JP3677554B2 - スプリングリターン式電動弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リターンスプリングにより一方向に付勢された回転弁を、電動機により駆動し開閉作動するスプリングリターン式電動弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷暖房装置、空調装置、給湯装置等における、冷温水回路、冷媒回路等に使用する弁として、リターンスプリングによってたとえば閉弁方向に付勢された弁体を電動機により回転し、開弁作動するようにしたスプリングリターン式電動弁が用いられている。このような電動弁においては、電動機により出力軸を回転し、この駆動軸に固定した歯車により複数の減速歯車列を駆動し、減速歯車列により駆動される出力軸端に固定した弁体を回転駆動するように構成されており、その際、一端が弁ケースに固定され、他端が出力軸に固定されることにより弁体を常時閉方向に付勢しているリターンスプリングの力に抗して、リターンスプリングを更に巻き上げるようにして弁体を開作動し、例えば90度弁体を回転するとその位置をスイッチ等により検出し、電動機への通電量を下げ、電動機の回転方向の出力を下げることにより、このわずかな通電による力と、減速歯車列を介して伝達されるリターンスプリングによる戻し力を均衡させて全開状態を維持している。
【0003】
また、弁体を閉作動する際には、電動機への通電を停止すると、弁体は上記のように電動機により巻き上げられて戻し力の強くなったリターンスプリングの力により逆方向に回転させられ、弁が設けられた出力軸等に設けているストッパピンの突出部材がストッパに当接することにより、弁体を所定の全閉位置に停止している。また、電動機への通電を停止した時の対策として、モータの駆動軸と弁体の出力軸との間にワンウエイクラッチを設けたり、電磁クラッチ内蔵モータを用いることも行われている。
【0004】
一方、スプリングリターン式電動弁において、冷凍回路全体の調整時やバルブ自体の調整時にバルブを手動で任意に開閉作動する必要性が生じるため、バルブの駆動機構中に手動レバーを突出して設け、オペレーターがこれを手動で操作し、弁を開閉操作している。また、上記手動操作のため、駆動機構中には工具係止部のみ設け、オペレータは工具を用いてこの工具係止部を操作し、弁体を手動で操作することも行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のスプリングリターン式電動弁においては、弁体を閉弁状態とするとき、電動機によって巻き上げられたリターンスプリングによる強い戻し力によって急速に回転し、弁が設けられた出力軸等に設けたストッパピンがストッパに当接して急停止する。そのため、急停止する出力軸と、モーター内で回転しているロータの慣性力でロータと共に回転する歯車機構との間で大きな衝撃力が発生し、騒音も発生することとなる。
【0006】
また、上記のように、モータへの通電停止時の対策として、モータの駆動軸と弁体の出力軸との間にワンウエイクラッチを設けたものにおいては、その機構を設けるために高価なものとなり、更に、電磁クラッチ内蔵モータを用いることも高価なものとなるばかりでなく、モータの出力不足を生じ易く大きなバルブには適用できないという欠点を生じ、大きなバルブのためには大型のモータを用いる必要が生じ、モータの消費電力が増大する。また、これらのものは構造が複雑になるという欠点も生じる。更に、上記以外の手段として、駆動機構にラチェット機構を設けることもあるが、その場合には駆動機構の作動時に大きな騒音が発生する欠点を生じる。
【0007】
一方、弁の手動操作のため駆動機構中に手動操作部分を設けるに際して、駆動機構中に手動レバーを突出して設けたものにおいては、この手動レバーを操作する際手動レバーには弁の駆動力のほか、特に、無通電時、電動機から弁の出力軸までの減速歯車機構を駆動する力及びリターンスプリングによる戻し力もかかるため、きわめて大きな力が手動レバー力にかかり、手が痛くなってしまう欠点があり、更に、大きな力を作用させるため手動レバーを大きなものとせざるを得ず、手動レバーが弁体から大きく突出し、その分のスペースを確保する必要が生じるほか、弁体の製造後の梱包時に大きな箱や大きなスペースを必要とする欠点もあった。また、駆動機構中に工具用の係合部を設け、手動操作時に工具をこの係合部に係合させるようにしたものにおいては、弁の手動操作時に工具を探す等の必要が生じ、工具がない場合にはこの操作を行うことができない。
