JP2014224069A - ポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物の製造方法 - Google Patents

ポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】(メタ)アクリレート基を有する化合物へのグリシドール付加反応率が高く、高分岐度のポリグリセリル基を有する(メタ)アクリレート化合物を高収率で簡便に得ることができ、取扱いの容易な製法の提供。
【解決手段】式(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物に対して、触媒として三フッ化ホウ素錯体を用いて、グリシドールを開環重合反応させることによって、式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を製造する。
Figure 2014224069

Figure 2014224069

【選択図】なし

Description

本発明は、ポリグリセリル基を有する(メタ)アクリレート化合物の製造方法に関する。
グリセロールモノ(メタ)アクリレートに代表される、水酸基を複数個有する(メタ)アクリレート化合物は、親水性の付与、防曇性及び帯電防止性の付与などを目的としたモノマー原料として使用されている。また、これらの化合物の合成方法として、エポキシ基を有するグリシジルモノ(メタ)アクリレートと水との付加開環反応が一般的に知られているが、それ以外に活性水素を有する(メタ)アクリレート化合物にグリシドールを開環重合させる方法も知られており、例えば、(メタ)アクリル酸1モルに対して1モル前後のグリシドールを開環反応させてグリセロールモノ(メタ)アクリレートを得るための製造方法が多数提案されている。
しかし、原料(メタ)アクリレート化合物1モルに対して、2モル以上のグリシドールを開環重合させる場合には、未反応のグリシドールが残留したり、副生成物としてグリシドールの水酸基にグリシドールが開環反応することによりポリグリセリンが生成するという課題があり、未反応グリシドールが残留した場合には収率が低下するとともに未反応グリシドールが高沸点のため高温で留去する必要が生じ、その際に(メタ)アクリレート基の重合反応の進行や、グリシドールを完全に除去することができないため残存したエポキシ基が品質に悪影響を及ぼす問題がある。その他、ポリグリセリル鎖が増えるにつれて、得られる化合物の粘度が非常に高粘度となって取扱いがより困難になる問題もあり、これら全ての課題を解決する手段は未だ開示されていないのが現状である。
なお、(メタ)アクリレート基を有する化合物とグリシドールの開環重合反応により当該化合物を得る方法に関しては、主として次に記す方法がこれまでに提案されている。
(1)トリエチルアミン触媒の存在下、アクリル酸をグリシドールに対して5〜30%過剰となるように仕込み、80〜120℃で反応させてグリセリンモノ(メタ)アクリレートを得る(例えば特許文献1)。
(2)第4アンモニウム塩触媒もしくは第3アミン塩触媒の存在下、α,β−不飽和カルボン酸に対してグリシドールを0.7〜1.3モルとなるように仕込み、20〜120℃で反応させて、カラムクロマトグラフィー法にて精製を行う(例えば特許文献2及び特許文献3)。
(3)末端メタクリル変性ポリプロピレンオキサイドに30%カリウムメチラートメタノール溶液を添加し、減圧によりメタノールを完全に除去後グリシドールを滴下し、90℃で重合した後、エタノールを添加し、イオン交換樹脂を通過させることによりアルカリ分を除去し、エバポレーターで濃縮する(例えば特許文献4)。
(4) その他では、ヒドロキシ(メタ)アクリレートにグリシジルエーテル類を開環重合させて得られるヒドロキシル基末端モノ(メタ)アクリレートの製造方法において、ヘテロポリ酸および/またはその塩の存在下で反応させると比較的低温で円滑に開環共付加することができると例示されている(例えば特許文献5)。なお、特許文献6では、アルカリ触媒によりグリシドールを開環重合させ、ポリグリセリル基含有化合物を合成している。
仏特許2391988号公報 特開2001−294554号公報 特開2001−294555号公報 特開2005−23248号公報 特開昭61−112046号公報 特開2004−277548号公報
前述した方法のうち、(1)については触媒にトリエチルアミンを使用しており、高温条件下で反応させるため触媒が揮発して触媒活性が低下する。また、触媒由来の着色の懸念がある。(2)については触媒として第4アンモニウム塩もしくは第3アミン塩を用いるため、触媒活性が低くグリシドールが完全に反応せず未反応のグリシドールが最終製品中に残存しやすい。
(3)については、アルカリ触媒を用いているため、エステル交換反応、二重結合へのアルコールの付加反応およびアニオン重合に基づく副生物が多量に生成するため望ましくない。また、原料モノ(メタ)アクリレート化合物がポリオキシプロピレン鎖を含むため、末端の水酸基の級数が2級の割合が多く、グリシドールの水酸基にグリシドールが開環反応し易くなり、ポリグリセリンを副生し(メタ)アクリレート基を有する化合物へのグリシドール付加反応率が低下する。さらに溶剤としてエタノールを用いて精製を行っているが、溶剤を添加することにより化合物の粘性を低下させることができるものの、溶剤を濃縮する工程が増えて操作がより煩雑となるばかりでなく、脱溶剤工程において加熱による溶剤留去時、次第に粘度が上昇して熱履歴の影響によりモノ(メタ)アクリレート化合物の一部が重合する恐れがある。
(4)の方法では、エポキシ基を十分開環重合させる触媒活性は有するものの、グリシドールを用いる場合ではグリシドールの水酸基にグリシドールが一部開環反応して系に不溶なポリグリセリンが副生して外観が白濁し、(メタ)アクリレート基を有する化合物へのグリシドール付加反応率が低下する問題があった。
