JP3682117B2 - チオ(メタ)アクリレートモノマーを基礎とする重合可能な組成物、該組成物から得られる黄色度の小さいポリマー、及び、該組成物、ポリマーを用いた目に着用するレンズ - Google Patents

チオ(メタ)アクリレートモノマーを基礎とする重合可能な組成物、該組成物から得られる黄色度の小さいポリマー、及び、該組成物、ポリマーを用いた目に着用するレンズ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チオ(メタ)アクリレートモノマーを基礎とし、黄色度が小さい透明な有機ポリマーが得られる重合可能な組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
この数年来、既知の有機ポリマー材料から作られたレンズと同じ光学的特質を保証しつつ、更に薄く、従って更に軽い、目に着用するレンズへの要求が高まっている。この要求を満たすために様々な材料が開発されている。
最近、眼科の分野で試みられているのは、チオ(メタ)アクリレート類の一群の化合物である。これらのモノマー単独で、もしくは他のコモノマー(comonomer)の共存下でこれらのモノマーを重合して得られる材料は、1.6、もしくは1.6以上にもなる高い屈折率(n)を持つ。従って、この高い屈折率のおかげで、これらの材料を用いて、同等の矯正力(光学力)を持つより薄いレンズを製造することが可能である。このような材料や眼科分野でのこれら材料の応用例は、特に、米国特許第US−A −4,606,846 号、ヨーロッパ特許出願第EP−A −273,661 号、ヨーロッパ特許出願第EP−A −273,710 号、ヨーロッパ特許出願第EP−A −382,477 号、ヨーロッパ特許出願第EP−A −384,725 号、およびヨーロッパ特許出願第EP−A −394,495 号に記載されている。
【0003】
しかし、これらの材料は、高い黄色度を持つという欠点を持つ。重合反応の後に色が残らないと同時に、機械的特性、特に熱に関する機械的特性を保ちつつ、エージング(老化)への抵抗力が保たれ、もしくは、むしろ改善される、すなわち、経年に渡る紫外光の照射により黄色度が増すことが避けられるポリマーを得ることが望ましい。
例えば、エシロールにより出願されているフランス特許出願第FR−A −2,699,541 号に記載されているように、芳香族モノマー、とくに、ビスフェノールAから誘導されるポリエトキシレートジ(メタ)アクリレートをこれら誘導体に関し少なくとも50重量%含む混合物を重合可能な混合物と共に用い、アリルアルコールから誘導される抗黄変剤を使用することが、既に推奨されている。
【0004】
フランス特許出願第FR−A −2,699,541 号記載の透明な組成物が特に目に着用するレンズへの応用に優れていることは明らかではあるが、目に着用するレンズの分野で有用で、熱に関する機械的特性が良好で、黄色度が低く、約1.6という高い屈折率(n)を持つ透明なポリマー組成物を構成できることは眼科分野で望ましいことであろう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上述の問題を解決するために、上記分野で有用であり、且つ熱に関する機械的特性が良好で、黄色度が低く、高い屈折率を持つ、特定のモノマーからなる透明なポリマー組成物と、該ポリマー組成物の製造方法と、該ポリマー組成物を用いて製造される目に着用するレンズ等およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意研究を重ね、チオ(メタ)アクリレート等を含有する組成物より、熱に関する機械的特性が良好で、黄色度が低く、高い屈折率を持つポリマー組成物を得ることができることを知見し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、少なくとも一つのチオアクリレート基、もしくは、チオメタクリレート基を含むモノマー(I)もしくはモノマー(I)の混合物を少なくとも10重量%と、ラジカル反応により共重合可能な一つもしくはそれ以上のモノマー(II)、モノマー(II)の中でも好ましくは単官能もしくは多官能のビニル基、アクリレート基、もしくはメタクリレート基を0〜90重量%とを含有する構成成分Aと、;
芳香族系には寄与しない不飽和エチレンを含み、該不飽和エチレンに対してα位にフリーな水酸基を持つ炭素原子を有する、一つもしくはそれ以上のモノマー(III)を、構成成分Aの重量に関し0.1〜15重量%含有する構成成分Bと;
を含有する透明なポリマー組成物を提供する。
【0008】
前記モノマー(III)が、前記不飽和エチレンに対してα位に、少なくとも一つの水素原子に結合したフリーな水酸基を持つ炭素原子を含むポリマー組成物を提供する。
【0009】
前記モノマー(III)が下記式で示されるポリマー組成物を提供する。
【化9】
Figure 0003682117
(式中、Ra とRb は、水素を表すか、;
もしくは、Ra とRb の一つが水素を表し、他方が、一つもしくはそれ以上の直鎖もしくは分岐したC1 〜C4 アルキル基、又は、一つもしくはそれ以上のC2 〜C4 アルキレン基と置換されていてもよいC5 〜C10環をRe と形成するか、;
もしくは、Ra とRb の一つが水素を表し、他方が、C1 〜C6 の脂肪族アルキル基、C4 〜C16環状炭化水素基、もしくはC6 〜C16の芳香族炭化水素基を表す。
