JP3937066B2 - スライドドアの駆動機構 - Google Patents

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大塚  晋
誠一 角谷
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Toyota Motor East Japan Inc
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Aisin Seiki Co Ltd
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Aisin Corp
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車等の車両に好適な自動車用スライドドア、特に電動で開閉するパワースライドドアの駆動系における駆動ケーブルの取回し構造を有するスライドドアの駆動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、いわゆるバン型車又はワンボックスなどと称される車両のスライドドアにおいて、ボディの側面開口部の上下縁に沿って配設されたアッパガイドレールおよびロアガイドレールとボディ後部側面に設けられたセンタガイドレールを有し、すなわち3本のガイドレールによってスライドドアをスライドガイドしている。
【0003】
図6は、この種のスライドドアの概略構成を示している。図において、100はスライドドアもしくはドア本体、101はボディ側に配置されたアッパガイドレール、102はロアガイドレール、103はセンタガイドレールである。なお、図において矢印Fは車両前方を、また矢印Rは後方をそれぞれ表す。
【0004】
一方、スライドドア100には図6に示されるように、そのドア本体の前縁上下端にはアッパアーム104およびロアアーム105を有し、後縁中央にはセンタアーム106を有している。そして、それぞれのアーム104,105,106にはガイドローラ107,108および109が設けられる。これらのガイドローラ107,108および109は、アッパガイドレール101、ロアガイドレール102およびセンタガイドレール103にそれぞれ装着される。
【0005】
各ガイドローラ107,108および109は、それぞれが装着されるガイドレール101,102および103に沿って移動し、これによりスライドドアは車両側部にて前後方向にスライド移動することができるようになっている。なお、図において、スライドドアおよびこれに付随する部材の開状態と閉状態が併記されているが、閉状態の部材を示す符号には「カッコ」が付されている。
【0006】
ここで、特に、パワースライドドア(PSD)では、スライドドア100は、電動式に開閉駆動されるようになっている。この場合、ドア本体内にPSD駆動モータユニット1を装備し、このPSD駆動モータユニット1にはケーブル2が巻取りまたは繰出し可能に接続されている。ケーブル2は、センタアーム106に搭載されたプーリユニット10を通って、その端部がセンタガイドレール103側に固定される。
【0007】
センタアーム106は図7に示されるように、スライドドア100側に設定されたヒンジ(ヒンジピン)110のまわりに両矢印Aのように所定角度回動可能に支持されている。また、プーリユニット10は、ヒンジ110と同軸に回転可能に装着されたプーリ11とガイドローラ109寄りの位置に回転可能に装着されたプーリ12とを含んでいる。そして、PSD駆動モータユニット1に接続された2本のケーブル2a,2bは、図示のように2つのプーリ11,12に巻回される。一方のケーブル2bは固定ガイド13によってガイドされる。
【0008】
また、ケーブル2a,2bは、PSD駆動モータユニット1に接続されるとともに、図8に示されるようにプーリユニット10を通った後、センタガイドレール103に沿って敷設される。そして、それぞれの端部2a1,2b1が、センタガイドレール103の後端部および前端部に固定される。
【0009】
スライドドア100の開閉動作において、これを開ける場合には図8(A)のように全閉しているスライドドア100内のPSD駆動モータユニット1を作動させることで、ケーブル2aを巻き取る。これによりスライドドア100は、後方へスライド移動し、センタアーム106(プーリユニット10)がセンタガイドレール103の後端部に位置したとき全開する。
【0010】
また、スライドドア100を閉める場合には、図8(B)のように全開しているスライドドア100内のPSD駆動モータユニット1を作動させることで、ケーブル2bを巻き取る。これによりスライドドア100は、前方へスライド移動し、センタアーム106(プーリユニット10)がセンタガイドレール103の前端部に位置したとき全閉する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スライドドア100の開閉動作時、特にケーブル2bは固定ガイド13を擦りながらガイドされるため、その動作を繰り返すうちに固定ガイド13が次第に磨り減ってしまう。このように固定ガイド13が磨り減る場合、そのままではスライドドアの駆動機構の円滑作動が困難になる。