本発明の課題は、(メタ)アクリレート基を有する化合物へのグリシドール付加反応率が高く、且つ高分岐度のポリグリセリル基を有する(メタ)アクリレート化合物を高収率で簡便に得ることができ、且つ取扱いの容易なポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物の製造方法を提供することである。
すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物を製造する方法であって、
下記式(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物に対して、触媒として三フッ化ホウ素錯体を用いて、グリシドールを開環重合反応させることによって、式(1)で表されるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物を製造する。
Figure 2014224069

(式(1)において、Rは、水素原子あるいはメチル基であり、GLYは、グリシドールの開環重合により生成したグリセリル基を表し、mはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、m=1〜15であり、nはグリセリル基の平均付加モル数を表し、n=2〜10である。)
Figure 2014224069

(式(2)において、Rは、水素原子あるいはメチル基を表し、mはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、m=1〜15である。)
また、本発明は、グリシドール開環重合反応における反応温度が40〜80℃であることを特徴とする、ポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物の製造方法である。
本発明のポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物の製造方法は、特定のオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート化合物を原料に用い、特定の触媒を用いることで副生物のポリグリセリンが生成せず、(メタ)アクリレート基を有する化合物へのグリシドール付加反応率が高率でグリシドールを開環重合させることが可能である。また、オキシエチレン鎖の導入により、ポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物の粘性が低く抑制され、取扱いが容易なポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物を製造することができる。さらに、グリシドールのα開裂に富み、高分岐度のハイパーブランチ構造を有するため化合物中の水酸基がより局在化され、さらなる親水性を付与することが可能である。
(用途)
本発明の方法で得られるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物は、コンタクトレンズ、化粧品用ポリマー、反応性分散剤、高分子界面活性剤、乳化重合助剤、スケール防止剤、顔料分散剤、ワックス分散剤、樹脂改質剤、水性インキ、塗料、温度応答性材料などの原料として用いる超高親水型反応性モノマーや、ウレタン系架橋剤原料などとして好適に使用することができる。
(式(2)の化合物)
本発明のグリシドールとの開環重合反応により式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物を製造する方法は、原料として式(2)で表されるオキシエチレン鎖を有するヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物を用いる。
なお、出発原料に式(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物を用いることにより、得られるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物の粘度が抑制され、無溶媒で製造を行うことも可能になる。
式(2)において、Rは、水素原子あるいはメチル基であり、mは、オキシエチレン基の平均付加モル数を表し、m=1〜15である。mが15を超える場合、得られたポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物が常温で凝固してハンドリング性に劣り、さらに加熱して融解させる際に熱履歴の影響により(メタ)アクリレート基が重合し易くなる恐れがあるため好ましくない。この観点からは、好ましくはm=1〜12であり、さらに好ましくはm=1〜10である。
式(2)の化合物として、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリオキシエチレンモノアクリレート、ポリオキシエチレンモノメタクリレートが挙げられる。オキシアルキレン基の種類がオキシエチレン基以外のもの、例えば、オキシプロピレン基やオキシブチレン基を用いた場合は、末端水酸基の大部分が2級であるため、グリシドールの水酸基にグリシドールが開環反応してポリグリセリンが副生し、収率が大幅に低下するため好ましくない。
式(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物のうち、ポリオキシエチレンモノ(メタ)アクリレートについては、公知の技術により合成、精製したものを用いてもよく、さらにエチレンオキシドの合成触媒に三フッ化ホウ素錯体を用いる場合は、中和精製を行わずに引き続きグリシドールと反応させてもよい。
(触媒)
