JP3634449B2 - 育苗容器の土供給装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、セルトレイあるいはポットシートと呼ばれる育苗容器の土供給装置に係るものである。
【0002】
【従来技術】
従来公知の、特公平4−18802号公報には、上側を開放したポットを前後左右に多数並設した育苗容器を嵌合させた収納箱7を横移送させる移送台の上方位置に、前記育苗容器上に床土を供給しうる床土繰出装置を設け、該床土繰出装置の移送方向下手側に育苗容器1の上面の床土8を鎮圧する鎮圧ローラー48を設け、鎮圧ローラー48の下手側に育苗容器1の上面の余分な床土8を除去するスクレーパ20を設けた構成について記載されている。
また、従来公知の、特開平3−43025号公報には、移送台の上方位置の床土繰出装置の移送方向下手側に育苗容器1の上面の床土8を鎮圧する鎮圧ローラー48を設け、鎮圧ローラー48の下手側に外周に突起69を設けた突起ローラー68を設け、次に回転ブラシ52を設け、次にまた鎮圧ローラー48を設けた構成について記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記特公平4−18802号公報に記載されたものは、すぐに鎮圧するから、左右側のポットへの供給量が不足するという課題がある。即ち、床土繰出装置は、供給ホッパーの左右内側部分にブリッジが発生するので、左右側の部分の土繰出量は中央部分に比べ少なくなるので、そもそも左右側のポットへの供給量が不足するのである。
また、該公報に記載されているスクレーパ20は、単に育苗容器1の上面の余分な床土8を除去するものであるから、左右側のポットに十分に床土を供給するのには余り貢献しない。
また、特開平3−43025号公報に記載されたものも同様であり、各ポットに十分に供給するために、二つの鎮圧ローラー48と突起69と回転ブラシ52を必要としている。
また前記両公知例は、作業開始時の育苗容器の先頭のポットに十分に床土を供給できないことがあるという課題がある。
即ち、ポット内に十分の床土を入れるには、移送中のポットに上方から繰り出して入れるだけでなく、ポットの容積に対して相当に多く供給した床土をスクレーパで掻き寄せることで入るので、先頭のポットでは、このスクレーパにより掻き寄せられる余分な土が無いことで、供給量が不足する。
また、単に、土繰出装置の繰出量を多くすると、課題が解決するようにも思えるが、先頭のポット以外では、スクレーパにより掻き寄せられるので十分であるのに、そもそも不足する先頭部分のポットに供給量を合わせたのでは、後続のポットでは過剰供給であり、その分スクレーパにより除去することになって無駄になる。また、育苗容器は連続移送されるから、不足するのは先頭の1枚であり、従来は、作業開始時の先頭の育苗容器を取り除いていた。
また、ポットに床土を入れようとすると、ブリッジが発生して下まで十分に入れることができないので、鎮圧するが、下方まで押し込めずにポット内の上部が硬くなるだけで、十分な量を入れられないという課題がある。
【0004】
【発明の目的】
床土供給の確実化、構成の簡素化、部品点数の削減、コストの削減、スクレーパの作動の確実化、スクレーパの小型化。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上側を開放したポット2を前後左右に多数並設した育苗容器1を嵌合させた収納箱7を横移送させる移送台9の上方位置に、前記育苗容器1上に床土を供給しうる床土繰出装置13を設け、該床土繰出装置13の移送方向下手側に育苗容器1の上面の余分な床土8を所定厚さ残して除去するスクレーパ20を設け、該スクレーパ20の下手側に育苗容器1の上面の床土8を鎮圧する鎮圧ローラー48を設け、該鎮圧ローラー48の下手側に育苗容器1の上面の余分な床土8を除去する回転ブラシ52を設け、前記スクレーパ20は、育苗容器1が至るまでの間に繰出された床土8を受け止めて貯留する待機位置と、育苗容器1の上面の余分な床土8を所定厚さ残して除去する作用位置の間移動自在で、作用位置に移動するとき貯留した床土8を育苗容器1に放擲するように構成した育苗容器の土供給装置としたものである。
