JP3047090B2 - エレベータ式立体駐車装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、エレベータ式立体駐車
装置に関し、とくに昇降手段の上下動を妨げないで車両
を載せるパレットを旋回させるパレット旋回構造に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】エレベータ式立体駐車装置としては、例
えば特開平４−６８１７７号公報に開示されているよう
に、エレベータが昇降する昇降路の両側に階層状の駐車
棚を有する駐車スペースが設けられていると共に、該駐
車スペースの間の部分に車両が入出庫する入出庫部が設
けられており、入出庫部の下部に昇降手段の上下動を妨
げないでパレットを旋回させるパレット旋回構造を備え
たものが提案されている。該パレット旋回構造は、エレ
ベータに収容したパレットを旋回させる旋回手段と、該
旋回手段を上動させて該旋回手段をパレットの下面に当
接させるリフト手段と、該リフト手段が載置支持されて
いる可動ベースとを備え、該可動ベースがエレベータが
上下動する際にエレベータの昇降を許容する退避位置に
位置する一方旋回手段がパレットを旋回させる際にエレ
ベータの下側位置へ進出するようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記エレベー
タ式立体駐車装置のパレット旋回構造は、入出庫部に旋
回手段の他に該旋回手段を退避させる構造としてリフト
手段および可動ベースを備えているため、構造が複雑で
あると共に、入出庫部の下部に大きな設置スペースを設
ける必要がありその分駐車部の容積が減少して車両の収
容台数が減少するという問題があった。

【０００４】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であって、パレット旋回構造の設置スペースを小さくす
ると共に構造を単純にすることを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、パレットを昇降させる昇降手段に旋回手
段を載置支持させると共に駐車装置本体に可動爪を設
け、パレットを旋回させる際に可動爪を旋回手段を保持
可能なように旋回手段の方に突出させる一方昇降手段が
上下動する際には昇降手段および旋回手段の通過を許容
するように退避させるものである。

【０００６】具体的に、本発明が講じた解決手段は、エ
レベータ式立体駐車装置が、車両を載せるパレットと、
駐車装置本体に内部を上下動するように設けられパレッ
トを昇降させる昇降手段と、該昇降手段に載置支持され
ており、パレットを載置支持した状態で旋回させる旋回
手段と、上記駐車装置本体に設けられており、上記旋回
手段がパレットを旋回させる際に上記旋回手段を保持可
能なように該旋回手段の方に突出し且つ上記昇降手段が
上下動する際には該昇降手段および上記旋回手段の通過
を許容するように退避する可動爪とを備えた構成とす
る。

【０００７】

【作用】上記の構成により、旋回手段は昇降手段に載置
支持されて上下動する。可動爪は旋回手段がパレットを
旋回させる際に突出状態にされて旋回手段を保持するの
で、旋回手段は可動爪によって駐車装置本体に保持され
てパレットを旋回させることができる。昇降手段が上下
動する際には可動爪が退避状態に変化し、昇降手段およ
び旋回手段の上下動が確保される。したがって、駐車装
置本体における所定のパレット旋回構造の設置部位に旋
回手段を設ける必要がなく、従来のリフト手段の機能を
昇降手段が兼ねると共に従来の可動ベースの機能は比較
的小さい可動爪が果たしている。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図１は、本発明の一実施例に係るエレベータ式立体
駐車装置を示す。本実施例に係るエレベータ式立体駐車
装置は、駐車装置本体１の内部の中央部に上下方向へ延
びる昇降路Ｓが設けられ、該昇降路Ｓの側方に駐車スペ
ースＴＳ，ＴＳが設けられ、昇降路Ｓよりも上部に図示
しない機械室が設けられている。駐車スペースＴＳの間
の階の部分には、昇降路Ｓの側方に車両Ｗが入出庫する
入出庫部３が介設されている。入出庫部３には昇降路Ｓ
の周囲に入出庫デッキ５が設けられている一方駐車スペ
ースＴＳには昇降路Ｓの両側方に上下多段の駐車棚７が
設けられており、各駐車棚７には車両Ｗ（図４参照）を
載せるパレットＰが収容されている。