【0012】
本発明はこのような点に鑑み、円滑に作動しえるとともに構成の簡素化および耐久性の向上を図ったスライドドアの駆動機構を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のスライドドアの駆動機構は、ボディ側のセンタガイドレールに、ドア本体に枢支されたセンタアームを移動可能に装着し、ドア本体内の駆動モータユニットに接続されたケーブルの巻取りまたは繰出しによりスライドドアを開閉するようにしたスライドドアの駆動機構であって、前記センタアームに搭載されたケーブルを取り回すためのプーリユニットを有し、このプーリユニットは少なくとも、センタアームの枢軸とはオフセット配置されたプーリを含むことを特徴としている。
【0014】
また、本発明のスライドドアの駆動機構において、前記プーリは、前記駆動モータユニット側に所定量オフセットされることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、駆動モータユニットに接続されたケーブルを巻き取りまたは繰り出すことによりスライドドアを開閉する。スライドドアの開閉時にセンタアームは枢軸のまわりに回動する。センタアームに搭載されたプーリユニットのプーリは、センタアームの枢軸とはオフセット配置されることで、スライドドアの開閉時にケーブル長変化が最少に抑えられる。これによりスライドドアの駆動機構は円滑に作動するとともに、特別なガイド部材を用いないため構成の簡素化を図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基き、従来例と実質的に同一または対応する部材には同一符号を用いて本発明によるスライドドアの駆動機構の好適な実施の形態を説明する。
図1および図2は、本発明の実施形態の要部構成を示している。この実施形態においても、既に説明したようにバン型車のスライドドアにおいてボディの側面開口部の上下縁に沿って配設されたアッパガイドレールおよびロアガイドレールとボディ後部側面に設けられたセンタガイドレールを有するものとする。
【0017】
したがって、本発明の基本構成は従来例の場合と実質的に同様であり、図6に示したように、ドア本体の前縁上下端にはアッパアーム104およびロアアーム105を有し、後縁中央にはセンタアーム106を備えている。それぞれのアームにはガイドローラ107,108および109が設けられる。これらのガイドローラ107,108および109は、アッパガイドレール101、ロアガイドレール102およびセンタガイドレール103にそれぞれ装着される。そして、各ガイドローラ107,108および109は、それぞれが装着されるガイドレール101,102および103に沿って移動し、これによりスライドドアは車両側部にて前後方向にスライド移動することができるようになっている。
【0018】
ここで、センタアーム106まわりの具体的構成を説明する。図3にも示されるように、センタアーム106は、ヒンジピン110のまわりに両矢印A(図1参照)のように所定角度回動可能に支持されている。この場合、ヒンジブラケット111が、ボルト112によってスライドドア100に締結固定され、ヒンジピン110はヒンジブラケット111の孔111aに挿通される。ヒンジピン110はまた、ブッシュ113を介してセンタアーム106の孔106aに挿通されている。
【0019】
ガイドローラ109は、センタアーム106の孔106bにカシメ付けされるカシメピン114を介してセンタアーム106に取り付けられる。さらに、センタアーム106の孔106cには、2つのガイドローラ109に挟まれるかたちでロードローラ115が回転自在に軸支される。
【0020】
本実施形態では、プーリユニット10において、ヒンジピン110寄りの位置に回転可能に装着されたプーリ11とガイドローラ109寄りの位置に回転可能に装着されたプーリ12とを含んでいる。図3に示されるように、これらのプーリ11およびプーリ12はそれぞれ、ケース14の孔14aにカシメ付けされるカシメピン15,16を介してケース14に取り付けられる。ケース14は、ボルト17によってセンタアーム106に締結固定される。
【0021】
特に本発明において、プーリ11は、ヒンジピン110と同軸に装着されず、つまりオフセットして配置される。この場合、図1に示したようにプーリ11は全開時に、駆動モータユニット1側にδだけオフセットされる。また、図4にも示したようにPSD駆動モータユニット1に接続された2本のケーブル2a,2bは、図示のように2つのプーリ11,12に巻回される。なお、PSD駆動モータユニット1とプーリユニット10との間には、図4に示すように、ガイドプーリ3等が配置される。