本発明において、グリシドール開環重合触媒として三フッ化ホウ素錯体を用いる。三フッ化ホウ素錯体の種類としては、例えば、メタノール錯体、エタノール錯体、フェノール錯体、ジメチルエーテル錯体、ジエチルエーテル錯体、テトラヒドロフラン錯体、n−ジブチルエーテル錯体、酢酸錯体、モノエチルアミン錯体、ピペリジン錯体等が挙げられ、これらのうちで三フッ化ホウ素含量が多く且つ液体の性状を有する、ジメチルエーテル錯体、ジエチルエーテル錯体、テトラヒドロフラン錯体が好ましい。四塩化錫等のルイス酸や、タングストケイ酸等のヘテロポリ酸を触媒に用いる場合は、グリシドールの水酸基にグリシドールが開環反応してポリグリセリンの副生物が生成し外観が白濁する問題と、それに伴い収率が低下するため好ましくない。
三フッ化ホウ素錯体の使用量は特に限定されないが、式(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物とグリシドールの合計重量に対して0.1〜10重量%が好ましい。これが0.1重量%未満では触媒活性が下がりグリシドールの水酸基にグリシドールが一部開環反応してポリグリセリンが副生するため収率が大幅に低下する傾向がある。また、これが10.0重量%を超えると、触媒の除去操作が煩雑になり、加えた量に見合った効果が見られにくく、(メタ)アクリレート化合物中の二重結合と水酸基が反応して副生物が生成する恐れもある。これらの観点からは、三フッ化ホウ素錯体の使用量は、0.1〜5.0重量%が好ましく、0.1〜3.0重量%が更に好ましい。
(グリシドールの仕込量)
本発明において、開環重合反応で使用するグリシドールの仕込量は、式(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物1モルに対して、2〜10モルが好ましく、3〜10モルが更に好ましい。これが2モル未満では、グリセロールモノ(メタ)アクリレートと比較して親水性に殆ど有意差がなく、10モルを超えると得られるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物の粘度が高粘度となり、取扱いが困難となる傾向がある。
(開環反応の添加剤、条件)
本発明において、グリシドールの開環重合反応前に、(メタ)アクリレート基の重合を防止する目的で重合禁止剤を添加することができる。重合禁止剤の種類は公知のものを使用してもよく、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキノンモノエチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキシトルエン、tert−ブチルカテコール、p−フェニレンジアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジンなどが挙げられる。重合禁止剤の添加量は式(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物とグリシドールの合計重量に対して0.001〜0.5重量%が好ましく、0.005〜0.3重量%が更に好ましく、0.01〜0.1重量%が特に好ましい。重合禁止剤の添加量が0.001重量%未満の場合は製造過程において(メタ)アクリレート基が重合して増粘とゲル化が進行する恐れがある。
本発明において、グリシドール開環重合時の反応温度は、10〜100℃が好ましく、20〜90℃が更に好ましく、40〜80℃が特に好ましい。反応温度が10℃未満の場合、触媒活性が低下してグリシドールが完全に反応しない恐れがあり、100℃を超える場合は、着色や(メタ)アクリレート基が重合する恐れがある。
本発明において、グリシドールの仕込時間は1〜10時間が好ましく、1〜8時間が更に好ましく、1〜6時間が特に好ましい。仕込時間が1時間未満の場合、グリシドールの水酸基にグリシドールが開環反応してポリグリセリンの副生物が生成する恐れがあり、10時間を超える場合は、作業効率が低下するばかりか長時間触媒と接触することにより(メタ)アクリレート化合物中の二重結合と水酸基が反応して副生物が生成する恐れがある。
グリシドールの仕込み方法は、少量ずつ滴下する方法、或いは配管を通じて液中に少量ずつ仕込む方法が好ましい。
グリシドールの仕込み終了後、反応温度で0.5〜8時間攪拌を継続することが好ましく、これによって仕込んだグリシドールを完全に反応させることが好ましい。この観点からは、グリシドールの仕込み終了後、反応温度で0.5〜6時間攪拌を継続することが更に好ましく、1〜5時間撹拌を継続することが特に好ましい。この攪拌時間が0.5時間未満の場合、未反応グリシドールが最終製品に残存する恐れがあり、8時間を超える場合は、作業効率が低下するばかりか長時間触媒と接触することにより(メタ)アクリレート化合物中の二重結合と水酸基が反応して副生物が生成する恐れがある。
(反応混合物の精製)
本発明において、グリシドールの開環重合反応後は触媒の除去を目的に精製を行うが、公知の技術を用いて精製を行ってもよい。具体的な精製方法としては、例えば、触媒をアルカリ中和剤で中和し、水溶液として添加したアルカリ中和剤に含まれる水分や、中和により生成する水分を脱水工程により除去し、中和塩を濾過工程により除去する方法等が挙げられる。
アルカリ中和剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられ、そのまま添加してもよく、1〜50%水溶液の形態で添加してもよい。脱水工程は温度40〜90℃、圧力0.13〜40kPa(絶対圧)の範囲で行われる。なお、脱水を行う際は(メタ)アクリレート基の重合を抑制するため、酸素と不活性ガスの混合気体で且つ酸素濃度が1〜25体積%の混合気体を導入してもよい。
