JP5005892B2 - ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびこれを含有する組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、乳化、可溶化などを目的とする食品用、化粧品用、医薬品用及び工業用の界面活性剤として利用できるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する組成物に関する。
乳化剤または可溶化剤として従来、種々の化合物、例えばポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の酸化エチレン系の非イオン界面活性剤、イオン性界面活性剤があり、食品分野では安全性が高いソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル等の界面活性剤が知られている。その中でもポリグリセリン脂肪酸エステルは人体、環境への安全性と、多種類の組成を得るこことができるために汎用性が高いために最も有用な界面活性剤である。
ポリグリセリン脂肪酸エステルに関して、ポリグリセリンの重合度およびHLBを規定したポリグリセリン脂肪酸エステルが従来から報告されている(特許文献1参照)が、1級水酸基の割合を規定したポリグリセリン脂肪酸エステルは報告されていない。
一方、ポリグリセリン脂肪酸エステルの原料として用いられるポリグリセリンは一般にはグリセリンを原料として水酸化ナトリウムなどの触媒の存在下で加熱下に脱水縮合し、必要に応じて蒸留、脱色、脱臭、イオン交換樹脂処理などにより精製して得られる。脱水縮合の終点は通常その水酸基価を測定した結果をもって決定される。
特開平6−192065号公報
このような工程で調製されたポリグリセリンは、構造の異なるグリセリンの脱水縮合化合物の混合物である。その原因としては、グリセリンには2個の1級水酸基と1個の2級水酸基を有するため、グリセリン同士が縮合するときにどの水酸基が反応に関与するかにより生成するポリグリセリンの分子構造が変わってくることがあげられる。ポリグリセリンの構造はポリグリセリン脂肪酸エステルの性能に大きな影響を及ぼす。現在市販されているポリグリセリン脂肪酸エステルは、使用目的に合わせて親水基の構造まで考慮して設計されておらず、そのためその性能を十分に発揮されていなかった。このポリグリセリンの分子構造を反映する情報は種々の方法で得ることができるが、上記のように混合物であるため、厳密な分子構造の決定は意味をもたない。しかし、合成方法や精製方法を組み合わせることにより混合物であってもある傾向をもつ分子種を増やすことは可能である。例えば1級水酸基と2級水酸基の比率もその一つであり、これは後述するように核磁気共鳴スペクトルを測定することで容易に確認することができる。
現在、市場に流通しているポリグリセリンは1級水酸基の割合が50%未満であり、そのポリグリセリンと脂肪酸とのエステルでは高い乳化、可溶化力を発揮することができなかった。例えば、既存の食品用界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンエステルなどの化粧品用および医薬品用界面活性剤を用いてビタミンEなどの脂溶性ビタミン、βカロチンなどの有用物質を飲料として製造する場合、透明可溶化することができず、保存安定性の良い製品を製造することができなかった。従って、十分な可溶化能力を得るためにエタノールなどの助剤を添加しなければならなかった。そのため、多量にその飲料を飲用すると酩酊状態になり、特に若年者の場合に社会問題になっている。更には、化粧品業界では親水性の乳化剤としてポリオキシエチレン誘導体が使用されているものの、皮膚刺激性など安全性に問題があり代替品が求められているが、従来のポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルでは乳化、可溶化および乳化安定性の性能が不十分であり代替できないものである。
従って、本発明は、従来の界面活性剤では不可能であった可溶化物や安定な乳化物の製造を可能にするポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の点に鑑み、鋭意検討の結果本発明に至った。即ち、本発明は、水酸基価が1200以下であり、かつ全ての水酸基のうち1級水酸基が50%以上であるポリグリセリンと脂肪酸とがエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する組成物に関する。
本発明により従来の界面活性剤では不可能であった可溶化物や安定な乳化物の製造が可能となる。
以下、詳細に本発明を説明する。
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、水酸基価が1200以下であり、かつ全ての水酸基のうち1級水酸基が50%以上であるポリグリセリンと、脂肪酸とがエステル化されていることに一つの大きな特徴を有する。
かかる特徴を有することにより、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは可溶化性能および乳化性能に優れた界面活性剤として使用することができる。