c 、Rd およびRe は、各々独立に、水素、または、一つもしくはそれ以上の水酸基により置換されていてもよく、一つもしくはそれ以上のエーテル、エステル、ケトン基を鎖構造の中に含むC1 〜C6 のアルキル基、または、C6 〜C16の芳香族炭化水素基、または、C4 〜C16の環状炭化水素基を表す。
e は、Ra とRb 基の一つと、一つもしくはそれ以上の直鎖もしくは分岐したC1 〜C4 アルキル基、又は、一つもしくはそれ以上のC2 〜C4 アルキレン基で置換されていてもよいC5 〜C10環を形成してもよい。
c とRd は、一つもしくはそれ以上のC1 〜C4 アルキル基、又は、C2 〜C4 アルキレン基で置換されていてもよいC5 〜C10環を形成してもよい。このC5 〜C10環の2もしくはそれ以上の炭素原子は、Ra もしくはRb 、およびRe と共に、もしくは、Rc およびRd と共に、炭化水素架橋構造により結合されていてもよい。)
【0010】
前記Ra と前記Rb が水素を表し、前記Rc がメチル基を表し、前記Rd が水素もしくはメチル基を表し、前記Re が水素、メチル基、エチル基、もしくは−CH2 OHを表すポリマー組成物を提供する。
【0011】
前記モノマー(III)が、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、2−シクロヘキセン−1−オール、トランス−2−ヘキセン−1−オール、シス−2−ブテン−1,4−ジオール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、トランス−2−メチル−3−フェニル−2−プロペン−1−オール、3−ブテン−2−オール、カルベオール、ミルテノール、ベルベノール、およびトランス−シンナミルアルコールからなる群より選ばれるいずれか一つであるポリマー組成物を提供する。
【0012】
前記モノマー(I)が下記式で表されるポリマー組成物を提供する。
【化10】
Figure 0003682117
(式中、Rは、直鎖もしくは分岐した1価もしくは多価の脂肪族炭化水素基、もしくは、芳香族環もしくは介在する直鎖状のアルキル鎖によりチオ(メタ)アクリレート基もしくは複数のチオ(メタ)アクリレート基の硫黄原子に結合するアリール基を表す。Rは、その鎖構造の中に、−O−、−S−、及びカルボニル基から選ばれる一つもしくはそれ以上の官能基を含むことが可能である。
1 は水素もしくは−CH3 を表し、nは1〜6の整数である。)
【0013】
前記nが1〜3の整数であるポリマー組成物を提供する。
【0014】
前記モノマー(I)が下記式からなる群より選ばれる何れか一つであるポリマー組成物を提供する。
【化11】
Figure 0003682117
【化12】
Figure 0003682117
【化13】
Figure 0003682117
【化14】
Figure 0003682117
【0015】
前記モノマー(I)が、前記構成成分Aの20〜60重量%であるポリマー組成物を提供する。
【0016】
前記コモノマー(II)が1価もしくは多価のビニル基、アクリル基、およびメタクリル基からなるコモノマーから選ばれるポリマー組成物を提供する。
【0017】
前記構成成分Aが、コモノマー(II)の混合物よりなり、該コモノマーの少なくとも一つが下記式(IV)で表されるコモノマーであるポリマー組成物を提供する。
【化15】
Figure 0003682117
(式中、R1 とR2 は各々独立に、水素、もしくはC1 〜C6 の低級アルキル基を示す。Xは下記式で表される官能基の何れかを表す。m+nの和は0以上10以下である。)
【化16】
Figure 0003682117
【0018】
前記式(IV)で示される前記コモノマーもしくは複数の前記コモノマーが、前記構成成分Aの50重量%未満であるポリマー組成物を提供する。
【0019】
少なくとも一つのチオアクリレート基、もしくは、チオメタクリレート基を含むモノマー(I)もしくはモノマー(I)の混合物を少なくとも10重量%と、単官能もしくは多官能のビニル基、アクリレート基、もしくはメタクリレート基であるコモノマー(II)0〜90重量%とを含有する構成成分Aと、;
芳香族系には寄与しない不飽和エチレンを含み、該不飽和エチレンに対してα位に、少なくとも一つの水素原子に結合し、フリーな水酸基を持つ炭素原子を有する、一つもしくはそれ以上のモノマー(III)を、構成成分Aの重量に関し0.1〜15重量%含有する構成成分Bと、;
からなるレンズ用の重合可能な組成物を提供する。
【0020】
前記モノマー(I)、(II)、もしくは(III)よりなるレンズ用の重合可能な組成物を提供する。
【0021】
前記構成成分Aが重合触媒もしくは開始剤とともに混合され、構成成分Aの総重量に対し0.1〜15重量%の構成成分Bが加えられ、重合反応が行われるポリマー組成物の製造方法を提供する。
【0022】
前記重合反応が、光化学反応により行われるポリマー組成物の製造方法を提供する。
【0023】
前記重合可能な組成物が所望の表面形状を持つ2つの鋳型の間に注がれ、重合反応を行い、その後再硬化されるレンズの完成品もしくは半完成品の製造方法を提供する。
【0024】
前記ポリマー組成物よりなる目に着用するレンズを提供する。
【0025】
重合可能な組成物の重合の結果得られるポリマー、もしくは前記製造方法により得られるポリマーよりなる目に着用するレンズを提供する。
【0026】
目に着用するレンズ、もしくは、ビューアーまたは光学機械用のレンズの作製へのポリマー組成物の使用を提供する。
【0027】
