JP3674853B2 - 燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は燃焼装置に係り、特に、燃料ガスを希薄な状態で燃焼させる濃淡燃焼方式に好適なものに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料ガスを希薄な状態で燃焼させる方法として、濃淡燃焼方式が知られている。ここで濃淡燃焼方式とは、低濃度の燃料ガスから発生する主炎に高濃度の燃料ガスが燃焼した補炎を隣接させる燃焼方法である。給湯器等に使用される濃淡燃焼方式の燃焼装置として、金属板を重ねてこれらの空隙によってガス流路を形成したものが知られている。
【0003】
従来技術のこの種の燃焼装置の多くは、6枚の金属板を重ねたものであり、中央の二枚によって低濃度の燃料ガスが通過する淡ガス流路を構成し、側面側のそれぞれ二枚によって高濃度の燃料ガスが通過する濃ガス流路を構成する。
ところで濃淡燃焼方式を採用する燃焼装置は、着火の際に主炎用の開口から不完全燃焼状態の燃料ガスが外部に出てしまい、ガス臭さを感じさせるという不具合があった。そこで本発明者らは、濃ガス流路の長さを淡ガス流路よりも短くして、着火の際に炎孔から濃ガスを先に噴射させ、補炎を先に安定させて不完全燃焼状態の燃料ガスの排出を阻止する燃焼装置を開発した(特願2000−197074号)。
【0004】
上記した特願2000−197074号の燃焼装置は、4枚の金属板を重ねたものであり、中央の二枚の金属板によって淡ガス流路が形成され、中央の二枚の金属板の外面と、外側の金属板の内面によって濃ガス流路が形成されている。先に提案した燃焼装置は、当初の目的通り着火の際にガス臭が発生しないばかりでなく、4枚の金属板によって作られているので構造が簡単であるという効果も併せ持つ。
【0005】
しかしながら特願2000−197074号に開示した燃焼装置は、補炎側の燃料ガスを主炎側に先立って噴射させることを基本とするから、補炎側のガス流路は短いものとならざるを得ず、補炎側の燃料ガスと空気との混合が不十分となりがちであった。
そこで、本発明者らは、濃ガス流路の途中に狭窄通路を設けると共に、狭窄通路内部の補炎孔側の一部を両側の補炎孔の配置に合わせて仕切るようにした燃焼装置を開発した(特願2000−230063号)。
この燃焼装置では、燃料ガスノズルの濃ガス流路への噴射位置が横方向へ僅かにずれた場合でも、濃ガスの混合むらの発生を抑えることができ、補炎が安定するものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特願2000−230063号に開示した燃焼装置は、燃料ガスノズルの濃ガス流路への噴射位置が上下方向へ変動した場合は、濃ガスの混合むらを抑制する効果が少なく、安定した補炎を得ることができず不満を残していた。
【0007】
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、先に提案した発明の利点を生かしつつ、燃料ガスと空気との混合を促進させ、均一に混ざった混合ガスによって安定した燃焼を行なう燃焼装置を開発することを課題とするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の燃焼装置は、低濃度の燃料ガスを噴射する主炎孔と、当該主炎孔から噴射される燃料ガスよりも濃度の高い燃料ガスを噴射する補助炎孔を有した燃焼装置において、空気又は低濃度の燃料ガスが導入される空気導入口と、空気及び高濃度の燃料ガスが導入される濃ガス導入口と、前記空気導入口と主炎孔を連通し主炎孔に燃料ガスを供給する淡ガス流路と、前記濃ガス導入口と補助炎孔を連通し補助炎孔に燃料ガスを供給する濃ガス流路と、濃ガス流路の一部を構成し濃ガス導入口から導入された燃料ガスと空気とを混合させる混合部と、濃ガス流路の一部を構成し混合部で生成された高濃度の燃料ガスの一部を淡ガス流路へ分岐する分岐部とを有し、燃料ガスの一部は分岐部から淡ガス流路に設けられたガス導入孔を介して淡ガス流路へ流れ込んで主炎孔から低濃度の燃料ガスが噴射され、燃料ガスの一部は混合部から濃ガス流路を経て補助炎孔から高濃度の燃料ガスが噴射される構成とされており、前記淡ガス流路のガス導入孔近傍の内壁面に凸形状または凹形状を設け、前記淡ガス流路または濃ガス流路における流路偏向部位近傍の内壁面に凸形状または凹形状を形成した構成とされている。
【0009】
本発明によれば、凹形状や凸形状を設けることによって空気や混合ガスが淡ガス流路の内壁に沿って流れるため大きな渦の発生が抑えられる。これにより、通過音の発生が抑えられ、混合むらのない均圧化された混合ガスを下流側へ供給することができる。
凹凸形状は、種々の形状に形成することができるが、本発明者らの実験によると、凹凸形状は円柱形、半球形、三角柱形、円錐形、三角錘形、バーリング状のものが、騒音防止効果が高く、且つ、作りやすいものであった。
【0010】
前記したように、空気や混合ガスが流路の偏向部位や曲折部位を通過する際には、流動する空気や混合ガスが曲折部位で跳ね返ったり大きな渦流が生じ、至るところで通過音が生じて騒音となる。また、跳ね返りや渦流の発生に伴って混合ガスに局部的な圧力差が生じて混合むらが生じ易い。
本発明によれば、淡ガス流路あるいは濃ガス流路の偏向部位近傍や曲折部位近傍の内壁面に凹形状や凸形状を設けることにより、前記したように、内壁に沿って小さな渦流が生じ、空気や混合ガスが流路の内壁に沿って流れる。これにより、大きな渦流の発生が抑え られ、通過音の発生が低減すると共に、混合むらのない均圧化され整流された混合ガスを下流側へ供給することが可能となる。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、前記請求項1の燃焼装置において、ガス導入孔近傍の内壁面に設けた前記凸形状又は凹形状に代えて、ガス導入孔をバーリング孔形状に形成した構成である。
本発明によれば、通過音の発生を抑え、混合むらのない均圧化された混合ガスが得られる。これにより、静粛性と火炎の安定性を兼ね備えた燃焼を行うことが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の本発明は、前記本発明の燃焼装置において、淡ガス流路または濃ガス流路における流路断面積が縮小された狭窄部近傍の内壁面に凸形状または凹形状を設けた構成とされている。
【0013】
ここで、流路に狭窄部を設けると空気と燃料ガスの混合は促進される。しかし、狭窄部において流路断面積が一旦縮小された後に再度拡大されるため、狭窄部の下流側の流路断面積が再度拡大する部位では、ガス流が壁面から剥離して大きな渦流が生じ易く、渦流の発生に伴って混合ガスの内壁面への衝突による通過音が生じる。また、大きな渦流に伴う乱流によって混合ガスに圧力差が生じて安定した火炎を得ることができない。
