JP3650975B2 - 改善されたアクリロニトリル系重合体溶融物の 製造方法 - Google Patents

改善されたアクリロニトリル系重合体溶融物の 製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高温加圧下における可塑化により溶融したAN系重合体中に残存する単量体の除去方法に関するものであり、さらに詳しくは水及びANを可塑剤として120℃以上の温度でかつ自生圧以上の加圧下で存在するAN系重合体溶融物から、その温度・圧力のままで単量体あるいは水を除去し、単量体の減少されたAN系重合体溶融物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にAN系重合体は融点が熱分解温度より高いために加熱溶融する事が困難であるが、AN系重合体を少量の特定の非溶剤の存在下に高温加圧処理すると該重合体と非溶剤とが均相な溶融物となり、ポリエステル、ポリアミドの溶融物の如き流動性を示すことが知られており、かかる溶融物を繊維等に成形する方法も、例えば米国特許第3388202号明細書、特開昭48−28982号公報、特開昭48−49839号公報、特開昭48−52832号公報等に見出される如く、いくつか提案されるに至っている。特にこれらの方法の多くは、AN系重合体に対する非溶剤として水を使用するものであって、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ロダン塩水溶液、濃硝酸等の如き従来から用いられている高価な溶剤を使用せず、AN系重合体の成形体が得られるところに著しい特徴を有するものである。
【0003】
さらに、かかるAN系重合体の溶融現象を重合系に応用することにより、ANの重合と同時にAN系重合体の溶融物を製造する方法が例えば特開昭50−97683号公報、特開昭54−30281号公報、特開昭54−23724号公報、特開昭54−93122号公報として提案されるに至り、製造プロセス短縮化・コストダウン・省資源・無公害プロセス等の観点から、プラスチック、フィルム、繊維等の成形体製造方法として注目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の発明において提案された、AN単独またはANを主成分とする単量体混合物(以下、単にAN系単量体混合物ともいう)の重合と同時に、AN系重合体の溶融物を製造する方法の場合、あるいは特開昭51−101061号公報に見られる通り、単量体であるANを可塑化効果を高める可塑化剤として用いた場合、いずれも成形直後の成形体にはANを主成分とする未反応状態の単量体および可塑化剤としてのAN単量体を含んでいる。
【0005】
AN単量体はその毒性故に最終製品に含まれていてはならない事が厳格に要求される。よって最終製品に至るまでには完全に除去されていなければならず、このために上記の方法により成形された製品は、例えば繊維製造の場合は長時間をかけて水中あるいは熱水中に繊維を浸漬させて洗浄する事によってAN系単量体混合物を除去する設備が必要となる。該単量体の除去用設備は生産のラインスピードを上げるにつれて水平方向に長くしたり、また垂直方向に多段化するなどして単量体除去に必要な時間を稼ぐ必要があった。従って長大な設備スペースの専有、操作性の低下、ひいては製造コストのアップや生産性の低下を引き起こしていた。このように成形後の製品からAN系単量体混合物を除去する事は設備上および操業上多くの問題点や不利益点を内在している。従ってAN系重合体溶融物からAN系重合体成形物に成形する前に、AN系単量体混合物を除去する事が該溶融物の工業的利用において望ましい。
【0006】
また例えば特開昭54−30281号公報においては出来上がったAN系重合体を水との共存下に溶融せしめるために、概ね120℃以上の温度かつ自生圧以上の加圧下という重合工程条件を採用しているため、かかる重合時に残留した単量体除去に際し、溶融物を収容する容器内の温度及び圧力を維持したまま行う必要がある。仮に単量体除去方法としてよく利用されている減圧下での蒸発操作を行った場合には、溶融状態にあったAN系重合体中から、可塑化剤として作用していた水及び/又はAN系単量体混合物が急激な沸騰を伴って蒸発除去されるため温度低下を起こし、溶融物は融点以上の温度を維持できなくなり、更に具体的には溶融物が部分的にあるいは全てが固化するなどの事態を招き、最終的には流動性のある均一な溶融物は得られない。このように、溶融状態を有しながら単量体は含まないというAN系重合体溶融物は未だ得られていないのが現状である。