メガネ、もしくは種々の光学素子の作製へのレンズの使用を提供する。
【0028】
前記レンズよりなるメガネを提供する。
【0029】
前記レンズを少なくとも一つ含む対物レンズを提供する。
【0030】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明によれば、前述の目的は、下記の透明なポリマー組成物を製造することにより成し遂げられる。すなわち、透明なポリマー組成物は、;
少なくとも一つのチオアクリレート基、もしくは、チオメタクリレート基を含むモノマー(I)もしくはモノマー(I)の混合物を少なくとも10重量%と、ラジカル反応により共重合可能な一つもしくはそれ以上のモノマー(II)、モノマー(II)の中でも好ましくは単官能もしくは多官能のビニル基、アクリレート基、もしくはメタクリレート基を0〜90重量%とを含有する構成成分Aと、;
芳香族系には寄与しない不飽和エチレンを含み、該不飽和エチレンに対してα位にフリーな水酸基を持つ炭素原子を有する、一つもしくはそれ以上のモノマー(III)を、構成成分Aの重量に関し0.1〜15重量%含有する構成成分Bと;
からなる。
【0031】
本発明の透明なポリマー組成物の構成成分Aのモノマー(I)もしくはモノマー(I)の混合物は、少なくとも一つのチオアクリレートもしくはチオメタクリレート機能を含有するいかなるモノマーも含む。
前記モノマー(I)は、下記式(1)で表される化合物であるのが好ましい。
【0032】
【化17】
Figure 0003682117
【0033】
式中、Rは、直鎖もしくは分岐した1価もしくは多価の脂肪族炭化水素基、もしくは、芳香族環もしくは介在する直鎖状のアルキル鎖によりチオ(メタ)アクリレート基もしくは複数のチオ(メタ)アクリレート基の硫黄原子に結合するアリール基を表す。Rは、その鎖構造の中に、−O−、−S−、及びカルボニル基から選ばれる一つもしくはそれ以上の官能基を含むことが可能である。R1 は水素もしくは−CH3 を表し、nは1〜6、好ましくは1〜3の整数である。
【0034】
上述の1価の官能基Rの中でも、下記式で表される、直鎖もしくは分岐したC1 〜C5 のアルキル基が挙げられる。
【0035】
【化18】
Figure 0003682117
【0036】
式中、R2 とR3 は、各々独立に、H、又は、直鎖もしくは分岐したC1 〜C5 のアルキル基を表す。R4 は、直鎖もしくは分岐したC1 〜C5 のアルキル基、C7 〜C10のアラルキル基、又は、C6 〜C12のアリール基を表し、特には、任意にアルキル基および/またはハロゲン基と置換されていてもよい。mは1〜4の整数である。
【0037】
前記1価のR基の具体例として、下記の官能基が挙げられる。
【0038】
【化19】
Figure 0003682117
【0039】
上述のように規定され、上記式(1)においてn=1として表されるモノマーは、特に、米国特許第US−A −4,606,864 号、日本特許出願第JP−63316766号、およびヨーロッパ特許出願第EP−A −0,384,725 号に記載されている。
【0040】
モノマー(I)の上記式(1)の2価の基Rの中でも、次の▲1▼〜▲3▼を挙げることができる。
▲1▼鎖構造の中に一つもしくはそれ以上の−O−、−S−、又はカルボニル基を含んでもよい直鎖もしくは分岐したC2 〜C10のアルキレン基
▲2▼下記式で表されるアルキリデン基
【化20】
Figure 0003682117
上記式の中で、R5 とR6 は、C1 〜C5 のアルキル基、下記式で表される基が挙げられる。
【化21】
Figure 0003682117
上記式の中で、R7 とR8 は、鎖構造の中に一つもしくはそれ以上の−O−、−S−、又はカルボニル基を含んでもよい直鎖もしくは分岐したC1 〜C5 のアルキレン基を表し、XはC1 〜C5 のアルキル基およびハロゲン基から選ばれ、pは0〜4の整数である。
▲3▼下記式で表される2価の基
【化22】
Figure 0003682117
上記式の中で、R9 とR10は、鎖構造の中に一つもしくはそれ以上の−O−、−S−、又はカルボニル基を含んでもよい直鎖もしくは分岐したC1 〜C5 のアルキル基を表し、rとsは0もしくは1である。
【0041】
前記の好ましい2価の基Rの中でも、好ましくは下記の基が挙げられる。
すなわち、;
−(CH2 x −(式中、xは2〜8の整数である)、;
(CH2 CH2 O)y CH2 CH2 −(式中、yは1〜4の整数である)、;
(CH2 CH2 S)z CH2 CH2 −(式中、zは1〜4の整数である)、;
(CH2 u'(S(CH2 v'x'S−(CH2 w'(式中、x’は0もしくは1であり、u’、v’、およびw’は2〜6の整数である)、;
下記式の基(式中、uとvは1〜4の整数である)、;
【0042】
【化23】
Figure 0003682117
【0043】
【化24】
Figure 0003682117
【0044】
前記2価の基Rの中でも、特に好ましくは、下記式で表される基Rと−H4 2 −S−C2 4 −が挙げられる。
【化25】
Figure 0003682117
【0045】
上記式(I)の2価のモノマーは、特に、ヨーロッパ特許出願第EP−A −273,661 号、ヨーロッパ特許出願第EP−A −273,710 号、およびヨーロッパ特許出願第EP−A −384,725 号に記載されている。
【0046】