【0008】
したがって、本発明は、簡単な構造により低騒音で且つ歯車機構に加わる衝撃力が小さいスプリングリターン式電動弁とすると共に、工具を用いることなく、小さな手動レバーで小さな力により操作できるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、モータの駆動軸と回転弁体を固定した出力軸との間に減速歯車機構を設け、該出力軸に戻し力を付与するリターンスプリングを設けてなるリターンスプリング式電動弁において、前記出力軸外周にクラッチスプリングをリターンスプリングと同方向に巻回すると共に一端を前記出力軸の駆動機構に結合して摩擦クラッチを構成し、前記出力軸を第1出力軸と第2出力軸に軸線方向に2分すると共に両者を弁体固定側の前記第1出力軸に設けた手動レバーで係脱自在に結合し、手動レバーの移動により両者を離脱する離脱機構を設け、該離脱時に手動レバーにより弁体を回動可能に構成したものである。
【0010】
本発明は、上記のように構成したので、モータへの通電時にはモータの駆動軸の回転により、減速機構を介して弁体を固定した出力軸をリターンスプリングに抗してリターンスプリングを巻き込む方向へ回転し、弁体を所定の位置まで回動して停止する。このとき、出力軸に設けた摩擦用コイルスプリングはその内径が拡開して摩擦力を軽減し、出力軸は自由に回転する。一方、モータへの通電の停止時には、出力軸はリターンスプリングによりリターンスプリングの戻り方向へ回転する。第2出力軸20の下端部19に設けた平行平面をなす切欠部28と嵌合固定したストッパー30がケース10の下端部12の内側に互いに対向して形成した第2ストッパ面45に当接し、第2出力軸20が回転を停止したとき、摩擦用コイルスプリングはその内径が縮径してその内側の出力軸と摺接するため、その摩擦によりブレーキ作用をし、出力軸の急速な戻り方向の回転が防止される。そのためモータ内部のロータの慣性力による回転によって回転しようとする減速ギヤ系と出力軸は略同期して回転し、両者間で衝撃音を発生することはない。
【0011】
また、このようなスプリングリターン式電動弁を手動により操作するときには、手動レバーを操作して移動し、出力軸を2分した状態で手動レバーを回動すると、手動レバーが固定された側に設けられている弁体も一体的に回動する。手動レバーを元の状態に戻し2分された出力軸を一体化すると、弁体は通常通り電動機により駆動可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。両端に流体の出入り口1、2を有する弁本体3の流路の中央には球形表面を有する回転弁4が両開口部の弁座5、6に対して液密に回転自在に支持されている。回転弁4の上端部には第1出力軸7の下端が固定され、第1出力軸7は弁本体の中央上部に突出した軸ガイド部8の内部で摺動自在に支持されている。軸ガイド部8の上端には弁駆動部のケース10が、ボルト11により下端突出部12において固定されている。
【0013】
ケース10の上部には基台13が固定され、この基台13の上部にはモータ14が固定され、その周囲をカバー15により覆っている。モータ14の駆動軸は基台13を貫通し、端部に歯車16を固定している。この歯車16は、図に示すような各種の減速歯車列17を経由して減速される。この減速歯車列17は、前記第1出力軸7の上端部18と第2出力軸20の下端部19において通常時は当接している、第1出力軸と同軸上に配置した第2出力軸20の上部に固定している出力軸歯車21と噛み合っている。
【0014】