また、吸着剤による処理方法を用いてもよく、吸着剤の種類としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素を主成分とするものが好ましく、キョーワード100(MgO)、キョーワード300(2.5MgO・Al・xHO)、キョーワード500(MgAl(OH)16CO・4HO)、キョーワード600(2MgO・6SiO・xHO)、キョーワード1000(Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO)(協和化学工業(株)製)、トミックスAD−100(MgO:97.8%)、トミックスAD−500(MgO:37.4%、Al:17.2%、CO:8.1%)、トミックスAD−800(SiO:42.1%、CaO:31.5%)(富田製薬(株)製)などを例示することができる。吸着剤による処理方法としては、上記の脱水工程後に実施する場合や、吸着剤のみで触媒を除去する方法など、いずれの方法も用いることができる。吸着剤処理工程は、温度40〜90℃、圧力0.13〜40kPa(絶対圧)の範囲で行われる。なお、吸着剤処理を行う際は脱水工程と同様に、(メタ)アクリレート基の重合を抑制するため、酸素と不活性ガスの混合気体で且つ酸素濃度が1〜25体積%の混合気体を導入してもよい。濾過工程は、濾紙、濾布等のフィルターを濾過器に装着し、濾過を行う。濾過は減圧、常圧、加圧のいずれの方法でもよく、濾紙の目詰まりを防止するため濾過助剤を用いてもよい。
(溶媒)
本発明においては、全ての工程において溶媒を一切使用せずにポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物を製造することができる。但し、化合物の粘度を低減する目的でグリシドールの開環反応時もしくは精製工程時に溶媒を使用することもできる。
用いることができる溶媒としては、例えば、グリシドールの開環反応時はベンゼン、トルエン、キシレン、ジグライムなどの活性水素を有しない有機溶媒が、精製工程時はメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等の極性溶媒がそれぞれ挙げられる。
(式(1)の化合物)
本発明における製造方法により得られる式(1)で表されるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物の、式(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物へのグリシドール付加反応率は、ケン化価換算で85%以上であることが好ましく、88%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
グリシドール付加反応率は式(3)の計算式により計算で求められる。
Figure 2014224069

(式(3)中、Aは式(1)で表されるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物のケン化価、Bは式(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物の分子量、Cはグリシドールの仕込付加モル数をそれぞれ表す。)
さらに、本発明における製造方法により得られた、式(1)で表されるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物に含まれるポリグリセリル基の構造は、式(4)及び式(5)で表される末端構造と、式(6)〜式(8)で表される繰り返し単位から構成されることを特徴とする。
Figure 2014224069
Figure 2014224069
Figure 2014224069
Figure 2014224069
Figure 2014224069
13C−NMR分析における各ポリグリセリル基構造のシグナルのうち、それぞれ式(4)〜式(8)の星印で示された炭素原子に由来する、式(4)の61.2ppm(炭素2個分の積分値)、式(5)の63.2ppm(炭素1個分の積分値)、式(6)の80.2ppm(炭素1個分の積分値)、式(7)の72.7ppm(炭素2個分の積分値)、式(8)の76.9〜79.6ppm(炭素1個分の積分値)の各シグナルの積分値から、ポリグリセリル基全体に対する式(4)〜式(8)の5種類の各グリセリル基が存在する割合を平均値として求めることができる。例えば、式(4)のグリセリル基が存在する割合の平均値をa、同様に式(5)をb、式(6)をc、式(7)をd、式(8)をeと百分率で表した場合に各グリセリル基が存在する割合は、a:b:c:d:e=10〜20:20〜35:10〜20:20〜30:10〜30(但し、a+b+c+d+e=100)の範囲である。
本発明の製造方法によって得られるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物は、グリセリル基が式(8)で表される分岐構造の繰り返し単位を多く含む構造であることを特徴とするものであり、直鎖構造のグリセリル基の割合が多い化合物と比較して化合物中の水酸基がより局在化され、さらなる親水性を付与することが可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
なお、合成品の分析は下記に記す方法で行った。
その他、化合物の構造解析とグリシドール残存の確認のため、13C−NMR分析を行った。方法は試料0.2gを重水0.6mlに溶解し、逆ゲート付デカップリング法にて積算回数4,000回で測定を行い、シグナル強度が炭素原子数に比例することを利用してポリグリセリル基全体に対する式(4)〜式(8)の5種類の各グリセリル基が存在する割合を求めた。
また、合成品のグリシドール残存の有無は、グリシドールのエポキシ基由来のシグナルの有無(44.2ppm、52.1ppmの各シグナル)により判定した。
(実験方法)
水酸基価: JIS K 1557−1
粘度: JIS K 7117−2 、附属書B
鹸化価: JIS K 0070 4.1
(実施例1)
