JP2016193874A - グリシジルエーテル類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハロゲンを嫌う分野に有用な、ハロゲン特に塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類を特別な触媒や煩雑な工程を必要とせず、簡単でかつ効率良く製造する方法を提供する。【解決手段】アルコール類とエピハロヒドリンをアルカリ触媒の存在下で反応させるグリシジルエーテル類の製造方法において、前記反応をアルコール類とエピハロヒドリンを仕込んだ後に、アルカリ触媒を多段階で添加することを特徴とする塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類の製造方法である。【選択図】なし
Description
本発明は、アルコール類とエピクロルヒドリンからグリシジルエーテル類を製造する方法に関する。更に詳しくは、電気・電子材料、塗料、また衛生用品などのハロゲンを嫌う分野に有用な塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類を、特別な触媒や煩雑な工程を必要とせず、簡単でかつ効率良く製造する方法に関する。
グリシジルエーテル類は、構造中にエポキシ基を有するため、反応性に富み、水、カルボン酸、アルコール類、アミン類などの各種活性水素含有化合物と容易に反応する。そのため、エポキシ樹脂の反応性希釈剤、架橋剤、各種樹脂・繊維の改質剤、あるいは固体電解質等に使用されうる。よって、グリシジルエーテル類中の塩素含有量の低減は、これらを使用する製品、電気・電子材料、塗料などの分野、また人体に直接触れるウエットティッシュ等の衛生用品などのハロゲンを嫌う分野で望まれている。
従来、グリシジルエーテル類の製造方法としては、アルコール類とエピクロルヒドリンを酸触媒存在下で反応させた後、アルカリ金属水酸化物を用いて閉環させる二段階法と、アルコール類とエピクロルヒドリンをアルカリ触媒存在下で反応させる一段階法が知られている。
これらの方法のうち、二段階法によるアルコール類とエピクロルヒドリンを用いたグリシジルエーテルの製造においては、アルコール類に対してエピクロルヒドリンが2モル反応してしまい、閉環反応が起こらず有機塩素が残存するといった問題を有する。かような問題点に対し、アルコール類を過剰にしてエピクロルヒドリンのモル比を下げたり、副生物を蒸留で除去する方法が知られているが、反応率の低下により未反応アルコール類が多くなる、アルコール類のアルキル鎖長によっては、沸点が高くなるため蒸留できない、といった問題がある。これに対して、特許文献1では、アルコール類とエピクロルヒドリンとの縮合反応を、特定構造を有する相間移動触媒と限定された濃度のアルカリ水溶液によって行うことにより解決する方法が提案されている。しかしながら、相間移動触媒を使用する方法では、エポキシの重合反応が起こりやすい、触媒コストが高くなる、といった問題があり、工業的には十分満足できるものではなかった。
一方で、一段階法によるアルコール類とエピクロルヒドリンを用いたグリシジルエーテルの製造においては、反応温度が高くなってしまうとエポキシ基が開環してしまう、また触媒として使用するアルカリによりエポキシの重合反応が進行してしまう、といった問題を有する。かような問題点に対し、特許文献2では、エピクロルヒドリンの3重量%以上の炭化水素系溶剤を加えて反応する、40℃以下の温度で反応する、反応後40℃以下の温度を保持して水を投入する、といった方法が提案されている。しかしながら、当該製造方法では、新たな炭化水素系溶剤の使用が必須であるため、精製工程により溶剤回収をしなければならず、煩雑な製造工程が必要となり、工業的には十分満足できるものではなかった。
そこで本発明は、ハロゲンを嫌う分野に有用な塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類を、特別な触媒や煩雑な工程を必要とせず、簡単でかつ効率良く製造する方法の提供を目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を積み重ねた。その結果、驚くべきことに、アルコール類とエピクロルヒドリンを用いたグリシジルエーテルの製造方法において、アルコール類とエピクロルヒドリンを仕込んだ後に、アルカリ触媒を多段階で添加して反応系内の触媒濃度をほぼ一定とし、反応温度を65℃以下とすることで、塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、アルコール類とエピクロルヒドリンからグリシジルエーテル類を製造する方法において、電気・電子材料、塗料、また衛生用品などのハロゲンを嫌う分野に有用な塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類を、特別な触媒や煩雑な工程を必要とせず、簡単でかつ効率良く製造する方法が提供されうる。
