JP3673939B2 - 車両用開閉体の開閉装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の後部ドア等の開閉体を、モータ駆動により開閉させるようにした車両用開閉体の開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワゴン車等の後部ドアをモータ駆動により開閉させるようにした従来の開閉装置としては、例えば実開平6-71852号公報に開示されているようなものがある。
この従来の技術は、車体のルーフに、モータと、このモータに並設された減速機構と、減速機構のピニオンギヤに噛合して揺動可能に枢着されたセグメントギヤと、セグメントギヤの回転中心より離れた部位に枢着されて往復直線運動するロッドとを設け、このロッドをドアに連結し、セグメントギヤの揺動により、ロッドを前後動させて、ドアを開閉させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような従来の開閉装置においては、ロッドを前後に直線運動させるためには、セグメントギヤをルーフ面に沿って大きく揺動させなければならず、ルーフ内に取り付けるためのスペースを広範囲に亘って確保しなければならない。その結果、後席乗員のヘッドクリアランス等の室内空間を減少させざるを得ないという問題がある。
【0004】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、駆動機構本体の取付スペースを減少して、室内空間を広くすることができるようにした車両用開閉体の開閉装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 車体のルーフの一側部に取り付けられた駆動機構本体により、前記ルーフの後端部に左右方向を向くヒンジ軸をもって開閉可能に枢支された開閉体を開閉させるようにした車両用開閉体の開閉装置において、前記駆動機構本体を、モータと、該モータの回転を減速する減速機構と、長手方向を前記ヒンジ軸とほぼ直交する前後方向に向けて配置されるとともに、後端部が前記開閉体に連結されている連結部材の他端部に連結され、かつ前記減速機構の出力部に連結されて、前後に往復直線移動可能な出力機構とにより形成、前記モータを、前記減速機構を介して前記出力機構の長手方向のほぼ中央部に直角に連結することにより、平面視ほぼT字状とし、さらに、前記出力機構の後端部を、前記ルーフの後部内側に固着されたリアレールに形成した開口部に挿入して、前記ルーフの後縁に接近させる
【0006】
(2) 上記(1)項において、出力機構を、ヒンジ軸とほぼ直交する前後方向を向く基板の端部に左右方向を向く軸により軸支されるとともに、減速機構の出力部に連結されて正逆回転可能な駆動プーリと、前記基板の端部に左右方向に向けて軸支された従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとに掛け回され、連結部材の他端部が連結されて該連結部材と共に前後方向へ移動可能な伝動部材とを備える。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
(1)は、車両のルーフ、(2)は、ルーフ(1)の後端部に、左右方向を向くヒンジ軸(3)をもって枢支され、車体の後端開口を開閉する開閉体をなす後部のドアである。
【0008】
(5)は、車体の後部におけるルーフ(1)とルーフトリム(4)との間に複数の取付ブラケット(5a)をもって固定されるとともに、ドア(2)に連結された駆動機構本体で、車両の運転席近傍またはドア(2)に配置された操作スイッチ(図示略)を操作して電力を供給することにより、ドア(2)を開閉させるものである。
【0009】
駆動機構本体(5)は、モータ軸(7a)がヒンジ軸(3)とほぼ平行になるように配置されたモータ(7)と、モータ軸(7a)に固着されたピニオン(7b)に噛合する大径歯車(8a)、及びその軸(8e)と同軸に配設された出力側のピニオン(8b)と、中間歯車(8c)を介してピニオン(8b)に連結された大径歯車(8d)とからなる減速機構(8)と、大径歯車(8a)の軸(8e)の中間に装着された電磁式のクラッチ(9)と、細長い基板(10)を、その長手方向をヒンジ軸(3)とほぼ直交する前後方向に向けて配置し、かつ長手方向のほぼ中央部に、モータ(7)が減速機構(8)を介してほぼ直角に連結された出力機構(11)とを備え、図1に示すように、平面視においてT字状をなしている。
【0010】
出力機構(11)は、大径歯車(8d)に一体的に形成され、かつ左右方向を向く軸(12a)により正逆回転可能に軸支された駆動プーリ(12)と、基板(10)の前端部に軸支された左右方向を向く従動プーリ(13)と、駆動プーリ(12)と従動プーリ(13)とに掛け回された伝動部材をなすゴム等の可撓性材料により形成された無端のベルト(14)とからなっている。
【0011】
ベルト(14)の下側走行路に位置する部分には、接続部材(15)が連結されている。接続部材(15)は、駆動プーリ(12)と従動プーリ(13)との間をベルト(14)とともに前後方向に直線移動可能であり、かつその外側端には、前後方向を向くリンク(16)の前端部が軸(17)をもって枢着された接続部(15a)が形成されている。リンク(16)の後端部は、ドア(2)の取付ブラケット(6)に連結されている。
【0012】
