JP2022185025A - 直流電源装置および空気調和機 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で安価な直流電源装置を実現する。【解決手段】直流電源装置1は、リアクトルL1と、リアクトルL1を交流電源VSに適宜短絡するスイッチングを行いつつ、交流電圧vsを直流電圧Vdに変換し負荷Hに印加する整流回路10と、交流電圧vsの半周期間に1回以上、20回以下のスイッチングを行う第1の動作モード(部分スイッチングモード)または交流電圧vsの半周期間に80回以上のスイッチングを行う第2の動作モード(高速スイッチングモード)のうち何れか一方の動作モードを、負荷Hの増減に応じて増減する量である負荷対応量P,is,Vdと所定の閾値との比較結果に基づいて選択する制御部Mと、を有し、制御部Mは、動作モードを第2の動作モードから第1の動作モードに切り替える前に、交流電源VSから流れる回路電流isのピーク値が従前の値よりも高くなるように制御する機能、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、直流電源装置および空気調和機に関する。
電車、自動車、空気調和機などには、交流電圧を直流電圧に変換する直流電源装置が搭載されている。そして、直流電源装置から出力される直流電圧をインバータによって所定周波数の交流電圧に変換し、この交流電圧をモータなどの負荷に印加するようになっている。このような直流電源装置は、電力変換効率を高めて省エネルギ化を図ることが求められている。
そこで、特許文献1のように交流電源を直流電源に変換するときに力率改善や高調波抑制、直流電圧の昇圧を行う直流電源装置が提案されている。また、特許文献2には、全負荷領域で力率を改善するために全波整流モードと倍電圧整流モードと部分スイッチングモードと高速スイッチングモードを切り替える直流電源装置が提案されている。
特開平11-164562号公報 特開2003-153543号公報
特許文献1、2に記載された直流電源装置は、何れもリアクトルを有しているが、リアクトルは、インダクタンス値が大きくなるほど、重量や体積が大きくなる傾向がある。従って、インダクタンス値が大きいリアクトルを適用すると、直流電源装置や、これを含む空気調和機等の装置が大型化し、高価になるという問題が生じる。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、小型で安価な直流電源装置および空気調和機を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の直流電源装置は、交流電圧を出力する交流電源に接続されたリアクトルと、前記リアクトルを前記交流電源に適宜短絡するスイッチングを行いつつ、前記交流電圧を直流電圧に変換し負荷に印加する整流回路と、前記交流電圧のスイッチングを行う第1の動作モードまたは前記第1の動作モードより高速で前記交流電圧のスイッチングを行う第2の動作モードのうち何れか一方の動作モードを、前記負荷の増減に応じて増減する量である負荷対応量と所定の閾値との比較結果に基づいて選択する制御部と、前記交流電圧のゼロクロスのタイミングを検出するゼロクロス判定部と、を備え、前記ゼロクロス判定部が検出したゼロクロスのタイミングで、前記動作モードを、前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに切り替える際に、前記交流電源から流れる回路電流の振幅が従前の値よりも大きくなるように制御する機能を有することを特徴とする。
本発明によれば、小型で安価な直流電源装置および空気調和機を実現できる。
本発明の一実施形態における直流電源装置を示す概略の構成図である。 交流電源電圧が正の極性の場合において、ダイオード整流を行ったときに回路に流れる電流経路を示した図である。 交流電源電圧が負の極性の場合において、ダイオード整流を行ったときに回路に流れる電流経路を示した図である。 交流電源電圧が正の極性の場合において、同期整流を行ったときに回路に流れる電流経路を示した図である。 交流電源電圧が負の極性の場合において、同期整流を行ったときに回路に流れる電流経路を示した図である。 同期整流時における、電源電圧と回路電流とMOSFETの駆動パルスの波形図である。 交流電源電圧が正の極性の場合において、力率改善動作を行なった場合に回路に流れる電流経路を示した図である。 交流電源電圧が負の極性の場合において、力率改善動作を行なった場合に回路に流れる電流経路を示した図である。 部分スイッチング(2ショット)を行なった場合における(a)電源電圧の波形図、(b)回路電流の波形図、(c)駆動パルスの波形図、(d)他の駆動パルスの波形図である。 (a)電源電圧の波形図、(b)回路電流の波形図、(c)駆動パルスの波形図、(d)他の駆動パルスの波形図である。 高速スイッチングを行った場合において、MOSFETのデューティの関係を示した図である。 高速スイッチングを行い、デッドタイムを考慮した場合のMOSFETのデューティの関係を示した図である。 高速スイッチングを行った場合において、交流電源電圧と回路電流の関係を示した図である。 交流電源電圧が正極性の場合に、リアクトルによる電流位相の遅れ分を考慮した場合のMOSFETのデューティを示した図である。 部分スイッチングにおける(a)交流電源電圧の波形図、(b)回路電流の波形図、(c)駆動パルスの波形図、(d)他の駆動パルスの波形図である。 入力電力700Wのときの部分スイッチングの波形を示した図である。 入力電力1800Wのときの部分スイッチングの波形を示した図である。 消費電力、直流電圧および動作モードの関係の一例を示す図である。 (a)部分スイッチングモードにおける交流電源電圧と回路電流の波形図、(b)高速スイッチングモードにおける交流電源電圧と回路電流の波形図である。 消費電力、直流電圧および動作モードの関係の他の例を示す図である。 消費電力、直流電圧および動作モードの関係のさらに他の例を示す図である。 本実施形態における空気調和機の室内機、室外機、およびリモコンの正面図である。 一変形例による直流電源装置の概略構成図である。 他の変形例による直流電源装置の概略構成図である。 さらに他の変形例による直流電源装置の概略構成図である。
[実施形態の概要]
定格電圧が200V~230Vであって4000W以下の直流電源装置では、スイッチング間隔が広い部分スイッチングを行う場合の直流電源に用いるリアクトルのインダクタンスは9mHから20mHとしていることが多く、スイッチング間隔が狭い高速スイッチングを行う場合の直流電源に用いるリアクトルのインダクタンスは500μHから6mHとしていることが多い。これは部分スイッチングを行う場合は、スイッチングのオン時間が長く、短絡電流が大きくなりやすいため高調波抑制を行うためにはインダクタンス値を大きくする必要があり、高速スイッチングを行う場合は、スイッチングのオン時間が短く、短絡電流が小さいため、インダクタンス値を小さくできるためである。
また、上述した特許文献2には、全波整流モードと、倍電圧整流モードと、部分スイッチングモードと、高速スイッチングモードとを切り替える直流電源装置が提案されているが、リアクトルのインダクタンス値をどう設定することが好適であるのかまでは言及されていなかった。
上記のような部分スイッチングの直流電源装置はリアクトルのインダクタンス値が大きいため、直流電源装置が大きくなり、コストが高くなってしまうという課題があった。