撹拌羽根、窒素吹き込み管、熱電対、冷却管及び滴下ロートを取り付けた500ミリリットル容量の四ツ口フラスコに、平均分子量290のポリオキシエチレン(m=4.6)モノメタクリレート145g(0.5モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.077g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(ステラケミファ製)1.02gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後グリシドール(ダイセル化学工業製)111.2g(1.5モル)を室温からゆっくりと滴下させ、反応熱によって45±5℃の温度範囲にコントロールしながら4時間47分かけて滴下した。グリシドールの滴下終了後1時間撹拌を継続させ、反応後の外観は透明であった。反応物は10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて中性領域まで中和し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後3時間脱水し、濾過により外観透明の式(9)で表されるポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物206gを得た。
得られた化合物の分析値は、水酸基価430.4mgKOH/g、鹸化価111.7mgKOH/g、25℃粘度1615mPa・s、13C−NMR分析よりグリシドールは残存せず反応は完結し、鹸化価より換算したグリシドール付加モル数2.86モル、グリシドール付加反応率95.3%、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)16.4%、式(5)30.0%、式(6)12.3%、式(7)25.4%、式(8)15.9%であった。
Figure 2014224069
13C−NMR分析による帰属結果は、次の通りである。
Figure 2014224069
Figure 2014224069
Figure 2014224069
Figure 2014224069
Figure 2014224069
Figure 2014224069
13C−NMR分析による帰属(カッコ内の数値は化学シフト、単位ppm)
Figure 2014224069
(実施例2)
撹拌羽根、窒素吹き込み管、熱電対、冷却管及び滴下ロートを取り付けた500ミリリットル容量の四ツ口フラスコに、平均分子量130のヒドロキシエチル(m=1)モノメタクリレート91.1g(0.7モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.123g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(ステラケミファ製)0.74gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後グリシドール(ダイセル化学工業製)155.6g(2.1モル)を室温からゆっくりと滴下させ、反応熱によって50±5℃の温度範囲にコントロールしながら5時間19分かけて滴下した。グリシドールの滴下終了後1時間撹拌を継続させ、反応後の外観は透明であった。反応物は20%炭酸カリウム水溶液を用いて中性領域まで中和し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後2時間脱水し、濾過により外観透明のポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物192gを得た。
得られた化合物の分析値は、水酸基価647mgKOH/g、鹸化価161.0mgKOH/g、25℃粘度6369mPa・s、13C−NMR分析よりグリシドールは残存せず反応は完結し、鹸化価より換算したグリシドール付加モル数2.95モル、グリシドール付加反応率98.0%、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)17.1%、式(5)25.7%、式(6)13.8%、式(7)21.6%、式(8)21.8%であった。
(実施例3)
撹拌羽根、窒素吹き込み管、熱電対、冷却管及び滴下ロートを取り付けた500ミリリットル容量の四ツ口フラスコに、平均分子量290のポリオキシエチレン(m=4.6)モノメタクリレート101.5g(0.35モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.092g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(ステラケミファ製)1.16gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後グリシドール(ダイセル化学工業製)129.7g(1.75モル)を室温からゆっくりと滴下させ、反応熱によって55±5℃の温度範囲にコントロールしながら4時間14分かけて滴下した。グリシドールの滴下終了後1時間30分撹拌を継続させ、反応後の外観は透明であった。反応物はキョーワード1000(協和化学工業(株)製)を添加し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後2時間30分吸着処理し、濾過により外観透明のポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物177gを得た。
得られた化合物の分析値は、水酸基価508mgKOH/g、鹸化価89.6mgKOH/g、25℃粘度7967mPa・s、13C−NMR分析よりグリシドールは残存せず反応は完結し、鹸化価より換算したグリシドール付加モル数4.54モル、グリシドール付加反応率90.8%、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)14.7%、式(5)25.3%、式(6)13.0%、式(7)23.5%、式(8)23.5%であった。
(実施例4)
