JP4105912B2 - 車両用開閉装置の取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用開閉装置の取付構造に関する。詳しくは、車体を構成するルーフサイドパネルに、正逆転可能なモータと、モータの回転を減速する減速ギヤが配列されたケーシングと、ケーシングに支持され、かつ減速ギヤの回転により前後方向へ移動可能な出力部材とを含む駆動ユニットを取り付けるとともに、出力部材を、車体にヒンジ部材により開閉可能に枢着された開閉体に連結して、出力部材の移動をもって、開閉体を開閉させるようにした車両用開閉装置の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車体後部に左右1対のヒンジ部材により上下方向に開閉可能に枢着された開閉体をモータにより開閉させるようにした車両用開閉装置においては、モータと、モータの回転を減速して外部に出力する減速ギヤ等を収容したケーシングとを含む駆動ユニットを、車体を構成するルーフ部材である車両前後方向へ延在するルーフサイドパネルに取り付けるとともに、ケーシングに前後方向へ移動可能に支持された出力部材が、ヒンジ部材を構成するヒンジアームに連結されるようになっている(例えば、特開2001−199242号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような従来の車両用開閉装置によると、駆動ユニットがルーフサイドパネルの室内側を向く側面に取り付けられるため、特に、駆動ユニットのモータ、ケーシングが室内側に大きく突出して、後席乗員のヘッドクリアランスを狭め、室内空間を減少させてしまうという問題がある。
【0004】
また、駆動ユニットがルーフサイドパネルの室内側を向く側面に取り付けられと、駆動ユニットが車幅方向の中央寄りに配置されることとなり、出力部材(上記従来の技術においては”スライダ”)の位置が、ヒンジアームの位置よりも車幅方向の中央寄りとなって、出力部材とヒンジアームとが、互いに車幅方向にずれた位置関係になる。
【0005】
上述のように、出力部材の位置が、ヒンジアームに対して車幅方向へずれた位置にあると、出力部材の前後方向の移動をヒンジアームに伝達させる際、出力部材からヒンジアームに力を伝達する方向が、出力部材の移動方向に対して斜め方向となり、出力部材からヒンジアームに伝達する力の伝達効率が悪くなる。
【0006】
この伝達効率を向上させるために、ヒンジアームを、出力部材の移動方向の延長線上に配置すれば、出力部材とヒンジアームとが前後方向に一列に並んで、伝達効率の向上を図ることができるが、その反面、車体に対するヒンジアームの取り付け位置が車幅方向の中央寄りになってしまい、左右のヒンジアーム間のスパンが狭まり、リヤゲートの支持剛性の低下を招くおそれがある。
【0007】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、駆動ユニットの室内側への突出量を小さくして、室内空間の増大を図ることができるようにした車両用開閉装置の取付構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)車体を構成するルーフサイドパネルに、正逆転可能なモータと、該モータの回転を減速する減速ギヤが配列されたケーシングと、該ケーシングに支持され、かつ前記減速ギヤの回転により前後方向へ移動可能な出力部材とを含む駆動ユニットを取り付けるとともに、前記出力部材を、前記車体にヒンジ部材により開閉可能に枢着された開閉体に連結して、前記出力部材の移動をもって、前記開閉体を開閉させるようにした車両用開閉装置の取付構造において、前記ルーフサイドパネルの室内側を向く側面に、前記ヒンジ部材のヒンジ軸線方向へ沿う車外側方へ向けて凹み、かつ前記モータ及び前記ケーシングが嵌入し得る程度の大きさの凹部を凹設し、前記モータ及び前記ケーシングを前記凹部内に嵌入配置し、また、前記出力部材を前記凹部内に嵌入しない位置に配置する
【0009】
)上記( ) において、ルーフサイドパネルの凹部に、駆動ユニットのモータを前後方向に沿って挿入可能な開口を設ける。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の概要を示す車体後部の側面図、図2は、駆動ユニットを示す要部の拡大側面図、図3は、図2におけるIII−III線に沿う拡大縦断面図、図4は、駆動ユニットを示す要部の平面図である。なお、以下の説明では、図1、2及び図4において、左方を「前方」、右方を「後方」とし、図3において、左方を「室内側」、右方を「車外側」とする。
【0011】
車体(1)の後部には、左右の後部ピラー(図示略)とルーフパネル(2)の後縁とによって開口部(3)が形成され、ルーフパネル(2)の後端に、左右1対のヒンジ部材を構成するヒンジアーム(4)を介して上下方向に回動可能に枢着した開閉体をなすリヤゲート(5)をもって、開口部(3)を開閉しうるようになっている。