本発明において界面活性剤とは、親油性物質と親水性物質を混合する際に安定化の目的で添加する物質で、強い界面活性能を持つ物質をいう。これらの物質はその分子内に親油性の官能基と親水性の官能基の両方を有するもので、水の表面張力を低下させるものである。
本発明においてポリグリセリンとは、グリセリンを脱水縮合するなどして得られる分子内に水酸基とエーテル結合を有している物質をいう。
本発明に使用されるポリグリセリンは、ポリグリセリン中の全ての水酸基のうち1級水酸基が50%以上であるポリグリセリンであり、得られるポリグリセリン脂肪酸エステルの可溶化性能および乳化安定性をさらに向上する観点から、1級水酸基が好ましくは55%以上のポリグリセリン、より好ましくは60%以上のポリグリセリンである。さらに上限値は、特に規定するものではないが、その効果を最大限に発揮させるためには90%以下であることが望ましい。本願のポリグリセリンにおける全水酸基のうち1級水酸基の占める割合はポリグリの縮合度に応じて変化するため、また一般的に流通しているポリグリセリンの重合度の種類がテトラ、ペンタ、ヘキサ、デカであることを考慮してその上限値を例示するならば、テトラグリセリンでは70%以下、好ましくは65%以下、ペンタグリセリンでは75%以下、好ましくは70%以下、ヘキサグリセリンでは80%以下、好ましくは75%以下、デカグリセリンでは85%以下、好ましくは80%以下といった数値を示すことができる。さらに、ポリグリセリンの水酸基価は、1200以下であり、用途に応じてポリグリセリン脂肪酸エステルの親水性(HLB)を調整できる観点から、1100以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。また、作業性および脂肪酸とのエステル化の容易性の観点から、水酸基価は770以上が好ましい。
全ての水酸基のうちの1級水酸基の割合は、炭素原子に対する核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定する方法を用いて測定される。また、水酸基価は当該分野で公知の方法により測定することができる。
なお、炭素原子に対する核磁気共鳴スペクトル(NMR)は、以下のようにして測定することができる。ポリグリセリン500mgを重水2.8mlに溶解し、ろ過後ゲートつきデカップリングにより13C−NMR(125MHz)スペクトルを得る。ゲートデカップルド測定手法によりピーク強度は炭素数に比例する。1級水酸基と2級水酸基の存在を示す13C化学シフトはそれぞれメチレン炭素(CHOH)が63ppm付近、メチン炭素(CHOH)が71ppm付近であり、2種それぞれのシグナル強度の分析により、1級水酸基と2級水酸基の存在比を算出する。但し、2級水酸基を示すメチン炭素(CHOH)は、1級水酸基を示すメチレン炭素に結合するメチン炭素にさらに隣接するメチレン炭素ピークと重なり、それ自体の積分値を得られないため、メチン炭素(CHOH)と隣り合うメチレン炭素(CH)の74ppm付近のシグナル強度により積分値を算出する。
一般的なポリグリセリンは、まず、グリセリンをアルカリ触媒下に常圧または減圧下で加熱し、使用の目的によって窒素、水蒸気などの気体を通じて低沸点成分などを除去したり、イオン交換樹脂、イオン交換膜などによって使用した触媒などイオン成分を除去したり、活性炭など吸着剤を用いて色成分、臭成分を除去したり、水素添加などにより還元処理を行ったり、あるいはまた、分子蒸留、精留によって分画するなどにより精製して得られる。
あるいは、前記のようにグリセリンを原料としてポリグリセリンを製造した場合、脱水縮合に際して分子内縮合により6員環や8員環など好ましくない副生成物が多く発生するので、これら副生成物が発生しないようにグリシドール、エピクロルヒドリン、モノクロロヒドリンなどを原料として合成、精製して副生成物をほとんど含有しないポリグリセリンを調製することもできる。
あるいはまた、ポリグリセリンと脂肪酸とを反応させる際に、一般に低分子量のポリグリセリンは高分子量のポリグリセリンに比べて脂肪酸との反応性が高いので広い分子量の分布をもつポリグリセリンを原料とした場合には均一なエステルを製造することができない。したがって、例えばグリセリンまたはその重合体の部分アルコラートとハロゲン化炭化水素またはオキシハロゲン化炭化水素を原料として脱ハロゲン化アルカリ金属塩反応によって、できるだけ狭い分子量分布を持つポリグリセリンを調製することもできる。
あるいは、ポリグリセリンとして太陽化学社製のグレートオイルDE−1、グレートオイルDE−2、グレートオイルTR−1などの市販のポリグリセリンを使用してもよい。
本発明に使用される全ての水酸基のうち1級水酸基が50%以上であるポリグリセリンの調製方法は特に限定されるものではないが、例えば市販のポリグリセリンから分画精製により得ることができる。
上記のように調製したポリグリセリンまたは市販のポリグリセリンに、1級水酸基に選択的に結合反応する試薬、すなわち1級水酸基の保護基となる試薬を反応させる。そうするとポリグリセリン1分子中に1級水酸基の数が多いものほど保護基の数が多くなるので、結果としてそのポリグリセリンの極性が低下する。一方、2級水酸基を多く含むポリグリセリンには保護基が導入されにくいので、該ポリグリセリンはもとの高い極性を維持したままとなる。この極性の差を利用して両者を分別することが可能となる。分別した後のポリグリセリンは保護基の脱離処理を行い、1級水酸基を多く含むポリグリセリンを得ることができる。
