JP3688114B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、面放電型交流駆動方式のプラズマディスプレイパネル(PDP)に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型で且つ薄型のカラー表示装置として面放電型交流駆動方式のPDPの実用化が期待されている。従来の面放電型交流駆動方式のPDPの構造の一例を図14に示す。図14において、表示面側となる前面ガラス基板1には、対をなす複数の行電極X,Y、行電極X,Yを被覆する誘電体層4、誘電体層4を被覆するMgOからなる保護層5が形成されている。行電極X,Yは、幅の広いITO等の透明導電膜からなる透明電極2とその導電性を補う幅の狭い金属膜からなる金属電極(バス電極)3とから構成されている。
【0003】
一方、背面側の背面ガラス基板6には、行電極X,Yと直交する方向に配列された列電極D、列電極Dを被覆する蛍光体層7が形成されている。前面ガラス基板1と背面ガラス基板6とは、放電空間8を介して互いに離間配置されている。放電空間8内には希ガスが封入されている。そして、行電極対X,Yと列電極Dの各交差部を中心として画素セル(単位発光領域)が形成されている。
【0004】
上述の誘電体層4は、例えば酸化鉛(PbO)を含む低融点ガラスペーストを行電極X,Y上に塗布し、焼成して形成される。また、金属膜は透明導電膜の導電性を補うために低抵抗であることが要求されることから、Al(アルミニウム)、Al合金又はAg(銀)などが用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の面放電型AC−PDPでは、行電極が全て同一平面上にあるために、電極間に電位差を与えると、放電空間内の電位分布は図15に示すような歪んだ分布となり、放電空間内の電界強度が弱くなり、放電開始電圧が高くなるという欠点があった。また、アドレス電極の電位やリブの高さの影響も受け易く、不安定な動作となることがあった。本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、放電開始電圧を低下させ、信頼性を向上させたプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、放電空間を介して対向配置された一対の基板の内の表示面側の基板の内面に、放電ギャップを挟んで配列された対をなす複数の電極と、電極を放電空間に対して被覆する誘電体層とを備えたプラズマディスプレイパネルであって、電極は、金属膜からなり表示ライン方向に伸びる本体部と、透明導電膜からなり本体部から放電ギャップ側に突出する突出部と、から構成され、表示面側の基板の内面に溝を設け、溝の側壁面上に放電ギャップ近傍の突出部の一部を形成し、突出部の一部以外の部分となる突出部の他の部分を対をなす突出部の他の部分同士で同一平面上に形成したことを特徴とする。また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載のプラズマディスプレイパネルであって、対をなす突出部の一部同士は放電ギャップを介して互いに対向する部分を含むことを特徴とする。また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイパネルであって、突出部を放電セル毎に島状に独立させたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、請求項1〜3いずれか1記載のプラズマディスプレイパネルであって、溝は、表示面側の基板の内面に形成された透明中間層に形成されていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、請求項1〜3いずれか1記載のプラズマディスプレイパネルであって、溝は、表示面側の基板に直接形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項に記載の発明は、請求項1〜3いずれか1記載のプラズマディスプレイパネルであって、誘電体層は、放電ギャップ上を除いた部分に形成されていることを特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明によるプラズマディスプレイパネルによれば、溝内に放電ギャップ近傍の電極の一部を形成したので、溝内に電極の対向部が形成され、対向部の電位分布が一様となり、電界強度が増し、その結果放電開始電圧が低下する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1乃至図3は、1の面放電型PDPを説明するための図であり、図1は、1のPDPの平面図、図2は、図1のPDPのA−A方向の断面図、図3は、電位分布を説明するための図である。