【0014】
本発明の構成によれば、狭窄部の近傍内壁面に凹形状または凸形状を設けることにより、流路断面積の拡大部位においてもガス流は壁面に沿って流れ、通過音の発生が抑えられ、混合むらのない均圧化された混合ガスが得られる。これにより、静粛性と火炎の安定性を兼ね備えた燃焼を行わせることができる。
【0015】
ところで、前記本発明の燃焼装置は、種々の構造によって製することが可能であるが、例えば、4枚以上の板体を重ね合わせて製造することができる。
則ち、例えば、予めプレス成形された4枚の板体が重ねられ、内側の板体同士の隙間によって淡ガス流路を形成し、外側の板体と内側の板体との間で濃ガス流路を形成させることができる。則ち、淡ガス流路の両外側に濃ガス流路を形成させる構造を採ることができる。そして、濃ガス流路の一端には濃ガス導入口を配すると共に他端には補助炎孔を配し、淡ガス流路の一端には空気導入口を配すると共に他端には主炎孔を配することができる。また、各板体を適宜にプレス成形することにより、流路内部に混合部やベンチュリ部などを形成させることが可能である。
この構造によれば、重ね合わせられた板体の隙間によってガス導入口やガス流路あるいは炎孔を形成することができ、製造が容易で省コスト化を図ることができる。
【0016】
【実施例】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。尚以下の説明では、上下とは、燃焼装置1を、炎孔を上にして設置した状態を基準とする。
【0017】
図1は、本発明の具体的実施例における燃焼装置1の斜視図である。図2は、図1の燃焼装置1の分解斜視図である。図3は、図1の燃焼装置1の平面図及びその拡大図である。図4は、図1の燃焼装置1の展開図である。図5は、図4の板体の折り重ね構造を示す説明図である。図6は、図1の燃焼装置1の混合部周辺の燃料ガスの流れを示す拡大斜視図である。図7は、図1の燃焼装置の混合部周辺の構造および燃料ガスの流れを示す正面図である。図8は、図1のD方向矢視図である。図9は、図1の燃焼装置1における濃ガス流路側の燃料ガスの流れを示す説明図である。図10は、図1の燃焼装置1における淡ガス流路側の燃料ガスの流れを示す説明図である。図11は、図1の燃焼装置1に適用可能な凸形状の突起の設置部位を示す斜視図である。図12は、図1のA−A矢視断面図である。図13は、図1のB−B矢視断面図及びC−C矢視断面図である。図14は、ガス流路の曲折部および狭窄部において凸形状の突起を設けない場合と設けた場合のガス流の流れの差を示す説明図である。
【0018】
本実施例の燃焼装置1は、従来の燃焼装置と同様にケース内に並列に複数並べて使用されたり、単独で使用されるものである。本実施例の燃焼装置1は、バーナ本体10と炎孔部材13によって構成されている。
バーナ本体10は、中央の主構成体20と両脇の副構成体12によって成り、図1,図2,図4に示すように4枚の金属製板体15,16,17,18を重ね合わせて作られている。
これらの金属板体15,16,17,18は、いずれもプレス成形加工によって平板に凹凸形状が設けられたものであり、板体同士の間によって空気又は燃料ガスの流路が形成されている。
これらの金属板体15,16,17,18は、一枚ずつプレス成形して重ねてもよいが、本実施例では副構成体12を形成する板体15,18は一体化された一枚の金属板体で構成し、主構成体20を形成する板体16,17は各々別の金属板体で構成している。
【0019】
則ち、本実施例では図4に示す様に、板体16,17を形成する2枚のプレス成形された金属板体と、一枚の板を2区分に分けて部位A(板体15),部位B(板体18)の形状となる様にプレス成形した金属板体が使用されている。
そしてこれらを図5の様に部位A(板体15),部位B(板体18)の上に板体16,17を重ねて部位A,Bの中央を折り畳むことにより、金属製板体15,16,17,18が重ねられた構成が形成されている。
作業手順としては、先に板体16,17を部位A(板体15)および部位B(板体18)の上に重ね、この状態で板体16と部位A(板体15)および板体17と部位B(板体18)をスポット溶接により接合する。そして最後に部位A,Bの中間部を折り畳み、周囲をスポット溶接接合する。
【0020】
以下、重ねられた状態を基準として構造を説明する。
本実施例の燃焼装置1では、中央の2枚の板体16,17は、互いに対称(掌)形であり、両者が重なり合って主構成体20が構成されている。
則ち、主構成体20の形状は、図2の様な正面板となる板体17と,これに対称(掌)形状の裏板となる板体16が重ね合わされたものである。主構成体20の外観は平たい形をしており、頂部21は開口している。また頂部21を除く、3方の辺にはフランジ部20aが設けられている。ただし、空気導入口27側の上部は、フランジ部20aの一部を切り欠いて形成した混合促進部材60が設けられている。
【0021】
混合促進部材60は、図2,図6の様に、フランジ部20aの端部を略半円状に切り欠いて形成したものである。則ち、フランジ部20aの端部から所定幅で水平右方向に切り欠くと共に更に半円状に切り欠き、切り欠き部60aの半円状の側縁を互いに離遠するように切り起こし(バーリング加工)て切り起こし部60bを形成したものである。
【0022】
また、空気導入口27の上部であって、混合促進部材60の下流に隣接する部位には、連通孔37が設けられている。この連通孔37は、図6,図7の様に、上流側の混合促進部材60側へ向けて延びる開口と斜め上方へ向けて延びる開口とを組み合わせた略L字状に曲折した開口形状を有する。混合促進部材60側へ向けて延びる開口部は後述する板体18に形成される濃ガス流路形成膨出部の傾斜辺と空気導入口27の上部外壁とに沿うように、上流側へ向けて拡大した開口形状を有する。また、斜め上方へ向けて延びる開口部の幅は後述する狭窄通路の内径と略同一で狭窄通路の略中央に至る長さの開口形状を有する。
この連通孔37は、板体16,17を連通して混合ガスの均圧化を図るもので、後述する混合部の内部に位置する。
【0023】
また、混合促進部材60と連通孔37の周辺は中間壁部38となっている。
則ち、空気導入口27の上部に混合促進部材60と連通孔37が設けられ、混合促進部材60および連通孔37の周囲の空隙によって混合部48を形成している。
【0024】
