JP6957911B2 - ポリエーテルポリオールの製造方法 - Google Patents
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る問題点もあった。
とも1つのヒドロキシル基を有する化合物を、ある特定の濃度範囲で、開環重合反応時に
存在させ、環状エーテルの開環重合反応を行うことで、上記課題を解決することができる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[4]に存する。
[1] 均一系触媒の存在下、環状エーテルを原料として、開環重合反応、次いで加水分
解反応を行うことにより生成されるポリエーテルポリオールを含む反応液を得るにあたり
、炭素数2〜6の脂肪族アルコールを該原料の環状エーテルに対して0.005モル%以
上0.1モル%以下存在させて開環重合反応を行う、ポリエーテルポリオールの製造方法
。
[2] 前記均一系触媒がフルオロ硫酸又は発煙硫酸であることを特徴とする[1]に記
載のポリエーテルポリオールの製造方法。
[3] 前記開環重合反応で得られるポリエーテルポリオールの数平均分子量の範囲が6
00から5000である、[1]又は[2]に記載のポリエーテルポリオールの製造方法
。
[4] 前記反応液から、未反応の前記環状エーテル及び前記少なくともヒドロキシル基
を1つ持つ化合物を含む混合物を分離して回収した後、該混合物を開環重合反応の原料と
して用いる、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエーテルポリオールの製造方法。
<環状エーテル>
本発明において、開環重合反応の原料となる環状エーテルは特に限定されないが、環状エーテルを構成する炭素原子数として、通常2〜10であり、好ましくは3〜7である。具体的には、テトラヒドロフラン(THF)、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキセタン、テトラヒドロピラン、オキセパン、1,4−ジオキサンなどが挙げられる。これらの中でもTHFは反応性や製造物の工業的需要の点から好ましい。また、環状の炭化水素の一部がアルキル基、ハロゲン原子などで置換された環状エーテルも使用することができる。具体的に環状エーテルがTHFの場合は、3−メチル−テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。これら環状エーテルは1種又は2種以上を混合してもよい。
本発明で使用する開環重合反応触媒としては、環状エーテルの開環重合反応によりポリ
エーテルポリオールを生成することができる均一液の酸触媒であれば特に限定されない。
開環重合反応に用いる均一系酸触媒は、発煙硫酸、ハロゲン化水素酸、ヘテロポリ酸、及びフルオロ硫酸(以下、「FSA」と略記する)等が挙げられ、好ましくは発煙硫酸又はFSAであり、更に好ましくは、FSAである。これら均一系触媒は1種又は2種以上を混合して用いてもよい。
する生成物のポリエーテルポリオールの分子量によっても適宜選択してよい。
本発明における開環重合反応時に存在する少なくともヒドロキシル基を1つ持つ化合物は、好ましくは炭素数1〜12の脂肪族アルコールまたは芳香族アルコールであり、より好ましくは炭素数2〜8の脂肪族アルコール、更により好ましくは、ポリエーテルポリオールを含む反応液から未反応原料の環状エーテルと共に分離して回収し、原料として再利用しやすいという理由から、炭素数2〜6の脂肪族アルコールである。
原料の環状エーテルを、開環重合反応触媒の存在下で開環重合反応を行うことによって得られるポリエーテルポリオールの両末端が硫酸エステル、フルオロ硫酸エステルなどに変換中間体は、加水分解反応又はエステル交換反応を経ることによりポリエーテルポリオールとすることができる。
開環重合反応後の反応液中にはポリエーテルポリオール中間体の他に未反応原料が含まれるため、加水分解工程を行う場合は、未反応原料を留去するために、未反応原料の沸点よりも高い温度で反応を行うことが好ましい。加水分解反応の温度は、通常80℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは94℃以上であり、上限は通常120℃以下、好ましくは110℃以下、より好ましくは105℃以下である。