第1出力軸7の上端部18と第2出力軸20の下端部19とは、弁本体3の軸ガイド部8の上部において、ケース10の下端突出部12で形成される空間22においてその端部が当接している。第1出力軸7の上端部18には平行平面をなす切欠部23が形成され、切欠部23にはこれと嵌合する孔24を形成した手動レバー25が設けられ、手動レバー25はその下面に設けたスプリング29により常時上方に付勢され、切欠部23の上端部に設けた止めリング26に圧接されている。手動レバー25には係合穴27が設けられ、この係合穴27には第2出力軸20の下端部19に設けた平行平面をなす切欠部28と嵌合固定したストッパー30の下端の係合ピン31が嵌入している。ストッパー30は、ケース10の下端突出部12の内側に互いに対向して形成した第1ストッパ面44と第2ストッパ面45に当接可能となっており、回転弁全開時にはストッパー30は第1ストッパ面44に当接し、回転弁全閉時にはストッパー30は第2ストッパ面45に当接して回動が停止される。
【0015】
それにより、通常作動時には第2出力軸20の回動は、ストッパー30の係合ピン31を介して、これが嵌入する手動レバー25を回動し、手動レバー25は第1出力軸7を回転させる。その結果、第2出力軸の回動により第1出力軸7に固定した回転弁4が回転する。また、手動で回転弁4を回転したいときには手動レバー25を第1図中鎖線で示すように、その先端をスプリング29に抗して下方に移動させ、係合ピン31と係合孔27との係合を解除し、手動レバー25を手動により第1出力軸の軸線周りに回転させると、第1出力軸7は第2出力軸20及び減速歯車列17とは独立して回動することができ、容易に回転弁4を任意に回度に回動することができる。また、その回動操作が終了した後は、手動レバー25を離すとレバーの端部はスプリング29により戻り、手動レバー25を回動し係合孔27と係合ピン31とを係合すると元の状態に戻り、モータの駆動により回転弁4は回転する。
【0016】
図7ないし図9に示すように、第2出力軸20の上方の出力軸歯車21は、第2出力軸20遊嵌しており、その下面には第1ピン32が下方に突設され、また、第2出力軸20の上部において出力軸歯車21の下方に中空の第2ピン39が第1ピン32と直角方向に第2出力軸20を貫通して固定されており、出力軸歯車21が回転弁の開方向へ回動するとき、第1ピン32が第2ピン39と当接して押圧し回転させる。この中空の第2ピン39の片側開口33には、第2出力軸20の外周に券回されるリターンスプリング34の上端部35が挿入され固定されている。リターンスプリング34の下端部36は、ケース10の中央部の軸ガイド部37の外周下端の係止部38に係止されている。
【0017】
図1、図2に示すように、第2出力軸20の上端部は、基台13に固定した軸受け40に軸止されており、この軸受け40の下面と出力軸歯車21の上面との間にはねじりスプリング状のクラッチスプリング41が設けられており、クラッチスプリング41の下端は出力軸歯車21の上面に嵌入し係止され、上端は軸受け側に係止されている。また、このクラッチスプリング41の巻き方向は上記リターンスプリング34の巻き方向とは方向とされ、且つ、出力軸歯車21がその第1ピン32により第2出力軸20の第2ピン39を押圧する以前の状態において、クラッチスプリング41は第2出力軸20の上端部外周と接触する状態とされ、第2出力軸20に摩擦力を付与している。
【0018】
上記構成において、出力軸歯車21が回転し、その第1ピン32により第2出力軸20の第2ピン39を押圧し、第2出力軸20をリターンスプリング34の戻し力に抗してリターンスプリング34を巻き込む方向に回転するとき、クラッチスプリング41は逆に、巻き方向とは逆方向にねじられ、その内径が大きくなるため、クラッチスプリング41の内側と第2出力軸20の外周との摩擦はなくなる。それにより、モータ14の駆動によって減速機構17を介して出力軸歯車21が回転するとき、出力軸歯車21により第2出力軸20は自由に回転可能となり、第2出力軸20は前記のようにストッパー30、手動レバー25、第1出力軸7を各々介して回転弁4を開方向に回転させる。この回転弁4が90度解放した状態において、ストッパー30は第1ストッパ面44に当接し保持する。
【0019】