本発明に使用される1級水酸基に選択的に反応する試薬としては、例えば、クロロトリフェニルメチル、イソブテン、1−トリチルピリジニウムテトラフルオロボレートなどが挙げられる。1,2−ジオール以外に2級水酸基を有さないポリグリセリンについては、ポリグリセリンとアセトナイドを形成する化合物(例えば、メチルイソプロペニルエーテル、2,2−ジメトキシプロパン、2,2−ジエトキシプロパン、アセトンなど)を使用することもできる。なかでも、1級水酸基の導入および脱離のしやすさから、クロロトリフェニルメタンが好ましい。
ポリグリセリンと該試薬との反応比は、所望されるポリグリセリン中の1級水酸基の数にあわせて適宜調整されるが、確実に反応を進行させるため該試薬を過剰量使用することが好ましい。例えば、該試薬は、ポリグリセリン1モルに対して、好ましくは2〜10モル、より好ましくは3〜7モル使用される。
ポリグリセリンと該試薬との反応は、反応性を向上させるため、有機溶剤中で行うことが好ましい。有機溶剤としては、ピリジン、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。有機溶剤の添加量は、ポリグリセリン100重量部に対して、好ましくは200〜1000重量部、より好ましくは300〜500重量部である。なお、試薬としてポリグリセリンとアセトナイドを形成する化合物を用いる場合、該化合物を大過剰量で用いることにより、溶剤を添加するのと同じ効果が期待できる。
ポリグリセリンと該試薬との反応は、反応の進行および保護の確実性の観点から、好ましくは5〜30℃、より好ましくは10〜25℃で行われる。
反応終了後、通常の化学反応と同様に後処理を行えばよい。ピリジンなどの有機溶剤は減圧下蒸留により除去することができる。
得られた反応物から目的のポリグリセリンを分別する方法は、保護基が導入されたポリグリセリンの化学的および物理的差を利用して達成することができる。例えば、沸点の差を利用して蒸留、減圧蒸留、分子蒸留などの方法で目的のポリグリセリンを分別することができ、あるいは水または有機溶剤への溶解度の差を利用して目的のポリグリセリンを分画することもできる。例えば、反応物を水に分散させ、水と混和しない有機溶剤(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、石油エーテル、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、エーテル、酢酸エチルなど)で抽出することにより目的のポリグリセリンを分画することができる。この分画方法を使用する場合、水の代わりに水含有エタノール、食塩水、硫酸ナトリウム溶液などの無機塩の溶液を使用することもできる。水と酢酸エチルを用いて目的のポリグリセリンを分画することが好ましい。
溶剤抽出した後に溶剤を除去することにより、極性の低いポリグリセリン誘導体、すなわち1分子中に保護基が多く導入されたポリグリセリンが得られる。この誘導体からの保護基の脱離は、一般の有機合成で行われている方法で行うことができる。例えば、メタノール中でp−トルエンスルホン酸を作用させる方法、酢酸水溶液中で加熱撹拌する方法などにより保護基の脱離が達成される。1例として、トリフェニルメチル基をポリグリセリンに導入した場合、得られた反応物に対して2〜3倍量の酢酸水溶液を加えて、55〜60℃で10時間撹拌することにより、保護基を脱離することができる。
また、1級水酸基の割合が非常に高い単位構造物を調製し、1級水酸基の割合が少ないポリグリセリンと混合して本発明に使用するポリグリセリンを調製してもよい。湯浴にて混合すれば調製は容易である。1級水酸基の割合が少ないポリグリセリンとしては市販のポリグリセリンが有用であり、事前に、核磁気共鳴スペクトル(NMR)を測定する方法にて、1級水酸基の割合を測定しておけば、目的の組成を容易に得ることができる。
本発明に使用される全ての水酸基のうち1級水酸基が50%以上であるポリグリセリンは、上記の方法にて得ることができるが、この方法に特に限定されるものではない。
水酸基価が1200以下のポリグリセリンを調製することは、ポリグリセリン反応工程を例えば以下のように調整することで可能である。例えば、グリセリン重合法を用いて調製する場合、重合反応時間の経過と共に水酸基価が低下するため、反応中のポリグリセリンの水酸基価低下過程を確認することで、水酸基価が1200以下のポリグリセリンを容易に得ることができる。
本発明に使用される脂肪酸としては、天然の動植物より抽出した油脂を加水分解し、分離してあるいは分離せずに精製して得られるカルボン酸を官能基として含む物質であれば特に限定するものではない。あるいは石油などを原料にして化学的に合成して得られる脂肪酸であってもよい。あるいはまた、これら脂肪酸を水素添加などして還元したものや、水酸基を含む脂肪酸を縮重合して得られる縮合脂肪酸や、不飽和結合を有する脂肪酸を加熱重合して得られる重合脂肪酸であってもよい。これら脂肪酸の選択に当たっては所望の効果を勘案して適宜決めればよい。本発明に使用される脂肪酸の具体例としては、ベヘニン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸、縮合リシノール酸、縮合12−ヒドロキシステアリン酸、エルカ酸、パルミトオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、オクチル酸、オクタン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられるが、なかでも乳化・可溶化の観点から、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、縮合リシノール酸が好ましい。
ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化は、当該分野で公知の方法に従って行われる。例えばアルカリ触媒下、酸触媒下、あるいは無触媒下にて、常圧あるいは減圧下エステル化することができる。また、ポリグリセリンと脂肪酸の混合量を変更することにより種々の性質をもつポリグリセリン脂肪酸エステルを調製することができる。例えば、親水性の界面活性剤に使用するためのポリグリセリン脂肪酸エステルを得る場合、ポリグリセリンの水酸基価と脂肪酸の分子量から計算により等モルになるように重量を計算してポリグリセリンと脂肪酸を仕込めばよく、親油性の界面活性剤に使用するためのポリグリセリン脂肪酸エステルを得る場合、脂肪酸のモル数を増加させればよい。得られたポリグリセリン脂肪酸エステルは使用される製品の使用上の要求によってさらに精製してもよい。精製の方法は公知のいかなる方法でもよく特に限定するものではない。たとえば、活性炭や活性白土などにて吸着処理したり、水蒸気、窒素などをキャリアーガスとして用いて減圧下脱臭処理を行ったり、あるいは酸やアルカリを用いて洗浄を行ったり、分子蒸留を行ったりして精製してもよい。
さらに、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは単独で用いられる他、目的に応じて他の物質を添加・混合した組成物としても利用できる。
例えばポリグリセリン脂肪酸エステルの取り扱いを容易にするために、他の成分を添加することもできる。例えば、粘度を低下させるために、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、水、液糖、油脂などを添加してもよい。あるいは、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルに乳糖、デキストリンなどの多糖類やカゼイネートなど蛋白質を添加して粉末化して使用してもよい。
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルはまた、乳化安定性を向上する観点から、他の界面活性剤と混合した乳化剤組成物として使用しても良い。混合される界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル(ただし、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルを除く)などの非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、レシチン、酵素分解レシチン、サポニンといった天然物由来の界面活性剤などが挙げられる。
さらに、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルに油性物質を混合して、油性物質の乳化乃至可溶化組成物としてもよい。この場合の油性物質は特に限定するものではないが、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどの脂溶性ビタミン、カロチン、カロチノイド系色素、アナトー色素、ターメリック色素などの油溶性色素、オレンジ油、レモン油、アンブレット種子油、オリス根油、カナンガ油、キャラウエイ油、キャロット種子油、グレープフルーツ油、ジンジャー油、ホップ油、ミルトン油、ローズ油、ローズマリー油などの天然香料、オイゲノール、カプリル酸エチル、ゲラニオール、メントール、シトラール、シトロネール、ボルネオールなどの合成香料、ウコン抽出物、ゴマ抽出物、トウガラシ抽出物、ニンニク抽出物、ワサビ抽出物などの香辛料抽出物、オリザノール、米ぬか油抽出物、トコフェロールなどの疎水性酸化防止剤、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、プロスタグランジンなどの脂肪酸またはそのエステル等の脂肪酸誘導体、オリーブ油、コーン油、ベニバナ油、魚油、サメ肝油、米ぬか油などの油脂の他、ミツロウ、ライスワックス、プロポリス、オクタコサノールなどの生理活性成分や有用成分を例示することができる。また、油性物質を別の観点から化学構造に着目して例示するならば、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、トリテルペンといったテルペノイド類、カロテノイド類、ステロイド類、フェニルプロパノイド類、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノンといったキノン類、γ−ピロン類、フラボン、フラボノール、フラバノン、ジヒドロフラボノール、イソフラボン、カルコン、オーロン、アントシアニン、ネオフラバノイドといったフラボノイド類、単環性α−ピロン類、クマリン類、イソクマリン類、フタリド類といったα−ピロン類、ジアリルヘプタノイド、スチルベン、クロロジルシン、ナフタレンといった芳香族化合物、ピロール誘導体、ピラゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イソキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、インドール誘導体、ヒダントイン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、ポルフィリン誘導体、カプサイシン類といった含窒素化合物、含硫化合物が挙げられる。これらの油性物質は単独で用いる他、目的に応じて2種以上の油性物質を混合して使用してもよい。
