JP3636972B2 - 美白剤および化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞毒性が低く、美白効果に優れた美白剤および安全性に優れた化粧料に関する。
さらに詳しくは、天然成分であり、細胞毒性が低く、かつ美白効果に優れたクランベリーの実の圧搾濾過物及び/又は抽出物を含む美白剤と、この美白剤を配合した安全性に優れた化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
クランベリー(Vaccinium macrocarpon)は米国に多く産する赤色の実をつける植物で日本名「つるこけもも」の仲間である。クランベリーの抽出液は尿路感染症の治療薬としての効果や、特開平5−201846号公報にあるようにクランベリー等由来のカフェー酸配糖体を配合した美白料としての応用や、特開平9−221484号公報にあるようにクランベリーからプロアントシアニジンを得る方法のように種々の分野での有用性が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のカフェー酸配糖体やプロアントシアニジンは皮膚に対する安全性に問題がある場合があり、より安全性が高い成分が必要とされていた。
すなわち、本発明の目的は、細胞毒性が低く、美白効果に優れた美白剤および安全性に優れた美白用化粧料を提供することにある。一方、カフェー酸配糖体やプロアントシアニジンを含まないようなクランベリー抽出液にも美白効果があり、さらにそれが化粧品に有効であるとの知見は得られていなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明人らは、クランベリー圧搾濾過物、抽出物を含む美白剤でかつ安全性が高い成分について検討を行なってきた。その結果、分子量が5000以上のアントシアニン重合体からなるクランベリーの実の圧搾濾過物及び/又は抽出物の細胞毒性が低く、かつ皮膚安全性に優れ、美白効果も有することを見出した。さらにこの美白剤を化粧料に配合することで美白効果を有する化粧料が得られることを見出した。また、既存の美白効果を有する美白剤や紫外線防御剤と組み合わせるとより効果的であることを見出した。
【0005】
すなわち、第1の本発明は、アントシアニン重合体を含むクランベリーの実の圧搾濾過物及び/又は抽出物からなる美白剤であり、当該圧搾濾過物及び/又は抽出物が、ゲル濾過法、または限外濾過法により精製され、カフェー酸配糖体を含まず、アントシアニジン含有量を0.5質量%未満に、アントシアニン重合物の分子量を5000以上とした精製物であることを特徴とする美白剤である。
【0008】
第2の本発明は、上記の美白剤と、他の美白剤を含有することを特徴とする化粧料である。
【0009】
第3の本発明は、他の美白剤がビタミンCおよびその誘導体、乳酸、プラセンタエキス、油溶性甘草エキス、アロエエキス、火棘エキス、スイカズラエキス、ハイビスカスエキス、ヨクイニンエキス、チャエキス、ユキノシタエキスから選ばれる1種、または2種以上であることを特徴とする上記の化粧料である。
【0010】
第4の本発明は、第2または第3の発明に、さらに紫外線防御剤を含有することを特徴とする上記の化粧料である。
【0011】
第5の本発明は、第2〜第4のいずれかの発明に、さらに抗炎症剤を含有することを特徴とする化粧料である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、分子量が5000以上のアントシアニン重合体からなるクランベリーの実の圧搾濾過物及び/又は抽出物を含むラジカル消去剤からなる。本発明で用いるクランベリー(Vaccinium macrocarpon)とは、つつじ科の日本名「つるこけもも」の仲間である。本発明では、クランベリーの実の圧搾濾過物を使用するが、圧搾濾過物としては、クランベリーの実を破砕圧搾濾過して得られる搾汁、またはその濃縮物であり、この圧搾濾過前に濾過物の粘性を低下させるためペクチン不活性化処理することが好ましい。また、クランベリーの実の抽出物としては、クランベリーの実を、水、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール等の低級アルコール、アセトン等の溶媒、それらの混合溶媒、好ましくは水、多価アルコール、低級アルコール、それらの混合溶媒、さらに好ましくは、温水、熱水等の水で抽出して得られる抽出液、その濃縮物である。該抽出物の形態としては、溶媒を含む抽出液、溶媒除去物等が挙げられる。本発明では、圧搾濾過物を用いることが原料の製造が容易であり経済的であるので好ましい。
【0013】