また、高速スイッチングの直流電源装置ではスイッチング回数が増え、効率が悪化してしまうという課題があった。特に空気調和機に用いる直流電源装置においてはAPF(Annual Performance Factor,通年エネルギ消費効率)を向上させるため低負荷で高効率が求められるが、高速スイッチングの直流電源装置はAPF向上に適さなかった。また高負荷では空気調和機に使用している圧縮機の回転数を上げるため高い出力電圧を求められるが、このとき部分スイッチングを採用すると、高調波電流の規格を満足することができなかった。
そこで、本実施形態は、低負荷において高効率で、高負荷において高調波電流を抑制しながら高い出力電圧を供給し、負荷領域全域にわたり力率を改善し、小型かつ安価な直流電源装置を提供し、この直流電源装置を用いた空気調和機を提供するものである。
[実施形態の構成]
以降、本発明の一実施形態による直流電源装置の構成を、各図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る直流電源装置1の構成図である。
図1に示すように、直流電源装置1は、交流電源VSから供給される交流電源電圧を直流電圧Vdに変換し、この直流電圧Vdを負荷H(インバータ、モータなど)に出力するコンバータである。直流電源装置1は、その入力側が交流電源VSに接続され、出力側が負荷Hに接続されている。
直流電源装置1は、リアクトルL1と、平滑コンデンサC1と、ダイオードD1,D2,D3,D4と、スイッチング素子であるMOSFET(Q1,Q2)と、シャント抵抗R1とを備えている。ダイオードD1,D2,D3,D4と、MOSFET(Q1,Q2)とは、整流回路10を構成する。
なお、MOSFET(Q1,Q2)はスイッチング素子であり、ダイオードD3はMOSFET(Q1)の寄生ダイオードであり、ダイオードD4はMOSFET(Q2)の寄生ダイオードである。また、MOSFET(Q1)とMOSFET(Q2)の飽和電圧は、ダイオードD1,D2や寄生ダイオードD3,D4の順方向電圧降下よりも低い。
この直流電源装置1は更に、電流検出部11と、ゲイン制御部12と、交流電圧検出部13と、ゼロクロス判定部14と、負荷検出部15と、昇圧比制御部16と、直流電圧検出部17と、コンバータ制御部18と、電源回路19とを備えている。この電源回路19は、直流電圧から、MOSFET(Q1,Q2)を駆動するための電源電圧15Vやマイコン等の制御IC(図示しない)を駆動するための制御電圧5Vを作り出す。
ダイオードD1,D2とMOSFET(Q1,Q2)は、ブリッジ接続されている。ダイオードD1のアノードは、ダイオードD2のカソードに接続され、その接続点N1は配線hbを介して交流電源VSの一端に接続されている。
MOSFET(Q1)のソースは、MOSFET(Q2)のドレインに接続されている。MOSFET(Q1)のソースは、接続点N2と配線haとリアクトルL1を介して交流電源VSの一端に接続されている。
ダイオードD2のアノードは、MOSFET(Q2)のソースに接続されている。
MOSFET(Q1)のドレインは、ダイオードD1のカソードに接続されている。
また、ダイオードD1のカソードとMOSFET(Q1)のドレインは、配線hcを介して平滑コンデンサC1の正極と負荷Hの一端に接続されている。更にダイオードD2とMOSFET(Q2)のソースはシャント抵抗R1と配線hdを介して、それぞれ平滑コンデンサC1の負極および負荷Hの他端に接続されている。
リアクトルL1は、配線ha上に、つまり交流電源VSと整流回路10との間に設けられている。このリアクトルL1は、交流電源VSから供給される電力をエネルギとして蓄え、更にこのエネルギを放出することで昇圧を行う。
本実施形態において、リアクトルL1のインダクタンス値は3~6mHとする。
これは3mHよりも小さい場合は、後述する部分スイッチング動作時に高調波電流が大きくなり、高調波電流の規格を満足できないためである。また、6mHよりも大きな場合は、リアクトルL1が大型化して高価になってしまうためである。電磁鋼板に銅線あるいはアルミ線を巻いた構造のリアクトルでは12mHを6mHにすることで約30%減の小型化が実現できる。
平滑コンデンサC1は、ダイオードD1やMOSFET(Q1)を通して整流された電圧を平滑化して、直流電圧Vdとする。この平滑コンデンサC1は、整流回路10の出力側に接続されており、正極側が配線hcに接続され、負極側が配線hdに接続される。
スイッチング素子であるMOSFET(Q1,Q2)は、後記するコンバータ制御部18からの指令によってオン/オフ制御される。スイッチング素子としてMOSFET(Q1,Q2)を用いることで、スイッチングを高速で行うことができ、更に電圧ドロップの小さいMOSFETに電流を流すことで、いわゆる同期整流制御を行うことが可能であり、回路の導通損失を低減できる。
このMOSFET(Q1,Q2)として、オン抵抗の小さいスーパージャンクションMOSFETを用いることで、導通損失を更に低減することが可能である。ここで、MOSFETの寄生ダイオードには、回路短絡動作時に逆回復電流が発生する。特にスーパージャンクションMOSFETの寄生ダイオードは、通常のMOSFETの寄生ダイオードに対して逆回復電流が大きく、スイッチング損失が大きいという課題がある。そこで、MOSFET(Q1,Q2)として、逆回復時間(trr:Reverse Recovery Time)が小さいMOSFETを使用することで、スイッチング損失を低減することができる。
ダイオードD1,D2はアクティブ動作時においても逆回復電流が発生しないため、その順方向電圧降下が小さいものを選定することが好ましい。例えば、一般的な整流ダイオードや高耐圧のSiC(Silicon Carbide)-ショットキーバリアダイオードを使用することで、回路の導通損失を低減することが可能である。
シャント抵抗R1は、回路に通流する瞬時電流を検出する機能を有している。
電流検出部11は、回路に通流する平均電流を検出する機能を有している。
ゲイン制御部12は、回路電流実効値Isと直流電圧昇圧比aから決定される電流制御ゲインKpを制御する機能を有している。このときKp×Isを所定値に制御することで、交流電源電圧vsから直流電圧Vdをa倍に昇圧することができる。
交流電圧検出部13は、交流電源VSから印加される交流電源電圧vsを検出するものであり、配線ha,hbに接続されている。交流電圧検出部13は、その検出値をゼロクロス判定部14に出力する。
ゼロクロス判定部14は、交流電圧検出部13によって検出される交流電源電圧vsの値に関して、その正負が切り替わったか、つまり、ゼロクロス点に達したか否かを判定する機能、すなわちゼロクロスのタイミングを判定する機能を有している。ゼロクロス判定部14は、交流電源電圧vsの極性を検出する極性検出部としての機能も有している。例えば、ゼロクロス判定部14は、交流電源電圧vsが正の期間中にはコンバータ制御部18に‘1’の信号を出力し、交流電源電圧vsが負の期間中にはコンバータ制御部18に‘0’の信号を出力する。
負荷検出部15は、例えば不図示のシャント抵抗によって構成され、負荷Hに流れる電流を検出する機能を有している。なお、負荷Hがインバータやモータである場合、負荷検出部15によって検出した負荷電流によってモータの回転速度やモータの印加電圧を演算してもよい。また、後記する直流電圧検出部17によって検出した直流電圧とモータの印加電圧から、インバータの変調率を演算してもよい。負荷検出部15は、その検出値(電流、モータ回転数、変調率等)を昇圧比制御部16に出力する。
昇圧比制御部16は、負荷検出部15の検出値から直流電圧Vdの昇圧比aを選定し、その選定結果をコンバータ制御部18に出力する。そして目標電圧まで直流電圧Vdを昇圧するようにコンバータ制御部18はMOSFET(Q1,Q2)に駆動パルスを出力することで、スイッチング制御を行う。
