絡動作を電流オープンループ制御にて電源半周期に1回もしくは複数回行う部分スイッチングモード或いは短絡動作を電流フィードバックループにて高周波で行う高周波スイッチングモードのいずれかのモードにて制御するコントローラと、を備えたので、軽負荷から重負荷に渡って電源力率を改善すること、且つ、幅広い直流出力電圧を安定且つ効率的に供給することができる力率改善回路を実現でき、更に、高い昇圧能力及び高調波抑制能力を有する為、リアクトルを小型化でき、回路の小型化及び低コスト化を実現できる。
【0094】
本発明の回路構成による力率改善回路は、交流電源にその一端が接続されたリアクトルと、リアクトルを介して交流電源を短絡/開放する双方向通電性の短絡素子と、短絡素子の両端電圧を整流し直流に変換する整流器と、整流器を倍電圧整流モードにて整流すると共に前記整流器の出力を平滑化し負荷に電力を供給する倍電圧整流用コンデンサと、整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードとに切り換える整流回路切換用スイッチと、倍電圧整流用コンデンサの上下段端子間に接続された負荷状態に応じて整流回路切換用スイッチを全波整流モード或いは倍電圧整流モードに制御すると共に、短絡素子を、短絡動作を行わない力率改善無しモード或いは短絡動作を電流オープンループ制御にて電源半周期に1回もしくは複数回行う部分スイッチングモード或いは短絡動作を電流フィードバック制御にて高周波で行う高周波スイッチングモードのいずれかのモードにて制御するコントローラと、を備えたので、平滑コンデンサを別途設ける必要がなく、回路の低コスト化を実現できる。また、軽負荷から重負荷に渡って電源力率を改善し、高い昇圧能力及び高調波抑制能力を有する高効率な力率改善回路を実現できる。
【0095】
本発明の構成による力率改善回路の整流器を構成する4つの整流素子は、そのうち2つは高速リカバリーダイオードで構成するので、短絡素子動作の高周波化を実現できる。
【0096】
本発明のコントローラは、整流回路切換用スイッチの切換判断基準として2つの異なるしきい値を設け、値の大きい方を整流回路切換用スイッチのターンオン用、小さい方をターンオフ用とし、これに基づいて前記整流回路切換用スイッチを制御するので、しきい値近傍での負荷変動時の整流回路切換用スイッチのチャタリングを防止でき、システムの信頼性及び素子寿命を向上できる。
【0097】
また短絡素子を、負荷が軽く直流出力電圧をほとんど昇圧する必要がない場合には電流オープンループ制御である部分スイッチングモード、負荷が重く高い昇圧比にて直流出力電圧を出力する必要がある場合には電流フィードバック制御である高周波スイッチングモード、に制御するので、軽負荷時にも電源力率を改善し、重負荷時にも高い昇圧能力及び高調波抑制能力を有する高効率な力率改善回路を実現できる。
【0098】
また整流回路切換用スイッチを全波整流モードから倍電圧整流モードに切り換える場合、力率改善回路の直流出力電圧が倍電圧整流モードに切り換えた後に得られる電圧値或いは予め設定した全波整流モードでの直流出力電圧最大値となるように、前記短絡素子を制御するので、全波整流から倍電圧整流へ切り換える際の電圧変動を抑制することができる。
【0099】
また整流回路切換用スイッチを倍電圧整流モードから全波整流モードに切り換える場合、全波整流モードに切り換えた後の力率改善回路の直流出力電圧値が切り換える前の倍電圧整流モードでの電圧値となるように、短絡素子を制御するので、倍電圧整流から全波整流へ切り換える際の電圧変動を抑制することができる。
【0100】
また電源力率が上昇するように整流回路切換用スイッチ及び短絡素子を制御するので、最大出力電力を向上することができ、且つその状態における交直変換効率を最大に制御することができる。
【0101】
また入力電流に含まれる高調波成分を低減させるように整流回路切換用スイッチ及び短絡素子を制御するので、電源高調波を抑制することができ、且つその状態における交直変換効率を最大に制御することができる。
【0102】
また直流出力電圧を負荷の要する電圧値に近づけるように整流回路切換用スイッチ及び短絡素子を制御するので、直流出力電圧を所望の値に制御でき、不要な昇圧に伴う回路効率の低下を抑制することができる。
【0103】