主構成体20を構成する2枚の板体16,17の内部には、当該二枚の板体16,17によって一連の気体流路が形成されている。則ち、板体16,17が密着する部分を除く他の部位には隙間が形成され、この隙間によって気体流路28(淡ガス流路28)が形成される。本実施例の燃焼装置1では、板体16,17によって構成される主構成体20の気体流路28は、濃度の低い燃料ガスが通過する。則ち、主構成体20に形成される気体流路28は、淡ガス流路として機能する。
【0025】
本実施例で採用する主構成体20では、淡ガス流路28は、大きく分けてベンチュリ部22と、淡ガス混合部23と、導通部24と、炎孔部材配置部25からなる。則ち、淡ガス流路28は、空気導入口27から始まり、順次、ベンチュリ部22、淡ガス混合部23、導通部24および炎孔部材配置部25へと続く。
これらの形状を淡ガス流路28の入口から説明すると次の通りである。則ち、主構成体20の下側の角には、図1,図2,図6の様に、空気導入口27が開口している。空気導入口27は略楕円形である。
【0026】
空気導入口27の奥側は、所定長さだけ空気導入口27の端面と同一断面の部位が繋がり、空気導入口27から少し入ったところにテーパ22aがあり、テーパ状に幅が絞られてベンチュリ部22が形成されている。またベンチュリ部22の下流側にもテーパ22bが設けられ、当該テーパ22bによって淡ガス流路28の幅がしだいに広がっている。則ち、図12の様に、ベンチュリ部22は、テーパ22a,22bによって流路が内側に絞られ、断面積が急激に減少した部分である。
【0027】
このベンチュリ部22には、図2,図6の様に、複数のガス導入孔31が設けられている。そして、空気導入口27から淡ガス流路28を下流側へ向けて流動する空気流によって負圧を生じさせ、混合部60から後述する分岐部を介してベンチュリ部22へ供給される濃ガスを、ガス導入孔31を介して淡ガス流路28へ流入させる働きを行うものである。
【0028】
本実施例では、テーパ22aは空気導入口27に対して前傾させて配し、テーパ22bは略垂直方向に配している。これにより、ベンチュリ部22は上方へ広がる略三角形の形状を有している。
ベンチュリ部22をこのように略三角形に形成した理由は2つ挙げられる。
第1の理由は、ベンチュリ部22と混合部60との配置に伴うベンチュリ部22への濃ガスの流入状態に起因する。則ち、本実施例の燃焼装置1では、混合部60で混合された濃ガスは分岐部を介して下方へ向けて流動し、ベンチュリ部22のガス導入孔31から淡ガス流路28へ流入する。
このため、テーパ22aを前傾させずに垂直方向に配した略方形のベンチュリ部22を形成し、当該ベンチュリ部22の全面にガス導入孔31を配しても、上流側下方に位置するガス導入孔31からは殆ど濃ガスが流入しない。則ち、ベンチュリ部22の上流側下方のガス導入孔31の有無に拘わらず、淡ガス流路28へ流入する濃ガス量に変動はない。これは、本発明者らがベンチュリ部22の形状の異なる複数の燃焼装置を試作して得られた結果である。
【0029】
また、第2の理由は、本実施例の燃焼装置1では、後述するように、濃ガス導入口43から導入される空気と燃料ガスの混合促進および均圧化のために、混合部48の流路断面積を下流側へ向かうに連れて縮小した後に再度拡大する形状を採るためである。則ち、テーパ22aを前傾させることにより、テーパ22aからベンチュリ部22にかけて拡大する空隙を利用して混合部48の流路断面積の拡大部を形成させるためである。
このような理由により、ベンチュリ部22に前記した略三角形状を採用することにより、淡ガス流路28への濃ガスの流入を阻害することなく、しかも、燃料ガスの混合促進、均圧化を図るための構造を兼ね備えた形状としている。
【0030】
ベンチュリ部22における流路は、下流に向かうにつれて高さが勾配状に高く広がっており、断面積は奥に行くほど次第に大きくなっている。そしてベンチュリ部22の淡ガス流路28は、流路の全高がある程度の高さとなった所で、断面積が一定となっている。
また、本実施例では、板体16,17のベンチュリ部22を構成する部位は、図12の様に互いに平行である。
【0031】
本実施例の燃焼装置では、ベンチュリ部22は前記した様に略三角形を有する平面であるので、複数のガス導入孔31を設けることができる。
具体的には、本実施例では、千鳥状に6個のガス導入孔31を設けており、各導入孔31の径は配置部位に応じて異ならせている。これは、淡ガス流路28の流路断面に対して均等量の濃ガスを流入させるためであり、ベンチュリ部22を流動する空気によって生じる負圧レベルおよび空気の流動方向に並ぶガス導入孔31の数に応じてガス導入孔31の内径を変化させている。
ガス導入孔31は、本実施例の様に、千鳥状に配することが望ましいが、水平線状又は垂直線上に設けてもよい。また推奨されないが、ガス導入孔31は1個又は2個といった少数であってもよい。
【0032】
前記した様に、ベンチュリ部22の下流側にもテーパ22bが設けられ、当該テーパ22bによって淡ガス流路28の幅がしだいに広がっている。そして淡ガス流路28は大きく方向を変えて淡ガス混合部23が形成されている。淡ガス混合部23は、空気流路が大きくカーブする部位であり、大きな曲路である。
淡ガス混合部23の末端は、主構成体20の中心部にあり、末端から先の部分は、再度幅が狭くなって導通部24に繋がっている。導通部24は、前記した淡ガス混合部23の1/2程度の幅であり、淡ガス混合部23の末端を含んで三角形状に広がっている。
【0033】
導通部24は、淡ガス混合部23の末端と、炎孔部材配置部25を繋ぐものであり、淡ガス混合部23の末端に連続し、主構成体20の空気導入口27側から約1/3の長さに渡って延びている。
【0034】
炎孔部材配置部25は、主構成体20の上端部に位置し、長手方向全域に渡って延びている。
炎孔部材配置部25の側面には、長手方向に溝25aが設けられている。溝25aは炎孔部材配置部25の外側に向かって凸形状であり、炎孔部材配置部25の長手方向の全域に渡って延びている。
この溝25aは、炎孔部材配置部25の剛性を高める目的と、燃料ガスと空気との攪拌を促進させる目的で設けられたものである。
【0035】
また、本実施例の燃焼装置1では、図11の様に、淡ガス流路28がカーブする淡ガス混合部23の内壁に、流路内部に突出する多数の突起18jを設けている。また、淡ガス混合部23から導通部24に繋がる部位、則ち、流路幅が狭くなる狭窄部位の近傍にも流路内部に突出させて多数の突起18jを設けている。
この突起18jは、板体16,17にプレス成形によって形成したもので略円柱形であり、その直径は、2〜8mm程度であり、その高さは、1mm以下である。この突起18jは、流路偏向部や流路狭窄部における大きな渦流の発生を抑止し、渦流に伴う通過音の発生を防止すると共に、流動する燃料ガスの均圧化を図るものである。
【0036】