前記モノマー(I)の中で、上記式(1)の3価の基Rとしては、鎖構造の中に一つもしくはそれ以上の−O−、−S−、又はカルボニル基を含むC3 〜C10のアルキルトリイル(alkyl−triyl)基、アルキル鎖中に一つもしくはそれ以上の−O−、または、−S−を含む3価のアルキルアリール基、および、3価のアリール基を挙げることができる。
3価もしくはそれ以上の多価の基Rとしては、下記の基R等が挙げられる。
【化26】
Figure 0003682117
【0047】
本発明で推奨される上記式(1)で表されるモノマーの具体例として、下記式で表されるモノマーを挙げることができる。下記式中、R1 は水素原子もしくはメチル基である。
【化27】
Figure 0003682117
【化28】
Figure 0003682117
【化29】
Figure 0003682117
【化30】
Figure 0003682117
【0048】
本発明のモノマー(I)として、特に好ましくは、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド(BMATPS)、および、ビス(2−メタクリロイルチオエチル)スルフィド(BMATES)を挙げることができる。
【0049】
モノマー(I)の1種もしくはそれ以上の種類の混合物は、本発明の構成成分Aの全重量に対して、構成成分Aの少なくとも10重量%、好ましくは20〜100重量%であるのがよい。
上記式(1)で表される化合物が芳香族化合物である場合、該化合物は、本発明の構成成分Aに対して、好ましくは20〜60重量%、更に好ましくは20〜40重量%であるのがよい。
上記式(1)で表される化合物が芳香族化合物ではない場合、該化合物は、本発明の構成成分Aに対して、好ましくは30〜100重量%、更に好ましくは50〜100重量%であるのがよい。
極めて驚くべきことには、抗黄色効果は、上記式(1)で表されるモノマー(I)が非芳香族である場合でさえ明らかに現れる。
【0050】
本発明の透明なポリマー組成物の構成成分Aは、一つもしくはそれ以上の単官能もしくは多官能のビニル基、アクリレート基、もしくはメタクリレート基であるコモノマー(II)0〜90重量%も含有する。構成成分Aの中で相溶しうるいかなるビニル基、アクリレート基、もしくはメタクリレート基であるモノマーも、コモノマー(II)として用いることができる。
【0051】
モノマー(I)と共重合可能なモノマー(II)としては、不飽和脂肪酸エステル類、ビニル基含有芳香族化合物類、不飽和脂肪酸およびその誘導体類、不飽和二塩基酸およびその誘導体類、および、(メタ)アクリロニトリルのようなシアン化ビニル化合物類を挙げることができる。
不飽和脂肪酸およびその誘導体類は、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類や、(メタ)アクリル酸のような不飽和脂肪酸類を含む。
【0052】
不飽和脂肪酸エステル類は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)ボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、フルオロフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、シアノフェニル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、ブロモベンジル(メタ)アクリレート等のアクリル酸の芳香族エステル類;フルオロメチル(メタ)アクリレート、クロロメチル(メタ)アクリレート、ブロモエチル(メタ)アクリレート、トリクロロメチル(メタ)アクリレート等のハロアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル、等;グリシジル(メタ)アクリレートおよびアルキルアミノ(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸エステル類を含む。
さらに、例えば、α−フルオロアクリル酸エステル、α−シアノアクリル酸エステル等のα位が置換されたアクリル酸エステルも用いることができる。
【0053】
ビニル基含有芳香族化合物類としては、スチレン、もしくは、例えば、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−クロロスチレン等のα位が置換されたスチレン類や、例えば、フルオロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、およびメトキシスチレン等の置換された環を持つスチレン類を挙げることができる。
【0054】
不飽和二塩基酸とその誘導体類は、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド等のマレイミドN位置換体類、マレイミド酸、マレイン酸無水物、およびフマル酸を含む。
【0055】
