JP2003147016A - 重合体ラテックスの残留モノマー除去方法 - Google Patents

重合体ラテックスの残留モノマー除去方法

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JP2003147016A
JP2003147016A JP2001344353A JP2001344353A JP2003147016A JP 2003147016 A JP2003147016 A JP 2003147016A JP 2001344353 A JP2001344353 A JP 2001344353A JP 2001344353 A JP2001344353 A JP 2001344353A JP 2003147016 A JP2003147016 A JP 2003147016A
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latex
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ppm
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Shinichi Kondo
伸一 近藤
Hisato Iwadare
久人 岩垂
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Nippon Zeon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】使用する循環ポンプや外部熱交換器内で詰まり
を発生させることなく効率よく重合体ラテックスの残留
モノマーを除去する方法を提供する。 【解決手段】残留モノマーの含有量が100ppmから
1000ppmの重合体ラテックスを外部熱交換器との
間に循環回路を設けた蒸発タンク内に収容し、該重合体
ラテックスを前記循環回路を介して強制循環させながら
前記外部熱交換器により加熱して前記重合体ラテックス
中の残留モノマーを蒸発除去させることにより、前記残
留モノマーの含有量を50ppm以下に低減することを
特徴とする重合体ラテックスの残留モノマー除去方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は重合体ラテックス中
の残留モノマーを除去する方法に関し、更に詳しくは、
外部熱交換器との間に循環ラインを設けた蒸発タンク内
に重合体ラテックスを収容し、前記外部熱交換器により
重合体ラテックスを加熱させると同時に、前記蒸発タン
ク内を減圧にして重合体ラテックス中の残留モノマーを
除去する方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】重合終了後の重合体ラテックスには、通
常未反応モノマー(以下、「残留モノマー」という。)
などが含まれている。この残留モノマーが製品である重
合体ラテックスに含まれていると、製品であるラテック
スを使用する際に作業環境上の問題が生じる。そのた
め、従来から重合終了後の重合体ラテックスから残留モ
ノマーを除去することが行われている。
【0003】従来、重合終了後の重合体ラテックス中に
残留している残留モノマーを除去する方法としては、重
合体ラテックスが収容されたタンク内にスチームを通過
させる方法や、多段塔内で重合体ラテックスとスチーム
を向流接触させるいわゆるスチームストリッピング法が
知られている。特に、多段塔の塔頂から重合体ラテック
スを流下させ、塔底から水蒸気を吹き込む多段塔ストリ
ッパー方式は、効率的に揮発性物質を除去できるため、
広く用いられている。しかしながら、この方式では塔内
で発生した凝集物がトレイ部分で詰まりを生じ、トレイ
部分を定期的にクリーニングする必要があり、多くの人
手と時間を要していた。
【0004】また、重合体ラテックスを濃縮する方法と
しては、蒸発法や限外濾過膜法などが知られているが、
簡便性などの観点から蒸発法が用いられることが多い。
蒸発法は、重合体ラテックスを加熱し、減圧雰囲気下で
水分を蒸発させる方法である。蒸発法に用いられる装置
としては、薄膜式蒸発器またはタンク式蒸発器が挙げら
れる。
【0005】薄膜式蒸発器を用いる場合には、薄膜式蒸
発器は一般に高価であり、しかも蒸発器内で凝集物が発
