JP3679217B2 - エレベータ式駐車装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇降路の昇降台と、昇降路の両側または片側に階層的に形成された複数の駐車区画との間でトレー台車を横行させることにより自動車の入出庫を行うエレベータ式駐車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の駐車装置が特開平4−80475号公報に開示されている。以下、その概要を図9および図10を用いて説明する。なお、この駐車装置は地下式として例示してある。図9において、91はエレベータ、92はその昇降路である。93は昇降路92の両側に層階的に形成された自動車の駐車区画であり、各駐車区画93に一対の横行レール94が敷設されて、その上に横行台車(トレー台車)74が配置されている。
【0003】
ここで、エレベータ91の昇降台91f上に台車移動用のクランク機構80を構成され、図10に示すように、駆動モータ83および減速機84と、これに直結された駆動軸85と、駆動軸85に取り付けられた旋回アーム81と、旋回アーム81の先端に装着された例えばローラからなる係合部材82とを備えている。一方、横行台車74の裏面には、その長手方向に個々的にアングル状の案内摺動板(ガイド部材)75を備える。
【0004】
この駐車装置においては、自動車の入出庫に際してエレベータ91の昇降台91fが指定された駐車区画93まで下降され、その駐車区画93のレベルに停止されると、駆動モータ83の作動によりクランク機構80の旋回アーム81が正転されて、旋回アーム81先端の係合部材82が横行台車74裏面の案内摺動板75に嵌合し、横行台車74がその駐車区画93から昇降台91f上に引き出されて載せ替えられる。そして、昇降台91fの上昇により、自動車の乗込部Eまで移送される。
【0005】
このように、従来においては、エレベータ91に台車移動用のクランク機構80を備え、その昇降台91fから駐車区画93へ、またはこの逆へ横行台車74の載せ替えが行われている。
【0006】
また一般に、自動車の乗込部には、図11に示すように、その床面E1に円形の凹部E2が設けられ、この円形の凹部E2内にターンテーブルE3が回転可能に設置されている。なお、円形の凹部E2の底面中央部に矩形状の穴が形成されて、その下方が昇降台の昇降路になっている。この円形の凹部E3上にはその内周に沿ってレールが敷設され、ターンテーブルE3がその外周に沿って配設された複数のローラE4により、そのレール上に走行可能に配置されている。円形の凹部E2の外周にモータ駆動による複数のフリクションローラE5が配設され、ターンテーブルE3が回転駆動される。
【0007】
したがって、自動車の乗込部上に移送された自動車がターンテーブルE3により旋回され、その前部が出庫口に向けられて、自動車を前進出庫することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の駐車装置では、各駐車区画から昇降台へ、または昇降台から各駐車区画へトレー台車を横行させるために、昇降台上に台車移動用のクランク機構を必要とし、出庫に際してトレー台車を旋回させるために、さらに乗込部にターンテーブルを必要としているため、装置構成が複雑になって、駐車設備全体として据え付け工数が多くなり、コスト高になっているという問題があった。
【0009】
また、自動車の出庫に際し、ターンテーブル上で自動車を旋回させることにより、自動車を前進で出庫できるようにしているものの、入庫時に比べて、自動車が駐車区画から乗込部まで搬送されている時間に加え、自動車の旋回時間を必要とするため、その旋回時間分だけ自動車の出庫に円滑性を欠くという問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、エレベータ式駐車装置において、少ない装置構成で、トレー台車の横行と旋回とを行えるようにして、駐車設備全体の据え付けを容易にし、全体としてコストダウンを図るとともに、自動車の出庫に際し、自動車の旋回時間を省いて出庫の円滑性の向上を図ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のエレベータ式駐車装置においては、エレベータの昇降台上に1つの旋回アームでトレー台車の横行と旋回とを行い得るトレー横行旋回装置を搭載し、自動車の入庫時または出庫時に選択的に、昇降台上でトレー台車を旋回するようにしたものである。