本発明は、前記スクレーパ20は、待機位置のとき落下する床土8を貯留し得る土載板部21と貯留した床土8が溢れないようにする溢れ防止板22により側面視床土繰出装置13の繰出口16側を開口して逆L型形状に形成し、溢れ防止板22には前記育苗容器1の移送路に突き出て移送中の育苗容器1が当接するとスクレーパ20を作用位置に移動させ、作用位置のときスクレーパ20の下縁を育苗容器1の上面より所定高さ上方に位置させる案内兼高さ保持面32を有する回動兼高さガイド31を設けた育苗容器の土供給装置としたものである。
本発明は、前記土載板部21には待機状態のとき育苗容器1の幅方向の中央部が高く、側方に至に従い低く傾斜させた土案内部23を設けた育苗容器の土供給装置としたものである。
本発明は、前記回転ブラシ52は前記移送台9に軸装した左右一対の取付アーム54の先端に軸装し、前記取付アーム54の近傍位置に左右一対のスタンド53を設け、該スタンド53と前記取付アーム54の間をロッド56により高さ位置調節自在に連結し、前記鎮圧ローラー48は前記移送台9に軸装した左右一対の取付アーム49の先側に軸装し、該取付アーム49の先端には取付アーム49の回動方向に長い長孔50を形成し、長孔50に位置調節自在に挿通したストッパー軸51を前記スタンド53に当接させた育苗容器の土供給装置としたものである。
本発明は、前記取付アーム54には前記回転ブラシ52の下端より先端が所定間隔おいて下方に位置する固定摺接ブラシ65を設けた育苗容器の土供給装置としたものである。
本発明は、前記スクレーパ20の下方に前記収納箱7ごと育苗容器1を振動させる振動装置38を設けた育苗容器の土供給装置としたものである。
本発明は、前記振動装置38と前記鎮圧ローラー48はそれぞれ独立して選択使用可能に構成した育苗容器の土供給装置としたものである。
【0006】
【実施例】
本発明の一実施例について図により説明すると、1はナス、トマト等の野菜や花あるいは稲等の種子を播種して育苗する育苗容器であり、前後左右に多数のポット2を形成する。ポット2は、下面3に透孔4を形成し、側壁5の上端縁を連結部6により連結して一枚状(一体状)の育苗容器1を形成する。
前記育苗容器1は、引出形状の収納箱7に、前記透孔4を下にして嵌合させて移送し、移送中のポット2に、上方より床土8を供給する。
9は前記育苗容器1を移送する移送台であり、育苗容器1の移送方向に長い左右一対のフレーム10に図示は省略するが所定間隔をおいて支脚を設けて床上に載置する。前記移送台9には育苗容器1の移送手段である移送ロール11を設ける。移送台9の始端部上方位置には床土繰出装置13を設ける。床土繰出装置13は上方に供給ホッパー14を設け、供給ホッパー14の下方に床土繰出ベルト15を設ける。16は該床土繰出ベルト15の繰出口、17は供給量調節板である。
【0007】
床土繰出装置13の前記育苗容器1の移送方向前側の移送台9には、スクレーパ20を設ける。スクレーパ20は、育苗容器1より低い位置にて待機する待機位置と育苗容器1の上方に位置する作用位置の間移動(変位)自在に設け、待機位置では床土繰出装置13からの床土8を堆積貯留させて作用位置に移動するとき、移送中の育苗容器1の前端(先頭)のポット2に多くの床土8を供給し、その後は、育苗容器1上の床土8を均平するように構成する。即ち、育苗容器1の前側以外のポット2では、スクレーパ20が均平して余った土が掻き寄せられて入るので、十分に供給できるが、育苗容器1の前端部分は余分な土がないので、少なめになるので、スクレーパ20は待機中に床土8を堆積貯留させて作用位置に移動するとき放擲する。