生する場合があるため、加熱温度を下げざるを得ないこ
とがあり、必ずしも効率的ではない。タンク式蒸発器を
用いる場合には、重合体ラテックスをタンクと加熱のた
めの外部熱交換器との間を強制的に循環させながら加熱
し、かつ、タンク内を減圧に保持し、タンク内で水分を
蒸発させる。これらの蒸発法による濃縮においては、水
分とともに残留モノマーも水蒸気蒸留の原理によって除
去される。
【0006】このようなタンク式蒸発器を用いる残留モ
ノマーを濃縮する方法としては、例えば、特開平4−2
92604号公報には、内部に攪拌機を備え、外部熱交
換器との間に循環回路を備えた蒸発タンクに重合体ラテ
ックスを収容し、外部熱交換器で加熱した重合体ラテッ
クスを蒸発タンク内の攪拌機の攪拌翼の位置よりも下部
に戻すように強制循環して、蒸発タンク内の重合体ラテ
ックスを昇温させるとともに、減圧下に攪拌しながら、
発生した水蒸気により重合体ラテックス中の揮発性物質
をストリッピングし、蒸発タンクから水蒸気および揮発
性物質を同時に除去することを特徴とするバッチ式によ
る重合体ラテックスのストリッピングおよび濃縮方法が
開示されている。
【0007】しかしながら、残留モノマーを数%含有す
る重合体ラテックスを上記濃縮方法により処理した場合
には、循環させるための循環ポンプや外部熱交換器内で
詰まりが発生して運転が不可能となる場合があった。特
に機械的安定性の悪い重合体ラテックスを処理した場合
に、このような事態が多く発生し、作業効率上問題とな
っていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる問題
の解決を図るべくなされたものであって、使用する循環
ポンプや外部熱交換器内で詰まりを発生させることなく
効率よく重合体ラテックスの残留モノマーを除去する方
法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討した結果、残留モノマーを数
%含有する重合体ラテックスを外部熱交換器で循環処理
して残留モノマーを除去する場合において、重合体ラテ
ックスに含まれる残留モノマー濃度を100ppmから
1000ppmに低減した後に循環処理を行うと、循環
ポンプや外部熱交換器内で詰まりが発生するのを効果的
に防止することができることを見出し、本発明を完成す
るに到った。
【0010】かくして本発明によれば、残留モノマーの
含有量が100ppmから1000ppmの重合体ラテ
ックスを外部熱交換器との間に循環回路を設けた蒸発タ
ンク内に収容し、該重合体ラテックスを前記循環回路を
介して強制循環させながら前記外部熱交換器により加熱
して前記重合体ラテックス中の残留モノマーを蒸発除去
させることにより、前記残留モノマーの含有量を50p
pm以下に低減することを特徴とする重合体ラテックス
の残留モノマー除去方法が提供される。
【0011】本発明の除去方法においては、前記外部熱
交換器として、プレート式熱交換器を用いるのが好まし
く、前記残留モノマーの含有量が100ppmから10
00ppmの重合体ラテックスが、重合終了後の重合体
ラテックスを収容したタンク内を減圧にして残留モノマ
ーを蒸発させる方法によって得られたものであるのが好
ましい。
【0012】また、本発明の除去方法においては、前記
残留モノマー除去後の重合体ラテックスがマロン機械的
安定性試験による凝固率が1000ppm以上の重合体
ラテックスであるのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の残留モノマーの除
去方法を、(1)重合体ラテックス、(2)残留モノマ
ー低減工程および(3)残留モノマー除去工程に項分け
して詳細に説明する。
【0014】(1)重合体ラテックス 本発明の方法が適用できる重合体ラテックスとしては、
例えば、イソプレンゴムラテックス、ブタジエンゴムラ
テックス、ポリ酢酸ビニル系ラテックス、ポリアクリル
酸エステル系ラテックス(アクリルエマルジョン)など
の共役ジエン単独重合体ラテックス;スチレン−ブタジ
エン共重合体ラテックス、スチレン−ブタジエン−メタ
クリル酸メチル共重合体ラテックス、スチレン−ブタジ
エン−アクリロニトリル共重合体ラテックス、スチレン
−ブタジエン−メタクリル酸メチル−アクリロニトリル
共重合体ラテックス、スチレン−ブタジエン−ビニルピ
