JP3632948B2 - アンカーボルト位置決め具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物基礎に埋め込まれるアンカーボルトの位置決めのために使用されるアンカーボルト位置決め具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13及び図14に示すように、建物基礎の柱固定位置に埋め込まれるアンカーボルトaを基礎型枠bに位置決めする場合には、基礎型枠bの天端に配設されるアンカーボルト位置決め具cにアンカーボルト保持プレートdを架設すると共にアンカーボルト保持プレートdの端部を基礎型枠bに固定ピンや浮き上がり防止金具等の固定具eにて固定し、アンカーボルト保持プレートdに穿設された取付孔fにアンカーボルトaを挿通し、アンカーボルトaの高さ調整のためにアンカーボルトaに合成樹脂製パイプ等の筒体gを嵌め込み、アンカーボルトaのねじ部hに抜け止めナットiを螺合してアンカーボルトaを吊るした状態で位置決めするようにしていた。
【0003】
しかし、アンカーボルトaを吊るすだけではアンカーボルトaがぐらついて垂直には取付けられないという問題があった。
また、アンカーボルトaは、アンカーボルト保持プレートdとアンカーボルトaの高さ調整用の筒体gを介してアンカーボルト位置決め具cに間接的に取付けられていて確実に固定されていないためにアンカーボルトaの位置決め精度が悪くなるという問題があった。
【0004】
なお、打設されたコンクリートの固化前にアンカーボルトaを田植えの要領でコンクリートに植設している場合もあったが、上記の従来例と同様にアンカーボルトaの位置精度が悪く、アンカーボルトaの首の出寸法がばらつき易くなるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、アンカーボルトの位置決め精度を向上させることができ、しかも、アンカーボルトのセットも容易となるアンカーボルト位置決め具を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明のアンカーボルト位置決め具は、建物基礎に埋め込まれるアンカーボルトを位置決めするために基礎型枠の天端にセットされるアンカーボルト位置決め具において、長尺板状の位置決め具本体にコンクリート打設用の開口部を設け、この開口部の口縁部にアンカーボルトを係止するための取付孔と前記基礎型枠のコーナー部又は入隅部で前記取付孔の上側又は下側に重なる補助取付孔をそれぞれ穿設し、前記取付孔と前記補助取付孔の開口部側にアンカーボルト挿入口をそれぞれ設けて前記開口部と連通させたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明のアンカーボルト位置決め具は、請求項1に記載のアンカーボルト位置決め具において、前記開口部の口縁部からアンカーボルト取付片を突設し、このアンカーボルト取付片に前記取付孔及び前記アンカーボルト挿入口を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明のアンカーボルト位置決め具は、請求項1又は請求項2に記載のアンカーボルト位置決め具において、基礎型枠の天端にセットしたときに、前記取付孔が建物基礎のモジュール芯上に位置するように構成したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図13に従って説明する。
アンカーボルト位置決め具1は、図12に示すように、基礎型枠2の天端に取付けられてアンカーボルト3を位置決めすると共に、基礎型枠2の精度を向上させるためのものであり、また、図1に示すように、金属板製の長尺の位置決め具本体4と、この位置決め具本体4の長手方向に適宜間隔を置いて形成される矩形のコンクリート打設用開口部5と、アンカーボルト3を取付けるためのアンカーボルト取付片6と、アンカーボルト3を係止するためにアンカーボルト取付片6に穿設される取付孔7と、この取付孔7を開口部5側に開放するためのアンカーボルト挿入口8とから成るものである。
また、図12に示すように、アンカーボルト3をアンカーボルト位置決め具1の取付孔7に係止する場合にはアンカーボルト保持具9が用いられる。
【0010】
アンカーボルト保持具9は、図4及び図5に示すように、アンカーボルト3が挿着される筒状の挿着体10の外周にねじ部11を設けると共に、このねじ部11の下方の挿着体10の外周に一対の係止突起12を互いに逆方向に突設して構成されており、ねじ部11にはナット13が螺合されている。
【0011】
図12に示すように、基礎型枠2の天端には外鍔14が設けられており、この外鍔14にはピン孔15が等間隔で穿設されている。