本発明で用いるクランベリーの実の圧搾濾過物または抽出物は、その製造条件によっては、光による褪色性の問題が発生する場合があるため、クランベリーの実の圧搾濾過物または抽出物をさらにゲル濾過法もしくは限外濾過法により精製する。精製の程度としては、精製物中のアントシアニジンの含有量を、美白剤として使用する性状の精製物の質量に対して、0.5質量%未満、好ましくは0.1質量%未満にまで除去する。上記クランベリーの精製物は、アントシアニン重合物を含み、その重合物の分子量を、5000以上となるようにし、さらに好ましくは30000以上であることが好ましい。アントシアニン重合物はポリマーであるため皮膚に対する安全性が高く、かつ細胞毒性が低い特徴がある。なお、本発明の美白剤としては、クランベリー由来のアントシアニン重合物が含まれていればよい。
【0014】
アントシアニジン含量の測定方法としては、以下に挙げる方法を用いることができる。
試料2gを正確にとり2%塩酸メタノール60mLを加え、水浴上で30分間加熱還流したした後、冷却する。これに2%塩酸メタノールを加えて正確に100mLとし、濾紙で濾過をして検液とする。2%塩酸メタノールを対照として波長530nm〜550nm付近の極大吸収部における吸光度を測定し次式により求める。
アントシアニジン含量(質量%)={吸光度×希釈倍率(100)/試料採取量(g)}×{1/76000}×100
【0015】
以下、本発明で用いるクランベリー実の圧搾濾過物、または抽出物の精製方法を示す。クランベリーの実の圧搾濾過物、または抽出物を精製する方法は、限外濾過法とゲル濾過法である。限外濾過法で用いられる膜には分画分子量が5000から500000までの膜が有用であるが、好ましくは分画分子量が10000から100000までの膜が良好な結果が得られる。特に好ましくは分画分子量が30000の膜である。膜の材質はポリエーテルスルフォンや再生セルロースが挙げられるが、ポリエーテルスルフォンが好ましい。濾過方法としてはポンプや遠心機を用いた加圧式、吸引式濾過方法等があるがいかなる方法を用いても良い。
【0016】
ゲル濾過法に用いるゲルには、セファデックス、セファロース(以上アマシャム・ファルマシア社製)、トヨパール(東ソー社製)、バイオゲル(バイオラット社製)等が挙げられる。また、溶出液には各種のバッファー、含水有機溶剤(メタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル等)を用いることができる。
【0017】
本発明の化粧料における上記クランベリー圧搾濾過物及び/又は抽出物の配合量(溶媒を除いた純分換算)としては、化粧料の総量対して0.001〜99.9質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜20質量%である。
【0018】
本発明の化粧料では、前記のクランベリー圧搾濾過物、抽出物からなる美白剤以外に、従来美白効果を有することが知られている美白剤を併用すると、単独で配合するよりも美白効果が相乗的に高まるので好ましい。併用する美白剤としては、例えば、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、プラセンタエキス、ビタミンC及びその誘導体、ルシノール、グルタチオン、リノール酸、リノレン酸、乳酸、トラネキサム酸、ビフェニル化合物、パンテテイン−S−スルホン酸カルシウム、イオウ、油溶性甘草エキス(グラブリジン)、ラズベリーケトングルコシド、ウワウルシエキス、甘草エキス、アセロラエキス、アルモンドエキス、アロエエキス、イチョウエキス、イブキトラノオエキス、エイジツエキス、オウゴンエキス、オウレンエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、海藻エキス、カミツレエキス、カッコン(クズ)エキス、キハダエキス、クチナシエキス、クララ(クジン)エキス、クロレラエキス、黒砂糖抽出物、クワ(ソウハクヒ)エキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、ゴバイシエキス、コムギエキス、コメ胚芽油、小麦胚芽エキス、コメヌカエキス、サイシンエキス、サンシンエキス、サンショウエキス、シソエキス、シャクヤクエキス、スイカズラエキス、セージエキス、センキュウエキス、ダイズエキス、チャエキス(葉または実)、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、ドクダミエキス、ニンニクエキス、ハマメリス抽出液、ビワエキス、ベニバナエキス、ボタンエキス、マツホドエキス、マロニエエキス、メリッサエキス、ヨクイニン(ハトムギ)エキス、ユキノシタエキス、ワレモコウ(ジュ)エキス、ヨモギエキス、火棘エキス、ハイビスカスエキスなどが挙げられる。
