JP6431413B2 - 電力変換装置、及びこれを備える空気調和機、並びに電力変換方法 - Google Patents

電力変換装置、及びこれを備える空気調和機、並びに電力変換方法 Download PDF

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Description

本発明は、交流電圧を直流電圧に変換する電力変換装置等に関する。
電車、自動車、空気調和機等には、交流電圧を直流電圧に変換する電力変換装置(直流電源装置)が搭載されている。そして、電力変換装置から出力される直流電圧をインバータによって所定周波数の交流電圧に変換し、この交流電圧をモータ等の負荷に印加するようになっている。
このような電力変換装置において、高調波電流規制に準拠して高調波を抑制し、また、電力変換効率を高めて省エネルギ化を図ることが求められている。
例えば、特許文献1には、全波整流回路を構成するダイオードのうち2個のダイオードをMOSFETで置き換えた整流回路と、各MOSFETを駆動するMOSFET駆動手段と、を備える電力変換装置について記載されている。
なお、特許文献1に記載の技術では、交流電源の電圧が正の半サイクルの期間中、一方のMOSFETはオン状態に保たれ、他方のMOSFETはオフ状態に保たれる。また、交流電源の電圧が負の半サイクルの期間中、一方のMOSFETはオフ状態に保たれ、他方のMOSFETはオン状態に保たれる。
特開2007−110869号公報
ところで、負荷の消費電力が大きい高負荷領域ではMOSFETに大きな電流が流れ、その損失(つまり、発熱量)は電流の2乗に比例して増大する。さらに、MOSFETには、高温になるほどオン抵抗が大きくなるという特性がある。
特許文献1に記載の技術では、MOSFETに流れる電流の大きさに関わらず、MOSFETのオン/オフが一律に制御される。したがって、MOSFETの温度上昇とオン抵抗の増加とが相まって、エネルギ効率の低下を招いたり、MOSFETの素子破壊が生じたりする可能性がある。
そこで、本発明は、高効率かつ信頼性の高い電力変換装置等を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明は、交流電源の電圧の極性に同期してスイッチング素子をオン/オフすることで、平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれるスイッチング素子をスイッチングするスイッチング制御と、を負荷検出部の検出値に基づいて切り換え、前記負荷検出部の検出値が第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、前記スイッチング制御として、前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオン状態とし、他方をスイッチングする同期整流・回路短絡制御を実行し、前記負荷検出部の検出値が前記第2閾値以上である場合、前記スイッチング制御として、前記経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオフ状態とし、他方をスイッチングする回路短絡制御を実行し、前記負荷検出部の検出値である負荷は、整流回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率であることを特徴とする。
また、本発明は、交流電源の電圧の極性に同期してスイッチング素子をオン/オフすることで、平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、前記交流電源の電圧の正・負の半サイクルそれぞれにおいて、一対のスイッチング素子を交互に複数回オン/オフするスイッチング制御と、を負荷検出部の検出値に基づいて切り換え、前記スイッチング制御を行う際、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするたびにブリッジ回路に流れる三角波状の回路電流の予測値と、前記ブリッジ回路における正弦波状の理想電流と、の比較に基づき、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするタイミングを設定し、前記負荷検出部の検出値である負荷は、整流回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率であることを特徴とする。
なお、詳細については、発明を実施するための形態において説明する。
本発明によれば、高効率かつ信頼性の高い電力変換装置等を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の構成図である。 運転領域、負荷状態、制御モード、及び主目的の対応関係をまとめた表である。 各負荷状態の大小関係を示す説明図である。 電力変換装置が実行する処理を示すフローチャートである。 電源投入時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 同期整流制御時(軽負荷(中間)時)における電源電圧、回路電流、及びスイッチング素子の駆動パルスの時間的変化を示す説明図である。 同期整流制御時(軽負荷(中間)時)において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 同期整流・回路短絡制御時(軽負荷(定格)、中負荷、高負荷時)における電源電圧、回路電流、及びスイッチング素子の駆動パルスの時間的変化を示す説明図である。 同期整流・回路短絡制御時(軽負荷(定格)、中負荷、高負荷時)において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 回路短絡制御時(第1保護領域)における電源電圧、回路電流、及びスイッチング素子の駆動パルスの時間的変化を示す説明図である。 回路短絡制御時(第1保護領域)において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の構成図である。 電源投入時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 同期整流制御時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 同期整流・回路短絡制御時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 回路短絡制御時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 本発明の第3実施形態に係る電力変換装置の構成図である。 スイッチング素子の温度と、電流の閾値と、の関係を示す説明図である。 電力変換装置が実行する処理を示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の構成図である。 電源投入時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 電源投入時において、電源電圧が負の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 同期整流制御時(軽負荷(中間)時)において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 同期整流制御時(軽負荷(中間)時)において、電源電圧が負の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 スイッチング制御時(軽負荷(定格)、中負荷、高負荷時)において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 スイッチング制御時(軽負荷(定格)、中負荷、高負荷時)において、電源電圧が負の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。 部分スイッチング制御の動作原理を示す説明図である。 高速スイッチング制御の説明図であり、(a)は各スイッチング素子のデューティの関係を示す説明図であり、(b)電源電圧の瞬時値と回路電流の瞬時値との関係を示す説明図であり、(c)は電源電圧が正の半サイクルにおいてリアクトルによる電流位相の遅れ分を考慮しない場合と、電流位相の遅れ分を考慮した場合と、におけるスイッチング素子のデューティを示す説明図である。 本発明の第5実施形態に係る空気調和機の構成図である。
≪第1実施形態≫
<電力変換装置の構成>
図1は、第1実施形態に係る電力変換装置1の構成図である。
電力変換装置1は、交流電源Gから供給される交流電圧を直流電圧に変換し、この直流電圧を負荷H(インバータ、モータ等)に出力するコンバータである。電力変換装置1は、その入力側が交流電源Gに接続され、出力側が負荷Hに接続されている。
図1に示すように、電力変換装置1は、整流回路Dと、リアクトルL1と、平滑コンデンサC1と、スイッチング素子Q3,Q4と、電流検出部11と、電流比較部12と、交流電圧検出部13と、ゼロクロス判定部14と、負荷検出部15と、負荷比較部16と、直流電圧検出部17と、コンバータ制御部18と、を備えている。
整流回路Dは、交流電源Gから配線ha,hbを介して流れる電流を全波整流するダイオードブリッジ回路である。整流回路Dは、ブリッジ形に接続された4個のダイオードD1〜D4を有している。
ダイオードD1のアノードは、ダイオードD3のカソードに接続され、その接続点P1は配線haを介して交流電源Gに接続されている。なお、配線haは、その一端が交流電源Gに接続され、他端が前記した接続点P1に接続されている。
ダイオードD2のアノードは、ダイオードD4のカソードに接続され、その接続点P2は配線hbを介して交流電源Gに接続されている。なお、配線hbは、その一端が交流電源Gに接続され、他端が前記した接続点P2に接続されている。
リアクトルL1は、交流電源Gから供給される電力をエネルギとして蓄え、さらにこのエネルギを放出することで昇圧を行うものである。リアクトルL1は、交流電源Gと整流回路Dとを接続する配線haに設けられている。
平滑コンデンサC1は、整流回路Dから印加される電圧を平滑化して直流電圧にするものであり、配線hc,hdを介して整流回路Dの出力側に接続されている。すなわち、平滑コンデンサC1は、その正側がダイオードD1,D2のカソードに接続され、負側がダイオードD3,D4のアノードに接続されている。