この油性物質の乳化乃至可溶化組成物調製においては、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルと油溶性物質の他に、組成物の安定性向上や組成物を水に分散させたときの安定性向上を目的として、多価アルコールの配合が推奨される。この場合の多価アルコールとしては特に限定するものではないが、グリセリン、プロピレングリコール、ポリグリセリン、液糖といったものが例示でき、特に安全性や取り扱いやすさの点からグリセリンが好適に利用できる。また補助的に他の乳化剤や水、エタノールといった溶剤類の使用も可能である。この本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルと油性物質および多価アルコールの配合割合は特に定めるものではなく、油性物質の物性や使用目的に応じて任意の割合で配合すればよい。乳化乃至可溶化組成物の安定性、取り扱いやすさ、水分散時の安定性から、推奨される配合割合を例示するならば、本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル1〜40重量部、好ましくは5〜20重量部、油性物質2〜50重量部、好ましくは2〜30重量部、多価アルコール20〜90重量部、好ましくは50〜80重量部といった配合比率を挙げることができる。
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステル組成物の使用方法は特に限定しないが、乳化、可溶化、分散、洗浄、起泡、消泡、浸透、抗菌等の目的で飲食品、化粧品、医薬品および工業用途で、特に飲食品ではこれらに加えてデンプン、タンパク質、油脂の改質にも利用できる。使用用途を具体的にあげると、飲食品分野では即席麺、レトルト食品、缶詰、電子レンジ食品、即席スープ・みそしる類、フリーズドライ食品等の即席食品類、清涼飲料、果汁飲料、野菜系飲料、豆乳飲料、コーヒー飲料、茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、栄養飲料、アルコール飲料等の飲料類、パン、パスタ、麺、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品、キャラメル、キャンディー、チューイングガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、デザート菓子等の菓子類、ソース、トマト加工調味料、風味調味料、調理ミックス、たれ類、ドレッシング類、つゆ類、カレー・シチューの素類等の調味料、加工油脂、バター、マーガリン、マヨネーズ等の油脂類、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、アイスクリーム類、クリーム類等の乳製品、冷凍食品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品等の水産加工品、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品、農産缶詰、ジャム・マーマレード類、漬け物、煮豆、シリアル等の農産加工品、栄養食品等、化粧品分野では石けん、クレンジング、シャンプー、リンス等の洗浄料、化粧水、乳液、クリーム、パック剤、ヘアトニック、ヘアクリーム等の基礎化粧料、口紅、アイシャドウ、セットローション、整髪料等の仕上げ化粧料、香水、ローション等の芳香剤、歯磨、含そう剤等の口中使用化粧品等、工業分野では樹脂に対する充填剤や顔料、塗料の分散、防曇、食品工業では機器の洗浄剤、加工助剤、野菜・果物の洗浄剤等があるがこれらに限定するものではない。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明がかかる実施例のみに限定されるものではない。
調製例1 ポリグリセリンの精製
温度計、ジムロートおよび攪拌装置を付けた3つ口フラスコに、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルDE−1、デカグリセリン;水酸基価890、1級水酸基の割合46.6%、2級水酸基の割合53.4%)200gおよびピリジン600mlを加えた。ここへ1級水酸基に選択的に反応する試薬であるクロロトリフェニルメチル370g(和光純薬社製)を加えて100℃で1時間攪拌後室温に戻し、24時間攪拌した。さらに反応液を減圧下でピリジンの大部分を除去した。得られた反応物に水800mlを加え、分液ロートに移して酢酸エチル400mlで3回抽出した。酢酸エチル層を合わせて濃縮し、得られた残渣156gおよび酢酸300gを温度計、ジムロートおよび攪拌装置を付けた3つ口フラスコに加えて8時間加熱還流し、トリメチルフェニル基を脱離させた。上記工程を繰り返し、精製したポリグリセリンを混合し、一定量のポリグリセリンを得た。得られたポリグリセリンの水酸基価は886、1級水酸基の割合は61.3%、2級水酸基の割合は38.7%であった。