【0012】
上記構成から、少ない装置構成を実現して、駐車設備全体の据え付けを容易にすることができるとともに、全体としてコストダウンを図ることができる。また、自動車の入庫の時点で予め自動車を旋回することができるので、自動車の出庫に際し、自動車の旋回時間を省くことができ、出庫の円滑性の向上を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載のエレベータ式駐車装置は、昇降台に、トレー台車を支持可能な一対のレールを有する矩形状の昇降枠と、昇降枠の中心に旋回中心が設定され、水平方向に旋回して先端部が駐車区画側に所定寸法だけ突出した長さを有する旋回アームと、昇降枠上に設けられ、旋回アームを旋回させる旋回駆動手段と、昇降枠上に昇降可能に、かつ旋回可能に配置され、トレー台車を昇降枠の上方に持ち上げて旋回するトレー旋回枠と、旋回アームの先端側に上下両方向に向けて突出し、駐車区画または昇降枠上のトレー台車に対してトレー台車下部に配設されたトレー横行用のガイド部材に係合可能な上部係合部材、およびトレー台車を持ち上げるためにトレー旋回枠の所定高さまでの上昇変位によりトレー旋回枠側に配設された係合部に係合可能な下部係合部材と、昇降枠上に設けられ、トレー台車を昇降枠から持ち上げて、旋回アームの上部係合部材とトレー台車下部のガイド部材との係合が外れ、且つ旋回アームの下部係合部材とトレー旋回枠の係合部とが係合しない高さと、さらに旋回アームの下部係合部材とトレー旋回枠の係合部とが係合する高さとに、トレー旋回枠を昇降するリフタとを備え、昇降台と各駐車区画との間でトレー台車を横行させる横行動作と、昇降台上でトレー台車を旋回させる旋回動作とを取り得るようにしている。
【0014】
上記構成から、1つの旋回アームを共用してトレー台車の横行と旋回とを行うので、少ない装置構成を実現し、駐車設備全体の据え付けを容易にして、全体としてコストダウンを図ることができる。
【0015】
本発明の請求項2に記載のエレベータ式駐車装置は、請求項1の構成において、自動車の入庫時また出庫時に選択的に、自動車の乗込部において昇降台上のトレー台車を旋回させて自動車の前部を乗込部の出庫口に向けるようにしている。
【0016】
上記構成から、自動車の入庫に際して、予め自動車の前後方向を反転させることができ、自動車の出庫において自動車の旋回動作を省略することができる。
【0017】
本発明の請求項3に記載のエレベータ式駐車装置は、請求項1または2の構成において、トレー旋回枠にその回り止め用にストッパー部材を備える一方、昇降台に上方に向けて突出し、ストッパー部材に係合するロックピンを備え、トレー台車を旋回するため、トレー旋回枠を一定の高さまで上昇させることにより、ストッパー部材とロックピンとの係合を解除するようにしている。
【0018】
上記構成から、トレー旋回枠が、旋回アームの上部係合部材とトレー台車下部のガイド部材との係合が外れ、且つ旋回アームの下部係合部材とトレー旋回枠の係合部とが係合しない高さまで上昇または下降されたときに、トレー旋回枠の旋回方向の動きを固定することができ、さらに旋回アームの下部係合部材とトレー旋回枠の係合部とが係合する高さまで上昇されたときに、トレー旋回枠の旋回方向の動きを許容する。したがって、トレー台車の旋回動作を確実に行なうことができる。
【0019】
(実施例)
図1乃至図6に本発明の一実施例の構成を示している。なお、本実施例では地上1階に自動車の乗込部を設定された地上設置型のエレベータ式駐車装置として例示している。
【0020】
図1において、1は自動車の乗込部であり、2は自動車の乗込部1から上方に向けて設定されたエレベータ3の昇降路である。5は昇降路2の両側に層階的に形成された自動車の駐車区画であり、各駐車区画5に一対の横行レール501が敷設されて、その上に自動車載置用のトレー台車6が配置されている。
【0021】
ここで、エレベータ3は、合計4本のガイドレール31と、昇降駆動装置32の作動により各ガイドレール31に沿って昇降する合計4個の昇降杆33と、これらガイドレール31および昇降杆33に案内されて昇降路2上を昇降する昇降台30とを備える。
【0022】