リジン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体ラテックス、クロロプレンラテックス、メ
タクリル酸メチル−ブタジエン共重合体ラテックス、ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、カル
ボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、
カルボキシ変性スチレン−ブタジエン−メタクリル酸共
重合体ラテックス、カルボキシ変性スチレン−ブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体ラテックス、カルボキシ
変性スチレン−ブタジエン−メタクリル酸メチル−アク
リロニトリル共重合体ラテックスなどの共重合体ラテッ
クス;などが挙げられる。
【0015】これらの中でも、本発明は、残留モノマー
除去後のマロン機械的安定性試験による凝固率が100
0ppm以上の、機械的安定性が悪く、凝集しやすい重
合体ラテックスを対象とするのが好ましい。マロン機械
的安定性試験による凝固率は、固形分濃度40%の水性
重合体分散液からなる組成物(重合体ラテックス)10
0gをマーロン式機械的安定性試験機(熊谷理機(株)
製)を用いて、加重10kgで10分間攪拌した後、8
0メッシュの金網でろ過し、金網に残った凝集物の乾燥
重量を測定し、水性重合体分散液中の固形分に対する割
合(%)で示される値である。
【0016】重合体ラテックスは、通常、重合性モノマ
ー、乳化剤及び水溶性の重合開始剤を用いて乳化重合さ
せることにより製造することができる。乳化重合に用い
られる重合性モノマーとしては、例えば、ブタジエン、
イソプレンなどの共役ジエン系モノマー;スチレン、ビ
ニルピリジンなどの芳香族ビニル化合物モノマー;アク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸プロピルなどのアクリル系モノマー;アクリロニ
トリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系モノマー
の1種またはこれら2種以上の組合せなどが挙げられ
る。また、カルボキシ変性共重合体ラテックスを得る場
合には、上記重合性モノマーに加えて、アクリル酸、メ
タクリル酸などのカルボン酸モノマー;無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水フタル酸などの酸無水物モノ
マー;などが用いられる。
【0017】乳化重合に用いられる乳化剤としては、例
えば、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸のアルカリ土類
金属塩、スルホン酸のアルカリ金属塩、スルホン酸のア
ルカリ土類金属塩、ロジン酸のアルカリ金属塩、ロジン
酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。これらは1
種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0018】重合法としてはラジカル重合法が採用され
る。また、重合方式としては、バッチ重合、セミバッチ
重合などが挙げられる。少量多品種の重合体ラテックス
を生産する場合には、一般的にバッチ方式が採用され
る。
【0019】(2)残留モノマー低減工程 本発明は、残留モノマーの含有量が100ppmから1
000ppm、好ましくは400ppmから1000p
pmの重合体ラテックスを用いて、残留モノマーの除去
を行なうことを特徴とする。
【0020】残留モノマーの含有量が100ppmから
1000ppm、好ましくは400ppmから1000
ppmの重合体ラテックスを得るためには、重合反応終
了後、残留モノマー除去工程の前に、重合体ラテックス
に含まれる残留モノマーの含有量を100ppmから1
000ppm、好ましくは400ppmから1000p
pmに低減させる工程(以下、「低減工程」ともい
う。)を設けるのが好ましい。低減工程を設けることに
より、重合体ラテックスを得る重合反応工程から残留モ
ノマーを除去するまでの工程を連続的に行なうことがで
きる。ここで、「残留モノマーの含有量」とは、濃度4
0重量%の重合体ラテックスに換算した全量(重量基