則ち、淡ガス流路28が大きくカーブする淡ガス混合部23の内壁では、図14(a)の様に、上流側から流動する混合ガスが内壁に衝突し、跳ね返りが生じたり大きな渦流が発生する。しかし、図11の様に突起18jを設けると、図14(b)の様に、混合ガスの流動によって突起18jの近傍には多数の小さな渦流が生じ、衝突による跳ね返りや大きな渦流の発生が抑止され混合ガスは内壁面に沿って流れる。これにより、通過音の発生が低減し流動する混合ガスが均圧化されると考えられる。
【0037】
また、淡ガス混合部23から導通部24に繋がる狭窄部では、図14(c)の様に、流路断面積が縮小した後に再度拡大する。このため、上流から流入する混合ガスは流速を増して狭窄部を通過し、流路断面積が拡大する部位では混合ガスが内壁面から剥離して局部的に大きな渦流を生じる。しかし、図11の様に突起18jを設けると、図14(d)の様に、空気または混合ガスの流動によって突起18jの近傍に多数の小さな渦流を生じさせる。これにより、空気や混合ガスは内壁に沿って流動し、流路断面積が拡大する部位においても内壁面に沿って流動して大きな渦流の発生が抑止され、流動する混合ガスが均圧化され通過音の発生が低減すると考えられる。
【0038】
一方、主構成体20の側面側に配されて副構成体12を構成する板体15,18は、図2の様に、前記した板体16,17と同様に、鋼板をプレス成形して凹凸を設けたものである。板体15,18は互いに対称(掌)形であり、いずれも全体形状が凹状をし、長手方向の両端及び下部にはフランジ部15a,18aが設けられている。しかしながら、前記した空気導入口27が位置する部位については、フランジ部15a,18aが欠落している。
【0039】
これらの板体15,18において、主構成体20の淡ガス混合部23に相当する部位は、他と比較して内側に向かって凹んでいる。当該凹部15b,18bの形状は、淡ガス混合部23の外形と略一致する。
そして当該凹部18bの上部は、再度外側に広げられている。則ち、凹部18bの上端18cは、板体15,18の上下の辺に対して平行であり、空気導入口27に対して奥側から板体15,18の全長の1/3程度の長さを占める。当該凹部18bの上端18cから上の部分は、濃ガス流路形成膨出部18dとなっている。また、濃ガス流路形成膨出部18dの空気導入口27側の辺は、傾斜辺18eとなっている。
そして前記した濃ガス流路形成膨出部18dと、空気導入口27の近傍の部位は、後述するように傾斜した溝40によって連通している。
【0040】
板体15,18の上部には、図2の様に、溝状の凹部18fと円形の凹部18gが設けられている。溝状の凹部18fは、8個の部分に分割され、板体15,18の長手方向の全域に一列に延びている。
一方、円形の凹部18gは前記した溝状の凹部18fの間に形成される分流路18hの上部に設けられている。凹部18f,18gはいずれもバーナ本体10の内側に向かって凹んだものであり、いずれも燃料ガスと空気との攪拌を促進させるものである。ただし円形の凹部18gは、バーナ本体10を組み合わせる際の溶接部としての働きもある。
【0041】
次に炎孔部材13について説明する。
本実施例で採用する炎孔部材13は、図3に示すように、凹凸を有する短冊状の板を重ねたものであり、全体として4角柱状をしたものである。
炎孔部材13は凹凸同士の隙間によって図面の上下に連通する。そして炎孔部材13の上端の開口は、主炎孔として機能する。
炎孔部材13は、主構成体20の炎孔部材配置部25に挿入される。
【0042】
次に、本実施例の燃焼装置1の各部材同士の関係について説明する。
本実施例の燃焼装置1では、図2の様に、板体16,17によって作られた主構成体20を中心として、その左右に板体15,18が配されて副構成体12が形成されたものである。
主構成体20と、板体15,18は、周囲のフランジ部20a,15a,18aを重ね合わせて接合されている。これらの接合にはスポット溶接が採用されている。
スポット溶接は、主構成体20を構成する中央の板体16,17と、副構成体12を構成する側面部の板体15,18との間で行なわれる。則ち、中央の一方の板体16と、これに隣接する側面部の板体15の間でスポット溶接による接合が行なわれ、さらに中央の他方の板体17と、これに隣接する側面部の板体18の間についてもスポット溶接が行なわれる。
【0043】
主構成体20を構成する中央の板体16,17と、副構成体12を構成する側面部の板体15,18との間で行なわれる溶接接合は、前記した板体15,18の上部に設けられた円形の凹部15g,18g内で行なわれる。円形の凹部15g,18gは、主炎孔及び補助炎孔に近い部位である。このように主炎孔及び補助炎孔に近い部位において中央の板体16,17と、副構成体12を構成する側面部の板体15,18との間を接合する理由は、当該部位が高温にさらされ易く、変形し易いためである。
【0044】
従って、溶接による板体同士の接合は、できるだけ炎孔に近い部位で行なうことが望ましく、炎孔部材の側面に相当する部位であることが推奨される。
また本実施例では、円形の凹部15g,18gの部位で溶接接合が行なわれているので、円形の凹部15g,18gの内側(内側から見れば当該部位は突起である)が図3(b)の様に主構成体20の側面と接し、主構成体20の側面と板体15,18の凹部15g,18g以外の部位の間に隙間が確保される。
【0045】
また主構成体20と、板体15,18との内部の接合関係を見ると、主構成体20と、側面側の板体15,18は、下端の空気導入口27の近傍と、淡ガス混合部23の近傍及び中間壁部38で接し、他の部位は離れている。
則ち、下端の空気導入口27の近傍においては、図1,図8の様に主構成体20の空気導入口27の側面27a,27bと、底面27c,27dが側面側の板体15,18と接し、当該部位に隙間はない。
【0046】
しかし副構成体12たる板体15,18の開口46は、空気導入口27よりも大きく、空気導入口27の上部は板体15,18の開口46と接していない。従って、バーナ本体10の下端部は二重構造の開口となっており、主構成体20の空気導入口27の上部に、主構成体20の空気導入口27の上部の外壁と副構成体12たる板体15,18の開口46の内側で形成される開口が存在する。そして当該開口は、濃ガス導入口43として機能する。
【0047】
このように、本実施例では、開口が二重構造となっており、空気導入口27の上部が直接的に濃ガス導入口43の壁の一部として機能するので、スペースに無駄がなく、燃焼装置の全高を低くすることができる。
また本実施例では、濃ガス導入口43が空気導入口27上にあるので、濃ガス導入口43は主炎孔36及び補助炎孔29a,29bに近い位置にあり、空気導入口27は、主炎孔及び補助炎孔から遠い位置にある。