まず、4本のガイドレール31はそれぞれ、断面略四角形状の柱状部材、または断面コ字形のアングルを向かい合わせにして略四角形状とした柱状部材からなり、その一側面には長手方向に沿って昇降杆33と昇降台30とを連結するための挿通部(図示省略)が設けられている。これらのガイドレール31はそれぞれ、その挿通部を昇降路2側に向けて、昇降路2の四隅に設置されている。
【0023】
4個の昇降杆33はそれぞれ、図2に示すように、ガイドレール31内を摺動可能なローラ33Rを配設され、昇降路2上部の昇降駆動装置32から導出された駆動チェーン34に吊り下げられている。
【0024】
昇降台30は、図2および図3に示すように、トレー台車6を支持可能に略矩形状の昇降枠301を有し、その前後両側に左右方向に向けて一対の横行レール302が配置されている。この一対の横行レール302は各駐車区画5の一対の横行レール501と同じ間隔で配列されている。昇降枠301の四隅にそれぞれ、支持アーム303が取り付けられ、これら支持アーム303を各ガイドレール31上の昇降杆33に連結されて昇降路2上に配置されている。この昇降台30にはまた、トレー横行旋回装置4が搭載され、その構成上、旋回アーム401と、係合部材402と、旋回アーム401の旋回駆動装置403と、トレー旋回枠404と、そのガイド部材405およびリフタ406とを備えている。
【0025】
トレー横行旋回装置4において旋回アーム401は、図3および図4に示すように、その旋回中心軸を昇降枠301の中心に設定されて、水平方向に旋回可能に配置されている。また、その先端が自動車の駐車区画5側に所定寸法だけ突出した長さを有している。旋回アーム401先端の係合部材402は、上方に向けて突出する上部係合部材402Uと、下方に向けて突出する下部係合部材402Dとからなり、図5、図6に示すように、旋回アーム401先端に挿通固定された支軸402sとその上下部に回転可能に取り付けられたローラ402rとから構成されている。旋回駆動装置403においてはACサーボモータを用いている。
【0026】
トレー横行旋回装置4においてトレー旋回枠404は、図3および図4に示すように、全体が長方形の枠状に構成され、その四隅にそれぞれ上方に向けて突出されたロケットピン404pと、その長手方向の所定位置に固定され、下部係合部材402Dに係合可能な係合部404Jとを備える。ここで、係合部404Jは下部係合部材402Dのローラ402rが挿入可能な穴404hを有し、その固定位置は、トレー台車6を駐車区画5から昇降台30上に完全に載せ替えるために必要な旋回アーム401の旋回停止位置(図3中、Sで示す。)において下部係合部材402D直下の位置に設定されている。なお、トレー台車6は昇降路2両側の各駐車区画5から引き出されることから、この係合部404Jは対称的に2箇所設けてある。また、図3に示すように、このトレー旋回枠404には、その前後において旋回軸を中心に180°の対称位置に、それぞれにロック穴404tを有するストッパー部材404sが設けられ、昇降台30側に取り付けられて上方に突出するロックピン304に挿入可能になっている。
【0027】
トレー横行旋回装置4においてガイド部材405は、図3から図6に示すように、複数のガイド片405Gと、円形のガイドレール405Rとを備える。各ガイド片405Gはベアリングを内蔵した断面がほぼ逆凹状の部材であり、トレー旋回枠404の中心に対して円形に配列されて取り付けられている。円形のガイドレール405Rは断面がほぼ凸状のレール部材であり、リフタ406の後述する上部テーブル406t上に設置されている。両者の連結により、トレー旋回枠404はリフタ406上において旋回アーム401の旋回中心軸上を回転中心として水平方向に旋回可能な構造になっている。
【0028】
トレー横行旋回装置4においてリフタ406は、図5、図6に示すように、パンタグラフ406pおよびその駆動装置(例えばシリンダあるいは油圧モートル)406cとを備え、パンタグラフ406p上部にテーブル406tを固定されている。このテーブル406t上に前述した円形のガイドレール405Rを配設している。駆動装置406cの作動によりパンタグラフ406pを伸縮駆動し、トレー旋回枠404を昇降枠301上のトレー台車6支持位置に対して上昇させて、トレー台車6を持ち上げ、旋回アーム401の上部係合部材402Uとトレー台車6下部のガイド部材602との係合が外れ、且つ旋回アーム401の下部係合部材402Dとトレー旋回枠404の係合部404Jとが係合しない高さ(L1)と、さらに旋回アーム401の下部係合部材402Dとトレー旋回枠404の係合部404Jとが係合する高さ(L2)まで昇降する。なお、このリフタ406には、トレー旋回枠404を同様に昇降できる他の機構を用いてもよい。