この中で、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、アスコルビン酸クルコシド等のビタミンCおよびその誘導体、乳酸、プラセンタエキス、油溶性甘草エキス、アロエエキス、スイカズラエキス、ハイビスカスエキス、ヨクイニンエキス、チャエキス、ユキノシタエキスが汎用性や安定性に富むことから好ましい。その中でも、特にビタミンCおよびその誘導体、プラセンタエキスが好ましい。
【0019】
これらの美白剤の化粧料への配合量(エキスの場合は乾燥残分換算)は、それぞれの成分の持つ有効濃度により異なるが、例えばアルブチンは3質量%、コウジ酸は1質量%、ビタミンCその誘導体は3質量%などが挙げられ、一般的には化粧料の総量に対して0.0001〜50質量%の範囲にあることが好ましい。
【0020】
また、本発明の化粧料では、前記のクランベリー圧搾濾過物、抽出物からなる美白剤以外に、またはクランベリー圧搾濾過物、抽出物からなる美白剤と他の美白剤以外に、紫外線防御剤を加えることで紫外線によるシミ、ソバカス、シミの発生を改善防止する美白効果をより高めることができる。紫外線防御剤の例としては、有機系の紫外線防御剤(UV−A、Bのいずれに対応していても構わない)、無機系の顔料、金属粉末の紫外線防御剤が挙げられる。有機系の紫外線防御剤の例としては、例えばパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、エチルジヒドロキシプロピルPABA、グリセリルPABA、サリチル酸ホモメンチル、メチル−O−アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、サリチル酸オクチル、2−フェニル−ベンズイミダゾール−5−硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3−(4−メチルベンジリデン)カンフル、2,4−ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン、4−イソプロピル ジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4−(3,4−ジメトキシフェニルメチレン)−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルや、これらの高分子誘導体、シラン誘導体等が挙げられる。有機系紫外線防御剤を用いる場合の配合量としては、化粧料の総量に対して、1〜20質重%が好ましく、さらに好ましくは3〜10質量%である。また、これらの有機系防御剤の内、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンが特に好ましく用いられる。
【0021】
また、有機系紫外線防御がポリマー粉末中に封止されたものを用いることも可能である。ポリマー粉末は中空であってもなくても良く、平均一次粒子径としては0.1〜50μmの範囲にあれば良く、粒度分布はブロードであってもシャープであっても構わない。ポリマーの種類としてはアクリル樹脂、メタクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、ナイロン、アクリルアミド樹脂等が挙げられる。これらのポリマー粉末中に、粉末量の0.1〜30質量%の範囲で有機系紫外線吸収剤を取り込ませた粉末が好ましく、特にUVA吸収剤である4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンを配合することが好ましい。
【0022】
無機系の紫外線防御剤の例としては、微粒子金属酸化物やアルミニウムフレーク、ステンレスフレーク等が挙げられるが、微粒子金属酸化物が特に好ましい。微粒子金属酸化物とは、平均一次粒子径が5〜100nmの範囲にあり紫外線防御効果を有するものを指し、例えば微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム、微粒子酸化鉄が挙げられる。これらの微粒子金属酸化物の1種以上、好ましくは2種以上を組み合わせて使用することが好ましい。例えば微粒子酸化チタンと微粒子酸化亜鉛を組み合わせることが好ましい。微粒子金属酸化物の粒度分布は特にシャープである必要はなく、シャープであってもブロードであっても構わない。また、微粒子金属酸化物の形状としては、球状、針状、棒状、紡錘状、不定形状、板状など特に限定されず、さらに結晶形についてもアモルファス、ルチル型、アナターゼ型など特に限定されない。また、微粒子酸化チタンに鉄をドーピングした黄色微粒子酸化チタンなども使用可能である。これらの成分は精製により鉛、砒素などの含有量を減らしたものを用いることが好ましい。
【0023】