【0012】
リヤゲート(5)は、ルーフパネル(2)の下面とルーフパネル(2)の下方に張設された室内側のルーフトリム(6)との間に設置される駆動ユニット(7)によって、図1に実線で示す全閉位置と、2点鎖線で示す全開位置との間に渡って開閉駆動させられる。
【0013】
ヒンジアーム(4)は、開口部(3)の上部開口縁部に沿って車幅方向に延在する車体を構成するルーフリヤレール(8)の上面に固着された左右1対のヒンジブラケット(9)に、左右方向を向くヒンジ軸(10)によって基端が枢着されるとともに、基端から下方前方へ延在し、かつ下端からヒンジ軸(10)を中心とする円弧状に後方へ延在する後端部が、リヤゲート(5)に連結されている。
【0014】
駆動ユニット(7)は、正逆回転可能なモータ(11)と、モータ(11)の回転を減速する減速ギヤをなす図3に示すウォームホイール(12)、中間ギヤ(13)、モータ(11)の回転力を最終的に減速して外部に出力する出力ギヤ(14)、及びモータ(11)と出力ギヤ(14)との間の伝達経路を断続する電磁式のクラッチ(15)が配設されたケーシング(16)と、出力ギヤ(14)に噛合して前後方向へ移動可能な出力部材をなすラック(17)とを有している。
【0015】
モータ(11)は、その出力軸がヒンジ軸(10)の軸線方向と直交する方向、すなわち前後方向へ向くようにして、ケーシング(16)の前端側に連結されている。
なお、ウォームホイール(12)及びクラッチ(15)は、ケーシング(16)の内部に設けられ、中間ギヤ(13)及び出力ギヤ(14)は、ケーシング(16)の外部側面に固定された左右の支持プレート(18)(18)間に枢支されている。
【0016】
駆動ユニット(7)は、ルーフパネル(2)の下方において前後方向に延在する車体を構成するルーフサイドパネル(19)に、ケーシング(16)に固定された図示略の取付ブラケットを介して固定される。
【0017】
ラック(17)は、後端部が左右方向を向く軸(20)によって、ヒンジアーム(4)に回動可能に連結されるとともに、図3、4に示すように、ケーシング (16) の車内側の側面に設けられた両支持プレート(18)間に前後方向へ移動可能に案内されている。
【0018】
ラック(17)の両側面は、両支持プレート(18)間に前後方向へ摺動可能に挟持され、またラック(17)の上下部は、両支持プレート(18)の上部に枢着されたローラ(21)と出力ギヤ(14)との間に前後方向へ摺動可能に挟持されている。
【0019】
ルーフサイドパネル(19)の駆動ユニット(7)が取り付けられる箇所の室内側を向く側面には、図3、4に示すように、左右方向、すなわちヒンジ軸 ( ) の軸線方向(図3において左右方向、図4において上下方向)に沿う車外側方(図3において右方、図4において上方)へ凹み、かつモータ(11)及びケーシング(16)の車外側を向く側部が嵌入可能な凹部(22)が設けられている。
【0020】
図4に示すように、凹部(22)は、モータ(11)及びケーシング(16)の車外側を向く側部の全体が嵌入可能な面積、すなわち大きさで、かつモータ (11) 及びケーシング (16) の車外側の側部が嵌入し得るが、ケーシング (16) の車内側の側部に支持されたラック (17) は嵌入し得ない程度の深さを有している。これにより、ルーフサイドパネル(19)の一部を切り欠く必要がないため、ルーフサイドパネル(19)の剛性を落とすことはない。
【0021】
駆動ユニット(7)は、モータ(11)及びケーシング(16)の車外側を向く側部の全体をルーフサイドパネル(19)の凹部(22)に嵌入させた形態で、ルーフサイドパネル(19)に図示略の取付ブラケットを介して固定される。これにより、駆動ユニット(7)全体の取り付け位置を、従来に比して車外側寄りにすることができ、駆動ユニット(7)の室内側への突出量を小さくして、室内空間の増大を図り、後席乗員のヘッドクリアランスを十分に確保することができる。
【0022】
また、駆動ユニット(7)を車外側寄りに取り付け可能であるため、ラック(17)も車外側寄りに配置することができるとともに、図4に示すように、平面視において、ラック(17)をヒンジアーム(4)に対して前後方向へほぼ一列に並ぶような位置に配置することが可能になる。
【0023】
次に、本実施形態における作用について説明する。
リヤゲート(5)が全閉位置にあるとき、図示略の操作スイッチがオープン操作されると、クラッチ(15)が励磁されて、モータ(11)と出力ギヤ(14)間の伝達経路が接続されるとともに、モータ(11)は正転制御される。
【0024】
モータ(11)の正転により、ウォームホイール(12)、クラッチ(15)、中間ギヤ(13)、及び出力ギヤ(14)を介して、ラック(17)が図2に示す全閉位置から後方へ移動させられることにより、リヤゲート(5)は、ヒンジアーム(4)を介して、開き方向に揺動させられて、全開位置で停止する。
