JP3676955B2 - 合成樹脂製チャック付袋体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開口部に雌雄咬合型のチャックを備えた合成樹脂製チャック付袋体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
開口部の内側に雌雄咬合型のチャックを設けた合成樹脂製袋体はチャックの再開閉機能によって包入物の出し入れの際に開口部の開閉の容易性や密封性で便利に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、袋本体のフイルムとチャックとが熱接着性がないか接着しても接着強度が十分ではないような場合は、適用するに困難性を伴う。
例えば、実公昭49−21445号公報には、ポリビニルアルコールなどの親水性樹脂フイルムの各種包装用袋に対し、ポリエチレンやポリプロピレンなどの疎水性樹脂製のチャックを接着し使用することは煩雑な工程を必要とし、ほとんど不可能に近いことが述べられており、また、例えば、袋体としての機能を持ったアルミニウムや酸化ケイ素等の蒸着フイルム、或いはアクリル等の機能性樹脂をコーティングしてヒートシール機能を持たせた二軸延伸ポリプロピレンフイルム等々の中に、チャックとしての機能を持った合成樹脂製チャックが、熱接着が不可能か又は接着強度が弱いことにより実用性がない場合が間々見られる。
【0004】
このような問題を解消するために、形状安定性及び各種の素材に対する接着性に優れ、成形直後の雌爪部と雄爪部との嵌合性に優れたチャックが特開平6−40458号で提供され、あるいは袋本体への接合部が各種の素材に対する接着性に優れたチャックが特開平7−257602号、特開平2−258562号で提供されており、あるいは又親水性樹脂よりなる袋体フイルムと疎水性樹脂よりなるチャック間に親水性樹脂フイルムと疎水性樹脂フイルムとの複合フイルムよりなるテープを介在対応させて接着一体化するようにした実公昭49−21445号に見られるように、袋本体としての機能とチャックとしての機能の双方を満足するような工夫が成されている。しかしながら、この種の袋体においては、袋本体とチャックの機能の双方が満足していても、チャック両端のサイドシール部に対する配慮が不十分な場合には、袋体の気密性等が十分であるとは言えない。
【0005】
本発明は、各種の袋本体素材について、袋本体としての機能とチャックとしての機能の双方を満足すると共に、チャック両端部のシール性と剥離破袋を生じないようにした合成樹脂製チャック付袋体を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の構成は、開口部の内側に雌雄咬合型のチャックを備え、両端をサイドシールした合成樹脂製チャック付袋体であって、前記チャックと袋体胴部フイルムとが相互に非又は弱熱接着性の素材によって形成されており、この相互に非又は弱熱接着性のチャックと袋体胴部フイルム間に、チャックと袋体胴部フイルムとの夫々に所要の接着強度を持って熱接着可能な素材による基部ベースフイルムを介在してチャックと袋体胴部フイルムとを熱接着するようにしてなり、前記両端サイドシール部におけるチャックの潰し変形幅W3が基部ベースフイルムの潰し変形幅W4に対し、チャックの潰し変形幅W3<基部ベースフイルムの潰し変形幅W4となるように、基部ベースフイルム幅W2を広幅に設定したことを特徴とするものである。
【0007】
また、開口部の内側に雌雄咬合型のチャックを備え、両端をサイドシールした合成樹脂製チャック付袋体であって、前記チャックと袋体胴部フイルムとが相互に非又は弱熱接着性の素材によって形成されており、この相互に非又は弱熱接着性のチャックと袋体胴部フイルム間に、袋体胴部フイルムと所要の接着強度を持って熱接着可能な第1ベースフイルムと、チャックと所要の接着強度を持って熱接着可能な第2ベースフイルムとの複層構造による基部ベースフイルムを介在対応させてチャックと袋体胴部フイルムとを熱接着するようにしてなり、前記両端サイドシール部における第2ベースフイルムを含むチャックの潰し変形幅W3が第1ベースフイルムの潰し変形幅W4に対し、第2ベースフイルムを含むチャックの潰し変形幅W3<第1ベースフイルムの潰し変形幅W4となるように、複層構造による基部ベースフイルムの第2ベースフィルム幅W1に対し第1ベースフイルム幅W2を広幅に設定したことを特徴とするものである。
【0008】