スクレーパ20は待機状態のとき床土繰出装置13の繰出口16より繰り出される床土8を貯留させ得る土載板部21と溢れ防止板22により側面視床土繰出装置13の繰出口16側を開口した逆L型形状に形成する。前記土載板部21の中央部には待機状態のとき育苗容器1の幅方向の中央部が高く、側方に至に従い低く傾斜させた土案内部23を形成する。土案内部23は育苗容器1の左右側により多くの土が寄せられることを期待する。即ち、床土繰出装置13のホッパー内でブリッジの発生しやすい床土8の場合、ホッパーの左右側壁部分で落下しにくくなるので、どうしても、床土繰出ベルト15が繰り出すとき左右側の繰出量が少なくなるので、スクレーパ20にて均平してできた余剰土を左右側に振り分けると、効率よく供給できる。
スクレーパ20の側板24に取付部材25のアーム26の先端を軸27により軸着し、アーム26の基部を取付用板28に回動自在に軸着し、取付用板28は床土繰出装置13のフレーム10に着脱自在に取付ける。前記軸27よりも前側の取付用板28には回転規制アーム29の基部を取付け、回転規制アーム29の先端を軸30により前記側板24に軸着する。アーム26はスクレーパ20を回動させ、回転規制アーム29はスクレーパ20がアーム26に対して回転するのを規制し、育苗容器1に対するスクレーパ20を適正姿勢にする。
【0008】
また、スクレーパ20は、待機位置のとき繰り出された床土8を貯留させ得るように床土繰出装置13の繰出口16に臨ませると共に、作用位置のとき、土載板部21上の土が落下し得る傾斜になるように取付ける。
前記スクレーパ20の土載板部21には回動兼高さガイド31を設ける。回動兼高さガイド31は育苗容器1の移送方向と平行な縦板により形成し、待機位置のときスクレーパ20の回動を案内し、作用位置のときは土載板部21の下縁を育苗容器1の上面より所定高さ上方に位置させるものである。回動兼高さガイド31は待機状態においてその後端縁上部を土載板部21の後端縁よりも後方に突き出させ、下方に至るに従い前側に位置するように傾斜する案内兼高さ保持面32に形成し、案内兼高さ保持面32によりスクレーパ20を押し、アーム26を回動させて作用位置にまで移動する。
回動兼高さガイド31の作用位置における案内兼高さ保持面32は、土載板部21の下縁より下方に位置して、土載板部21を育苗容器1の上面よりも上方に位置させ、案内兼高さ保持面32は作用位置において後側を最も低くして、育苗容器1の前端部の上面がすぐに摺接するようにして、土載板部21の下端を上動させる。
作用位置における案内兼高さ保持面32の後端と土載板部21の下端との間には後側に至るに従い高くなるように傾斜させた回動案内面33に形成する。即ち、案内兼高さ保持面32が育苗容器1に当接してスクレーパ20の回動を案内すればよいが、育苗容器1の高さが高いと、案内兼高さ保持面32と土載板部21の段差部分に引っ掛かってスクレーパ20の回動を阻害する惧れがあるので、土載板部21の下縁と案内兼高さ保持面32の後端間の案内をする回動案内面33を設け、育苗容器1または収納箱7の先端が一点にて接触し、回動を円滑確実にする。
【0009】
また、回動兼高さガイド31は、ポット2の間の連結部6の上面に位置させるが、使用する育苗容器1によっては、連結部6の上方に位置しないことあるので、この場合、ポット2内に嵌合しないようにポット2の内径より大に形成する。また、取付個数は任意であるが、通常中央部に1個設けると、作用し、コストを低くできる。
前記スクレーパ20が移動する範囲の下方位置には、振動装置38を設ける。振動装置38は前記フレーム10にモータケース39を設け、モータケース39内に振動用モータ40を設け、振動用モータ40の出力軸41に回転ロータ42を固定し、回転ロータ42の偏心位置にロッド43の一端を軸着し、ロッド43の他端にはアーム44の一端を軸着し、アーム44の中間部を軸45に軸着し、アーム44の他端には上下体46を取付け、上下体46は移送ロール11の上面より上方位置と下方位置の間上下して通過中の収納箱7の下面を押し上げてて振動を付与する。