加水分解反応時間は、反応液中の未反応原料の量や水分量を考慮し、公知の範囲で設定することができるが、通常1時間以上、好ましくは1.5時間以上であり、上限は通常24時間以下、好ましくは6時間以下である。
加水分解工程で得られた反応液は油水に分離して水層を抜き出し、水の除去効率を上げる事が可能である。この際、含まれる酸触媒を中和しても良い。加える中和剤の量は酸触媒に対して10重量パーセントから200重量パーセントが好ましい。より好ましくは30重量パーセントから150重量パーセントである。
油水分離工程で用いる中和剤は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機化合物系の塩基が好ましい。より好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムである。
油水分離工程より回収した油層中に含まれるポリエーテルポリオールを回収するため、蒸留により未反応の環状エーテルと水を取り除くのが一般的である。この時、脱水効率を上げるために共沸剤を用いてもよい。
蒸留方法は特に限定はされないが、回分式でも連続式でも問題なく、単蒸留やフラッシュ等の気液分離機、薄膜蒸発器などを用いても良い。蒸留条件は、温度は通常70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは105℃以上である。圧力は減圧下でも常圧下でも良いが好ましくは常圧である。
脱水工程で用いる共沸剤は特に限定されないが、水と共沸して且つ分液するものが好ましい。例えばトルエンなどが挙げられる。
上記脱水工程で得たポリエーテルポリオールには酸触媒の中和塩が残存しているため、濾過助剤を用いて取り除くことが好ましい。この場合のろ過方法は吸引ろ過や加圧ろ過などいずれの形態でも良く、ろ過温度は通常70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは105℃以上である。圧力は減圧下でも加圧下でも良いが好ましくは加圧である。圧力は常圧以上、好ましくは0.1MPaG以上、より好ましくは0.2MPaG以上である。濾過助剤としては珪藻土などを用いる事が好ましい。
本発明の製造方法は、重合反応液の粘度を低下させることで、高い生産性で数平均分子量600〜5000のポリエーテルポリオールを製造することができる。中でも、数平均分子量2800〜5000のポリエーテルポリオールを製造する場合に効果が顕著に現れる。
けん化価の測定方法は例えばJISK0070−1992に定める化学製品のけん化価の試験方法などの滴定により要した水酸化カリウム(KOH)の量で表わされる。ポリエーテルポリオールに含まれるけん化価はエステル含有物を意味するが、けん化価が高いと製品の純度を下げるのみではなく、加熱などの使用条件で遊離した有機酸や無機酸が影響して末端脱水などの副反応の促進や酸による腐食などが懸念される。
<重量平均分子量・数平均分子量>
ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルの数平均分子量(Mn)は、ポリアルキレンエーテルグリコールジエステルのテトラヒドロフラン溶液を調製後、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」 (カラム:TSKgelSuperHZM−N(4本)〕を用いて測定した。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMER L
ABORATORIES社のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用した。
トルク測定が可能な東京理化器械社製攪拌機EYELA−Z1210を備え付けた重合反応器(ジャケット付き1000mLセパラブルフラスコ)に三菱化学製THF600gを加え、開環重合反応触媒としてフルオロ硫酸を43g添加して45℃で5時間加熱し、開環重合反応を行った。この時の撹拌翼の回転数は200rpmとし、重合反応終了時のT