【0007】
本発明の目的は、AN系重合体溶融物からAN系単量体混合物を含まないAN系重合体の成形体を得るために単量体を除去する容易な方法を提供する事にある。さらに詳しくは、AN系重合体が水及び/又はAN系単量体との共存下に溶融物として存在する高温加圧下という条件の下に、単量体及び/又は水の除去方法を提案する事にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高温加圧下における単量体の除去方法に関し鋭意研究を続けてきた。その結果、重合体溶融物を収容する容器内の温度と圧力を維持したまま、該容器外部から該容器内の気相部に飽和水蒸気、過熱水蒸気及び不活性気体の内のいずれか、もしくはこれらを選択的に組み合わせて導入する事によって、該気相部に蒸発している単量体を該容器外部にいとも簡単に除去出来る方法を見出し、本発明の完成に至った。
【0009】
即ち本発明は、120℃以上の温度でかつ自生圧以上の加圧下で溶融状態を維持できる量の水及びANを主とする単量体を含み、AN単独、またはANを主成分とし残部が少なくとも1種の他のエチレン系不飽和化合物からなるAN系重合体溶融物から、該溶融物を収容する容器内の温度と圧力を前記範囲内に維持したまま該容器内の気相部に飽和水蒸気、過熱水蒸気及び不活性気体から選ばれる気相状媒体を導入し、該溶融物中より単量体及び/又は水を置換除去する事を特徴とするAN系重合体溶融物の製造方法であり、
【0010】
さらに本発明は、
上記の方法において、溶融物を収容する容器として、「溶融物の液相容積VL 3 に対する溶融物が気相に接する面の面積SL 2 の比α(SL ÷VL )が10以上」となるものを使用する事も包含する。
かかる発明によって、高温加圧下における単量体の除去方法が提供され、「単量体」としてのAN系単量体混合物を含有しないAN系重合体溶融物あるいは成形体が得られる。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明における単量体とは、AN単独または、ANを主成分とし残部が少なくとも1種の他のエチレン系不飽和化合物からなる単量体混合物であり、具体的には、ANと共重合し得る公知の不飽和化合物、例えば塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸およびこれらの塩類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等の不飽和ケトン類;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリルアミドおよびそのアルキル置換体;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸およびこれらの塩類;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレンおよびそのアルキルまたはハロゲン置換体;アリルアルコールおよびそのエステルまたはエーテル類;ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の塩基性ビニル化合物;アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和アルデヒド類;メタクリロニトリル、シアン化ビニリデン等の不飽和ニトリル類;グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート等の架橋性ビニル化合物をあげることができる。
【0012】
また、本発明における単量体は、主に重合反応時の未反応単量体として扱われ、AN系重合体溶融物中に存在する場合が多い。しかしなから、AN系単量体混合物を一切含有しないAN系重合体溶融物中に、AN系単量体混合物をフィードし、何らかの操作、例えばAN系単量体混合物を可塑化剤として作用させる操作を経た後に該単量体を除去しようとする場合においても適用できる。よって本発明において単量体が溶融物中に存在する経緯を何ら制約するものはない。
【0013】
なお、AN系重合体溶融物中のAN系単量体混合物の濃度に特別な限定範囲はないが、重合時の未反応単量体として扱う場合においては溶融物に対し、概ね0.1〜20重量%程度が通常である。
