JP3603949B2 - 燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼装置に関するものであり、特に濃淡燃焼方式を採用し、小型ボイラーや給湯装置への適用が好適な燃焼装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料ガスを希薄な状態で燃焼させる方法として、濃淡燃焼方式が知られている。ここで濃淡燃焼方式とは、低濃度の燃料ガスから発生する主炎に高濃度の燃料ガスが燃焼した補炎を隣接させる燃焼方法である。給湯器等に使用される濃淡燃焼方式の燃焼装置として、金属板を重ねてこれらの空隙によってガス流路を形成したものが知られている。
従来技術のこの種の燃焼装置の多くは、6枚の金属板を重ねたものであり、中央の二枚によって低濃度の燃料ガスが通過する淡ガス流路を構成し、側面側のそれぞれ二枚によって高濃度の燃料ガスが通過する濃ガス流路を構成する。
ところで濃淡燃焼方式を採用する燃焼装置は、着火の際に主炎用の開口から不完全燃焼状態の燃料ガスが外部に出てしまい、ガス臭さを感じさせるという不具合があった。そこで本発明者らは、濃ガス流路を淡ガス流路よりも短くして、着火の際に炎孔から濃ガスを先に噴射させ、補炎を先に安定させて不完全燃焼状態の燃料ガスの排出を阻止する燃焼装置を開発した(特願2000−197074号)。
上記した特願2000−197074号の燃焼装置は、4枚の金属板を重ねたものであり、中央の二枚の金属板によって淡ガス流路が形成され、中央の二枚の金属板の外面と、外側の金属板の内面によって濃ガス流路が形成されている。先に提案した燃焼装置は、当初の目的通り着火の際にガス臭が発生しないばかりでなく、4枚の金属板によって作られているので構造が簡単であるという効果も併せ持つ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら特願2000−197074号に開示した燃焼装置は、補炎側の燃料ガスを主炎側に先立って噴射させることから、補炎側の濃ガス流路が主炎側の淡ガス流路に比べて必然的に短いものとならざるを得なかった。
このため、燃料ガスノズルから噴射される燃料ガスと空気とを短い濃ガス流路で自然混合させることが難しく、混合が不充分になりがちであった。
また、混合が不充分な混合ガスの一部を濃ガス流路の途中で下方の淡ガス流路側へ分岐させるため、分岐部の形状によって分岐されるガス量に変動が生じ、濃ガスと淡ガスのガス濃度が不安定となり、安定した火炎を得ることができなかった。
更に、部材の寸法公差などにより製造時に燃料ガスノズルの取り付け位置や角度がずれると一層混合むらや濃度変動を生じ易く、燃焼装置の品質を安定させることが難しかった。
【0004】
このような事情に鑑みて提案される本発明は、濃ガス流路と淡ガス流路との配置を適切に設定することにより、濃ガスの混合むらを極力低減させると共に淡ガスと濃ガスの濃度比率を安定化させ、安定した火炎を得ることのできる燃焼装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために提案される本発明は、低濃度の燃料ガスを噴射する主炎孔と、当該主炎孔から噴射される燃料ガスよりも濃度の高い燃料ガスを噴射する補助炎孔を有した燃焼装置において、空気又は低濃度の燃料ガスが導入される空気導入口と、前記空気導入口と主炎孔とを連通させる淡ガス流路と、空気及び高濃度の燃料ガスが導入される濃ガス導入口と、前記濃ガス導入口と補助炎孔とを連通させる濃ガス流路とを備え、前記淡ガス流路と濃ガス流路とは交差しており、前記淡ガス流路の濃ガス流路と交差する部分には、ガス導入開口を備えたベンチュリ部が設けてあり、前記ベンチュリ部を介して濃ガス流路内の燃料ガスの一部を淡ガス流路内に流入させ、主炎孔からは低濃度の燃料ガスが噴射され、補助炎孔からは高濃度の燃料ガスが噴射されるようにした。
【0006】
本発明は、濃ガス流路から淡ガス流路へ濃ガスを分岐させるための構造を改良することを主眼とする。則ち、濃ガス流路を枝分かれさせて淡ガス流路へ流入させるような構造とせず、流路同士を交差させることにより、交差部分で効率良くガスを流入させることに特徴を有するものである。
【0007】
ここで、主炎孔および補助炎孔を燃焼装置の上部に配し、濃ガス導入口および空気導入口を燃焼装置の側方に配する構造では、濃ガス流路と淡ガス流路とを交差させる形態として種々のものが挙げられる。
例えば、略水平状に延伸させた淡ガス流路に対して濃ガス流路を略垂直状あるいは傾斜させて交差させることができる。逆に、略水平状に延伸させた濃ガス流路に対して淡ガス流路を略垂直状あるいは傾斜させて交差させることも可能である。
いずれの構造であっても、濃ガス流路を移動する空気と濃ガスが混合された濃混合ガスは淡ガス流路を横切り、その際に、濃混合ガスの一部がベンチュリ部に備えたガス導入開口から淡ガス流路内に流入する。
この構造によれば、濃ガス流路との交差部分である淡ガス流路のベンチュリ部の全域から、偏ることなく濃ガス流路内の濃混合ガスの一部を淡ガス流路内に吸引することができる。
則ち、濃ガス流路を二股に分岐させて、分岐した一方の流路から濃混合ガスを淡ガス流路内に流入させる構造に比べて、淡ガス流路内に吸引する濃混合ガスに含まれる空気量と燃料ガス量の比率を極めて安定化させることができる。この結果、濃ガス流路内および淡ガス流路内を流れる混合ガスの濃度比率を安定化することができ、安定した火炎を提供することができる。
【0008】
本発明の燃焼装置は、複数の板体を重ね合わせて形成することができる。