【0012】
図1及び図2において、対をなす行電極X,Yは、表示ラインL方向に伸びる本体部と放電ギャップGを挟んで対向する突出部とから構成されている。本体部は金属膜からなる金属電極3で構成され、突出部は島状の透明導電膜(ITO等)からなる透明電極2で構成されている。透明電極2の放電ギャップGとは反対側の縁部が金属電極3と電気的に接続されている。また、隔壁9は、行電極X,Yの伸長方向に放電空間を区画して画素セル(単位発光領域)を形成している。尚、放電ギャップG内の点線で囲まれた部分、すなわち行電極X,Yの対向する突出部間の点線で囲まれた部分20は、後述する誘電体層が形成されていない部分を示す。
【0013】
図2において、表示面側となる前面ガラス基板1には、対をなす行電極X,Y、行電極X,Yを被覆する誘電体層4、誘電体層4を被覆するMgOからなる保護層5が形成されている。誘電体層4は、行電極X,Yの対向する突出部間の所定領域、すなわち放電ギャップG上を除いて形成されている。
【0014】
一方、背面側の背面ガラス基板6には、行電極X,Yと直交する方向に配列された列電極D、列電極Dを被覆する蛍光体層7、列電極D間に配置された図示せぬ隔壁9が形成されている。前面ガラス基板1と背面ガラス基板6とは、放電空間8を介して互いに離間配置されている。放電空間8内には希ガスが封入されている。そして、行電極X,Yと列電極Dの各交差部を中心として画素セル(単位発光領域)が形成されている。
【0015】
このように、行電極X,Yの対向する突出部(透明電極2,2)間に誘電体層4が形成されていないため、放電空間8内の放電ギャップGが対をなす行電極X,Yに近付き、また対をなす行電極X,Y間に電圧を印加すると、従来誘電体層4内にあった電気力線が放電空間8内に現れる。そして、図3に示すように、対をなす行電極X,Yの各突出部の周囲に電界Eが生じ、等電位線が破線で示されるような電位分布となり、放電空間8内の放電ギャップGにおいて等電位線の密度が高くなる。従って、放電空間8内の放電ギャップGでの電界強度が強くなり、放電開始電圧を下げることができる。
【0016】
上述の1の面放電型PDPでは、放電ギャップG内の所定領域に誘電体層4を形成しないように構成したが、放電ギャップG内の所定領域上の誘電体層を他の領域より薄く形成した凹部を設け、凹部内の電界強度を強めるようにしても良い。
【0017】
次に本発明の第実施形態について図4及び図5に基づいて説明する。図4は、第2実施形態によるPDPの断面図、図5は、電位分布を説明するための図である。図1乃至図3と同じ構成部分については、同じ符号を用い詳細な説明は省略する。
【0018】
図4及び図5において、上述の1の面放電型PDPとの相違点は、前面ガラス基板1上に放電ギャップGの幅と同程度の幅を有する溝11を有する透明中間層10を設け、溝11の側壁11aに行電極X,Yの対向する突出部の先端部(透明電極2,2の放電ギャップG近傍の一部)を配置するとともに誘電体層4を行電極X,Yを略一様な厚さで被覆する第1誘電体層4aとそれに重ねて本体部、すなわち金属電極3上に設けられた第2誘電体層(嵩上げ誘電体層)4bとで構成したことにある。
【0019】
透明中間層10は、前面ガラス基板1上に一様に形成された低融点ガラス層からなり、サンドブラスト法等によるエッチングにより溝11を設けている。行電極X,Yは、第1実施形態と同様に表示ライン方向に伸びる本体部と放電ギャップGを挟んで対向する突出部とから構成されている。突出部は、島状の透明導電膜(ITO等)からなる透明電極2で構成され、その放電ギャップGとは反対側の縁部が金属膜からなる金属電極3で構成される本体部と電気的に接続されている。
【0020】
溝11の側壁11aには対となる行電極X,Yの突出部の先端部(透明電極2,2の放電ギャップ近傍の一部)が対向する対向部が形成され、第1誘電体層4aの透明中間層10の溝11に対応した部分には凹部21が形成される。従って、凹部21内の透明電極2,2が対向する部分の電位分布は、図5に示すように一様な分布となり、電界強度が強くなる。放電は、この対向部から始まるため、結果的に放電開始電圧を下げることができる。この対向部の電位分布は、隔壁の高さやアドレス電位の影響を受けにくいため、放電特性が安定する。
【0021】
また、上述の誘電体層4の凹部21により隔壁と保護層5の間に隙間が生じるが、突出部を構成する透明電極2を画素セル(放電セル)毎に島状に独立させているため、隣接セルの誤放電を防ぐことができる。さらに、金属電極3上の誘電体層4の表面を他の部分に対して突出させる第2誘電体層4bにより、放電の不要な広がりを抑制でき、隣接する放電セルの誤放電を防ぐことができる。
【0022】