【0029】
また、各トレー台車6の下面には、図5および図6に示すように、昇降路2に近接する内側の長辺にアングル状のガイド部材602を備え、トレー横行旋回装置4において旋回アーム401の上部係合部材402Uに係合可能になっている。さらに、各トレー台車6下面には、トレー旋回枠404の四隅に突出するロケットピン404pが嵌合可能な受け部603を有する。これらガイド部材602やロケットピン404pもまた、トレー横行旋回装置4の構成部品になっている。図5、図6中、601はトレー台車6の車輪を示している。
【0030】
なお、図1(b)の自動車の乗込部1において、1Dはその出庫口(または入庫口)を示し、1Eはエレベータ3の昇降台着床位置を示す。
【0031】
次に上記駐車装置による自動車の入庫について説明する。なお、入庫に際し、予めその準備運転により任意の駐車区画5から昇降台30に空のトレー台車6が受け渡しされ、昇降台30が昇降路2上を自動車の乗込部1まで下降、着床されて、そこにトレー台車6が待機中になっている。ここで、トレー台車6は昇降台30の一対の横行レール302上に支持され、旋回アーム401先端の上部係合部材402Uがトレー台車6下面のガイド部材602に係合されて、トレー台車6がロックされている。この状態において旋回アーム401の停止位置は、図3中、2点鎖線で示すとおりである。
【0032】
図1において、まず、入庫車が自走により自動車の乗込部1に前進入庫する。これにより入庫車は乗込部1に既に待機中のトレー台車6上に載せられる。続いて、自動車の乗込部1において、昇降台30に搭載されたトレー横行旋回装置4が作動を開始する。すなわち、図7(a−1),(a−2)、(b−1)に示すように、リフタ406の駆動装置(シリンダあるいは油圧モートル)406cの作動により、パンタグラフ406pが上方に向けて伸長していき、その上部のトレー旋回枠404を上昇する。トレー旋回枠404が昇降枠301のトレー台車支持位置に対し上昇して、その四隅の各ロケットピン404pがトレー台車6下面の各受け部603に係合するとともに、トレー台車6がトレー旋回枠404上に支持されて持ち上げられ、旋回アーム401の上部係合部材402Uとトレー台車6下部のガイド部材602との係合が外れ、旋回アーム401の下部係合部材402Dとトレー旋回枠404の係合部404Jとが係合する高さL2まで上昇される。このトレー台車6の上昇により、トレー台車6下面のガイド部材602から旋回アーム401先端の上部係合部材402Uが抜け外れる一方、下部係合部材402Dが上昇変位したトレー旋回枠404の係合部404Jの穴404hに挿入され、両者が係合される。このようにしてトレー台車6がトレー旋回枠404上に支持されて昇降枠301の上方に持ち上げられる。
【0033】
次いで、旋回駆動装置(ACサーボモータ)403の作動により、図7(b−2)または図4に示すように、旋回アーム401が旋回し、旋回アーム401に結合されたトレー旋回枠404がリフタ406上でガイド部材405の案内により回転していく。すなわち、トレー旋回枠404上に載せた自動車が旋回され、旋回アーム401が180度旋回したところで、旋回駆動装置403の作動が停止される。これにより、自動車の前後の向きが反転される。
【0034】
次いで、リフタ406の作動により、パンタグラフ406pがさらに収縮されて、図7(c−1)に示すように、トレー旋回枠404が旋回アーム401の上部係合部材402Uとトレー台車6下部のガイド部材602との係合が外れ、且つ旋回アーム401の下部係合部材402Dとトレー旋回枠404の係合部404Jとが係合しない高さL1まで下降される。このとき、トレー旋回枠404は、その前後一方のストッパー部材404sのロック穴404tに昇降台30側のロックピン304が挿入されて、旋回方向の動きを固定されている。ここで、旋回アーム401先端の上下部各係合部材402U、402Dがトレー台車6下部のガイド部材602および昇降台30上のトレー旋回枠404のいずれにも係合しないことから、図7(c−2)に示すように、旋回駆動装置403の作動により旋回アーム401のみが180°旋回されて停止される。この状態において旋回アーム401の停止位置は、図3中、2点鎖線で示すとおりである。続いて、再びリフタ406の作動によりパンタグラフ406pが収縮されて、トレー旋回枠404がさらに下降され、トレー台車6が昇降台30の昇降枠301上に降ろされる。この下降により、旋回アーム401先端の上部係合部材402Uが下降変位されたトレー台車6のガイド部材602に挿入され、両者が係合する。