水酸基価は、第7版食品添加物公定書「油脂類試験法」または基準油脂分析試験法に準じて算出した。
1級水酸基と2級水酸基の割合は、核磁気共鳴装置におけるスペクトル分析にて決定した。すなわち核磁気共鳴装置(13C−NMR)(日本電子社製、JNM−A500)を使用して、上記の通り分画したポリグリセリンの1級水酸基と2級水酸基の割合を分析した。分画したポリグリセリン500mgを重水2.8mlに溶解し、ろ過後ゲートつきデカップリングにより13C−NMR(125MHz)スペクトルを得た。ゲートデカップルド測定手法によりピーク強度は炭素数に比例する。1級水酸基と2級水酸基の存在を示す13C化学シフトはそれぞれメチレン炭素(CHOH)が63ppm付近、メチン炭素(CHOH)が71ppm付近であり、2種それぞれのシグナル強度の分析により、1級水酸基と2級水酸基の存在比を算出した。但し、2級水酸基を示すメチン炭素(CHOH)は、1級水酸基を示すメチレン炭素に結合するメチン炭素にさらに隣接するメチレン炭素ピークと重なり、それ自体の積分値を得られないため、メチン炭素(CHOH)と隣り合うメチレン炭素(CH)の74ppm付近のシグナル強度により積分値を算出した。
なお、以下の調製例2〜6における水酸基価の値および1級水酸基と2級水酸基の割合も同様に算出した。
調製例2 ポリグリセリンの精製
調製例1と同様の方法で太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルDE−2、デカグリセリン;)を精製した。得られたポリグリセリンの水酸基価は883、1級水酸基の割合は56.2%、2級水酸基の割合は43.8%であった。
調製例3 ポリグリセリンの精製
調製例1と同様の方法で太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルTR−1、トリグリセリン;水酸基価1160、1級水酸基の割合38.5%、2級水酸基の割合61.5%)を精製した。得られたポリグリセリンの水酸基価は1148、1級水酸基の割合は52.5%、2級水酸基の割合は47.5%であった。
調製例4 ポリグリセリンの精製
調製例1の水層部分を濃縮して得られた残渣450gおよび酢酸900gを温度計、ジムロートおよび攪拌装置を付けた3つ口フラスコに加えて8時間加熱還流し、トリメチルフェニル基を脱離させた。上記工程を繰り返し、精製したポリグリセリンを混合し、一定量のポリグリセリンを得た。得られたポリグリセリンの水酸基価は893、1級水酸基の割合は34.4%、2級水酸基の割合は65.6%であった。
調製例5 ポリグリセリンの精製
調製例3の水層部分を濃縮して得られた残渣450gおよび酢酸900gを温度計、ジムロートおよび攪拌装置を付けた3つ口フラスコに加えて8時間加熱還流し、トリメチルフェニル基を脱離させた。上記工程を繰り返し、精製したポリグリセリンを混合し、一定量のポリグリセリンを得た。得られたポリグリセリンの水酸基価は1165、1級水酸基の割合は32.2%、2級水酸基の割合は67.8%あった。
調製例6 ポリグリセリンの精製
調製例1と同様の方法で太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルDI−1、ジグリセリン;水酸基価1353、1級水酸基の割合48.1%、2級水酸基の割合51.9%)を精製した。得られたポリグリセリンの水酸基価は1350、1級水酸基の割合は53.5%、2級水酸基の割合は46.5%であった。
調製例7
調製例1で精製したポリグリセリン126gとステアリン酸54gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.3であった。酸価は、第7版食品添加物公定書「油脂類試験法」または基準油脂分析試験法に準じて算出した。
なお、以下の実施例および比較例における酸価も同様に算出した。
調製例8
調製例1で得られたポリグリセリン135.2gとラウリン酸44.5gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.5であった。
調製例9
調製例2で得られたポリグリセリン126gとステアリン酸54gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.2であった。
調製例10
調製例2で得られたポリグリセリン135.2gとラウリン酸44.5gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.4であった。
調製例11
調製例3で得られたポリグリセリン126gとステアリン酸54gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.3であった。
調製例12
