JP3641599B2 - キャビネット構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キッチンや洗面化粧台等水回りで用いられるキャビネットの構造に関し、より詳しくはキャビネット本体内に出し入れ自在に引出しが設けられたキャビネット構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、キッチンシンクや洗面化粧台等の下部のキャビネット本体の前面に開き扉を設けてキャビネット内部を収納スペースとして有効活用することが行われているが、このような開き扉構造の場合、キャビネットの奥に収納される物の出し入れが困難である。
【0003】
そこで、開き扉構造に代えて引出し構造とすることが提案されている。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
ところが、キッチンシンクや洗面化粧台等の下部のキャビネット内には、シンクや洗面ボールからの排水管(トラップを含む。以下同じ。)が収納されているため、引出しの奥行きをキャビネットの奥まで延ばすことができず、引出しの収納量が減って使用者にとって不便なものとなっていた。
【0005】
また、キャビネットの蹴込み部分を引出し収納に利用したキャビネット構造も提案されているが、キッチンや洗面台の使用勝手を考えると、頻繁に使用するものは比較的薄く、使用頻度の少ないものは比較的厚手の大きいものが多いため、薄い蹴込み部分を引出し収納にすると、頻繁に出し入れする引出しがキャビネットの最下部に位置することになり、きわめて使い勝手の悪いものとなっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消することを目的とし、より具体的には、排水管が収納されたキャビネット本体の奥まで有効に利用することができる引出し構造を提供することにより引出しの収納量を増大させるとともに、使い勝手に優れたキャビネットの引出し構造を提供することを目的とする。
【0007】
この目的を達成するため、請求項1にかかる本発明は、キャビネット本体の上部にシンクまたは洗面化粧台が設けられ、キャビネット本体内にシンクまたは洗面化粧台からの排水管が収納されるキャビネットにおいて、キャビネット本体に出し入れ自在に引出しが設けられ、該引出しは、前板と、左右一対の側板と、側板間を任意間隔で仕切る仕切板と、一方の側板と仕切板との間に架設される第一の後板と、第一の後板よりも前方位置において他方の側板と仕切板との間に架設される第二の後板と、前板と一方の側板と仕切板と第一の後板とで囲まれる領域の下端を閉塞して第一の収納室を形成するための第一の底板と、前板と他方の側板と仕切板と第二の後板とで囲まれる領域の下端を閉塞して第二の収納室を形成するための第二の底板とからなり、該引出しをキャビネット本体内に収納した状態において第二の後板の後方に形成される凹部に前記排水管を収納可能であり、該凹部を覆う目隠し板が設けられ、この目隠し板に排水管収納用の切り欠きが設けられることを特徴としている。
【0008】
請求項1記載のキャビネット構造によれば、第二の後板の後方に凹部を設けて排水管を収納するようにしているので、引出しの奥行きをキャビネット本体の奥行きに近い寸法まで大きくすることが可能となり、キャビネット本体内の奥まで収納スペースとして有効利用することができ、収納量が増大するとともに、第二の後板の後方部分を覆う目隠し板が設けられているため、引出しを引いたときに床面が見えてしまうことが防止され、見栄えがよく使用勝手に優れたものとなる。
【0011】
請求項2にかかる本発明は、キャビネット本体の上部にシンクまたは洗面化粧台が設けられ、キャビネット本体内にシンクまたは洗面化粧台からの排水管が収納されるキャビネットにおいて、キャビネット本体に出し入れ自在に引出しが設けられ、該引出しは、前板と、左右一対の側板と、側板間を任意間隔で仕切る少なくとも2枚の仕切板と、一方の側板と該側板に隣接する一方の仕切板との間に架設される第一の後板と、他方の側板と該側板に隣接する他方の仕切板との間に架設される第二の後板と、第一および第二の後板よりも前方位置において仕切板間に架設される第三の後板と、前板と一方の側板と該側板に隣接する一方の仕切板と第一の後板とで囲まれる領域の下端を閉塞して第一の収納室を形成するための第一の底板と、前板と他方の側板と該側板に隣接する他方の仕切板と第二の後板とで囲まれる領域の下端を閉塞して第二の収納室を形成するための第二の底板と、前板と2枚の仕切板と第三の後板とで囲まれる領域の下端を閉塞して第三の収納室を形成するための第三の底板とからなり、該引出しをキャビネット本体内に収納した状態において第三の後板の後方に形成される凹部に前記排水管を収納可能であり、該凹部を覆う目隠し板が設けられ、この目隠し板に排水管収納用の切り欠きが設けられることを特徴としている。