【0035】
次いで、エレベータ3によりトレー台車6が入庫先の駐車区画5まで上昇される。昇降台30が昇降路2上を入庫先の駐車区画5の前で停止され、続いて、旋回駆動装置(ACサーボモータ)403の作動により、図3に示すように、2点鎖線で示す旋回アーム401が矢印P方向に旋回して、トレー台車6を昇降台30から入庫先の駐車区画5へ送り出していく。トレー台車6は、その前後両側の各車輪601が昇降台30の一対の横行レール302上から駐車区画5の一対の横行レール501上へ移動することにより、横行していく。旋回アーム401の旋回とともに、上部係合部材402Uのローラ402rがガイド部材602上を終端近くに達すると、今度はガイド部材602上を戻る方向に移動していき、旋回アーム401がトレー台車6を引き続き横行し、旋回アーム401が駐車区画5の長手方向に対して直角の向きまで旋回したところでトレー台車6が駐車区画5上に完全に移し替えられる。同時に旋回アーム401先端の上部係合部材402Uがガイド部材602から外れて、搬送台車3の長手方向と平行な待機ポジションBまで旋回したところで停止される。このようにして駐車区画5に入庫車が入庫したときの向きに対して反転され、自動車の前後を反転された状態で格納される。
【0036】
次に上記駐車装置による自動車の出庫について説明する。図1において、まず、昇降台30が出庫車を格納中の駐車区画5の前まで下降または上昇される。続いて、旋回駆動装置(ACサーボモータ)403の作動により、図8(a)に示すように、旋回アーム401が昇降台30の長手方向と平行な待機ポジションから駐車区画5に向けて旋回され、図8(b)に示すように、駐車区画5の長手方向に対して直角の位置まで旋回したところで、旋回アーム401先端の上部係合部材402Uがトレー台車6下面のガイド部材602にその一端から挿入される。続く旋回アーム401の旋回動作により、図8(c)に示すように、上部係合部材402Uのローラ402rがガイド部材602内を摺動しながらトレー台車6を昇降台30上に引き出す。トレー台車6は、その前後両側の車輪601が駐車区画5の一対の横行レール501から昇降台30の一対の横行レール302へ移動することにより、横行していく。旋回アーム401の旋回とともに上部係合部材402Uのローラ402rがガイド部材602上を終端近くに達すると、今度はガイド部材602上を戻る方向に移動を始め、旋回アーム401がトレー台車6を引き続き横行し、図8(d)に示すように、所定の角度まで旋回したところで停止され、トレー台車6が昇降台30上に完全に載せ替えられる。なお、ここまでの一連の動作は入庫時の準備運転によるトレー台車6の引き出し動作と同じである。
【0037】
そして、この昇降台30が自動車の乗込部1まで下降され、出庫車を載せたトレー台車6が乗込部1上に戻される。入庫の段階で自動車の向きが入庫のときとは反対方向に向けられているから、自動車の乗込部1に到達したときには既に自動車の前部が出庫口1Dに向けられている。したがって、自動車の乗込部1から出庫車を自走により前進出庫する。
【0038】
このように上記実施例によれば、エレベータ3の昇降台30に、旋回アーム401と、その旋回駆動装置403と、トレー旋回枠404と、旋回アーム401の先端側の上部係合部材402Uおよび下部係合部材402Dと、高さL1とL2とにトレー旋回枠404を昇降するリフタ406とにより、トレー横行旋回装置4を構成し、1つの旋回アーム401を共用してトレー台車6の横行と旋回とを行うようにしているので、従来例に比べて極めて少ない装置構成を実現することができる。
【0039】
また、自動車の入庫時に、自動車の乗込部1において昇降台30上のトレー台車6を旋回させて自動車の前部を乗込部1の出庫口1Dに向けるようにしているので、自動車の出庫において自動車の旋回動作を省略することができる。
