JP3671496B2 - ポリグリセリンの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリグリセリンの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、医薬や生化学の分野において有用な、1級水酸基を有するヒドロキシメチルエチレンオキシ構造を繰り返し単位とする、直鎖状で高品質のポリグリセリンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ポリグリセリンの製造方法としては、
(1)グリセリンを水酸化ナトリウムの存在下、250℃程度の高温で脱水縮合する方法、
(2)グリシドールを水やグリセリンに付加する方法(A.Kleemann、R.Wagner著、「GLYCIDOLS」、Huting社、1981年発行)、
(3)エピクロルヒドリンを水やグリセリンに1モル付加したのち、アルカリ条件下で脱塩化水素閉環し、次いで希硫酸で開環する操作を、目的の重合度に達するまで繰り返す方法、
(4)1個以上の水酸基を有する化合物に第三ブチルグリシジルエーテルを付加重合したのち、アリールスルホン酸などの強酸の存在下に第三ブチル基を脱離する方法(英国特許第1,267,259号明細書)、
などが知られている。
しかし、(1)の脱水縮合による方法は、安価にポリグリセリンを製造し得る方法ではあるが、250℃という高温が必要であり、脱水縮合という手法をとるため分子量分布の制御が困難であることや、構造が不均一であり、骨格内の水酸基の大半が2級水酸基であるという問題点がある。
(2)のグリシドールを重合させる方法では、グリシドール付加後水酸基が2個残存し、その2個の水酸基にさらにグリシドールが付加するため、次式で示されるように、構造は多数の分岐を有し、1級水酸基及び2級水酸基が混在するものとなる。
【化4】
Figure 0003671496
(3)のエピクロルヒドリンを用いる方法でも、通常の反応では(2)と同様に多数の分岐を有する構造となる。1モルずつ段階的に反応すれば、直鎖状で骨格内に1級水酸基を有するものを得ることも可能であるが、反応工程が煩雑になるという問題点がある。また、原料のエピクロルヒドリンに由来する塩素分が混入するという欠点がある。
(4)の第三ブチルグリシジルエーテルを用いる方法では、直鎖状の骨格で1級水酸基を有する構造が得られるが、原料の第三ブチルグリシジルエーテルは合成が容易でなく、しかも第三ブチル基を脱離する工程で強酸を使用しなければならないため、第三ブチル基の脱離とともに主鎖のエーテル結合の切断が生じることが避けられず、さらに耐酸性の反応器を必要とするという問題点がある。
これまで、ポリグリセリンは界面活性剤などの反応原料や、化粧品などの配合原料として使用されていたため、構造の不均一性や骨格内の水酸基の形態はそれほど問題ではなかった。しかし、近年になり生理活性蛋白質の化学修飾やリポソームなどのドラッグデリバリーシステムにポリグリセリンの誘導体が使用されるようになると、副生物の少ない高純度の直鎖状ポリグリセリンが要求されるようになったが、上述の(1)〜(4)の製造方法では、高純度で直鎖状の骨格内に1級水酸基のみを有するポリグリセリンを簡便に得ることはできなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水酸基が主として1級水酸基からなり、分岐構造のない、ヒドロキシメチルエチレンオキシ構造を繰り返し単位とする、直鎖状で高品質のポリグリセリンの簡便な製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、グリセリンモノエステルにグリシジルエステルを付加したのち、アルカリを用いて鹸化処理することにより、主として1級水酸基を有する直鎖状のポリグリセリンを得ることができることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(1)一般式[1]
【化5】
Figure 0003671496
(ただし、式中、R1COは炭素数2〜24のアシル基である。)
で示されるグリセリンモノエステルに、一般式[2]
【化6】
Figure 0003671496
(ただし、式中、R2COは炭素数2〜24のアシル基である。)
で示されるグリシジルエステルを付加する工程と、
(2)アルカリを用いて鹸化処理し、一般式[1]及び一般式[2]で示される化合物に由来するアシル基を脱離する工程とからなる、
一般式[3]
【化7】
Figure 0003671496
(ただし、式中、nはグリセリン構成単位の平均重合度で3〜15である。)