スイッチング素子Q3,Q4は、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)であり、後記するコンバータ制御部18からの指令によってオン/オフが制御される。なお、スイッチング素子Q3,Q4としてMOSFETを用いることで、消費電力を低減できるとともに、スイッチングを高速で行うことができるという利点がある。
一方のスイッチング素子Q3は、ダイオードD3に並列接続されている。より具体的には、スイッチング素子Q3(MOSFET)のソースが、ダイオードD3のアノードに接続され、ドレインがダイオードD3のカソードに接続されている。
他方のスイッチング素子Q4は、ダイオードD4に並列接続されている(ダイオードD4との接続関係については、スイッチング素子Q3と同様)。
スイッチング素子Q3は、その内部に寄生ダイオードD31を有している。寄生ダイオードD31は、スイッチング素子Q3(MOSFET)のソースとドレインとの間に存在するpn接合の部分である。同様に、スイッチング素子Q4は、その内部に寄生ダイオードD41を有している。
なお、スイッチング素子Q3に並列接続されるダイオードD3としては、その順方向電圧が、スイッチング素子Q3の寄生ダイオードD31の順方向電圧よりも小さいものを選定することが好ましい。これによって、スイッチング素子Q3のオフ時に、損失の大きい寄生ダイオードD31を流れる電流を低減し、スイッチング素子Q3の発熱を抑制できる。スイッチング素子Q4に並列接続されるダイオードD4に関しても、同様のことがいえる。
電流検出部11(負荷検出部)は、配線ha,hbを介して流れる電流(負荷)を検出するものであり、配線hbに設けられている。なお、図1では、電流検出部11としてトランスを用いる場合を示したが、シャント抵抗、ホール素子等を用いてもよい。
電流比較部12は、電流検出部11の検出値と、所定の閾値と、の大小を比較するコンパレータ(比較器)である。なお、電流検出部11の検出値と比較される閾値については後記する。電流比較部12は、その比較結果をコンバータ制御部18に出力する。
交流電圧検出部13は、交流電源Gから印加される交流電圧を検出するものであり、配線ha,hbに接続されている。交流電圧検出部13は、その検出値をゼロクロス判定部14に出力する。
ゼロクロス判定部14は、交流電圧検出部13によって検出される交流電圧の値に関して、その正負が切り替わったか(つまり、ゼロクロス点に達したか)否かを判定する機能を有している。例えば、ゼロクロス判定部14は、電源電圧が正の期間中にはコンバータ制御部18に‘1’の信号を出力し、電源電圧が負の期間中にはコンバータ制御部18に‘0’の信号を出力する。
負荷検出部15は、例えば、シャント抵抗であり、負荷Hに供給される電流(負荷)を検出する機能を有している。なお、負荷Hがモータである場合、負荷検出部15によってモータの回転速度を検出し、この回転速度から電流値(負荷)を推定するようにしてもよい。負荷検出部15は、その検出値を負荷比較部16に出力する。
負荷比較部16は、負荷検出部15の検出値と、所定閾値と、の大小を比較するコンパレータ(比較器)である。なお、負荷検出部15の検出値と比較される閾値については後記する。負荷比較部16は、その比較結果をコンバータ制御部18に出力する。
直流電圧検出部17は、平滑コンデンサC1の電圧(直流電圧)を検出するものであり、その正側が配線hcに接続され、負側が配線hdに接続されている。直流電圧検出部17は、その検出値をコンバータ制御部18に出力する。なお、直流電圧検出部17の検出値は、負荷Hに印加される電圧値が所定の目標値に達しているか否かの判定に用いられる。
コンバータ制御部18は、例えば、マイコン(Microcomputer:図示せず)であり、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)に展開し、CPU(Central Processing Unit)が各種処理を実行するようになっている。コンバータ制御部18は、電流比較部12、ゼロクロス判定部14、負荷比較部16、及び直流電圧検出部17から入力される情報に基づいて、スイッチング素子Q1〜Q4のオン/オフを制御する。なお、コンバータ制御部18が実行する処理については後記する。
<電力変換装置の制御モード>
図2は、運転領域、負荷状態、制御モード、及び主目的の対応関係をまとめた表である。電力変換装置1の運転領域は、負荷(例えば、電流検出部11の検出値:図1参照)の大きさに基づいて「定常領域」と、「保護領域」と、に分けられている。ここで、「定常領域」とは、電力変換装置1を含む機器が正常に運転しているときの運転領域である。「保護領域」とは、負荷変動等によって電力変換装置1に流れる電流が異常に大きくなったときの運転領域である。次に、図2に示す負荷状態について、図3を参照しつつ説明する。
図3は、各負荷状態の大小関係を示す説明図である。図3に示すように、「定常領域」よりも「保護領域」の方が負荷が大きくなっており、各領域が閾値I2(第2閾値)で分けられている。
「定常領域」は、負荷の大きさに基づいて「軽負荷(中間)」、「軽負荷(定格)」、「中負荷」、及び「高負荷」の負荷状態に分けられている。なお、図3では図示を省略したが、電源投入を行った直後の過渡的な負荷状態である「電源投入時」(図2参照)も「定常領域」に含まれる。
図3に示すように、「軽負荷(中間)」、「軽負荷(定格)」、「中負荷」、及び「高負荷」の順に負荷が大きくなっており、「軽負荷(中間)」と「軽負荷(定格)」とは閾値I1(第1閾値)で分けられている。
ちなみに、実際には「軽負荷(定格)」、「中負荷」、及び「高負荷」も閾値で分けられ、負荷状態に応じてきめ細かい制御が行われるが、本実施形態ではこれらを一括して閾値I1以上かつ閾値I2未満の領域として扱うものとする。
図2に示す「電源投入時」は、前記したように、電源投入直後の過渡的な負荷状態であり、スイッチング素子Q3,Q4(図1参照)はオフ状態になっている。
「軽負荷(中間)」は、負荷が比較的小さい領域であり、中間領域とも呼ばれている。ちなみに、空気調和機(ルームエアコン)では、この「軽負荷(中間)」での低損失化・高効率化が、APF(Annual Performance Factor)の向上に大きく影響する。本実施形態では、「軽負荷(中間)」において同期整流制御を行うことで、電力変換装置1の高効率化を図るようにした。なお、同期整流制御については後記する。
「軽負荷(定格)」は、負荷が比較的大きい領域であり、定格領域とも呼ばれている。この「軽負荷(定格)」における運転効率も、前記した「軽負荷(中間)」と同様、空気調和機のAPFに大きく影響する。
「中負荷」及び「高負荷」は、「軽負荷(定格)」よりも負荷が大きい領域である。特に「高負荷」の領域では、電力変換装置1が正常に駆動する範囲内において、出力が最大限になっている。
「軽負荷(定格)」、「中負荷」、及び「高負荷」の領域では、高効率動作、高調波の抑制、及び昇圧を主目的として、同期整流・回路短絡制御が行われる。なお、同期整流・回路短絡制御については後記する。
「第1保護領域」は、負荷変動等によって回路内に流れる電流が異常に大きくなったときの負荷状態である。負荷の大きさが「第1保護領域」に含まれる場合、回路短絡制御が実行される。なお、回路短絡制御については後記する。
「第2保護領域」は、「第1保護領域」よりも負荷が大きい領域である。すなわち、「第2保護領域」は、「第1保護領域」で回路短絡制御を行ってもスイッチング素子Q3,Q4の温度が下がらなかったり、負荷変動が収まらず電流が更に大きくなったりしたときの負荷状態である。この場合、スイッチング素子Q3,Q4の破壊を防止するために、負荷H(モータ)が減速又は停止される。
「第1保護領域」と「第2保護領域」とは、図3に示すように、閾値I3(第3閾値)で分けられている。
なお、閾値の個数(図3では、閾値I1,I2,I3の3個)や、閾値の大きさは、事前の実験やシミュレーションに基づいて適宜設定される。
また、負荷状態の判定には、電流検出部11(図1参照)の検出値を用いてもよいし、負荷検出部15(図1参照)の検出値を用いてもよい。例えば、負荷H(図1参照)がインバータやモータを含む場合、負荷検出部15によって検出される電流値やモータの回転速度等が負荷として検出される。そして、この負荷が、図3に示す各領域のいずれに含まれるかが、負荷比較部16(図1参照)によって特定される。
以下では、一例として、電流検出部11(図1参照)の検出値に基づいて負荷状態(図2参照)を特定する場合について説明する。
<電力変換装置の動作>
図4は、電力変換装置1が実行する処理を示すフローチャートである。
ステップS101において電力変換装置1は、外部(例えば、リモコン)から電源投入の指令が入力されたか否かを判定する。電源投入の指令が入力された場合(S101:Yes)、電力変換装置1の処理はステップS102に進む。一方、電源投入の指令が入力されていない場合(S101:No)、電力変換装置1はステップS101の処理を繰り返す。
ステップS102において電力変換装置1は、電源投入を行う。
(1.電源投入時)
図5は、電源投入時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。電源投入の瞬間はスイッチング素子Q3,Q4に駆動信号が入力されないため、スイッチング素子Q3,Q4はオフ状態になっている。また、電源投入前は平滑コンデンサC1に電荷がチャージされていないため、電源を投入した瞬間に突入電流が流れる。この突入電流によって素子破壊が起こらないよう、電流容量に余裕を持たせてスイッチング素子Q3,Q4を選定することが好ましい。
電源電圧が正の半サイクルの期間では、図5の矢印で示す向きに電流が流れる。すなわち、交流電源G→リアクトルL1→ダイオードD1→平滑コンデンサC1→ダイオードD4及びスイッチング素子Q4(寄生ダイオードD41)→交流電源Gの順に電流が流れる。なお、平滑コンデンサC1の負側からの電流は、ダイオードD4と寄生ダイオードD41とに分流する。
図4のステップS103において電力変換装置1は、電流比較部12によって、電流検出部11の検出値I(負荷)を読み込む。
ステップS104において電力変換装置1は、ステップS103で読み込んだ検出値Iが閾値I2(第2閾値)未満であるか否かを判定する。つまり、電力変換装置1は、電流の検出値Iが「定常領域」(図3参照)に含まれるか否かを判定する。
入力電流が閾値I2未満である場合(S104:Yes)、電力変換装置1の処理はステップS105に進む。
ステップS105において電力変換装置1は、ステップS103で読み込んだ検出値Iが閾値I1(第1閾値)未満であるか否かを、電流比較部12によって判定する。つまり、電力変換装置1は、電流の検出値Iが「軽負荷(中間)」(図3参照)の領域に含まれるか否かを判定する。