【0022】
ケーブル2a,2bは、上記のようにPSD駆動モータユニット1に接続されるとともに、図5に示されるようにプーリユニット10を通った後、センタガイドレール103に沿って敷設される。そして、それぞれの端部2a1,2b1が、センタガイドレール103の後端部および前端部に固定される。
【0023】
上記構成において、本発明によればスライドドア100の開閉動作において、スライドドア100を開ける場合には、図5(A)のように全閉しているスライドドア100内のPSD駆動モータユニット1を作動させることで、ケーブル2aを巻き取る。これによりスライドドア100は、後方へスライド移動し、センタアーム106(プーリユニット10)がセンタガイドレール103の後端部に位置したとき全開する。
【0024】
また、スライドドア100を閉める場合には、図5(B)のように全開しているスライドドア100内のPSD駆動モータユニット1を作動させることで、ケーブル2bを巻き取る。これによりスライドドア100は、前方へスライド移動し、センタアーム106(プーリユニット10)がセンタガイドレール103の前端部に位置したとき全閉する。
【0025】
上述したように駆動モータユニット1に接続されたケーブル2a,2bを巻き取りまたは繰り出すことによりスライドドア100を開閉することができる。スライドドア100の開閉時にセンタアーム106は枢軸であるヒンジピン110のまわりに回動する。この回動の際、特にセンタアーム106に搭載されたプーリユニット10のプーリ11は、センタアーム106の枢軸とはオフセット配置されることで、スライドドア100の開閉時にケーブル長の変化を最少に抑えることができる。これによりスライドドア100の駆動機構は円滑に作動するとともに、従来の固定ガイド13のような特別なガイド部材を用いないで済む。したがって、駆動機構の構成の簡素化が図れるとともに、消耗部材を省略することで耐久性を向上することができる。
【0026】
上記のように本発明を実施形態に基づき説明したが、本発明はこの実施形態にのみ限定されるものでなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。
たとえば、プーリ11のオフセット量δの具体的数値等は、必要に応じて最適となるように設定可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、この種のスライドドアにおいてプーリユニットのプーリをその枢軸とはオフセット配置することで、駆動機構を円滑に動作させ得るとともに、構成の簡素化や耐久性の向上を有効に実現することができる等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における要部構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態における要部構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態における要部構成を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施形態におけるPSD駆動モータユニットとプーリユニットの接続関係を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態における開閉動作をそれぞれ示す平面図である。
【図6】スライドドアの概略構成を示す斜視図である。
【図7】従来のスライドドア駆動機構の要部構成を示す平面図である。
【図8】従来のスライドドア駆動機構の開閉動作をそれぞれ示す平面図である。
【符号の説明】
1 PSD駆動モータユニット
2a,2b ケーブル
10 プーリユニット
11,12 プーリ
14 ケース
15,16 カシメピン
100 スライドドア
101 アッパガイドレール
102 ロアガイドレール
103 センタガイドレール
104 アッパアーム
105 ロアアーム
106 センタアーム
107,108,109 ガイドローラ

Claims (2)

  1. ボディ側のセンタガイドレールに、ドア本体に枢支されたセンタアームを移動可能に装着し、前記ドア本体内の駆動モータユニットに接続されたケーブルの巻取りまたは繰出しによりスライドドアを開閉するようにしたスライドドアの駆動機構であって、
    前記センタアームに搭載された前記ケーブルを取り回すためのプーリユニットを有し、このプーリユニットは少なくとも、前記センタアームの枢軸とはオフセット配置されたプーリを含むことを特徴とするスライドドアの駆動機構。
  2. 前記プーリは、前記駆動モータユニット側に所定量オフセットされることを特徴とする、請求項1に記載のスライドドアの駆動機構。
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