【0012】
請求項2記載のキャビネット構造によれば、第三の後板の後方に凹部を設けて排水管を収納するようにしているので、引出しの奥行きをキャビネット本体の奥行きに近い寸法まで大きくすることが可能となり、キャビネット本体内の奥まで収納スペースとして有効利用することができ、収納量が増大するとともに、第三の後板の後方部分を覆う目隠し板が設けられているため、引出しを引いたときに床面が見えてしまうことが防止され、見栄えがよく使用勝手に優れたものとなる。
【0016】
シンクキャビネットや洗面化粧台キャビネットにおいて、シンクや洗面化粧台の排水口からの排水管をトラップまで真っ直ぐに延長させ、トラップからの排水管をキャビネット本体の後方に延長させて背板に沿って下方に延長させた、バック排水方式と呼ばれるものがある。このようなキャビネットにおいて、排水口からトラップまでの範囲を上部収納部とし、トラップより下方を下部収納部とし、且つ、上部収納部に前記構成の引出しを設けることによって、該引出しがキッチンや洗面台の作業において頻繁に使用する収納物に見合った収納量を有するものとなって引き出し操作を容易に行うことができ、また、下部収納部の収納量を大きく取ることができるので、使用頻度の低い比較的大きな収納物の収納に便利な物となる。下部収納部の形態は任意であり、引出し、ワゴン、開き扉等の各種のタイプを採用することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1〜図5に示す実施形態は洗面化粧台キャビネットであり、水栓2やシャワー水栓3を有する洗面ボール1の下方に設けられ、洗面ボール1の排水口4からの排水管5およびトラップ6を収容している。排水管5はキャビネット本体10の底板14や台輪等を貫通して床排水口に通じている。
【0019】
洗面ボール1はたとえばホーローや陶磁器製であり、ホーロータイプの場合は幕板としてキャビネット前面上部にホーローに接続する樹脂成型板を用い、陶磁器タイプの場合は木質系化粧板に洗面ボール1の形状に合わせて切り欠きを施した幕板を用いる。
【0020】
図示しないが、洗面ボール1の上部後端から立設するミラーキャビネット等を有するものであってもよい。
【0021】
キャビネット本体10は、上記幕板11、左右側板12,12、背板13、底板14等より箱形に形成され、その他必要に応じて蹴込板、台輪等を有する。これらの構成部材はいずれも木質繊維板、合板等の木質系材料により形成することができる。
【0022】
キャビネット本体10の内部は、洗面ボール1の排水口4からトラップ6下面までの高さ範囲内に設けられる上部収納部とトラップ6下面よりも下方に設けられる下部収納部とに区画され、上部収納部には後に詳しく説明する構成を有する引出し20が出し入れ可能に設けられている。引出し15には前板16が設けられるとともに、収納スペース16に相当する部分においてキャビネット本体10の右側の側板12にヒンジ止めされた開閉自在の開き扉18が設けられ、さらに後述の引出し20には前板21が設けられており、これら前板16,21および開き扉18でキャビネット本体10の開口前面を閉じることができるようになっている。これら前板16,21および開き扉18には各々その出し入れ操作または開閉操作のための取手16a,21a,18aが取り付けられている。
【0023】
キャビネット本体10の内部を上部収納部と下部収納部とに区画したのは、キャビネット本体10内を収納スペースとして最大限に有効利用するためである。上部収納部に設けられる引出し20は、洗面ボール1の排水口4からトラップ6下面までの高さ範囲内、好ましくはその高さと略同一の高さ寸法を有するとともに、キャビネット本体10の横幅と略同一の幅寸法を有することが好ましく、これにより薄型横長の引出し20として構成される。この引出し20は、キッチンや洗面台の作業において頻繁に使用する比較的小さな収納物を収納するのに適した高さ・幅寸法を有するものであり、しかも引出し操作も容易であり、使い勝手に優れたものである。