【0048】
主構成体20のベンチュリ部22の周囲と副構成体12の間は、図6,図8,図12の様に空隙33が形成されている。ベンチュリ部22の周囲は、底部を除く三方について副構成体12と離れており、ベンチュリ部22の周囲は、空隙33によって包囲されている。
【0049】
また、図13の様に、主構成体20と副構成体12の濃ガス流路形成膨出部18dについても離れていて空隙45が形成されている。ただし主構成体20の導通部24は他の部分に比べて幅が狭いので、導通部24の側面側は他の部位よりも広い空間となっている。空隙45は、淡ガス流路28の両側面に位置するものであり、主構成体20の全長にわたって広がっている。
【0050】
前記した主構成体20の下部の側面に形成された空隙33と、上部に形成された空隙45の間は、図7,図13(a)の様に主構成体20の中間壁部38と副構成体12の内面が接して隙間が無く、上下の空隙33,45は、遮蔽されている。
ただ、図7,図13 (b)のように上下の空隙33,45は、唯一、副構成体12の溝40の部分によって連通されている。則ち、副構成体12の濃ガス流路形成膨出部18dと、空気導入口27の近傍の部位に溝40が形成されており、当該溝40によって濃ガス流路形成膨出部18dと濃ガス導入口43が連通している。一方、中間壁部38は平板であるから、中間壁部38の両側と各板体15,18の溝40との間で狭窄通路47が形成される。
【0051】
ここで当該狭窄通路47の部分の細部について説明すると、図6の様に、狭窄通路47は中間壁部38の連通孔37に位置する。また連通孔37近傍の板体15,18の膨出部の境界線は、図7の様に、連通孔37の斜め上方に延びる開口部位と交差する。そのため上部の空隙45と下部の空隙33を連通する狭窄通路47は、図6,図7の様に、中間壁部38の連通孔37に相当する部位については一体であり、狭窄通路47の中間部に至って中間壁部38によって左右に仕切られる。
【0052】
従って、図13(b)の様に、主構成体20と、板体15,18との間には、狭窄通路47を介して下部の空隙33と上部の空隙45を繋ぐ一連の気体流路35a,35bが形成されており、これらの気体流路35a,35bは、いずれも上方が天面に開放されている。
そして本実施例の燃焼装置1では、当該開放面が補助炎孔29a,29bとして機能する。本実施例の燃焼装置1では、主炎孔36は直線状であり、副構成体12によって形成される補助炎孔29a,29bは、主炎孔36に沿って主炎孔36の両側に位置する。
また気体流路35a,35bは、補助炎孔29a,29bに濃混合ガスを供給する濃ガス流路として機能する。
【0053】
より詳細に説明すると、主構成体20を構成する板体16とそれに隣接する板体15の間には隙間があり、この隙間は、両者の下端近傍から上部にかけて狭窄通路47を介して連通している。そして当該隙間が前記した様に濃ガス流路35aとして機能する。
一方、主構成体20を構成する板体17と、それに隣接する板体18の間にも隙間があり、この隙間は、両者の下端近傍から上部にかけて連通していて濃ガス流路35bとして機能する。そして、各々の濃ガス流路35a,35bは、上部が開放され、補助炎孔29a,29bが形成されている。
【0054】
またバーナ本体10の側面部、より詳細には空気導入口27側の側面の形状は前記した通りであり、主構成体20の空気導入口27の側面に板体15,18の内面が接している。しかしながら、空気導入口27の上部については、板体16,17の一部が欠落しており、濃ガス導入口43が開口し、前記した濃ガス流路35a,35bが外部と連通している。また当該部位の主構成体20には、連通孔37が設けられている。従って空気導入口27の上部には比較的広い空隙30があり、外部に開放されている。
【0055】
また主構成体20のベンチュリ部22は、前記した様に他の部分に比べて幅が狭いので、ベンチュリ部22と両側の板体15,18の間には、図8,図12の様に比較的大きな空隙33がある。そして、前記空隙30及びベンチュリ部22側面近傍の空隙33は、燃料ガスと空気との混合部48として機能する。また、空隙33は、燃料ガスを淡ガス流路28へ分岐させる分岐部としての機能を併せ持つ。
【0056】
なお主構成体20は淡ガス流路として機能し、空隙33は濃ガス流路35a,35bの一部であるから、ベンチュリ部22においては淡ガス流路28は濃ガス流路35a,35bの一部たる混合部48に包囲されている。
【0057】
本実施例の燃焼装置1では、混合部48の流路断面積を下流側へ向かうに連れて縮小した後に、再度拡大させる形状を採用している。
則ち、図6,図7,図13の様に、板体15,18は主構成体20の中間壁部38と当接しているため、空隙30および空隙33は、上部の空隙45と遮蔽されている。そして、図2,図7の様に、板体15,18と中間壁部38との当接部位の上辺は濃ガス流路形成膨出部18dの傾斜辺18eであり、当接部位の下辺は傾斜辺18eと略平行な傾斜辺18iを形成している。従って、混合部48の上部内壁は傾斜辺18iに沿って下流側へ向けて下降傾斜して形成されている。
一方、図6,図7の様に、空気導入口27の上部外壁は下流側に向かうに連れて上昇傾斜して形成され、テーパ22aの部位に至って急激に下降傾斜している。
【0058】
これにより、混合部48は濃ガス導入口43から下流側へ向かうに連れて流路断面積を縮小した先細りの形状であり、その内部に混合促進部材60が配されている。そして、下流の連通孔37に至るとベンチュリ部22を形成するテーパ22aによって流路断面積が急激に拡大した空隙33に繋がっている。則ち、濃ガス導入口43から混合促進部材60を通過してテーパ22aへ至る間の流路は下流に向かうに連れて先細りとなり、テーパ22aに掛かる部位で流路断面積は最小となり、以降は下流へ向かうに連れて流路断面積が急激に拡大されている。
【0059】
従って、濃ガス導入口43から導入された燃料ガスおよび空気は混合促進部材60で混合されつつ流路の左右に分離され、流路断面積の縮小に伴って流速を増しつつ混合されて連通孔37に向かう。この間、燃料ガスおよび空気は充分に混合される。そして、流路断面積が最小の部位を通過すると急激に流路断面積が拡大され、左右に分離されつつ混合された濃ガスは流速を低下し連通孔37を介して連通して圧力差が除去され均圧化される。
ここで、混合部48の流路断面積に関して、最小部位の断面積は、濃ガス導入口43からの距離や、空気を送風するファンの送風力によって変わるので、これらを考慮して適宜決定される。概ね濃ガス導入口43の開口面積に対して70%以下の範囲が良い。
本実施例では、濃ガス導入口43の開口面積に対して、流路断面積が最小部位の断面積を略50%に形成している。
【0060】