【0040】
なお、入庫の段階で自動車を旋回させているため、その旋回時間分だけ、従来に比べて入庫の処理に多くの時間を必要とするが、ユーザー側から見た場合、自動車を乗込部に入れてしまうとユーザーは自動車から離れてしまうので、入庫処理の時間が多少増加しても不都合が生じない。
【0041】
また、上記トレー横行旋回装置4においては、自動車の乗込部1において、トレー台車6を旋回できるので、トレー台車6を入庫の段階で旋回させるばかりでなく、必要に応じて選択的に、出庫の段階で旋回させるように制御を変えることもできる。
【0042】
なお、本実施例では、地上設置型のエレベータ式駐車装置として例示しているが、地下設置型、さらに連立型、多塔型など他のエレベータ式駐車装置にも同様に適用することができ、同様な作用効果を得ることできる。
【0043】
【発明の効果】
本発明は上記実施例から明らかなように、エレベータの昇降台上に1つの旋回アームでトレー台車の横行と旋回とを行い得るトレー横行旋回装置を搭載し、自動車の入庫時または出庫時に選択的に、昇降台上でトレー台車を旋回するようにしているので、少ない装置構成を実現して、駐車設備全体の据え付けを容易にして、全体としてコストダウンを図ることができる。また、自動車の入庫の時点で自動車を旋回することができることにより、自動車の出庫に際し、自動車の旋回時間を省くことができ、出庫の円滑性の向上を図ることができる。なお、トレー旋回枠に備えた回り止め用のストッパー部材と、昇降台側に備えたロックピンとにより、トレー旋回枠が、旋回アームの上部係合部材とトレー台車下部のガイド部材との係合が外れ、且つ旋回アームの下部係合部材とトレー旋回枠の係合部とが係合しない高さまで上昇または下降されたときに、トレー旋回枠の旋回方向の動きを固定し、さらに旋回アームの下部係合部材とトレー旋回枠の係合部とが係合する高さまで上昇されたときに、トレー旋回枠の旋回方向の動きを許容するようにしているので、トレー台車の横行動作と旋回動作を確実に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施例における地上設置型のエレベータ式駐車装置の一部破断正面図
(b)同駐車装置の地上1階に設定された自動車の乗込部の平面図
【図2】同駐車装置のエレベータに用いる昇降台の側面図
【図3】同駐車装置の昇降台およびトレー横行旋回装置の拡大平面図
【図4】同駐車装置の昇降台およびトレー横行旋回装置においてトレー旋回枠の旋回動作中の拡大平面図
【図5】同駐車装置の昇降台およびトレー横行旋回装置の拡大側面図
【図6】同駐車装置の昇降台およびトレー横行旋回装置おいてトレー台車上昇中の拡大側面図
【図7】(a−1)同駐車装置のトレー横行旋回装置において、トレー旋回枠が定位置にある場合の側面図
(a−2)同駐車装置のトレー横行旋回装置において、トレー旋回枠が定位置にある場合の平面図
(b−1)同駐車装置のトレー横行旋回装置において、トレー旋回枠が高さL2まで上昇して旋回中の側面図
(b−2)同駐車装置のトレー横行旋回装置において、トレー旋回枠が高さL2まで上昇して旋回中の平面図
(c−1)同駐車装置のトレー横行旋回装置において、トレー旋回枠を高さL1まで下降して旋回アームのみ旋回中の側面図
(c−2)同駐車装置のトレー横行旋回装置において、トレー旋回枠を高さL1まで下降して旋回アームのみ旋回中の平面図
【図8】(a)同駐車装置のトレー横行旋回装置において、トレー台車の引き出し動作開始時を示す平面図
(b)同駐車装置のトレー横行旋回装置において、旋回アームの旋回により先端の係合部材とトレー台車のガイド部材とが係合された状態を示す平面図
(c)同駐車装置のトレー横行旋回装置において、トレー台車の引き出し中を示す平面図
(d)同駐車装置のトレー横行旋回装置において、トレー台車を昇降台上に載せ替えた状態を示す平面図
【図9】従来のエレベータ式駐車装置の正面断面図
【図10】同駐車装置のエレベータに搭載された台車移動用のクランク機構を示す平面図
【図11】従来のエレベータ式駐車装置の自動車の乗込部に設置されたターンテーブルを示す平面図
【符号の説明】
1 自動車の乗込部
1D 出庫口
1E エレベータの昇降台着床位置
2 昇降路
3 エレベータ
30 昇降台
31 ガイドレール
32 昇降駆動装置
33 昇降杆
33R ローラ
34 駆動チェーン
301 昇降枠