【0024】
一方、下部収納部はキャビネット本体10内においてトラップ6下面よりも下方の広い空間を占めることができるため、上部収納部よりも大きな収納量を有し、使用頻度の低い比較的大きな収納物を収納するのに適したものとなる。下部収納部の構成は任意であるが、この実施形態においては下部収納部をさらに左右に区画し、左側の収納部領域にはワゴンタイプの引出し15が出し入れ自在に設けられ、右側の収納部領域は自由に利用可能な収納スペース16とされている。引出し15の前方裏面にはキャスター19が回動自在に取り付けられているが、引出し15を収納した状態においてはキャスター19が接地せずに若干浮いた状態となるように設け、引出し15を引き出したときにその収納物を含めた自重によって前方に傾いたときにキャスター19が床面に接地して、引出し15のスライドを補助するようにすることが好ましい。
【0025】
上部収納部に設けられる引出し20についてさらに図6および図7を参照して説明すると、引出し20は、上記前板21を内箱(符号なし)の前板22に貼着して構成されている。前板21には任意化粧が施されている。この化粧前板21は上述のようにキャビネット本体10の前面の一部を構成しており、言い換えれば上部収納部の扉を構成している。なお、この実施形態では内箱前板22のほかに化粧前板21を使用しているが、化粧前板21を省略して、内箱前板22に化粧を施して上部収納部の扉としてもよい。
【0026】
内箱は、キャビネット本体10の横幅と略同一の長さ寸法を有する前板22と、キャビネット本体10の奥行きと略同一の長さ寸法を有する左右側板23a,23bと、左右側板間を任意間隔で仕切る、左右側板よりも短い仕切板24と、側板23aと仕切板24との間に架設される後板25と、後板25よりも前方位置において側板23bと仕切板24との間に架設される後板26と、前板22と側板23aと仕切板24と後板25とで囲まれる領域の下端を閉塞して第一の収納室29を形成するための底板27と、前板22と側板23bと仕切板24と後板26とで囲まれる領域の下端を閉塞して第二の収納室30を形成するための底板28とから構成されている。
【0027】
前板22の後面、側板23a,23bの各内面および仕切板24の両側面のそれぞれ下端近くには各板の長さ方向に延長する嵌合溝31,31・・・が刻設形成されており、これら嵌合溝31に底板27,28の前端木口縁および両端木口縁を挿入し、さらに必要に応じてビスやダボ等による固着および/または接着剤による接着を介して底板27,28が取り付けられる。また、後板25,26の各内面の下端近くにも各板の長さ方向に延長する嵌合溝32,32が刻設形成されており、これら嵌合溝32に、上記のようにして取り付けた底板27,28の後端木口縁を挿入し、ビスやダボ等による固着および/または接着剤による接着を介して側板23a,23bおよび仕切板24に接合することによって後板25,26が取り付けられる。
【0028】
以上の説明および特に図6から理解されるように、前板22、側板23a,23bおよび後板25,26は各片面において同じ高さ位置に長手方向に延長する嵌合溝31,32を有している。したがって、一枚物の長尺木質板の片面の所定高さ位置に溝を刻設形成し、これを所定寸法にカットすることによって、これら前板22、側板23a,23bおよび後板25,26を一挙に作成することが可能である。仕切板24も同様にして長尺木質板からカットした後、他面の同一高さ位置にも溝を刻設形成して作成することができる。後板26についても、他面の同一高さ位置にも溝を刻設形成し、後述の目隠し板35の前端木口縁を収容するようにしてもよい。引出し20の内箱を構成する各板部材を上記のようにして作成することにより、製造工程の簡略化およびコスト削減を図ることができる。
【0029】
また、側板23a,23bの各外面には引出し奥行き方向に延長する嵌合溝33が刻設形成されており、これら嵌合溝33に、キャビネット本体10の側板12,12の各内面にその奥行き方向に延長するように固定した突条を嵌合させることによって、引出し20がキャビネット本体10の上部収納部に対して出し入れ自在に設けられる。なお、引出し20をスライド自在にする構成については、本実施形態で採用した雄雌の実嵌合構造によるもののほか、スライドレールやコロ等を用いた各種の構成が知られており、そのいずれを採用してもよいことは言うまでもない。
【0030】