以下に本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の実施形態に制限されるものではない。
本発明の特徴は、アルコール類とエピクロルヒドリンを用いたグリシジルエーテルの製造において、アルコール類とエピクロルヒドリンを仕込んだ後に、アルカリ触媒を多段階で添加して反応系内の触媒濃度をほぼ一定とし、反応温度を65℃以下とすることで、塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類が得られる点にあり、本発明の製造方法は、特別な触媒や煩雑な工程を必要とせず、簡単でかつ効率良くグリシジルエーテル類を製造することができる。
本発明が、塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類を特別な触媒や煩雑な工程を必要とせず、簡単でかつ効率良く製造することができるメカニズムは明確ではないが、以下のことが想定される。反応系内にアルカリ触媒を多段階に分割して添加することで、反応温度の制御が容易となり、反応温度を65℃以下とすることで、反応系内のエポキシ基の開環および重合反応を抑制することができる、と考えられる。また、上記アルカリ触媒の添加方法によれば、一括で添加した場合と比較して、反応進行と共に変化する触媒濃度をほぼ一定に保つことができ、触媒濃度が高くなることに起因する重合反応が進行せず、安定的に反応が進行する、と考えられる。
以下、本明細書における用語の定義について説明する。
本明細書において原料として用いられる「アルコール類」とは、炭素数1〜24で、1〜6価のアルコールが挙げられる。1価のアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、n−ノナノール、2−ノナノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、2−ウンデカノール、ラウリルアルコール、トリメチルノニルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、n−ヘキサデカノール、n−ヘプタデカノール、セチルアルコール、14−メチルヘキサデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、16−メチルオクタデカノール、n−エイコサノール、18−メチルノナデカノール、ヘンエイコサノール、18−メチルエイコサノール、n−ドコサノール、20−メチルヘンエイコサノール、20−メチルドコサノール、テトラコサノール、22−メチルトリコサノール、ドデセノール、フィセテリルアルコール、ゾーマリルアルコール、ガドレイルアルコール、11−ドコセノール、カタドニルアルコール、クルバノドニルアルコール等の飽和脂肪族アルコール;アリルアルコール、メタリルアルコール、パルミトレイルアルコール、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、エライドリノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エライドリノレニルアルコール、エルシルアルコール等の不飽和脂肪族アルコール;ベンジルアルコール等の芳香族アルコール;これらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加(1〜10モル)物が挙げられる。2価のアルコールとしては、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキシレングリコール、リシノレイルアルコール、等の脂肪族アルコール;またはグリセリンモノラウリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル等3価アルコールのモノアルキル(炭素数1〜18)エーテル及びこれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加(1〜10モル)物が挙げられる。3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族アルコール及びこれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加(1〜10モル)物;フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加(1〜10モル)物;ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド付加(1〜20モル)物等が挙げられる。