また、本実施例では、混合部48で充分に混合され均圧化された後の濃ガスを分岐部(空隙)33からベンチュリ部22へ供給する。
前記した様に、空隙33はテーパ22aの上端部近傍から下流側のベンチュリ部22へかけて広がる空間であり、この空隙33が分岐部として機能する。従って、混合部48の流路断面積の縮小に伴って充分に混合され、再度流路断面積の拡大によって流速が低下し連通孔37によって均圧化された状態の濃ガスが分岐部(空隙)33からベンチュリ部22へ供給される。これにより、分岐部33を介して淡ガス流路28に流入する燃料ガス量が安定し、淡ガスの濃度を一定とすることができる。
【0061】
ここで、燃料ガスノズル11は、混合促進部材60に設けた切り起こし部60bの上下方向および左右方向の中心部分に軸線が来るように配置される。ところが、部材寸法の公差や製造のばらつきによって、燃料ガスノズル11の取り付け位置や角度にばらつきが生じ易い。
しかし、本実施例の燃焼装置1では、前記したように、混合部48において充分に混合され均圧化された濃ガスを得ることができる。従って、燃料ガスノズル11の位置が上下左右に僅かにずれた場合、あるいは、角度ずれを生じた場合でも混合むらを生じることがなく、濃ガスおよび淡ガスの濃度比率を安定化させることが可能である。
尚、燃料ガスノズル11は、配置の都合に応じて取付位置や角度を意図的に変化させた設計を行うことも可能である。
【0062】
また燃焼装置1の付属品として点火装置34が設けられている。点火装置34は、補助炎孔29a,29bの近傍であって、空気導入口27の上部近傍に位置している。
【0063】
次に、本実施例の燃焼装置1の燃料ガス及び空気の流れについて説明する。本実施例の燃焼装置1では、前記したバーナ本体10の空気導入口27の上部の濃ガス導入口43に燃料ガスノズル11が挿入される。またバーナ本体10の上流側には図示しない送風機が設けられ、濃ガス導入口43と空気導入口27の双方に空気が供給される。
則ち、前記した燃料ガスノズル11の挿入状態は、通常のブンゼン式燃焼バーナと同様であり、濃ガス導入口43と燃料ガスノズル11の間には隙間あるいは開口があり、当該濃ガス導入口43には燃料ガスと共に空気が混入される。
空気の燃料ガスに対する混合割合は、理論空気量の40%程度であり、燃料ガス濃度の高いものである。
一方、空気導入口27からは、空気のみが導入される。
【0064】
そして前記した濃ガス導入口43から入った燃料ガスは、混合部48において空気と混合される。ここで混合部48は、空隙30および空隙33を合わせたものであり、混合部48の内部に設けられた混合促進部材60と流路断面積の縮小および拡大によって燃料ガスと空気は強制的に混合され、均圧化された濃混合ガスが作られる。
【0065】
則ち、図6〜図8に示すように、濃ガス導入口43から導入された空気および燃料ガスは混合促進部材60に向かって移動し、切り起こし部60bに沿って略半円状に収斂するように気流が曲げられる。そして、収斂した空気および燃料ガスは左右に逃げるように分離し、流路断面積の縮小に伴って流速を増しつつ下流側の連通孔37へ移動する。
そして、燃料ガスが連通孔37に至ると空隙33によって流路面積が拡大して流速が低下すると共に、分離した燃料ガスは連通孔37で連通され、燃料ガスの圧力差が除去されて均圧化された燃料ガスとなる。
【0066】
このように、混合部48において空気および燃料ガスが充分に混合された濃ガスの一部は図6,図9の様に狭窄通路47を通って上部の空隙45に入る。そして空隙45の全域に広がり、溝状の凹部18fの間の分流路18hを通り上部の補助炎孔29a,29bから外部に噴射される。則ち、燃料ガスの一部は、図13(b)の様に、濃ガス流路35a,35bを主構成体20の側面に沿って上方に流れ、主構成体20の両側に設けられた補助炎孔29a,29bから外部に噴射される。
【0067】
ここで、本実施例の燃焼装置1では、図7,図9の様に、狭窄通路47から離れた分流路18h側へ向けて燃料ガスが流出するように狭窄通路47を傾斜させると共に、狭窄通路47の流路中心軸が分流路18hの上流側入口に近接しないように配置している。則ち、燃料ガスが燃焼装置1の奥方向に向けて流出するように狭窄通路を燃焼装置1の奥へ向けて僅かに傾斜させた形状としている。
これにより、狭窄通路47から流出する濃ガスが燃焼装置1の奥側の分流路18hにも供給され易い構造として、補助炎孔29a,29bから全長に渡って略均一量の燃料ガスを略同時に噴出させることを可能にしている。
【0068】
濃ガス流路35a,35bを経由して補助炎孔29a,29bから噴射された混合ガスは、前記した様に理論空気量の40%程度しか空気が混合されておらず、燃料ガスの濃度が高い。
また本実施例の燃焼装置1では、混合部48における前記した流路断面積の縮小、拡大と混合促進部材60によって空気と高濃度燃料ガスとが充分混合された後に、更に濃ガス流路35a,35bの上部側の空隙45に入る直前に狭い流路(狭窄通路47)を通過するので、燃料ガスと空気との混合が一層促進される。
【0069】
また本実施例では、狭窄通路47は入り口部分においては連通孔37によって左右共通であり、通路の中間部分で中間壁部38によって左右に分けられる。
従って左右の通路の開口断面積は、狭窄通路47の中間部分の断面積だけによって決まる。ここで狭窄通路47は、板体をプレス成形して形成された溝40であり、その内側であって中間部分は、最も成形精度が高い。そのため本実施例の燃焼装置1では、混合部48で混合された濃混合ガスが均等に左右の濃ガス流路35a,35bに分割され、左右の補炎のバランスが良い。特に、本実施例の燃焼装置1では、混合部48で充分に混合されて混合むらのない濃混合ガスを狭窄通路47に送り込むため、左右の補炎のバランスが良く、更に前記したように、狭窄通路47の傾斜配置によって補助炎孔29a,29bの全長に渡って均一に燃料ガスを流動させることができ、燃焼むらのない安定した火炎を得ることができる。
【0070】
また、本実施例の燃焼装置1では、前記したように補助炎孔29a,29bの全長に渡って混合むらのない濃ガスを均一に噴出させることができる。これにより、点火装置34を燃焼装置1の奥に配置することも可能であり、点火装置34を燃焼装置1の手前に設ける場合に比べて、スムーズな着火、火移りおよび消火が可能で、未燃焼ガスの発生を低減できる。また、スムーズな着火、火移りにより燃焼状態の変動過渡期に生じやすい振動燃焼の発生が抑止される。
【0071】
一方、混合部48(空隙30,33)において充分に混合された燃料ガスの残部は、図6〜図8の様にベンチュリ部22の近傍に至り、淡ガス流路28の一部たるベンチュリ部22を包囲する空隙33(分岐部)に流れ込む。そして燃料ガスの残部は、ベンチュリ部22に設けられたガス導入孔31から、主構成体20の内部に入る。則ち、燃料ガスは、ガス導入孔31を経由して淡ガス流路28に入る。
