JP3662315B2 - 孔版印刷方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱孔版マスターを用い製版印刷一体型の印刷装置で孔版印刷する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の感熱孔版マスターは、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体を積層した厚いものであった。
【0003】
これを用いる製版印刷装置は、前記マスターの一版分を引き出し、プラテンロールでサーマルヘッドに押し付けながら穿孔製版し、その製版済みマスターの先端を版胴のマスタークランパまで搬送してクランプし、版胴を回転させ製版マスターを版胴の外周に巻き付けて印刷する方式(以下、従来方法Aという)であった。
【0004】
従来のマスターは、麻等の天然繊維またはポリエステル繊維など合成繊維、もしくは両者の混合繊維からなる多孔性支持体と熱可塑性樹脂フィルムを接着剤で貼り合せたものである。
【0005】
そのために、接着剤の性状、接着点の多少および大小、支持体の繊維の粗密、結束の度合が相関作用して、穿孔感度、インキの透過度にバラツキを生じ穿孔不良部、インキ非透過部を生じ、印刷画像に細字部の欠落、ベタ画像部の白抜けなどの繊維目模様が生じるという欠陥があった。
【0006】
この問題を解消するため、多孔性支持体を極めて薄くするか、あるいは実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスターが提案されている。
【0007】
しかしながら、このマスターは、従来マスターに比べて支持体の強度がほとんどまたは全く無くなるので、腰が弱くなり、従来マスターを用いる製版印刷装置では搬送巻装にトラブルを生じ使用できなかった。
【0008】
すなわち、前記マスターを使用すると、マスターをクランパまで搬送する途中で、マスターの折れ、たわみ、伸び、ロールへの巻き付きなどを生じ、クランプミス、クランプ不良を来す。またクランプされても版胴に巻装される過程でマスターの張りが少く、歪みを生じ、シワとなる。
【0009】
この問題を解決する方法として、クランパまでの搬送については、マスターの頭出部および非画像部に補強材を設ける(特開平5−294084号公報)、マスター先端部の両面に搬送方向に沿って空気流を形成する(特開平6−183122号公報)、マスターをクランパまで導く揺動するガイド手段を設ける(特開平6−219033、6−286288、6−305232、6−320853号公報、特開平7−1819号公報)などが提案されている。
【0010】
またクランパでの狭持については、クランパ部に凸状弾性体を配置する(特開平5−338344号公報)、クランパ両端部に両端方向へ引張り摩擦力を与える弾性部材を設ける(特開平6−255225号公報)、クランパに空気逃げ孔を設ける(特開平6−305233号公報)などが提案されている。
【0011】
またクランプ後の版胴への巻装については、マスター巻装時に、マスター全面に接触しマスターを版胴に押し付ける向きにマスターを伸展させる張力を与える伸張部材を設ける(特開平6−293176号公報)などが提案されている。
【0012】
しかし、これらの方法は有効性に乏しく、クランプミス、クランプ不良は解消されていない。すなわち、巻装時マスターを伸展させる方法は、製版済みマスターにシゴキ作用が加わり、マスターが損傷しやすく、また巾方向の均一な張力がえられず、シワの発生は避け難い。さらに、これらいずれかの提案も、従来装置の各部の改良に関するものであって、従来装置における、製版巻装過程の各部位でマスターの移動速度を異にする搬送方法に起因するマスターのたわみによる問題、版胴上でマスターの端部がフリーである問題については、何ら解決手段を提示しないものである。
【0013】
これに対し、新にクランプ工程の無い方法として、マスターを切断せず、版胴の外周に、マスターの供給部と製版部と排版部とを全て設けて、版胴と共に回転させて、マスターを製版巻装する搬送方式(特公平5−70595号公報、特開平5−286222号公報)(以下、従来方法Bという)が有望視され、採用が検討されている。
【0014】
しかしながら、この方式では、マスターが給版部から排版部まで連続一体化されているのでマスターの脱着、セッティングが困難であり、回転する版胴に給版、製版、排版の各部全てを具備するので、複雑な伝達機構を要し、また印刷時の版胴の負荷が大きいために、装置が巨大化するなどの別の問題を生じる。