直流電圧検出部17は、平滑コンデンサC1に印加される直流電圧Vdを検出するものであり、その正側が配線hcに接続され、負側が配線hdに接続されている。直流電圧検出部17は、その検出値をコンバータ制御部18に出力する。なお、直流電圧検出部17の検出値は、負荷Hに印加される電圧値が所定の目標値に達しているか否かの判定に用いられる。
コンバータ制御部18を含む制御ブロックMは、例えば、マイコン(Microcomputer)であり、ROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)に展開し、CPU(Central Processing Unit)が各種処理を実行するようになっている。コンバータ制御部18は、電流検出部11またはシャント抵抗R1、ゲイン制御部12、ゼロクロス判定部14、昇圧比制御部16、および直流電圧検出部17から入力される情報に基づいて、MOSFET(Q1,Q2)のオン/オフを制御する。なお、コンバータ制御部18が実行する処理については後記する。
[動作モード]
次に、本実施形態の直流電源装置1の動作モードについて説明する。
直流電源装置1の動作モードを大別すると、(1)ダイオード整流モード(第3の動作モード)、(2)同期整流モード(他の第3の動作モード)、(3)部分スイッチングモード(第2の動作モード)、(4)高速スイッチングモード(第1の動作モード)の4つがある。部分スイッチングモード、高速スイッチングモードは、コンバータがアクティブ動作(力率改善動作)をするモードであり、整流回路10に力率改善電流を通流させることで直流電圧Vdの昇圧と力率の改善を行うモードである。例えばインバータやモータなどの負荷が大きい場合には、直流電圧Vdを昇圧することが多い。また、負荷が大きくなり、直流電源装置1に流れる電流が大きくなるにしたがって高調波電流も増大してしまう。そのため、高負荷の場合には、部分スイッチングモードまたは高速スイッチングモードで昇圧を行い、高調波電流の低減、すなわち電源入力の力率を改善させることが好ましい。
≪ダイオード整流モード≫
ダイオード整流モード(第3の動作モード)は、4つのダイオードD1~D4を用いて全波整流を行なうモードである。このモードではMOSFET(Q1)及びMOSFET(Q2)はオフ状態である。
図2は、交流電源電圧vsが正の極性の場合において、ダイオード整流を行ったときに回路に流れる電流経路を示している。
図2において、交流電源電圧vsが正の半サイクルの期間では、破線矢印で示す向きに回路電流isが流れる。すなわち回路電流isは、交流電源VS→リアクトルL1→寄生ダイオードD3→平滑コンデンサC1→シャント抵抗R1→ダイオードD2→交流電源VSの順に流れる。
図3は、交流電源電圧vsが負の極性の場合において、ダイオード整流を行ったときに回路に流れる電流経路を示している。
図3において、交流電源電圧vsが負の半サイクルの期間では、破線矢印で示す向きに回路電流isが流れる。すなわち回路電流isは、交流電源VS→ダイオードD1→平滑コンデンサC1→シャント抵抗R1→寄生ダイオードD4→リアクトルL1→交流電源VSの順に流れる。
≪同期整流モード≫
前述のダイオード整流に対して高効率動作を行うために、交流電源電圧vsの極性に応じてMOSFET(Q1,Q2)をスイッチング制御することにより、同期整流制御を行う動作モードを同期整流モード(他の第3の動作モード)という。
図4は、交流電源電圧vsが正の極性の場合において、同期整流を行ったときに回路に流れる電流経路を示した図である。
図4において、交流電源電圧vsが正の半サイクルの期間では、破線矢印で示す向きに回路電流isが流れる。すなわち回路電流isは、交流電源VS→リアクトルL1→MOSFET(Q1)→平滑コンデンサC1→シャント抵抗R1→ダイオードD2→交流電源VSの順に流れる。このとき、MOSFET(Q2)は常時オフ、MOSFET(Q1)は常時オン状態である。仮にMOSFET(Q1)がオン状態で無い場合には、前述のダイオード整流動作のように、回路電流isはMOSFET(Q1)の寄生ダイオードD3を流れる。しかし通常、MOSFETの寄生ダイオードは、電圧ドロップが大きいため、大きな導通損失が発生してしまう。そこで、MOSFET(Q1)をオンさせて、MOSFET(Q1)のオン抵抗の部分に電流を流すことで、導通損失の低減を図ることが可能である。これが、いわゆる同期整流制御の原理である。なお、MOSFET(Q1)のオン動作開始のタイミングとしては、交流電源電圧vsの極性が負から正に切り替わるゼロクロスのタイミングから行う。MOSFET(Q1)をオフさせるタイミングとしては、交流電源電圧vsの極性が正から負に切り替わるタイミングである。
図5は、交流電源電圧vsが負の極性の場合において、同期整流を行ったときに回路に流れる電流経路を示した図である。
図5において、交流電源電圧vsが負の半サイクルの期間では、破線矢印で示す向きに回路電流isが流れる。すなわち、交流電源VS→ダイオードD1→平滑コンデンサC1→シャント抵抗R1→MOSFET(Q2)→リアクトルL1→交流電源VSの順に回路電流isが流れる。このとき、MOSFET(Q1)は常時オフ、MOSFET(Q2)は常時オン状態である。なお、MOSFET(Q2)のオン動作開始のタイミングとしては、交流電源電圧vsの極性が正から負に切り替わるゼロクロスのタイミングから行う。MOSFET(Q2)のオフさせるタイミングとしては、交流電源電圧vsの極性が負から正に切り替わるタイミングである。
以上のように直流電源装置1を動作させることで、高効率動作が可能となる。
図6(a)~(d)は、同期整流時における、交流電源電圧vsと回路電流isとMOSFETの駆動パルスの波形図である。
図6(a)は交流電源電圧vsの波形を示し、図6(b)は回路電流isの波形を示している。図6(c)はMOSFET(Q1)の駆動パルス波形を示し、図6(d)はMOSFET(Q2)の駆動パルス波形を示している。
図6(a)に示すように交流電源電圧vsは、略正弦波状の波形である。
図6(c)に示すようにMOSFET(Q1)の駆動パルスは、交流電源電圧vsの極性が正のときにHレベル、負のときにLレベルとなる。
図6(d)に示すようにMOSFET(Q2)の駆動パルスは、MOSFET(Q1)の駆動パルスとは反転しており、交流電源電圧vsの極性が正のときにLレベル、負のときにHレベルとなる。
図6(b)に示すように、回路電流isは、交流電源電圧vsが所定振幅に達した場合、つまり交流電源電圧vsが直流電圧Vdに対して大きい場合に流れる。
≪高速スイッチングモード≫
次に直流電圧Vdの昇圧と力率の改善を行う高速スイッチングモード(第2の動作モード)について説明する。
この動作モードでは、あるスイッチング周波数でMOSFET(Q1,Q2)をスイッチング制御して、リアクトルL1を介して回路を短絡させ(以降、力率改善動作と呼ぶ)、回路に短絡電流(以降、力率改善電流と呼ぶ)を通流させることで、直流電圧Vdの昇圧と力率の改善を行う。スイッチング回数の目安としては、人間の聴感が鋭い2kHz~8kHzを避けた、電源半周期に80回以上のスイッチングを行うことが好ましい。まず、力率改善電流を通流させた場合の動作について説明する。
交流電源電圧vsが正のサイクルで同期整流を行った場合、電流の流れは図4に示した通りであり、MOSFET(Q1,Q2)の動作については前記した通りである。このとき、図6(b)に示したように、電源電圧に対して回路電流isは歪んでいる。これは、電流が流れるタイミングが交流電源電圧vsに対して直流電圧Vdが小さくなった場合のみであることと、リアクトルL1の特性から生じるものである。
