JP3644666B2 - サーボプレスの同期制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のサーボモータを駆動源として、それぞれのサーボモータに連結するねじ軸を回転駆動してスライドを昇降運動させるサーボプレスの同期制御装置に関し、偏心荷重によるスライドの傾斜を速やかに修正して下死点精度の低下を防止し、かつ効率的な運転をしたい場合に有効である。
【0002】
【従来の技術】
複数のサーボモータを駆動源とするサーボプレスは、例えば、図2に示す2ポイントタイプのサーボプレス1であった。
サーボプレス1は、機体2に設けた2個のサーボモータ3X,3Yのそれぞれをボールねじ部4,4を介してスライド5と連結し、サーボモータ3X,3Yの回転量に応じてスライド5を昇降運動させる。スライド5の重量は、エアバランサ6,6で平衡させ、スライド5の位置情報は機体2に設けたリニアセンサ検出部7,7とスライド5に設けた検出ヘッド8,8から得ていた。
【0003】
サーボモータ3X,3Yに、図示していない制御装置から同一位置指令を与え、サーボモータ3X,3Yごとに個別に位置制御を行う簡易同期デュアルフィードバック制御で、リニアセンサ検出部7と検出ヘッド8から得た位置情報と位置指令値との差、あるいはサーボモータ3X,3Yに設けた図示していないエンコーダによる制御位置の相互の差を制御装置にフィードバックして位置制御を行っていた。スライド5とボルスタ9に図示していない金型を取り付けてプレス加工を行う。
図5は、上述の位置制御及び下死点判別のアルゴリズムを示したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の簡易同期デュアルフィードバック制御は、図3に示すように、スライド5の受ける荷重Aが荷重Bより小さい偏心荷重を受けると、荷重B側を駆動するサーボモータXはサーボモータYに対し位置制御遅れを生じ、スライド5は5Aのように傾き平行度が悪化するが、サーボモータX,Yの位置情報と位置指令値との差を、それぞれのねじ軸ごとに独立してフィードバックするだけで制御するので位置決めが遅いと言う欠点がある。
【0005】
図4は、スライド5の位置Aと位置Bの時間に対する変化を示し、時間T0からプレス加工を開始すると、荷重Bが大きいための制御遅れで時間T1で位置Aは下死点に位置決め完了に対し、位置Bはなお動作中で時間T2で下死点に位置決め完了となり、ここで下死点到達となる。この時間T1からT2間は無駄な待ち時間であり、この待ち時間が大きいのでサーボプレスの運転効率が低下すると言う欠点がある。
この待ち時間の完了を待たずに位置決め完了として運転効率を向上させようとすれば、スライド5の平行度が悪く、加工した製品の精度を低下させると言う欠点がある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、偏心荷重による位置制御遅れを速やかに補正出来、下死点精度を保ちながら運転効率とスライドの平行度の向上とが図り得るサーボプレスの同期制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明は、複数のサーボモータを駆動源として、それぞれのサーボモータに連結するねじ軸を回転駆動してスライドを昇降運動させるサーボプレスの同期制御装置において、(イ)プレス加工時にそれぞれのねじ軸ごとの位置偏差を比較して軸間偏差を求め、(ロ)この数値があらかじめ設定されたサーボモータのしきい値を超え、かつ下死点位置でなく、実際のスライドの位置が位置指令値に対してオーバーシュートしていない場合には、位置偏差量の過大なねじ軸を選択し、そのねじ軸のサーボパラメータを、あらかじ設定された位置偏差量、または軸間位置偏差量ごとに割り振られたサーボパラメータに、位置偏差量に応じて連続的に設定変更し、(ハ)また、設定変更されたねじ軸のモータ電流値を観測して、モータ電流値がサーボモータの仕様電流値の上限に到達した場合には、位置偏差量レベルを低下変更し、その位置偏差量レベルで割り振られたサーボパラメータに設定変更するとともに、(ニ)上述の(イ)〜(ハ)項の条件に合致しない場合には、サーボパラメータを初期値に設定変更し、それぞれのねじ軸ごとに下死点位置の位置決め完了範囲を設けて、全てのねじ軸がこの下死点位置の位置決め完了範囲内に到達した場合にプレス加工を終了する。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1に本発明におけるサーボプレスの同期制御装置のアルゴリズムの一実施例を示す。
なお、サーボプレスの構成は、従来例と同様で図2に示す通りであり、説明を略す。
【0009】
図1において、スライド5が上昇してくると上死点位置決め開始となり、それぞれのサーボモータX,YによるA軸及びB軸の位置決め完了信号が揃うと上死点位置決め完了となる。スライド5が下降を始めると下死点位置決め開始となり、スライド5が加工開始点到達からプレス加工が始まる。次の下死点では、あらかじめ設定される下死点とスライド5の位置とをまず比較し、スライド5の位置が下死点に到達していないことを確認する。次に、位置指令値に対してスライド5の位置がオーバーシュート、すなわち行き過ぎていないかを確認する。オーバーシュートの有無は、位置指令値とスライド位置との差分の符号により判別する。
【0010】
オーバーシュートがなければ次に進み、現在のA軸、B軸間の位置偏差とあらかじめ設定したねじ軸間の位置偏差許容値(しきい値)とを比較し、許容値を超える場合はサーボパラメータの補正モードに入る。
位置偏差許容値は、スライド5の平行度の精度の許容値によって決定する。
そこで、補正軸判定ではA軸及びB軸の位置と位置指令値との位置偏差を比較し、位置偏差の大きい、すなわち、追従遅れの大きい軸を重負荷のかかった補正軸と判定する。
【0011】
例えば、A軸が重負荷と判定されれば、補正軸判定からaに進む。ここには位置偏差量が小さい方から大きい方に順に偏差量1,2,・・・ごとにフィードバックループの位置ループゲインKp、速度ループゲインKvをあらかじめ設定している。それで、制御装置内の演算に現在使用しているサーボパラメータをA軸の位置偏差量に相当するサーボパラメータKp,Kvまで順に継続して大きいサーボパラメータへと更新する。以上の動作は、サーボモータX,Yに直結した図示していないエンコーダによる軸間位置偏差を用いても同様に有効である。
以上
【0012】
以上のように、位置指令値に対し追従遅れの大きい軸のサーボパラメータを位置偏差量に応じて、制御系が不安定とならない範囲で段階的に、かつ連続的に大きい数値に更新して追従性を高め、位置指令値との位置偏差を低減させるとともに、軸間偏差も低減させる。
B軸の位置偏差量がA軸より大きい場合は、bに進み、同様に処理する。
【0013】
このように、サーボパラメータを変更した時、次に補正軸最大電流では、サーボモータが最大電流値に達し、または超えた場合は、補正レベル変更に進み、位置偏差量のレベルを下げるか、あるいはサーボパラメータを通常設定値に戻す。
サーボパラメータを大きく設定し過ぎて制御系が不安定となり、発振したりオーバーシュートが発生した場合も同様に瞬時にサーボパラメータを通常設定値に戻す。
【0014】
このように制御の後、下死点の位置決めは、INP−A=1,INP−B=1の条件で行うが、ある一定の下死点精度の許容範囲に入り軸間位置偏差許容値内となれば、両ねじ軸が下死点に合致した下死点到達とし下死点位置決め終了とする。この時、サーボパラメータを通常の設定に変更し、スライドの上昇を開始する。以上のように、サーボパラメータを連続的に変更し、最適値に設定してサーボモータの応答性を高めて制御するので、A軸、B軸間の位置偏差量が低減して下死点に到達し、スライドの平行度が向上し、かつ下死点位置決めのための待ち時間を小さくすることが出来る。
【0015】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、駆動源として設けた複数のサーボモータに連結したそれぞれのねじ軸間の位置偏差量が大きい場合は、サーボパラメータを段階的に、かつ連続的に大きい方へ順に変更して制御遅れを低減させるので、ねじ軸間の位置偏差量を減少させ、スライドの平行度が向上し、かつ下死点の位置決めが早い。従って、下死点における位置決めの待ち時間が極めて小さくなり、サーボプレスの運転効率が向上する等の効果がある