【0015】
これらの問題を解決する方法としてつぎのものがある。
【0016】
▲1▼特開平6−328831号公報
製版部と排版部を版胴外に設け、版胴に相対移動する版胴回転系内に設けた給版部から、マスター先端を版胴に直結したクランパでクランプして、版胴だけ回転させて巻装した後、クランパを開いてマスター先端を排版部へ引き取り、この排版に合せ版胴を回転させると同時に製版を行い、製版後給版部を移動させ、給版部よりマスターを排版部へ引き取り、この部分を排版部に設けたカッターで切断し、この切断端部を前記クランパでクランプし印刷を開始する方法。
【0017】
▲2▼特開平6−270524号公報、特開平7−52513、7−186510号公報
製版部は版胴外に設け、給版部と排版部を版胴の回転系内で、版胴に回転自在で相互接離可能な別々のアームに設け、これら両部の近接点で、給版部からマスター先端部を排版部へ係止し、版胴外周上を相互離隔させながら、製版、巻装および排版を行う方法。
【0018】
▲3▼特開平6−247024、6−247025号公報
製版部は版胴外に設け、マスターロールから先端を引き出して、版胴上の排版部に係止し、版胴を回転させ、マスターを製版し、版胴外周上に巻装した後、マスターロールを版胴上の支点に移設し印刷を開始する方法。
【0019】
▲4▼特開平7−186509号公報
製版部と排版部を版胴外に設け、給版部とクランパを版胴の回転系内で、版胴に回転自在で相互接離可能な別々のアームに設け、これら両部の近接点で、給版部からマスター先端をクランパでクランプし、版胴外周上を相互離隔させながら製版巻装し、ついでクランパを開いてマスターを引き取り排版する方法。
【0020】
しかしながら、これらはつぎのような問題を有する。
【0021】
▲1▼については、マスターの製版の後端部をクランプし、後端部から印刷することになるので、製版において拡大、縮小、二面転写等の画像処理に問題を生じる。また、マスターの先端部がフリーなので、印刷中ズレを生じる。
【0022】
▲2▼、▲3▼については、排版部が版胴回転系内にあるので、排版に付着したインキは、排版毎に増量し、排版部からのインキのしみ出し、印刷中の飛び散りを来す。
【0023】
▲1▼、▲4▼については、マスターは、給版部からクランパまで、プラテン部を経由して引き取る必要があり、自動化が困難であると共に、クランパの開閉に伴う、クランプ部でのマスターのシワの発生が避け難い。
【0024】
さらにこれらいずれの方法においても、マスターのセット/給版部は、版胴回転系内に装備され、版胴にかかる負荷は、依然として大きい。
【0025】
すなわち、回転負荷、振動および印刷プレスロールの当接離隔に伴う騒音、さらに当接打撃によるマスターの歪み損傷、装置の耐久性の低下である。
【0026】
なぜなら、プレスロールの当接離隔によるトラブルを回避できるプレスロールの最大逃げ巾は10mm程度であるためである。
【0027】
従来方法Aの装置におけるクランパの版胴外周面からの立ち上りは約5mmであるから、プレスロールの逃げ巾としては6〜7mm程度である。
【0028】
これに対し、従来方法Bおよびその改良方法における前記給版部の立ち上り巾はマスターロールの巻径に規制されているが、従来マスターと同じ巻長(200〜250版分)、同じ巻芯径(40〜60mm)としたばあい、従来マスターの巻径(90〜110mm)に比べて、従来マスターの厚さ(35〜60μm)より薄い(2〜10μm)分だけおのずから小さく(40〜70mm)になり、さらに厚さが薄く、腰が無い分だけ巻グセが付きにくく巻芯径を小さく(20mm以下)できるので、プレスロールの逃げ巾を30〜40mmまで小さくできるが、この値は許容最大逃げ巾を大きく超過する。