準)に対する、それに含まれる未反応モノマーの全ての
量をいう。
【0021】重合終了後の重合体ラテックスには不純物
が多く含まれている。含まれる不純物としては、未反応
モノマー、重合開始剤、水溶性ポリマーなどが挙げられ
る。これらの中でも未反応の残留モノマーは数千ppm
から数万ppmの濃度で含まれている。このような残留
モノマーを多く含む重合体ラテックスをそのまま残留モ
ノマー除去工程に供する場合には、循環させるための循
環ポンプや外部熱交換器内で詰まりが発生して運転が不
可能となるおそれがある。
【0022】本発明によれば、残留モノマーの含有量が
100ppmから1000ppm、好ましくは400p
pmから1000ppmの重合体ラテックスを用いるの
で、残留モノマーの除去工程において、凝集物の発生を
少なくして、循環ポンプや外部熱交換器内での詰まりの
発生を効果的に防止することができる。
【0023】重合終了後の重合体ラテックスに含まれる
残留モノマー含有量を低減する方法は特に制限されな
い。例えば、常圧で重合体ラテックスを加熱する方法
や、減圧下で重合体ラテックスを加熱する方法が挙げら
れる。これらの中でも、より低い加熱温度で残留モノマ
ーを蒸発除去できる減圧下で加熱する方法が好ましく、
除去効率の観点から、水を蒸発留去させながら残留モノ
マーを蒸発除去することが特に好ましい。
【0024】減圧下で加熱する方法としては、具体的に
は、(a)重合終了後の重合体ラテックスの溶液を蒸発
タンク内に移送し、真空ポンプを使用して蒸発タンク内
の圧力を0.05MPa以下、好ましくは0.02MP
a以下に減圧して、40〜60℃で残留モノマーを蒸発
除去する方法、(b)重合反応が終了した後、重合釜
(重合反応槽)内に40〜60℃の重合体ラテックスが
存在した状態で、真空ポンプを使用して重合釜内の圧力
を0.05MPa以下、好ましくは0.02MPa以下
に減圧にすることにより、重合反応液の顕熱を利用して
残留モノマーを1000ppm以下にする方法などが挙
げられる。また、これら(a)および(b)の方法にお
いては、より効率よく残留モノマーの低減を行なうこと
ができることから、撹拌機を使用して重合体ラテックス
を撹拌しながら予残留モノマーの低減を行なうのが好ま
しい。
【0025】低減工程を行なうことにより残留モノマー
の含有量が100ppmから1000ppmとなってい
るか否かの確認は、例えば、低減工程後の重合体ラテッ
クスの少量をサンプリングして、そのものをガスクロマ
トグラフィーなどの公知の分析手段により分析して行う
ことができる。
【0026】(3)残留モノマー除去工程 本発明は、以上のようにして残留モノマーの含有量が低
減された重合体ラテックスを外部熱交換器との間に循環
回路を設けた蒸発タンク内に収容し、該重合体ラテック
スを前記循環回路を介して強制循環させながら前記外部
熱交換器により加熱して前記重合体ラテックス中の残留
モノマーを蒸発除去させることにより、前記残留モノマ
ーを除去する工程を有する。本発明においては、(2)
残留モノマー低減工程と(3)残留モノマー除去工程を
同一のタンク内で行なうことが好ましい。残留モノマー
を除去した後の重合体ラテックスに含まれる残留モノマ
ーの含有量は、通常50ppm以下、好ましくは10p
pm以下、より好ましくは1ppm以下である。
【0027】残留モノマー除去工程は、例えば、図1及
び2に示す装置を使用して行うことができる。図1に示
す装置は、重合体ラテックス10を収容する攪拌翼9付
きの攪拌機8が取り付けられた蒸発タンク1と、重合体
ラテックス10をラテックス循環ライン4を強制循環さ
せる循環ポンプ2と、ラテックス循環ライン4に設置さ
れ、重合体ラテックス10を加熱する外部熱交換器3
と、蒸発タンク1内を減圧にする減圧手段7と、および
蒸発留去された残留モノマーを凝集させて回収する凝縮
器5とからなる。この装置によれば、ラテックス循環ラ
イン4を強制循環された重合体ラテックス10を蒸発タ
ンク1の上部からフラッシュして戻すことにより、低沸
点物質である残留モノマーを効率よく蒸発留去すること
ができる。
【0028】図2に示す装置は、図1に示す装置とほと
んど同様の構成からなるが、ラテックス循環ライン4を
強制循環された重合体ラテックス10を蒸発タンク1の
下部に戻すタイプの装置である。このタイプの装置を使
用しても効率よく残留モノマーを除去することができ