HF転化率は58.9%であり、撹拌翼のトルクは3.10kgf・cmであった。開環重合反応終了後、脱塩水を376g仕込んだハステロイ製加水分解槽に重合反応液を投入し、90℃で2時間加水分解を行った。加水分解反応液に消石灰2gと脱塩水24gを加えて1時間静置してから水層を取り除いた後、残った油層に13gの消石灰を入れて中和した。そして、この反応液から未反応のTHFを分離するため、常圧、温度140℃の条件で単蒸留を20分間行った。次に、残った反応液にトルエンを240g加え、常圧、温度150℃の条件で単蒸留を20分間行い、脱水を行った。 その後、この反応液にろ過
助剤として珪藻土(昭和化学工業社製:品名ラジオライト)を4.5g添加し、SUS製の加圧ろ過装置(目開き0.5μmPTFE製メンブランフィルター使用)を用いてろ過圧0.2MPaで加圧ろ過を実施した。 最終的に得られたろ過清澄液の単蒸留を圧力3
mmHg、温度140℃の条件で1時間行い、トルエンを除去してPTMGを得た。得られたPTMGの数平均分子量は1046であった。 また、PTMGのけん化価は0.2
1mgKOH/gであった。
トルク測定が可能な東京理化器械社製攪拌機EYELA−Z1210を備え付けた重合反応器(ジャケット付き1000mLセパラブルフラスコ)に三菱化学製THF600gを加え、開環重合反応触媒としてフルオロ硫酸を18g添加して45℃で5時間加熱し、
開環重合反応を行った。この時の撹拌翼の回転数は200rpmとし、重合反応終了時のT
HF転化率は60.1%であり、撹拌翼のトルクは3.90kgf・cmであった。開環重合反応終了後、脱塩水を630g仕込んだハステロイ製加水分解槽に重合反応液を投入し、90℃で2時間加水分解を行った。加水分解反応液に消石灰2gと脱塩水24gを加えて1時間静置してから水層を取り除いた後、残った油相に消石灰16gを加えて中和した。そして、この反応液から未反応のTHFを分離するため、常圧、温度140℃の条件で単蒸留を20分間行った。次に、残った反応液にトルエンを480g加え、常圧、温度150℃の条件で単蒸留を20分間行い、脱水を行った。 その後、この反応液にろ過助
剤として珪藻土(昭和化学工業社製:品名ラジオライト)を5.6g添加し、SUS製の加圧ろ過装置(目開き0.5μmPTFE製メンブランフィルター使用)を用いてろ過圧0.2MPaで加圧ろ過を実施した。 最終的に得られたろ過清澄液の単蒸留を圧力3m
mHg、温度140℃の条件で1時間行い、トルエンを除去してPTMGを得た。得られたPTMGの数平均分子量は2892であった。 また、PTMGのけん化価は0.10
mgKOH/gであった。
比較例1の原料に関東化学製試薬エタノールを0.3g加えた以外は同様の操作を実施した。重合反応終了時のTHF転化率は58.5%であり、撹拌翼のトルクは1.95kgf・cmであった。得られたPTMGの数平均分子量は1068であった。 また、P
TMGのけん化価は0.01mgKOH/g未満であった。また、この時に未反応で残ったエタノールの量は89.7%であった。
比較例2の原料に関東化学製試薬エタノールを0.3g加えた以外は同様の操作を実施した。重合反応終了時のTHF転化率は58.7%であり、撹拌翼のトルクは2.05kgf・cmであった。得られたPTMGの数平均分子量は3016であった。 また、P
TMGのけん化価は0.01mgKOH/gであった。また、この時に未反応で残ったエタノールの量は56.0%であった。
Claims (4)
- 均一系触媒の存在下、環状エーテルを原料として、開環重合反応、次いで加水分解反応
を行うことにより生成されるポリエーテルポリオールを含む反応液を得るにあたり、炭素
数2〜6の脂肪族アルコールを該原料の環状エーテルに対して0.005モル%以上0.
1モル%以下存在させて開環重合反応を行う、ポリエーテルポリオールの製造方法。 - 前記均一系触媒がフルオロ硫酸又は発煙硫酸であることを特徴とする請求項1に記載の
ポリエーテルポリオールの製造方法。 - 前記開環重合反応で得られるポリエーテルポリオールの数平均分子量の範囲が600か
ら5000である、請求項1又は2に記載のポリエーテルポリオールの製造方法。 - 前記反応液から、未反応の前記環状エーテル及び前記少なくともヒドロキシル基を1つ
持つ化合物を含む混合物を分離して回収した後、該混合物を開環重合反応の原料として用
いる、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエーテルポリオールの製造方法。
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