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来方法A、Bにおける、画像部の繊維目模様の発生、マスターの搬送巻装時のジャム、破断、シワ、ズレの発生、排版部からのインキの滲み出し、飛び散りの発生、プレスロール逃げ巾が大きいことに起因する騒音、損傷などが解消された孔版印刷方法を提供することを課題とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)感熱孔版マスターにサーマルヘッド素子を接触させ、素子の選択的発熱により穿孔画像を形成して製版し、えられた製版マスターを、内周面にインキ供給装置を有し、中心軸の周りに回転する版胴の外周に巻装して印刷する感熱孔版式製版印刷一体型印刷装置による孔版印刷方法であって、前記マスターとして、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものであって、ロール状に巻き取られた形態のものを用い、前記マスターを版胴の回転系外にセットし、版胴の回転系内に設けた給版手段で引き出し、版胴に巻装すると共に、巻装に伴って、版胴の回転系外に設けたサーマルヘッドと版胴の回転系内に設けたプラテン部を圧接して製版を行い、製版巻装が終了後前記マスターの末端を切断し、該切断端部を版胴の回転系内に設けた係止手段で保持したのち印刷を行い、印刷終了後版胴の回転系外に設けた排版手段により前記マスターを排版することを特徴とする孔版印刷方法に関する。
【0031】
本発明はさらに、(2)前記感熱孔版マスターの1%伸長時の引張強度が100gf/cm巾以上であることを特徴とする前記(1)項記載の孔版印刷方法に関する。
【0032】
本発明はさらに、(3)前記版胴の回転系内に設ける給版手段が前記マスターの保持手段とその支持手段とからなり、該支持手段が版胴の回転中心軸の周りに版胴と独立に回転自在であり、その回転が製版送り速度と同調されていることを特徴とする前記(1)または(2)項記載の孔版印刷方法に関する。
【0033】
本発明はさらに、(4)前記給版手段の保持手段が、円筒状で、自軸の周りに回転可能であることを特徴とする前記(3)項記載の孔版印刷方法に関する。
【0034】
本発明はさらに、(5)前記マスターの切断端部を係止する係止手段が、円筒状で、自軸の周りに回転可能であることを特徴とする前記(1)、(2)、(3)または(4)項記載の孔版印刷方法に関する。
【0035】
本発明はさらに、(6)前記給版手段の保持手段が前記支持手段に着脱自在に取付けられていることを特徴とする前記(3)、(4)または(5)項記載の孔版印刷方法に関する。
【0036】
本発明はさらに、(7)前記マスターの切断端部を係止する係止手段が版胴に設けられた支持部に着脱自在に取付けられていることを特徴とする前記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)項記載の孔版印刷方法に関する。
【0037】
【発明の実施の形態】
本発明の前記構成によるときはつぎの作用効果が奏される。
【0038】
(1)感熱孔版マスターとして、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものを使用するので、従来方法Aにおいて厚い多孔性支持体を積層したマスターの使用に起因する画像部の繊維目模様が発生しなくなる。
【0039】
(2)前記マスターは、好ましくは1%伸張時の引張強度が100gf/cm巾以上であるので、マスターにたるみ、伸びが生じないようにマスターの引き出し、製版、巻装の際に常に適切な伸張力を掛けておくことができる。
【0040】
(3)マスターロール、サーマルヘッド、排版部は、従来方法Aの装置と同様に装置本体に装着されるので、版胴にかかる負荷変動は小さく、プレスロールの逃げ巾量を大きくしなくて済む。
【0041】
(4)薄いマスターの巻取りロールを装置本体に装着するので従来マスターと同じ巻長のばあいは、装着部容積を小さく(1/5〜1/13)でき、装着部容積を同じくするばあいはマスター巻長を長く(600〜4000版分)することができる。
【0042】
(5)装置本体に装着したマスターロールからマスターを引き出し、版胴回転系内に設けた給版手段に係止した後、該給版手段を版胴外周面に沿って移動させることによりマスターの製版、巻装を行なうので、この間マスターは一体化され、緊張状態にあり、そのため従来方法Bおよびその改良方法にみられる製版巻装時のマスターのジャム、破断、シワ、ズレが生じない。
【0043】
(6)装置本体に装着したマスターロールと版胴回転系内に設けた給版手段の間には製版部を介在させないので、経路が簡単になり、マスターの引き出し、係止は容易となる。
【0044】
(7)前記給版手段の係止手段は、自軸回転する円筒状であるので、マスターの係止時に係止部のシワの発生が無く、かつ自動化が容易である。
【0045】