振動装置38の下手側には鎮圧ローラー48を設ける。実施例の鎮圧ローラー48は金属ローラーにより形成して鎮圧圧力をより強くしている。鎮圧ローラー48は左右一対の取付アーム49の先端側に軸装し、取付アーム49の基部を前記フレーム10に回動自在に軸着して取付ける。一方の取付アーム49には図示は省略するが、回転伝達機構を設けて、移送台9の回転により駆動回転させる。前記取付アーム49の先端には長孔50を形成し、各長孔50にストッパー軸51を挿通させ、ストッパー軸51の両端部は取付アーム49に位置調節自在に固定する。ストッパー軸51は後述する回転ブラシ52のスタンド53に当接させて取付アーム49の回動を停止させる。実施例では、前記ストッパー軸51の両端に螺子溝を形成し、該螺子溝にナットを螺合させて位置固定している。
前記回転ブラシ52は左右一対の取付アーム54の先端側に軸装し、取付アーム54の基部を前記フレーム10に回動自在に軸着して取付ける。一方の取付アーム54には図示は省略するが、回転伝達機構を設けて、移送台9の回転により駆動回転させる。取付アーム54の中間部にはロッド56の下端を軸着し、ロッド56の上端を握り棒55により連結し、握り棒55を前記スタンド53に形成した窓部58に挿通する。窓部58の内側には上下移動体59の移動窓部60を臨ませ、移動窓部60の下縁には高さの相違する係合溝61を形成し、係合溝61に前記握り棒55を選択係合させる。上下移動体59は螺子軸62の下部に固定し、螺子軸62は前記スタンド53に螺合させる。63は前記スタンド53を連結する連結杆、64は高さ微調節ダイヤルである。前記握り棒55を握って上方に持ち上げ、他の係合溝61に選択係合させると、係合溝61の高さだけ、大きく回転ブラシ52を上下できる。そして、高さ微調節ダイヤル64を回すと、上下移動体59を微妙に上下させ、係合溝61の高さを微妙に上下させるから、微調節できる。
【0010】
前記取付アーム54には固定摺接ブラシ65を固定する。固定摺接ブラシ65は前記回転ブラシ52より先に所定量の余分な床土8を除去するもので、前記回転ブラシ52の下端より下方に所定間隔おいて位置させる。66は回転ブラシ52の土落としも兼用する左右の取付アーム54の連結補強杆である、
回転ブラシ52の下手側には灌水ノズル67を設け、灌水ノズル67の次には突起ローラー68を設ける。突起ローラー68は前記ポット2内の床土8上面を突起69により押圧して窪みを形成する。突起ローラー68は筒の外周に前記突起69を設けて形成する。70は高さ調節装置である。突起ローラー68は回転自在に取付け、育苗容器1の先端が突起69に当たると回転してポット2の上面に嵌合し、育苗容器1の移動によりポット2に嵌合して窪みを形成しながら回転する。なお、育苗容器1のポット2の数と突起69の数は嵌合するように相対的関係をもたせる。
突起ローラー68の次には種子繰出装置72を設ける。種子繰出装置72は上部に供給ホッパー73を設け、供給ホッパー73の下方に種子繰出部74を設けて構成する。種子繰出部74の構成は任意であるが、実施例ではシャッター構成にして各ポット2に正確に点播できるようにしている。
種子繰出装置72の次には覆土供給装置75を設ける。覆土供給装置75は上部に供給ホッパー76を設け、供給ホッパー76の下方に繰出ベルト77を設けて構成する。
【0011】
【作用】
次に作用を述べる。
育苗容器1は透孔4を下にして収納箱7に嵌合させ、収納箱7ごと移送台9に供給し、移送すると、床土繰出装置13により床土8の供給を受ける。
この場合、床土繰出装置13の繰出口16の下方には、繰出口16より繰り出される床土8を貯留させ得る土載板部21と溢れ防止板22により側面視逆L型形状に形成したスクレーパ20を設けてあるから、育苗容器1の先端はスクレーパ20の回動兼高さガイド31の後端縁に当接し、回動兼高さガイド31が育苗容器1に押されることによりスクレーパ20はアーム26により上方回動し、作用位置に回動するとき、この貯留された土を放擲する(図5)。
即ち、育苗容器1の前端(先頭)のポット2には、スクレーパ20により掻き集められた床土8が入ることがないので、どうしても供給量が不足するが、スクレーパ20の土載板部21には育苗容器1が繰出口16の下方に至るまでの間に繰り出されている床土8を貯留させ(図1、図4)、作用位置に回動するとき、この貯留された土を放擲する。したがって、育苗容器1の前端(先頭)のポット2にも確実に床土8を供給する。