本発明によれば、単官能のビニルモノマーに加えて、架橋可能な多官能モノマーも前記コモノマー(II)として用いることができる。例えば、架橋可能な二官能モノマーを用いることができ、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレートエステル、オリゴエステルジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(ω−(メタ)アクリロイルオキシプロピルエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(ω−(メタ)アクリロイルオキシプロピルエトキシ)ジブロモフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(ω−(メタ)アクリロイルオキシポリプポキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(ω−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル〕メタンおよびその種の他の化合物、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカルボネート、ジエチレングリコールジアリルカルボネート、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、N,N’−m−フェニレンビス(マレイミド)等のジ(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
架橋可能な三官能モノマーとしては、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、およびジアリルクロレンデートが挙げられる。
架橋可能な四官能モノマーとしては、ペンタエリスリトール テトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。
コモノマー(II)の中でも、特に好ましくは、下記式(IV)で表されるモノマーが挙げられる。
【0056】
【化31】
Figure 0003682117
【0057】
上記式(IV)中、R1 とR2 は各々独立に、水素、もしくはC1〜C6の低級アルキル基を示す。Xは、下記式で表される官能基の何れかを表す。m+nの和は0以上10以下である。
【0058】
【化32】
Figure 0003682117
【0059】
前記コモノマー(II)の中で特に好ましい具体例としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−〔ω−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、および、特に上記式(IV)で示される化合物において、R1 =CH3 、R2 =H、m+n=2.6である化合物(EBADMA)、m+n=4である化合物(DBADMA)、m+n=10である化合物(OBADMA)、エトキシトリブロモベンジルアクリレート(TBrBEA)、ポリエチレングリコールジメタアクリレート(PBOMA)、フェノキシエチルアクリレート(AMP)、FA513(メタクリルエステル、日立化成工業(株)により市販されている)、R604(日本火薬(株)により市販されている)を挙げることができる。
前記コモノマー(II)は、前記構成成分Aの0〜90重量%、好ましくは80〜20重量%であるのが好ましい。
前記構成成分A中の前記コモノマー(II)として、上記式(IV)で表されれるモノマーを用いる場合は、特に、これらのモノマーは前記構成成分Aに対して50重量%以下であることが好ましい。
【0060】
本発明の透明なポリマー混合物の構成成分Bは、芳香族系には寄与しない不飽和エチレンを含み、不飽和エチレンに対してα位に、少なくとも一つの水素原子に結合し、フリーな水酸基を持つ炭素原子を有する、モノマー(III)もしくはモノマー(III)の混合物である。本発明に用いられる不飽和エチレンモノマー(II)は、下記式により表されるモノマーより選ばれることが好ましい。
【0061】
【化33】
Figure 0003682117
【0062】
上記式中、Ra とRb は、水素を表す、;
もしくは、Ra とRb の一つが水素を表し、他方が、一つもしくはそれ以上の直鎖もしくは分岐したC1 〜C4 アルキル基、又は、一つもしくはそれ以上のC2 〜C4 アルキレン基と置換されていてもよいC5 〜C10環をRe と形成するか、;
もしくは、Ra とRb の一つが水素を表し、他方が、C1 〜C6 の脂肪族アルキル基、C4 〜C16環状炭化水素基、もしくはC6 〜C16の芳香族炭化水素基を表す。
c 、Rd およびRe は、各々独立に、水素、または、一つもしくはそれ以上の水酸基により置換されていてもよく、一つもしくはそれ以上のエーテル、エステル、ケトン基を鎖構造の中に含むC1 〜C6 のアルキル基、または、C6 〜C16の芳香族炭化水素基、または、C4 〜C16の環状炭化水素基を表す。
e は、Ra とRb 基の一つと、一つもしくはそれ以上の直鎖もしくは分岐したC1 〜C4 アルキル基、又は、一つもしくはそれ以上のC2 〜C4 アルキレン基で置換されていてもよいC5 〜C10環を形成してもよい。
c とRd は、一つもしくはそれ以上のC1 〜C4 アルキル基、又は、C2 〜C4 アルキレン基で置換されていてもよいC5 〜C10環を形成してもよい。このC5 〜C10環の2もしくはそれ以上の炭素原子は、Ra もしくはRb 、およびRe と共に、もしくは、Rc およびRd と共に、炭化水素架橋構造により結合されていてもよい。
【0063】
本発明によれば、上述のC1 〜C6 のアルキル基は、メチル基もしくはエチル基であるのが好ましい。