【０００９】昇降路Ｓには昇降手段としてのエレベータ
９が配設されている。該エレベータ９は、昇降路Ｓを昇
降して入出庫デッキ５と各駐車棚７との間でパレットＰ
を移送し、入出庫デッキ５において車両Ｗが前後方向か
らパレットＰに入出車する一方、駐車棚７においてパレ
ットＰが左右方向へ向かって移載されるように構成され
ている。

【００１０】図２〜図４に示すように、エレベータ９は
昇降台１１を備えており、昇降台１１は２本の横フレー
ム１１ａ，１１ａと、２本の横フレーム１１ａに架け渡
された２本の縦フレーム１１ｂ，１１ｂと、各縦フレー
ム１１ｂの内側に設けられ上方へ突出する２本の柱１
５，１５と、図２の左右の端部に設けられたパレットＰ
を載置するパレット載置台１７，１７とを備えている。

【００１１】該載置台１７には、パレットＰが入出庫す
る際にパレットＰを駐車棚７との間で移載する図示しな
い移載用駆動手段と、パレットＰの車輪１９が走行する
レール２１（図４参照）とが設けられている。また、駐
車棚７はパレットＰの車輪１９が走行するレールで構成
されている。

【００１２】昇降台１１は前後の吊り下げ部材２３，２
３，…の両端４か所にワイヤロープ２５，２５がそれぞ
れ接続されており、ワイヤロープ２５は図示しない駆動
用モータを介して昇降台１１とある一定のバランスをと
った図示しないバランスウェイトと接続され、駆動用モ
ータを回転させることによって昇降台１１を昇降させ
る。

【００１３】上記昇降台１１の中央部には、パレットＰ
を載置した状態で該パレットＰを旋回可能な旋回手段２
７が載置支持されている。該旋回手段２７は、昇降台１
１に載置支持される旋回支持台２９と、該旋回支持台２
９上に設けられパレットＰを載置した状態で旋回支持台
２９に対して水平面で旋回可能な旋回台３１と、該旋回
台３１を旋回させる旋回用駆動手段３３とから構成され
ている。上記昇降台１１と旋回手段２７とはパレット旋
回構造を構成する。

【００１４】旋回支持台２９は、２本の横フレーム２９
ａ，２９ａと２本の縦フレーム２９ｂ，２９ｂとが枠組
みされた構成とされている。各縦フレーム２９ｂの外側
には先端にローラ３５ａを有する係合ピン３５，３５が
側方に突出して取り付けられている一方、昇降台１１の
２本の柱１５には上向きに開口するガイド溝３７ａを有
する受け部材３７，３７が設けられている。旋回支持台
２９は昇降台１１に、係合ピン３５のローラ３５ａが受
け部材３７のガイド溝３７ａに係合することによって、
位置決めされた状態で保持されるように構成されてい
る。また、旋回支持台２９の横フレーム２９ａおよび縦
フレーム２９ｂには、下方へ突出する４個のガイド部材
３９，３９が設けられており、各ガイド部材３９は、昇
降台１１と旋回支持台２９とが互いに上下方向に相対移
動する際に昇降台１１の対応する横フレーム１１ａの内
側および縦フレーム１１ｂの内側に摺接し、昇降台１１
と旋回支持台２９との間の水平方向の位置ずれを阻止す
るように構成されている。なお、図面では、昇降台１１
の横フレーム１１ａに摺接するガイド部材３９だけを示
している（図３参照）。

【００１５】また、上記旋回台３１は、２本の横フレー
ム３１ａ，３１ａと２本の縦フレーム３１ｂ，３１ｂと
が枠組みされていると共に、横フレーム３１ａの下側に
縦架材３１ｃが架設されている。横フレーム３１ａの上
面は昇降台１１のパレット載置台１７の上面よりも低い
高さに設定され、パレットＰを旋回させるときにだけパ
レットＰが載置されるようにされており、横フレーム３
１ａの上面には板状のゴム部材が取り付けられてなる４
個のパレット載置座４１，４１，…が設けられている。
また、各縦フレーム３１ｂの中央部内側には上向きに開
口する図示しないガイド溝を有するガイド板４３，４３
が取り付けられており、パレットＰを旋回させる際に該
ガイド板４３のガイド溝にパレットＰの図示しない横架
材に設けられた係合ピンが係合することによって、パレ
ットＰが旋回台３１に位置決めされた状態で載置支持さ
れるようにされている。