則ち、同時に提案される本発明は、低濃度の燃料ガスを噴射する主炎孔と、当該主炎孔から噴射される燃料ガスよりも濃度の高い燃料ガスを噴射する補助炎孔を有した燃焼装置において、4枚以上の板体が重ねられて構成された、空気又は低濃度の燃料ガスが導入される空気導入口と、前記空気導入口と主炎孔とを連通させる淡ガス流路と、空気及び高濃度の燃料ガスが導入される濃ガス導入口と、前記濃ガス導入口と補助炎孔とを連通させる濃ガス流路とを備えており、前記淡ガス流路と濃ガス流路とは交差しており、前記淡ガス流路の濃ガス流路と交差する部分には、ガス導入開口を備えたベンチュリ部が設けてあり、前記ベンチュリ部を介して濃ガス流路内の燃料ガスの一部を淡ガス流路内に流入させ、主炎孔からは低濃度の燃料ガスが噴射され、補助炎孔からは高濃度の燃料ガスが噴射されるようにした。
【0009】
この構造の燃焼装置によれば、請求項1に記載したものと同様に濃ガス流路と淡ガス流路の濃度比率が安定する。
また、流路や開口などの構成部分を板体同士の隙間を用いて形成するので、構造が簡略化され、製造が容易で省コスト化できる。
【0010】
前記本発明において、淡ガス流路と濃ガス流路との交差部分は、一方の流路が他方の流路を包囲するように形成することができる。
例えば、略水平状に配された淡ガス流路を包囲するように略垂直状あるいは傾斜させて濃ガス流路を配する構造とすることができる。
則ち、濃ガス流路がベンチュリ部(交差部分)において淡ガス流路を挟むように一旦分離させる構造を採ることができる。
この構造によれば、ベンチュリ部において淡ガス流路を挟むようにして濃ガス流路を分流させるので、分流部分の濃ガス流路の断面積を低減できる。これにより、ベンチュリ部における濃ガス流路の断面方向の混合むらが低減し、淡ガス流路側に吸入される燃料ガスの濃度が一層安定する。
淡ガス流路に交差する濃ガス流路は、一旦分流させた後に再度合流させる構造とすることもできる。
【0011】
前記本発明において、主炎孔の両側に補助炎孔を配置し、前記両側の補助炎孔に供給される濃混合ガスの圧力差を解消する濃混合ガスの連通部を備えた構造とすることができる。
この構造によれば、ベンチュリ部を通過した濃ガスが補助炎孔に至るまでの濃混合ガスの圧力差が取り除かれて均圧化される。
特に、ベンチュリ部において、濃ガス流路が淡ガス流路を挟むようにして分流させる構造では、分流した濃混合ガスの間に圧力差が生じ易い。
そこで、分流した濃ガス流路を流れる濃混合ガスを一旦均圧化させることにより、補助炎孔から噴射される濃混合ガスの圧力差を取り除くことができる。
【0012】
前記本発明において、濃ガス導入口は主炎孔及び補助炎孔に対して空気導入口よりも遠い位置に設けられた構造を採ることができる。
例えば、空気導入口に対して濃ガス導入口を主炎孔および補助炎孔よりも遠い位置(下方)に配する場合、空気導入口から略水平方向に延伸させる淡ガス流路に対して濃ガス導入口から延伸する濃ガス流路を略垂直または傾斜させて上方へ延伸させることにより、容易に交差させた形状とすることができる。
この構造では、濃ガス導入口が空気導入口の下方に位置する分だけ濃ガス導入口から濃ガス導入部までの濃ガス流路が僅かに長くなり、これによって、空気と燃料ガスの混合が促進される。また、前記したように、淡ガス流路へ流入する空気および燃料ガスは充分混合された状態となるので、淡ガス流路と濃ガス流路との燃料ガスの濃度比率が一層安定する。
【0013】
前記本発明において、ベンチュリ部から補助炎孔に至る濃ガス流路よりもベンチュリ部から主炎孔に至る淡ガス流路の方が長い構成とすることができる。
この構造によれば、着火の際に補助炎孔から濃ガスを先に噴射させ、補炎を先に安定させてから主炎孔から噴出する淡ガスに着火させて火炎を安定させることができる。これにより、着火の際に不完全燃焼状態の燃料ガスが噴出することが防止され、不快なガス臭が発生しない。
【0014】
前記本発明において、濃ガス導入部は、淡ガス流路の幅が絞られた構成とすることができる。
この構造によれば、淡ガス流路は、流路幅が絞られていない部分に比べて流速が増加し負圧傾向を呈する。これにより、濃ガス流路を移動する濃混合ガスを、ベンチュリ部を介して効率良く淡ガス流路内に吸入することができる。
また、淡ガス流路の幅を適宜設定することにより、負圧を変えて濃ガスの吸入量を調整することが可能である。
【0015】
また、前記本発明において、前記ベンチュリ部は、淡ガス流路の下流へ行くほど流路の断面積が増加する構成とすることができる。
この構造によれば、ベンチュリ部における淡ガス流路は流速変動を伴って負圧傾向を呈するので、濃ガス流路から濃混合ガスを効率良く吸入撹拌させて下流側へ送出することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。尚以下の説明では、上下とは、燃焼装置1を、炎孔を上にして設置した状態を基準とする。
【0017】
図1は、本発明の具体的実施例における燃焼装置の斜視図である。図2は、図1の燃焼装置の分解斜視図である。図3は、図1の燃焼装置の平面図及びその拡大図である。図4は、板体のかしめ構造を示す説明図である。図5は、図1の燃焼装置の展開図である。図6は、図5の板体の折り重ね構造を示す説明図である。図7は、図1の燃焼装置における淡ガス流路側の燃料ガスの流れを示す説明図である。図8は、図1の燃焼装置における濃ガス流路側の燃料ガスの流れを示す説明図である。図9は、図1のA−A断面図である。図10は、図1のB−B断面図である。図11は、図1のD方向矢視斜視図である。図12は、図1のD方向矢視図である。図13は、図1の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスの流れを示す説明図である。