で示される1級水酸基を有するヒドロキシメチルエチレンオキシ構造を繰り返し単位とする直鎖状のポリグリセリンの製造方法、及び、
(2)(1)一般式[1]で示される化合物がグリセリルモノアセテートであり、一般式[2]で示される化合物がグリシジルアセテートである第(1)項記載のポリグリセリンの製造方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明方法においては、一般式[1]で示されるグリセリンモノエステルに、一般式[2]で示されるグリシジルエステルを付加する。
【化8】
Figure 0003671496
一般式[1]及び一般式[2]において、R1CO及びR2COはいずれも炭素数2〜24のアシル基である。このようなアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、2−メチルプロパノイル基、ピバロイル基、カプロイル基、2−メチルペンタノイル基、3−メチルペンタノイル基、4−メチルペンタノイル基、2,3−ジメチルブタノイル基、3,3−ジメチルブタノイル基、ヘプタノイル基、カプリロイル基、3−エチルヘプタノイル基、ノナノイル基、カプリノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、ミリストイル基、イソセトイル基、パルミトイル基、マルガロイル基、ステアロイル基、ノナデカノイル基、イソステアロイル基、ヘンイコサノイル基、トリコサノイル基、テトラコサノイル基などの飽和脂肪族アシル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、オレオイル基、エライドイル基などの不飽和脂肪族アシル基、シクロヘキシルカルボニル基などの脂環式アシル基、フェニルアセチル基、ベンゾイル基、ブチルベンゾイル基、ジブチルベンゾイル基、オクチルベンゾイル基、ノニルベンゾイル基、ドデシルベンゾイル基、ジオクチルベンゾイル基、ジノニルベンゾイル基、スチレン化ベンゾイル基などの芳香族アシル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基などの複素環式アシル基などを挙げることができる。
【0006】
本発明方法において、R1CO及びR2COで示されるアシル基の炭素数は2〜24であり、鹸化処理後の精製方法により適切な炭素数を選定することができる。精製工程において、脱水、ろ過工程をとる場合は、アシル基の炭素数は2〜4であることが好ましく、炭素数が2のアセチル基であることが特に好ましい。精製工程において溶剤抽出をする場合は、アシル基の炭素数は8〜18であることが好ましい。炭素数が1のホルミル基は、鹸化によりギ酸を発生するので好ましくない。アシル基の炭素数が24を超えると、原料の入手が困難で好ましくない。
本発明方法において、一般式[1]で示されるグリセリンモノエステルに一般式[2]で示されるグリシジルエステルを付加する。付加反応は、ルイス酸触媒又はアルカリ触媒の存在下に行うことが好ましい。ルイス酸触媒としては、例えば、三フッ化硼素、四塩化錫などを用いることができる。アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシドなどを用いることができる。使用する触媒の量は、グリセリンモノエステルとグリシジルエステルの合計量に対して0.01〜5重量%であることが好ましい。触媒の量が、グリセリンモノエステルとグリシジルエステルの合計量に対して0.01重量%未満であると、反応速度が遅く、反応に長時間を要するおそれがある。触媒の量が、グリセリンモノエステルとグリシジルエステルの合計量の5重量%を超えると、反応速度が速すぎて、反応の制御が困難になるおそれがある。
【0007】
本発明方法において、触媒としてルイス酸、例えば、三フッ化硼素を使用したとき、一般式[1]で示されるグリセリンモノエステルと三フッ化硼素から次式で示されるカルボニウムイオンが生成する。
【化9】
Figure 0003671496
このカルボニウムイオンに一般式[2]で示されるグリシジルエステルが付加して、次式で示されるカルボニウムイオンとなる。
【化10】
Figure 0003671496
以下、同様にしてグリシジルエステルの付加が続き、n−1モルのグリシジルエステルが付加したとき、一般式[4]で示される中間体が生成する。
【化11】
Figure 0003671496
【0008】
本発明方法において、触媒としてアルカリ、例えば、水酸化ナトリウムを使用したとき、一般式[1]で示されるグリセリンモノエステルの2級水酸基と水酸化ナトリウムが反応すると次式で示されるアニオンが生成する。
【化12】
Figure 0003671496
このアニオンに一般式[2]で示されるグリシジルエステルが付加して、次式で示されるアニオンとなる。