なお、床土繰出装置13の繰出量を多くしておくと、課題が解決するようにも思えるが、供給量が不足するのは前端部分のポット2だけであり、後続の育苗容器1の先頭のポット2であっても連続して移送されているのでスクレーパ20により掻き集められた余剰土により十分であるから、繰出量を多くすると、掻き取る量が多くなって、この分土が無駄になり、従来は、作業開始時の先頭の育苗容器1を取り除いていたのである。したがって、本発明は、連続して移送されているポット2であれば適正である繰出量で、作業開始時の先頭のポット2にも確実に床土8を供給する。
【0012】
しかして、スクレーパ20が待機位置から作用位置に移動する範囲の下方位置には、振動装置38を設けているから、振動用モータ40に通電して回転ロータ42を回転させ、回転ロータ42はロッド43を上下させてアーム44の一端を軸45中心に上下させ、アーム44の他端の上下体46を上下させ、上下体46は移送ロール11の上面より上方位置と下方位置の間上下して通過中の収納箱7の下面を押し上げて振動を付与する。
したがって、上方から繰り出された床土8はポット2内でブリッジが発生するのが防止されて下まで十分に入る。
しかして、育苗容器1はスクレーパ20の下方を通過して、育苗容器1上に供給された床土8のうち余分な土が除去されるが、スクレーパ20の回動兼高さガイド31は作用位置のとき土載板部21の下縁を育苗容器1の上面より所定高さ上方に位置させるから、育苗容器1の上面に所定厚さの床土8を残して余分な床土8を除去する。
したがって、スクレーパ20の下方を通過した育苗容器1の上面の床土8は均平されているので、鎮圧ローラー48による鎮圧が正確に行える。即ち、床土8が均平されていないと、中央部分が盛り上がっている床土8に邪魔されて鎮圧ローラー48が下降できず、左右側を十分に鎮圧できないが、スクレーパ20により床土8が均平されていると、各ポット2に均等に床土8を供給して鎮圧が可能になる。
そして、鎮圧ローラー48は、育苗容器1の上面に所定厚さ残されている床土8をポット2内に押し込むので、ポット2内に十分な量の床土8を供給できる。この場合、前記振動装置38による振動と鎮圧ローラー48の鎮圧を併用すると、土が入り過ぎることがあるが、振動装置38と鎮圧ローラー48は、それぞれ独立して選択使用可能であるから、供給する床土8の性状によって最適な作業を行って、確実かつ精密に床土8を供給する。
また、鎮圧ローラー48は、左右一対の取付アーム49の先端側に軸装し、取付アーム49の先端には長孔50を形成し、各長孔50にストッパー軸51を挿通させ、ストッパー軸51の両端部は取付アーム49に位置調節自在に固定し、ストッパー軸51は回転ブラシ52のスタンド53に当接させているから、ストッパー軸51がスタンド53の後端縁に当接することにより所定高さに保持され、ストッパー軸51をスタンド53側に移動させると、鎮圧ローラー48を上動させ、ストッパー軸51をスタンド53より離すと鎮圧ローラー48を低くさせる。したがって、一対の取付アーム49に1本のストッパー軸51を取り付けるだけで、高さ調節機構を構成するので、コストを低くし、スぺースも有効利用できる。
【0013】
次に、育苗容器1は、固定摺接ブラシ65により上方の余分な土が除去され、次に、回転ブラシ52により余分な土を除去して、ポット2内の床土上面を均平する。
この場合、回転ブラシ52の手前に、固定摺接ブラシ65を設けているので、回転ブラシ52により掃き戻す土の量を少なくでき、回転ブラシ52と土が共回りするのを防止する。
また、固定摺接ブラシ65は、前記取付アーム54に前記回転ブラシ52の下端より下方に所定間隔おいて位置するように固定しているから、回転ブラシ52を上下させると、固定摺接ブラシ65も上下して、特別に上下調節が不要であり、固定摺接ブラシ65は回転ブラシ52に対して常時下方に位置させる。
しかして、余分な土が除去された育苗容器1は、灌水ノズル67の下方に至り、灌水され、突起ローラー68の突起69によりポット2内の床土上面に凹部が形成され、凹部中心に種子繰出装置72から繰り出された種子が播種され、次に、覆土供給装置75により覆土される。