【0018】
本実施例の燃焼装置1は、従来の燃焼装置と同様にケースに並列に並べて使用されたり、単独で使用されるものである。本実施例の燃焼装置1は、バーナ本体10と炎孔部材13によって構成されている。
バーナ本体10は、中央の主構成体20とその両脇の副構成体12によって成り、図1,2,5,11に示すように4枚の金属製板体15,16,17,18を重ねて作られたものである。
これらの金属板体15,16,17,18は、いずれもプレス加工によって凹凸形状が設けられたものであり、板体同士の間によって空気又は燃料ガスの流路が形成されている。
またこれらの金属板体15,16,17,18は、一枚ずつ成形して重ねてもよいが、本実施例では一枚の板を折り重ねた構成が採用されている。
【0019】
すなわち本実施例では、図5の様に一枚の板を4区分に分けてA,B,C,Dの形状となる様に成形したものが使用されている。各A,B,C,Dの部材の内、両端の部材A,Dと、これら隣接する部材B,Cの間には、補助炎孔を構成する開口41があるため、両者は両端の繋ぎ部39 によって接合されている。
そしてこれらを図6の様に両端側の部位A,Dを中間部のB,Cの間に折り込み、さらに中間部のB,Cを折り畳み、結果的に金属製板体15,16,17,18が重ねられた構成が形成されている。
作業手順としては、先に両端側の部位A,Dを折り曲げて中間部のB,Cの間に重ね、この状態で部位Aと部位Bをトグロックカシメと称されるかしめにより嵌合接合する。また同様に部位Dと部位Cをかしめにより嵌合接合する。そして最後に中間部のB,Cを折り畳み、周囲をかしめる。
【0020】
以下、重ねられた状態を基準として構造を説明する。
本実施例の燃焼装置1では、中央の2枚の板体16,17は、互いに対称(掌)形であり、両者が重なり合って主構成体20が構成されている。
すなわち主構成体20の形状は、図2の様な正面板となる板体17と,これに対称(掌)形状の裏板となる板体16が重ね合わされたものである。主構成体20の外観は平たい形をしており、頂部21は開口している。また頂部21を除く、3方の辺にはフランジ部20aが設けられている。ただし、空気導入口27側の下部は、フランジ部20aが切り欠かれている。
【0021】
フランジ部20aの切欠部20cの形状は、図2,図13の様であり、後記する空気導入開口27にそって水平方向に切れ込み、さらにベンチュリ部22の下降傾斜に沿って下方に切り込まれている。
【0022】
主構成体20を構成する2枚の板体16,17の内部には、当該二枚の板体16,17によって一連の気体流路が形成されている。すなわち板体16,17が合致する部分では、金属板同士が隙間を形成して配列された状態となっており、この隙間によって気体流路28が形成される。本実施例の燃焼装置1では、板体16,17によって構成される主構成体20の気体流路28は、濃度の低い燃料ガスが通過する。すなわち主構成体20に形成される気体流路28は、淡ガス流路として機能する。
【0023】
本実施例で採用する主構成体20では、淡ガス流路28は、大きく分けてベンチュリ部22、淡ガス混合部23と、導通部24と、炎孔部材配置部25からなる。すなわち淡ガス流路28は、空気導入口27から始まり、順次、ベンチュリ部22、淡ガス混合部23、導通部24および炎孔部材配置部25へと続く。
これらの形状を淡ガス流路28の入口から説明すると次の通りである。すなわち主構成体20の下部には、図1,2,13の様に、空気導入口27が開口している。空気導入口27は略楕円形である。そして空気導入口27の奥側は、短い長さだけ空気導入口27の端面と同一断面の部位が繋がり、空気導入口27から少し入ったところにテーパ22aがあり、テーパ状に幅が絞られてベンチュリ部22が形成されている。ベンチュリ部22は、流路が内側に絞られ、断面積が急激に減少した部分である。
【0024】
ただしベンチュリ部22における流路は、下流に向かうにつれて高さが勾配状に下方へ広がっており、断面積は奥に行くほど次第に大きくなっている。また、ベンチュリ部22は全体として傾斜しつつ下流に延伸している。
また本実施例では、板体16,17のベンチュリ部22を構成する部位は、図9の様に互いに平行である。
【0025】
ベンチュリ部22は、淡ガス流路28の一部を平たく変形させた部分であり、その表面は平面であり、かつ相当の面積を持つ。
そして板体16,17のベンチュリ部22を構成する部位には、図2の様にガス導入開口31が設けられている。
本実施例の燃焼装置では、ベンチュリ部22は前記した様に平面であって相当の面積を有するので、多数のガス導入開口31を設けることができる。具体的には、本実施例では、千鳥状に19個(図2にはそのうちの14個のみを描写)のガス導入開口31が設けられている。
図13に示すように、濃ガス流路2cと淡ガス流路28とは交差しており、ガス導入開口31を備えたベンチュリ部22は、濃ガス流路2c上に配置されている。そのため、濃ガス流路2c内を流れる濃混合ガスは、ベンチュリ部22を通過し、濃ガス溝40に至る。また、一部の濃混合ガスは、ガス導入開口31を介して、負圧が生じているベンチュリ部22(淡ガス流路28)内に吸引される。
ガス導入開口31は、本実施例の様に、面状に広く分布して配することが望ましい。則ち、本実施例では、淡ガス流路28に対して濃ガス流路2cを交差させて配することから、少なくとも、濃ガス流路2cとの交差部分の全域に渡ってベンチェリ部22にガス導入開口31を配列するのが望ましい。このようにベンチュリ部22上にガス導入開口31を設けることにより、濃ガス流路2c内を流れる濃混合ガスを、ベンチュリ部22全体から偏ることなく濃混合ガスの一部を淡ガス流路28内へ吸引することができる。