さらに、これらの微粒子金属酸化物は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N−アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わないが、表面処理を行う場合では、シリコーン、シラン、フッ素化合物、アミノ酸系化合物、金属石鹸から選ばれる1種以上の表面処理により撥水化処理されていることが好ましい。シリコーン処理の例としては、メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆・加熱処理が挙げられ、シランとしてはアルキルシラン処理が挙げられ、フッ素化合物としてはパーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルシリコーン、パーフルオロアルキル・ポリエーテル共変性シリコーン、パーフルオロアルキルシランなどが挙げられ、アミノ酸系化合物としては、N−ラウロイル−L−リジンが挙げられ、さらに金属石鹸としてはステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。さらに、本発明で用いる微粒子金属酸化物は、光触媒活性を抑制するために、粒子表面にシリカ、アルミナから選ばれる金属酸化物層が設けてあることが好ましく、特に好ましくは微粒子金属酸化物をシリカ、アルミナで被覆した後、上記撥水化表面処理が行われていることが好ましい。
【0024】
無機系の紫外線防御剤の配合量としては、化粧料の総量に対して、0.1〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは3〜30質量%である。この範囲であれば効果的な紫外線防御効果が得られる。本発明では、無機系と有機系の紫外線防御剤分を併用することが好ましく、またUVA領域とUVB領域に対応する成分を併用して用いることも好ましい。本発明の化粧料は上記の紫外線防御剤と組み合わせて使用することにより、より効果的な美白が可能となる。本発明の美白剤を含む化粧料は日中使用しても構わないし、夜のみ使用しても構わない。
【0025】
本発明の化粧料には、前記の美白剤や紫外線防御剤以外に、抗炎症剤を併用することによって、紫外線によるシミ、ソバカス、クスミ等の色素沈着を一層改善し防止する優れた美白効果が得られるので、抗炎症剤を併用することが好ましい。抗炎症剤としては、グリルリチン酸、グリチルレチン酸およびそれらの塩またはそれらのエステル、甘草エキス、ウコンエキス、オウゴンエキス、オオムギエキス、シャクヤクエキス、シラカバ樹液、モモの葉エキス、アラントイン、ε−アミノカプロン酸、インドメタシン、グアイアズレン、塩化リゾチーム、ヒドロコルチゾン、パンテノールおよびその誘導体から選ばれる1種、2種以上である。好ましくは、グリルリチン酸、グリチルレチン酸およびそれらのカリウム、ナトリウム、アンモニウム等の塩またはグリチルレチン酸ステアリル等のエステルである。これらの抗炎症剤の配合量(エキスの場合は乾燥成分換算)としては、化粧料の総量に対して、好ましくは0.0001〜5質量%である。
【0026】
さらに本発明の化粧料では、上記の各種成分以外に各種の添加剤を加えることが可能である。例えば美容、美顔および皮膚の治療等を目的とする薬効成分のほか、保湿剤、増粘剤、香料、着色料、安定剤、粘着付与剤、pH調整剤、キレート剤、界面活性剤、防腐剤、抗菌剤等が挙げられる。
【0027】
上記薬効成分としては、従来、医薬品、医薬部外品、化粧品、衛生材料、雑貨等で使用されているものであれば特に限定されるものではなく、それらの中で美白効果や抗炎症効果を有するものは、本発明の他の美白剤や抗炎症剤として使用できる、薬効成分の例としては、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アンズエキス、ウイキョウエキス、エチナシ葉エキス、オウバクエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、加水分解エラスチン、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、カルカデエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クマザサエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コンフリーエキス、コラーゲン、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、ゼニアオイエキス、センブリエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウヒエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ノバラエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マツエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユズエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0028】