【００１６】また、上記旋回用駆動手段３３は、旋回台
３１の縦架材３１ｃの下側に固定された大ギア４５と、
旋回支持台２９上の取付台２９ｃに回転可能に設けられ
大ギア４５に噛合する駆動側ギア４７と、旋回支持台２
９上の縦架材２９ｄに回転可能に設けられ大ギア４５に
噛合する従動側ギア４９とを備え、駆動側ギア４７が連
結されているモータ５１の回転駆動によって大ギア４５
が回転すると共に、従動側ギア４９は大ギア４５の回転
軌跡を規制するようにされている。

【００１７】図５に示すように、上記入出庫部３におけ
る入出庫デッキ５よりも下側には昇降路Ｓへ向かって延
びる２本の支持部材５３，５３が設けられている。各支
持部材５３には軸受５５，５５を介して回転軸５７，５
７が保持されており、各回転軸５７の両端に可動爪５
９，５９，…が連結されている。

【００１８】該可動爪５９は、旋回手段２７がパレット
Ｐを旋回させる際に旋回手段２７を保持可能なように旋
回手段２７の方に突出し且つエレベータ９が上下動する
際にはエレベータ９および旋回手段２７の通過を許容す
るように退避する構成とされている。

【００１９】具体的に、本実施例では、可動爪５９上に
旋回手段２７を載置支持するようにしている。つまり、
１本の回転軸５７につき２個ずつ合計４個の可動爪５９
は、それぞれの回転軸５７の可逆回転によって、パレッ
トＰを旋回させる際に旋回支持台２９の縦フレーム２９
ｂから側方へ突出する４本の載置部材６１，６１，…の
下側に突出する突出状態Ａと、エレベータ９が上下動す
る際に昇降台１１および旋回手段２７の上下動を許容す
る退避状態Ｂとに変化するように構成されている。そし
て、各可動爪５９は、パレットＰを旋回させる際に上記
突出状態Ａに変化してエレベータ９が上方から下動する
のに伴って旋回支持台２９の載置部材６１の下面に当接
して旋回手段２７を載置支持するようになっている。

【００２０】次に、上記エレベータ式立体駐車装置のパ
レットＰを旋回させる動作を図４〜図６に基づき説明す
る。図４に示すように、車両Ｗが入庫する際には、駐車
棚７からパレットＰを取り出したエレベータ９の昇降台
１１を入出庫部３に停止させる。昇降台１１は、パレッ
ト載置台１７上のパレットＰの走行面が入出庫デッキ５
と同じ高さになるように停止する。車両Ｗを前後方向へ
移動させ、車両Ｗを入出庫デッキ５からパレットＰに入
車させる。

【００２１】次に、図５に示すように、昇降台１１を上
動させ、この後可動爪５９を突出状態Ａにする。図６に
示すように、昇降台１１を下動させ、可動爪５９に旋回
支持台２９の載置部材６１を当接させ、可動爪５９に旋
回手段２７を載置支持させる。この時、旋回支持台２９
の係合ピン３５と昇降台１１の受け部材３７との係合
（図３参照）が解除され、昇降台１１は旋回手段２７か
ら下方へ離脱する。さらに、昇降台１１を下動させ、パ
レットＰを旋回台３１に載置してパレットＰの係合ピン
を旋回台３１のガイド板４３（図３参照）に係合させる
と共に、パレットＰの車輪１９をパレット載置台１７上
のレール２１から離脱させる。旋回支持台２９に対して
旋回台３１を１８０°旋回させることによってパレット
Ｐ上の車両Ｗを方向転換する。

【００２２】旋回終了後に昇降台１１を上動させてい
き、まずパレット載置台１７にパレットＰを載せた後、
旋回支持台２９を載せ、次に旋回支持台２９を可動爪５
９から離脱させる。最後に可動爪５９を退避状態Ｂに変
化させて（図５の状態）、旋回動作が完了する。この
後、昇降台１１を上下動させてパレットＰを取り出した
駐車棚７にパレットＰを戻し、該駐車棚７に車両Ｗを駐
車させる。