【化13】
Figure 0003671496
以下、同様にしてグリシジルエステルの付加が続き、n−1モルのグリシジルエステルが付加したとき、一般式[5]で示される中間体が生成する。
【化14】
Figure 0003671496
【0009】
本発明方法においては、一般式[4]又は一般式[5]で示される中間体をアルカリを用いて鹸化処理し、一般式[1]及び一般式[2]で示される化合物に由来するアシル基を脱離して水酸基とするとともに、末端のカルボニウムイオン又はアニオンも水酸基とする。鹸化に使用するアルカリには特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを使用することができる。鹸化工程においては、反応に使用したグリセリンモノエステルとグリシジルエステルの合計モル数に対して1.01〜1.50モル倍のアルカリを使用することが好ましい。使用するアルカリの量が、反応に使用したグリセリンモノエステルとグリシジルエステルの合計モル数に対して1.01モル倍未満であると、中間体よりアシル基が完全に脱離せず、エステル結合を形成したまま残存するおそれがある。使用するアルカリの量が、反応に使用したグリセリンモノエステルとグリシジルエステルの合計モル数に対して1.50モル倍を超えると、中和に要する酸の量がいたずらに増加する。本発明方法においては、鹸化工程において、アルカリを1〜50重量%水溶液として添加することが好ましい。アルカリ水溶液の濃度が1重量%未満であると、処理液量が過大になるおそれがある。アルカリ水溶液の濃度が50重量%を超えると、反応系中で部分的にアルカリ濃度が高くなり、オキシエチレン鎖の切断などの副反応が生じるおそれがある。
【0010】
本発明方法において、鹸化処理は窒素雰囲気下で行うことが好ましい。鹸化を窒素雰囲気下で行うことにより、望ましくない酸化反応などの副反応を抑えることができる。本発明方法においては、鹸化処理を70〜150℃で行うことが好ましい。鹸化処理の温度が70℃未満であると、反応速度が遅く、鹸化処理に長時間を要するおそれがある。鹸化処理の温度が150℃を超えると、副反応が起こるおそれがある。
本発明方法においては、鹸化工程を終了したのち、反応混合物に塩酸を加えてpHを5〜8に調整することが好ましい。塩酸による中和により生成する塩は塩化物であり、反応系よりの除去が容易である。反応混合物のpHが5未満であっても、8を超えても、続いて行う脱水処理中に生成したポリグリセリンが変質し、あるいは、弱酸交換型イオン交換樹脂又は脱塩用透析膜による処理が困難となるおそれがある。塩酸によりpHを5〜8に調整した反応混合物は、10〜400mmHgの減圧下、70〜150℃で脱水することが好ましい。減圧を10mmHg未満とするためには高度な設備が必要であり、本発明方法においては、脱水のために10mmHg未満の減圧は通常は必要ではない。減圧が400mmHgを超えると、脱水に長時間を要するおそれがある。脱水の温度が70℃未満であると、脱水に長時間を要するおそれがある。脱水の温度が150℃を超えると、ポリグリセリンが変質するおそれがある。
【0011】
本発明方法においては、さらに弱酸交換型イオン交換樹脂又は脱塩用透析膜を用いて、生成したポリグリセリンより残存する一般式[1]及び一般式[2]で示される化合物に由来するカルボン酸又はそれらの塩並びに中和塩を除去することができる。弱酸交換型イオン交換樹脂又は脱塩用透析膜を用いて精製することにより、不純物を含まない高品質のポリグリセリンを得ることができる。
本発明方法においては、一般式[4]及び一般式[5]で示される中間体の鹸化処理によって、一般式[3]
【化15】
Figure 0003671496
で示される、n+1個の1級水酸基と、片末端の1個の2級水酸基とを有し、直鎖状のポリオキシエチレン構造の主鎖を有するポリグリセリンが得られる。
一般式[3]で示されるポリグリセリンにおいて、nはグリセリンの重合度を示し、nは3〜15である。nが2であるジグリセリンは、通常の製造方法で本発明方法によるものと同等の構造の化合物を得ることができる。nが15を超えると、ポリグリセリンの粘度が高くなり取り扱いが困難となるおそれがある。
【0012】
本発明方法においては、一般式[1]で示されるグリセリンモノエステルの代わりに、一般式[6]
【化16】
Figure 0003671496
で示されるグリセリン−α,α'−ジエステル、又は、一般式[7]
【化17】
Figure 0003671496