本明細書において原料として用いられる「エピクロルヒドリン」は、上記アルコール類の水酸基1モルに対して1〜10倍モルであり、より好ましくは1〜5倍モルである。1以下であるとエポキシ基が開環してしまい、副生物であるグリセロールジアルキルエーテルが生成し、収量低下につながる。一方で、10以上であると、生産性が低下することがある。
本明細書における「アルカリ触媒」は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられ、好ましくはアルカリ金属水酸化物であり、より好ましくは水酸化ナトリウムである。これらのアルカリ触媒は、単独でも2種類以上の混合物であっても良い。また、これらのアルカリ触媒の形状は、固体であることが望ましく、粒状、フレーク状、粉状のいずれであっても良い。水溶液の状態でも採用されうるが、反応中にエポキシの重合反応が進行するおそれがある。
上記アルカリ触媒の総使用量は、上記アルコール類の水酸基1モルに対して1〜5倍モルであり、より好ましくは1〜2倍モルである。また、反応系内に添加するアルカリ触媒量は、上記アルコール類の水酸基1モルに対して0.05〜0.5倍モルであることが望ましい。反応系内に添加するアルカリ触媒量が0.05倍モル以下であると反応が遅くなる。一方で、0.5倍モル以上であると、反応初期に種が生成しエポキシの重合反応が進行し易くなり、発熱量も大きくなるため反応温度の制御がより困難となる。
反応温度は、通常温度が65℃以下であり、好ましくは10〜65℃である。65℃以上となるとグリシジルエーテル類とエピクロルヒドリンの副反応が進行し、グリセリンジアルキルエーテルが生成する。
反応終了後、グリシジルエーテル類の単離は、水を加えて析出した塩を溶解させ、有機層と水層とを分別し、必要に応じて分別された有機層を数回水洗した後、減圧下で加熱し、残存するエピクロルヒドリンや水を除去する等の、通常操作によって行うことができる。こうした操作によって、塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類が得られる。
また必要に応じて、精製工程を採用することができる。精製方法は、公知の方法を採用することができ、特に制限されないが、例えば、蒸留、晶析あるいは吸着剤による吸着処理などの適当な精製法を採用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら制限されるものではない。なお、以下において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表す。
また、グリシジルエーテル中の全塩素含有量はモール法(沈澱滴定)で測定し、未反応アルコールは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。なお、未反応エピクロルヒドリンの含有量はガスクロマトグラフィー(GC)でオキシラン酸素を測定して評価した。なお、HPLCとGCの分析条件は以下の通り。
[HPLC分析条件]
機種:アジレント・テクノロジー株式会社 1260Infinity
カラム:株式会社資生堂 MG−II(5μm、4.6mmID×150mm)、40℃
検出器:蒸発型光散乱検出器(ELSD)
移動相:水/メタノール(グラジェント)、1ml/min.
サンプル注入量:5μL(2mg/ml)
機種:アジレント・テクノロジー株式会社 1260Infinity
カラム:株式会社資生堂 MG−II(5μm、4.6mmID×150mm)、40℃
検出器:蒸発型光散乱検出器(ELSD)
移動相:水/メタノール(グラジェント)、1ml/min.
サンプル注入量:5μL(2mg/ml)
[GC分析条件]
機種:株式会社島津製作所 GC−2014
カラム:Inert Cap 1(0.25μm×0.32mmID×30m)
温度プログラム:100℃−(20℃/min.)−300℃(10min.)
サンプル注入量:0.3μL
機種:株式会社島津製作所 GC−2014
カラム:Inert Cap 1(0.25μm×0.32mmID×30m)
温度プログラム:100℃−(20℃/min.)−300℃(10min.)