【００２３】車両Ｗが出庫する際には、出庫車両Ｗを載
せたパレットＰを駐車棚７から取り出し、入出庫部３に
移動させる。車両Ｗの方向転換は入庫時になされている
ので車両Ｗを直ちに出庫させる。

【００２４】本実施例によれば、パレットＰが旋回する
際に可動爪５９を突出状態Ａにして該可動爪５９に昇降
台１１が上方から下動することによって旋回手段２７を
載置支持させて旋回手段２７を駐車装置本体１に保持し
て旋回手段２７がパレットＰを旋回できるようにする一
方、エレベータ９を上下動させる際には可動爪５９を退
避状態Ｂにして昇降台１１および旋回手段２７の上下動
を確保している。したがって、入出庫部３に旋回手段２
７を設置する必要がなく、旋回手段２７をエレベータ９
で上下動させることによって従来必要であったリフト手
段を省略できると共に可動ベースよりも小さい可動爪５
９を設置するので、パレット旋回構造の設置スペースが
従来よりも小さくなり、車両Ｗの収容台数を増加させる
ことができる。とくに、エレベータ式立体駐車装置の最
下階にパレット旋回構造を設ける場合、従来であれば最
下階に駐車スペースＴＳを設けることができなくなるが
本実施例に係る旋回手段２７によれば可動爪５９を設け
るだけであるので最下階にも駐車スペースＴＳを設ける
ことができる。

【００２５】また、パレット旋回構造はあらかじめ設け
られている昇降台１１を上下動作させる機構と可動爪５
９を変化させる機構と旋回台３１を旋回させる機構を必
要とするだけであるので、パレット旋回構造を単純にす
ることができる。

【００２６】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、旋回手
段がパレットを旋回させる際に突出状態にされた可動爪
が旋回手段を保持することによって旋回手段をパレット
を旋回可能な状態にする一方、昇降手段が上下動する際
には可動爪を退避状態にして昇降手段および旋回手段の
上下動を確保しているので、駐車装置本体における所定
のパレット旋回構造の設置部位に旋回手段を設ける必要
がなく、旋回手段を昇降手段で上下動させることによっ
て従来のリフト手段を省略できると共に従来の可動ベー
スよりも小さい可動爪を設けるスペースがあればよくな
り、パレット旋回構造の設置スペースを縮小して車両の
収容台数を増加すると共にパレット旋回構造を単純にす
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るエレベータ式立体駐車
装置の要部の断面図である。

【図２】上記エレベータ式立体駐車設備のエレベータお
よび該エレベータに載置支持されている旋回手段の平面
図である。

【図３】上記エレベータおよび該エレベータに載置支持
されている旋回手段の要部の正面図である。

【図４】上記エレベータおよび該エレベータに載置支持
されている旋回手段であって、エレベータが入出庫部に
停止した状態の右側面図である。

【図５】上記エレベータおよび該エレベータに載置支持
されている旋回手段であって、エレベータを上動させた
後可動爪を突出状態にした状態の右側面図である。

【図６】上記エレベータおよび旋回手段であって、旋回
支持台を可動爪に載置支持させて旋回台を旋回させる状
態の右側面図である。

【符号の説明】

１ 駐車装置本体 ９ エレベータ（昇降手段） ２７ 旋回手段 ５９ 可動爪 Ｐ パレット Ｗ 車両

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両を載せるパレットと、 駐車装置本体に内部を上下動するように設けられパレッ
   トを昇降させる昇降手段と、 該昇降手段に載置支持されており、パレットを載置支持
   した状態で旋回させる旋回手段と、 上記駐車装置本体に設けられており、上記旋回手段がパ
   レットを旋回させる際に上記旋回手段を保持可能なよう
   に該旋回手段の方に突出し且つ上記昇降手段が上下動す
   る際には該昇降手段および上記旋回手段の通過を許容す
   るように退避する可動爪とを備えていることを特徴とす
   るエレベータ式立体駐車装置。