JP3687799B2 - 扉の蝶番構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は書庫、間仕切等に用いられる扉の蝶番構造に関し、更に詳しくは、扉の開度を大きくできるとともに、扉をスムーズに開閉動作させることができる扉の蝶番構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、書庫、間仕切等の本体前面には該本体開口部を開閉する扉が蝶番を介して枢着されている。この種の書庫、間仕切等においては外観の美しさが要求されるので、一般に、扉は本体の開口部だけでなく本体前面の外縁部近傍まで覆う大きさに形成される。特に壁面書庫等のように複数個の書庫が並設される場合、閉扉時に隣接する扉の間に大きな隙間を作らないように扉のサイズが定められる。したがって、このような扉を本体前面或いは隣接する書庫の扉と干渉しないように、また、本体内部の引出し或いは収納物等の出し入れに支障が生じないように、スムーズに大きく開動させることができる蝶番構造が必要になる。そして大型の重い扉であっても支障なく開閉動可能に支持できる蝶番構造が必要になる。
【0003】
上記の要求を満たすためには、扉を開方向に回動させるときに先ず扉全体を本体の前方に移動させることができる蝶番構造が必要である。そこで幾つかの蝶番構造が提案されているが、代表的なものについて説明すると、実開昭63−89078号公報に開示された扉の蝶番構造は、本体に取り付けられる取付板の両端とヒンジアームの両端とを各々連結板を介して連結して四節リンク構造を構成し、このヒンジアームの延長端に更に枢軸を介して扉を回動可能に支持したものとなっている。この蝶番構造によれば、四節リンクにより、先ずヒンジアームを本体の前方に移動させることができ、さらに扉をヒンジアームに対し回動させることで扉を大きく開くことができる。一方、実開平1−138080号公報に開示されている扉の蝶番構造は、本体に取り付けられる取付板に2つのピンを介して2つの連結板の一端部を各々連結し、さらに両連結板の他端部に梃子板の両端部を各々ピンを介して連結することにより、四節リンクを構成し、上記梃子板と連結板とを連結する2つのピンのうちの一方に扉を枢支したものとなっている。この蝶番構造においても、扉を開けるときに四節リンクの動作により扉全体を本体の前方に移動させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した2つの従来例においては、扉の開度を大きくとるために、扉は四節リンクのうちの1つに対し枢支されて四節リンクの動きとは独立して回動する構成となっているため、本体に対する扉の開閉動作が一定のものにならず、操作し難いという問題があった。また、扉は四節リンクのうちの1つに対し1つの枢支ピンを介して枢支されているにすぎないため、大型で重い扉の場合、十分な支持強度を確保することが難しく、使用している間に扉が動きにくくなったり、ガタが生じやすいという問題があった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、扉の大きな開度を確保しつつ、扉をスムーズに開閉動作させることができる扉の蝶番構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明にあっては、本体の前面の開口部を開閉する扉の蝶番構造であって、前記本体に設けられた本体側ベースに、第1リンクの一端部を回動自在に取り付け、該第1リンクの他端部に第2リンクの一端部を回動自在に取り付け、該第2リンクの他端部を扉側に設けられた扉側ベースに回動自在に取り付け、第3リンクの一端部を前記本体側ベースに、他端部を前記扉側ベースにそれぞれ回動自在に取り付け、更に、該第3リンクの一端部と前記第1リンクの一端部とに互いに噛合するギヤ部を形成したことを特徴としている。
【0007】
【作用】
上記構成を有する扉の蝶番構造によれば、扉の開閉動作すると、第1,第3リンクはギヤ部が噛合しているので互いに反対方向に回動し、更に、この第1リンクには第2リンクが連結されているため、各リンクに支持された扉は、本体の前面や隣接する書庫等の扉に干渉することなく扉を開動させることができる。しかも、ギヤ部が噛合して四節リンク機構を構成しているため、扉は一義的な開閉動作をすることとなるので、扉の開閉操作がしやすくなり、扉をスムーズに開閉動作させることができる。さらに、扉は第1,第2リンク及び第3リンクに支持されているので、本体に対する支持強度が高くなり、扉のスムーズな開閉動作を長期間維持することができる。さらにまた、扉を180°開成した状態では、扉の側面部が、本体開口部の内側に突出することを防止でき、書物等の出入れの邪魔になることがなく、使い勝手が良好である。
【0008】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例につき説明する。
【0009】
図1乃至図7は本発明の一実施例を示したもので、図1は書庫1の全体斜視図である。図1を参照すると、書庫1は前面が開口した書庫本体2と、この本体2の開口部2aを開閉するための左右一対の扉3,3とを備えている。このような書庫1は、扉3,3を開けて本体内の引出し或いは書類等の収納物を出し入れすることができる。
【0010】
これら扉3,3は、図1中符号イ,ロ,ハ,ニの四隅に配設された蝶番10…により書庫本体2に開閉自在に支持されている。
【0011】
以下では、符号イの位置に配設された蝶番10を参照して説明する。
【0012】
まず、この隅部の書庫本体2は、図3に示すように、床部に挿入開口2bが形成され、この挿入開口2bを介して本体側ベース11の一部が挿入されて固定されている。
【0013】
また、扉3の裏面部3aには、本体側ベース11と対応した位置に、扉側ベース12が固定されている。
【0014】
この本体側ベース11には、図2等に示すように、第1リンク13の一端部13aが皿リベット14により回動自在に取り付けられ、この第1リンク13の他端部13bに第2リンク15の一端部15aが皿リベット14により回動自在に取り付けられ、更に、この第2リンク15の他端部15bが皿リベット14により扉側ベース12に回動自在に取り付けられている。
【0015】