さらに、基部ベースフイルム又は基部ベースフイルムの第1ベースフイルムに凹部が設けられ、この凹部にチャック又は基部ベースフイルムの第2ベースフイルムを含むチャックが位置していることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る合成樹脂チャック付袋体の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、1は表裏2枚の胴部フイルム2によって形成された袋体であり、この胴部フイルム2はチャック4と非又は弱熱接着性の素材によって形成されるものである。前記チャック4は前記袋体1の開口部3の内側に設けられており、図2で示すように、雌爪4a,雄爪4bによる雌雄咬合型チャックである。5は後述するところの基部ベースフイルム、6はサイドシール部、40は後述するチャック4の両端の潰し変形部、50は基部ベースフイルム5の両端の潰し変形部である。
【0010】
図2に示すように、前記のチャック4は接着安定性等を考慮して雌雄爪4a,4bよりも幅のある幅W1のチャック基部11a,11bを備えているが、チャック基部11a,11bは必ずしも必要とはせず、チャック4を後述の基部ベースフイルムに直接接着一体化するようにしても差し支えはない。
【0011】
基部ベースフイルムについて、第1実施例のものは、図2に示すような単層構造の基部ベースフイルム5であり、第2実施例のものは、図4に示すような第1ベースフイルム51と第2ベースフイルム52との複層構造となるものである。前記基部ベースフイルム5は前記チャック4ないしチャック基部11a,11bと胴部フイルム2とのそれぞれに所要の接着強度を持って熱接着可能な素材であり、複層構造となる基部ベースフイルムにおいては、チャック4ないしチャック基部11a,11bと対接する第2ベースフイルム52はチャック4ないしチャック基部11a,11bと、一方胴部フイルム2と対接する第1ベースフイルム51は胴部フイルム2と、所要の接着強度を持って熱接着可能な素材により形成されており、この基部ベースフイルムを袋体胴部フイルムとチャック間に介在対応させて熱接着するものである。
【0012】
このような合成樹脂製チャック付の袋体1において、両端のサイドシール部6は、図3に示すようにチャック4の両端の潰し変形部40を基部ベースフイルム5の両端の潰し変形部50が挟みつける状態となる。そして、このサイドシール部6で挟みつけられ押し潰された状態で、チャックの潰し変形幅W3<基部ベースフイルムの潰し変形幅W4となるように第1実施例においては基部ベースフイルム5の、第2実施例においては第1ベースフイルム51の、ベースフイルム幅W2が広幅に設定されているものである。より具体的には、ベースフイルム幅W2はチャック部の形態や樹脂量、使用されている樹脂の特性やサイドシールに掛かる温度条件等を考慮して、前記チャックの潰し変形幅W3<基部ベースフイルムの潰し変形幅W4を満足するよう設定されるものである。
【0013】
図2において7はチャック4より開口部3側の胴部フイルム2の内側に突設した凸起であり、開封位置8より開口の際の開封引き裂きガイドや開口部3を開口した後に胴部フイルム2側に残存する凸起7によって指先滑り止め等として用いられる。尚、この凸起7は図4に示すような所要幅の帯状物でもよい。
【0014】
図5及び図6に示す第3実施例は、基部ベースフイルム5に凹部9を設けて、この凹部9にチャック4なしいチャック基部11a,11bを位置させるようにしたものである。そして図5においては、チャック4に隣接して凹所が残されており、図6においては、凹部9を埋める形でチャックが位置している。尚、基部ベースフイルム5の両端部に凸部を設けこのような形態とすることも同じ範疇に属する。第3実施例を第2実施例に適用した場合には、基部ベースフイルムの第1ベースフイルム51にこのような凹部が設けられ、この凹部に基部ベースフイルムの第2ベースフイルム52を含むチャック4が位置することになる(図示省略)。
【0015】
前記した胴部フイルム2の基材については下記のようなものが適用される。
延伸ポリプロピレン(OPP)
高密度延伸ポリエチレン(HD−OPE)
ポリエチレンテレフタレート(PET)
ポリブチレンテレフタレート(PBT)
ポリアクリロニトリル(PAN)
ナイロン(Ny)
エチレンビニルアルコール(EVOH)
ポリビニルアルコール(PVA)
塩化ビニル(PVC)
塩化ビニリデン(PVDC)
これらのフイルムの表面にアルミニウムや酸化ケイ素等の金属、無機質をコーティングあるいは蒸着したフイルム、アルミニウム箔やアルミニウム合金箔のような金属箔やこれを含むフイルム等々が用いられる。
【0016】
前記チャック4の合成樹脂については、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン系ポリエチレン)、ポリプロピレン(ブロック及びランダムコーポリマー)等のオレフィン系樹脂又はこれらの共重合体が用いられる。
【0017】
前記チャック4ないしはチャック基部11a,11bと胴部フイルム2とのそれぞれに熱接着可能な基部ベースフイルム5の合成樹脂については下記のようなものが用いられる。