(8)給版手段が製版速度(サーマルヘッドの発熱の副走査速度)と同調して版胴外周面を回転し、製版巻装するので、サーマルヘッドからの送り出し口での製版済みマスターは、一定の適切な引張力で牽引され、そのためサーマルヘッドの発熱に伴う穿孔部周辺の非画像部のフィルムの熱収縮応力に対応してマスターのシワ、画像のゆがみがなくなる。
【0046】
(9)マスターは、版胴上の給版手段、係止手段により両端部とも固定されるので印刷中のマスターのズレは生じない。
【0047】
(10)給版手段、係止手段に装着されるマスターは常に1版分であるので、給版手段、係止手段は極軽量小型にすることができ、従来方法Bおよびその改良方法にくらべてプレスロールの逃げ巾量は少なくて済み、高速印刷時も版胴の慣性モーメントに変化が無く、スムーズな印刷ができる。
【0048】
(11)マスターの末端を係止する係止手段が自軸に回転自在であるので、排版部への引き出しが容易で、排版ジャムを起さない。
【0049】
(12)排版部が版胴回転系外にあるので、インキの滲み出し、飛び散りの問題を生じない。
【0050】
(13)給版、製版、巻装終了後において、版胴4に巻装されているマスターとマスターロールとは分離されており、相互に独立であるので、マスターロールの脱着交換は容易である。
【0051】
つぎに本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0052】
図1は本発明に用いる感熱孔版式製版印刷一体型の印刷装置の一実施例を示す概略側面図である。
【0053】
図2〜図6は図1に示される印刷装置を用いて孔版印刷を行なう工程を順に示す概略側面図である。
【0054】
図1において、1はマスターロールであり、感熱孔版マスターAが紙管などの巻芯に巻取られた形態のものである。2はロール2a、2bからなるマスターAの送りロール、3はカッターである。マスターロール1、送りロール2、カッター3は印刷装置の本体に保持されている。ロール2a、2bは相互に当接離隔可能に設けられている。
【0055】
4は版胴であり、中空円筒状で中空部にインキ供給装置11が設置されている。版胴4の外周壁はインキ通過性壁で構成されている。版胴4は中心を貫通する軸で装置本体に回転自在に取付けられており、装置本体に設けたモータに連結され、駆動回転されるようになっている。
【0056】
5は給版手段であり、給版手段5はマスターAの保持手段を構成するロール(以下、給版ロールという)6と、該保持手段の支持手段を構成するアーム(以下、給版アームという)7とからなっている。給版ロール6は給版アーム7の一端部に回転自在に取付けられている。アーム7の他端部は版胴4の回転中心軸の周りに回転自在に取付けられている。給版アーム7の回転により給版アーム6は版胴4の外周壁に沿って移動する。給版ロール6の回転駆動力は版胴4の駆動軸からクラッチを介して伝達される。給版ロール6の外周面にはマスターAを再剥離可能に固定するための手段が設けられている。このような手段としては、たとえば粘着剤などが利用でき、特別な装置は必要としない。
【0057】
8はプラテンロールであり、版胴4の外周壁に適宜の支持部材で自軸に回転自在に取付けられている。プラテンロール8は駆動回転させる必要はないが、マスターAの張力調整などのために駆動回転させるようにしてもよい。9はサーマルヘッド、9aはサーマルヘッドの発熱素子である。サーマルヘッド9は装置本体に設けられ、適宜の移動手段でプラテンロール8に当接する位置に移動可能である。なお、プラテンロール8を移動可能にして、これをサーマルヘッド9に当接させるようにしてもよく、あるいはプラテンロール8とサーマルヘッド9の両方を移動可能にして両者を当接させるようにしてもよい。
【0058】
10はマスターAの末端部を係止するための係止手段を構成するロール(以下、係止ロールという)である。係止ロール10は版胴4の外周壁に適宜の支持部材で自軸に回転自在に取付けられている。係止ロール10の外周面にはマスターAを再剥離可能に固定するための手段が設けられている。このような手段としては、たとえば粘着剤などが利用でき、特別な装置は必要としない。係止ロール10の回転駆動力は版胴4の駆動軸からクラッチを介して伝達される。
【0059】
12は印刷時に印刷用紙を版胴4に押し付けるためのプレスロールである。プレスロール12はバネなどの付勢力で版胴4の外周面に押付けられているが、マスターAの巻装時、印刷時において、給版ロール6が版胴4とプレスロール12の間を通過できるように版胴4の表面から所定の逃げ巾だけ後退できるようになっている。
【0060】