【0014】
図1では、本発明が組み込まれたAN系成形体の製造プロセスに関する基本的なフローの一例を示した。重合工程1にあってはその方式が連続式、回分式のいずれであってもよく温度及び圧力条件は各々120℃以上、自生圧以上である。接続配管2によって接続された単量体除去工程3も該重合工程1の方式に合わせて連続式、回分式を選択する事が可能である。該単量体除去工程での温度は概ね重合工程の温度条件と等しく、また圧力は設備および接続配管を溶融物が通過する際に生じる抵抗分を差し引いても溶融物の自生圧力以上である。次いで単量体の除去されたAN系重合体溶融物は接続配管4を通過した後、成形工程5に移送されAN系単量体混合物を含まない状態で所定の形状に成形されて製品となる。
【0015】
また図2では、本発明の製造方法の一例として単量体除去設備の詳細を示した。AN系単量体混合物を含有するAN系重合体溶融物は接続配管2から単量体除去用の容器6に供給される。該容器6は溶融物を収容するための温度・圧力には十分耐え得る構造を持っており、さらに該容器6に供給された溶融物は加熱装置16によって所定温度に制御できるようになっている。
【0016】
そして容器6の内部は溶融物が満たされた液相部15と気相部8を有しており、該液相部15及び該気相部8との境界表面から該気相部8に向かいAN系単量体混合物が蒸発している。また気相部8に蒸発したAN系単量体混合物を置換除去するために、該容器6内の気相部8に直結し、飽和水蒸気・過熱水蒸気・及び不活性気体のいずれか、もしくはこれらを選択的に組み合わせた気相状媒体を供給可能な導入配管9を敷設している。ただし、加熱されていない気相状媒体を容器内に導入する場合にあっては、該容器入口直前に加熱装置を併設しておくことが望ましい。
【0017】
さらに導入配管9の容器6への入口直前には、該容器6内気相部8の圧力を検出して所定の圧力に制御すべく設けられた、制御ループ11から出力される信号を受けて動作する圧力制御用自動弁10を取り付けて、気相部8の圧力を一定に維持させると同時に、気相部8に蒸発したAN系単量体混合物は、自動開閉弁14が取り付けられた排出配管13を経由してプロセス系外に除去される。なお容器6内の溶融物は、モータ12によって駆動される攪拌翼7によって気相部8と液相部15との境界表面を絶えず更新され、AN系単量体混合物の蒸発が促進される構造になっている。
【0018】
なお、上述の説明では自動開閉弁14をある程度の「開」状態としておき、それによって低下する気相部8の圧力を検出し、圧力制御用自動弁10を作動せしめて圧力制御する態様を示した。しかし、自動弁10をある程度の「開」状態としておき、制御ループ11の出力信号を開閉弁14に送って圧力制御する態様も、もちろん採用し得る事は言うまでもない。
【0019】
本発明の基本原理は、高温加圧状態に維持された溶融物を収容する容器の気相部に、飽和水蒸気・過熱水蒸気・及び不活性気体のいずれか、もしくはこれらを選択的に組み合わせて容器内に導入する事であるため、溶融物を収容する容器にあってはいかなる形状のものであっても適用できる。本発明の一例として記載した前述の如き攪拌翼付きの縦型タンク形状のもの以外に、横型のタンクやスクリュー軸を持った押出機あるいは混練機であってもよい。
【0020】
また、上述の説明では、単量体の系外への除去について述べたが、溶融物が可塑剤としての水を含む場合、水も除去される事は当然である。そして溶融物液相中の単量体や水の濃度が減少するのである。ただし系内に導入する気相状媒体の種類によっては、例えば水蒸気が導入される場合には、必ずしも液相中の水が減少しないこともあるが、単量体はどんな場合にも減少せしめられ、所期の目的である毒性の心配される単量体を含まない成形体の提供に寄与するのである。
【0021】
次に本発明において、望ましくは、溶融物を収容する容器として、α≧10であるものを使用するのがよく、これによって単量体除去効率すなわち単位時間当たりの単量体除去量を高められる事も判明した。更に検証を続けた結果、αが大きいほど該単量体除去効率の向上を見る反面、設備が複雑化・高コスト化して経済的・実用的でなくなるため、特に制約がある場合を除いて実用的なαの範囲は100〜1,000が妥当である。なお、該αが10未満では、単量体除去効率が低く、高温加圧下に該溶融物が長時間滞留するためか、溶融物からの成形体に着色や分子量低下が現れやすくなるなどの不具合が生ずる。