【0072】
ここで本実施例では、ガス導入孔31は主構成体20が部分的に断面積が狭くなった部位に設けられている。そのため当該部位は流速が速く、内部は負圧傾向となっている。一方、ベンチュリ部22の周囲は、濃ガス流路35a,35bの一部で包囲されており、ベンチュリ部22の周囲には、濃混合ガスが十分に存在する。そのためベンチュリ部22の周囲の濃混合ガスが主構成体20の負圧によって吸い込まれ、燃料ガスは、空気の流れに対して垂直方向に突入し、主構成体内(淡ガス流路28)を流れる空気と混合される。
特に、本実施例では前記したように、ガス導入孔31の設置部位に応じてその内径を変化させ、淡ガス流路28の流路断面に対して均一量の濃ガスを流入させて下流側に供給する構成としている。これにより、淡ガス流路28の内部で局部的に濃ガス濃度が上昇することがなく、混合むらの発生が抑止される。
【0073】
そして燃料ガスは、大きく曲回した淡ガス混合部23でさらに混合が促進され、導通部24を経て炎孔部材配置部25に至り、炎孔部材13に入って主炎孔36から外部に噴射される。この場合、淡ガス混合部23を経て導通部24に至る途中で淡ガスは大きく偏向すると共に狭窄部を通過するが、前記したように、突起18jを設けることにより、通過音の発生が抑止され、均圧化された淡ガスを主炎孔36へ供給することが可能である。
【0074】
本実施例の燃焼装置1では、燃料ガスは、それぞれ上記した経路を辿り、炎孔部材13の主炎孔36からは淡混合ガスが噴射され、側面に位置する補助炎孔29a,29bからは濃混合ガスが噴射される。
ここで、二つの炎孔に至る距離に注目すると、両者の間には相当の差異がある。則ち、両者の燃料ガスの流路は、前記した空隙33(分岐部)の部位まで共通である。しかし濃ガス導入口43は、空気導入口27よりも主炎孔及び補助炎孔に近い位置にあり、且つ補助炎孔29a,29bに至る濃ガス流路35a,35bは、空隙33(分岐部)の近傍から直接的に上部にのびている。そのため濃混合ガスは、空隙33(分岐部)の近傍から直接的に上部に上がり、補助炎孔29a,29bから噴射される。
【0075】
これに対して主炎孔36から噴射される淡混合ガスは、空隙33から一旦ベンチュリ部22を介して淡ガス流路28に流入し、その後、大きな曲部たる淡ガス混合部23を通過し、大きく迂回した後に主炎孔36へ至る。そのため図示しない電磁弁を開いて、燃料ガスノズル11から燃料ガスを導入したとき、二つの炎孔からの燃料ガスの噴射に時間差が生じ、最初に補助炎孔29a,29bから全長に渡って略均等量の燃料ガスが噴射し、補炎が発生する。そして補助炎孔29a,29bから噴射される燃料ガスは、高濃度であり、燃料ガスにはただちに引火する。また特に、補助炎孔29a,29bから燃料ガスが噴射された直後は、まだ主炎孔36から低濃度の燃料ガスが噴射されていないので、低濃度の燃料ガスによって煽られることもない。そのため補助炎孔から噴射される燃料ガスヘの着火は確実である。
【0076】
そして続いて、空隙30から下側の空隙33(分岐部)に迂回し、さらに曲部たる淡ガス混合部23を経て、補助炎孔29a,29bからの燃料ガスの噴射に遅れて、低濃度の燃料ガスが主炎孔36から噴射する。しかし低濃度の燃料ガスが噴射した時には、すでに補炎が安定した状態で燃焼しており、補炎から火が移って低濃度の燃料ガスは直ちに着火し、主炎が発生する。これにより、未燃焼成分が外部に排出されず、ガス臭さによる不快や不安感情を起こさせない。
また主炎の根元には安定した補炎が存在するので、主炎の基端部を補炎が保持し、主炎の着火直後から火飛びの発生も少ない。
【0077】
このように、本実施例の燃焼装置1では、混合部48において空気と充分に混合された濃ガスが補助炎孔29a,29bの全長に渡って均一に供給されると共に、主炎孔36にも空気と充分に混合された淡ガスが供給されるので、極めて安定した火炎が得られる。
特に、主炎孔36に先立って補助炎孔29aから高濃度の燃料ガスを噴射させるために、濃ガス流路が短く充分な混合を得にくい構造ではあるが、混合部の流路断面積の縮小、拡大形状や混合促進部材60および狭窄通路47の適切な配置によって小型で安定した混合ガスを得ることができる燃焼装置を製することができる。
【0078】
また、充分に混合された燃料ガスを生成することができるので、NOx値やCO値を低減した燃焼性の安定した火炎を得ることが可能となる。
更に、製造時において、寸法公差に伴って燃料ガスノズルに僅かな位置ずれや角度ずれを生じても、安定した混合ガスが生成されるので、製造性を向上させることができる。
【0079】
尚、本実施例の燃焼装置1では、混合部48の上部内壁を下流側に向けて下降させると共に、空気導入口27の上部外壁を下流側に向けて上昇させて流路断面積を縮小する構造としたが、本発明はこのような構成に限られるものではない。
例えば、図6,図8に示す濃ガス導入口43を構成する部位の幅を下流側に向かうに連れて縮小するようにプレス成形した板体15,18を採用して、流路断面積の縮小を図ることも可能である。
【0080】
次に、本発明の別の実施例に係る燃焼装置を、図15,図16を参照して説明する。
図15(a)は、本発明の別の実施例に係る燃焼装置2の要部分解斜視図、同図(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。
本実施例の燃焼装置2は、前記実施例に示した燃焼装置1において、ベンチュリ部22の形状を変更した構成であり、同一構成部分については同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0081】
本実施例では、ベンチュリ部22の面積が拡大すると共に、これに伴ってガス導入孔31の数を増している。則ち、前記燃焼装置1におけるベンチュリ部22のテーパ22aを略垂直方向に配して、ベンチュリ部22を略方形形状としている。
また、ガス導入孔31の上流側内壁に淡ガス流路の内部へ向けて突出する突起18kを複数配列している。
この構成によれば、空気導入口27から導入された空気は突起18kに衝突して微細な渦流を形成しつつ下流側に流動し、ガス導入孔31から流入する濃ガスと混合されつつ更に下流側へ移動する。このとき、前記図14(d)に示した狭窄部の場合と同様に、ベンチュリ部22を通過する空気および濃ガスは内壁面近傍に小さな渦流を形成しつつ、内壁に沿って下流へ移動する。これにより、ベンチュリ部22を通過して流路断面積が拡大する部位においても、形成された小渦流が内壁面に沿って流動し、大きな渦流の発生が抑止される。