調製例3で得られたポリグリセリン135.2gとラウリン酸44.5gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.5であった。
調製例13
調製例3で得られたポリグリセリン130gとミリスチン酸49.5gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンミリスチン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.5であった。
調製例14
調製例3で得られたポリグリセリン126gとオレイン酸54gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンオレイン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.4であった。
調製例15
調製例4で得られたポリグリセリン126gとステアリン酸54gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.3であった。
調製例16
調製例4で得られたポリグリセリン135.2gとラウリン酸44.5gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.5であった。
調製例17
太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルDE−1、デカグリセリン)126gとステアリン酸54gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.3であった。
なお、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルDE−1、デカグリセリン)の水酸基価は890、1級水酸基の割合は46.6%、2級水酸基の割合は53.4%であった。
調製例18
太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルDE−1、デカグリセリン)135.2gとラウリン酸44.5gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.5であった。
調製例19
調製例5で得られたポリグリセリン126gとステアリン酸54gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.3であった。
調製例20
調製例5で得られたポリグリセリン135.2gとラウリン酸44.5gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.5であった。
調製例21
調製例5で得られたポリグリセリン135gとミリスチン酸49.5gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンミリスチン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.5であった。
調製例22
調製例5で得られたポリグリセリン126gとオレイン酸45gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンオレイン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.5であった。
調製例23
太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルTR−1、トリグリセリン)126gとステアリン酸54gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.3であった。
なお、太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルTR−1、トリグリセリン)の水酸基価は1160、1級水酸基の割合は38.5%、2級水酸基の割合は61.5%であった。
調製例24
太陽化学社製のポリグリセリン(グレートオイルTR−1、トリグリセリン)135.2gとラウリン酸44.5gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.5であった。
調製例25
調製例6で得られたポリグリセリン126gとステアリン酸54gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら250℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンステアリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.3であった。
調製例26
調製例6で得られたポリグリセリン135.2gとラウリン酸44.5gおよび水酸化ナトリウム0.06gを300mLの4つ口フラスコに入れ、窒素気流下で生成水を除去しながら240℃で反応し、反応後0.2mLのリン酸を加えてポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このエステルの酸価は0.4であった。
実施例1