サンプル注入量:0.3μL
撹拌機、滴下ロート、温度計及びコンデンサーを備えたガラス製フラスコに、トリエチレングリコールモノブチルエーテル170質量部、エピクロルヒドリン(試薬)121質量部を仕込み、ついで、上限温度を65℃となるように冷却しながら、水酸化ナトリウム(パール状)31.4質量部を分割して数時間かけて添加し、反応温度65℃以下で反応させた。反応終了後、イオン交換水111質量部を入れて25℃で静置して分層した。下層を抜き取り後、さらに20%食塩水溶液34.5質量部を入れて60℃で静置して分層した。室温まで冷却後、吸着剤0.14質量部を加え、50mmHg、100℃で減圧トッピング、ついで濾過助剤を用いた濾過を行い、目的物であるグリシジルエーテル(全塩素含有量:0.1%、未反応アルコール量:0.2%)を得た。
撹拌機、滴下ロート、温度計及びコンデンサーを備えたガラス製フラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテル750質量部、エピクロルヒドリン(試薬)1156質量部を仕込み、ついで水酸化ナトリウム(パール状)275質量部を分割して数時間かけて添加し、反応温度65℃以下で反応させた。反応終了後、イオン交換水1000質量部を入れて50℃で静置して分層した。さらに20%食塩水溶液500質量部を入れて60℃で静置して分層した。室温まで冷却後、吸着剤2.2質量部を加え、25mmHg、80℃で減圧トッピング、ついで濾過助剤を用いた濾過を行い、目的物であるグリシジルエーテルを得た(全塩素含有量:0.1%、未反応アルコール量:0.1%)。
(比較例1)
撹拌機、滴下ロート、温度計及びコンデンサーを備えたガラス製フラスコに、トリエチレングリコールモノブチルエーテル1000質量部、水酸化ナトリウム(パール状)200質量部を仕込みアルコラート化を行った。ついでエピクロルヒドリン(試薬)534質量部を温度65℃以下で滴下し、65℃以下で熟成をし、付加反応を行った。反応終了後、イオン交換水750質量部を入れて40℃で静置して分層した。さらに20%食塩水溶液500質量部を入れて60℃で静置して分層をする操作を2回繰り返した。ついで、吸着剤5質量部を加え、50mmHg、90℃で減圧トッピング、ついで濾過助剤を用いた濾過を行い、目的物であるグリシジルエーテルを得た(全塩素含有量:0.2%、未反応アルコール量:0.2%)。ただし、目的物中には目的物とエピクロルヒドリンによる副生成物であるグリセリンジアルキルエーテルが多く含まれていた。
撹拌機、滴下ロート、温度計及びコンデンサーを備えたガラス製フラスコに、トリエチレングリコールモノブチルエーテル1000質量部、水酸化ナトリウム(パール状)200質量部を仕込みアルコラート化を行った。ついでエピクロルヒドリン(試薬)534質量部を温度65℃以下で滴下し、65℃以下で熟成をし、付加反応を行った。反応終了後、イオン交換水750質量部を入れて40℃で静置して分層した。さらに20%食塩水溶液500質量部を入れて60℃で静置して分層をする操作を2回繰り返した。ついで、吸着剤5質量部を加え、50mmHg、90℃で減圧トッピング、ついで濾過助剤を用いた濾過を行い、目的物であるグリシジルエーテルを得た(全塩素含有量:0.2%、未反応アルコール量:0.2%)。ただし、目的物中には目的物とエピクロルヒドリンによる副生成物であるグリセリンジアルキルエーテルが多く含まれていた。
(比較例2)
撹拌機、滴下ロート、温度計及びコンデンサーを備えたガラス製フラスコに、トリエチレングリコールモノブチルエーテル600質量部、相間移動触媒であるテトラメチルアンモニウムクロライド(試薬)6質量部、48%水酸化ナトリウム水溶液580質量部を仕込みアルコラート化を行った。ついでエピクロルヒドリン(試薬)644質量部を温度40℃以下で滴下し、50℃以下で熟成をし、付加反応を行った。反応終了後、イオン交換水500質量部を入れて40℃で静置して分層した。さらに20%食塩水溶液100質量部を入れて70℃で静置して分層をする操作を2回繰り返した。ついで、吸着剤1質量部を加え、50mmHg、100℃で減圧トッピング、ついで濾過助剤を用いた濾過を行い、目的物であるグリシジルエーテルを得た(全塩素含有量:0.5%、未反応アルコール量:6.3%)。ただし、目的物中にはエポキシの重合反応が進行したため、重合物が含まれていた。
撹拌機、滴下ロート、温度計及びコンデンサーを備えたガラス製フラスコに、トリエチレングリコールモノブチルエーテル600質量部、相間移動触媒であるテトラメチルアンモニウムクロライド(試薬)6質量部、48%水酸化ナトリウム水溶液580質量部を仕込みアルコラート化を行った。ついでエピクロルヒドリン(試薬)644質量部を温度40℃以下で滴下し、50℃以下で熟成をし、付加反応を行った。反応終了後、イオン交換水500質量部を入れて40℃で静置して分層した。さらに20%食塩水溶液100質量部を入れて70℃で静置して分層をする操作を2回繰り返した。ついで、吸着剤1質量部を加え、50mmHg、100℃で減圧トッピング、ついで濾過助剤を用いた濾過を行い、目的物であるグリシジルエーテルを得た(全塩素含有量:0.5%、未反応アルコール量:6.3%)。ただし、目的物中にはエポキシの重合反応が進行したため、重合物が含まれていた。