しかして、スクレーパ20は回動兼高さガイド31を設けているから、スクレーパ20を土載板部21と溢れ防止板22により逆L型形状に形成しても、育苗容器1は回動兼高さガイド31に当接してスクレーパ20を上方回動させる。
また、待機状態において案内兼高さ保持面32の上端と土載板部21の後端の間に回動案内面33を形成しているから、高さの高い(厚い)育苗容器1であっても、回動案内面33から案内兼高さ保持面32に連続して案内され、スクレーパ20の回動を円滑確実にする。即ち、案内兼高さ保持面32は土載板部21の後端より後側(始端部側)に位置しないと、作用位置のとき土載板部21を育苗容器1の上面より所定高さ上方に位置させることができないが、反面、待機状態では、案内兼高さ保持面32と土載板部21の後端の間に段差ができ、この段差部分に育苗容器1が引っ掛かると、スクレーパ20の回動を停止させるので、これを防止する。
また、スクレーパ20の土載板部21は、待機状態のとき育苗容器1の幅方向の中央部が高く、側方に至に従い低く傾斜させた土案内部23を設けているから、待機状態では、土載板部21の上方の左右側に十分な量の床土8を貯留させて、回動してポット2に供給し、作用位置にスクレーパ20が回動して育苗容器1の上面の余剰土を掻き取るときは、育苗容器1の左右側に寄せながら掻き取るので、左右側のポット2により多くの床土8を寄せて確実に供給し、各ポット2に均等に床土8を供給する。
また、スクレーパ20はアーム26と回転規制アーム29とにより取付けているから、スクレーパ20が育苗容器1により押されると、スクレーパ20のみが軸31中心に回転しようとするが、これを回転規制アーム29が規制し、アーム26の回動とスクレーパ20の回転により待機位置から作用位置に移動する。
即ち、一本のアームに固定したのでは、アームを90度回動させないと、スクレーパを水平状態にできないので、アームの回動スペースが必要であり、また、回動高さを確保するには、アームの長さを長くする必要があるが、アーム26と回転規制アーム29とによりリンク機構に構成しているから、アーム26を短くすることができ、また、回動量も少なくでき、取付部材25を小さくすると共に、スクレーパ20を少ないスペースで待機位置から作用位置に変位させ、かつ、アーム26および育苗容器1に対するスクレーパ20の姿勢を一定にし、常時、スクレーパ20を適正姿勢にする。それゆえ、スクレーパ20は確実に作動し、取付スペースおよび回動スペースを小さくでき、鎮圧ローラー48、回転ブラシ52等の取付スペースも確保しやすい。
【0014】
【効果】
本発明は、上側を開放したポット2を前後左右に多数並設した育苗容器1を嵌合させた収納箱7を横移送させる移送台9の上方位置に、前記育苗容器1上に床土を供給しうる床土繰出装置13を設け、該床土繰出装置13の移送方向下手側に育苗容器1の上面の余分な床土8を所定厚さ残して除去するスクレーパ20を設け、該スクレーパ20の下手側に育苗容器1の上面の床土8を鎮圧する鎮圧ローラー48を設け、該鎮圧ローラー48の下手側に育苗容器1の上面の余分な床土8を除去する回転ブラシ52を設け、前記スクレーパ20は、育苗容器1が至るまでの間に繰出された床土8を受け止めて貯留する待機位置と、育苗容器1の上面の余分な床土8を所定厚さ残して除去する作用位置の間移動自在で、作用位置に移動するとき貯留した床土8を育苗容器1に放擲するように構成した育苗容器の土供給装置としたから、単にスクレーパの作用をするだけでなく、育苗容器1が繰出口16の下方に至るまでの間に繰り出されている床土8を貯留させ(図1、図3)、作用位置に回動するとき、この貯留された土を放擲し(図4)、育苗容器1の前端(先頭)のポット2にも確実に床土8を供給する。
また、必要以上に床土繰出装置13の繰出量を多くすることがないので、土を無駄にしない。