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)
エチレン・メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)
エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)
エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)
エチレン・メタクリル酸共重合体(EMAA)
エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)
アイオノマー
変形ポリエチレン
変性ポリプロピレン
なお、前述の凸起7や図4に示すような所要幅の帯状物も、この基部ベースフイルム5と同じ素材か若しくは胴部フイルム2と接着性のある樹脂素材が選択される。
【0018】
複合構造による基部ベースフイルムについては、第1ベースフイルム51をポリビニルアルコール(PVA)、第2ベースフイルムを低密度ポリエチレンやポリプロピレンというように、胴部フイルム2に用いられる素材と、チャック4に用いられる素材を、適宜組み合わせた複合構造が一般的である。
【0019】
本発明は上記のとおりの構成であるから、胴部フイルム2とチャック4とが非又は弱熱接着性の素材によって形成されていても、チャック4と胴部フイルム2とのそれぞれに熱接着可能な合成樹脂による基部ベースフイルム5若しくは第1ベースフイルム51と第2ベースフイルム52との複合構造によるベースフイルムを接着媒体として胴部フイルム2とチャック4を確実に熱接着することができる。
【0020】
そしてその際に、第1実施例においては両端サイドシール部におけるチャックの潰し変形幅W3が基部ベースフイルムの潰し変形幅W4に対し、チャックの潰し変形幅W3<基部ベースフイルムの潰し変形幅W4となるように、基部ベースフイルム幅W2を広幅に設定したことにより、第2実施例においては両端サイドシール部における第2ベースフイルムを含むチャックの潰し変形幅W3が第1ベースフイルムの潰し変形幅W4に対し、第2ベースフイルムを含むチャックの潰し変形幅W3<第1ベースフイルムの潰し変形幅W4となるように、複層構造による基部ベースフイルムの第2ベースフィルム幅W1に対し第1ベースフイルム幅W2を広幅に設定したことにより、図3で示すようにサイドシール部6においては、チャック4の両端の潰し変形部40のチャック潰し変形幅W3は基部ベースフイルム5(第1ベースフイルム51)の両端の潰し変形部50の基部ベースフイルムの潰し変形幅W4内にて拡散変形し、チャック4の両端の潰し変形部40が基部ベースフイルム5の両端の潰し変形部50より胴部フイルム2側にはみ出すことがない。若しチャック潰し変形幅W3が基部ベースフイルム5(第1ベースフイルム51)の両端の潰し変形部50より胴部フイルム2側にはみ出すような場合は、はみ出した部分は非又は弱熱接着性の胴部フイルム2に対接触することになり、シールが不完全になり密封が保持できなくなるばかりでなく、この部分からの剥離破袋が生じるが、本発明ではサイドシール部6におけるチャック4の両端のシール性が強化され、かつ密封性を向上する。なお、両端のサイドシールの際にサイドシール部6では凸起7も図3で示すように潰し変形70されサイドシール部6を補強する。
【0021】
また、基部ベースフイルム5に凹部9を設け、この凹部9にチャック4ないしチャック基部11a,11bを位置させるようにした図5及び図6に示す第3実施例は、あるいは第1ベースフイルム51に凹部を設け、この凹部に第2ベースフイルム52を含むチャック4を位置させるようにすることによって、チャックの潰し変形幅W3<基部ベースフイルムの潰し変形幅W4、第2ベースフイルムを含むチャックの潰し変形幅W3<第1ベースフイルムの潰し変形幅W4の関係を確保する上で効果的である。すなわち、基部ベースフイルム5若しくは第1ベースフイルム51の両端部に位置する凸部がはみ出そうとする樹脂のストッパー的役割を果たすと共に基部ベースフイルム5若しくは第1ベースフイルム51の潰し変形幅W4の拡大を助ける。そして、図5に示すようにチャック4に隣接して凹所を残した場合にはこの凹所に樹脂を保持し、図6に示すように凹部9を埋める形でチャックが位置している場合には、前者と比較して樹脂の保持量は少なくなるものの基部ベースフイルム5若しくは第1ベースフイルム51に対するチャック若しくは第2ベースフイルム52の位置決めが容易化するものである。
【0022】
なお、図1ないし図3、図5〜図6で示す袋体1の開口部3端は袋状の形態であり、図4、図7は天シール10により開口部3がシールされた形態の袋体である。また、基部ベースフイルム5ないし第1ベースフイルム51の幅は本発明構成を保持する主要部より図7で示すように開口部3側に大きく延在した構成でも良い。