(比較例3)
撹拌機、滴下ロート、温度計及びコンデンサーを備えたガラス製フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル1180質量部、酸触媒である塩化錫(試薬)0.3質量部を仕込み、エピクロルヒドリン(試薬)925質量部を温度70℃以下で滴下し、70±5℃で熟成をし、クロルヒドリンエーテルとした。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液2000質量部を温度60℃以下で滴下し、70℃以下で熟成をし、閉環反応を行った。反応終了後、静置して分層し、更にイオン交換水500質量部を入れて90℃で静置して分層をする操作を2回繰り返した。さらに20%食塩水溶液100質量部を入れて70℃で静置して分層をする操作を2回繰り返した。ついで、吸着剤を8質量部加え、15mmHg、90℃で減圧トッピング、ついで濾過助剤を用いた濾過を行い、目的物であるグリシジルエーテルを得た(全塩素含有量:4.0%、未反応アルコール量:2.4%)。
撹拌機、滴下ロート、温度計及びコンデンサーを備えたガラス製フラスコに、エチレングリコールモノブチルエーテル1180質量部、酸触媒である塩化錫(試薬)0.3質量部を仕込み、エピクロルヒドリン(試薬)925質量部を温度70℃以下で滴下し、70±5℃で熟成をし、クロルヒドリンエーテルとした。その後、30%水酸化ナトリウム水溶液2000質量部を温度60℃以下で滴下し、70℃以下で熟成をし、閉環反応を行った。反応終了後、静置して分層し、更にイオン交換水500質量部を入れて90℃で静置して分層をする操作を2回繰り返した。さらに20%食塩水溶液100質量部を入れて70℃で静置して分層をする操作を2回繰り返した。ついで、吸着剤を8質量部加え、15mmHg、90℃で減圧トッピング、ついで濾過助剤を用いた濾過を行い、目的物であるグリシジルエーテルを得た(全塩素含有量:4.0%、未反応アルコール量:2.4%)。
以上の結果から、本発明によれば、アルコール類とエピクロルヒドリンからグリシジルエーテル類を製造する方法において、電気・電子材料、塗料、また衛生用品などのハロゲンを嫌う分野に有用な塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類を、特別な触媒や煩雑な工程を必要とせず、簡単でかつ効率良く製造することができることが示された。
本発明で得られるグリシジルエーテル類は、電気・電子材料、塗料、また衛生用品などのハロゲンを嫌う分野で使用することができる。
Claims (4)
- アルコール類とエピハロヒドリンをアルカリ触媒の存在下で反応させるグリシジルエーテル類の製造方法において、前記反応をアルコール類とエピハロヒドリンを仕込んだ後に、アルカリ触媒を多段階で添加することを特徴とする塩素含有量の少ないグリシジルエーテル類の製造方法。
- 前記アルカリ触媒がアルカリ金属水酸化物である、請求項1に記載のグリジシルエーテル類の製造方法。
- 前記アルカリ触媒が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選択された少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載のグリシジルエーテル類の製造方法。
- 前記塩素含有量が0.1%以下である、請求項1〜3に記載のグリシジルエーテルの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015083736A JP2016193874A (ja) | 2015-03-31 | 2015-03-31 | グリシジルエーテル類の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113651945A (zh) * | 2021-08-13 | 2021-11-16 | 江苏扬农化工集团有限公司 | 一种缩水甘油醚类环氧树脂及其制备方法 |
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2015
- 2015-03-31 JP JP2015083736A patent/JP2016193874A/ja active Pending
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