また、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のムコ多糖類、デオキシリボ核酸、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜等の生体高分子;アミノ酸、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシン等の保湿成分;スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質等の油性成分;ビタミンA,B2,B6,D,K,ビオチン、ニコチン酸アミド等のビタミン類;ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分;レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤;セファランチン、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、l−メントール、メントールのピロリドンカルボン酸塩、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ−アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ヒドロコルチゾン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、鎮痛剤、抗菌性物質等も挙げられる。
【0029】
本発明ではこれらの薬効成分も適宜配合できるが、その配合量(エキスの場合は乾燥残分換算)は、その素材により有効成分量が異なるため一概には規定できないが、化粧料の総量に対して、0.001〜80質量%であるのが好ましく、0.005〜30質量%であるのがより好ましい。
【0030】
また、保湿剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルビトール、トレハロース、ラフィノース、キシリトール、マンニトール、ヒアルロン酸およびその塩、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等のグリコール類、多価アルコール類および多糖類等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して本発明の化粧料に配合することが好ましい。
【0031】
本発明の化粧料の具体的な用途としては、スキンケア製品、メイクアップ製品、紫外線防御製品等が好ましいものとして挙げられる。例えば、乳液、クリーム、ローション、カラミンローション、サンスクリーン剤、パック料、クレンジング料、洗顔料、アクネ対策化粧料、エッセンス、化粧下地料などの基礎化粧料、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、チークなどのメイクアップ化粧料、ボディーパウダー、石鹸などがあげられる。その中でも、好適には美白化粧料、サンスクリーン剤である。また、製品の形態についても特に限定は無いが液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状等に適用が可能である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明を更に詳細に説明する。本発明の実施例で用いた精製クランベリーエキスの製造方法は、下記の通りであるが、下記製造方法に限定されるものではない。
【0033】
製造例1
クランベリーの実の圧搾濾過して得られた搾汁原液(製造元:米国のMILNE FRUIT PRODUCTS社 6倍濃縮液)を、限外濾過により精製を行う。すなわち、クランベリー搾汁原液10kgをザルトリウス社製ザルトコンスライスPSU−30K(分画分子量30000)を用いてポンプによる加圧により分画を行った。濃縮液400gは10%エタノール溶液400gを5回加えて洗浄して低分子成分の除去を行った。ついでエタノールを凍結乾燥法により除去し目的とする精製クランベリーエキス(42倍濃縮液)を得た。この精製クランベリーエキスのアントシアニジン含量を前記の方法にて試験したところ0.01質量%未満であった。また、高速液体クロマトグラフィーにより下記条件で分析した結果、カフェー酸配糖体のピークは検出できなかった。
【0034】
【0035】
また、上記精製クランベリーエキスについて特許第2528087号等に示されている既知のプロアントシアニジンとの相違を明確化するため、下記の確認実験を行った。
【0036】