検出値Iが閾値I1未満である場合(S105:Yes)、電力変換装置1の処理はステップS106に進む。
ステップS106において電力変換装置1は、コンバータ制御部18によって同期整流制御を実行する。ここで、同期整流制御とは、交流電源Gの電圧の極性に同期してスイッチング素子Q3,Q4をオン/オフすることで、平滑コンデンサC1を介して電流を流す制御である。
(2.同期整流制御)
図6は、同期整流制御時(軽負荷(中間)時)における電源電圧、配線ha,hb等を流れる回路電流、及びスイッチング素子Q3,Q4の駆動パルスの時間的変化を示す説明図である。
電源電圧が正の半サイクルの期間において(図6(a)参照)、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q3をオフ状態にし(図6(c)参照)、スイッチング素子Q4をオン状態にする(図6(d)参照)。電源電圧が負の半サイクルの期間では、スイッチング素子Q3,Q4のオン/オフが入れ替わる。このように、電源電圧のゼロクロス点に同期してスイッチング素子Q3,Q4が交互にオン/オフされる。
ちなみに、交流電源Gの電圧の極性(正/負)は、ゼロクロス判定部14によって判定される。
図7は、同期整流制御時(軽負荷(中間)時)において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。図7の矢印で示すように、電源電圧が正の半サイクルの期間では、交流電源G→リアクトルL1→ダイオードD1→平滑コンデンサC1→スイッチング素子Q4→交流電源Gの順に電流が流れる。
なお、スイッチング素子Q4とダイオードD4とが並列接続されているが、スイッチング素子Q4がオンすることで、電圧ドロップ(電圧降下)の小さいスイッチング素子Q4側に電流が流れる。つまり、電圧ドロップの大きいダイオードD4には電流がほとんど流れないため、低損失化・高効率化を図ることができる。
なお、仮にリアクトルL1(図7参照)を設けない構成にすると、交流電圧が平滑コンデンサC1(図7参照)の電圧を超える短い期間だけ電流が流れるため、電流は鋭く尖った波形になって力率が低くなる。これに対して本実施形態では、リアクトルL1を設けることで、図6(b)に示すように通電区間を延ばして力率を改善できる。
図4のステップS106で同期整流制御を行った後、電力変換装置1の処理はステップS107に進む。ステップS107において電力変換装置1は、外部(例えば、リモコン)から停止指令が入力されたか否かを判定する。
外部から停止指令が入力された場合(S107:Yes)、電力変換装置1は直流電力の供給を停止し(S108)、処理を終了する(END)。一方、外部から停止指令が入力されていない場合(S107:No)、電力変換装置1の処理はステップS103に戻る。
また、ステップS105において電流の検出値Iが閾値I1以上である場合(S105:No,I1≦I<I2)、つまり、電流の検出値Iが「軽負荷(定格)」、「中負荷」、及び「高負荷」(図3参照)のいずれかに含まれる場合、電力変換装置1の処理はステップS109に進む。
ステップS109において電力変換装置1は、コンバータ制御部18によって同期整流・回路短絡制御を実行する。ここで、同期整流・回路短絡制御とは、リアクトルL1を介した短絡電流の経路(図9参照)に含まれるスイッチング素子Q3,Q4の一方をオン状態とし、他方をスイッチングする制御である。なお、「短絡電流」とは、交流電源Gから平滑コンデンサC1を介さずに流れて、交流電源Gに戻る電流である。
(3.同期整流・回路短絡制御)
図8は、同期整流・回路短絡制御時(軽負荷(定格)、中負荷、高負荷時)における電源電圧、配線ha,hb等を流れる回路電流、及びスイッチング素子Q3,Q4の駆動パルスの時間的変化を示す説明図である。なお、同期整流・回路短絡制御時ではスイッチング素子Q3,Q4が交互にスイッチングされる点が(図8(c)、(d)参照)、前記した同期整流制御(図6(c)、(d)参照)と異なっている。
電源電圧が正の半サイクルの期間において(図8(a)参照)、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q3を所定回数・所定パルス幅でオン/オフしてスイッチングし(図8(c)参照)、スイッチング素子Q4をオン状態にする(図8(d)参照)。
また、電源電圧が負の半サイクルの期間において(図8(a)参照)、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q3をオン状態にし(図8(c)参照)、スイッチング素子Q4をスイッチングする(図8(d)参照)。
なお、本実施形態では、一例として、電源電圧の正負が切り替わった直後にオン/オフを2回繰り返してスイッチングする場合を示したが(図8(c)、(d)参照)、スイッチングのタイミング、回数等は適宜設定できる。
図9は、同期整流・回路短絡制御時(軽負荷(定格)、中負荷、高負荷時)において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。
電源電圧の正の半サイクルの期間においてスイッチング素子Q3がオン状態になっているときには(図8(c)参照)、図9の矢印で示す力率改善電流Is(短絡電流)が流れる。すなわち、交流電源G→リアクトルL1→スイッチング素子Q3→スイッチング素子Q4→交流電源Gの順に力率改善電流Isが流れる。
このように力率改善電流Isが流れることで、電流波形の歪みの程度を小さくし、電流波形を正弦波に近づけることができる(図8(b)参照)。つまり、電力変換装置1の力率を改善できる。また、電流波形を正弦波に近づけることで、回路電流に含まれる高調波を抑制することができる。
なお、スイッチング時のディレイ(正負の切替りからスイッチング開始までの遅れ時間)やオン時間を調整することで、回路電流の位相を調整できる。
また、リアクトルL1及びスイッチング素子Q3,Q4を介して力率改善電流Isが流れることで、直流電圧(平滑コンデンサC1の電圧)の昇圧を行うこともできる。リアクトルL1のインダクタンスをLsとすると、力率改善電流IsがリアクトルL1に流れた場合、リアクトルL1にはP=1/2*Ls*Isで表されるエネルギが蓄えられる。
例えば、電源電圧が正の半サイクルの期間では、スイッチング素子Q3,Q4をオンすることで、力率改善電流Isが流れてリアクトルL1にエネルギが蓄えられる。その後、スイッチング素子Q3をオフすると、リアクトルL1に蓄えられたエネルギによって平滑コンデンサC1に電流が流れ、平滑コンデンサC1の直流電圧が昇圧される。
このように、同期整流・回路短絡制御によって、力率の改善、高調波の抑制、及び昇圧を行うことができる。また、電源電圧が正の半サイクルの期間では、スイッチング素子Q4がオン状態に保たれるため(図8(d)参照)、電流はダイオードD4を迂回してスイッチング素子Q4に流れる。したがって、ダイオードD4で大きな損失を生じることがなく、電力変換装置1の高効率化を図ることもできる。
再び、図4に戻って説明を続ける。ステップS109で同期整流・回路短絡制御を行った後、電力変換装置1の処理はステップS107に進む。
また、ステップS104において電流の検出値Iが閾値I2以上である場合(S104:No)、つまり、電流の検出値Iが「保護領域」(図3参照)に含まれる場合、電力変換装置1の処理はステップS110に進む。
ステップS110において電力変換装置1は、電流比較部12によって、電流の検出値Iが閾値I3(第3閾値)未満であるか否か、つまり、電流の検出値Iが「第1保護領域」(図3参照)に含まれるか否かを判定する。電流の検出値Iが閾値I3未満である場合(S110:Yes,I2≦I<I3)、電力変換装置1の処理はステップS111に進む。一方、電流の検出値Iが閾値I3以上である場合(S110:No)、電力変換装置1の処理は、後記するステップS113に進む。
ステップS111において電力変換装置1は、コンバータ制御部18によって回路短絡制御を実行する。ここで、回路短絡制御とは、リアクトルL1を介した短絡電流の経路(図11参照)に含まれるスイッチング素子Q3,Q4の一方をオフ状態とし、他方をスイッチングする制御である。
(4.回路短絡制御)
図10は、回路短絡制御時(第1保護領域)における電源電圧、配線ha,hb等を流れる回路電流、及びスイッチング素子Q3,Q4の駆動パルスの時間的変化を示す説明図である。なお、電源電圧の正の半サイクルでスイッチング素子Q4がオフ状態に(図10(d)参照)、負の半サイクルでスイッチング素子Q3がオフ状態(図10(c)参照)になっている点が、同期整流・回路短絡制御の場合(図8(c)、(d)参照)と異なっている。
電源電圧が正の半サイクルの期間において(図10(a)参照)、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q3を所定回数・所定パルス幅でオン/オフしてスイッチングし(図10(c)参照)、スイッチング素子Q4をオフ状態にする(図10(d)参照)。
また、電源電圧が負の半サイクルの期間において(図10(a)参照)、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q3をオフ状態にし(図10(c)参照)、スイッチング素子Q4をスイッチングする(図10(d)参照)。
図11は、回路短絡制御時(第1保護領域)において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。電源電圧の正の半サイクルの期間において、スイッチング素子Q3がオンになっているとき(図10(c)参照)、図11の矢印で示す向きに電流(短絡電流)が流れる。すなわち、交流電源G→リアクトルL1→スイッチング素子Q3→ダイオードD4及びスイッチング素子Q4(寄生ダイオードD41)→交流電源Gの順に電流が流れる。
なお、MOSFET(スイッチング素子Q3,Q4)は、その温度が高くなるにつれてオン抵抗が大きくなる。また、回路に大きな電流が流れる「第1保護領域」(図3参照)では、スイッチング素子Q3,Q4が発熱しやすい。仮に、大きな電流がスイッチング素子Q3,Q4に流れた場合、スイッチング素子Q3,Q4の発熱とオン抵抗の増加とが相まって、熱暴走に到る可能性がある。
したがって、本実施形態では、回路に大きな電流が流れる「第1保護領域」(図3参照)では、同期整流制御を行わずに回路短絡制御のみを行うようにした。これによって、スイッチング素子Q3,Q4に流れる定常電流を小さくし、スイッチング素子Q3,Q4の発熱を抑えることができる。また、図10(b)に示すように、前記したスイッチングによって回路電流を正弦波に近づけることができるとともに、平滑コンデンサC1の直流電圧を昇圧することもできる。