本発明は、前記スクレーパ20は、待機位置のとき落下する床土8を貯留し得る土載板部21と貯留した床土8が溢れないようにする溢れ防止板22により側面視床土繰出装置13の繰出口16側を開口して逆L型形状に形成し、溢れ防止板22には前記育苗容器1の移送路に突き出て移送中の育苗容器1が当接するとスクレーパ20を作用位置に移動させ、作用位置のときスクレーパ20の下縁を育苗容器1の上面より所定高さ上方に位置させる案内兼高さ保持面32を有する回動兼高さガイド31を設けた育苗容器の土供給装置としたから、簡単な構成で、床土繰出装置13から繰出された床土を受け止め、貯留でき、コストを低く、実施化を容易にでき、また、回動兼高さガイド31によりスクレーパ20を土載板部21と溢れ防止板22により逆L型形状に形成しても、スクレーパ20を円滑かつ確実に上方回動させて作用させることができる。
本発明は、前記土載板部21には待機状態のとき育苗容器1の幅方向の中央部が高く、側方に至に従い低く傾斜させた土案内部23を設けた育苗容器の土供給装置としたから、待機状態では、土載板部21の上方の左右側に十分な量の床土8を貯留させて先頭のポット2に供給し、余剰土を左右側に寄せながら掻き取るので、左右側のポット2により多くの床土8を寄せて確実に供給し、各ポット2に均等に床土8を供給するという効果を奏する。
本発明は、前記回転ブラシ52は前記移送台9に軸装した左右一対の取付アーム54の先端に軸装し、前記取付アーム54の近傍位置に左右一対のスタンド53を設け、該スタンド53と前記取付アーム54の間をロッド56により高さ位置調節自在に連結し、前記鎮圧ローラー48は前記移送台9に軸装した左右一対の取付アーム49の先側に軸装し、該取付アーム49の先端には取付アーム49の回動方向に長い長孔50を形成し、長孔50に位置調節自在に挿通したストッパー軸51を前記スタンド53に当接させた育苗容器の土供給装置としたから、一対の取付アーム49に1本のストッパー軸51を取り付けるだけで、高さ調節機構を構成するので、コストを低くし、スぺースも有効利用できる。
本発明は、前記取付アーム54には前記回転ブラシ52の下端より先端が所定間隔おいて下方に位置する固定摺接ブラシ65を設けた育苗容器の土供給装置としたから、固定摺接ブラシ65により予め余分な土を除去しているので回転ブラシ52により掃き戻す土の量を少なくでき、回転ブラシ52と土が共回りするのを防止でき、また、固定摺接ブラシ65は、回転ブラシ52に対して常時同じ位置関係を保持して高さ調節でき、固定摺接ブラシ65の取付および高さ調節装置を不要として、コストを低くできる。
本発明は、前記スクレーパ20の下方に前記収納箱7ごと前記育苗容器1を振動させる振動装置38を設けた育苗容器の土供給装置としたから、振動装置38による振動で、ブリッジが発生するのが防止され、ポット2の下まで十分に入れることができる。また、既に下方まで詰まった状態で、鎮圧するから、ポット2内の床土8の密度も一定した状態で固めて供給できる。
本発明は、前記振動装置38と前記鎮圧ローラー48はそれぞれ独立して選択使用可能に構成した育苗容器の土供給装置としたから、振動装置38による振動と鎮圧ローラー48の鎮圧を併用することによる過剰供給を防止でき、供給する床土8の性状によって最適な作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】床土繰出装置、スクレーパ等を設けた部分の移送台の縦断側面図。
【図2】播種装置、覆土供給装置等を設けた部分の移送台の縦断側面図。
【図3】床土繰出装置およびスクレーパの側面図。
【図4】スクレーパの斜視図。
【図5】取付部材の待機状態の縦断側面図。
【図6】同放擲状態の縦断側面図。
【図7】待機位置の作用状態縦断側面図。
【図8】放擲状態の縦断側面図。
【図9】均平状態の縦断側面図。
【図10】同平面図。
【図11】振動装置の側面図。
【図12】同平面図。
【図13】鎮圧ローラーと回転ブラシの平面図。
【図14】回転ブラシの斜視図。
【図15】スタンドと上下移動体の側面図。
【符号の説明】