本発明の構成による力率改善回路の負荷は、インバータ及び電動機であり、コントローラは、整流回路切換用スイッチを、電動機の回転速度指令値が小さい場合には全波整流モード、大きい場合には倍電圧整流モードに制御し、また、短絡素子を、電動機の回転速度指令値が小さく電動機駆動の為に直流電圧の昇圧をほとんど必要としない場合には電流オープンループ制御である部分スイッチングモード、回転速度指令値が大きく電動機駆動の為に高い昇圧比にて直流電圧を出力する必要がある場合には電流フィードバック制御である高周波スイッチングモードにて制御するので、力率改善回路及び負荷であるインバータの回路効率を最大に制御することができ、また、電動機仕様の選択幅を広げ、電動機の最大回転速度を上げることができる。
【0104】
本発明の構成による力率改善回路の負荷は、直流電動機であり、コントローラは、整流回路切換用スイッチを、直流電動機の回転速度指令値が小さい場合には全波整流モード、大きい場合には倍電圧整流モードに制御し、また、短絡素子を、直流電動機の回転速度指令値が小さく直流電動機駆動の為に直流電圧の昇圧をほとんど必要としない場合には電流オープンループ制御である部分スイッチングモード、回転速度指令値が大きく直流電動機駆動の為に高い昇圧比にて直流電圧を出力する必要がある場合には電流フィードバック制御である高周波スイッチングモードにて制御するので、力率改善回路及び負荷である直流電動機の損失を低減でき、また、直流電動機仕様の選択幅を広げ、電動機の最大回転速度を上げることができる。
【0105】
また短絡素子は、ダイオードブリッジと片方向通電性の半導体スイッチとを組み合わせて構成される双方向通電性短絡素子であるので、安価且つ効果的に交流電源の短絡動作を実現できる。また短絡素子は、片方向通電性の半導体スイッチを2個以上互いに逆極性となるよう組み合わせて構成される双方向通電性短絡素子であるので、交流電源の短絡動作の高効率化を実現できる。また短絡素子は、リアクトルの一端と整流器の直流側端子との間に設けられた複数のスイッチング素子であるので、素子ストレスを低減でき、素子の長寿命化を実現できる。
【0106】
【発明の効果】
この発明に係る電力供給装置は、交流電源からの交流を整流し直流に変換する整流器と、整流器の出力を平滑化し負荷に電力を供給する平滑手段と、整流器の交流側あるいは直流側に接続されたリアクトルと、リアクトルを介して交流側電源を短絡あるいは開放しリアクトルの電磁エネルギー蓄積効果を利用して平滑手段の端子間電圧の増減を行う短絡手段と、整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードとに切換える整流回路切換用スイッチと、平滑手段の端子間に接続された負荷に供給される電力や電流等の供給情報あるいは負荷からの情報に基づいて、短絡手段の短絡動作を電源半周期に1回もしくは複数回行う部分スイッチングモードと高周波で行う高周波スイッチングモードとに切換える、且つ、整流回路切換用スイッチを全波整流モードあるいは倍電圧整流モードに切換えるコントローラと、を備え、コントローラは低い負荷領域から高い負荷領域に負荷が増大する際、負荷量に応じて整流回路用スイッチを全波整流モードから倍電圧整流モードに切換えて、更にこの負荷量に応じて短絡手段を部分スイッチングモードから高周波スイッチングモード切換えることにより、全負荷領域において電源力率を上昇させる制御を行うので、負荷の全動作範囲に渡り良好な電源力率を維持した状態で、小さなリアクトルインダクタンスで入力電流に含まれる高調波成分を抑制でき、負荷の消費電力量に適する直流出力電圧を効率良く供給できる装置が得られる。
【0107】
この発明に係る電力供給装置は、整流器と倍電圧整流用コンデンサとを接続可能にして整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードに切換える整流回路切換用スイッチにて高い負荷領域では倍電圧整流モードとし、更に負荷が増大した場合は短絡手段を電流オープンループ制御である部分スイッチングモードから電流フィードバック制御である高周波スイッチングモードに切換えて制御するので、幅広い直流電圧を安定、且つ、効率的に供給でき、更に、高調波を抑制できる小形の装置が得られる。
【0108】
この発明における電力供給装置は、整流器と倍電圧整流用コンデンサとを接続可能にして整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードを整流回路切換用スイッチにて切換える際、整流モード切換え前後で直流電圧変動を抑制する様に短絡手段を制御するので、直流出力電圧を安定して供給できる装置が得られる。