図4のステップS112において電力変換装置1は、電流検出部11の検出値Iが閾値I2未満になったか否か、つまり、ステップS111の回路短絡制御によって電流の検出値Iが「定常領域」(図3参照)に入ったか否かを判定する。電流の検出値Iが閾値I2未満である場合(S112:Yes)、電力変換装置1の処理はステップS105に進む。一方、電流の検出値Iが閾値I2以上である場合(S112:No)、電力変換装置1の処理はステップS113に進む。
ステップS113において電力変換装置1は、保護制御を実行する。例えば、負荷がモータである場合、電力変換装置1は、このモータを減速又は停止させる。図4では図示を省略したが、例えば、ステップS113で電力変換装置1はモータを減速し、モータの減速後も電流が減少しない場合には、モータを停止させる。また、前記した減速によって電流が減少した場合にはステップS111に進んで回路短絡制御を行う。
<効果>
本実施形態よれば、回路に流れる電流が小さい「軽負荷(中間)」の領域では(S105:Yes)、同期整流制御を行ってスイッチング素子Q3,Q4に積極的に電流を流すことで(S106)、ダイオードD3,D4で大きな損失が生じることを回避できる。したがって、電力変換装置1の高効率化を図ることができる。
また、回路に流れる電流が比較的大きい「軽負荷(定格)」、「中負荷」、「高負荷」の領域では(S105:No)、同期整流・回路短絡制御を行うことで(S109)、力率を改善するとともに、高調波を抑制し、さらに昇圧を行うことができる。
また、回路に流れる電流が非常に大きい「第1保護領域」では(S110:Yes)、回路短絡制御を行うことで(S111)、スイッチング素子Q3,Q4の発熱を抑えつつ昇圧を行うことができる。
また、減速運転等を行っても電流値が小さくならない場合には(S110:No,S112:No)、保護制御を行うことで(S113)、スイッチング素子Q3,Q4の破壊を確実に防止できる。
このように本実施形態では、負荷状態(電流値の大きさ)に応じてスイッチング素子Q3,Q4の制御モードを選択的に実行することで、電力変換装置1の高効率化を図ることができるとともに、その信頼性を高めることができる。
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、スイッチング素子Q1,Q2(図12参照)を追加した点が第1実施形態と異なるが、その他の構成については第1実施形態と同様である。また、電力変換装置1Aが実行する処理の流れ(図4参照)についても第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図12は、第2実施形態に係る電力変換装置1Aの構成図である。
電力変換装置1Aは、第1実施形態で説明した構成に加えて、スイッチング素子Q1,Q2(例えば、MOSFET)を備えている。図12に示すように、スイッチング素子Q1は、ダイオードD1に並列接続されている。より具体的には、スイッチング素子Q1(MOSFET)のソースはダイオードD1のアノードに接続され、ドレインはダイオードD1のカソードに接続されている。
スイッチング素子Q2は、ダイオードD2に並列接続されている(ダイオードD2との接続関係については、スイッチング素子Q1と同様)。
次に、電源投入時、同期整流制御、同期整流・回路短絡制御、及び回路短絡制御における電流の流れについて説明する。
(1.電源投入時)
図13は、電源投入時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。電源投入時(S102:図4参照)には、スイッチング素子Q1〜Q4は全てオフ状態になっている。電源電圧が正の半サイクルの期間では、交流電源G→リアクトルL1→ダイオードD1及びスイッチング素子Q1(寄生ダイオードD11)→平滑コンデンサC1→ダイオードD4及びスイッチング素子Q4(寄生ダイオードD41)→交流電源Gの順に電流が流れる。電源電圧が負の半サイクルの期間については、説明を省略する。
(2.同期整流制御)
図14は、同期整流制御時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。同期整流制御(S106:図4参照)を行う際、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q1〜Q4を次のように制御する。すなわち、コンバータ制御部18は、電源電圧が正の半サイクルの期間において、スイッチング素子Q1,Q4をオン状態にし、スイッチング素子Q2,Q3をオフ状態にする。そうすると、図14に示すように、交流電源G→リアクトルL1→スイッチング素子Q1→平滑コンデンサC1→スイッチング素子Q4→交流電源Gの順に電流が流れる。
なお、電源電圧が負の半サイクルの期間では、スイッチング素子Q2,Q3がオン状態にされ、スイッチング素子Q1,Q4がオフ状態にされる。
このように同期整流制御を行うと、スイッチング素子Q1〜Q4に電流が流れ、ダイオードD1〜D4には電流がほとんど流れない。特に、第1実施形態(図7参照)のように同期整流制御時において、損失の大きいダイオードD1を介して電流が流れず、スイッチング素子Q1を介して電流が流れる(図14参照)。したがって、第1実施形態よりもさらに低損失化・高効率化を図ることができる。
(3.同期整流・回路短絡制御)
図15は、同期整流・回路短絡制御時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。同期整流・回路短絡制御(S109:図4参照)を行う際、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q1〜Q4を次のように制御する。すなわち、コンバータ制御部18は、電源電圧が正の半サイクルの期間において、スイッチング素子Q3を所定回数・所定パルス幅でスイッチングし、スイッチング素子Q4をオン状態にし、スイッチング素子Q1,Q2をオフ状態にする。そうすると、スイッチング素子Q3がオンになっているときには、交流電源G→リアクトルL1→スイッチング素子Q3→スイッチング素子Q4→交流電源Gの順に電流(短絡電流)が流れる。
なお、電源電圧が負の半サイクルの期間では、スイッチング素子Q3がオン状態にされ、スイッチング素子Q4がスイッチングされ、スイッチング素子Q1,Q2がオフ状態にされる。
このように同期整流・回路短絡制御を行うことで、第1実施形態で説明したように、力率の改善、高調波の抑制、及び昇圧を行うことができる。
(4.回路短絡制御)
図16は、回路短絡制御時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。回路短絡制御(S111:図4参照)を行う際、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q1〜Q4を次のように制御する。すなわち、コンバータ制御部18は、電源電圧が正の半サイクルの期間において、スイッチング素子Q3を所定回数・所定パルス幅でスイッチングし、スイッチング素子Q1,Q2,Q4をオフ状態にする。そうすると、スイッチング素子Q3がオンになっているときには、図16に示すように、交流電源G→リアクトルL1→スイッチング素子Q3→スイッチング素子Q4(寄生ダイオードD41)→交流電源Gの順に電流が流れる。
なお、電源電圧が負の半サイクルの期間では、スイッチング素子Q1,Q2,Q3がオフ状態にされ、スイッチング素子Q4がスイッチングされる。
このように回路短絡制御を行うことで、第1実施形態で説明したように、平滑コンデンサC1の直流電圧を昇圧しつつ、スイッチング素子Q1〜Q4の発熱を抑制できる。
<効果>
本実施形態によれば、負荷状態(電流値の大きさ)に応じてスイッチング素子Q1〜Q4の制御モードを選択的に実行することで、電力変換装置1Aの高効率化を図ることができるとともに、その信頼性を高めることができる。
また、同期整流制御において、損失の大きいダイオードD1〜D4には電流が流れず、損失の小さいスイッチング素子Q1〜Q4を介して電流が流れる。これによって、回路での損失を抑制し、第1実施形態よりもさらにエネルギ効率を高めることができる。
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、電力変換装置1B(図17参照)が温度検出部T3,T4及び記憶部19を備える点が第1実施形態と異なっているが、その他については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図17は、第3実施形態に係る電力変換装置1Bの構成図である。
電力変換装置1Bは、第1実施形態で説明した構成に加えて、温度検出部T3,T4と、記憶部19と、を備えている。
温度検出部T3は、スイッチング素子Q3の温度を検出するものである。例えば、温度検出部T3は、スイッチング素子Q3が収容されている収容体(図示せず)の温度を、このスイッチング素子Q3の温度として検出する。なお、スイッチング素子Q3に設置されている放熱フィン(図示せず)の温度や、スイッチング素子Q3の周囲の温度を、スイッチング素子Q3の温度として間接的に検出するようにしてもよい。温度検出部T3は、その検出値を電流比較部12に出力する。
同様に、温度検出部T4は、スイッチング素子Q4の温度を検出し、その検出値を電流比較部12に出力する。
記憶部19には、スイッチング素子Q3,Q4の温度と、電流に関する閾値I21,I31と、の対応関係を示す情報(図18参照)が格納されている。なお、記憶部19として、半導体記憶装置、磁気ディスク装置、光ディスク装置等を用いることができる。
図18は、スイッチング素子Q3,Q4の温度と、回路電流の閾値と、の関係を示す説明図である。図18の横軸は、温度検出部T3,T4によって検出されるスイッチング素子Q3,Q4の温度(素子温度)である。縦軸は、電流検出部11によって検出される回路電流である。
閾値I21(第2閾値)は、第1実施形態で説明した「定常領域」(図2参照)と、「第1保護領域」(図2参照)と、を分ける閾値である。
閾値I31(第3閾値)は、第1実施形態で説明した「第1保護領域」(図2参照)と、第2保護領域(図2参照)と、とを分ける閾値である。図18に示すように、各温度において閾値I31は、閾値I21よりも大きい値に設定されている。
また、図18に示すように、閾値I21及び閾値I31は、スイッチング素子Q3,Q4の温度が高くなるにつれて各閾値が小さくなるように設定されている。これは、スイッチング素子Q3,Q4(MOSFET)のオン抵抗が温度に対して正特性で変化し、スイッチング素子Q3,Q4の温度が高くなるほど、その発熱量が大きくなって熱暴走しやすくなるからである。