そこで、複数回に亘って回路に力率改善電流を通流させ、回路電流を正弦波に近づけることで力率の改善を行い、高調波電流を低減する。
図7は、電源電圧が正のサイクルでMOSFET(Q2)をオンさせた場合に流れる力率改善電流ispの経路を示した図である。
力率改善電流ispの経路としては、交流電源VS→リアクトルL1→MOSFET(Q2)→ダイオードD2→交流電源VS、の順である。このとき、リアクトルL1には、以下の式(1)で表されるエネルギが蓄えられる。このエネルギが平滑コンデンサC1に放出されることで、直流電圧Vdが昇圧される。
Figure 2022185025000002
なお、式(1)においてIspは、力率改善電流ispの実効値である。
交流電源電圧vsが負のサイクルで同期整流を行った場合の電流の流れは図5に示した通りであり、MOSFET(Q1,Q2)の動作については前記の通りである。
図8は、電源電圧が負のサイクルでMOSFET(Q1)をオンさせて力率改善電流ispを通流させた場合の経路を示した図である。
電流の経路としては、交流電源VS→ダイオードD1→MOSFET(Q1)→リアクトルL1→交流電源VSの順となる。このときも、前記したようにリアクトルL1にエネルギが蓄えられ、そのエネルギによって直流電圧Vdが昇圧される。
図9(a)~(d)は、力率改善電流を2回通流させた場合(2ショットと呼ぶ)における、交流電源電圧vsと回路電流isとMOSFETの駆動パルスの波形図である。なお、力率改善電流の通流回数が2回であれば、これは「高速スイッチングモード」ではなく、後述する「部分スイッチングモード」に該当するが、ここでは力率改善電流の作用について理解を容易にするために、通流回数が2回である場合の波形を説明する。
図9(a)は交流電源電圧vsの波形を示し、図9(b)は回路電流isの波形を示している。図9(c)はMOSFET(Q1)の駆動パルス波形を示し、図9(d)はMOSFET(Q2)の駆動パルス波形を示している。
図9(a)に示すように交流電源電圧vsは、略正弦波状の波形である。
図9(c)に示すようにMOSFET(Q1)の駆動パルスは、交流電源電圧vsの極性が正のときにHレベルとなり、更に所定タイミングで2回のLレベルのパルスとなる。交流電源電圧vsの極性が負のときにLレベルとなり、更に所定タイミングで2回のHレベルのパルスとなる。
図9(c)に示すようにMOSFET(Q2)の駆動パルスは、MOSFET(Q1)の駆動パルスとは反転している。これは、力率改善動作と同期整流を組み合わせて行っているためである。例えば交流電源電圧vsが正の極性の場合において、MOSFET(Q2)がオンして力率改善動作を行う。その後MOSFET(Q1)がオフした後、MOSFET(Q2)がオンしている区間は同期整流動作となる。このように、力率改善動作と同期整流動作を組み合わせることで、力率改善を行いつつ高効率動作が可能である。
図9(b)に示すように、回路電流isは、交流電源電圧vsが正極性かつ、MOSFET(Q2)の駆動パルスがHレベルになったときに立ち上がり、交流電源電圧vsが負極性かつ、MOSFET(Q1)の駆動パルスがHレベルになったときに立ち上がる。これにより、力率が改善される。
例えば交流電源電圧vsが正の場合、力率改善動作中の電流経路は、図7のようになる。MOSFET(Q2)がオフしてMOSFET(Q1)がオンとなって同期整流動作に切り替わったときの電流経路は、図2のようになる。
なお、この力率改善動作と前述したダイオード整流動作を組み合わせてもよい。すなわち、交流電源電圧vsが正の極性の場合、力率改善動作中の電流経路は、図7のようになる。MOSFET(Q2)がオフした後、寄生ダイオードD3がオンとなってダイオード整流動作に切り替わったときの電流経路は、図2のようになる。
図10(a)~(d)は、高速スイッチングを行った場合の交流電源電圧vsと回路電流isとMOSFETの駆動パルスの波形図である。
図10(a)は交流電源電圧vsの波形を示し、図10(b)は回路電流isの波形を示している。図10(c)はMOSFET(Q1)の駆動パルス波形を示し、図10(d)はMOSFET(Q2)の駆動パルス波形を示している。
図10(a)に示すように交流電源電圧vsは、略正弦波状の波形である。
高速スイッチングモードにおいては、例えば電源電圧が正の極性の場合、力率改善動作時には、MOSFET(Q2)をオン、MOSFET(Q1)をオフ状態とすることで、力率改善電流ispを通流させる。次にMOSFET(Q2)をオフ状態にし、MOSFET(Q1)をオン状態にする。このように、このように力率改善動作の有無に応じてMOSFET(Q1,Q2)のオン、オフを切り替えているのは、同期整流を行っているためである。単純に高速スイッチングモードを行うためには、MOSFET(Q1)は常時オフ状態で、MOSFET(Q2)を一定周波数でスイッチング動作を行えばよい。
しかし、このとき、MOSFET(Q2)オフ時にMOSFET(Q1)もオフ状態であると、電流はMOSFET(Q1)の寄生ダイオードD3を流れることになる。前記したように、この寄生ダイオードは特性が悪く、電圧ドロップが大きいために、導通損失が大きくなってしまう。そこで本実施形態では、MOSFET(Q2)オフ時には、MOSFET(Q1)をオン状態にして同期整流を行うことで、導通損失を低減しているのである。
直流電源装置1に流れる回路電流is(瞬時値)は、以下の式(2)で表すことができる。
Figure 2022185025000003
さらに、この式(2)を書き換えると、以下の式(3)となる。
Figure 2022185025000004
式(4)は、回路電流is(瞬時値)と、回路電流実効値Isとの関係を示すものである。なお、is(瞬時値)はシャント抵抗R1にて検出した値であり、回路電流実効値Isは電流検出部11にて検出した値である。
Figure 2022185025000005
式(3)を変形して式(4)を代入すると、以下の式(5)となる。
Figure 2022185025000006
昇圧比の逆数を右辺とすると、以下の式(6)となる。
Figure 2022185025000007
さらに、MOSFETのデューティdは、式(7)のように表すことが可能である。
Figure 2022185025000008
以上より、式(6)に示したKp×Isを制御することで、交流電源電圧実効値Vsのa倍に昇圧可能であり、そのときのMOSFETのデューティd(通流率)は、式(7)で与えることができる。
図11は、電源電圧半サイクル(正の極性)における、MOSFET(Q2)とMOSFET(Q1)の駆動パルスのオン・デューティの関係を示した図である。図11の縦軸はオン・デューティを示し、横軸は正の極性の電源電圧の半サイクル分の時間を示している。
破線で示したMOSFET(Q1)の駆動パルスのオン・デューティは、交流電源電圧vsと比例している。2点鎖線で示したMOSFET(Q2)の駆動パルスのオン・デューティは、1.0からMOSFET(Q1)の駆動パルスのオン・デューティを減算したものとなる。
図11において、式(7)で示したように、回路電流isが大きくなるほど力率改善電流を流すためにスイッチング動作を行うMOSFET(Q2)の駆動パルスのデューティdは小さくなり、逆に回路電流isが小さいほどMOSFET(Q2)の駆動パルスのデューティdは大きくなる。同期整流を行う側のMOSFET(Q1)の駆動パルスのデューティdは、MOSFET(Q2)の駆動パルスのデューティdとは逆特性となる。