【0110】
この発明に係る電力供給装置のコントローラは、整流回路切換用スイッチの切換え判断基準として2つの異なる閾値を設け、値の大きい方を整流回路切換用スイッチのターンオン用、小さい方をターンオフ用とし、これに基づいて整流回路切換用スイッチを制御するので、回路切換え時の安定した動作が可能で長期的に信頼性の高い装置が得られる。
【0112】
この発明に係る電力供給装置のコントローラは、整流回路切換用スイッチを全波整流モードから倍電圧整流モードに切換える場合、整流器からの直流出力電圧が倍電圧整流モードに切換えた後に得られる電圧値あるいは予め設定した最大の全波整流モードでの直流出力電圧値となる様に、短絡手段を制御するので、整流モード切換え時の電圧変動を抑制でき安定した動作の信頼性の高い装置が得られる。
ある。
【0113】
この発明に係る電力供給装置のコントローラは、整流回路切換用スイッチを倍電圧整流モードから全波整流モードに切換える場合、全波整流モードに切換えた後の直流出力電圧値が切換える前の倍電圧整流モードでの電圧値となる様に、短絡手段を制御するので、整流モード切換え時の電圧変動を抑制でき安定した動作で力率の良い装置が得られる。
【0115】
この発明に係る電力供給装置のコントローラは、入力電流に含まれる高調波成分を低減させる様に整流回路切換用スイッチおよび短絡手段を制御するので、高調波抑制能力が高く交直変換効率の高い装置が得られる。
【0116】
この発明に係る電力供給装置のコントローラは、直流出力電圧を負荷の要する電圧値に近づける様に整流回路切換用スイッチおよび短絡手段を制御するので、不要な動作を防止して効率に無駄の無い装置が得られる。
【0117】
この発明に係る電力供給装置の短絡手段は、ダイオードブリッジと片方向通電性の半導体スイッチとを組合せて構成される双方向通電性短絡阻止であるので、安価で小形の装置で効率化が得られる。
【0118】
この発明に係る電力供給装置の短絡手段は、片方向通電性の半導体スイッチを2個以上互いに逆極性となる様に組合せて構成される双方向通電性短絡阻止であるので、交流電源の短絡動作を効率的に行える。
【0119】
この発明に係る電力供給装置の短絡手段は、リアクトルの一端と整流器の直流側端子との間に設けられた複数のスイッチング素子であるので、部品の長寿命化を実現できる。
【0120】
この発明に係る電力供給装置は、整流器を構成する整流素子の少なくとも一部は高速リカバリダイオードで構成するので、平滑手段からの逆流を防止するための部品を追加することなく短絡阻止動作の高周波化を実現できる小形の装置が得られる。
【0121】
この発明に係る電動機駆動装置は、電力供給装置が負荷であるインバータおよび電動機に電力を供給する際、コントローラは、整流回路切換用スイッチを、電動機の回転速度指令値が小さい場合には全波整流モード、大きい場合には倍電圧整流モードに制御し、あるいは、短絡手段を電動機の回転速度指令値が小さく電動機駆動の為に直流電圧の昇圧をほとんど必要としない場合には部分スイッチングモード、回転速度指令値が大きく電動機駆動の為に高い昇圧値にて直流電圧を出力する必要がある場合には高周波スイッチングモードにて制御するので、広い負荷範囲にわたって装置全体の効率を向上させることが出来る。
【0122】
この発明に係る電動機駆動装置は、電力供給装置が負荷である直流電動機に電力を供給する際、コントローラは、整流回路切換用スイッチを、直流電動機の回転速度指令値が小さい場合には全波整流モード、大きい場合には倍電圧整流モードに制御し、あるいは、短絡手段を、直流電動機の回転速度指令値が小さく直流電動機駆動の為に直流電圧の昇圧をほとんど必要としない場合には部分スイッチングモード、回転速度指令値が大きく直流電動機駆動の為に高い昇圧値にて直流電圧を出力する必要がある場合には高周波スイッチングモードにて制御するので、装置全体の損失を低減でき、直流電動機仕様の選択を広げられる。
【0124】
この発明に係る電力供給装置の制御方法は、運転する際に、短絡手段の短絡動作は負荷に応じて効率が良くなる方向であって、且つ、入力電流に含まれる高周波成分を所定値以内に収める方向に制御するので、負荷に対応する交流直流変換効率を上げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1を示す回路構成図である。