なお、図18に示す情報は、事前の実験やシミュレーションによって作成され、予め記憶部19に格納されている。なお、閾値I21,I31は、温度に関する関数として特定してもよいし、マップとして記憶部19に格納するようにしてもよい。
図17に示す電流比較部12Bは、温度検出部T3,T4から入力されるスイッチング素子Q3,Q4の温度に対応する閾値と、電流検出部11の検出値と、の大小を比較する。そして、電流比較部12は、その比較結果をコンバータ制御部18に出力する。
図19は、電力変換装置1Bの動作の流れを示すフローチャートである。なお、第1実施形態で説明した図4のフローチャートと重複する部分については、図4と同一のステップ番号を付した。
ステップS103で電流検出部11の検出値Iを読み込んだ後、ステップS201において電力変換装置1Bは、温度検出部T3,T4の検出値を読み込む。
ステップS202において電力変換装置1Bは、電流比較部12Bによって、ステップS201で読み込んだ温度に対応する閾値I21,I31を特定する。例えば、温度検出部T3の検出値が温度Tαであった場合、図18に示すように、この温度Tαに対応する電流の閾値I21α(第2閾値)と、閾値I31α(第3閾値)と、が特定される。
なお、図19のステップS202では、温度検出部T3,T4の検出値のうち高い方の温度に対応する閾値I21,I31を優先的に用いることが好ましい(後記するS110aも同様)。これによって、スイッチング素子Q3,Q4のうち高温側の熱暴走を確実に防止できるからである。
また、本実施形態では、閾値I1(図18では、図示せず)を温度に関して固定値としたが、図18に示す対応情報に閾値I1に関する情報を追加してもよい。この場合において閾値I1は、各温度において閾値I21(図18参照)よりも小さく、かつ、スイッチング素子Q3,Q4の温度が高くなるにつれて閾値I1が小さくなるように設定される。
図19のステップS104aにおいて電力変換装置1Bは、ステップS103で読み込んだ電流の検出値Iが、ステップS202で特定した閾値I21未満であるか否かを判定する。つまり、電力変換装置1Bは、素子温度と電流検出値とによって特定される状態が、図18に示す「定常領域」に含まれるか否かを判定する。なお、ステップS105〜S109については第1実施形態と同様であるから、説明を省略する。
また、ステップS110aにおいて電力変換装置1Bは、ステップS103で読み込んだ電流の検出値Iが、ステップS202で特定した閾値I31未満であるか否かを判定する。つまり、電力変換装置1Bは、素子温度と電流検出値とによって特定される点が、図18に示す「第1保護領域」に含まれるか否かを判定する。なお、ステップS111〜S113については第1実施形態と同様であるから、説明を省略する。
<効果>
本実施形態では、スイッチング素子Q3,Q4の温度に対応する閾値I21,I31と、電流の検出値Iと、の比較結果に基づいて制御モードが決定される。したがって、第1実施形態よりも適切なタイミングで制御モードを切り替えることができる。
なお、スイッチング素子Q3,Q4の温度に関わらず閾値I21,I31を一定にした場合、熱暴走が起こらないように、ある程度の余裕をみて閾値I21,I31が小さい値に設定される。そうすると、スイッチング素子Q3,Q4の温度はそれほど高くないにもかかわらず、負荷H(モータ)の減速等の保護制御に切り替えられる可能性がある。
これに対して本実施形態では、スイッチング素子Q3,Q4の温度に対応して最適な閾値I21,I31が設定されているため(図18参照)、時期尚早に保護制御を実行することがない。したがって、第1実施形態よりも電力変換装置1Bのエネルギ効率をさらに高めることができる。
また、図18に示す情報を参照することで、スイッチング素子Q3,Q4が熱破壊に到る前の最適なタイミングで保護制御を実行できる。したがって、スイッチング素子Q3,Q4の熱破壊を確実に防止し、電力変換装置1Bの信頼性を高めることができる。
≪第4実施形態≫
第4実施形態に係る電力変換装置1C(図20参照)は、第1実施形態に係る電力変換装置1(図1参照)からスイッチング素子Q3及びダイオードD4を省略し、さらに、第1実施形態で説明したダイオードD2(図1参照)に代えて、スイッチング素子Q2(図20)を備える構成になっている。また、第4実施形態に係る電力変換装置1C(図20参照)は、電流制御ゲイン調整部20と、昇圧比制御部21と、を備える点が、第1実施形態とは異なっている。なお、その他の点については第1実施形態(図1〜図4参照)と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図20は、第4実施形態に係る電力変換装置1Cの構成図である。
電力変換装置1Cは、ブリッジ回路Jと、リアクトルL1と、平滑コンデンサC1と、電流検出部11と、電流比較部12と、交流電圧検出部13と、ゼロクロス判定部14と、負荷検出部15と、負荷比較部16と、直流電圧検出部17と、コンバータ制御部18と、電流制御ゲイン調整部20と、昇圧比制御部21と、を備えている。
ブリッジ回路Jは、交流電源Gから配線ha,hbを介して流れる電流を全波整流する機能や、リアクトルL1と共に昇圧を行う機能を有している。ブリッジ回路Jは、直列接続された一対のダイオードD1,D3と、直列接続された一対のスイッチング素子Q2,Q4と、が並列接続された構成になっている。
スイッチング素子Q2,Q4は、例えば、MOSFETであり、コンバータ制御部18からの指令によってオン/オフが制御されるようになっている。スイッチング素子Q2のドレインは平滑コンデンサC1の正側に接続され、ソースは他のスイッチング素子Q4のドレインに接続されている。スイッチング素子Q4のソースは、平滑コンデンサC1の負側に接続されている。
また、一対のダイオードD1,D3の接続点P1は、配線haを介して交流電源Gに接続されている。一対のスイッチング素子Q2,Q4の接続点P2は、配線hbを介して交流電源Gに接続されている。
電流制御ゲイン調整部20は、回路電流の実効値I及び直流電圧の昇圧比aに基づいて、電流制御ゲインKを調整する機能を有している。このときK×Iを一定値に制御することで、交流電源Gの電圧(実効値)に対して直流電圧をa倍に昇圧するようになっている。昇圧比制御部21は、負荷検出部15の検出値に基づいて直流電圧の昇圧比1/aを選定(決定)し、その選定結果をコンバータ制御部18に出力する。なお、電流制御ゲイン調整部20及び昇圧比制御部21が実行する処理については後記する。
また、第4実施形態は、第1実施形態(図1参照)とは異なり、スイッチング素子Q2,Q4と並列にダイオードが並列接続されておらず、電流がダイオードとスイッチング素子の寄生ダイオードとに分流する構成にはなっていない。したがって、以下では、第1実施形態で説明した同期整流・回路短絡制御と、回路短絡制御と、を合わせて「スイッチング制御」と記すこととする。
(1.電源投入時)
図21は、電源投入時において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。電源投入時(S102:図4参照)には、スイッチング素子Q2,Q4はいずれもオフ状態になっている。電源電圧が正の半サイクルの期間では、交流電源G→リアクトルL1→ダイオードD1→平滑コンデンサC1→スイッチング素子Q4(寄生ダイオードD41)→交流電源Gの順に電流が流れる。
図22は、電源投入時において、電源電圧が負の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。電源電圧が負の半サイクルの期間では、交流電源G→スイッチング素子Q2(寄生ダイオードD21)→平滑コンデンサC1→ダイオードD3→リアクトルL1→交流電源Gの順に電流が流れる。
(2.同期整流制御)
図23は、同期整流制御時(軽負荷(中間)時)において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。電流検出部11の検出値I(負荷)が閾値I1(第1閾値)未満である場合(S105:Yes、図4参照)、コンバータ制御部18は、同期整流制御を実行する(S106)。
同期整流制御を行う際、コンバータ制御部18は、交流電源Gの電圧の極性に同期してスイッチング素子Q2,Q4をオン/オフする。すなわち、コンバータ制御部18は、電源電圧が正の半サイクルの期間において、スイッチング素子Q4をオン状態にし、スイッチング素子Q2をオフ状態にする。そうすると、図23に示すように、交流電源G→リアクトルL1→ダイオードD1→平滑コンデンサC1→スイッチング素子Q4→交流電源Gの順に電流が流れる。
図24は、同期整流制御時(軽負荷(中間)時)において、電源電圧が負の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。コンバータ制御部18は、電源電圧が負の半サイクルの期間において、スイッチング素子Q2をオン状態にし、スイッチング素子Q4をオフ状態にする。そうすると、図24に示すように、交流電源G→スイッチング素子Q2→平滑コンデンサC1→ダイオードD3→リアクトルL1→交流電源Gの順に電流が流れる。
このように同期整流制御を行うことで、スイッチング素子Q2又はスイッチング素子Q4に電流が流れるため、低損失化・高効率化を図ることができる。
(3.スイッチング制御)
また、電流検出部11の検出値I(負荷)が閾値I1(第1閾値)以上である場合、コンバータ制御部18は、前記した「スイッチング制御」を行う。具体的には、検出値Iが閾値I1以上かつ閾値I4未満であるときには、コンバータ制御部18は、部分スイッチング制御を実行する。また、検出値Iが閾値I4以上かつ閾値I2未満であるときには、コンバータ制御部18は、高速スイッチング制御を実行する。前記した閾値I4(I1<I4<I2)は、部分スイッチング制御を行うか、又は、高速スイッチング制御を行うかを決定する際の基準となる閾値であり、予め設定されている。なお、部分スイッチング制御及び高速スイッチング制御については、後記する。
図25は、スイッチング制御時(軽負荷(定格)、中負荷、高負荷時)において、電源電圧が正の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。
スイッチング制御を行う際、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q2,Q4を交互にオン/オフする。すなわち、コンバータ制御部18は、電源電圧が正の半サイクルの期間において、スイッチング素子Q2を所定回数・所定パルス幅でスイッチングし、スイッチング素子Q2がオン状態のときには、スイッチング素子Q4をオフ状態にする。そうすると、スイッチング素子Q2がオンになっているときには、交流電源G→リアクトルL1→ダイオードD1→→スイッチング素子Q2→交流電源Gの順に電流(短絡電流)が流れる。