【0026】
またベンチュリ部22の下流側にもテーパ部22bが設けられ、当該テーパ部22bによって淡ガス流路28の幅がしだいに広がっている。そして淡ガス流路28は大きく方向を変えて淡ガス混合部23が形成されている。淡ガス混合部23は、空気流路が大きくカーブする部位であり、大きな曲路である。
淡ガス混合部23の末端は、主構成体20の中心部にあり、末端から先の部分は、再度幅が狭くなって導通部24に繋がっている。導通部24は、前記した淡ガス混合部23の1/2程度の幅であり、淡ガス混合部23の末端を含んで三角形状に広がっている。
【0027】
導通部24は、淡ガス混合部23の末端と、炎孔部材配置部25を繋ぐものであり、淡ガス混合部23の末端に連続し、主構成体20の空気導入口27側から約1/3の長さに渡って延びている。
【0028】
炎孔部材配置部25は、主構成体20の上端部に位置し、長手方向全域に渡って延びている。
炎孔部材配置部25の側面には、長手方向に2列の溝25aが設けられている。溝25aは炎孔部材配置部25の内側に向かって凹んだものであり、炎孔部材配置部25の長手方向の全域に渡って延びている。
この溝25aは、炎孔部材配置部25の剛性を高める目的と、燃料ガスと空気との攪拌を促進させる目的によって設けられたものである。
【0029】
一方、主構成体20の側面側に配されて副構成体12を構成する板体15,18は、全体形状が略長方形であり、前記した板体16,17と同様に、鋼板をプレスして凹凸を設けたものである。板体15,18は互いに対称(掌)形であり、いずれも全体形状が凹状をし、長手方向の両端及び下部にはフランジ部15a,18aが設けられている。しかしながら、前記した空気導入口27が位置する部位については、フランジ部15a,18aが欠落している。
【0030】
側面側に配される板体15,18における主構成体20の淡ガス混合部23に相当する部位は、他と比較して内側に向かって凹んでいる。当該凹部15b,18bの形状は、淡ガス混合部23の外形と略一致する。
そして当該凹部15b,18bの上部は、再度外側に広げられている。すなわち凹部15b,18bの上端18cは、板体15,18の上下の辺に対して平行であり、空気導入口27に対して奥側から板体15,18の全長の1/3程度の長さを占める。当該凹部15b,18bの上端18cから上の部分は、濃ガス流路形成膨出部18dとなっている。濃ガス流路形成膨出部18dの空気導入口27側の辺は、傾斜辺18eとなっている。
そして前記した濃ガス流路形成膨出部18dと、空気導入口27の近傍の部位は、板体15,18を膨出させて形成した濃ガス溝40によって連通されている。
【0031】
板体18の上部には溝状の凹部18fと円形の凹部18gが設けられている。溝状の凹部18fは、6個の部分に分割され、板体18の長手方向の全域に一列に延びている。
一方、円形の凹部18gは前記した溝状の凹部18fの切れ目の上部に設けられている。凹部18f,18gはいずれもバーナ本体10の内側に向かって凹んだものである。これらの凹部は、いずれも燃料ガスと空気との攪拌を促進させるものである。ただし円形の凹部18gは、バーナ本体10を組み合わせる際のかしめ部としての働きもある。板体15についても、板体18と同様である。
【0032】
次に炎孔部材13について説明する。
本実施例で採用する炎孔部材13は、凹凸を有する短冊状の板を重ねたものであり、全体として4角柱状をしたものである。
炎孔部材13は凹凸同士の隙間によって図面の上下に連通する。そして炎孔部材13の上端の開口は、主炎孔36として機能する。
炎孔部材13は、主構成体20の炎孔部材配置部25に挿入される。
【0033】
次に、本実施例の燃焼装置1の各部材同士の関係について説明する。
本実施例の燃焼装置1では、板体16,17によって作られた主構成体20を中心として、その左右に板体15,18が配されて副構成体12が形成されたものである。
主構成体20と、板体15,18は、周囲のフランジ部20a,15a,18aを重ね合わせて接合されている。これらの接合にはかしめによる嵌合構造が採用されている。すなわち板体同士を重ねてポンチ状の工具によって打撃し、図4の様な嵌合構造を形成させる。
かしめによる嵌合は、主構成体20を構成する中央の板体16,17と、副構成体12を構成する側面部の板体15,18との間で行なわれる。すなわち中央の一方の板体16と、これに隣接する側面部の板体15の間でかしめによる嵌合接合が行なわれ、さらに中央の他方の板体17と、これに隣接する側面部の板体18の間についてもかしめによる嵌合接合が行なわれる。
【0034】
主構成体20を構成する中央の板体16,17と、副構成体12を構成する側面部の板体15,18との間で行なわれる嵌合接合は、前記した板体15,18の上部に設けられた円形の凹部18g内で行なわれる。円形の凹部18gは、主炎孔36及び補助炎孔29a,29bに近い部位である。このように主炎孔及び補助炎孔に近い部位において中央の板体16,17と、副構成体12を構成する側面部の板体15,18との間を接合する理由は、当該部位が高温にさらされ易く、変形し易いためである。
従ってかしめによる接合は、できるだけ炎孔に近い部位で行なうことが望ましく、炎孔部材の側面に相当する部位であることが推奨される。