駆動機構本体(5)は、図3及び図4に示すように、出力機構(11)の後端部が、ルーフ(1)の後部内側に固着されたリアレール(1a)に穿設された開口部(1b)に挿入されて、ルーフ(1)の後縁(1c)に接近するようにルーフ(1)に取り付けられる。その結果、モータ(7)をルーフ(1)の後縁(1c)に、また出力機構(11)をルーフ(1)の側縁(1d)に沿うように取り付けることができるので、後席乗員の頭上を避けた位置のルーフ(1)の後隅部に、駆動機構本体(5)を配置することができ、後席乗員のヘッドクリアランスを減少させることがない。
【0013】
クラッチ(9)は、常時はモータ(7)と駆動プーリ(12)との間の動力伝達経路を断って、手動によりドア(2)を開閉することができ、また、接続することにより、モータ(7)の回転を出力機構(11)を介してドア(2)に伝達することができる。
【0014】
なお、伝動部材(10)は、上記のようなゴム製のベルト(14)に限定されるものではなく、例えば、合成樹脂製のベルトであっても良いし、さらには、駆動プーリ(12)の外周面に歯を形成して、各プーリに掛け回される面に駆動プーリ(12)の歯に噛合する歯を形成した歯付きベルトや、金属製または合成樹脂製のチェーンや、ケーブルであっても良い。
【0015】
次に、上記のように構成された開閉装置の動作について説明する。
操作スイッチにより、クラッチ(9)を接続させるとともに、モータ(7)を予め定めた方向に回転させ、減速機構(8)を介して、駆動プーリ(12)を図2おける反時計方向に回転させると、基板(10)の前部に位置している接続部材(15)は、ベルト(14)とともに後方に移動させられ、ドア(2)は、リンク(16)を介して後方に押されて、ヒンジ軸(3)を中心に図6に想像線で示す全開位置へ回動させられる。
【0016】
また、ドア(2)が全開位置にある場合は、操作スイッチによりクラッチ(9)を接続させるとともに、モータ(7)を上述の場合と逆方向に回転させ、駆動プーリ(12)及びベルト(14)を反転させると、基板(10)の後部に位置している接続部材(15)は前方に移動させられ、ドア(2)は、リンク(16)を介して前方に引き込まれて、図6に実線で示す閉止位置に移動させられる。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(a)請求項1記載の発明によると、出力機構とモータとを、ほぼT字状として、車両ルーフの側縁及び後縁に沿って取り付けることができるので、限られたスペースへの取り付けが可能になるとともに、後席乗員の頭上を避けた位置のルーフの後隅部に配置することができ、室内空間を広くすることができる。
特に、ルーフにサンルーフを設ける場合には、サンルーフ用のガイドレールがルーフの両側部において、ルーフの後端近くまで延設されるので、このようなサンルーフ付きのルーフに適用すると有意義である。
また、出力機構の後端部をルーフの後縁に接近させることができるので、駆動機構本体を、さらに車両の後端寄りに位置させてルーフに取り付けることができ、より車内空間を広くすることができる。
【0018】
(b)請求項2記載の発明によると、出力機構の小型化が可能になり、さらに室内空間を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の要部の一部切欠平面図である。
【図2】 図1におけるII−II線断面図である。
【図3】 ルーフ後部の概略平面図である。
【図4】 ルーフ後部の概略側面図である。
【図5】 ルーフ後部における要部の概略斜視図である。
【図6】 車両後部の概略側面図である。
【符号の説明】
(1)ルーフ
(1a)リアレール
(1b)開口部
(2)ドア
(3)ヒンジ軸
(4)ルーフトリム
(5)駆動機構本体
(5a)取付ブラケット
(6)取付ブラケット
(7)モータ
(7a)モータ軸
(7b)ピニオン
(8)減速機構
(8a)大径歯車
(8b)ピニオン
(8c)中間歯車
(8d)大径歯車(出力部)
(8e)軸
(9)クラッチ
(10)基板
(11)出力機構
(12)駆動プーリ
(12a)軸
(13)従動プーリ
(14)ベルト(伝動部材)
(15)接続部材
(15a)接続部
(16)リンク(連結部材)
(17)軸

Claims (2)

  1. 車体のルーフの一側部に取り付けられた駆動機構本体により、前記ルーフの後端部に左右方向を向くヒンジ軸をもって開閉可能に枢支された開閉体を開閉させるようにした車両用開閉体の開閉装置において、
    前記駆動機構本体を、モータと、該モータの回転を減速する減速機構と、長手方向を前記ヒンジ軸とほぼ直交する前後方向に向けて配置されるとともに、後端部が前記開閉体に連結されている連結部材の他端部に連結され、かつ前記減速機構の出力部に連結されて、前後に往復直線移動可能な出力機構とにより形成、前記モータを、前記減速機構を介して前記出力機構の長手方向のほぼ中央部に直角に連結することにより、平面視ほぼT字状とし、さらに、前記出力機構の後端部を、前記ルーフの後部内側に固着されたリアレールに形成した開口部に挿入して、前記ルーフの後縁に接近させたことを特徴とする車両用開閉体の開閉装置。
  2. 出力機構を、ヒンジ軸とほぼ直交する前後方向を向く基板の端部に左右方向を向く軸により軸支されるとともに、減速機構の出力部に連結されて正逆回転可能な駆動プーリと、前記基板の端部に左右方向に向けて軸支された従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとに掛け回され、連結部材の他端部が連結されて該連結部材と共に前後方向へ移動可能な伝動部材とを備えるものとした請求項1記載の車両用開閉体の開閉装置。
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