JP3633013B2 - タオル織物およびタオルの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、泡立ち性、泡切れ性、速乾性、垢落とし能力、耐久性等に優れたタオル織組織を有するタオル、および該タオルを製造する方法に関するものである。本発明のタオルは、特に浴用タオルとして好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
タオルの用途は、手拭き用から浴用に至るまで様々であるが、用途上の特性として、少なくとも泡立ち性、泡切れ性、速乾性等に優れていることが要求され、浴用タオルとして用いる場合には、更に垢落とし能力、耐久性等にも優れていることが要求される。
【0003】
タオルを製造するには、タオル織機によって布帛をタオル加工するのが一般的であり、特に布帛両面にパイル加工を施したタオルや、上述した垢落とし能力等の諸特性が要求される浴用タオルを製造する場合には非常に簡便で優れた方法として繁用される。
【0004】
このタオルに用いられる繊維としては、麻等の繊維素系天然繊維や、親水性合成繊維、再生繊維等の化学繊維が挙げられる。これらのうち天然繊維は、肌触りに優れているものの、泡切れ性や速乾性等の点で合成繊維等に劣るため、通常のタオル織加工では、特に浴用タオルに要求される様な厳しい諸特性を満足させることはできない。そのため天然繊維を用いる場合には、特殊な編・織組織を施したり、紡績での撚方法を工夫したりする等して特殊布帛化としているのが実状である。
【0005】
一方、親水性合成繊維や再生繊維等の化学繊維は上述した様に天然繊維に比べて泡立ち性、泡切れ性、速乾性の点で非常に優れているので、特に浴用タオル用繊維として好適に用いられる。しかしながらこれらの繊維は、(a )繊維自身が滑りやすい(平滑性が高い)という性質を有するため、水分添加による繊維の膨潤性や収縮性等がほとんど見られないという不具合が生じる他、この様な繊維自体に起因する不具合が原因となって、(b )上記繊維をタオル織加工したものではパイル糸の拘束力が弱く、従ってパイルが抜け易くなり(この様な現象を、以下パイル引けと呼ぶことにする)、使用頻度が高いこととも相俟って、結果的に耐久性に劣るという不都合が生じる。その結果、これらの繊維は特に浴用タオル用繊維として好適であるものの、実際には上記繊維をタオル織加工した例はほとんどなく、例えばナイロン100%からなる合成繊維を用いた場合には、緯糸にクリンプ糸、経糸に極細フィラメントを有する平織特殊布帛とする等、特殊な糸への加工が施されており、製造方法が煩雑でコストが高くなる等の問題がある。
【0006】
従って、タオル用繊維として有用な上記天然繊維、合成繊維、再生繊維維等を用いる場合であっても、通常のタオル織機で製織することのできる様なタオル構成の開発が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、パイル引け等の問題がなく、泡立ち性、泡切れ性、速乾性、垢落とし能力、耐久性等に優れたタオル織組織を有するタオル、および該タオルの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明のタオルとは、パイル部と無パイル部が経方向に交互に配列された緯縞柄を有することに要旨を有するものである。
また、上記タオルの製造方法は、経糸として地組織経糸およびパイル糸、緯糸として地組織緯糸を挿入すると共に、無パイル部における地組織緯糸として、任意間隔を置いて収縮糸を挿入してなるタオル織物を熱処理することに要旨を有するものである。上記収縮糸の熱収縮率は15〜30%が好ましい。
【0009】
【作用】
上述した様に本発明のタオルは、パイル部と無パイル部が経方向に交互に配列された緯縞柄を有するものであり、この様なタオルは、経糸として地組織経糸およびパイル糸、緯糸として地組織緯糸を挿入すると共に、無パイル部における地組織緯糸として、任意間隔を置いて収縮糸を挿入してなるタオル織物を熱処理することによって得られるものである。この方法によって得られるタオルは、▲1▼該収縮糸と無パイル部の地組織糸、および該収縮糸とパイル部の地組織糸およびパイル糸が適度に拘束され合って、タオル織加工を施したときでもパイル引け等が生じ難いパイル織組織に変化すると共に、▲2▼無パイル部に挿入された収縮糸が収縮方向と同一方向に収縮することにより、パイル部に適度なしわが生じて凹凸が出され、その結果、適度なボリューム感や嵩高性、皮膚との摩擦接触感が得られるのである。