前記モノマー(III)として、特に好ましくは、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、2−シクロヘキセン−1−オール、トランス−2−ヘキセン−1−オール、シス−2−ブテン−1,4−ジオール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、トランス−2−メチル−3−フェニル−2−プロペン−1−オール、3−ブテン−2−オール、カルベオール、ミルテノール、ベルベノール、およびトランス−シンナミルアルコールを挙げることができる。
【0064】
本発明のポリマー組成物中、モノマー(III)は、構成成分A100重量部に対して、0.1〜15重量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0065】
重合反応は、前記重合可能な組成物をなす前記種々のモノマーを含む最初の混合物を用いて、公知の方法により行うことができる。該重合反応は触媒作用を利用することができ、ベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキシルパーオキシジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、もしくは、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリルのような触媒、もしくは、ベンゾインエチルエーテル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン、および1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンのような光反応開始剤を用いることができる。
【0066】
着眼用レンズは、上述の様々なモノマーを含有する所望の組成物を2つの部分からなるガラス製の鋳型からなる装置に導入し、UV照射による重合反応を行うことにより製造される。このようにして製造されたポリマー製のレンズを、続いて、レンズに残った拘束を除去するのに十分な一定時間、および温度で、再硬化する。温度は、大体、100〜120℃で、約1〜5時間、再硬化を行う。また、第1面が最終的なレンズの形状になっており、第2面が最終的なレンズの形状になってはいず、必要に応じて第2面の表面を成形することができるような鋳型を用いて重合反応を行うことも可能である。
【0067】
上述の重合可能な組成物をポリマー組成物を製造するために用いることも、本発明の課題である。上述のようにして得られたポリマー、特に鋳造後のポリマーは、着眼用レンズ、メガネといった眼科用素子、もしくは、ファインダー(viewers)用レンズ、および、写真機やフィルムカメラ、顕微鏡のような様々な装置の光学素子として用いることができる。
【0068】
【実施例】
黄色度は、分光分析により測定される。分光分析には、標準化された方法(ASTM D−1925−63)を用いる。黄色度は、下記式により定義される。式中、X、Y、Zは、試料の三原色の座標であり、380〜780ナノメーターの全波長域において可視UV分光光度測定により測定される。
【0069】
【数1】
Figure 0003682117
【0070】
下記の表1に示す例は、本発明を説明するものであるが、本発明の特性を制限するものではない。
各例において、最初の混合物は、下記表1に示されるモノマー類の量を均一に混合することにより調整された。
【0071】
Figure 0003682117
【0072】
表中、
BMATPS:ビス(4−メタクリロイルチオフェニル) スルフィド
BMATES:ビス(2−メタクリロイルチオエチル) スルフィド
EBADMA:前記式(IV)においてR1 =CH3 、R2 =H、m+n=2.6である化合物
DBADMA:前記式(IV)においてR1 =CH3 、R2 =H、m+n=4である化合物
OBADMA:前記式(IV)においてR1 =CH3 、R2 =H、m+n=10である化合物
BMA:ベンジルメタクリレート
TBrBEA:エトキシトリブロモベンジルアクリレート
PBOMA:ポリエチレングリコールジメタクリレート
AMP:フェノキシエチルアクリレート
なお、EBADMA、DBADMAおよびOBADMAにおいて、式(IV)中のXは下記式で表される官能基である。
【化34】
Figure 0003682117
【0073】
【化35】
Figure 0003682117
【0074】
ビス(4−メタクリロイルチオフェニル) スルフィド(BMATPS)は室温で白色の粉体なので、このモノマーを含む混合物は、適当な溶媒に溶解して作製される。(この溶媒は、実際、この混合物の他のモノマー、特にコモノマー(II)からなっていてもよい。)
【0075】
〔試験例1〜16〕
前記表1に示す混合物に、混合物100重量部に対し、光反応開始剤としてAPOを0.070重量部、イルガキュア184(登録商標)を0.035重量部加えることにより、レンズを製造した。なお、APO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)、イルガキュア184(登録商標)(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)は下記に示す化合物である。
【0076】
【化36】
Figure 0003682117
【0077】
また、表1記載の混合物に、上述の光反応開始剤と、抗黄色剤として混合物100重量部に対し2重量部の3−メチル−2−ブテン−1−オールを加える方法によってもレンズを製造した。