また本実施例では、円形の凹部15g,18gの部位でかしめによる嵌合接合が行なわれているので、円形の凹部15g,18gの内側(内側から見れば当該部位は突起である)が図3bの様に主構成体20の側面と接し、主構成体20の側面と板体15,18の凹部15g,18g以外の部位の間に隙間が確保される。
【0035】
また主構成体20と、板体15,18との内部の接合関係を見ると、主構成体20と、側面側の板体15,18は、下部の空気導入口27の近傍と、淡ガス混合部23の近傍で接し、他の部位は離れている。
すなわち下部の空気導入口27の近傍においては、図11の様に主構成体20の空気導入口27の側面27a,27bと、上面27c,27dが側面側の板体15,18と接し、当該部位に隙間はない。
しかし副構成体12たる板体15,18の開口46は、空気導入口27よりも大きく、空気導入口27の下部は板体15,18の開口46と接していない。従って、バーナ本体10の下端部は、図1の様に二重構造の開口となっており、主構成体20の空気導入口27の下部に、主構成体20の空気導入口27の下部の外壁と副構成体12たる板体15,18の開口46の内側で形成される開口が存在する。そして当該開口は、濃ガス導入口43として機能する。すなわち濃ガス導入口43の内部に空気導入口27が設けられ、両者が二重構造となっている。
なお本実施例では、開口が二重構造となっており、空気導入口27の下部が直接的に濃ガス導入口43の壁の一部として機能するので、スペースに無駄がなく、燃焼装置の全高を低くすることができる。
【0036】
本実施例では、濃ガス導入口43が空気導入口27の下方に位置するので、空気導入口27は、主炎孔36及び補助炎孔29a,29bに近い位置にあり、濃ガス導入口43は主炎孔36及び補助炎孔29a,29bから遠い位置にある。
【0037】
また主構成体20のベンチュリ部22の周囲と、副構成体12の間は、空隙33(図7)が形成されている。ベンチュリ部22の全周囲は副構成体12と離れており、ベンチュリ部22の周囲は空隙33によって包囲されている。
また、ベンチュリ部22の上部の主構成体20には濃ガス溝40で形成される流路を連通させるように均圧孔60(図2)が設けられている。
【0038】
また主構成体20と、副構成体12の濃ガス流路形成膨出部18dについても板体が離れていて図10の様に空隙45が形成されている。ただし主構成体20の導通部24は他の部分に比べて幅が狭いので、導通部24の側面側は他の部位よりも広い空間となっている。空隙45は、淡ガス流路28の両側面に位置するものであり、主構成体20の全長にわたって広がっている。
【0039】
また主構成体20の下部の側面に形成された空隙33と、上部に形成された空隙45の間には、図10、図13に示すように、金属板15及び18に設けた濃ガス溝40で幅が調整された流路が形成されており、この流路は、中央に配された主構成体20によって左右に仕切られている。
ただ、図10に示すように、該流路の上流側における主構成体20には均圧孔60が設けられており、左右に仕切られた該流路は、均圧孔60によって連通されており、両濃ガス溝40と主構成体20との間には、空隙60 ' が形成されている。
【0040】
ここで濃ガス導入口43から始まる濃ガス流路2cを、順を追って説明する。図13に示すように、空気導入口27の下部に位置する濃ガス導入口43から延伸する濃ガス流路2cは、ベンチュリ部22に至る間は略水平状に淡ガス流路28の下方に位置して相当広い空隙30を形成する。そして、空隙30からベンチュリ部22の空隙33に至る。この空隙30および空隙33は、燃料ガスノズル11から噴射される燃料ガスおよびファン(不図示)から圧送される空気を自然混合させる混合部48として働く。
主構成体20のベンチュリ部22は、他の部分に比べて幅が狭いので、ベンチュリ部22と両側の板体15,18の間には、図11,図12の様に比較的大きな空隙33がある。この空隙33はベンチュリ部22を両側から挟むように略垂直上方へ交差するようにして延伸する。この交差部分は、濃混合ガスの一部を淡ガス流路28へ流入させる濃ガス導入部49として機能する。則ち、濃ガス導入部49では、空隙33を上方側(下流側)へ移動する濃混合ガスの一部をベンチュリ部22のガス導入開口31を介して淡ガス流路28へ導入する働きを行う。
更に、濃ガス導入部49は下流側の濃ガス溝40に連通し、更に空隙45を介して補助炎孔29a,29bに至っている。
【0041】
従って主構成体20と、板体15,18との間には、濃ガス溝40を介して下部の空隙33と上部の空隙部45を繋ぐ一連の気体流路35a,35bが形成されている。また当該気体流路35a,35bは、いずれも天面に開放されている。そして本実施例の燃焼装置1では、当該開放面が補助炎孔29a,29bとして機能する。本実施例の燃焼装置1では、主炎孔が直線状であり、副構成体12によって形成される補助炎孔29a,29bは、主炎孔36に沿って主炎孔36の両側に位置する。
また、前記した気体流路35a,35bは、補助炎孔29a,29bに濃混合ガスを供給する濃ガス流路として機能する。
【0042】
より詳細に説明すると、主構成体20を構成する板体16とそれに隣接する板体15の間には濃ガス溝40があり、当該濃ガス溝40が前記した様に濃ガス流路35aとして機能する。
一方、主構成体20を構成する板体17と、それに隣接する板体18の間にも濃ガス溝40があり、当該濃ガス溝40が、両者の下端近傍から上部にかけて連通していて濃ガス流路35bとして機能する。そしてそれぞれの濃ガス流路35a,35bは、濃ガス溝40において均圧孔60で連通されて空隙60'を形成すると共に、上部が開放され、補助炎孔29a,29bが形成されている。