1…育苗容器、2…ポット、3…下面、4…透孔、5…側壁、6…連結部、7…収納箱、8…床土、9…移送台、10…フレーム、11…移送ロール、13…床土繰出装置、14…供給ホッパー、15…床土繰出ベルト、16…繰出口、17…供給量調節板、20…スクレーパ、21…土載板部、22…溢れ防止板、23…土案内板、24…側板、25…取付部材、26…アーム、 27…軸、28…取付用板、29…回転規制アーム、30…軸、31…回動兼高さガイド、32…案内兼高さ保持面、33…回動案内面、38…振動装置、39…モータケース、40…振動用モータ、41…出力軸、42…回転ロータ、43…ロッド、44…アーム、45…軸、46…上下体、48…鎮圧ローラー、49…取付アーム、50…長孔、51…ストッパー軸、52…回転ブラシ、53…スタンド、54…取付アーム、55…握り棒、56…ロッド、58…窓部、59…上下移動体、60…移動窓部、61…係合溝、62…螺子軸、64…高さ微調節ダイヤル、65…固定摺接ブラシ、67…灌水ノズル、68…突起ローラー、69…突起、70…高さ調節装置、72…種子繰出装置、73…供給ホッパー、74…種子繰出部、75…覆土供給装置、76…供給ホッパー、77…繰出ベルト。
Claims (7)
- 上側を開放したポット2を前後左右に多数並設した育苗容器1を嵌合させた収納箱7を横移送させる移送台9の上方位置に、前記育苗容器1上に床土を供給しうる床土繰出装置13を設け、該床土繰出装置13の移送方向下手側に育苗容器1の上面の余分な床土8を所定厚さ残して除去するスクレーパ20を設け、該スクレーパ20の下手側に育苗容器1の上面の床土8を鎮圧する鎮圧ローラー48を設け、該鎮圧ローラー48の下手側に育苗容器1の上面の余分な床土8を除去する回転ブラシ52を設け、前記スクレーパ20は、育苗容器1が至るまでの間に繰出された床土8を受け止めて貯留する待機位置と、育苗容器1の上面の余分な床土8を所定厚さ残して除去する作用位置の間移動自在で、作用位置に移動するとき貯留した床土8を育苗容器1に放擲するように構成した育苗容器の土供給装置。
- 請求項1において、前記スクレーパ20は、待機位置のとき落下する床土8を貯留し得る土載板部21と貯留した床土8が溢れないようにする溢れ防止板22により側面視床土繰出装置13の繰出口16側を開口して逆L型形状に形成し、溢れ防止板22には前記育苗容器1の移送路に突き出て移送中の育苗容器1が当接するとスクレーパ20を作用位置に移動させ、作用位置のときスクレーパ20の下縁を育苗容器1の上面より所定高さ上方に位置させる案内兼高さ保持面32を有する回動兼高さガイド31を設けた育苗容器の土供給装置。
- 請求項1または請求項2において、前記土載板部21には待機状態のとき育苗容器1の幅方向の中央部が高く、側方に至に従い低く傾斜させた土案内部23を設けた育苗容器の土供給装置。
- 請求項1または請求項2または請求項3において、前記回転ブラシ52は前記移送台9に軸装した左右一対の取付アーム54の先端に軸装し、前記取付アーム54の近傍位置に左右一対のスタンド53を設け、該スタンド53と前記取付アーム54の間をロッド56により高さ位置調節自在に連結し、前記鎮圧ローラー48は前記移送台9に軸装した左右一対の取付アーム49の先側に軸装し、該取付アーム49の先端には取付アーム49の回動方向に長い長孔50を形成し、長孔50に位置調節自在に挿通したストッパー軸51を前記スタンド53に当接させた育苗容器の土供給装置。
- 請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記取付アーム54には前記回転ブラシ52の下端より先端が所定間隔おいて下方に位置する固定摺接ブラシ65を設けた育苗容器の土供給装置。
- 請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5において、前記スクレーパ20の下方に前記収納箱7ごと育苗容器1を振動させる振動装置38を設けた育苗容器の土供給装置。
- 請求項6において、前記振動装置38と前記鎮圧ローラー48はそれぞれ独立して選択使用可能に構成した育苗容器の土供給装置。
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