【0025】
また、リヤゲート(5)が全開位置にあるとき、操作スイッチがクローズ操作されると、クラッチ(15)が励磁されるとともに、モータ(11)は逆転制御される。これにより、出力ギヤ(14)が前述と逆の方向へ回動させられて、ラック(17)が前方へ移動させられることにより、リヤゲート(5)は、ヒンジアーム(4)を介して閉じ方向に揺動させられ、全閉位置で停止する。
【0026】
リヤゲート(5)を開き方向または閉じ方向へ揺動させる際、ラック(17)とヒンジアーム(4)とが、互いに車幅方向にずれていない車両前後方向に一列に並んだ位置関係にあるため、ラック(17)の前後方向の移動をもって、ヒンジアーム(4)を開閉方向へ効率的に揺動させることができる。
【0027】
図5は、本発明における他の実施形態を示す。ルーフサイドパネル(19)の凹部(23)は、モータ(11)が室内側に突出することがないように、モータ(11)の全体を収容し得るように、車外側に凹んでいる。凹部(23)における前壁(23a)には、モータ(11)の前部が挿入可能な開口(24)が穿設されている。
【0028】
駆動ユニット(7)は、モータ(11)の後部及びケーシング(16)を凹部(23)に嵌入させ、かつモータ(11)の前部を開口(24)に挿入させた形態で、図示略の取付ブラケットを介してルーフサイドパネル(19)に固定される。
上述の構成にすることにより、凹部(23)の前後方向の長さを、前記実施例に比して短縮することができる。
【0029】
なお、本発明は、上記実施形態に特定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に種々の変形や変更を施すことが可能である。例えば、出力部材をラック(17)に代えて、ベルト、チェーン、連結ロッド等にすること、モータ(11)をケーシング(16)の後部に連結すること、ヒンジアーム(4)を他の形状にすること、出力部材を直接リヤゲート(5)に連結すること等が挙げられる。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
(a)請求項1記載の発明によると、駆動ユニットの室内側への突出量を小さくして、室内空間の増大を図ることができる
さらには、両ヒンジ部材間を狭めることなく、出力部材とヒンジ部材とを、出力部材の移動方向に沿って一列に並ぶように配置することが可能になるため、開閉体の支持剛性を確保しつつ出力部材からヒンジ部材への力の伝達効率の向上を図り、開閉体を円滑に開閉させることができる。
【0031】
)請求項記載の発明によると、請求項の発明の効果に加えて、凹部の前後方向の長さを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における一実施形態の概要を示す車体後部の側面図である。
【図2】 同じく、駆動ユニットを示す要部の拡大側面図である。
【図3】 図2におけるIII−III線に沿う拡大縦断面図である。
【図4】 駆動ユニットを示す要部の平面図である。
【図5】 本発明における他の実施形態を示す図3と同一部位の縦断面図である。
【符号の説明】
(1)車体
(2)ルーフパネル
(3)開口部
(4)ヒンジアーム(ヒンジ部材)
(5)リヤゲート(開閉体)
(6)ルーフトリム
(7)駆動ユニット
(8)ルーフリヤレール
(9)ヒンジブラケット
(10)ヒンジ軸
(11)モータ
(12)ウォームホイール(減速ギヤ)
(13)中間ギヤ(減速ギヤ)
(14)出力ギヤ(減速ギヤ)
(15)クラッチ
(16)ケーシング
(17)ラック(出力部材)
(18)支持プレート
(19)ルーフサイドパネル
(20)軸
(21)ローラ
(22)(23)凹部
(23a)前壁
(24)開口

Claims (2)

  1. 車体を構成するルーフサイドパネルに、正逆転可能なモータと、該モータの回転を減速する減速ギヤが配列されたケーシングと、該ケーシングに支持され、かつ前記減速ギヤの回転により前後方向へ移動可能な出力部材とを含む駆動ユニットを取り付けるとともに、前記出力部材を、前記車体にヒンジ部材により開閉可能に枢着された開閉体に連結して、前記出力部材の移動をもって、前記開閉体を開閉させるようにした車両用開閉装置の取付構造において、
    前記ルーフサイドパネルの室内側を向く側面に、前記ヒンジ部材のヒンジ軸線方向へ沿う車外側方へ向けて凹み、かつ前記モータ及び前記ケーシングが嵌入し得る程度の大きさの凹部を凹設し、前記モータ及び前記ケーシングを前記凹部内に嵌入配置し、また、前記出力部材を前記凹部内に嵌入しない位置に配置したことを特徴とする車両用開閉装置の取付構造。
  2. ルーフサイドパネルの凹部に、駆動ユニットのモータを前後方向に沿って挿入可能な開口を設けた請求項記載の車両用開閉装置の取付構造。
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