で示されるグリセリン−α,β−ジエステルを用いることができる。一般式[6]及び一般式[7]において、R1は炭素数2〜24のアシル基であり、2個のアシル基は、同一であっても異なっていてもよい。一般式[6]で示されるグリセリン−α,α'−ジエステルを用いた場合には、一般式[3]で示される、片末端の1個の2級水酸基以外の他の水酸基はすべて1級水酸基である直鎖状のポリオキシエチレン構造の主鎖を有するポリグリセリンが得られる。また、一般式[7]で示されるグリセリン−α,β−ジエステルを用いた場合には、両末端の各1個の2級水酸基以外の他の水酸基はすべて1級水酸基である直鎖状のポリオキシエチレン構造の主鎖を有するポリグリセリンが得られる。
【0013】
一般的に、ポリグリセリンを製造する場合、反応に関与する水酸基が原料モノマー中に複数個存在するため、均一な構造のポリグリセリンを得ることは困難であり、ポリグリセリンの沸点が高いためこれらを反応後に分離精製することも困難である。本発明方法は、反応原料としてグリセリンモノエステル及びグリシジルエステルを用いることにより、反応段階の分岐を有する構造の副生を抑制し、鹸化処理により効率的に主鎖内に1級水酸基のみを有する均一な構造の直鎖状のポリグリセリンを製造することを特徴としている。本発明方法では、一般式[1]で示される化合物と一般式[2]で示される化合物の反応後、ポリグリセリンがエステル化されている状態となるため、一般式[1]の化合物としてグリシジルアセテート、一般式[2]の化合物としてグリセリンモノアセテートを用い、付加反応後無水酢酸を用いて残存する両末端の水酸基をアセチル化したのち蒸留し、その後本発明の鹸化処理をすることによりさらに均一な構造を有するポリグリセリンを得ることができる。
【0014】
また、本発明の鹸化処理後、中和、脱水、ろ過することにより系中に生成するカルボン酸塩の大半は除去することができるが、さらに精製を行うときには、陰イオン交換型イオン交換樹脂を通してカルボン酸を除去したのち、中和、脱水、ろ過すること、あるいは限外ろ過により残存する微量のカルボン酸塩を除去すること、あるいは一般式[1]のR1CO及び一般式[2]のR2COとして炭素数8以上のアシル基を有するものを使用し、鹸化処理後中和工程でpHを2以下に下げて、生成したカルボン酸をトルエンやヘキサンなどの有機溶剤で抽出除去することなどができる。精製に用いるイオン交換樹脂は、ポリグリセリンからカルボン酸塩を除去する目的で使用するので、陰イオン交換型のものであれば種々の構造のものが使用できる。また、限外ろ過膜としては、カルボン酸塩を除去することが目的であるので、脱塩型のものであれば種々のものが使用できる。
【0015】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
グリセリルモノアセテート134.0g(1.0モル)と四塩化錫11.58gを3リットル容オートクレーブに採り、系内を窒素ガスで置換したのち35℃に昇温し、35〜45℃、5kg/cm2以下の条件でグリシジルアセテート638g(5.5モル)を4時間かけて加え、その後さらに1時間反応を続けた。次に、5重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整したのち、100℃、50mmHg以下で1時間脱水を行った。次に、合成ゼオライト系吸着剤[協和化学(株)、キョーワード600]30gを入れ、1時間かき混ぜた。次に80℃に冷却し、吸着剤及び析出した塩をろ別して化合物(1−A)705gを得た。
得られた化合物(1−A)の水酸基価は158.8(グリセリルモノアセテート1モルにグリシジルアセテート5モルが付加した化合物の計算値157.1)、鹸化価は479.5(グリセリルモノアセテート1モルにグリシジルアセテート5モルが付加した化合物の計算値471.4)、酸価は0.1であった。得られた化合物(1−A)の赤外線吸収分析を行った。スペクトルを図1に示す。これらの結果より、化合物(1−A)の構造は式[1−A]であると推定した。
【化18】
Figure 0003671496
1リットル容オートクレーブに化合物(1−A)285.6g(0.4モル)を採り、40重量%水酸化ナトリウム水溶液252gを加えて、窒素雰囲気下100℃で2時間鹸化を行った。次いで塩酸を用いてpHを7.0に調整し、脱塩用透析機[マイクロアシライザーG3、旭化成工業(株)製]を用いて脱塩を行ったのち、100℃、50mmHg以下で2時間脱水を行った。次に合成ゼオライト系吸着剤[協和化学(株)、キョーワード600]10gを入れ、1時間かき混ぜた。次に80℃に冷却し、吸着剤をろ別して化合物(1−B)111.3gを得た。
得られた化合物(1−B)の水酸基価は978.5(グリセリン6量体の水酸基価の計算値は971.4)、鹸化価は0.0、酸価は0.0であった。得られた化合物(1−B)の赤外線吸収分析を行った。スぺクトルを図2に示す。