また、図2中符号16は第3リンクで、この第3リンク16には、上下方向の中央部に本体側ベース11の先端部が挿入されるスリット16cが形成され、この第3リンク16の一端部16aが皿リベット14を介して本体側ベース11に、他端部16bが皿リベット14を介して扉側ベース12に皿リベット14を介してそれぞれ回動自在に取り付けられている。
【0016】
更に、この第3リンク16の一端部16aには、略半円周上にギヤ部16dが形成される一方、前記第1リンク13の一端部13aには、全周に渡ってギヤ部13cが形成され、両ギヤ部13c,16dが互いに噛合している。
【0017】
なお、部位ロ,ハ,ニについても上述と略同様の構造を呈しているので、説明を省略する。
【0018】
次に、作用について説明する。
【0019】
まず、図3に示す扉3の閉成状態では、扉3の側面部3cが書庫本体2の側面部2fの外面2gより隣接する書庫側に突出しないように設定されている。この状態から、扉3を開成すべく、扉3を矢印方向に回動させると、両ギヤ部13c,16dが噛合しているため、第1リンク13は時計廻りに回動し、第3リンク16は反時計廻りに回動する。回動量は、ギヤ比により所望の値に設定する。そして、図7の(a),(b),(c)に示すように回動して行き、(d)で全開状態となる。全開状態では、扉3は書庫本体2の前面に当たることなく閉成状態から180°回動すると共に、扉3が180度開いた状態では扉3は閉じた状態と比較して本体2から扉3一枚の厚さ分だけ前方に移動する。このため書庫1が横方向に並設されている場合に、ある書庫1の扉3を開放する場合に隣の書庫の扉が邪魔になって開放できないということがない。
【0020】
また、上記機構により扉3を開成した場合には、図7の(d)に示すように、扉3の側面部3cが、書庫本体2の側面部2fの内面2hより内側(開口部2a内側)に突出していないため、書物等を出入れするのに、扉3の側面部3cが邪魔にならず、使い勝手が良好である。
【0021】
さらに、第1リンク13と第3リンク16とが互いに噛合され限定された動作を行うことから、各リンク13,15,16等により四節リンク機構が構成されることになり、扉3は常に一義的な動きをすることとなるので、扉3の開閉操作がしやすくなり、扉3をスムーズに開閉動作させることができる。
【0022】
さらにまた、扉3は各蝶番10毎に第1,第2リンク13,15及び第3リンク16にて支持されているので、書庫本体2に対する支持強度が高くなり、扉3のスムーズな開閉動作を長期間維持することができる。
【0023】
以上実施例につき説明したが、本発明は上記実施例の態様のみに限定されるものではなく、例えば、各リンク13,15,16等の形状は上記実施例の形状に限らず他の形状でも良く、また、上記実施例の書庫1は左右2つの扉3が左右に開く形式のものであるが、左方、右方または上方のみに開く単一の扉を備えたものであってもよい。また、本発明は書庫に限らず、扉を有するものであれば、例えば間仕切り等にも同様に適用することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明から明かなように、本発明によれば、扉の開閉動作すると、第1,第3リンクはギヤ部が噛合しており、互いに反対方向に回動し、更に、第1リンクには第2リンクが連結されているため、各リンクに支持された扉は、本体の前面や隣接する書庫等の扉に干渉することなく扉を開動させることができる。しかも、ギヤ部が噛合して四節リンクを構成しているため、扉は一義的な開閉動作をすることとなるので、扉の開閉操作がしやすくなり、扉をスムーズに開閉動作させることができる。さらに、扉は第1,第2リンク及び第3リンクに支持されているので、本体に対する支持強度が高くなり、扉のスムーズな開閉動作を長期間維持することができる。さらにまた、扉を180°開成した状態では、扉の側面部が、本体開口部の内側に突出することを防止でき、書物等の出入れの邪魔になることがなく、使い勝手が良好な扉の蝶番構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る蝶番を使用した書庫の全体斜視図である。
【図2】同実施例の蝶番を示す分解斜視図である。
【図3】同実施例を示す蝶番の配設状態を示す水平方向に沿う断面図である。
【図4】同実施例を示す扉全開状態の蝶番の正面図である。
【図5】同実施例を示す扉全開状態の蝶番の平面図である。
【図6】同実施例を示す扉全開状態の蝶番の底面図である。
【図7】同実施例の作用を示す説明図である。
【符号の説明】
1 書庫
2 書庫本体(本体)
3 扉
10 蝶番
11 本体側ベース
12 扉側ベース
13 第1リンク
13a 一端部
13b 他端部
13c ギヤ部
15 第2リンク
15a 一端部
15b 他端部
16 第3リンク
16a 一端部
16b 他端部
16d ギヤ部
Claims (1)
- 本体の前面の開口部を開閉する扉の蝶番構造であって、前記本体に設けられた本体側ベースに、第1リンクの一端部を回動自在に取り付け、該第1リンクの他端部に第2リンクの一端部を回動自在に取り付け、該第2リンクの他端部を扉側に設けられた扉側ベースに回動自在に取り付け、第3リンクの一端部を前記本体側ベースに、他端部を前記扉側ベースにそれぞれ回動自在に取り付け、更に、該第3リンクの一端部と前記第1リンクの一端部とに互いに噛合するギヤ部を形成したことを特徴とする扉の蝶番構造。
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JP05715995A JP3687799B2 (ja) | 1995-03-16 | 1995-03-16 | 扉の蝶番構造 |
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JP05715995A Expired - Fee Related JP3687799B2 (ja) | 1995-03-16 | 1995-03-16 | 扉の蝶番構造 |
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1995
- 1995-03-16 JP JP05715995A patent/JP3687799B2/ja not_active Expired - Fee Related
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