なお、実際には上下短絡を回避するためにデッドタイムを考慮するとよい。
図12は、電源電圧半サイクル(正の極性)における、デッドタイムを考慮したMOSFET(Q2)の駆動パルスのオン・デューティを実線で追記した図である。図12の縦軸はオン・デューティを示し、横軸は交流電源電圧vsの正極性の半サイクル分の時間を示している。
このように、所定のデッドタイムを付与すると、MOSFET(Q2)の駆動パルスのデューティは、このデッドタイム分だけ小さくなる。
図13は、交流電源電圧vsの瞬時値vsと、回路電流is(瞬時値)との関係を示した図である。実線は交流電源電圧vsの瞬時値vsを示し、破線は回路電流isの瞬時値を示している。図13の横軸は正の極性の電源電圧の半サイクル分の時間を示している。
図13に示すように、高速スイッチング制御により、交流電源電圧vsの瞬時値vsと回路電流is(瞬時値)とは両方とも略正弦波状となり、よって力率を改善することができる。
MOSFET(Q2)のデューティdQ2を、以下の式(8)に示す。
Figure 2022185025000009
MOSFET(Q1)のデューティdQ1を、以下の式(9)に示す。
Figure 2022185025000010
また、電源電圧と電流の関係をみると、回路電流isは正弦波状に制御されているため、力率は良い状態である。なお、これはリアクトルL1のインダクタンスが小さく電源電圧に対して電流の位相遅れが無い状態を想定している。仮に、リアクトルL1のインダクタンスが大きく、電流位相が電圧位相に対して遅れる場合には、電流位相を考慮してデューティdを設定すればよい。
図14は、交流電源電圧vsが正極性の場合に、リアクトルL1による電流位相の遅れ分を考慮した場合のMOSFET(Q2)のデューティを示した図である。図14の縦軸はMOSFET(Q2)のデューティを示し、横軸は正の極性の電源電圧の半サイクル分の時間を示している。
実線は、リアクトルL1による電流位相の遅れ分を考慮しない場合のMOSFET(Q2)のデューティを示している。破線は、リアクトルL1による電流位相の遅れ分を考慮した場合のMOSFET(Q2)のデューティを示している。このように制御することにより、リアクトルL1のインダクタンスが大きい場合であっても、電流を正弦波状に制御可能である。
以上、高速スイッチングと同期整流を組み合わせて実施する場合について説明を行ってきた。なお、前述したように高速スイッチングとダイオード整流とを組み合わせてもよい。すなわち、交流電源電圧vsが正の極性の場合、MOSFET(Q1)を常時オフ状態で、MOSFET(Q2)のみ高速スイッチングを行う。このように制御を行っても力率の改善効果を得ることができる。
≪部分スイッチング動作≫
前記したように、高速スイッチング動作を行うことで回路電流isを正弦波に成形することができ、高力率を確保することができる。しかし、スイッチング周波数が大きければ大きいほどスイッチング損失は大きくなる。
回路の入力が大きいほど、高調波電流も増大するので、特に高次の高調波電流の規制値を満足することが難しくなるため、入力電流が大きいほど高力率を確保することが好ましい。逆に入力が小さい場合には高調波電流も小さくなるので特に力率を確保する必要が無い場合がある。つまり、言い換えると負荷条件に応じて効率を考慮しつつ最適な力率を確保することで高調波電流を低減すればよいと言える。
そこで、スイッチング損失の増大を抑えつつ、力率を改善する場合には部分スイッチング動作を行えばよい。
部分スイッチングモード(第1の動作モード)とは、高速スイッチング動作のように所定周波数で力率改善動作を行うのではなく、交流電源電圧vsの半サイクルの中で、所定の位相で複数回力率改善動作を行うことで直流電圧Vdの昇圧と力率の改善を行う動作モードである。高速スイッチング動作の場合と比べてMOSFET(Q1,Q2)のスイッチング回数が少ない分、スイッチング損失の低減が可能である。スイッチング回数の目安としては、人間の聴感が鋭い2kHz~8kHzを避けて、電源半周期に1回以上、20回以下のスイッチングを行うことが好ましい。
以下、図15を用いて部分スイッチング動作の説明を行う。
図15(a)~(d)は、交流電源電圧vsが正のサイクルにおける、MOSFET(Q1)の駆動パルスと交流電源電圧vs、回路電流isの関係を示した図である。
図15(a)は交流電源電圧vsを示し、図15(b)は回路電流isを示している。図15(c)はMOSFET(Q2)の駆動パルスを示し、図15(d)はMOSFET(Q1)の駆動パルスを示している。
図15(a)に示すように交流電源電圧vsは、略正弦波状である。
図15(b)の一点鎖線は、理想的な回路電流isを略正弦波状に示している。このとき、最も力率が改善される。
ここで例えば、理想電流上の点P1を考えた場合、この点での傾きをdi(P1)/dtとおく。次に、電流がゼロの状態から、MOSFET(Q2)を時間ton1_Q2に亘ってオンしたときの電流の傾きをdi(ton1_Q2)/dtとおく。さらに時間ton1_Q2に亘ってオンした後、時間toff_Q2に亘ってオフした場合の電流の傾きをdi(toff1_Q2)/dtとおく。このときdi(ton1_Q2)/dtとdi(toff1_Q2)/dtとの平均値が点P1における傾きdi(P1)/dtと等しくなるように制御する。
次に、点P1と同様に、点P2での電流の傾きをdi(P2)/dtとおく。そして、MOSFET(Q2)を時間ton2_Q2に亘ってオンしたときの電流の傾きをdi(ton2_Q2)/dtとおき、時間toff2_Q2に亘ってオフした場合の電流の傾きをdi(toff2_Q2)/dtとおく。点P1の場合と同様に、di(ton2_Q2)/dtとdi(toff2_Q2)/dtの平均値が点P2における傾きdi(P2)/dtと等しくなるようにする。以降これを繰り返していく。このとき、MOSFET(Q2)のスイッチング回数が多いほど、回路電流isを理想的な正弦波に近似させることが可能である。
なお、このようにMOSFET(Q1)とMOSFET(Q2)のスイッチングを相補に切り替えているのは、部分スイッチング動作と同期整流動作を組み合わせて実施しているためである。
なお、場合によっては部分スイッチング動作とダイオード整流動作を組み合わせて実施してもよい。
≪動作モードの切り替え方法1≫
入力電圧を200V、リアクトルのインダクタンス値を5.3mHとし、入力電流4A、消費電力700Wで3回オンしたとき(すなわち部分スイッチングモード)の動作波形を図16に示す。また入力電流10Aで消費電力1800Wのときの動作波形を図17に示す。入力電流4Aおよび10Aに対して、次数1~40の高調波は表1に示すようになる。また、表1には、高調波電流の規制値(例えば、IEC 61000-3-2 による規制値)を併記する。
Figure 2022185025000011
表1によれば、入力電流が大きくなるに従い、高調波電流が大きくなり、高調波電流の規制値を満足できなくなる。例えば、表1によると、入力電流10Aのときの第3次高調波は約3.864Aであり、規制値(約2.987A)を超過している。そこで、入力電流(または消費電力)が大きくなった際に、動作モードを部分スイッチングモードから高速スイッチングモードに切り替えれば、高調波電流の規制値を満足できる。より具体的に、消費電力、直流電圧Vd、および動作モードの関係を図18に示す。