【0010】
本発明のタオルに用いられる繊維としては、タオル地に要求される上述した諸特性を満足できるものであれば特に限定されず、その様な例として例えば親水性合成繊維、再生繊維等の化学繊維;繊維素系天然繊維が挙げられる。これら繊維は、フィラメント糸または紡績糸のいずれでも良く、またこれら繊維の交撚糸、混紡糸等とすることも可能である。
【0011】
このうち上記親水性合成繊維としては、ポリアクリロニトリル系繊維(モダアクリル繊維やプロミックス繊維等を含む)、ポリアミド系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維等の親水性基を有する合成繊維が挙げられ、あるいはこれらの半合成繊維を用いることも可能である。また上記再生繊維としては、例えばレーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテート等の繊維が挙げられる。更に上記繊維素系天然繊維としては、麻、木綿等が挙げられる。上述した繊維のうち、泡立ち・泡切れ性、速乾性等といったタオルに要求される諸特性を満足させるには、上記親水性合成繊維や再生繊維を単独で、あるいは化学繊維と天然繊維を併用した混紡糸または交撚糸を用いることが好ましい。後者の場合には、化学繊維による泡立ち性等を有効に発揮するために、全繊維重量に対する繊維素系天然繊維の比率を好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下とすることが推奨される。
【0012】
また、本発明に用いられる収縮糸は、比較的低温で熱処理を施しても安定した熱収縮率が容易に得られる繊維の糸が好ましく、その様な例としては例えばポリアクリロニトリル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維等が挙げられ、これらは紡績糸およびフィラメント糸のいずれを用いることもできる。この収縮糸は、無パイル部となるべき箇所の地組織緯糸に任意間隔を置いて挿入されるが、その間隔は特に限定されず、所望のボリューム感や嵩高性が得られる様、適宜設定される。
【0013】
ここで上記収縮糸の熱収縮率は、織組織の拘束力が働くために織組織と織密度によっても左右されるが、好ましくは15〜30%であり、より好ましくは18%〜25%である。熱収縮率が15%未満では、熱収縮後におけるパイル部の見掛け厚み(後述する図3中のTに相当する)が十分得られず嵩高性に欠けるという問題がある。一方30%を超えるとパイル部に形成される凹凸周期が短くなると共にTの厚さも小さくなるため、嵩高性に欠ける。
【0014】
以下、本発明の構成要件を満たすタオルを図1〜3に示し、これらの図を参照しながら本発明による作用を詳述する。ここで、図1は本発明のタオル表面を示す説明図であり、図中Pはループパイル、Lは1繰り返し単位におけるパイル部の長さ、Sは1繰り返し単位における無パイル部の長さをそれぞれ表し、LとSの合計をAとする。また、図2は熱収縮前の状態を示す図1のB−B断面図であり、図3は熱収縮後の状態を示す図2相当図である。図中、WおよびW’は、熱収縮によってパイル部における特定部分の長さがどの程度変化したかを示すものであり、Tは熱収縮後のパイル部の見掛け厚みを示す。尚、以下の記載においてもこれらの略号をそのまま用いることがある。
【0015】
図1に示す様に、本発明のタオルは、無パイル部における地組織緯糸として、任意間隔を置いて収縮糸が挿入されているので、該収縮糸が熱収縮時に収縮することにより、▲1▼パイル部におけるWの長さがW’の如く小さくなると共に、該ループパイル織組織も図3の如く変化してパイル糸が拘束されてパイル引けを防止することができる、▲2▼更に該収縮糸が収縮することによりTが厚くなるので、嵩高性等にも優れる、という利点を有する。
【0016】