【0012】
図1に示すように、アンカーボルト位置決め具1の位置決め具本体4は、長尺の枠体16の左右一対の縦枠材17間に複数の中枠材18を設けて構成されており、また、アンカーボルト位置決め具1の幅寸法は基礎型枠2,2の間隔に合わせて設定されている。
図1及び図11に示すように、アンカーボルト位置決め具1の縦枠材17,17には基礎型枠2のピン孔15と同間隔でピン孔15aが穿設されており、また、位置決め具本体4の全体にわたって軽量化のための打ち抜き孔19が穿設されている。
【0013】
図1及び図11に示すように、アンカーボルト取付片6は、位置決め具本体4の中枠材18の両側縁部の中央から互いに逆方向に水平に突設されており、取付孔7の中心位置は建物基礎のモジュール芯の上に位置するようになっている。
図2に示すように、アンカーボルト取付片6の取付孔7はアンカーボルト保持具9の外径よりも大きくなるように形成されており、取付孔7の孔縁部にはアンカーボルト保持具9の係止突起12を通過させるための切り込み部20が設けられている。また、アンカーボルト挿入口8の口縁部は取付孔7内へのアンカーボルト3の挿入を容易にするために開口部5側に向けて拡開している。
【0014】
また、図1及び図12に示すように、アンカーボルト位置決め具1の位置決め具本体4の縦枠材17の内縁部及び位置決め具本体4の横枠材21の内縁部には補助取付孔22が設けられている。
図3に示すように、補助取付孔22はアンカーボルト保持具9の外径よりも大きくなるように形成されており、補助取付孔22には開口部5側に開放してアンカーボルト3を水平方向から挿入するためのアンカーボルト挿入口23が設けられており、また、補助取付孔22の孔縁部にはアンカーボルト保持具9の係止突起12を通過させるための切り込み部24が設けられており、アンカーボルト挿入口23の口縁部はアンカーボルト3の挿入を容易にするために開口部5に向けて拡開している。
【0015】
そして、図12に示すように、基礎型枠2,2のコーナー部や入隅部等においてアンカーボルト位置決め具1が重なる場合に、一方のアンカーボルト位置決め具1の取付孔7の上側又は下側に他方のアンカーボルト位置決め具1の補助取付孔22が位置することにより、一方のアンカーボルト位置決め具1の取付孔7が他方のアンカーボルト位置決め具1によって塞がれることがなくなり、取付孔7へのアンカーボルト3の取付けが可能となる。
【0016】
図1に示すように、アンカーボルト位置決め具1の位置決め具本体4の外周縁部にはモジュール芯のマークであるVカット25が形成されており、アンカーボルト位置決め具1にセットされるアンカーボルト3は建物基礎の天端のモジュール芯の上に位置するようになっている。
【0017】
以上のようにして構成されるアンカーボルト位置決め具1を次のように使用されることにより、アンカーボルト3を基礎型枠2に正確に位置決めできると共にアンカーボルト3の取付け作業も容易になる。
【0018】
(1)まず、図11に示すように、基礎型枠2の外鍔14の上にアンカーボルト位置決め具1を重ねると共に、基礎型枠2及びアンカーボルト位置決め具1の各ピン孔15,15aを合致させた後、各ピン孔15,15aに固定ピン11を挿通してアンカーボルト位置決め具1を基礎型枠2にセットする。
【0019】
(2)次に、図6及び図7に示すように、アンカーボルト保持具9の挿着体10にアンカーボルト3を挿通してアンカーボルト3の上端のねじ部3aを挿着体10から上方に突出し、このねじ部3aに抜け止め用ナット26を螺合することにより、アンカーボルト3をアンカーボルト保持具9に取付ける。
【0020】
(3)次に、図8及び図9に示すように、アンカーボルト保持具9をアンカーボルト位置決め具1の真上から取付孔7内に下ろした後、アンカーボルト保持具9を略90度回転させてアンカーボルト保持具9の係止突起12をアンカーボルト位置決め具1の取付孔7の孔縁部の裏面側に位置させ、ナット13を締め付けてアンカーボルト保持具9の係止突起12とナット13とで取付孔7の孔縁部を挟着することにより、アンカーボルト3を取付孔7に係止させる。
【0021】
(4)次に、図10の二点鎖線で示すように、抜け止め用ナット26を正転又は逆転させることによりアンカーボルト3を上下させてアンカーボルト3の高さを調整する。
【0022】
アンカーボルト3を基礎型枠2にセットした後は、アンカーボルト位置決め具1の開口部5から基礎型枠2内にコンクリートポンプ車にてコンクリートを打設する。