図18において、直流電圧Vdは、交流電源電圧実効値Vsの√2倍よりも低くなっている。この例においてコンバータ制御部18(図1参照)は、消費電力P(直流電源装置1および負荷Hを含めた全体の消費電力)が所定の閾値Pth未満であれば、部分スイッチングモードを選択し、消費電力Pが閾値Pth以上になると、高速スイッチングモードを選択する。上述したように、本実施形態においてリアクトルL1のインダクタンス値は3~6mHであり、この範囲を採用することにより、部分スイッチングモードであっても、低負荷であれば、高調波電流の規制値を満足できる。
ここで、消費電力Pが閾値Pth以上であるか否かの判定は、必ずしも厳密でなくてもよい。すなわち、消費電力Pが実際には閾値Pthより若干低い値であるときに「閾値Pth以上である」と判断しても特に支障は生じない。このため、消費電力Pを直接的に測定する以外の種々の方法を採用することができる。例えば、電流検出部11で検出した「回路電流isの実効値が所定値を超えたか否か」を判定し、この判定結果を「消費電力Pが閾値Pth以上であるか否か」の判定結果に代えて用いることができる。
また、負荷検出部15にて検出した負荷情報を用いることもできる。例えば、負荷Hがモータやインバータである場合は、「回路電流isが所定値以上であるか否か」、「モータ電流が所定値以上であるか否か」、「インバータに流れる電流が所定値以上であるか否か」、「モータの回転速度が所定の回転速度以上であるか否か」、「インバータの変調率(インバータの出力電圧の波高値/直流電圧Vd)が所定の変調率以上であるか否か」、あるいは「直流電圧Vdが所定の閾値電圧以下になったか否か」等の判定結果を、「消費電力Pが閾値Pth以上であるか否か」の判定結果に代えて、部分スイッチングモードおよび高速スイッチングモードの切替に用いることができる。以上述べた消費電力P、回路電流is、モータ電流、インバータに流れる電流、モータの回転速度、インバータの変調率、直流電圧Vd等の量は、負荷の増減に応じて増減する量である。そこで、これらの量を総称して「負荷対応量」と呼ぶ。
動作モードを部分スイッチングモードから高速スイッチングモードに切り替える際に、直流電圧Vdが急激に上昇する場合がある。これは、部分スイッチングモードよりも高速スイッチングモードの力率が高くなるためである。力率が高くなると、回路電流isの振幅が部分スイッチングモードのときと同一であったとしても、より大きなエネルギが平滑コンデンサC1に供給され、直流電圧Vdが急激に昇圧されることがある。
このような、直流電圧Vdの急激な変動を回避するために、部分スイッチングモードから高速スイッチングモードに切り替える際に、回路電流isが通常値(従前の値)よりも低くなるように制御することが好ましい。回路電流isを操作する具体例を図19(a),(b)に示す。図19(a),(b)は、部分スイッチングモードおよび高速スイッチングモードにおける交流電源電圧vsおよび回路電流isの波形図であり、回路電流isのピーク値を破線で示す。図示のように、部分スイッチングモードにおけるピーク値よりも、高速スイッチングモードにおけるピーク値が低くなっている。このように、部分スイッチングモードから高速スイッチングモードへの切り替えの瞬間に、部分スイッチングモードにおける回路電流isに対して、高速スイッチングモードにおける回路電流isのピークが低くなるように、オン時間を調整して切り替えることで、直流電圧Vdの変動を抑えることが可能である。
同様に、高速スイッチングから部分スイッチングへの切り替え時には、上述した場合とは逆に、回路電流isの振幅が通常値(従前の値)よりも大きくなるようにオン時間を調整して切り替えるとよい。これにより、直流電圧Vdの低下を防ぐことが可能である。
更に、各制御の切り替えは電源電圧のゼロクロスのタイミングで行うことで、安定的に制御の切り替えを行うことができる。
すなわち、制御部(M)は、
動作モードを第1の動作モード(部分スイッチングモード)から第2の動作モード(高速スイッチングモード)に切り替える前に、交流電源(VS)から流れる回路電流(is)のピーク値が従前の値よりも低くなるように制御する機能と、
動作モードを第2の動作モード(高速スイッチングモード)から第1の動作モード(部分スイッチングモード)に切り替える前に、交流電源(VS)から流れる回路電流(is)のピーク値が従前の値よりも高くなるように制御する機能と、を有する。
≪動作モードの切り替え方法2≫
負荷Hが高負荷である場合には、直流電圧Vdを高くする(特に交流電源電圧実効値Vsの√2倍よりも高くする)ことがある。このような場合は、動作モードは高速スイッチングモードを選択することが好ましい。その理由は、直流電圧Vdが交流電源電圧実効値Vsの√2倍よりも高い状態で、部分スイッチングモードを採用すると、高調波電流が大きくなってしまうからである。消費電力に応じて直流電圧Vdを変更する場合における、消費電力、直流電圧Vd、および動作モードの関係の一例を図20に示す。
図20において、消費電力Pが所定値P3以下であれば、直流電圧Vdは、√2・Vs以下の値になっている。そして、消費電力Pが所定値P3よりも高い所定値P4以上になると、直流電圧Vdは、√2・Vsよりも高い所定値になっている。そして、消費電力Pが所定値P3~P2の範囲では、消費電力Pの増加に伴って直流電圧Vdが単調増加している。
図20において、動作モード(部分スイッチングモードおよび高速スイッチングモード)を切り替える境界値となる閾値Pthは、所定値P3よりも低くなっている。これにより、直流電圧Vdが√2・Vsよりも高い場合には、必ず高速スイッチングモードが採用されることが解る。上述したように、本実施形態においてリアクトルL1は3~6mHであり、このリアクトルL1によって部分スイッチングモードで高調波電流の規格値を満足できる範囲に閾値Pthを設定するとよい。これにより、リアクトルL1のインダクタンス値を3~6mHに抑制しつつ、高調波電流の規格値を充足することができる。
≪動作モードの切り替え方法3≫
負荷Hが低負荷である場合には、同期整流モードを採用すると、効率を高めることができる。そこで、低負荷の場合に同期整流モードを採用できるようにしておくことが好ましい。これを実現する場合の、消費電力、直流電圧Vd、および動作モードの関係の一例を図21に示す。
図21においては、図20と同様に、消費電力Pが所定値P3以下であれば、直流電圧Vdは、√2・Vs以下の値になっている。そして、消費電力Pが所定値P3よりも高い所定値P4以上になると、直流電圧Vdは、√2・Vsよりも高い所定値になっている。そして、消費電力Pが所定値P3~P2の範囲では、消費電力Pの増加に伴って直流電圧Vdが単調増加している。
また、図21の例においても、部分スイッチングモードおよび高速スイッチングモードを切り替える境界値となる閾値Pth2は、所定値P3よりも低くなっている。さらに、図21の例においては、閾値Pth2よりもさらに低い閾値Pth1が、同期整流モードと部分スイッチングモードとを切り替える境界値となっている。すなわち、動作モードは、P<Pth1であれば同期整流モード、Pth1≦P<Pth2であれば部分スイッチングモード、Pth2≦Pであれば高速スイッチングモードが選択される。この例において、部分スイッチングモードおよび高速スイッチングモードが採用される場合、同期整流動作は行っても行わなくてもよい。また、同期整流モードに代えて、ダイオード整流モードを適用してもよい。
なお、図18、図20、図21の各例において示されている直流電圧Vdの値は定常状態での値を示しており、動作モードの切り替え、負荷の変動、交流電源電圧実効値Vsの変動等による過渡的な変動は含まない。
[空気調和機と直流電源装置の動作]
図22は、本実施形態における空気調和機の室内機、室外機、およびリモコンの正面図である。