これらの結果より、得られた化合物の構造は式[1−B]であると推定した。
【化19】
Figure 0003671496
実施例2
グリセリルモノラウレート274.0g(1.0モル)と三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体16.7gを3リットル容オートクレーブに採り、系内を窒素ガスで置換したのち35℃に昇温し、35〜45℃、5kg/cm2以下の条件でグリシジルラウレート563.2g(2.2モル)を4時間かけて加え、さらに1時間反応を続けた。次に5重量%炭酸ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、トルエン2リットルを加え30分かき混ぜたのち、5重量%食塩水500mlを加え3回水洗を行い触媒の中和塩を除去した。次に100℃、50mmHg以下で1時間脱水、脱溶剤を行った。次に合成ゼオライト系吸着剤[協和化学(株)、キョーワード600]30gを入れ、1時間かき混ぜた。次に80℃に冷却し、吸着剤及び析出した塩をろ別して化合物(2−A)751gを得た。
得られた化合物(2−A)の水酸基価は141.5(グリセリルモノラウレート1モルにグリシジルラウレート2モルが付加した化合物の計算値142.7)、鹸化価は215.3(グリセリルモノラウレート1モルにグリシジルラウレート2モルが付加した化合物の計算値214.1)、酸価は0.1であった。これらの結果より、化合物(2−A)の構造は式[2−A]であると推定した。
【化20】
Figure 0003671496
次に1リットル容オートクレーブに化合物(2−A)314.4g(0.4モル)を採り、40重量%水酸化ナトリウム水溶液132gを加えて、窒素雰囲気下100℃で2時間鹸化を行った。次いで塩酸を用いてpHを2.0に調整し、トルエン1リットルずつを用いて3回水洗し、トルエン層に移行する鹸化により脱離したラウリン酸を除去した。次いで水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0を調整し、エバポレーターを用いて80℃で脱水、脱溶剤を行った。次いで析出した多量の塩をろ過により除去した。得られたろ液75gに合成ゼオライト系吸着剤[協和化学(株)、キョーワード600]5gを入れ、80℃で1時間かき混ぜたのち、減圧下で吸着剤をろ別して化合物(2−B)67gを得た。
得られた化合物(2−B)の水酸基価は1165(グリセリン3量体の水酸基価の計算値は1168.8)、鹸化価は0.0、酸価は0.0であった。以上の結果より、得られた化合物(2−B)の構造は式[2−B]であると推定した。
【化21】
Figure 0003671496
実施例3
グリセリルモノアセテート134.0g(1.0モル)と水酸化カリウム0.4gを1リットル容オートクレーブに採り、系内を窒素ガスで置換したのち80℃に昇温し、50mmHg以下で窒素ガスを吹き込みながら1時間脱水を行った。次いで窒素ガスで1.0kg/cm2に加圧し、90〜110℃、5.0kg/cm2以下の条件でグリシジルアセテート255.2g(2.2モル)を3時間かけて加えたのち、さらに1時間反応を続けた。次いで酢酸を用いてpHを7.0に調整したのち、100℃、50mmHg以下で1時間脱水を行った。次に合成ゼオライト系吸着剤[協和化学(株)、キョーワード600]30gを入れ、1時間かき混ぜた。次に80℃に冷却し、吸着剤及び析出した塩をろ別して化合物(3−A)364gを得た。
得られた化合物(3−A)の水酸基価は319.2(グリセリルモノアセテート1モルにグリシジルアセテート2モルが付加した化合物の計算値306.6)、鹸化価は457.6(グリセリルモノアセテート1モルにグリシジルアセテート2モルが付加した化合物の計算値459.8)、酸価は0.1であった。これらの結果より、化合物(3−A)の構造は式[3−A]であると推定した。
【化22】
Figure 0003671496
化合物(3−A)256.2g(0.7モル)を、窒素吹き込み管、温度計、かき混ぜ装置、冷却管を取り付けた4つ口フラスコに採り、無水酢酸183.6g(1.8モル)及び酢酸ナトリウム4.4gを加え、窒素気流下でかき混ぜながら100〜110℃で5時間反応を行った。次いでトルエン500mlを加えたのち、5重量%食塩水500gを用いて3回水洗を行った。
次いで、70℃、100mmHg以下の条件で1時間脱水、脱溶剤を行ったのち、析出した塩をろ別して化合物(3−A)のアセチル化物353.2gを得た。
得られたアセチル化物を精留管を取り付けた単蒸留装置にとり、蒸留することにより、1〜2mmHg、165〜172℃の留分である化合物(3−B)258gを得た。