コンクリート固化後に基礎型枠2を脱型する場合には、アンカーボルト保持具9のナット13を緩めると共にアンカーボルト3のねじ部3aから抜け止め用ナット26を外した後、固定ピン11を抜いてアンカーボルト位置決め具1を基礎型枠2から外して脱型すると共に、アンカーボルト保持具9をアンカーボルト3から引き抜く。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明のアンカーボルト位置決め具によれば、長尺板状の位置決め具本体にコンクリート打設用の開口部を形成し、この開口部の口縁部にアンカーボルトを係止するための取付孔と前記基礎型枠のコーナー部又は入隅部で前記取付孔の上側又は下側に重なる補助取付孔をそれぞれ穿設したので、アンカーボルトを取付孔に係止することにより、アンカーボルトをアンカーボルト位置決め具に直接取付けることができ、従来のようにアンカーボルト保持プレートを用いて間接的に取付けるのに比べてアンカーボルトの位置決め精度を向上させることができる。また、基礎型枠のコーナー部や入隅部においてアンカーボルト位置決め具が重なる場合に、一方のアンカーボルト位置決め具の取付孔の上側又は下側に他方のアンカーボルト位置決め具の補助取付孔が位置することにより、一方のアンカーボルト位置決め具の取付孔が他方のアンカーボルト位置決め具によって塞がれることがなく、取付孔へのアンカーボルトの取付けが可能となる。
【0024】
また、取付孔と補助取付孔の開口部側にアンカーボルト挿入口をそれぞれ設けて開口部と連通させたので、長尺のアンカーボルトを水平に移動して取付孔と補助取付孔の内部に挿入することができるので、アンカーボルトの取付け作業が容易となる。
【0025】
請求項2の発明のアンカーボルト位置決め具によれば、開口部の口縁部からアンカーボルト取付片を突設し、このアンカーボルト取付片に取付孔及びアンカーボルト挿入口を設けたので、アンカーボルト取付片の突設寸法分だけ取付孔を開口部の口縁部から離すことができて開口部の口縁部に邪魔されることがなくアンカーボルトの取付け作業を行うことができ、作業能率を向上させることができる。
【0026】
請求項3の発明のアンカーボルト位置決め具によれば、取付孔の位置を建物基礎のモジュール芯と合致させたので、アンカーボルトを建物基礎のモジュール芯上に正確に位置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のアンカーボルト位置決め具の斜視図。
【図2】同アンカーボルト位置決め具の部分拡大平面図。
【図3】同アンカーボルト位置決め具の部分拡大平面図。
【図4】同アンカーボルト位置決め具に使用されるアンカーボルト保持具の斜視図。
【図5】同アンカーボルト保持具の縦断面図。
【図6】同アンカーボルト位置決め具へのアンカーボルトの取付動作を示す斜視図。
【図7】同アンカーボルト位置決め具へのアンカーボルトの取付動作を示す斜視図。
【図8】同アンカーボルト位置決め具へのアンカーボルトの取付動作を示す斜視図。
【図9】同アンカーボルト位置決め具へのアンカーボルトの取付動作を示す斜視図。
【図10】同アンカーボルト位置決め具へのアンカーボルトの取付動作を示す斜視図。
【図11】基礎型枠へのアンカーボルトの取付状態を示す斜視図。
【図12】基礎型枠へのアンカーボルトの取付状態を示す斜視図。
【図13】従来の基礎型枠へのアンカーボルトの取付状態を示す斜視図。
【図14】従来の基礎型枠へのアンカーボルトの取付状態を示す断面図。
【符号の説明】
1 アンカーボルト位置決め具
2 基礎型枠
3 アンカーボルト
4 位置決め具本体
5 開口部
6 アンカーボルト取付片
7 取付孔
8 アンカーボルト挿入口
Claims (3)
- 建物基礎に埋め込まれるアンカーボルトを位置決めするために基礎型枠の天端にセットされるアンカーボルト位置決め具において、長尺板状の位置決め具本体にコンクリート打設用の開口部を設け、この開口部の口縁部にアンカーボルトを係止するための取付孔と前記基礎型枠のコーナー部又は入隅部で前記取付孔の上側又は下側に重なる補助取付孔をそれぞれ穿設し、前記取付孔と前記補助取付孔の開口部側にアンカーボルト挿入口をそれぞれ設けて前記開口部と連通させたことを特徴とするアンカーボルト位置決め具。
- 前記開口部の口縁部からアンカーボルト取付片を突設し、このアンカーボルト取付片に前記取付孔及び前記アンカーボルト挿入口を設けたことを特徴とする請求項1に記載のアンカーボルト位置決め具。
- 基礎型枠の天端にセットしたときに、前記取付孔が建物基礎のモジュール芯上に位置するように構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンカーボルト位置決め具。
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