【0043】
なお主構成体20は淡ガス流路28として機能し、空隙33は濃ガス流路35a,35bの一部であるから、ベンチュリ部22においては淡ガス流路28を濃ガス流路35a,35bが横切るようにして濃ガス流路35a,35bの一部たる混合部48に包囲されている。
【0044】
またバーナ本体10の側面部、より詳細には空気導入口27側の側面の形状は前記した通りであり、主構成体20の空気導入口27の側面に板体15,18の内面が接している。しかしながら、空気導入口27の下部については、板体16,17の一部が欠落しており、濃混合ガス導入口43が開口し、前記した濃ガス流路35a,35bが外部と連通している。また当該部位の主構成体20には、切欠部20cが設けられている。従って空気導入口27の下部には比較的広い空隙30があり、外部に開放されている。
【0045】
また燃焼装置1の付属品として点火装置34が設けられている。点火装置34は、補助炎孔29a,29bの近傍であって、空気導入口27の上部近傍に位置している。
【0046】
次に、本実施例の燃焼装置1の燃料ガス及び空気の流れについて説明する。図7および図8に示すように、本実施例の燃焼装置1では、前記したバーナ本体10の空気導入口27の下部の濃ガス導入口43に燃料ガスノズル11が挿入される。またバーナ本体10の上流側には図示しない送風機が設けられ、濃ガス導入口43と空気導入口27の双方に空気が供給される。
すなわち前記した燃料ガスノズル11の挿入状態は、通常のブンゼン式燃焼バーナと同様であり、濃ガス導入口43とガスノズル11の間には隙間あるいは開口があり、当該濃ガス導入口43には燃料ガスと共に空気が混入される。
空気の燃料ガスに対する混合割合は、理論空気量の40%程度であり、燃料ガス濃度の高いものである。一方、空気導入口27からは、空気のみが導入される。
【0047】
そして前記した濃ガス導入口43から入った燃料ガスは、混合部48において空気と混合される。ここで混合部48は、空隙部30,33を合わせたものであり、ある程度の広さを持つ空隙部であるから、燃料ガスと空気は円滑に混合され、濃混合ガスが作られる。
そして濃混合ガスは濃ガス導入部49に入り、濃混合ガスの一部がガス導入開口31を介して淡ガス流路28へ導入される。一方、濃混合ガスの残部は濃ガス溝40を通って上部の空隙45に入る。そして図8,13の様に全域に広がり、上部の補助炎孔29a,29bから外部に噴射される。すなわち燃料ガスの一部は、図10の様に濃ガス流路35a,35bを主構成体20の側面に沿って上方に流れ、主構成体20の両側に設けられた補助炎孔29a,29bから外部に噴射される。
濃ガス流路35a,35bを経由して補助炎孔29a,29bから噴射された混合ガスは、前記した様に理論空気量の40%程度しか空気が混合されておらず、燃料ガスの濃度が高い。
【0048】
また本実施例の燃焼装置1では、濃混合ガス流路35a,35bの上部側の空隙45に入る直前の領域の主構成体20に均圧孔60を形成している。
これにより、濃ガス流路35a,35bを通って上昇した濃混合ガスの間に圧力差が生じても、均圧孔60によって濃混合ガスの移動を生じさせて圧力をバランスさせることができる。
従って、左右の空隙45には圧力差を取り除いた安定した濃混合ガスが送出され、左右の補炎のバランスを安定させることができる。
【0049】
一方、混合部48(空隙部30,33)から入った燃料ガスは、図7および図13の様にベンチュリ部22の近傍に至り、淡ガス流路28と交差するようにしてベンチュリ部22を包囲する空隙33(分岐部)に向かう。そして燃料ガスの一部は、ベンチュリ部22に設けられたガス導入開口31から、主構成体20の内部に入る。すなわち燃料ガスは、ガス導入開口31を経由して淡ガス流路28に入る。
ここで本実施例では、ガス導入開口31は、主構成体20の断面積が部分的に狭くなった部位(ベンチュリ部22)に設けられている。そのため当該部位内を流れる空気は流速が速く、ベンチュリ部22の内部は負圧傾向となっている。一方、ベンチュリ部22の周囲は、濃ガス流路35a,35bで包囲されており、ベンチュリ部22の周囲には、濃混合ガスが十分に存在する。そのためベンチュリ部22の周囲の濃混合ガスがベンチュリ部 22の負圧によって吸い込まれ、濃混合ガスは、空気の流れに対して垂直方向に突入し、主構成体20(淡ガス流路28)内を流れる空気と混合される。
【0050】
則ち、本実施例では、ベンチュリ部22が、濃ガス流路35a,35bの流路断面全体に渡って交差して設けられているので、濃ガス流路35a,35bに流れる濃混合ガス全体から偏ることなくその一部を淡ガス流路28へ吸引することができる。
これにより、淡ガス流路28へ吸引する空気と燃料ガスの比率を極めて安定化することができ、これに伴って、濃ガス流路35a,35bと淡ガス流路28との濃度比率を安定させることができる。
【0051】
そして燃料ガスは、淡ガス混合部23でさらに混合が促進され、導通部24を経て炎孔部材配置部25に至り、炎孔部材13に入って主炎孔36から外部に噴射される。
【0052】
本実施例の燃焼装置1では、燃料ガスは、それぞれ上記した経路を辿り、炎孔部材13の主炎孔36からは淡混合ガスが噴射され、側面に位置する補助炎孔29a,29bからは濃混合ガスが噴射される。
しかしながら、二つの炎孔に至る距離に注目すると、両者の間には相当の差異がある。すなわち両者の燃料ガスの流路は、前記した濃ガス導入部49の部位までは略等しい。しかし濃ガス流路35a,35bは略垂直上方へ向けて補助炎孔29a,29bに至り、補助炎孔29a,29bから濃ガスが噴射される。