【0022】
【実施例】
本発明の「改善されたアクリロニトリル系重合体溶融物の製造方法」を、以下の回分式小規模設備の実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
実施例1
組成比でAN単独ポリマー50重量%、水45重量%、AN単独単量体5重量%からなる溶融物2kgを、図3に示す如くヘリカルリボン式の攪拌翼7を持つ容量3lの容器6中で温度175℃・絶対圧力9.0kg/cm2 の高温加圧条件下で収容している。ここで、導入配管9に付属の自動開閉弁22を開くと共に圧力制御用自動弁10を作動させ、同時に排出配管13の自動開閉弁14を開き、容器6内の圧力を維持させたまま、容器6内気相部8に絶対圧力9.1kg/cm2 の飽和水蒸気の導入を開始した。ちなみに流量計21の指示値は概ね1時間当たり2kgを示している。気相部8から置換除去するAN単量体蒸気及び水蒸気は排出配管13を経由して排出させ、該排出配管13に取り付けられたコンデンサー17によって凝縮させてサンプル瓶19に溜めた。
【0024】
飽和水蒸気の導入開始から90分経過した時点で、容器6内の圧力を維持させたまま排出配管13に敷設の自動開閉弁14及び飽和水蒸気の導入配管9に敷設の自動開閉弁22を閉止して容器6内への飽和水蒸気の導入を止めた。容器6の温度がほぼ室温に低下するまで待ち、該容器6の内圧がほぼ大気圧力に達した段階で容器6の蓋を開け、容器6の壁面及びヘリカルリボン式の攪拌翼7に付着した含水した固形状ポリマー1,125g、該固形状ポリマーとは完全に分離した水650g、及びサンプル瓶19内の凝縮液を採取した。
【0025】
秤量器20が示したディジタル値、即ちAN単量体と水の凝縮液総重量は2,900gであり、また凝縮液のAN濃度から換算したAN単量体凝縮液重量は99gであった。容器6内より採取した固形状ポリマー及び水の中からはAN分が検出されなかった事から、AN単量体の残分つまり仕込み時の重量100gから除去した単量体の凝縮液重量99gを差し引いた重量1gは、サンプル瓶19の外部に飛散したものと見られるが、結果的にはAN単量体を含まない固形状ポリマー(成形体)を得る事ができた。この事は、容器6を開く前つまり冷却前にはAN単量体の除去された溶融物が得られていた事を証するものである。また本実施例1では、概ねポリマー80に対して20重量%の水がANポリマーと結合してAN溶融物となり、残分の水はANポリマーの溶融には関与せず、そのまま容器6内に滞留したものと判断される。
【0026】
実施例2
導入配管9から175℃に加熱した窒素(不活性気体)を240l/Hの割合で導入する事以外は、実施例1と同様の操作を実施した。秤量器20が示したディジタル値は700g、また実施例1と同様AN濃度から換算したAN単量体の凝縮液重量は99gであり、実施例1とほぼ同レベルの単量体除去効率となった。
【0027】
蓋を開いたところ、容器6壁面及びヘリカルリボン式の攪拌翼7に固化して付着したANの検出されない含水固形状ポリマー1,175gのみを得るにとどまり、実施例1の如く固形状ポリマーと完全に分離した水は一切採取できえなかったが、AN単量体を含まない固形状ポリマー(成形体)を得る事ができた。
【0028】
本実施例2の実施例1との相違点は、単量体を置換除去するための気相状媒体が飽和水蒸気であるかあるいは窒素であるかであり、前者の場合は容器内の水を除去できず、後者の場合は容器内の水をも除去できる事にある。換言すれば単量体を置換除去するための気相状媒体を窒素とした本実施例2では、溶融物の可塑剤として存在している水の量を減少方向に調節できる事を意味しており、容器内のポリマー対水の比率を制御・調整しながら単量体を除去して且つポリマー分の濃縮された溶融物の形成が可能であるという本発明の特徴を表している。
【0029】
実施例3
導入配管9から過熱水蒸気(絶対圧力が3.0kg/cm2 で133℃の飽和蒸気を、175℃に加熱した蒸気)及び175℃に加熱した窒素をそれぞれ1kg/H、120l/Hの割合で導入する事以外は、実施例1と同様の操作を実施した。容器6の壁面及びヘリカルリボン式の攪拌翼7に付着した固形状ポリマー1,140g、該固形状ポリマーとは完全に分離した水100g、及びサンプル瓶19内の凝縮液1,900gを採取した。なお、この場合も固形状ポリマー及び水の中からはAN分が検出されなかった。
【0030】
実施例4