【0082】
従って、大きな渦流の発生に伴う通過音の発生や淡ガス流路内における局部的な圧力差を生じることが抑止され、整流、均圧化された混合ガスが淡ガス流路の内壁面に沿って下流側へ流動し、火炎を安定させることが可能となる。
尚、本実施例の突起18kは、淡ガス流路28の内部へ向けて略円柱形状に突出するように板体16,17をプレス成形したものであり、前記図11の突起18jと同様に、その直径は2〜8mm程度であり、その高さは1mm以下としている。
また、本実施例では、ガス導入孔31の上流側に突起18kを配したが、ガス導入孔31に近接させて設けたり、下流側に設けても同様の効果を奏する。
【0083】
ここで、燃焼装置2では、ベンチュリ部22のガス導入孔31の上流側に複数の突起18kを配列した構成としたが、導入孔としての機能と突起としての機能とを兼ね備えたガス導入孔を設けた構成を採ることもできる。
次に、そのような構成の燃焼装置の実施例を説明する。
【0084】
図16(a)は、本発明の別の実施例に係る燃焼装置3の要部拡大斜視図、同図(b)は、(a)のA−A矢視断面図である。
本実施例の燃焼装置2は、前記したように、前記実施例に示した燃焼装置2において、ベンチュリ部22に導入孔としての機能と突起としての機能とを兼ね備えたガス導入孔31’を設けたものである。
【0085】
ガス導入孔31’はバーリング孔形状とされている。則ち、ガス導入孔31’の開口縁が淡ガス流路内部へ向けて突出するバーリング孔加工が施されたものであり、板体16,17をプレス成形加工して形成している。
この構成によれば、空気導入口27から導入された空気はガス導入孔31’の突出部に衝突して微細な渦流を形成しつつ下流側に流動すると共に、ガス導入孔31’から流入する濃ガスと混合されつつ更に下流側へ移動する。この場合も、前記図15で示した燃焼装置2と同様に、ベンチュリ部22を通過する空気および濃ガスは内壁面近傍に小さな渦流を形成しつつ、内壁に沿って下流へ移動する。これにより、ベンチュリ部22を通過して流路断面積が拡大する部位でも、形成された小渦流が内壁面に沿って流動し、大きな渦流の発生が抑止され、通過音の発生や混合ガスの局部的な圧力差の発生が低減する。
【0086】
尚、前記燃焼装置2に示した構成、則ち、ガス導入孔31の近傍に突起18jを設ける構成や、前記燃焼装置3に示した構成、則ち、ガス導入孔31’をバーリング孔形状とする構成は、前記した燃焼装置1に適用することも可能であり、同様の効果を奏することができる。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、淡ガス流路で生じる通過音の発生を抑制し、均圧化された淡ガスを供給することができ、燃焼装置の静粛性、主炎の安定性を向上させることができる。
さらに、本発明によれば、ガス流路で生じる通過音の発生を抑制し、均圧化された混合ガスを流動させることができ、静粛性、火炎の安定性を向上させた燃焼装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の具体的実施例に係る燃焼装置の斜視図である。
【図2】 図1の燃焼装置の分解斜視図である。
【図3】 図1の燃焼装置の平面図及びその拡大図である。
【図4】 図1の燃焼装置の展開図である。
【図5】 図4の板体の折り重ね構造を示す説明図である。
【図6】 図1の燃焼装置における混合部周辺の構造および燃料ガスの流れを示す説明図である。
【図7】 図1の燃焼装置における混合部周辺の燃料ガスの流れを示す正面図である。
【図8】 図1のD方向矢視斜視図である。
【図9】 図1の燃焼装置における濃ガス流路側の燃料ガスの流れを示す斜視図である。
【図10】 図1の燃焼装置における淡ガス流路側の燃料ガスの流れを示す説明図である。
【図11】 図1に示す燃焼装置における淡ガス流路に適用される突起を示した斜視図である。
【図12】 図1のA−A断面図である。
【図13】 (a)は図1のB−B矢視断面図、(b)は図1のC−C矢視断面図である。
【図14】 (a),(b)は流路の偏向部における混合ガスの流動状態を、突起を設けない場合と設けた場合とにおいて比較して示した説明図、(c),(d)は流路の狭窄部における混合ガスの流動状態を、突起を設けない場合と設けた場合とにおいて比較して示した説明図である。
【図15】 (a)は本発明の他の実施例に係る燃焼装置のベンチュリ部近傍の構造を示す要部拡大斜視図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
【図16】 (a)は本発明の他の実施例に係る燃焼装置のベンチュリ部近傍の構造を示す要部拡大斜視図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
18j,18k 凸形状または凹形状
27 空気導入口
28 気体流路(淡ガス流路)
29a,29b 補助炎孔
31,31’ガス導入孔
33 分岐部(空隙)
35a,35b 濃ガス流路
36 主炎孔
43 濃ガス導入口
48 混合部
Claims (3)
- 低濃度の燃料ガスを噴射する主炎孔と、当該主炎孔から噴射される燃料ガスよりも濃度の高い燃料ガスを噴射する補助炎孔を有した燃焼装置において、空気又は低濃度の燃料ガスが導入される空気導入口と、空気及び高濃度の燃料ガスが導入される濃ガス導入口と、前記空気導入口と主炎孔を連通し主炎孔に燃料ガスを供給する淡ガス流路と、前記濃ガス導入口と補助炎孔を連通し補助炎孔に燃料ガスを供給する濃ガス流路と、濃ガス流路の一部を構成し濃ガス導入口から導入された燃料ガスと空気とを混合させる混合部と、濃ガス流路の一部を構成し混合部で生成された高濃度の燃料ガスの一部を淡ガス流路へ分岐する分岐部とを有し、燃料ガスの一部は分岐部から淡ガス流路に設けられたガス導入孔を介して淡ガス流路へ流れ込んで主炎孔から低濃度の燃料ガスが噴射され、燃料ガスの一部は混合部から濃ガス流路を経て補助炎孔から高濃度の燃料ガスが噴射される構成とされており、
前記淡ガス流路のガス導入孔近傍の内壁面に凸形状または凹形状を設け、前記淡ガス流路または濃ガス流路における流路偏向部位近傍の内壁面に凸形状または凹形状を形成したことを特徴とする燃焼装置。 - 前記請求項1に記載の燃焼装置において、ガス導入孔近傍の内壁面に設けた前記凸形状又は凹形状に代えて、ガス導入孔をバーリング孔形状に形成したことを特徴とする燃焼装置。
- 前記淡ガス流路または濃ガス流路における流路断面積が縮小された狭窄部近傍の内壁面に凸形状または凹形状を設けた請求項1又は2に記載の燃焼装置。
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