一方、閉弁時において、モータ14の通電を停止すると、第2出力軸20はリターンスプリング34の戻し力により前記とは逆方向に第1出力軸7と共に回転し、第2ピン39により第1ピン32が逆方向に駆動され、第2出力軸20の下端部19に設けた平行平面をなす切欠部28と嵌合固定したストッパー30が、ケース10の下端部12の内側に互いに対向して形成した第2ストッパ面45に当接し、第2出力軸20が回転を停止したとき、クラッチスプリング41は巻き込む方向に回転されるので、クラッチスプリング41の内径が縮径し、第2出力20の外周と摩擦状態となるため、第2出力軸20の急速な戻り方向の回転は減速され、モータ14内で慣性で回転するロータと共に回転しようとする減速機構17及び出力軸歯車21と略タイミングを合わせて回転され、駆動機構における衝撃が回避される。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、上記のように構成したので、モータへの通電時にはモータの駆動軸の回転により、弁体を固定した出力軸をリターンスプリングに抗してリターンスプリングを巻き込む方向へ回転するとき、出力軸に設けたクラッチスプリングはその内径が拡開して摩擦力を軽減し、出力軸は自由に回転する。そのため、弁を作動するモータは小型のものでも十分に駆動可能となる。一方、モータへの通電の停止時には、出力軸はリターンスプリングによりリターンスプリングの戻り方向へ回転するが、第2出力軸20の下端部19に設けた平行平面をなす切欠部28と嵌合固定したストッパー30が、ケース10の下端部12の内側に互いに対向して形成した第2ストッパ面45に当接し、第2出力軸20が回転を停止したとき、摩擦用コイルスプリングはその内径が縮径してその内側の出力軸と摺接するため、その摩擦によりブレーキ作用をし、出力軸の急速な戻り方向の回転が防止される。そのため、モータ内部のロータの慣性力による回転によって回転しようとする減速ギヤ系と出力軸は略同期して回転し、両者間で衝撃音を発生することはない。
【0021】
また、このようなスプリングリターン式電動弁を手動により操作するときには、工具を用いることなく、既設の手動レバーを操作して移動し、出力軸を2分した状態で手動レバーを回動することができ、手動レバーには減速機構等の力が作用しないので、手動で軽く弁の開閉を行うことができる。そのため、手動部レバーは小型のものでもよくなり、弁全体が嵩張ることがなくなる。上記のように、本発明は、簡単な構造により低騒音で且つ歯車機構に加わる衝撃力が小さいスプリングリターン式電動弁とすると共に、工具を用いることなく、小さな手動レバーで小さな力により操作できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の側方向断面図である。
【図2】同正面方向断面図である。
【図3】同手動レバー部分の通常作動状態の側面図である。
【図4】同正面図である。
【図5】同手動レバーの操作状態の側面図である。
【図6】同正面図である。
【図7】 同リターンスプリング部分の正面図である。
【図8】同側面図である。
【図9】図8のA−A部分断面図である。
【図10】図7のBーB部分断面図である。
【符号の説明】
1 流体の出入り口
2 流体の出入り口
3 弁本体
4 回転弁
5 弁座
7 第1出力軸
8 軸ガイド部
10 ケース
11 ボルト
12 下端突出部
13 基台
14 モータ
15 カバー
17 減速歯車列
18 上端部
19 下端部
20 第2出力軸
21 出力軸歯車
22 空間
23 切欠部
24 孔
25 手動レバー
26 止めリング
27 係合穴
28 切欠部
29 スプリング
30 ストッパー
31 係合ピン
32 第1ピン
33 片側開口
34 リターンスプリング
35 上端部
36 下端部
37 軸ガイド部
38 係止部
39 第2ピン
40 軸受け
41 クラッチスプリング
44 第1ストッパ面
45 第2ストッパ面

Claims (1)

  1. モータの駆動軸と回転弁体を固定した出力軸との間に減速歯車機構を設け、該出力軸に戻し力を付与するリターンスプリングを設けてなるリターンスプリング式電動弁において、前記出力軸外周にクラッチスプリングをリターンスプリングと同方向に巻回すると共に一端を前記出力軸の駆動機構に結合して摩擦クラッチを構成し、前記出力軸を第1出力軸と第2出力軸に軸線方向に2分すると共に両者を弁体固定側の前記第1出力軸に設けた手動レバーで係脱自在に結合し、該手動レバーの移動により両者を離脱する離脱機構を設け、該離脱時に手動レバーにより弁体を回動可能に構成したことを特徴とするリターンスプリング式電動弁。
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