次に本発明の第実施形態について図6及び図7に基づいて説明する。図6は、第3実施形態によるPDPの平面図、図7は、図6のPDPのA−A方向の断面図を示している。図4と同じ構成部分については、同じ符号を用い詳細な説明は省略する。
【0023】
図6及び図7において、上述の第実施形態との相違点は、前面ガラス基板1上に放電ギャップGの幅と同程度の幅を有する溝12を直接設け、溝12の側壁12aに行電極X,Yの対向する突出部の先端部(透明電極2,2の放電ギャップG近傍の一部)を配置し、透明電極2,2を放電ギャップG近傍の幅広部とそれに続く幅狭部で構成し、誘電体層4を溝12の底部12bの中央部を除いて行電極X,Yを覆うように形成したことにある。
【0024】
図6及び図7において、行電極X,Yの対向する突出部(透明電極2,2の幅広部)間の点線で囲まれた部分22は、溝12に対応する部分を示す。尚、図示していないが、第2実施形態と同様に誘電体層4に重ねて金属電極3上に第2誘電体層(嵩上げ誘電体層)を設けるようにしても良い。
【0025】
溝12の底部12bの中央部、すなわち放電ギャップG上に誘電体層4を形成していないため、行電極X,Yの対向部の放電空間が広がり、第実施形態に比して放電開始電圧をより低くすることができる。また透明電極2,2をT字状、すなわち放電ギャップG近傍の幅広部とそれに続く幅狭部で構成しているため、放電開始電圧を低く保ったまま、放電電流を減らせることができる。
【0026】
次に本発明の第実施形態について図8及び図9に基づいて説明する。図8は、第実施形態によるPDPの平面図、図9は、図8のPDPのA−A方向の断面図を示している。図4と同じ構成部分については、同じ符号を用い詳細な説明は省略する。
【0027】
図8及び図9において、上述の第実施形態との相違点は、行電極X,Yを幅広いITO等の透明導電膜からなる帯状の透明電極2とその導電性を補う幅の狭い金属膜からなる金属電極(バス電極)3とで構成し、透明中間層10に隔壁9に対向する領域で断続する溝13を設け、溝13の側壁13aに行電極X,Yの対向する突出部の先端部(透明電極2,2の放電ギャップG近傍の一部)を配置し、誘電体層4を、溝13の底部13bの中央部を除いて行電極X,Yを覆うように形成したことにある。
【0028】
図8において、行電極X,Yの対向する突出部(透明電極2,2の幅広部)間の点線で囲まれた部分23は、溝13に対応する部分を示す。尚、図示していないが、第実施形態と同様に誘電体層4に重ねて金属電極3上に第2誘電体層(嵩上げ誘電体層)を設けるようにしても良い。
【0029】
溝13の底部13bの中央部に誘電体層4を形成していないため、行電極X,Yの対向部の放電空間が広がり、第実施形態に比して放電開始電圧をより低くすることができる。また、溝13は隔壁9に対向する領域で途切れているため、隔壁9と保護層5の間に隙間が生じず、透明電極2を帯状に形成しても隣接セルの誤放電が起こりにくくなる。
【0030】
次に本発明の第実施形態について図10及び図11に基づいて説明する。図10は第実施形態によるPDPの平面図、図11は図10のPDPのA−A方向の平面図を示している。図6及び図7と同じ構成部分については、同じ符号を用い詳細な説明は省略する。
【0031】
図10及び図11において、上述の第実施形態との相違点は、放電セル内に行電極X,Yの伸長方向に平行に配列された複数の溝12を設け、各溝12の側壁12aに放電ギャップGを介して対向する透明電極2,2を配置したことにある。
【0032】
行電極X,Yは、本体部(金属電極3)と放電セル毎に本体部から突出する突出部(透明電極2)を有し、突出部は、本体部(金属電極3)の伸長方向(第1の方向)とは直交する方向(第2の方向)に伸びる第1の部分2aと第1の部分から所定間隔をもって第1の方向に伸び第2の部分2b及び第3の部分2cとで構成されている。行電極Xの透明電極2の第2の部分2bと行電極Yの透明電極2の第3の部分2c、行電極Xの透明電極2の第3の部分2cと行電極Yの透明電極2の第3の部分2c、行電極Xの透明電極2の第3の部分2cと行電極Yの透明電極2の第2の部分2bのそれぞれ放電ギャップGを介して対向する一部が各溝12の側壁12aに配置されている。
【0033】
上述の第1乃至第実施形態の場合、放電が凹部又は溝内及びその近傍に制限され、発光面積が少なくなり、輝度が低下する恐れがあるが、本実施形態では、複数の溝内に行電極X,Yの対向部を設けることにより発光面積を増大させ、輝度の低下を防止することができる。
【0034】
次に本発明の第実施形態について図12及び図13に基づいて説明する。図12は第実施形態によるPDPの平面図、図13は図12のPDPのA−A方向の断面図を示している。図10及び図11と同じ構成部分については、同じ符号を用い詳細な説明は省略する。上述の第実施形態との相違点は、突出部の第1の部分2aを隔壁9に対応する位置に配置し、金属電極で構成したことにある。