図26は、スイッチング制御時(軽負荷(定格)、中負荷、高負荷時)において、電源電圧が負の半サイクルに含まれるときの電流の流れを示す説明図である。電源電圧が負の半サイクルの期間において、スイッチング素子Q4がオンになっているときには、交流電源G→スイッチング素子Q4→ダイオードD3→リアクトルL1→交流電源Gの順に電流(短絡電流)が流れる。前記したように、スイッチング素子Q2,Q4は交互にオン/オフされるため、スイッチング素子Q4がオンになっているときには、スイッチング素子Q2はオフになっている。
(3−1.部分スイッチング制御)
部分スイッチング制御は、電源電圧の半サイクル内において、所定のディレイ、デューティでスイッチング素子Q2、Q4のスイッチング(つまり、短絡)を複数回行うことで、直流電圧の昇圧と力率の改善を行う制御である。後記する高速スイッチング制御の場合と比べて、スイッチング素子Q2,Q4のスイッチング回数が少ない分、スイッチング損失を低減できる。
主回路に短絡電流(力率改善電流)を流すために、同期整流制御(全波整流)の場合と同様に、コンバータ制御部18は、交流電源Gの電圧Vsの極性に応じてスイッチング素子Q2,Q4のスイッチングを行う。コンバータ制御部18は、例えば、電源電圧の正の半サイクルにおいて、スイッチング素子Q2,Q4を交互にオン/オフした後、負の半サイクルに切り替わるまではスイッチング素子Q2,Q4をオフ状態とする。
スイッチング素子Q2又はスイッチング素子Q4をスイッチングして主回路に短絡電流Ispが流れたとき、リアクトルL1には、以下の(数式1)で表されるエネルギWが蓄えられる。なお、L1は、リアクトルL1のインダクタンスである。
Figure 0006431413
その後、スイッチング素子Q2又はスイッチング素子Q4がオフされることで、リアクトルL1に蓄えられたエネルギが平滑コンデンサC1に放出され、直流電圧が昇圧される。
図27は、部分スイッチング制御の動作原理を示す説明図である。図27に示す説明図の横軸は、時刻であり、縦軸は、電源電圧Vs(正の半サイクル)と、正弦波状の理想電流(回路電流)と、スイッチング素子Q2,Q4の駆動パルスと、を示している。図27の「理想電流」に示すように、電源電圧Vsに対して、回路電流も正弦波状になることが理想的である。この理想電流は、例えば、負荷検出部15の検出値と、ゼロクロス判定部14の判定結果と、に基づき、電流制御ゲイン調整部20によって求められる。
例えば、理想電流上の点P1を考え、この点P1での接線の傾き(時間的な変化率)をdi(P1)/dtとおく。次に、時刻t=0[s]から所定のディレイを持たせた後、ton1_Q2のオン時間でスイッチング素子Q2をオンしたときの回路電流の傾きをdi(ton1)/dtとおく。その後、時間toff1_Q2でスイッチング素子Q2をオフした場合の電流の傾きをdi(toff1)/dtとおく。このときdi(ton1)/dtとdi(toff1)/dtとの平均値が、点P1における傾きdi(P1)/dtと等しくなるように、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q2,Q4をオン/オフするタイミングを設定する。
同様に、点P2での電流の傾きをdi(P2)/dtとおく。そして、スイッチング素子Q2をton2_Q2の時間でオンしたときの電流の傾きをdi(ton2)/dtとおき、toff2_Q2の時間でオフした場合の電流の傾きをdi(toff2)/dtとおく。点P1の場合と同様に、di(ton2)/dtとdi(toff2_Q2)/dtとの平均値が、点P2における傾きdi(P2)/dtと等しくなるように、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q2,Q4をオン/オフするタイミングを設定する。以降、これを繰り返していく。
なお、電源電圧が正の半サイクルにおいて、スイッチング素子Q2,Q4を交互にオン/オフするタイミングは、例えば、正の半サイクルの開始時に設定してもよいし、スイッチング素子Q2,Q4のオン/オフするたびに次回のタイミングを設定してもよい。
図27に示す例では、コンバータ制御部18は、ton1_Q2(=toff1_Q4)の区間においてスイッチング素子Q2をオン状態とし、スイッチング素子Q4をオフ状態とする。そして、コンバータ制御部18は、toff1_Q2(=ton2_Q4)の区間においてスイッチング素子Q2をオフ状態とし、スイッチング素子Q4をオン状態とする。このようにして、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q2,Q4を時間的に交互にオン/オフする。これは、回路短絡動作を行いつつ、同期整流を行っているためである。つまり、本実施形態では、部分スイッチングによる昇圧と力率改善動作を行いつつも、同期整流を行うようになっている。これによって、電力変換を高効率で行うことができる。
なお、スイッチング素子Q2のスイッチング回数が多いほど、理想的な正弦波に近づけることが可能である。すなわち、スイッチング回数を増やすほど力率が改善され、高調波電流を低減できる。
(3−1.高速スイッチング制御)
高速スイッチング制御は、スイッチング素子Q2,Q4を所定周波数でスイッチングすることによって、直流電圧の昇圧と力率の改善を行う制御である。電源電圧が正の半サイクルの期間では、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q2をオン、スイッチング素子Q4をオフにすることで短絡電流を流し、次にスイッチング素子Q2をオフ、スイッチング素子Q4をオンにすることで同期整流を行う。このようにして、コンバータ制御部18は、スイッチング素子Q2,Q4を所定周波数で交互にオン/オフする。
同様に、電源電圧が負の半サイクルの期間では、スイッチング素子Q4をオン、スイッチング素子Q2をオフにすることで短絡電流を流し、次にスイッチング素子Q4をオフ、スイッチング素子Q2をオンにすることで同期整流を行う。
なお、回路に流れる瞬時電流iは、以下の(数式2)で表される。ここで、Vは電源電圧の実効値であり、Kは電流制御ゲインであり、Vは直流電圧であり、ωは角周波数である。
Figure 0006431413
上記の(数式2)を整理すると、以下の(数式3)になる。
Figure 0006431413
また、瞬時電流iを、以下の(数式4)で表すこともできる。
Figure 0006431413
(数式3)、(数式4)に基づき、電流制御ゲインKは、以下の(数式5)で表される。
Figure 0006431413
(数式5)より、以下の(数式6)で示す関係が成り立つ。ここで、Iは回路電流の実効値であり、aは昇圧比である。
Figure 0006431413
また、電源電圧が正の半サイクルにおいて、スイッチング素子Q2のオンデューティd(電源電圧が負の半サイクルでは、スイッチング素子Q4のオンデューティ)は、以下の(数式7)で表される。
Figure 0006431413
・Iが一定となるように、電流制御ゲイン調整部20によって電流制御ゲインKを調整し、この電流制御ゲインKに基づいてコンバータ制御部18がスイッチング素子Q2,Q4のオン/オフを制御することで((数式6)、(数式7)を参照)、電源電圧の実行値Vに対してa倍に昇圧できる。なお、昇圧比aは、負荷検出部15によって検出される負荷に基づき、昇圧比制御部21によって設定(制御)される。すなわち、負荷が大きいほど、昇圧比aも大きな値に設定される。
図28(a)は高速スイッチング制御におけるスイッチング素子Q2,Q4のデューティの関係を示す説明図である。前記したように、高速スイッチング制御の実行中、スイッチング素子Q2,Q4は交互にオン/オフされ、図28(a)に示すように、そのデューティ(通流率)が制御される。
図28(b)は、高速スイッチング制御における電源電圧の瞬時値vsと、回路電流の瞬時値isとの関係を示す説明図である。図28(a)、(b)に示すように、電源電圧が正の半サイクルにおいて、瞬時電流isが大きいほど、短絡電流を流すためのスイッチング動作を行うスイッチング素子Q2のデューティが小さい値に設定される((数式7)を参照)。同期整流を行う側のスイッチング素子Q4のデューティは、スイッチング素子Q2のデューティとは逆の特性になる。つまり、以下の(数式8)、(数式9)で示す関係が成り立つ。
Figure 0006431413
また、図28(b)で示すように、電源電圧の瞬時値vsと回路電流の瞬時値isとの関係をみると、回路電流が正弦波状に制御されているため、力率を比較的高くなっている。なお、図28(b)は、リアクトルL1のインダクタンスが比較的小さく、電源電圧に対して電流の位相遅れがほとんど無い状態を想定している。仮に、リアクトルL1のインダクタンスが比較的大きく、電流位相が電圧位相に対して遅れている場合には、図28(c)に示すように、電流位相を考慮してスイッチング素子Q2,Q4のデューティを設定すればよい。
このように高速スイッチング制御を行うことで、回路電流を正弦波に近づけて高調波電流を低減し、また、力率を向上させることできる。また、スイッチング素子Q2,Q4を交互にオン/オフすることで昇圧及び同期整流を行うことができ、電力変換において高効率化を図ることができる。
<効果>
本実施形態によれば、負荷の大きさに応じて同期整流制御又はスイッチング制御を行うことで、力率の改善、高調波の抑制、及び昇圧を行うことができるとともに、高効率化を図ることができる。
なお、第1実施形態(図1参照)では、回路短絡動作時においてダイオードD2に逆回復電流が発生するため、低損失化を図るために、ダイオードD2として逆回復時間の比較的短い高速ダイオードを用いることが望ましい。しかしながら、高速ダイオードは順方向の電圧降下が比較的大きいため、それに伴って導通損失が大きくなりやすい。
これに対して本実施形態では、スイッチング素子Q2,Q4として、逆回復時間の比較的短いtrr高速タイプのスイッチング素子(MOSEFT)を用いることで、スイッチング損失を低減し、さらに、前記した同期整流制御によって導通損失を低減できる。したがって、電力変換を行う際の低損失化を図ることができる。
≪第5実施形態≫
第5実施形態では、第1実施形態で説明した電力変換装置1を備える空気調和機Wについて説明する。なお、電力変換装置1の構成(図1参照)、及び電力変換装置1が実行する処理(図4参照)については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と異なる部分について説明し、重複する部分については説明を省略する。