図22に示すように、空気調和機Aは、いわゆるルームエアコンであり、室内機100と、室外機200と、リモコンReと、不図示の直流電源装置(図1参照)とを備えている。室内機100と室外機200とは冷媒配管300で接続され、周知の冷媒サイクルによって、室内機100が設置されている室内を空調する。また、室内機100と室外機200とは、通信ケーブル(図示せず)を介して互いに情報を送受信するようになっている。更に室外機200には配線(図示せず)で繋がれており室内機100を介して交流電圧が供給されている。直流電源装置は、室外機200に備えられており、室内機100側から供給された交流電力を直流電力に変換している。
リモコンReは、ユーザによって操作されて、室内機100のリモコン送受信部Qに対して赤外線信号を送信する。この赤外線信号の内容は、運転要求、設定温度の変更、タイマ、運転モードの変更、停止要求などの指令である。空気調和機Aは、これら赤外線信号の指令に基づいて、冷房モード、暖房モード、除湿モードなどの空調運転を行う。また、室内機100は、リモコン送受信部QからリモコンReへ、室温情報、湿度情報、電気代情報などのデータを送信する。
空気調和機Aに搭載された直流電源装置の動作の流れについて説明する。直流電源装置は、高効率動作と力率の改善による高調波電流の低減と直流電圧Vdの昇圧を行うものである。そして、動作モードとしては前記のように、ダイオード整流モード、同期整流モード、高速スイッチングモード、部分スイッチングモードの4つの動作モードを備えている。
例えば負荷Hとして空気調和機Aのインバータやモータを考えた場合、負荷が小さく、効率重視の運転が望まれている場合は、直流電源装置を同期整流モードで動作させるとよい。
負荷が大きくなり、昇圧と力率の確保とが望まれている場合は、直流電源装置の動作モードとして高速スイッチングモードを採用するとよい。また空気調和機Aの定格運転時のように、負荷としてはそれほど大きくないが昇圧や力率の確保が望まれている場合には、部分スイッチングモードを採用するとよい。なお、部分スイッチングモードおよび高速スイッチングモードは、ダイオード整流と同期整流のどちらを組み合わせてもよい。
上述したように、負荷Hがモータやインバータである場合は、負荷の大きさを表すパラメータとして、消費電力P以外に、インバータやモータに流れる電流、インバータの変調率、モータの回転速度、回路電流isあるいは直流電圧Vd等を採用することができる。
例えば、負荷の大きさが閾値#1(図21の閾値Pth1に対応)以下であれば、直流電源装置は同期整流モードで動作させ、閾値#1を超え閾値#2(図21の閾値Pth2に対応)以下であれば部分スイッチングモード(ダイオード整流又は同期整流の何れかを組み合わせる)で動作させるとよい。また、負荷の大きさが閾値#2を超えたならば、直流電源装置は高速スイッチングモード(ダイオード整流又は同期整流の何れかを組み合わせる)で動作させるとよい。
以上のように、直流電源装置は、空気調和機Aの運転領域に応じた最適な動作モードに切り替えることで、高効率動作を行いつつ、高調波電流の低減を行うことが可能である。
本実施形態では、MOSFET(Q1,Q2)としてスーパージャンクションMOSFETを使用した例を説明した。このMOSFET(Q1,Q2)としてSiC(Silicon Carbide)-MOSFETやGaN(Gallium nitride)を用いたスイッチング素子用いることで、更なる高効率動作を実現することが可能である。
このように、本実施形態の直流電源装置を空気調和機Aに備えることで、小型で安価に構成でき、エネルギ効率(つまり、APF)が高く、また、信頼性の高い空気調和機Aを提供できる。空気調和機以外の機器に本実施形態の直流電源装置を搭載しても、高効率で信頼性の高い機器を提供することが可能である。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
上記実施形態の直流電源装置1は、図23に示す直流電源装置1aのように変形してもよい。図23における整流回路10aは、全波整流回路を構成するダイオードD1~D4を有している。これらは何れも独立したダイオードであって寄生ダイオードではない。また、ダイオードD3,D4には、MOSFET(Q3,Q4)が並列に接続されている。本変形例においても、リアクトルL1は3~6mHである。本変形例によれば、上記実施形態よりも、ダイオード整流モードにおける損失を小さくすることができる。
また、直流電源装置1は、図24に示す直流電源装置1bのように変形してもよい。図24における整流回路10bは、全波整流回路を構成するダイオードD1~D4を有している。さらに、接続点N1,N2間には、他の全波整流回路を構成するダイオードD5~D8が接続されており、後者の全波整流回路の出力端子にはスイッチング素子Q5が接続される。このスイッチング素子Q5のオン/オフ状態を切り替えることによって、接続点N1,N2の短絡/解放状態を切り替えることができる。本変形例においても、リアクトルL1は3~6mHである。本変形例によれば、上記実施形態よりも、スイッチング素子の数を削減することができる。
また、直流電源装置1は、図25に示す直流電源装置1cのように変形してもよい。本変形例において交流電源VSは、実効値が100~115Vであるものを想定している。図25においては、平滑コンデンサC2,C3が直列接続されており、その接続点がダイオードD1,D2の接続点N1に接続されている。これにより、本変形例に含まれる整流回路10cは、倍電圧整流回路を構成する。本変形例においても、リアクトルL1は3~6mHである。
なお、図23~図25において、省略している部分の構成は図1のものと同様である。
更に、MOSFET(Q1,Q2)として高速trrタイプの素子を用いているが、具体的にtrrを300ns以下の素子を用いることで高効率動作が可能である。
また、MOSFET(Q1,Q2)のオン抵抗に関しても小さいほど同期整流の効果が高まる。具体的にはオン抵抗が0.01Ω以下とすることで高効率動作が可能である。
上記の各構成、機能、処理部、処理手段などは、それらの一部または全部を、例えば集積回路などのハードウェアで実現してもよい。上記の各構成、機能などは、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈して実行することにより、ソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイルなどの情報は、メモリ、ハードディスクなどの記録装置、または、フラッシュメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体に置くことができる。
各実施形態に於いて、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
〈付記〉
本願の親出願の親出願の親出願における出願当初の特許請求の範囲の内容は以下の通りであるので付記する。
本願の親出願の親出願における出願当初の特許請求の範囲の内容は以下の通りであるので付記する。
[請求項1]
実効値が100V以上、230V以下の交流電圧を出力する交流電源に接続されたリアクトルと、
前記リアクトルを前記交流電源に適宜短絡するスイッチングを行いつつ、前記交流電圧を直流電圧に変換し負荷に印加する整流回路と、
前記交流電圧の半周期間に1回以上、20回以下のスイッチングを行う第1の動作モードまたは前記交流電圧の半周期間に80回以上のスイッチングを行う第2の動作モードのうち何れか一方の動作モードを、前記負荷の増減に応じて増減する量である負荷対応量と所定の閾値との比較結果に基づいて選択する制御部と、