撹拌羽根、窒素吹き込み管、熱電対、冷却管及び滴下ロートを取り付けた500ミリリットル容量の四ツ口フラスコに、平均分子量275のポリオキシエチレン(m=4.6)モノアクリレート137.5g(0.5モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.124g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(ステラケミファ製)0.50gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後グリシドール(ダイセル化学工業製)111.2g(1.5モル)を室温からゆっくりと滴下させ、反応熱によって50±5℃の温度範囲にコントロールしながら3時間51分かけて滴下した。グリシドールの滴下終了後2時間撹拌を継続させ、反応後の外観は透明であった。反応物は5%水酸化カリウム水溶液を用いて中性領域まで中和し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後2時間脱水し、脱水終了後50℃まで冷却しキョーワード600(協和化学工業(株)製)を添加し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後1時間30分吸着処理し、濾過により外観透明のポリグリセリル基を有するモノアクリレート化合物212gを得た。
得られた化合物の分析値は、水酸基価456mgKOH/g、鹸化価113.7mgKOH/g、25℃粘度1812mPa・s、13C−NMR分析よりグリシドールは残存せず反応は完結し、鹸化価より換算したグリシドール付加モル数2.95モル、グリシドール付加反応率98.3%、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)16.4%、式(5)31.1%、式(6)13.6%、式(7)25.5%、式(8)13.4%であった。
(実施例5)
撹拌羽根、窒素吹き込み管、熱電対、冷却管及び滴下ロートを取り付けた500ミリリットル容量の四ツ口フラスコに、平均分子量428のポリオキシエチレン(m=7.8)モノメタクリレート149.9g(0.35モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.07g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(ステラケミファ製)1.6gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後グリシドール(ダイセル化学工業製)77.8g(1.05モル)を室温からゆっくりと滴下させ、反応熱によって60±5℃の温度範囲にコントロールしながら3時間2分かけて滴下した。グリシドールの滴下終了後1時間30分撹拌を継続させ、反応後の外観は透明であった。反応物はキョーワード1000(協和化学工業(株)製)を添加し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後1時間30分吸着処理し、濾過により外観透明のポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物182gを得た。
得られた化合物の分析値は、水酸基価353mgKOH/g、鹸化価87.2mgKOH/g、25℃粘度991.6mPa・s、13C−NMR分析よりグリシドールは残存せず反応は完結し、鹸化価より換算したグリシドール付加モル数2.91モル、グリシドール付加反応率97.0%、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)16.3%、式(5)32.9%、式(6)13.7%、式(7)27.1%、式(8)10.0%であった。
(実施例6)
撹拌羽根、窒素吹き込み管、熱電対、冷却管及び滴下ロートを取り付けた500ミリリットル容量の四ツ口フラスコに、平均分子量290のポリオキシエチレン(m=4.6)モノメタクリレート145g(0.5モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.077g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(ステラケミファ製)1.02gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後グリシドール(ダイセル化学工業製)111.2g(1.5モル)を室温からゆっくりと滴下させ、反応熱によって55±5℃の温度範囲にコントロールしながら1時間50分かけて滴下した。グリシドールの滴下終了後1時間30分撹拌を継続させ、反応後の外観は透明であった。反応物は10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて中性領域まで中和し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後3時間脱水し、濾過により外観透明のポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物212gを得た。
得られた化合物の分析値は、水酸基価431.3mgKOH/g、鹸化価113.1mgKOH/g、25℃粘度1630mPa・s、13C−NMR分析よりグリシドールは残存せず反応は完結し、鹸化価より換算したグリシドール付加モル数2.78モル、グリシドール付加反応率92.7%、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)16.2%、式(5)30.3%、式(6)13.8%、式(7)26.4%、式(8)13.3%であった。
(実施例7)