上述したパイル引けの防止および使用時の感触性といった本発明の作用をより一層有効に発揮させるには、特に図3におけるW’やTを適切に制御することが好ましい。以下、これらの値に特に大きな影響を及ぼすと考えられるAの長さ、およびLとSの比率の好適範囲について記載する。
【0017】
まずAは、10mm以上60mm以下であることが好ましい。Aが10mm未満の場合には、パイル引けの問題は改善されるがTの厚さが十分得られず、良好な嵩高性や皮膚接触感等が得られない。より好ましくは20mm以上である。一方、Aが60mmを超えるとパイル引けを十分防止することができない。より好ましくは40mm以下である。また、熱収縮前後におけるW−W’/Wの比として好ましいのは10〜30である。
【0018】
またL:Sの比率は、好ましくは50〜90:10〜50であり、より好ましくは70〜80:20〜30である。Lに対するSの長さを上記範囲よりも長くすると、無パイル部よりもパイル部が少なくなるためパイル引け防止という観点からは良好なものとなるが、同時にTの厚さも小さくなるのでタオルとして用いた場合の使用感、特に皮膚との接触感の面で劣るものになる。一方、Lに対するSの長さを上記範囲よりも短くすると、パイル引けを十分防止することができない。LとSの比率を上記範囲とすることにより、パイル引けの防止および良好な使用感の両方を得ることができるのである。
【0019】
次に、本発明のタオルを製造するに当たっては、経糸として地組織経糸およびパイル糸、緯糸として地組織緯糸を挿入すると共に、無パイル部における地組織経糸として、任意間隔を置いて収縮糸を挿入し、通常のタオル織機によって製造することができる。以下に、本発明のタオルを染色する工程(先染処理および後晒・後染め処理)と合わせてタオル製品を製造する工程を簡単に説明する。
【0020】
まず、先染処理された先染タオル製品を製造する場合には、広巾タオル織機が通常用いられる。具体的には、まず地組織緯糸、地組織経糸、パイル糸および収縮糸を用い、製品サイズに合わせて巾方向、長さ方向の縫製部織組織を広巾タオル織機により作製(製織)する。巾方向については製織と同時に裁断を行う。製織後、自動縫製ミシン等を用いて巾方向を縫製すると共に、天地部を裁断して三ツ折ミシンで縫製することにより、先染タオル製品を得る。地組織緯糸に挿入した収縮糸を収縮するに当たっては、タオル製品の完成時点、または巾方向を縫製した細巾反物状態で、バッチ式および連続湿熱処理機等で湿熱処理を行うことが推奨される。
【0021】
これに対して後晒・後染め製品の場合には、上記先染タオル製品と同様にして巾方向のみを自動縫製して細巾反物状態とする。次に、この状態で糊抜き精錬を行った後、連続染色機およびパッチ染色機で反晒・反染めを行って染色する。その後、天地部を裁断して三ツ折縫製する。収縮糸を収縮するに当たっては、巾方向を縫製した細巾反物状態で、バッチ染色機で染色すると同時に熱水収縮を行うことが好ましい。あるいは、タオル完成後晒および染色する場合には、パドル染色機による染色と同時に熱水収縮を行ってもよい。
【0022】
上述した先染処理および後晒・後染め処理のいずれの場合においても、収縮糸としてポリアクリロニトリル系、ポリ塩化ビニル系等を使用する場合には、約98℃の飽和蒸気下および熱水下で収縮させれば、上述した好ましい熱収縮率が得られる。
【0023】
以下実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0024】
【実施例】
本実施例に用いられる材料は以下の通りである。
(i )パイル糸:
▲1▼ポリアクリロニトリル繊維吸水タイプ[商品名「エクスラン」,日本エクスラン株式会社製]の1.5デニール、繊維長51m/mの定長カットファイバー100%からなる単糸撚(メートル番手1/52’s,680回/メートル)を有する合繊紡績された単糸と、
▲2▼プロミックス繊維フィラメント(商品名「シノン」,東洋紡績株式会社製、150デニール、フィラメント単糸繊度3デニール)
を合糸後、メートル当たり550回の上撚を施した後、真空セット機に80℃で20分間かけ、撚止め処理を施したものを準備した。
【0025】
(ii)地組織経糸および地組織緯糸:
上記ポリアクリロニトリル繊維(メートル番手1/52’s)を合糸後、メートル当たり550回の上撚を施したものを準備した。
【0026】