13はガイドロール、14はタイミングロールであり、印刷時に印刷用紙を版胴4とプレスロール12との間に供給するためのものである。
【0061】
15は排版手段であり、排版手段15は、ロール16a、16bからなる排版取出しロール16と使用済マスターの貯留室17から構成されている。排版取出しロール16は、たとえばその一方のロール16aの外周面に多数の突起を設け、マスターの掻き取りを容易にしている。
【0062】
本発明においては、前記のごとく、マスターロール1、カッター3、サーマルヘッド9および排版手段15(取出しロール16、貯留室17)は装置本体側に設けられている(すなわち、これらは版胴の回転系外に設けられている)。
【0063】
一方、給版手段5(給版ロール6、給版アーム7)は版胴4の外周壁に沿って移動可能に、プラテンロール8および係止ロール10は版胴4の外周壁に設けられている(すなわち、これらは版胴の回転系内に設けられている)。
【0064】
本発明において、給版ロール6の版胴4の外周壁からの半径方向における距離(飛び出し量)によって、プレスロール12の逃げ巾が決まる。したがって、給版ロール6は、マスターAを係止しうるかぎり、できるだけ直径の小さいものが好ましく、このように直径の小さい給版ロール6を版胴4の外周壁にできるだけ近接させて給版アーム7に取り付けるのが好ましい。そのためには、プラテンロール8および係止ロール10は、給版ロール6の版胴4の外周壁上の移動を妨げないように、版胴4の該周壁からできるだけ飛び出さないようにするのが好ましい。
【0065】
前記の観点から、プラテンロール8としては直径20〜30mm程度のもの、係止ロール10としては直径4〜5mm程度のものを用い、これらを要すれば版胴4の外周壁に設けた溝内に、外周壁からの飛び出し量が5mm以下になるように保持するのが好ましい。また給版ロール6としては直径4〜5mm程度のものを用い、このものを、前記プラテンロール8、係止ロール10と最近接時に1〜3mm程度の間隔を保持しうるように、給版アーム7に取付けるのが好ましい。
【0066】
また、本発明においては、給版ロール6は版胴4上を移動し、巻装が終了したときは所定の定位置にあり、給版アーム7は固定され、その後マスター末端が切断され、係止ロール10に係止されて印刷が開始されるのであるが、この印刷を開始する前に、給版アーム7における給版ロール6の支持位置を変更するようにしてもよい。たとえば、版胴4の外周壁の所定の位置に溝を設け、この溝内に給版ロール6を収納させるなどの手段が採用でき、このようにすれば印刷時における給版ロール6の飛び出し量を5mm以下とすることができる。
【0067】
このようにすることによって、印刷時におけるプレスロール12の逃げ幅を8mm以下にすることができる。
【0068】
また、本発明においては、給版ロール6の給版アーム7に対する取付け、および係止ロール10の版胴4の支持部に対する取付けを着脱自在にするのが好ましい。このようにすることによって、給版、製版、巻装後において、何らかの異常があった際に必要があれば、マスターAを版胴4から除去できる。
【0069】
つぎに図2を参照してマスターのセット方法を説明する。
【0070】
装置本体に保持されたマスターロール1からマスターAの先端を引き出し、装置本体に版胴近傍に設置されている送りロール2a、2b(この状態では離隔されている)の間を通したのちロール2a、2bを圧接せしめる。これに合せて、版胴4を図に示す位置に固定した状態で、給版アーム7を回転させ、給版ロール6が前記送りロール2に最近接する位置に移動させ、固定する。これに同期させて送りロール2a、2bを回転させマスターAを送り出し、同時に給版ロール6を回転させマスターAの先端部を巻き取る。このばあい、給版ロール6の回転は1回転以上で2回転以内でよい。給版ロール6による巻き取り速度は、送りロール2による送り出し速度より若干速くするのが好ましい。かくしてマスターAの先端部は給版ロール6に固定される。
【0071】
つぎに図3〜4を参照してマスターの製版、巻装方法を説明する。
【0072】
図3に示されるごとく、マスターAの先端部を給版ロール6に巻き取り固定したのち、版胴4は固定したまま、給版アーム7の固定を解除し、矢印方向に回転させ、給版ロール6を版胴4の外周壁上を移動させる。給版ロール6がプラテンロール8を通過した後、サーマルヘッド9を移動させ、プラテンロール8に圧接させ、製版を開始する。
【0073】