【図面の簡単な説明】
【図1】同期制御装置のアルゴニズムのフローチャート図
【図2】サーボプレスの要部正面図
【図3】従来例の偏心荷重を受けたスライドの状態説明図
【図4】図3のスライド位置の時系列的説明図
【図5】従来例のアルゴニズムのフローチャート図
【符号の説明】
1はサーボプレス、2は機体、3X,3Yはサーボモータ、4はボールねじ部、5はスライド、6はエアバランサ、7はリニアセンサ検出部、8は検出ヘッド、9はボルスタ、である。

Claims (1)

  1. 複数のサーボモータを駆動源として、それぞれのサーボモータに連結するねじ軸を回転駆動してスライドを昇降運動させるサーボプレスの同期制御装置において、(イ)プレス加工時にそれぞれの前記ねじ軸ごとの位置偏差を比較して軸間偏差を求め、(ロ)この数値があらかじめ設定された前記サーボモータのしきい値を超え、かつ下死点位置でなく、実際の前記スライドの位置が位置指令値に対してオーバーシュートしていない場合には、位置偏差量の過大な前記ねじ軸を選択し、その前記ねじ軸のサーボパラメータを、あらかじめ設定された位置偏差量、または軸間位置偏差量ごとに割り振られたサーボパラメータに、位置偏差量に応じて連続的に設定変更し、(ハ)また、設定変更されたねじ軸のモータ電流値を観測して、前記モータ電流値が前記サーボモータの仕様電流値の上限に到達した場合には、位置偏差量レベルを低下変更し、その前記位置偏差量レベルで割り振られたサーボパラメータに設定変更するとともに、(ニ)上述の(イ)〜(ハ)項の条件に合致しない場合には、サーボパラメータを初期値に設定変更し、それぞれの前記ねじ軸ごとに下死点位置の位置決め完了範囲を設けて、全ての前記ねじ軸がこの下死点位置の位置決め完了範囲内に到達した場合にプレス加工を終了することを特徴とするサーボプレスの同期制御装置。
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