表1の処方に基づき調製例7〜26で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いて乳化ドレッシングを調製した。水に酢酸、食塩および乳化剤を加え、60℃に加熱しホモミキサーで5000rpmで撹拌しながら別に60℃に加熱したコーン油を徐々に加えた後10000rpmで5分間乳化を行い、40℃で5日間保存した後、目視にて乳化安定性を測出した。
Figure 0005005892
Figure 0005005892
<乳化安定性>
◎:調製直後と差なし
○:油層分離(油分の約5%未満)
△:油層分離(油分の約5〜10%)
×:油層分離(油分の約10%を超える)
なお、◎および○を合格品とする。
表2より、水酸基価が1200以下であり且つ1級水酸基の割合が50%以上のポリグリセリンを用いた乳化ドレッシングが優れた乳化安定性を有することは明らかである。
実施例2
表3の処方に基づき調製例7〜26で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてココア飲料を調製し、さらに水をバインダーとして造粒機にて流動造粒した。その10gを40mlの水に静かに加え、4時間放置後、液を静かにデカンテーションによって除去し、液中に分散せずに底部に沈殿した造粒品の量を測定した。
Figure 0005005892
Figure 0005005892
<沈殿量>
◎:0g
○:0.5g以下
△:0.5〜1.0g
×:1.0g以上
なお、◎および○を合格品とする。
表4より、水酸基価が1200以下であり且つ1級水酸基の割合が50%以上のポリグリセリンを用いたココア粉末造粒が優れた水中分散性を有することは明らかである。
実施例3
表5の処方に基づき調製例7〜26で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてクレンジングクリームを調製した。調製方法は、60℃において各乳化剤、グリセリン、1、3−ブチレングリコールおよび精製水を混合しながら流動パラフィンを滴下した。得られた組成物を60℃で10日間保存した。
Figure 0005005892
Figure 0005005892
<安定性>
◎:調製直後と差なし
○:油層分離(油分の約5%未満)
△:油層分離(油分の約5〜10%)
×:油層分離(油分の約10%を超える)
なお、◎および○を合格品とする。
表6より、水酸基価が1200以下であり且つ1級水酸基の割合が50%以上のポリグリセリンを用いたクレンジングクリームが優れた安定性を有することは明らかである。
実施例4
表7の処方に基づき調製例7〜26で得られたポリグリセリン脂肪酸エステルを用いてMCT(中鎖脂肪酸モノグリセライド)の可溶化製剤を調製した。ポリグリセリン脂肪酸エステルを加温融解させ、グリセリンにポリグリセリン脂肪酸エステルを加え、80℃以上に加温した。ホモミキサーを用いて10000rpmで攪拌しながら均質混合し、MCTを徐々に加え10分間攪拌した。冷却し、品温60℃にて水を加え、均質混合して可溶化製剤を仕上げた。これら製剤の0.1%水溶液を調製して透明溶解性を確認した。
Figure 0005005892
Figure 0005005892
<分散安定性>
◎:透明(透過率98%以上)
○:やや白濁を認める(透過率90%以上98%未満)
△:白濁を認める(透過率90%未満)
×:油の分離を認める
なお、◎および○を合格品とする。
表8より、水酸基価が1200以下であり且つ1級水酸基の割合が50%以上のポリグリセリンを用いた可溶化製剤が優れた透明溶解性を有することは明らかである。
上記実施例で証明した様に本発明によれば、水酸基価が1200以下であり且つ1級水酸基の割合が50%以上のポリグリセリンと脂肪酸を原料にして得られるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する組成物は品質安定性を向上し、食品、医薬品、化粧品の分野で今まで不可能であった完全な可溶化物や安定な乳化物の製造が可能となることは明白である。
本発明のポリグリセリン脂肪酸エステルは、可溶化、乳化などを必要とする食品、医薬品、化粧品の分野で有効に利用される。

Claims (3)

  1. 水酸基価が770以上1200以下であり、かつ全ての水酸基のうち1級水酸基が50%を超え、61.3%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とがエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する乳化乃至可溶化組成物。
  2. 水酸基価が770以上1200以下であり、かつ全ての水酸基のうち1級水酸基が50%を超え、61.3%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とがエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する飲食品。
  3. 水酸基価が770以上1200以下であり、かつ全ての水酸基のうち1級水酸基が50%を超え、61.3%以下であるポリグリセリンと脂肪酸とがエステル化されたポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する化粧品。
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