引出し20の左右側板23a,23bは後板25,26の取付位置よりも後方に、すなわちキャビネット本体10の奥方に向けて延長している。このようにすることで、上記スライド手段を介して引出し20が最大に引き出された場合であっても、引出し20のガタツキをなくし、安定した状態で収納物の出し入れを行うことができる。また、左右側板23a,23bは同一寸法とすることが好ましく、これにより引出し20自体のバランスを良好にするとともに強度を上げ、頻繁な出し入れに耐え得る構造体とすることができる。
【0031】
仕切板24の位置は、引出し20をキャビネット本体10内に収納したときに排水管5やトラップ6に接触しないように適宜決定される。この実施形態では正面から右寄りに排水管5およびトラップ6が設けられているので、これらが仕切板24の右側に納まるように、仕切板24の位置が決定されている。
【0032】
前述のように、第一の収納室29の後板25よりも第二の収納室30の後板26が前方にずらして設けられており、これによって第二の収納室30の後方に、より詳しくは側板23bと仕切板24と後板26とで囲まれた領域に、引出し20をキャビネット本体10内に収納したときに排水管5およびトラップ6を収容するための凹部34が形成される。
【0033】
この凹部34は、単に排水管5やトラップ6を避けるために設けられるのではなく、これらを収容するものである。トラップ6にはカビが繁殖しやすく不衛生な部分であるが、凹部34を利用してカビの繁殖を防止するための手段(湿気・臭気吸収剤=シリカゲル、炭シート等)を設けることによって衛生上の問題を改善することができる。このようなカビ繁殖防止手段は、たとえば、側板23b、仕切板24、後板26の凹部34に臨む内面部分や、後述の目隠し板35の切り欠き36に近接した箇所に貼着して用いることができる。
【0034】
凹部34の寸法が大きく形成される場合、引出し20を全開近くまで引き出したときにこの凹部34からキャビネット本体10の床面(底板14)が見えてしまうので、これを防止するために、排水管5を収納する切り欠き36を備えた目隠し板35を設けて凹部34を隠すことが好ましい。目隠し板35の取付に際しては、底板28と同様、側板23bと仕切板24とに対向して各下端近くに設けられた嵌合溝33に目隠し板35の両端木口縁を嵌合させ、その前端が後板26に当接するまでスライド移動させて取り付けることができるが、嵌合溝33を用いず、任意の高さ位置、たとえば側板23b、仕切板24および後板26の上端と略面一となるように目隠し板35を取り付けてもよい。
【0035】
なお、目隠し板35に形成される切り欠き36には、図8に示すように、切り込み付きのゴム37を取り付けてもよく、このようにすることで排水管5を収容しながらキャビネット床面の露出を完全に防止することのできる目隠し板35となる。
【0036】
第一収納室29の後板25の位置は特に限定されず、その収納物に応じて適宜位置に設けることができる。既述の実施形態では側板23aの後端よりも前方位置に後板25が取り付けられているが、側板23aの後端近くに後板25を取り付けて第一収納室29の収納量を増大させてもよい。この場合は、もちろん、仕切板24の後端位置が後板25の取付位置に合致するように仕切板24の長さを延長する必要がある。
【0037】
上記実施形態では第一収納室29が一つの大きな収納室とされているが、図9に示すように、この収納室29をさらに仕切板38で複数の小さな収納室に区画してもよい。図9に示す例では2枚の仕切板38を十字状に交差させて第一収納室29をさらに4つの小さな収納室に区画している。
【0038】
また、排水管5やトラップ6を収容するために大きな凹部34を必要とする場合は、図10に示すように、仕切板24を側板23a,23bと同一の長さ寸法を有するように延長させることができる。この場合には目隠し板35に形成する切り欠き36も、排水管5やトラップ6に見合った大きさのものとする。
【0039】
以上に説明した実施形態においては、引出し20を一枚の仕切板24で第一収納室29と第二収納室30とに区画しているが、複数枚の仕切板24を側板23a,23b間に設けて3つ以上の収納室に区画するようにしてもよい。特に、キャビネット本体10のほぼ中央に排水管5やトラップ6が収容されている場合は、側板間に少なくとも2枚の仕切板を設け、中央の収納室の後板を両側の収納室の後板よりも前方位置に設け、中央収納室の後板の後方に、排水管5およびトラップ6を収容するための凹部を形成した実施形態を採用することが好ましい。