▲1▼精製クランベリーエキスのクエン酸緩衝液(pH3.0)希釈液のUV−Visスペクトル(図1)により510〜520nmにおいて極大吸収を持つことを確認した。酸性溶液において520nm付近に極大吸収を持つ性質はアントシアニンの特徴的な性質である。
▲2▼アントシアニンの確認試験
精製クランベリーエキスのクエン酸緩衝液(pH3.0)溶液(1+100)は、赤〜暗青色を呈し、この液に水酸化ナトリウム溶液(1+25)を加えてアルカリ性にするとき変色することからアントシアニンであることを確認した。
▲3▼HPLCのチャートより構成成分はほとんどが重合物であることを確認した。
(図2)
【0037】
特許第2528087号によると、プロアントシアニジンとは下記化1で示されるフラバン−3−オールまたはフラバン−3,4−ジオールを構成単位として結合した2〜10量体の群より選ばれた少なくとも一種を含むものであり、トチの実の殻、つるこけもも(クランベリー)および大麦等の各種の植物体を原料として溶剤を用いて抽出し、この抽出物を液体クロマトグラフィー等により分別精製するか、あるいはプロシアニジンの選択的吸着剤で処理して該プロアントシアニジン区分を濃縮することによって得られるものと規定されている。
【0038】
【化1】
【0039】
ここで言うフラバン−3,4−ジオールの化学構造を鑑みるとき、フラバン−3,4−ジオールの分子量は306でありプロアントシアニジンはフラバン−3,4−ジオールの2〜10量体であるので分子量は5000未満のものであることが判った。
これらの点から、精製クランベリーエキスは分子量30000以上のアントシアニン重合物を主とした化合物であると考えられ、一方、プロアントシアニジンは分子量5000未満のフラバン−3,4−ジオールやフラバン−3−オールを構成単位とした縮合型タンニンであることが判っているので、本発明の抽出液はアントシアニン重合物であって既知のプロアントシアニジンではなく、かつプロアントシアニジンを含んでもいないことが判った。
【0040】
次ぎに、実施例および比較例の各化粧料の各種特性に対する評価方法を以下に示す。
【0041】
[美白作用評価・細胞毒性評価]
B16メラノーマ細胞を2×104細胞/wellで12穴プレートに播き、24時間後、精製クランベリーエキスの各試料を含有したテオフィリン入り培地に交換し、72時間培養後、細胞を10%TCA、1:1=エタノール:ジエチルエーテルで処理し、ついで10%ジメチルスルホオキシドを含有する1N NaOH液に溶解後OD475値を求めてメラニン量とする。その後適当量を希釈して蛋白量を測定し細胞数とした。
【0042】
[皮膚有用性評価]
専門パネラーを各評価品目ごとに10名ずつ用意し(但し、品目によりパネラーが重複する場合もある)、表1に示す評価基準に従って評価を行い、全パネラーの合計点数を以って評価結果とした。従って、点数が高いほど評価項目に対する有用性が高いことを示す(満点:50点)。尚、サンプルは毎日使用し、1.5ケ月連用したときの試験結果をアンケートにて回答してもらった。
【0043】
【0044】
[精製クランベリーエキスの細胞毒性評価結果]
精製クランベリーエキス0.1〜1質量%の範囲における細胞毒性を評価したところ細胞数の減少は認められず安全性が高いことが確認された。
また、比較対照として、プロアントシアニジン、カフェー酸配糖体を含むクランベリーエキス分画物を試験したところ、細胞毒性を示すことが判った。
【0045】
[精製クランベリーエキスの美白作用評価結果]
精製クランベリーエキス0.3質量%から弱いメラニン合成抑制効果が認められ、1質量%においてメラニン合成の抑制率は55%であった。
【0046】
実施例1
上記の精製クランベリーエキスを用いて、表2の処方により美白用ローションを得た。尚、配合量の単位は質量%である(以下、同様である)。
【0047】
【0048】
製造例2・実施例2
クランベリーの実の熱水抽出液をロータリーエバポレーターにて減圧濃縮して5倍コンク品を得た。このクランベリー濃縮品50gに同量の60%エタノールを添加して溶解した。この溶液をセファデックスLH−20を詰めたカラム(ベッドボリュームφ5×21cm)にアプライした。溶出液に60%エタノールを用い、流速100mL/hrでクロマト処理し200mLずつフラクションを回収した。 Fr1〜12までの各フラクションを得、最後に溶出したFr9〜12画分を濃縮して400gとした。得られた精製クランベリーエキスのアントシアニジン含量は0.004質量%であった。ポリフェノール含有量は0.06質量%であり、乾燥残分量は0.7質量%であった。高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、カフェー酸配糖体のピークは検出できなかった。また、この精製クランベリーエキスは分子量が5000以上のアントシアニン重合体を含むものであった。
この精製クランベリーエキスを用い、表3の処方に従いローションを得、これを不織布に含浸させて美白用ローションマスクを得た。