る。
【0029】図1、2に示す装置においては、蒸発タン
ク1の大きさ、形状、材質などは特に制限されず、重合
体ラテックスの処理量に応じて適宜選定することができ
る。また、循環ポンプ2および凝縮器5の種類、ラテッ
クス循環ライン4の配管および減圧手段7の材質なども
特に制限されず,公知のものを使用することができる。
【0030】外部熱交換器3としては、ラテックス循環
ライン4を強制循環させる重合体ラテックス10を所定
温度に加熱することができるものであれば特に制限され
ない。外部熱交換器としては、例えば、プレート式熱交
換器、多管円筒形熱交換器、スパイラル式熱交換器など
を使用できる。これらの中でも、(i)熱伝導率がよい、
(ii)分解・組立が容易である、(iii)処理能力の融通性
に優れる、(iv)据え付け面積が小さい、などの理由から
プレート式熱交換器の使用が好ましい。
【0031】プレート式熱交換器は、各種の材質の金属
板にいろいろな形状の突起を有するプレートをパッキン
グして重ね合わせ、上下2本のガイドバー間に懸垂し、
固定フレームと移動フレームの間に締め付けることによ
り形成される。そして、このプレートを重ね合わせるこ
とにより、各プレート間(間隔2〜6mm)に流路が構
成され、この流路を1枚おきに高温流体と低温流体とが
交互に流れ、プレートを介して熱交換が行われる。
【0032】プレート式熱交換器を使用する場合には、
中央部に突起を有するプレートの狭い間隔内を重合体ラ
テックスを通過させるが、低減工程により残留モノマー
の含有量を1000ppm以下にした重合体ラテックス
を用いることにより、残留モノマーに由来する凝集物の
発生を防止する顕著な効果を得ることができる。
【0033】以上のようにして残留モノマーを除去した
重合体ラテックスは、取り扱い操作や輸送上の問題か
ら、必要に応じて濃縮工程によって水分を蒸発除去して
濃縮してから製品として出荷される。このようにして得
られる重合体ラテックスの製品は、タイヤ、ベルトなど
のコート用;顔料塗工紙、含浸紙などの紙加工用;カー
ペットパッキングなどの繊維加工用;木工、合板、建材
ボード用の接着剤用;などに広く用いられる。
【0034】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではな
い。以下の実施例および比較例において、残留ブタジエ
ン濃度は、ガスクロマトグラフィーを使用して測定し
た。ガスクロマトグラフィーの分析条件を下記に示す。 カラム:キャピラリーカラムTC−1701(長さ30
mm×外径0.3mm、島津製作所(株)製) カラム温度:120℃ 検出器:FID
【0035】実施例1 乳化重合で得た温度50℃のスチレン−ブタジエン−ビ
ニルピリジン共重合体ラテックス(平均粒子径0.15
μm、マロン機械安定性試験値:2000ppm、残留
ブタジエン濃度7000ppm)をそのまま冷却せずに
攪拌機付きの蒸発タンク(内容積200リットル)へ移
送した。次に、残留モノマー低減操作として、蒸発タン
クを攪拌しながら0.02MPaに減圧にして顕熱によ
りブタジエンを留去を行い、残留ブタジエン濃度500
ppmの重合体ラテックス溶液とした後、蒸発タンク内
を常圧に戻した。
【0036】その後、外部熱交換器3としてプレート型
熱交換器を有する図1に示す装置を用いることにより、
蒸発タンク内のラテックス溶液を50℃に加温しなが
ら、循環ポンプ2を用いてラテックス循環ライン4を強
制循環させた。その後、蒸発タンク1内を0.05MP
aまで減圧にし、内温50℃、ラテックス循環レート2
/hrで、気相部に循環戻り液をフラッシュさせて
残留ブタジエンの除去を行った。8時間連続運転を行っ
たが、運転中にラテックス凝集による詰まりは発生せ
ず、循環レートの低下はみられなかった。運転終了後、
ラテックス中の残留ブタジエン濃度を測定したところ、
1ppm以下であった。また、実験終了後、使用したプ
レート型熱交換器を解体してプレートへの付着状況を観
察したが、ラテックス凝集物はほとんど付着していなか
った。
【0037】実施例2 外部熱交換器3としてプレート式熱交換器を有する図2
に示す装置を使用する以外は、実施例1と同様に実験を
行った。8時間連続運転中のラテックス凝集による詰ま
りは発生せず、循環レートの低下はみられなかった。ま
た、実験終了後、使用したプレート型熱交換器を解体し