撹拌羽根、窒素吹き込み管、熱電対、冷却管及び滴下ロートを取り付けた500ミリリットル容量の四ツ口フラスコに、平均分子量290のポリオキシエチレン(m=4.6)モノメタクリレート72.5g(0.25モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.077g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(ステラケミファ製)1.03gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後グリシドール(ダイセル化学工業製)185.3g(2.5モル)を室温からゆっくりと滴下させ、反応熱によって60±5℃の温度範囲にコントロールしながら5時間40分かけて滴下した。グリシドールの滴下終了後1時間撹拌を継続させ、反応後の外観は透明であった。反応物はキョーワード1000(協和化学工業(株)製)を添加し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後2時間吸着処理し、濾過により外観透明のポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物209gを得た。
得られた化合物の分析値は、水酸基価576mgKOH/g、鹸化価55.9mgKOH/g、25℃粘度62360mPa・s、13C−NMR分析よりグリシドールは残存せず反応は完結し、鹸化価より換算したグリシドール付加モル数9.6モル、グリシドール付加反応率96.3%、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)15.4%、式(5)22.6%、式(6)14.0%、式(7)23.1%、式(8)24.9%であった。
(比較例1)
撹拌羽根、窒素吹き込み管、熱電対、冷却管及び滴下ロートを取り付けた500ミリリットル容量の四ツ口フラスコに、平均分子量290のポリオキシエチレン(m=4.6)モノメタクリレート145g(0.5モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.106g、ケイタングステン酸(ヘテロポリ酸、日本無機化学工業製)1.02gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後グリシドール(ダイセル化学工業製)111.2g(1.5モル)を室温からゆっくりと滴下させ、反応熱によって50±5℃の温度範囲にコントロールしながら4時間かけて滴下した。グリシドールの滴下終了後1時間撹拌を継続させ、反応後の外観はグリシドールの仕込み中に透明から白濁に変化し、水飴状の副生物が析出した。反応物は10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて中性領域まで中和し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後3時間脱水し、濾過により外観透明のポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物182gを得た。
得られた化合物の分析値は、水酸基価407.6mgKOH/g、鹸化価122.6mgKOH/g、25℃粘度860.2mPa・s、13C−NMR分析よりグリシドールは残存せず反応は完結し、鹸化価より換算したグリシドール付加モル数2.26モル、グリシドール付加反応率75.3%、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)18.5%、式(5)35.3%、式(6)10.5%、式(7)29.8%、式(8)5.9%であった。
(比較例2)
撹拌羽根、窒素吹き込み管、熱電対、冷却管及び滴下ロートを取り付けた500ミリリットル容量の四ツ口フラスコに、平均分子量290のポリオキシエチレン(m=4.6)モノメタクリレート145g(0.5モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.09g、無水四塩化錫(日本化学産業製)1.28gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後グリシドール(ダイセル化学工業製)111.2g(1.5モル)を室温からゆっくりと滴下させ、反応熱によって50±5℃の温度範囲にコントロールしながら3時間30分かけて滴下した。グリシドールの滴下終了後3時間撹拌を継続させ、反応後の外観はグリシドールの仕込み中に透明から白濁に変化し、水飴状の副生物が析出した。反応物は10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて中性領域まで中和し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後3時間脱水し、濾過により外観透明のポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物168gを得た。
得られた化合物の分析値は、水酸基価602.2mgKOH/g、鹸化価133.9mgKOH/g、25℃粘度137.3mPa・s、13C−NMR分析よりグリシドールが残存し反応は完結せず、鹸化価より換算したグリシドール付加モル数1.74モル、グリシドール付加反応率58.0%、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)7.6%、式(5)40.0%、式(6)8.1%、式(7)39.4%、式(8)4.9%であった。
(比較例3)