給版ロール6を製版送り出し速度に同期して版胴4の外周壁上を移動させ、マスターAを引き出しながら製版する。
【0074】
送り出しロールは、ニップされた状態で給版ロール6の移動によるマスターAの引き出しに従って従動回転するものであってもよく、あるいはマスターAの引き出し速度よりわずかに遅い速度でマスターAを送り出すように駆動回転するものであってもよい。
【0075】
マスターAの製版と版胴4への巻装が進行し、製版が終了した後、サーマルヘッド9をプラテンロール8から離隔させ、元の位置に戻す。
【0076】
引き続き給版ロール6を版胴4の外周壁上を移動させ、マスターAを所定長さ引き出した時点で給版アーム7を固定し、図4に示されるごとく、版胴4を、係止ロール10がカッター3に最近接する位置にくるように回転させる。この時点でのマスターAの状態は、マスターAの先端が給版ロール6に巻き取り固定され、マスターAの末端部は係止ロール10に接する状態でマスターロール1と一体化されている。
【0077】
図4に示される状態で、カッター3を作動させ、マスターAの末端を切断する。同時に係止ロール10を回転させて、マスターAの末端部を巻き取り固定したのち、係止ロール10の回転軸を固定する。
【0078】
これにより印刷開始の状態となる。
【0079】
印刷工程は、版胴4を回転させながら、印刷用紙をガイドロール13およびタイミングロール14により版胴4の外周壁とプレスロール12の間に供給することによって行なわれる。版胴4が1回転するごとに給版ロール6が版胴4の外周壁とプレスロール12の間を通過するが、前記のごとくプレスロール12の逃げ巾が小さいので、印刷時のプレスロール12の当接離隔に伴う騒音が小さく、またプレスロール12の当接打撃によるマスターの否み、損傷を防止でき、さらに装置の耐久性の低下も防止できる。
【0080】
つぎに図5〜6を参照してマスターAの排版方法を説明する。
【0081】
図5に示されるごとく、版胴4を、係止ロール10が取出しロール16に最近接する位置まで回転させ停止させる。排版手段15を係止ロール10の方向に移動させ、取出しロール16の一方のロール16aを係止ロール10上のマスターAに接触させ、係止ロール10の回転軸の固定を解除し、自転可能したのち、取出しロール16を回転させ、マスターAを掻き取る。取出しロール16の回転開始と同時に給版アーム7の回転軸の固定も解除し、回転可能にする。
【0082】
取出しロール16の回転によりマスターAが係止ロール10から掻き取られ、さらに取出されるのに伴って、給版ロール6が引っ張られ、版胴4の外周壁上を移動して取出しロール16の方に近づく。
【0083】
図6に示されるごとく、給版ロール6が取出しロール16に近接した状態で給版ロール6の回転軸の固定を解除し、給版ロール6を回転可能にすることにより、給版ロール6上のマスターAを完全に掻き取り、取出しロール16の回転を停止させ、排版を終了する。
【0084】
その後、版胴4および給版アーム7を図2に示される所定の位置に移動させる。かくしてつぎの製版の待機状態となる。
【0085】
本発明の孔版印刷方法は、感熱孔版マスターとして実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものを使用するばあいに好適である。
【0086】
前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、厚さ1.5〜8μmのフィルムが好ましく使用される。熱可塑性樹脂フィルムのサーマルヘッドに接する面にはスティッキングを防止するための融着防止層を設けてもよい。熱可塑性樹脂フィルムの片面または両面(融着防止層を設けるばあいは、その面上)に帯電防止層を設けてもよい。
【0087】
前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、二軸延伸フィルムであって、結晶融解熱が11cal/g以下、融点が240℃以下、最大加熱収縮応力が400g/mm2以上の共重合ポリエステルフィルムが好ましく用いられる。また塩化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのフィルムも使用できる。
【0088】
また熱可塑性樹脂フィルムは単層であってもよく、複層であってもよい。複層のばあい、一方の層を均質なフィルム状とし、他方の層を繊維状の多孔質スクリーン状の形態とすれば、他方の層は熱穿孔に関与せず、もう一方の熱穿孔フィルムの支持補強層とすることができる。