図29は、第5実施形態に係る空気調和機Wの構成図である。
空気調和機Wは、電力変換装置1と、インバータ2と、モータ3と、空調回路(圧縮機41、室外熱交換器42、膨張弁43、室内熱交換器44等)と、を備えている。
インバータ2は、電力変換装置1から印加される直流電圧を、例えば、PWM制御(Pulse Width Modulation)に基づいて交流電圧に変換する電力変換器である。
モータ3は、インバータ2から入力される交流電圧によって駆動する電動機(例えば、三相同期モータ)である。
圧縮機41は、冷媒を圧縮する装置であり、モータ3の回転によって駆動する。
室外熱交換器42は、室外ファンF1から送り込まれる室内空気と、冷媒と、の熱交換を行うための熱交換器である。
膨張弁43は、室外熱交換器42又は室内熱交換器44から流れ込む冷媒を膨張させて減圧するための減圧器である。
なお、図29に示す例では、電力変換装置1、インバータ2、モータ3、圧縮機41、室外熱交換器42、及び室外ファンF1が、室外機U1に設置されている。
室内熱交換器44は、室内ファンF2から送り込まれる室内空気と、冷媒と、の熱交換を行うための熱交換器であり、室内機U2に設置されている。
圧縮機41、室外熱交換器42、膨張弁43、及び室内熱交換器44が配管iを介して環状に順次接続されてなる空調回路において、周知のヒートポンプサイクルで冷媒を循環させるようになっている。なお、空気調和機Wは、冷房用でもよいし、暖房用でもよい。また、冷房時と暖房時とで冷媒の流れる向きを切り替える四方弁(図示せず)を設けてもよい。
また、図29では図示を省略したが、第1実施形態で説明した保護制御(S113:図4参照)の一つとして、室外ファンF1の回転速度を上昇させるようにしてもよい。これによって、スイッチング素子Q3,Q4(図1参照)に設置されている放熱フィン(図示せず)に向けて室外ファンF1から外気が送り込まれるため、スイッチング素子Q3,Q4の放熱を促進させることができる。
<効果>
本実施形態によれば、空気調和機Wが電力変換装置1を備えることで、エネルギ効率(つまり、APF)が高く、また、信頼性の高い空気調和機Wを提供できる。
≪変形例≫
以上、本発明に係る電力変換装置1等について各実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、第1実施形態(図1参照)では、ダイオードD3,D4にスイッチング素子Q3,Q4を並列接続する構成について説明したが、これに限らない。すなわち、図1に示すダイオードD1,D2にそれぞれスイッチング素子を並列接続し、ダイオードD3,D4にはスイッチング素子を並列接続しない構成でもよい。なお、各スイッチング素子の制御方法については、第1実施形態(図4参照)と同様であるから説明を省略する。
また、スイッチング素子Q1〜Q4として、オン抵抗の小さいスーパー・ジャンクションMOSFET又はSiC−MOSFETを使用してもよい。これによって、電力変換装置1のエネルギ損失をさらに低減し、低損失化・高効率化を図ることができる。
また、各実施形態では、スイッチング素子Q1〜Q4がMOSFETである場合について説明したが、これに限らない。例えば、スイッチング素子Q1〜Q4として、バイポーラトランジスタを用いてもよいし、IGBT(Insulated-Gate- Bipolar-Transistor)を用いてもよい。
例えば、第4実施形態(図20参照)で説明したスイッチング素子Q2,Q4としてバイポーラトランジスタを用いる場合には、スイッチング素子Q2のコレクタを平滑コンデンサC1の正側に接続し、スイッチング素子Q2のエミッタをスイッチング素子Q4のコレクタに接続し、スイッチング素子Q4のエミッタを平滑コンデンサC1の負側に接続すればよい。
また、各実施形態では、例えば、図1に示すように、交流電源Gと整流回路Dとを接続する配線hbに電流検出部11を設ける場合について説明したが、これに限らない。すなわち、電流検出部11に代えて、スイッチング素子Q3,Q4のドレイン側又はソース側にシャント抵抗(電流検出部)を設置してもよい。これによって、スイッチング素子Q3,Q4に流れる電流を精度よく検出でき、ひいては制御モードを最適なタイミングで切り替えることができる。
また、第1実施形態では、電流検出部11の検出値Iと、閾値I1,I2,I3と、の比較結果に基づいて、制御モードを決定する場合について説明したが、これに限らない。例えば、電流(負荷)に関する閾値を、閾値I1のみとして、次のように制御モードを切り替えてもよい。すなわち、電流検出部11の検出値が閾値I1未満の場合、前記した同期整流制御を実行し(図6参照)、検出値が閾値I1以上である場合、リアクトルL1を介した短絡電流の経路に含まれるスイッチング素子Q3(又はスイッチング素子Q4)をスイッチングするようにしてもよい(図8、図10参照)。
このような制御でも、同期整流制御によって低損失化・高効率化を図り、また、スイッチングによって力率の改善、高調波の抑制、昇圧等を行うことができる。なお、前記した「スイッチング」は、同期整流・回路短絡制御であってもよいし(図8参照)、回路短絡制御(図10参照)であってもよいし、第4実施形態でいえば「スイッチング制御」に相当する。前記した制御方法は、第2〜第5実施形態にも適用できる。
また、例えば、電流に関する閾値を、閾値I1,I2のみとし、電流検出部11の検出値Iが閾値I1以上かつ閾値I2未満の場合に同期整流・回路短絡制御を実行し(図8参照)、閾値I2以上である場合に回路短絡制御を実行するようにしてもよい(図10参照)。
また、各実施形態では、電流検出部11(図1参照)の検出値に基づいて制御モードを切り替える場合について説明したが、これに限らない。すなわち、配線ha,hb(図1参照)に流れる電流と正の相関を有する「負荷」を、負荷検出部15(図1参照)によって検出し、この「負荷」の大きさに基づいて制御モードを切り替えるようにしてもよい。
具体的には、平滑コンデンサC1(図1参照)の出力電圧と、複数の閾値と、の比較結果に基づいて制御モードを切り替えてもよい。なお、負荷が大きくなるにつれて出力電圧も大きくなるため、複数の閾値によって分けられる負荷領域と出力電圧との関係は、図3と同様になる。
また、平滑コンデンサC1(図1参照)の出力側のインバータ2(図29参照)の電流値、インバータ2に接続されるモータ3(図29参照)の回転速度、又は、モータ3の変調率に基づいて、制御モードを切り替えるようにしてもよい。前記した「変調率」とは、インバータ2の直流電圧に対するモータ3の印加電圧(線間電圧)の実効値の比である。なお、負荷が大きくなるにつれてインバータ2に流れる電流(モータ3の回転速度、変調率)も大きくなる。したがって、複数の閾値によって分けられる負荷領域と、インバータ2に流れる電流(モータ3の回転速度、変調率)との関係は、図3と同様になる。
また、第5実施形態では、空気調和機W(図29参照)が備える電力変換装置1に関して、制御モードの切替えを行う際に電流検出部11の検出値(負荷)を用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、室内機U2(図29参照)に設置されている室温サーミスタ(図示せず)の検出値と、空気調和機Wの設定温度と、の差に基づいて負荷を検出してもよい。この場合、室温と設定温度との差が大きいほど、電力変換装置1の負荷は高くなり、空気調和機Wの出力も大きくなる。
また、コンバータ制御部18が、前記した同期整流制御と、リアクトルL1を介した短絡電流の経路に含まれるスイッチング素子Q3(又はスイッチング素子Q4)をスイッチングする制御と、を負荷の大きさに基づいて切り換えるようにしてもよい。
また、各実施形態は、適宜組み合わせることができる。例えば、第2実施形態と第3実施液体とを組み合わせ、スイッチング素子Q1〜Q4のそれぞれに温度検出部を設け、各温度検出部の検出値と、負荷(例えば、回路電流)の大きさと、に基づいて制御モードを切り替えるようにしてもよい。なお、電力変換装置1が実行する処理については、第3実施形態(図19参照)と同様であるから説明を省略する。
また、例えば、第4実施形態で説明した電流制御ゲイン調整部20(図20参照)と、昇圧比制御部21(図20参照)と、を第1実施形態の電力変換装置1(図1参照)に追加し、第4実施形態で説明した方法に基づいて、スイッチング素子Q3,Q4(図1参照)のオン/オフを制御するようにしてもよい。具体的には、部分スイッチング制御を行う際、電源電圧Vsが正の半サイクルの期間においてコンバータ制御部18は、スイッチング素子Q4を常時オン状態とし、スイッチング素子Q3を所定のディレイ、デューティで複数回スイッチングする。また、高速スイッチング制御を行う際、電源電圧Vsが正の半サイクルの期間においてコンバータ制御部18は、スイッチング素子Q4を常時オン状態とし、スイッチング素子Q3を所定周波数でスイッチングする。このように、同期整流・回路短絡制御及び回路短絡制御においても、部分スイッチング制御や高速スイッチング制御を適用できる。同様に、第2、第3実施形態に第4実施形態を適用することも可能である。
また、第3実施形態と第5実施形態とを組み合わせ、スイッチング素子Q3,Q4に設置される温度検出部T3,T4(図17参照)の検出値に基づいて、電力変換装置1(図29参照)の制御モードを切り替えるようにしてもよい。また、スイッチング素子Q3,Q4の温度を直接的に検出せずに、室外機U1(図29参照)に設置されている外気温サーミスタ(図示せず)の検出値を用いて、スイッチング素子Q3,Q4の温度を間接的に検出してもよい。例えば、冷房運転を行う場合には、外気温が高いほど負荷も大きくなり、スイッチング素子Q3,Q4が昇温しやすくなる。したがって、この場合には、外気温に対応する閾値II21,I31(図18参照)が、比較的小さい値で設定される。
また、第4実施形態では、負荷の大きさに基づいて部分スイッチング制御と、高速スイッチング制御と、を切り替える場合について説明したが、これに限らない。すなわち、部分スイッチング制御と高速スイッチング制御の切替えを行わず、電流検出部11の検出値Iが閾値I1以上かつ閾値I2未満である場合、部分スイッチング制御のみを実施してもよいし、また、高速スイッチングのみを実施してもよい。そして、検出値Iが(負荷の大きさ)が第1保護領域(図3参照)に入った場合には、スイッチング回数を減らしてスイッチング損失の低減を行うことで、素子の熱破壊を防ぐことができる。また、負荷の大きさが第2保護領域(図3参照)に入った場合には、機器の減速運転又は運転停止を行えばよい。