を有し、前記リアクトルのインダクタンス値は3mH以上、6mH以下である
ことを特徴とする直流電源装置。
[請求項2]
前記整流回路と前記負荷との間に接続され、前記直流電圧を平滑化する平滑コンデンサをさらに備え、
前記整流回路は、第1および第2のダイオードと第1および第2のスイッチング素子とを有し、
前記第1のスイッチング素子は、寄生ダイオードである第3のダイオードを有し、該第3のダイオードの順方向電圧降下よりも低い飽和電圧を有するものであり、
前記第2のスイッチング素子は、寄生ダイオードである第4のダイオードを有し、該第4のダイオードの順方向電圧降下よりも低い飽和電圧を有するものであり、
前記第1のダイオードのカソードと、前記第1のスイッチング素子の一端とが前記平滑コンデンサの正極側に接続され、
前記第1のダイオードのアノードと、前記第2のダイオードのカソードとが前記交流電源の一端側に接続され、
前記第1のスイッチング素子の他端と前記第2のスイッチング素子の一端とが前記リアクトルを介して前記交流電源の他端側に接続され、
前記第2のダイオードのアノードと前記第2のスイッチング素子の他端とが前記平滑コンデンサの負極側に接続され、
前記制御部は、前記交流電圧の極性に同期して前記第1のスイッチング素子および第2のスイッチング素子を相補的にオン状態にする動作モード、または前記第1および第2のスイッチング素子を共にオフ状態にし前記第1~第4のダイオードによって整流動作を行う動作モードのうち少なくとも一方の動作モードを第3の動作モードとし、前記負荷対応量に応じて、前記第1ないし第3の動作モードのうち何れか一の動作モードを選択する機能を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の直流電源装置。
[請求項3]
前記制御部は、
前記動作モードを前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに切り替える前に、前記交流電源から流れる回路電流のピーク値が従前の値よりも低くなるように制御する機能と、
前記動作モードを前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに切り替える前に、前記交流電源から流れる回路電流のピーク値が従前の値よりも高くなるように制御する機能と
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の直流電源装置。
[請求項4]
前記直流電圧を、前記交流電圧の実効値の√2倍以上にするときは、
前記動作モードとして前記第2の動作モードを選択する
ことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の直流電源装置。
[請求項5]
前記制御部は、
前記交流電圧のゼロクロスのタイミングを検出するゼロクロス判定部を有し、
前記ゼロクロス判定部が検出したゼロクロスのタイミングで、前記動作モードを、前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに、または前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに切り替える
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の直流電源装置。
[請求項6]
前記負荷は、インバータとモータとを含むものであり、
前記負荷対応量は、消費電力、前記交流電源から流れる回路電流、前記モータに流れる電流、前記インバータに流れる電流、前記モータの回転速度、前記インバータの変調率、または前記直流電圧のうち何れかである
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の直流電源装置。
[請求項7]
前記整流回路は、前記交流電圧を前記直流電圧に変換するために複数のダイオードを含むものであり、
前記ダイオードの少なくとも一部はSiC-ショットキーバリアダイオードである
ことを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の直流電源装置。
[請求項8]
前記整流回路は、前記交流電圧を前記直流電圧に変換するために複数のスイッチング素子を含むものであり、
前記スイッチング素子の少なくとも一部は、スーパージャンクションMOSFET、SiC-MOSFET、またはGaNのうちいずれかを用いたスイッチング素子である
ことを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の直流電源装置。
[請求項9]
請求項1~8の何れか1項に記載の直流電源装置を備えた、
ことを特徴とする空気調和機。
1,1a,1b 直流電源装置
10,10a,10b 整流回路
14 ゼロクロス判定部
H 負荷
M 制御ブロック(制御部)
P 消費電力
C1 平滑コンデンサ
D1~D4 ダイオード(第1~第4のダイオード)
H 負荷
L1 リアクトル
M 制御ブロック(制御部)
P 消費電力(負荷対応量)
Q1,Q2 MOSFET(第1および第2のスイッチング素子)
VS 交流電源
Vd 直流電圧
Vs 交流電源電圧実効値(実効値)
is 回路電流(回路電流)
vs 交流電源電圧(交流電圧)

Claims (6)

  1. 交流電圧を出力する交流電源に接続されたリアクトルと、
    前記リアクトルを前記交流電源に適宜短絡するスイッチングを行いつつ、前記交流電圧を直流電圧に変換し負荷に印加する整流回路と、
    前記交流電圧のスイッチングを行う第1の動作モードまたは前記第1の動作モードより高速で前記交流電圧のスイッチングを行う第2の動作モードのうち何れか一方の動作モードを、前記負荷の増減に応じて増減する量である負荷対応量と所定の閾値との比較結果に基づいて選択する制御部と、
    前記交流電圧のゼロクロスのタイミングを検出するゼロクロス判定部と、を備え、
    前記ゼロクロス判定部が検出したゼロクロスのタイミングで、前記動作モードを、前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに切り替える際に、前記交流電源から流れる回路電流の振幅が従前の値よりも大きくなるように制御する機能
    を有することを特徴とする直流電源装置。
  2. 前記動作モードを前記第2の動作モードから前記第1の動作モードに切り替える際には、前記交流電源から流れる回路電流のオン時間を調整して切り替える機能
    を有することを特徴とする請求項1に記載の直流電源装置。
  3. 前記制御部は、前記ゼロクロス判定部が検出したゼロクロスのタイミングで、前記動作モードを前記第1の動作モードから前記第2の動作モードに切り替える際に、前記交流電源から流れる回路電流の振幅が従前の値よりも小さくなるように制御する機能
    を有することを特徴とする請求項1または2に記載の直流電源装置。
  4. 前記直流電圧を、前記交流電圧の実効値の√2倍以上にするときは、前記動作モードとして前記第2の動作モードを選択する
    ことを特徴とする請求項3に記載の直流電源装置。
  5. 前記リアクトルのインダクタンス値は3mH以上、6mH以下である
    ことを特徴とする請求項4に記載の直流電源装置。
  6. 請求項1に記載の直流電源装置を備えた、
    ことを特徴とする空気調和機。
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