【0049】
【0050】
実施例3
製造例1の精製クランベリーエキスを用い、表4の処方に従ってサンスクリーン剤を得た。尚、紫外線防御剤としてはパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、シリコーン処理微粒子酸化チタン(平均粒子径35nm)、シリコーン処理微粒子酸化亜鉛(平均粒子径50nm)を用いた。
【0051】
[表4]
成分A
親油型モノステアリン酸グリセリル 1
ステアリン酸 4
ベヘニルアルコール 1
セチルアルコール 0.5
液状ラノリン 2.5
スクワラン 4
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 2
大豆リン脂質 0.3
パーフルオロポリエーテル 0.2
シリコーン処理微粒子酸化チタン 2
シリコーン処理微粒子酸化亜鉛 10
球状シリコーン樹脂ビーズ(平均粒子径4.5μm) 1
成分B
精製クランベリーエキス 5
プラセンタエキス 1
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5
精製水 3
成分C
トリエタノールアミン 1.5
精製水 残量
香料・防腐剤 適量
【0052】
成分A、成分Cを別々に80℃にて混合した後、撹拌しながら成分Cを成分Aに混合し、ついで成分Bを加え放冷した後、遮光容器に充填して製品とした。
【0053】
比較例1
実施例1の精製クランベリーエキスの代わりに、精製水を同量用いた他はすべて実施例1と同様にしてローションを得た。
【0054】
比較例2
実施例2の精製クランベリーエキスの代わりに、クランベリーの実の熱水抽出液の未精製のものを同量用いた他はすべて実施例2と同様にしてローションマスクを得た。
【0055】
比較例3
実施例3の精製クランベリーエキスの代わりに、製造例1で用いたクランベリーの実の圧搾濾過して得られた搾汁原液クランベリーの分子量5000未満の成分を分画したもので、プロアントシアニジンとカフェー酸配糖体を含んでいるものを同量用いた他はすべて実施例3と同様にしてサンスクリーン剤を得た。
【0056】
実施例および比較例の化粧料の評価結果を表5に示す。
【0057】
【0058】
表5の結果から精製クランベリーエキスを配合した本発明の美白用化粧料は、皮膚刺激がなく安全性に富み、美白効果に優れていることが判った。比較例1は精製クランベリーエキスの美白成分を除いたローションに関するものであるが、皮膚に対する刺激はなかったものの美白効果は認められなかった。比較例2はクランベリーの未精製抽出液そのものを配合したローションマスクであり、美白効果も有していたが、皮膚に刺激等の違和感があると回答したパネラーが多く1週間で試験を中止した。比較例3はサンスクリーン剤にクランベリーエキス中の低分子量分画物を配合した例であるが、紅斑反応などは生じなかったものの皮膚にかゆみなどの違和感がでることが予備試験段階で判明したため試験を中止した。
【0059】
【発明の効果】
以上のことから、本発明は、天然成分であり、細胞毒性が低く、かつ美白効果に優れた、分子量が5000以上のアントシアニン重合物からなるクランベリーの実の圧搾濾過物及び/又は抽出物からなる優れた美白剤と、この美白剤と他の美白剤を配合することによって美白効果と安全性に優れてた化粧料を提供することは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】精製クランベリーエキスのクエン酸緩衝液(pH3.0)希釈液のUV−Visスペクトル図である。
【図2】精製クランベリーエキスのHPLCチャート図である。
Claims (5)
- アントシアニン重合体を含むクランベリーの実の圧搾濾過物及び/又は抽出物からなる美白剤であり、当該圧搾濾過物及び/又は抽出物が、ゲル濾過法、または限外濾過法により精製され、カフェー酸配糖体を含まず、アントシアニジン含有量を0.5質量%未満に、アントシアニン重合物の分子量を5000以上とした精製物であることを特徴とする美白剤。
- 請求項1記載の美白剤と、他の美白剤を含有することを特徴とする化粧料。
- 他の美白剤が、ビタミンCおよびその誘導体、乳酸、プラセンタエキス、油溶性甘草エキス、アロエエキス、火棘エキス、スイカズラエキス、ハイビスカスエキス、ヨクイニンエキス、チャエキス、ユキノシタエキスから選ばれる1種、または2種以上であることを特徴とする請求項2記載の化粧料。
- さらに、紫外線防御剤を含有することを特徴とす請求項2または3記載の化粧料。
- さらに、抗炎症剤を含有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の化粧料。
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