【0089】
本発明に用いるマスターは、1%伸張時の引張強度が100gf/cm巾以上であるのが好ましい。このようなマスターを用いることにより、マスターにたるみ伸びが生じないように、マスターの引き出し、製版、巻装の際に常に適切な伸張力をかけておくことができる。
【0090】
【発明の効果】
本発明の孔版印刷方法によれば、画像部の繊維目模様の発生がなく長尺のマスターロールを使用でき、マスターの製版、巻装時にジャム、破断、シワ、ズレが発生せず、プレスロールの逃げ巾が小さく騒音、損傷が防止され、さらに排版部からのインキの滲み出し、飛び散りが生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の孔版印刷方法に用いる感熱孔版式製版印刷一体型印刷装置の一実施例を示す概略側面図である。
【図2】本発明の孔版印刷方法におけるマスターのセット工程を示す概略側面図である。
【図3】本発明の孔版印刷方法におけるマスターの製版、巻装工程の初期段階を示す概略側面図である。
【図4】本発明の孔版印刷方法におけるマスターの製版、巻装工程の最終段階を示す概略側面図である。
【図5】本発明の孔版印刷方法におけるマスターの排版工程の初期段階を示す概略側面図である。
【図6】本発明の孔版印刷方法におけるマスターの排版工程の最終段階を示す概略側面図である。
【符号の説明】
A 感熱孔版マスター
1 マスターロール
2、2a、2b 送りロール
3 カッター
4 版胴
5 給版手段
6 給版ロール
7 給版アーム
8 プラテンロール
9 サーマルヘッド
10 係止ロール
11 インキ供給装置
12 プレスロール
13 ガイドロール
14 タイミングロール
15 排版手段
16、16a、16b 排版取出しロール
17 貯留室
Claims (7)
- 感熱孔版マスターにサーマルヘッド素子を接触させ、素子の選択的発熱により穿孔画像を形成して製版し、えられた製版マスターを、内周面にインキ供給装置を有し、中心軸の周りに回転する版胴の外周に巻装して印刷する感熱孔版式製版印刷一体型印刷装置による孔版印刷方法であって、前記マスターとして、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものであって、ロール状に巻き取られた形態のものを用い、前記マスターを版胴の回転系外にセットし、版胴の回転系内に設けた給版手段で引き出し、版胴に巻装すると共に、巻装に伴って、版胴の回転系外に設けたサーマルヘッドと版胴の回転系内に設けたプラテン部を圧接して製版を行い、製版巻装が終了後前記マスターの末端を切断し、該切断端部を版胴の回転系内に設けた係止手段で保持したのち印刷を行い、印刷終了後版胴の回転系外に設けた排版手段により前記マスターを排版することを特徴とする孔版印刷方法。
- 前記感熱孔版マスターの1%伸長時の引張強度が100gf/cm巾以上であることを特徴とする請求項1記載の孔版印刷方法。
- 前記版胴の回転系内に設ける給版手段が前記マスターの保持手段とその支持手段とからなり、該支持手段が版胴の回転中心軸の周りに版胴と相対的に回転自在であり、その回転が製版送り速度と同調されていることを特徴とする請求項1または2記載の孔版印刷方法。
- 前記給版手段の保持手段が、円筒状で、自軸の周りに回転可能であることを特徴とする請求項3記載の孔版印刷方法。
- 前記マスターの切断端部を係止する係止手段が、円筒状で、自軸の周りに回転可能であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の孔版印刷方法。
- 前記給版手段の保持手段が前記支持手段に着脱自在に取付けられていることを特徴とする請求項3、4または5記載の孔版印刷方法。
- 前記マスターの切断端部を係止する係止手段が版胴に設けられた支持部に着脱自在に取付けられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の孔版印刷方法。
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1995
- 1995-11-09 JP JP29135295A patent/JP3662315B2/ja not_active Expired - Lifetime
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