てプレートへの付着増強を観察したが、ラテックス凝集
物はほとんど付着していなかった。
【0038】比較例1 ラテックス溶液を蒸発タンクに移送した後、残留モノマ
ー低減操作を行なわなかった以外は、実施例1と同様
に、実施例1で使用したのと同じ装置(図1)を使用し
て、気相部に循環戻り液をフラッシュさせながら残留ブ
タジエンの除去を行った。運転開始直後からラテックス
の凝集による詰まりが原因とみられる循環レートの低下
が発生し、4時間で循環レートが0.2m/hr以下
になり、残留ブタジエン除去がほとんど進行しなくなっ
たため運転を中止した。ラテックス溶液中の残留ブタジ
エン濃度を測定したところ、1300ppmであった。
【0039】比較例2 ラテックス溶液を蒸発タンクに移送した後、残留モノマ
ー低減操作を行なわなかった以外は、実施例2と同様
に、実施例2で使用したのと同じ装置(図2)を使用し
て残留ブタジエンの除去を行った。運転開始直後から、
ラテックス凝集による詰まりが原因とみられる循環レー
トの低下が発生し、4時間で循環レートが0.2m
hr以下となり、残留ブタジエン除去がほとんど進行し
ないため、運転を中止した。ラテックス溶液中の残留ブ
タジエン濃度を測定したところ、1200ppmであっ
た。また、実験終了後、使用したプレート型熱交換器を
解体してプレートへの付着状況を観察したところ、ラテ
ックス凝集物がプレート全面に付着していた。
【0040】
【発明の効果】本発明の重合体ラテックスの残留モノマ
ー除去方法によれば、機械的安定性が悪い重合体ラテッ
クスを処理した場合であっても、使用する循環ポンプや
外部熱交換器内で詰まりを発生することなく、効率よく
重合体ラテックスの残留モノマーを除去することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法を実施するための装置の
概念図を示す。
【図2】図2は、本発明の方法を実施するための装置の
概念図を示す。
【符号の説明】 1…蒸発タンク(ラテックス収容容器)、2…ラテック
ス循環ポンプ、3…ラテックス加熱用外部熱交換器、4
…ラテックス循環ライン(回路)、5…凝縮器、6…凝
縮水受器、7…減圧手段、8…攪拌機、9…攪拌翼、1
0…重合体ラテックスの溶液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AB02P AL03P AM02P AQ12P AS02P AS03P EA07 FA20 FA28 FA29 FA47 GB02 GB12 GB18 GC07 GC35 GC37 GD19 HF01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】残留モノマーの含有量が100ppmから
    1000ppmの重合体ラテックスを外部熱交換器との
    間に循環回路を設けた蒸発タンク内に収容し、該重合体
    ラテックスを前記循環回路を介して強制循環させながら
    前記外部熱交換器により加熱して重合体ラテックス中の
    残留モノマーを蒸発除去させることにより、前記残留モ
    ノマーの含有量を50ppm以下に低減することを特徴
    とする重合体ラテックスの残留モノマー除去方法。
  2. 【請求項2】前記外部熱交換器として、プレート式熱交
    換器を用いる請求項1記載の重合体ラテックスの残留モ
    ノマー除去方法。
  3. 【請求項3】前記残留モノマーの含有量が100ppm
    から1000ppmの重合体ラテックスが、重合終了後
    の重合体ラテックスを収容したタンク内を減圧にして残
    留モノマーを蒸発させる方法によって得られたものであ
    る請求項1または2記載の重合体ラテックスの残留モノ
    マー除去方法。
  4. 【請求項4】前記残留モノマー除去後の重合体ラテック
    スが、マロン機械的安定性試験による凝固率が1000
    ppm以上の重合体ラテックスである請求項1〜3のい
    ずれかに記載の残留モノマー除去方法。
JP2001344353A 2001-11-09 2001-11-09 重合体ラテックスの残留モノマー除去方法 Pending JP2003147016A (ja)

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