【0023】
また、上記実施例においては、基部ベースフイルムは単層若しくは二層の複層構造のものを取り上げたが、第1ベースフイルム51と第2ベースフイルム52との間に中間層を設けた複層構造を採用することも出来る。この場合の中間層の幅は、他の実施例と同様にサイドシールにより押し潰された状態で非又は弱熱接着性の素材どおしが対接触しないように、第1ベースフイルムの幅W2と第2ベースフイルムの幅W1の範囲内で設定される。
【0024】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、チャックと袋体胴部フイルムとが相互に非又は弱熱接着性の素材によって形成されている場合であっても、前記チャックと袋体胴部フイルムのそれぞれに所要の接着強度を持って熱接着可能な素材による単層若しくは複層の基部ベースフイルムを接着媒体としてチャックと胴部フイルムとを熱接着した構成であるから、袋本体としての機能とチャックとしての機能の双方を満足すると共に、チャックの潰し変形幅W3<ベースフイルムの潰し変形幅W4の関係を確保することによって、チャック両端のサイドシール部のシール性を強化して、密封性を向上し、該部よりの剥離破袋を生じない合成樹脂製チャック付袋体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明袋体の正面図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】図1のB−B線断面図
【図4】本発明の他の実施形態を示す図1のA−A線相当断面図
【図5】本発明の他の実施形態を示す図1のA−A線断面図
【図6】本発明の他の実施形態を示す図1のA−A線断面図
【図7】本発明の他の実施形態を示す図1のA−A線相当断面図
【符号の説明】
1 袋体
2 胴部フイルム
3 開口部
4 チャック
4a 雌爪
4b 雄爪
5 基部ベースフイルム
51 第1ベースフイルム
52 第2ベースフイルム
6 サイドシール部
11a チャック基部
11b チャック基部
40 チャックの両端の潰し変形部
50 基部ベースフイルムの両端の潰し変形部
W1 チャック、チャック基部、又は第2ベースフイルムの幅
W2 基部ベースフイルム又は第1ベースフイルムの幅
W3 チャックの潰し変形幅又は第2ベースフイルムを含むチャックの潰し変形幅
W4 基部ベースフイルム又は第1ベースフイルムの潰し変形幅

Claims (3)

  1. 開口部の内側に雌雄咬合型のチャックを備え、両端をサイドシールした合成樹脂製チャック付袋体であって、前記チャックと袋体胴部フイルムとが相互に非又は弱熱接着性の素材によって形成されており、この相互に非又は弱熱接着性のチャックと袋体胴部フイルム間に、チャックと袋体胴部フイルムとの夫々に所要の接着強度を持って熱接着可能な素材による基部ベースフイルムを介在してチャックと袋体胴部フイルムとを熱接着するようにしてなり、前記両端サイドシール部におけるチャックの潰し変形幅W3が基部ベースフイルムの潰し変形幅W4に対し、チャックの潰し変形幅W3<基部ベースフイルムの潰し変形幅W4となるように、基部ベースフイルム幅W2を広幅に設定したことを特徴とする合成樹脂製チャック付袋体。
  2. 開口部の内側に雌雄咬合型のチャックを備え、両端をサイドシールした合成樹脂製チャック付袋体であって、前記チャックと袋体胴部フイルムとが相互に非又は弱熱接着性の素材によって形成されており、この相互に非又は弱熱接着性のチャックと袋体胴部フイルム間に、袋体胴部フイルムと所要の接着強度を持って熱接着可能な第1ベースフイルムと、チャックと所要の接着強度を持って熱接着可能な第2ベースフイルムとの複層構造による基部ベースフイルムを介在対応させてチャックと袋体胴部フイルムとを熱接着するようにしてなり、前記両端サイドシール部における第2ベースフイルムを含むチャックの潰し変形幅W3が第1ベースフイルムの潰し変形幅W4に対し、第2ベースフイルムを含むチャックの潰し変形幅W3<第1ベースフイルムの潰し変形幅W4となるように、複層構造による基部ベースフイルムの第2ベースフィルム幅W1に対し第1ベースフイルム幅W2を広幅に設定したことを特徴とする合成樹脂製チャック付袋体。
  3. 基部ベースフイルム又は基部ベースフイルムの第1ベースフイルムに凹部が設けられ、この凹部にチャック又は基部ベースフイルムの第2ベースフイルムを含むチャックが位置していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の合成樹脂製チャック付袋体。
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