【図2】 本発明の双方向通電性短絡素子の一例を示す回路図である。
【図3】 本発明の短絡素子の部分スイッチングモード動作を示す図である。
【図4】 本発明の短絡素子の高周波スイッチングモード動作を示す図である。
【図5】 本発明の実施の形態1の別の回路を示す回路構成図である。
【図6】 本発明の実施の形態1の別の回路を示す回路構成図である。
【図7】 本発明の直流出力電圧及び入力電流を制御する場合のシステム構成図である。
【図8】 本発明の整流回路切換用スイッチの切換制御シーケンスを示すフローチャート図である。
【図9】 本発明のシステムの負荷の消費電力量に対する一連の運転モードを示す説明図である。
【図10】 本発明の整流回路切換用スイッチ及び短絡素子の切換制御シーケンスを示すフローチャート図である。
【図11】 2004年より適用が予定されている高調波に関する国内規制値を示す図である。
【図12】 本発明の実施の形態1の別の回路構成を示す回路構成図である。
【図13】 本発明の実施の形態1の別の回路構成を示す回路構成図である。
【図14】 本発明の実施の形態1の別の回路構成を示す回路構成図である。
【図15】 本発明の実施の形態1の別の回路構成を示す回路構成図である。
【図16】 本発明の実施の形態1の別の回路構成を示す回路構成図である。
【符号の説明】
1 交流電源、 2 リアクトル、 3 整流器、 4〜5 倍電圧整流用コンデンサ、 6 平滑コンデンサ、 7 負荷、 8 整流回路切換用スイッチ、 9 短絡素子、 10 コントローラ、 11 電源電圧検出手段、 12入力電流検出手段、 13 直流電圧検出手段、 14 制御手段、 15 負荷制御手段、 16 ダイオードブリッジ、 17 片方向通電性短絡素子、18 ダイオード、 19 逆流防止用整流素子、 20 スイッチング素子、 21 インバータ、 22 電動機、 23 インバータ制御手段、 24直流電動機、 40 力率改善回路。

Claims (15)

  1. 交流電源からの交流を整流し直流に変換する整流器と、前記整流器の出力を平滑化し負荷に電力を供給する平滑手段と、前記整流器の交流側あるいは直流側に接続されたリアクトルと、前記リアクトルを介して前記交流側電源を短絡あるいは開放し前記リアクトルの電磁エネルギー蓄積効果を利用して前記平滑手段の端子間電圧の増減を行う短絡手段と、前記整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードとに切換える整流回路切換用スイッチと、前記平滑手段の端子間に接続された負荷に供給される電力や電流等の供給情報あるいは負荷からの情報に基づいて、前記短絡手段の短絡動作を電源半周期に1回もしくは複数回行う部分スイッチングモードと高周波で行う高周波スイッチングモードとに切換える、且つ、前記整流回路切換用スイッチを全波整流モードあるいは倍電圧整流モードに切換えるコントローラと、を備え、前記コントローラは低い負荷領域から高い負荷領域に負荷が増大する際、負荷量に応じて前記整流回路用スイッチを全波整流モードから倍電圧整流モードに切換えて、更に前記負荷量に応じて前記短絡手段を部分スイッチングモードから高周波スイッチングモード切換えることにより、全負荷領域において電源力率を上昇させる制御を行うことを特徴とする電力供給装置。
  2. 前記整流器と倍電圧整流用コンデンサとを接続可能にして前記整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードに切換える整流回路切換用スイッチにて高い負荷領域では倍電圧整流モードとし、更に負荷が増大した場合は前記短絡手段を電流オープンループ制御である部分スイッチングモードから電流フィードバック制御である高周波スイッチングモードに切換えて制御することを特徴とする請求項1記載の電力供給装置
  3. 前記整流器と倍電圧整流用コンデンサとを接続可能にして前記整流器を全波整流モードと倍電圧整流モードを整流回路切換用スイッチにて切換える際、整流モード切換え前後で直流電圧変動を抑制する様に前記短絡手段を制御することを特徴とする請求項1または2記載の電力供給装置