【0040】
このような実施形態による引出し40が図11および図12に示されている。この引出し40は、キャビネット本体10の横幅と略同一の長さ寸法を有する前板41と、キャビネット本体10の奥行きと略同一の長さ寸法を有する左右側板42a,42bと、側板間を任意間隔で仕切る、側板42a,42bよりも短い2枚の仕切板43a,43bと、側板42aと仕切板43aとの間に架設される後板44aと、側板42bと仕切板43bとの間に架設される後板44bと、これら後板44a,44bよりも前方位置において仕切板43a,43b間に架設される後板45と、前板41と側板42aと仕切板43aと後板44aとで囲まれる領域の下端を閉塞して第一の収納室48を形成するための底板46aと、前板41と側板42bと仕切板43bと後板44bとで囲まれる領域の下端を閉塞して第二の収納室49を形成するための底板46bと、前板41と仕切板43a,43bと後板45とで囲まれる領域の下端を閉塞して第三の収納室50を形成するための底板47とからなり、この引出し40をキャビネット本体10内に収納した状態において後板45の後方に形成される凹部51に排水管5およびトラップ6を収納するように構成されている。
【0041】
既述の実施形態と同様、凹部51には、配管収容用の切り欠き53を備えた目隠し板54が任意の高さ位置(好ましくは底板46a,46b,47と略面一となる位置=図11、または引出し40の上端と略面一となる位置=図12)に設けられ、引出し40を開けたときに凹部51からキャビネット床面が見えてしまうことを防止している。
【0042】
また、既述の実施形態では引出し20の側板23a,23bをキャビネット本体10の奥行きに略合致した長さとしながら仕切板24が側板23a,23bよりも短く形成されているが、図13および図14に示すように仕切板24’を側板23a,23bと略同一長さにして、キャビネット本体10の奥行きを最大限に利用した第一収納室29’としてもよい。このような構成によると引出し20の強度をさらに向上させることができる。なお、図13および図14に示す実施形態では、目隠し板35が引出し上端と略面一となる位置に取り付けられている。また、図14においては陶磁器製の洗面ボール1が用いられている。
【0043】
また、引出し20の側板23a,23bおよび仕切板24をキャビネット本体10の奥行きよりも短い寸法にして、引出し20を収容した状態で、第一収納室29の後板25’がキャビネット本体10の背板13と間隔をおいて設けられるような実施形態としてもよい(図15)。
【0044】
さらに、引出しは洗面ボール1の排水口4からトラップ6下面までの高さ範囲内に設けられるものであって、必ずしもその高さ範囲を実質的にすべて満たす領域とする必要はなく、その高さ範囲内において比較的薄い引出し20’として設置してもよい(図16)。図16においては下部収納部は単なる収納空間として構成されており、その前面には両開きの開き扉18’が開閉自在に設けられる。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、引出しの後方に排水管を収容するための凹部が形成されるため、キャビネット内のスペースを有効に利用することができる。
【0046】
この凹部を覆う目隠し板を設けることにより、引出しを引き出したときに凹部から床面が見えてしまうことが防止され、見栄えがよくなるとともに、凹部から小物が落ちてしまうことも防止され、使用勝手に優れたものとなる。
【0047】
特に、シンクまたは洗面化粧台の排水口から排水管のトラップ下面までの高さ範囲内に上部収納部を設けて引出しを出し入れ自在に設けた場合には、該引出しが薄型横長となって、洗面化粧台において頻繁に使用されるヘアブラシ類、ひげ剃り類、せっけん類、歯ブラシ類等の小物を収納するに適した収納構造となり、しかもキャビネットの上部に設けられることで使い勝手に優れている。一方、排水管のトラップ下面よりも下方に設けられる下部収納部には任意の収納構造を採用して、比較的使用頻度の少ないものや比較的大きなものの収納に有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるキャビネット構造を洗面化粧台に適用した実施形態において各収納体をすべてキャビネット本体内に収納した状態を示す全体斜視図である。