撹拌羽根、窒素吹き込み管、熱電対、冷却管及び滴下ロートを取り付けた500ミリリットル容量の四ツ口フラスコに、平均分子量334のポリオキシプロピレン(m=4.3)モノメタクリレート150.3g(0.45モル)、ヒドロキノンモノメチルエーテル0.05g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(ステラケミファ製)1.25gを仕込み、反応系内を窒素ガスで置換後グリシドール(ダイセル化学工業製)100.0g(1.35モル)を室温からゆっくりと滴下させ、反応熱によって45±5℃の温度範囲にコントロールしながら3時間21分かけて滴下した。グリシドールの滴下終了後1時間撹拌を継続させ、反応後の外観はグリシドールの仕込み中に透明から白濁に変化し、水飴状の副生物が析出した。反応物はキョーワード1000(協和化学工業(株)製)を添加し、酸素濃度20%の窒素混合ガスを吹き込みながら温度を80℃まで昇温させ、さらに減圧させて圧力40kPa(絶対圧)到達後2時間吸着処理し、濾過により外観白濁のポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物207gを得た。
得られた化合物の分析値は、水酸基価355mgKOH/g、鹸化価111.2mgKOH/g、25℃粘度1186mPa・s、13C−NMR分析よりグリシドールは残存せず反応は完結し、鹸化価より換算したグリシドール付加モル数2.30モル、グリシドール付加反応率76.7%、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)13.4%、式(5)25.4%、式(6)11.1%、式(7)40.1%、式(8)10.0%であった。
(比較例4)
特許文献6(特開2004−277548号公報)の実施例1に記載された、アルカリ触媒によりグリシドールを開環重合させる方法でポリグリセリル基含有化合物を合成し、この化合物を13C−NMR分析を行った結果、各グリセリル基が存在する割合の平均値は、式(4)6.0%、式(5)37.6%、式(6)10.3%、式(7)35.8%、式(8)10.3%であった。
以上の結果のまとめを表1、表2に示す。なお、表1、表2中の式(10)のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物の構造は次式に表される。
Figure 2014224069
(式中、Rは水素原子あるいはメチル基、AOはオキシアルキレン基を表し、AOがEOの場合はオキシエチレン基−CHCHO−を、POの場合はオキシプロピレン基−CHCH(CH)O−を、
mはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表す。)
Figure 2014224069
Figure 2014224069
比較例1は、触媒にヘテロポリ酸の1種であるタングストケイ酸を用いて合成を実施した。比較例2は、触媒にルイス酸触媒の1種である無水四塩化錫を用いて合成を実施した。しかし、いずれもグリシドールの仕込み途中で外観が白濁して系に不溶なポリグリセリンが副生し、副生物を濾別した後のポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物へのグリシドール付加反応率が低下した。
比較例3は、原料モノ(メタ)アクリレート化合物がポリオキシプロピレン鎖を有するため、末端の水酸基の級数が2級の割合が多く、グリシドールの水酸基にグリシドールが開環反応し易くなり、グリシドールの仕込み途中で外観が白濁してポリグリセリンが副生し、副生物を濾別した後のポリグリセリル基を有するモノメタクリレート化合物へのグリシドール付加反応率が同様に低下した。
比較例4は、触媒にアルカリ触媒を用いたが、分岐構造の式(8)と、α開裂により生じる式(4)で表されるグリセリル基の割合は少ない数値となった。
これに対して、実施例1〜7は、原料としてオキシエチレン鎖を有するヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物を、触媒として三フッ化ホウ素錯体をそれぞれ用いてグリシドールの開環重合を行った結果、いずれも副生物のポリグリセリンが生成せず反応時の外観が透明性を保ち、(メタ)アクリレート基を有する化合物へのグリシドール付加反応率が高率であった。さらに、ポリグリセリル基の分岐構造の割合が高い化合物が得られた。このため、本発明の方法で得られるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物は多数の水酸基を導入することが可能であり、超高親水型反応性モノマー及びこれを用いたポリマー原料として、また、水酸基の一部をイソシアネートで反応させたウレタンアクリレート原料などとして好適に使用することができる。

Claims (2)

  1. 下記式(1)で表されるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物を製造する方法であって、
    下記式(2)で表されるヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物に対して、触媒として三フッ化ホウ素錯体を用いて、グリシドールを開環重合反応させることによって、式(1)で表されるポリグリセリル基含有(メタ)アクリレート化合物を製造する方法。
    Figure 2014224069

    (式(1)において、Rは、水素原子あるいはメチル基であり、GLYは、グリシドールの開環重合により生成したグリセリル基を表し、mはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、m=1〜15であり、nはグリセリル基の平均付加モル数を表し、n=2〜10である。)


    Figure 2014224069

    (式(2)において、Rは、水素原子あるいはメチル基を表し、mはオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、m=1〜15である。)
  2. 前記開環重合反応における反応温度が40〜80℃であることを特徴とする、請求項1記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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