  4. 前記コントローラは、前記整流回路切換用スイッチの切換え判断基準として2つの異なる閾値を設け、値の大きい方を整流回路切換用スイッチのターンオン用、小さい方をターンオフ用とし、これに基づいて前記整流回路切換用スイッチを制御することを特徴とする請求項1または2または3記載の電力供給装置。
  5. 前記コントローラは、前記整流回路切換用スイッチを全波整流モードから倍電圧整流モードに切換える場合、前記整流器からの直流出力電圧が倍電圧整流モードに切換えた後に得られる電圧値あるいは予め設定した最大の全波整流モードでの直流出力電圧値となる様に、前記短絡手段を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電力供給装置。
  6. 前記コントローラは、前記整流回路切換用スイッチを倍電圧整流モードから全波整流モードに切換える場合、全波整流モードに切換えた後の直流出力電圧値が切換える前の倍電圧整流モードでの電圧値となる様に、前記短絡手段を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電力供給装置。
  7. 前記コントローラは、入力電流に含まれる高調波成分を低減させる様に前記整流回路切換用スイッチおよび前記短絡手段を制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電力供給装置。
  8. 前記コントローラは、直流出力電圧を負荷の要する電圧値に近づける様に前記整流回路切換用スイッチおよび前記短絡手段を制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電力供給装置。
  9. 前記短絡手段は、ダイオードブリッジと片方向通電性の半導体スイッチとを組合せて構成される双方向通電性短絡阻止であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電力供給装置。
  10. 前記短絡手段は、片方向通電性の半導体スイッチを2個以上互いに逆極性となる様に組合せて構成される双方向通電性短絡阻止であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電力供給装置。
  11. 前記短絡手段は、前記リアクトルの一端と前記整流器の直流側端子 との間に設けられた複数のスイッチング素子であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電力供給装置。
  12. 前記整流器を構成する整流素子の少なくとも一部は高速リカバリダイオードで構成することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電力供給装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の電力供給装置が負荷であるインバータおよび電動機に電力を供給する際、前記コントローラは、前記整流回路切換用スイッチを、前記電動機の回転速度指令値が小さい場合には全波整流モード、大きい場合には倍電圧整流モードに制御し、あるいは、前記短絡手段を前記電動機の回転速度指令値が小さく電動機駆動の為に直流電圧の昇圧をほとんど必要としない場合には部分スイッチングモード、回転速度指令値が大きく電動機駆動の為に高い昇圧値にて直流電圧を出力する必要がある場合には高周波スイッチングモードにて制御することを特徴とする電動機駆動装置。
  14. 請求項1乃至12のいずれかに記載の電力供給装置が負荷である直流電動機に電力を供給する際、前記コントローラは、前記整流回路切換用スイッチを、前記直流電動機の回転速度指令値が小さい場合には全波整流モード、大きい場合には倍電圧整流モードに制御し、あるいは、前記短絡手段を、前記直流電動機の回転速度指令値が小さく直流電動機駆動の為に直流電圧の昇圧をほとんど必要としない場合には部分スイッチングモード、回転速度指令値が大きく直流電動機駆動の為に高い昇圧値にて直流電圧を出力する必要がある場合には高周波スイッチングモードにて制御することを特徴とする電動機駆動装置。
  15. 請求項1乃至12のいずれかに記載の電力供給装置を運転する際に、前記短絡手段の短絡動作は負荷に応じて効率が良くなる方向であって、且つ、入力電流に含まれる高周波成分を所定値以内に収める方向に制御することを特徴とする電力供給装置の制御方法。
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