レンズは、上記混合物をUV照射により重合することにより得た。ついで、レンズを、110℃で2時間、再硬化した。特に記載した場合を除いては、得られたレンズは、−2.00Dである。レンズの厚さは、レンズの中心の厚さとして測定した。得られたレンズについて、再硬化前後で黄色度を測定した。レンズの組成、厚さ、再硬化前の黄色度、再硬化後の黄色度、屈折率、透過度、密度、アッベ数は、表2に示す通りである。
表2に示すとおり、約1.6もしくはそれ以上の高屈折率を有し、黄色度は非常に低いレンズを本発明による上記組成物より得る事ができる。
【0078】
【表1】
Figure 0003682117
【0079】
〔試験例17〜20〕
下記の試験例は、上述の混合物の幾例かに加える光反応開始剤を変えて、同じ方法によりレンズを製造し、黄色度を比較するものである。レンズは上述の方法と同様の方法により製造した。結果、および光反応開始剤は、表3に示す通りである。表3に示すとおり、光反応開始剤の含量を増加させても、黄色度はきわめて僅かしか増加しない。これにより、得られた重合された組成物の黄色度を大きくすることなく、本発明の組成物の重合度をきわめて大きくする事ができる。
【0080】
Figure 0003682117
【0081】
〔試験例21および比較例22〕
(試験例21)上記混合物No.4と2重量%の3−メチル−2−ブテン−1−オール(抗黄色剤)を加え、−2.00D(dioptres)、中心の厚さ1.35mmのレンズを製造した。
(比較例22)上記試験例21と同様に、ただし抗黄色剤を添加せずにレンズを製造した。
試験例21、及び比較例22のレンズは、鉱物ガラスでできた2つの部分からなる鋳型に液状の上記混合物を注入し、鋳型の縁を粘着テープで接着して作製した。ついで鋳型の両面を、紫外線ランプにより80W/cm2 の光を3分間照射した。この重合反応操作の後に、形成されたレンズを、鋳型より取り除き、120℃で2時間、再硬化した。抗黄色剤を添加した前記レンズと、添加していない前記レンズとに、同じ条件のもと、300〜400nmの分光領域で24.4W/cm2 の光を照射するサンテスト ハナウ機(Suntest Hanaumachine)を用いて、太陽光照射を40時間行った。
この太陽光照射の結果は、表4に示すとおりである。
【0082】
Figure 0003682117
【0083】
表4の結果が示すように、本発明の組成物より作製されたレンズは、太陽光照射に対し、抗黄変作用に優れ、これは、本発明の抗黄色剤を含まずに同様の組成物より作製されたレンズに比較して優れている。
【0084】
【発明の効果】
本発明のポリマー組成物は、黄色度が低く、高い屈折率を持ち、該ポリマー組成物を用いてレンズを製造した場合、太陽光等にたいする抗黄変作用にすぐれ、従来のレンズより更に薄く軽いレンズを提供することができる。

Claims (23)

  1. 少なくとも一つのチオアクリレート基、もしくは、チオメタクリレート基を含むモノマー(I)もしくはモノマー(I)の混合物を少なくとも10重量%と、ラジカル反応により共重合可能な一つもしくはそれ以上のモノマー(II)を0〜90重量%とを含有する構成成分Aと、;
    芳香族系には寄与しない不飽和エチレンを含み、該不飽和エチレンに対してα位に、少なくとも一つの水素原子に結合し、フリーな水酸基を持つ炭素原子を有する一つもしくはそれ以上のモノマー(III)を、構成成分Aの重量に関し0.1〜15重量%含有する構成成分Bと;を含有する透明なポリマー組成物。
  2. 前記モノマー(II)は、単官能もしくは多官能のビニル基、アクリレート基、もしくはメタクリレート基であることを特徴とする請求項1記載のポリマー組成物。
  3. 前記モノマー(III)が下記式で示されることを特徴とする請求項1または2記載のポリマー組成物。
    Figure 0003682117
    (式中、Ra とRb は、水素を表すか、;
    もしくは、Ra とRb の一つが水素を表し、他方が、一つもしくはそれ以上の直鎖もしくは分岐したC1 〜C4 アルキル基、又は、一つもしくはそれ以上のC2 〜C4 アルキレン基と置換されていてもよいC5 〜C10環をRe と形成するか、;
    もしくは、Ra とRb の一つが水素を表し、他方が、C1 〜C6 の脂肪族アルキル基、C4 〜C16環状炭化水素基、もしくはC6 〜C16の芳香族炭化水素基を表す。
    c 、Rd およびRe は、各々独立に、水素、または、一つもしくはそれ以上の水酸基により置換されていてもよく、一つもしくはそれ以上のエーテル、エステル、ケトン基を鎖構造の中に含むC1 〜C6 のアルキル基、または、C6 〜C16の芳香族炭化水素基、または、C4 〜C16の環状炭化水素基を表す。
    e は、Ra とRb 基の一つと、一つもしくはそれ以上の直鎖もしくは分岐したC1 〜C4 アルキル基、又は、一つもしくはそれ以上のC2 〜C4 アルキレン基で置換されていてもよいC5 〜C10環を形成してもよい。
    c とRd は、一つもしくはそれ以上のC1 〜C4 アルキル基、又は、C2 〜C4 アルキレン基で置換されていてもよいC5 〜C10環を形成してもよい。このC5 〜C10環の2もしくはそれ以上の炭素原子は、Ra もしくはRb 、およびRe と共に、もしくは、Rc およびRd と共に、炭化水素架橋構造により結合されていてもよい。)
  4. 前記Ra と前記Rb が水素を表し、前記Rc がメチル基を表し、前記Rd が水素もしくはメチル基を表し、前記Re が水素、メチル基、エチル基、もしくは−CH2 OHを表すことを特徴とする請求項3記載のポリマー組成物。