【0053】
これに対して主炎孔36から噴射される淡混合ガスは、濃ガス導入部49から主構成体20内の淡ガス流路28に入った後、大きな曲部たる淡ガス混合部23を通過し、大きく迂回した後主炎孔36に至る。そのため図示しない電磁弁を開いて、燃料ガスノズル11から燃料ガスを導入したとき、二つの炎孔からの燃料ガスの噴射に時間差が生じ、最初に補助炎孔29a,29bから燃料ガスが噴射し、補炎が発生する。そして補助炎孔29a,29bから噴射される燃料ガスは、高濃度であり、燃料ガスにはただちに引火する。また、補助炎孔29a,29bから燃料ガスが噴射された直後は、主炎孔36から低濃度の燃料ガスが噴射されていないので、低濃度の燃料ガスによって煽られることもない。そのため補助炎孔から噴射される燃料ガスヘの着火は確実である。
【0054】
そして、補助炎孔29a,29bからの燃料ガスの噴射に遅れて、低濃度の燃料ガスが主炎孔36から噴射される。この低濃度の燃料ガスが噴射した時には、すでに補炎が安定しており、補炎から火が移って低濃度の燃料ガスは直ちに着火し、主炎が発生する。
また主炎の根元には安定した補炎が存在するので、主炎の基端部を補炎が保持し、主炎の着火直後から火飛びの発生も少ない。
そのため本実施例の燃焼装置では、未燃焼成分が外部に排出されず、ガス臭さによる不快や不安感情を起こさせない。
【0055】
このように、本実施例の燃焼装置1によれば、淡ガス流路28と濃ガス流路35a,35bとを交差させた簡単な構造によって、濃ガス流路35a,35bから淡ガス流路28側へ安定して濃ガスを流入させることが可能となる。これにより、濃混合ガスおよび淡混合ガスの濃度比率が極めて安定し主炎および補炎を安定させることが可能である。
【0056】
次に本発明の変形例について説明する。
図14は、本発明の他の実施例における図9に相当する部位での断面図である。図15は、本発明のさらに他の実施例における図9に相当する部位の要部断面図である。図16は、図1の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスと空気の流れを示す斜視図及びその断面図である。図17は、本発明の他の実施例の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスと空気の流れを示す断面図である。図18は、本発明のさらに他の実施例の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスと空気の流れを示す斜視図及びその断面図である。図19は、図18の実施例の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスと空気の流れを示す説明図である。図20は、本発明のさらに他の実施例の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスと空気の流れを示す斜視図及びその断面図である。
【0057】
上記した図1の実施例では、ベンチュリ部22を構成する部位の板は平行である旨を開示したが、例えば図14の様にテーパー形状を有していて断面積が下流に向かって漸次増大する構成も可能である。
このように下流へ行くほど断面積を増大させることにより、ベンチュリ部22の内部が負圧となる傾向が強まり、燃料ガスの吸い込みが良好となる。
またベンチュリ部22は、図15の様に平面断面が略円弧状のものであってもよい。
【0058】
またベンチュリ部22に設けるガス導入開口31の断面形状は任意であり、例えば図18(a)の様なバーリング形状であって縁を有する形状とすることができる。
また、図20(a)の様な、淡ガス流路28の内部側へ突出する段部31aの端部に、スリット31bを有したガス導入開口31を設け、スリット31bが段部31aに対して濃ガス流路35a,35bの下流側(上部側)となるように配した形状とすることができる。
【0059】
ガス導入開口31の形状の相違による作用の違いは次の通りであり、これらを考慮した上で適切な設計を行なうべきである。
すなわち図16(a)の様に、ガス導入開口31を通常の孔とし、かつ主構成体20を構成する二つの板16,17のベンチュリ部22の同一位置にガス導入開口31を設けると、図16(b)の様に、両側から淡ガス流路28内に入った濃混合ガス同士が衝突し、混合が促進される。
【0060】
一方、図17の様に二つの板16,17のベンチュリ部22の異なる位置にガス導入開口31を設けると、濃混合ガス同士の衝突が回避されるので、ガス導入開口31からの濃混合ガスの吸入が円滑に行なわれる。
【0061】
さらに図18の様にガス導入開口31をバーリング孔形状とし、淡ガス流路側に開口31の縁が突き出した形状を採用すると、濃混合ガスの吸入がより円滑に行なわれる。またガス導入開口31をバーリング孔形状とすると、縁の部分が淡ガス流路側に突き出すので、図19の様に淡ガス流路を流れる空気に乱流が生じ、渦巻きの作用によって、濃ガスが空気中に拡散する。
【0062】
さらに図20の様なスリット31bおよび段部31aで成るガス導入開口31を設けると、燃料ガスが淡ガス流路側に引き込まれ易い。
【0063】
以上説明した実施例では、副構成体12に濃ガス溝40を設けて当該溝40を燃料ガスが流れる様に構成したが、逆に主構成体側に濃ガス溝40を設け、当該部位から濃混合ガスを上方に通過させてもよい。
【0064】
【発明の効果】