図4に示す如く、溶融物を収容する容器の内部において溶融物自体を薄膜化する事によって表面更新効果を高める機能を持った2軸横型リアクタの容器23に変更し、更に飽和水蒸気の導入開始から45分経過した時点で該容器内への飽和水蒸気の導入を止めた事以外は実施例1と同様の操作を実施した。
【0031】
さらに図5では容器23の断面図を示した。実施例1で示した容器内部の状態と同様に気相部8及び液相部15を持っているが、相違点は攪拌翼形状にあり、気相部8と液相部15の境面では溶融物の薄膜24が発生している。この時のαはちなみに500である。
【0032】
秤量器20が示したディジタル値、即ちAN単量体と水の凝縮液総重量は2,000gであり、また凝縮液のAN濃度から換算したAN単量体凝縮液重量は99gであった。実施例1と同様に2軸横型リアクタの翼部に付着した固形状ポリマー及び該ポリマーと完全に分離した水の中からはAN分が検出されなかった。
【0033】
単量体除去操作時間を2分の1に短縮しても、最終的に得られたポリマー中から検出されるANがなかった事から、単位時間当たりの単量体除去量(除去効率)は向上している。容器内で溶融物を薄膜化する事によって薄膜液相部の表面積が増加し、単位時間当たりの単量体の気相部への蒸発量が増加したものと推測した。
【0034】
【実施例】
【0035】
比較例1
容器6内への飽和水蒸気の導入を実施しなかった事以外は、実施例1と同様の操作を実施例1の装置で実施した。蓋を開くと同時に容器6内部よりAN単量体の臭気が漂ったが、容器6の壁面及びヘリカルリボン式の攪拌翼7に付着した固形状ポリマー、及び該固形状ポリマーと完全に分離した水を採取できAN単量体重量の測定に成功した。しかしながら固形状ポリマー中のAN単量体濃度は50重量ppm、水中のそれは9重量%であり、得られた固形状ポリマー(成形体)は有害物質を多量に含んでいることから実用に供する事はできなかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明の方法による溶融物からは、従来より使用を余儀無くされてきた成形体の水中あるいは熱水中への浸漬水洗方式による長大な単量体除去工程を短縮あるいは省略できるだけでなく、単量体を含まない人体に安全な製品の提供、製品コストの低減などが可能となる。また、単量体の除去だけでなく、重合体濃度の調整された溶融物も与える事ができる。本発明の溶融物は適宜な成形工程を経る事により、繊維、フィルム、シート他多岐の成形体に賦形する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単量体除去工程の位置づけを示す図である。
【図2】本発明方法の概念を示す図である。
【図3】本発明の一実施例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例を示す図である。
【図5】図4の容器の断面図であり、気相に接する溶融物の表面積を大きく取り得る設備を用いた時の液相表面を示す図である。
【符号の説明】
1 重合工程
2 接続配管
3 単量体除去工程
4 接続配管
5 成形工程
6 容器
7 攪拌翼
8 気相部
9 導入配管
10 圧力制御用自動弁
11 制御ループ
12 モータ
13 排出配管
14 自動開閉弁
15 液相部
16 加熱装置
17 コンデンサー
18 底排弁
19 サンプル瓶
20 秤量器
21 流量計
22 自動開閉弁
23 容器
24 溶融物の薄膜

Claims (2)

  1. 120℃以上の温度でかつ自生圧以上の加圧下で溶融状態を維持できる量の水及びアクリロニトリル(以下、ANとも言う)を主とする単量体を含み、AN単独、またはANを主成分とし残部が少なくとも1種の他のエチレン系不飽和化合物からなるAN系重合体溶融物から、該溶融物を収容する容器内の温度と圧力を前記範囲内に維持したまま該容器内の気相部に飽和水蒸気、過熱水蒸気及び不活性気体から選ばれる気相状媒体を導入し、該溶融物中より単量体及び/又は水を置換除去する事を特徴とするAN系重合体溶融物の製造方法。
  2. 溶融物を収容する容器として、溶融物の液相容積VL 3 に対する溶融物が気相に接する面の面積SL 2 の比(以下、αとも言う)=SL ÷VL が10以上であるものを使用する事を特徴とする請求項1記載のAN系重合体溶融物の製造方法。
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