  5. 前記モノマー(III)が、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、2−シクロヘキセン−1−オール、トランス−2−ヘキセン−1−オール、シス−2−ブテン−1,4−ジオール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、トランス−2−メチル−3−フェニル−2−プロペン−1−オール、3−ブテン−2−オール、カルベオール、ミルテノール、ベルベノール、およびトランス−シンナミルアルコールからなる群より選ばれるいずれか一つであることを特徴とする請求項3記載のポリマー組成物。
  6. 前記モノマー(I)が下記式で表されることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載のポリマー組成物。
    Figure 0003682117
    (式中、Rは、直鎖もしくは分岐した1価もしくは多価の脂肪族炭化水素基、もしくは、芳香族環もしくは介在する直鎖状のアルキル鎖によりチオ(メタ)アクリレート基もしくは複数のチオ(メタ)アクリレート基の硫黄原子に結合するアリール基を表す。Rは、その鎖構造の中に、−O−、−S−、及びカルボニル基から選ばれる一つもしくはそれ以上の官能基を含むことが可能である。
    1 は水素もしくは−CH3 を表し、nは1〜6の整数である。)
  7. 前記nが1〜3の整数であることを特徴とする請求項6記載のポリマー組成物。
  8. 前記モノマー(I)が下記式からなる群より選ばれる何れか一つであることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載のポリマー組成物。
    Figure 0003682117
    Figure 0003682117
    Figure 0003682117
    Figure 0003682117
  9. 前記モノマー(I)が、前記構成成分Aの20〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載のポリマー組成物。
  10. 前記コモノマー(comonomer)(II)が1価もしくは多価のビニル基、アクリル基、およびメタクリル基からなるコモノマーから選ばれることを特徴とする請求項1〜9の何れか一つに記載のポリマー組成物。
  11. 前記構成成分Aが、コモノマー(II)の混合物よりなり、該コモノマーの少なくとも一つが下記式(IV)で表されるコモノマーであることを特徴とする請求項10記載のポリマー組成物。
    Figure 0003682117
    (式中、R1 とR2 は各々独立に、水素、もしくはC1 〜C6 の低級アルキル基を示す。Xは下記式で表される官能基の何れかを表す。m+nの和は0以上10以下である。)
    Figure 0003682117
  12. 前記式(IV)で示される前記コモノマーもしくは複数の前記コモノマーが、前記構成成分Aの50重量%未満であることを特徴とする請求項10記載のポリマー組成物。
  13. 少なくとも一つのチオアクリレート基、もしくは、チオメタクリレート基を含むモノマー(I)もしくはモノマー(I)の混合物を少なくとも10重量%と、単官能もしくは多官能のビニル基、アクリレート基、もしくはメタクリレート基であるコモノマー(II)0〜90重量%とを含有する構成成分Aと、;
    芳香族系には寄与しない不飽和エチレンを含み、該不飽和エチレンに対してα位に、少なくとも一つの水素原子に結合し、フリーな水酸基を持つ炭素原子を有する一つもしくはそれ以上のモノマー(III)を、構成成分Aの重量に関し0.1〜15重量%含有する構成成分Bと、;
    からなることを特徴とするレンズ用の重合可能な組成物。
  14. 請求項2〜12の何れか一つに定義された前記モノマー(I)、(II)、もしくは(III)よりなることを特徴とする請求項13記載のレンズ用の重合可能な組成物。
  15. 前記構成成分Aが重合触媒もしくは開始剤とともに混合され、構成成分Aの総重量に対し0.1〜15重量%の構成成分Bが加えられ、重合反応が行われることを特徴とする請求項1〜12の何れか一つに記載のポリマー組成物の製造方法。
  16. 前記重合反応が、光化学反応により行われることを特徴とする請求項15記載のポリマー組成物の製造方法。
  17. 請求項13もしくは14に記載の重合可能な組成物が所望の表面形状を持つ2つの鋳型の間に注がれ、請求項15もしくは16に定義された重合反応を行い、その後再硬化されることを特徴とするレンズの完成品もしくは半完成品の製造方法。
  18. 請求項1〜12の何れか一つに記載のポリマー組成物よりなる目に着用するレンズ。
  19. 請求項15もしくは16に限定される重合可能な組成物の重合の結果得られるポリマー、もしくは請求項15もしくは16に記載の製造方法により得られるポリマーよりなる目に着用するレンズ。
  20. 目に着用するレンズ、もしくは、ビューアーまたは光学機械用のレンズの作製への請求項1〜12の何れか一つに記載のポリマー組成物の使用。
  21. メガネ、もしくは種々の光学素子の作製への請求項18もしくは19に定義されたレンズの使用。
  22. 請求項18もしくは19に記載のレンズよりなることを特徴とするメガネ。
  23. 請求項18もしくは19に記載のレンズを少なくとも一つ含むことを特徴とする対物レンズ。
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