請求項1,2に記載の本発明の燃焼装置によれば、濃ガス流路と淡ガス流路とを交差させるだけの簡単な構成によって濃混合ガスおよび淡混合ガスのガス濃度比率を極めて安定させることができる。これにより、安定した火炎が得られ、品質の安定した燃焼装置を提供することが可能となる。
特に、請求項2に記載の本発明の燃焼装置によれば、簡単な構造により製造が容易で省コスト化することができる。
また、請求項3乃至8に記載の本発明の燃焼装置によれば、濃混合ガスおよび淡混合ガスのガス濃度比率を一層安定させることができ、火炎の安定した燃焼装置を提供できる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体的実施例における燃焼装置の斜視図である。
【図2】図1の燃焼装置の分解斜視図である。
【図3】図1の燃焼装置の平面図及びその拡大図である。
【図4】板体のかしめ構造を示す説明図である。
【図5】図1の燃焼装置の展開図である。
【図6】図5の板体の折り重ね構造を示す説明図である。
【図7】図1の燃焼装置における淡ガス流路側の燃料ガスの流れを示す説明図である。
【図8】図1の燃焼装置における濃ガス流路側の燃料ガスの流れを示す説明図である。
【図9】図1のA−A矢視断面図である。
【図10】図1のB−B矢視断面図である。
【図11】図1のD方向矢視斜視図である。
【図12】図1のD方向矢視図である。
【図13】図1の燃焼装置における混合促進部材を混合部周辺の燃料ガスの流れと共に示す説明図である。
【図14】本発明の他の実施例における図9に相当する部位での断面図である。
【図15】本発明のさらに他の実施例における図9に相当する部位の要部断面図である。
【図16】図1の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスと空気の流れを示す斜視図及びその断面図である。
【図17】本発明の他の実施例の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスと空気の流れを示す断面図である。
【図18】本発明のさらに他の実施例の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスと空気の流れを示す斜視図及びその断面図である。
【図19】図18の実施例の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスと空気の流れを示す説明図である。
【図20】本発明のさらに他の実施例の燃焼装置の混合部周辺の燃料ガスと空気の流れを示す斜視図及びその断面図である。
【符号の説明】
1 燃焼装置
2c 濃ガス流路
22 ベンチュリ部
28 淡ガス流路
29a,29b 補助炎孔
27 空気導入口
31 ガス導入開口
35a,35b 濃ガス流路
36 主炎孔
43 濃ガス導入口
49 濃ガス導入部
Claims (7)
- 低濃度の燃料ガスを噴射する主炎孔と、当該主炎孔から噴射される燃料ガスよりも濃度の高い燃料ガスを噴射する補助炎孔を有した燃焼装置において、
空気又は低濃度の燃料ガスが導入される空気導入口と、前記空気導入口と主炎孔とを連通させる淡ガス流路と、空気及び高濃度の燃料ガスが導入される濃ガス導入口と、前記濃ガス導入口と補助炎孔とを連通させる濃ガス流路とを備え、
前記淡ガス流路と濃ガス流路とは交差しており、
前記淡ガス流路の濃ガス流路と交差する部分には、ガス導入開口を備えたベンチュリ部が設けてあり、前記ベンチュリ部を介して濃ガス流路内の燃料ガスの一部を淡ガス流路内に流入させ、
主炎孔からは低濃度の燃料ガスが噴射され、補助炎孔からは高濃度の燃料ガスが噴射されるようにしたことを特徴とする燃焼装置。 - 低濃度の燃料ガスを噴射する主炎孔と、当該主炎孔から噴射される燃料ガスよりも濃度の高い燃料ガスを噴射する補助炎孔を有した燃焼装置において、
4枚以上の板体が重ねられて構成された、空気又は低濃度の燃料ガスが導入される空気導入口と、前記空気導入口と主炎孔とを連通させる淡ガス流路と、空気及び高濃度の燃料ガスが導入される濃ガス導入口と、前記濃ガス導入口と補助炎孔とを連通させる濃ガス流路とを備えており、
前記淡ガス流路と濃ガス流路とは交差しており、
前記淡ガス流路の濃ガス流路と交差する部分には、ガス導入開口を備えたベンチュリ部が設けてあり、前記ベンチュリ部を介して濃ガス流路内の燃料ガスの一部を淡ガス流路内に流入させ、
主炎孔からは低濃度の燃料ガスが噴射され、補助炎孔からは高濃度の燃料ガスが噴射されるようにしたことを特徴とする燃焼装置。 - 前記交差部分において、一方の流路が他方の流路を包囲するように形成される請求項1または2に記載の燃焼装置。
- 主炎孔の両側に補助炎孔を配置し、前記両側の補助炎孔に供給される濃混合ガスの圧力差を解消する濃混合ガスの連通部を備えた請求項1及至3のうちのいずれかに記載の燃焼装置。
- 前記濃ガス導入口は主炎孔及び補助炎孔に対して前記空気導入口よりも遠い位置に設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の燃焼装置。
- 前記ベンチュリ部から補助炎孔に至る濃ガス流路よりも前記ベンチュリ部から主炎孔に至る淡ガス流路の方が長い請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃焼装置。
- 前記ベンチュリ部は、淡ガス流路の下流へ行くほど流路の断面積が増加する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の燃焼装置。
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