302 一対の横行レール
303 支持アーム
304 ロックピン
4 トレー横行旋回装置
401 旋回アーム
402U 上部係合部材
402D 下部係合部材
402s 支軸
402r ローラ
403 旋回駆動装置(ACサーボモータ)
404 トレー旋回枠
404p ロケットピン
404J 係合部
404h 穴
404s ストッパー部材
404t ロック穴
405 ガイド部材
405G ガイド片
405R ガイドレール
406 リフタ
406t テーブル
406p パンタグラフ
406c 駆動装置(シリンダあるいは油圧モートル)
5 駐車区画
501 一対の横行レール
6 自動車載置用のトレー台車
601 車輪
602 ガイド部材(横行用ガイド部材)
603 受け部
Claims (3)
- 昇降台の昇降路の側方に沿って階層的に形成された複数の駐車区画にそれぞれ、一対の横行レールが設けられてその上に自動車載置用のトレー台車が配置され、昇降台と各駐車区画との間でトレー台車の受け渡しを行うことにより、自動車の入出庫を行うエレベータ式駐車装置において、
昇降台に、
トレー台車を支持可能な一対のレールを有する矩形状の昇降枠と、
昇降枠の中心に旋回中心が設定され、水平方向に旋回して先端部が駐車区画側に所定寸法だけ突出した長さを有する旋回アームと、
昇降枠上に設けられ、旋回アームを旋回させる旋回駆動手段と、
昇降枠上に昇降可能に、かつ旋回可能に配置され、トレー台車を昇降枠の上方に持ち上げて旋回するトレー旋回枠と、
旋回アームの先端側に上下両方向に向けて突出し、駐車区画または昇降枠上のトレー台車に対してトレー台車下部に配設されたトレー横行用のガイド部材に係合可能な上部係合部材、およびトレー台車を持ち上げるためにトレー旋回枠の所定高さまでの上昇変位によりトレー旋回枠側に配設された係合部に係合可能な下部係合部材と、
昇降枠上に設けられ、トレー台車を昇降枠から持ち上げて、旋回アームの上部係合部材とトレー台車下部のガイド部材との係合が外れ、且つ旋回アームの下部係合部材とトレー旋回枠の係合部とが係合しない高さと、さらに旋回アームの下部係合部材とトレー旋回枠の係合部とが係合する高さとに、トレー旋回枠を昇降するリフタとを備え、
昇降台と各駐車区画との間でトレー台車を横行させる横行動作と、昇降台上でトレー台車を旋回させる旋回動作とを取り得ることを特徴とするエレベータ式駐車装置。 - 自動車の入庫時また出庫時に選択的に、自動車の乗込部において昇降台上のトレー台車を旋回させて自動車の前部を乗込部の出庫口に向けるようにしている請求項1記載のエレベータ式駐車装置。
- トレー旋回枠にその回り止め用にストッパー部材を備える一方、昇降台に上方に向けて突出し、ストッパー部材に係合するロックピンを備え、トレー台車を旋回するため、トレー旋回枠を一定の高さまで上昇させることにより、ストッパー部材とロックピンとの係合が解除される請求項1または2記載のエレベータ式駐車装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP03085397A JP3679217B2 (ja) | 1997-02-14 | 1997-02-14 | エレベータ式駐車装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP03085397A JP3679217B2 (ja) | 1997-02-14 | 1997-02-14 | エレベータ式駐車装置 |
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JPH10227140A JPH10227140A (ja) | 1998-08-25 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP3679217B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1997
- 1997-02-14 JP JP03085397A patent/JP3679217B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10227140A (ja) | 1998-08-25 |
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