【図2】このキャビネット構造から洗面ボールを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】このキャビネット構造において上部収納部に設けられる引出しを引き出した状態を示す斜視図である。
【図4】このキャビネット構造において下部収納部の開き扉を開けるとともにワゴンタイプの引出しを引き出した状態を示す斜視図である。
【図5】このキャビネット構造における図1と同様の状態の断面図である。
【図6】上部収納部に設けられる引出しの内箱を作成する工程および該内箱の前板に化粧前板を貼着する工程を示す説明図である。
【図7】内箱後方の凹部に目隠し板を取り付ける工程を示す説明図である。
【図8】目隠し板の別の構成を示す斜視図である。
【図9】引出しの第一収納部をさらに区画した構成を示す斜視図である。
【図10】図10の構成の変形例を示す斜視図である。
【図11】凹部を引出しの中央部に設けた引出し構成を示す斜視図である。
【図12】図12の構成の変形例を示す斜視図である。
【図13】本発明によるキャビネット構造を洗面化粧台に適用した別の実施形態においてその上部収納部に設けられる引出しを示す斜視図である。
【図14】このキャビネット構造において図14の引出しをキャビネット本体内に収納した状態の全体断面図である。
【図15】本発明によるキャビネット構造を洗面化粧台に適用した別の実施形態において各収納体をすべてキャビネット本体内に収納した状態の全体断面図である。
【図16】本発明によるキャビネット構造を洗面化粧台に適用したさらに別の実施形態において各収納体をすべてキャビネット本体内に収納した状態の全体断面図である。
【符号の説明】
1 洗面ボール
4 排水口
5 排水管
6 トラップ
10 キャビネット本体
20 引出し
21 化粧前板
22 前板
23a,23b 側板
24 仕切板
25,26 後板
27,28 底板
29 第一の収納室
30 第二の収納室
35 目隠し板
36 排水管収容用の切り欠き
Claims (2)
- キャビネット本体の上部にシンクまたは洗面化粧台が設けられ、キャビネット本体内にシンクまたは洗面化粧台からの排水管が収納されるキャビネットにおいて、キャビネット本体に出し入れ自在に引出しが設けられ、該引出しは、前板と、左右一対の側板と、側板間を任意間隔で仕切る仕切板と、一方の側板と仕切板との間に架設される第一の後板と、第一の後板よりも前方位置において他方の側板と仕切板との間に架設される第二の後板と、前板と一方の側板と仕切板と第一の後板とで囲まれる領域の下端を閉塞して第一の収納室を形成するための第一の底板と、前板と他方の側板と仕切板と第二の後板とで囲まれる領域の下端を閉塞して第二の収納室を形成するための第二の底板とからなり、該引出しをキャビネット本体内に収納した状態において第二の後板の後方に形成される凹部に前記排水管を収納可能であり、該凹部を覆う目隠し板が設けられ、この目隠し板に排水管収納用の切り欠きが設けられることを特徴とするキャビネット構造。
- キャビネット本体の上部にシンクまたは洗面化粧台が設けられ、キャビネット本体内にシンクまたは洗面化粧台からの排水管が収納されるキャビネットにおいて、キャビネット本体に出し入れ自在に引出しが設けられ、該引出しは、前板と、左右一対の側板と、側板間を任意間隔で仕切る少なくとも2枚の仕切板と、一方の側板と該側板に隣接する一方の仕切板との間に架設される第一の後板と、他方の側板と該側板に隣接する他方の仕切板との間に架設される第二の後板と、第一および第二の後板よりも前方位置において仕切板間に架設される第三の後板と、前板と一方の側板と該側板に隣接する一方の仕切板と第一の後板とで囲まれる領域の下端を閉塞して第一の収納室を形成するための第一の底板と、前板と他方の側板と該側板に隣接する他方の仕切板と第二の後板とで囲まれる領域の下端を閉塞して第二の収納室を形成するための第二の底板と、前板と2枚の仕切板と第三の後板とで囲まれる領域の下端を閉塞して第三の収納室を形成するための第三の底板とからなり、該引出しをキャビネット本体内に収納した状態において第三の後板の後方に形成される凹部に前記排水管を収納可能であり、該凹部を覆う目隠し板が設けられ、この目隠し板に排水管収納用の切り欠きが設けられることを特徴とするキャビネット構造。
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