【0035】
上述の第及び第実施形態において、溝12を放電セル毎に断続して形成するようにしても良い。この場合、溝12は隔壁9に対向する領域で途切れているため、隔壁9と誘電体層4の間に隙間が生じず、透明電極2を帯状に形成しても隣接セルの誤放電が起こりにくくなる。また、上述の第及び第実施形態では、溝12を前面ガラス基板1に直接設ける例を示したが、上述の第2実施形態と同様に前面ガラス基板1上に透明中間層を設け、透明中間層に溝12を形成するようにしても良い。
【0036】
さらに、透明電極を溝12内にのみ配置するように形成しても良い。また、上述の第実施形態では、突出部の第1の部分2aを金属電極で構成する例を示したが突出部の第1の部分2aを透明電極で構成するようにしても良い。また、金属電極は、第2の方向において隣接する放電セル間で共通化しても良い。
【0037】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によるプラズマディスプレイパネルによれば、溝内に放電ギャップ近傍の電極の一部を形成したので、溝内に電極の対向部が形成され、対向部の電位分布が一様となり、電界強度が増し、その結果放電開始電圧が低下する。よって、発光特性の安定したプラズマディスプレイパネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1の面放電型PDPの平面図である。
【図2】図1の断面図である。
【図3】図1のPDPにおける電位分布を説明するための図である。
【図4】本発明の第実施形態による面放電型PDPを説明するための断面図である。
【図5】図4の面放電型PDPにおける電位分布を説明するための図である。
【図6】本発明の第実施形態による面放電型PDPを説明するための平面図である。
【図7】図6の断面図である。
【図8】本発明の第実施形態による面放電型PDPを説明するための平面図である。
【図9】図8の断面図である。
【図10】本発明の第実施形態による面放電型PDPを説明するための平面図である。
【図11】図10の断面図である。
【図12】本発明の第実施形態による面放電型PDPを説明するための平面図である。
【図13】図12の断面図である。
【図14】従来の面放電型PDPを説明するための断面図である。
【図15】従来の面放電型PDPにおける電位分布を説明するための図である。
【符号の説明】
1・・・・前面ガラス基板
2・・・・透明電極
3・・・・金属電極(バス電極)
4・・・・誘電体層
5・・・・保護層
6・・・・背面ガラス基板
7・・・・蛍光体層
8・・・・放電空間
9・・・・隔壁
10・・・・透明中間層
11,12,13・・・・溝
D・・・・列電極
G・・・・放電ギャップ
X,Y・・・・行電極

Claims (6)

  1. 放電空間を介して対向配置された一対の基板の内の表示面側の基板の内面に、放電ギャップを挟んで配列された対をなす複数の電極と、前記電極を前記放電空間に対して被覆する誘電体層とを備えたプラズマディスプレイパネルであって、
    前記電極は、金属膜からなり表示ライン方向に伸びる本体部と、透明導電膜からなり前記本体部から前記放電ギャップ側に突出する突出部と、から構成され、前記表示面側の基板の内面に溝を設け、前記溝の側壁面上に前記放電ギャップ近傍の前記突出部の一部を形成し、前記突出部の一部以外の部分となる前記突出部の他の部分を前記対をなす前記突出部の他の部分同士で同一平面上に形成したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記対をなす前記突出部の一部同士は前記放電ギャップを介して互いに対向する部分を含むことを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記突出部を放電セル毎に島状に独立させたことを特徴とする請求項1又は2に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記溝は、前記表示面側の基板の内面に形成された透明中間層に形成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記溝は、前記表示面側の基板に直接形成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 前記誘電体層は、前記放電ギャップ上を除いた部分に形成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1記載のプラズマディスプレイパネル。
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