また、第5実施形態では、電力変換装置1が空気調和機W(図20参照)に搭載される場合について説明したが、これに限らない。例えば、バッテリへの充電設備、冷蔵庫、給湯機、洗濯機、乗り物等に電力変換装置1を搭載してもよい。
また、各実施形態では、単相の交流電源Gの交流電圧を電力変換装置1によって直流電圧に変換する場合について説明したが、これに限らない。例えば、三相の交流電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する場合にも、各実施形態を適用できる。
また、前記した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加える事も可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良い。また、機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
1,1A,1B,1C 電力変換装置
11 電流検出部(負荷検出部)
12,12B 電流比較部(制御部)
13 交流電圧検出部
14 ゼロクロス判定部(制御部)
15 負荷検出部
16 負荷比較部(制御部)
17 直流電圧検出部
18 コンバータ制御部(制御部)
19 記憶部
20 電流制御ゲイン調整部
21 昇圧比制御部
2 インバータ
3 モータ
41 圧縮機(空調回路)
42 室外熱交換器(空調回路)
43 膨張弁(空調回路)
44 室内熱交換器(空調回路)
i 配管(空調回路)
G 交流電源
C1 平滑コンデンサ
D 整流回路
D1,D2,D3,D4 ダイオード
ha 配線
L1 リアクトル
Q1,Q2,Q3,Q4 スイッチング素子
T3,T4 温度検出部
W 空気調和機

Claims (10)

  1. ブリッジ形に接続される複数のダイオードを有し、交流電源からの電流を整流する整流回路と、
    前記交流電源と前記整流回路とを接続する配線に設けられるリアクトルと、
    前記整流回路の出力側に接続され、前記整流回路から印加される電圧を平滑化して直流電圧にする平滑コンデンサと、
    複数の前記ダイオードのうち、前記平滑コンデンサの正側にカソードが接続されるダイオード、及び/又は、前記平滑コンデンサの負側にアノードが接続されるダイオードのそれぞれに並列接続されるスイッチング素子と、
    前記配線に流れる電流の大きさと正の相関を有する負荷を検出する負荷検出部と、
    前記スイッチング素子を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記交流電源の電圧の極性に同期して前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、
    前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる前記スイッチング素子をスイッチングするスイッチング制御と、を前記負荷検出部の検出値に基づいて切り換え
    前記負荷検出部の検出値が第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、前記スイッチング制御として、前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオン状態とし、他方をスイッチングする同期整流・回路短絡制御を実行し、
    前記負荷検出部の検出値が前記第2閾値以上である場合、前記スイッチング制御として、前記経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオフ状態とし、他方をスイッチングする回路短絡制御を実行し、
    前記負荷検出部の検出値である前記負荷は、前記整流回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率であること
    を特徴とする電力変換装置。
  2. 前記制御部は、
    前記負荷検出部の検出値が前記第1閾値未満である場合、前記同期整流制御を実行し、
    前記負荷検出部の検出値が前記第1閾値以上である場合、前記スイッチング制御を実行すること
    を特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記制御部は、
    前記負荷検出部の検出値が、前記第2閾値よりも大きい第3閾値以上である場合、前記平滑コンデンサの出力側のモータを減速又は停止させる保護制御を実行すること
    を特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
  4. 前記スイッチング素子の温度を直接又は間接に検出する温度検出部と、
    少なくとも前記第2閾値及び前記第3閾値が、前記スイッチング素子の温度に対応付けて記憶されている記憶部と、を備え、
    前記制御部は、前記温度検出部によって検出される温度に対応する前記第2閾値及び前記第3閾値を前記記憶部から読み出して、前記負荷検出部の検出値と各閾値との大小を比較すること
    を特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
  5. 前記スイッチング素子は、MOSFETであり、ソースが前記ダイオードのアノードに接続され、ドレインが当該ダイオードのカソードに接続されること
    を特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  6. 前記ダイオードの順方向電圧は、当該ダイオードに並列接続される前記スイッチング素子が有する寄生ダイオードの順方向電圧よりも小さいこと
    を特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
  7. 前記MOSFETは、スーパー・ジャンクション・MOSFET、又はSiC‐MOSFETであること
    を特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
  8. 直列接続される一対のダイオードと、直列接続される一対のスイッチング素子と、が並列接続されることで構成され、前記一対のダイオードの接続点と、前記一対のスイッチング素子の接続点と、がそれぞれ交流電源に接続されるブリッジ回路と、
    前記交流電源と前記ブリッジ回路とを接続する配線に設けられるリアクトルと、
    前記ブリッジ回路の出力側に接続され、前記ブリッジ回路から印加される電圧を平滑化して直流電圧にする平滑コンデンサと、
    前記配線に流れる電流の大きさと正の相関を有する負荷を検出する負荷検出部と、
    前記スイッチング素子を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記交流電源の電圧の極性に同期して前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、
    前記交流電源の電圧の正・負の半サイクルそれぞれにおいて、前記一対のスイッチング素子を交互に複数回オン/オフするスイッチング制御と、を前記負荷検出部の検出値に基づいて切り換え
    前記スイッチング制御を行う際、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするたびに前記ブリッジ回路に流れる三角波状の回路電流の予測値と、前記ブリッジ回路における正弦波状の理想電流と、の比較に基づき、前記一対のスイッチング素子を交互にオン/オフするタイミングを設定し、
    前記負荷検出部の検出値である前記負荷は、前記ブリッジ回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率であること
    を特徴とする電力変換装置。
  9. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の電力変換装置と、
    前記電力変換装置から印加される直流電圧を交流電圧に変換する前記インバータと、
    前記インバータから印加される交流電圧で駆動する前記モータと、を備えるとともに、
    前記モータの回転によって駆動する圧縮機と、室外熱交換器と、膨張弁と、室内熱交換器と、が配管を介して環状に順次接続されてなる空調回路を備えること
    を特徴とする空気調和機。
  10. ブリッジ形に接続される複数のダイオードを有し、交流電源からの電流を整流する整流回路と、
    前記交流電源と前記整流回路とを接続する配線に設けられるリアクトルと、
    前記整流回路の出力側に接続され、前記整流回路から印加される電圧を平滑化して直流電圧にする平滑コンデンサと、
    複数の前記ダイオードのうち、前記平滑コンデンサの正側にカソードが接続されるダイオード、及び/又は、前記平滑コンデンサの負側にアノードが接続されるダイオードのそれぞれに並列接続されるスイッチング素子と、
    前記配線に流れる電流の大きさと正の相関を有する負荷を検出する負荷検出部と、
    を備える電力変換装置が実行する電力変換方法であって、
    前記交流電源の電圧の極性に同期して前記スイッチング素子をオン/オフすることで、前記平滑コンデンサを介して電流を流す同期整流制御と、
    前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる前記スイッチング素子をスイッチングするスイッチング制御と、を前記負荷検出部の検出値に基づいて切り換え
    前記負荷検出部の検出値が第1閾値以上、かつ、前記第1閾値よりも大きい第2閾値未満である場合、前記スイッチング制御として、前記リアクトルを介した短絡電流の経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオン状態とし、他方をスイッチングする同期整流・回路短絡制御を実行し、
    前記負荷検出部の検出値が前記第2閾値以上である場合、前記スイッチング制御として、前記経路に含まれる二つの前記スイッチング素子の一方をオフ状態とし、他方をスイッチングする回路短絡制御を実行し、
    前記負荷検出部の検出値である前記負荷は、前記整流回路の出力側に接続される配線の電流値、前記平滑コンデンサの出力電圧、前記平滑コンデンサの出力側に接続されるインバータの電流値、前記インバータの出力側に接続されるモータの回転速度、又は前記モータの変調率であること
    を特徴とする電力変換方法。
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