得られた化合物の水酸基価は0.1、鹸化価は623.1(水酸基がすべてアセチル化された化合物の計算値623.3)、酸価は0.2であった。化合物(3−B)の昇温ガスクロマトグラフィー分析を行った。カラム温度は、50℃から310℃まで毎分8℃で昇温した。得られたクロマトグラムを図3に示す。
以上の結果から、化合物(3−B)の構造は式[3−B]であると推定した。
【化23】
Figure 0003671496
1リットル容オートクレーブに化合物(3−B)202.5g(0.45モル)を採り、40重量%水酸化ナトリウム水溶液270g(2.7モル)を加えて、窒素雰囲気下100℃で2時間鹸化を行った。次いで塩酸を用いてpHを7.0に調整し、脱塩用透析機[マイクロアシライザーG3、旭化成工業(株)製]を用いて脱塩を行ったのち、100℃、50mmHg以下で2時間脱水を行った。次に合成ゼオライト系吸着剤[協和化学(株)、キョーワード600]3gを入れ、1時間かき混ぜた。次に80℃に冷却し、吸着剤をろ別して化合物(3−C)89gを得た。
得られた化合物の水酸基価は1168.0(グリセリン3量体の水酸基価の計算値は1168.8)、鹸化価は0.0、酸価は0.0であった。化合物(3−C)の赤外線吸収分析を行った。スペクトルを図4に示す。
以上の結果より得られた化合物の構造は式[3−C]であると推定した。
【化24】
Figure 0003671496
比較例1
市販のトリグリセリン2.4g、無水酢酸10.0g及びピリジン50mlを空冷管を取り付けた三角フラスコにとり、70℃で1時間かき混ぜた。次に、トルエン50mlを入れ均一になるまでかき混ぜたのち全量を分液ロートに入れ、飽和食塩水50mlで4回洗浄を行った。次いで、ロータリーエバポレーター[ヤマト科学(株)製]を用いて、90℃、100mmHg以下の条件で脱水、脱溶剤を行った。実施例3と同様にして、得られた市販トリグリセリンのアセチル化物の昇温ガスクロマトグラフィー分析を行った。クロマトグラムを図5に示す。
図3の本発明方法により得られたトリグリセリンのアセチル化物のクロマトグラムと、図5の市販トリグリセリンのアセチル化物のクロマトグラムを比較すると、保持時間19.7分付近の主ピークが、図3のクロマトグラムでは1本であるのに対して、図5のクロマトグラムではほぼ同じ高さの2本のピークの重なりである。このことから、市販のトリグリセリンの主成分は2種類の化合物が混合したものであるのに対して、本発明方法により得られるトリグリセリンは、主成分が式[3−C]で示される化合物のみからなる高純度のトリグリセリンであることが分かる。
【0016】
【発明の効果】
本発明は、ポリグリセリンを製造するに際し、グリセリンモノエステルにグリシジルエステルを付加し、鹸化処理によりエステル基を脱離してポリグリセリンを得る方法であるので、特殊な反応装置や反応条件を使用せずに簡便に1級水酸基を有するヒドロキシメチルエチレンオキシ構造を繰り返し単位とする、高品質のポリグリセリンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、化合物(1−A)の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】図2は、化合物(1−B)の赤外線吸収スペクトルである。
【図3】図3は、化合物(3−B)のガスクロマトグラムである。
【図4】図4は、化合物(3−C)の赤外線吸収スペクトルである。
【図5】図5は、市販トリグリセリンのアセチル化物のガスクロマトグラムである。

Claims (2)

  1. (1)一般式[1]
    Figure 0003671496
    (ただし、式中、R1COは炭素数2〜24のアシル基である。)
    で示されるグリセリンモノエステルに、一般式[2]
    Figure 0003671496
    (ただし、式中、R2COは炭素数2〜24のアシル基である。)
    で示されるグリシジルエステルを付加する工程と、
    (2)アルカリを用いて鹸化処理し、一般式[1]及び一般式[2]で示される化合物に由来するアシル基を脱離する工程とからなる、
    一般式[3]
    Figure 0003671496
    (ただし、式中、nはグリセリン構成単位の平均重合度で3〜15である。)
    で示される1級水酸基を有するヒドロキシメチルエチレンオキシ構造を繰り返し単位とする直鎖状のポリグリセリンの製造方法。
  2. 一般式[1]で示される化合物がグリセリルモノアセテートであり、一般式[2]で示される化合物がグリシジルアセテートである請求項1記載のポリグリセリンの製造方法。
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