(iii )収縮糸:
▲1▼熱延伸セットして得られた40%の湿熱収縮率を有するポリアクリロニトリル繊維[商品名「エクスラン」,日本エクスラン工業株式会社製]の2.2デニール,繊維長38mm,定長カットファイバーと
▲2▼非収縮性ポリアクリロニトリル繊維[商品名「エクスラン」,日本エクスラン工業株式会社製]の1.5デニール、繊維長51mm,定長カットファイバー
を40:60の割合で混綿した後、空気精紡機で紡出することにより、メートル番手1/17’s,メートル当たり500回の単糸撚を有する収縮糸を用意した。
【0027】
本実施例では、タオル布帛生地として25cm巾×7本取り分、縫製後熱収縮前の中間製品として巾19cm×長さ96cmのタオルが得られる様、上記パイル糸を1500本、地組織経糸を1908本用い、これらを整経機で整経することにより、経糸ビームを作製した。
【0028】
次に、レピア式タオル織機(津田駒株式会社製)にて地組織緯糸を45本/インチ打ち込み、5mmのパイル高さを有するパイル布帛生地を7本作製した後、7本の布帛生地の両端を3巻き自動縫製し、A:40mm、L:32mm、S:8mmとなる様に収縮糸を挿入した。
その後、布帛長さ方向における裁断天地部を3巻きミシンで縫製し、巾19cm×長さ96cmのタオル中間製品を得た。
【0029】
得られたタオル中間製品は、使用時の肌触りを維持するために染色を行わずに、コンベアー式連続湿熱機[(株)市金製,働き巾150cm,湿熱ゾーン300cm,乾燥ゾーン100cm]で湿熱処理(加熱蒸気:120℃×30秒間)を行った。
【0030】
この様にして得られたタオルは、緯方向に20%、経方向に1%収縮した巾15.2cm×長さ95cmのタオルであり、見かけ布帛厚さも充分厚く、使用時の感触に優れたタオルであった。
【0031】
次に、上記タオルの性能を評価するために、10人の専門知識を有するパネラー(男性5人、女性5人)に入浴時1回/日の使用頻度で1ヶ月間連続使用してもらったところ、いずれのパネラーにおいても、泡立ち、泡切れ性、速乾性、垢落とし能力に優れると共に肌触りも良好であるという結果が得られた。また、パイル引けについても顕著な改善効果が得られた。
【0032】
【発明の効果】
本発明のタオルは上記の様に構成されているので、パイル引け等の問題がなく、泡立ち性、泡切れ性、速乾性、垢落とし能力、耐久性等のタオルに要求される諸特性を満足することができると共に、使用時の肌触り感等も良好なものである。また、本発明の製造方法によれば、上記タオルを通常のタオル織機で製織することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタオル表面を示す説明図である。
【図2】熱収縮前の状態を示す図1のB−B断面図である。
【図3】熱収縮後の状態を示す図2相当図である。
【符号の説明】
P :ループパイル
L :1繰り返し単位におけるパイル部の長さ
S :1繰り返し単位における無パイル部の長さ
A :1繰り返し単位の長さ
W :熱収縮前におけるパイル部の長さ
W’:熱収縮後におけるパイル部の長さ
T :熱収縮後におけるパイル部の見掛け厚み
Claims (4)
- 経糸として地組織経糸およびパイル糸が挿入され、緯糸として地組織緯糸が挿入されたタオル織物であって、
経糸である前記パイル糸がパイル織りされたパイル部と、経糸である前記パイル糸はパイル織されていないが、緯糸としてさらに任意間隔で収縮糸が挿入された無パイル部が経方向に交互に配列された緯縞柄を有することを特徴とするタオル織物。 - パイル部と無パイル部の1繰り返し単位におけるパイル部の長さをL、1繰り返し単位における無パイル部の長さをSとし、長さLと長さSの合計をAとしたとき、
この合計長さAが10〜60 mm であり、
かつ長さLと長さSの比率(L:S)が50〜90:10〜50である請求項1に記載のタオル織物。 - 請求項1または請求項2に記載のタオル織物を熱処理し、無パイル部に挿入された収縮糸を熱収縮させることを特徴とするタオルの製造方法。
- 前記収縮糸の熱収縮率が15〜30%である請求項3に記載のタオルの製造方法。
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