JP3632031B2 - 光パルス伝送システム、これを利用する装置及び光パルス伝送方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気信号パルスを光パルスに変換して高速で伝送することができる光パルス伝送システム、これ を利用する装置及び光パルス伝送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体集積回路(IC)を始めとする各種の半導体デバイスを試験するための半導体デバイス試験装置(一般にICテスタと呼ばれる)には、半導体デバイスを試験するために搬送し、試験結果に基づいて試験済みの半導体デバイスを類別する半導体デバイス搬送処理装置(一般にハンドラと呼ばれる)を接続したものが多い。半導体デバイス搬送処理装置(以下、ハンドラと称す)を接続した形式の半導体デバイス試験装置は、被試験半導体デバイス(一般にDUTと呼ばれる)に所定のパターンの試験信号を印加するためのテストヘッドが半導体デバイス試験装置の本体から分離されて、ハンドラのテスト部に配置されている。このテストヘッドと試験装置本体間はケーブルのような電気信号伝送路によって接続されており、この電気信号伝送路を通じて試験装置本体側からテストヘッド側へ所定のパターンの試験信号を供給し、このテストヘッドに装着されたソケットを通じて被試験半導体デバイスに試験信号を印加している。また、被試験半導体デバイスからの応答信号はテストヘッド側から上記電気信号伝送路を通じて試験装置本体側へ伝送され、半導体デバイスの電気的特性が測定される。
近年、半導体集積回路(以下、ICと称す)は高速化され、また、パッケージから導出される端子(ピン)数も増加しているため、上述の半導体デバイス試験装置のように、ケーブルのような電気信号伝送路を通じて電気信号を伝送したのでは次のような欠点が生じる。
【0003】
(1)ケーブルのような電線では伝送する電気信号の周波数に限界があり、また、信号周波数が高くなると信号波形が劣化する恐れがある。このため、信号の伝送速度が制限され、高速のICを試験することが困難となる。
(2)ICの端子数の増加に伴ってケーブルの本数を増加させると、現在のケーブルの太さでは試験装置本体とテストヘッド間のケーブル束が太く、かつ重くなるため、非常に扱い難くなる。
上記問題点を解決するために、最近では、信号の伝送速度や周波数特性が上記したような電気的伝送方式よりも優れており、しかも伝送媒体として細くて軽量な光ファイバのような光伝送路を使用することができる光伝送方式が採用され始めている。次に、一般的な光伝送システムについて説明する。
【0004】
光を変調して2値のディジタル信号(光パルス)を生成する場合、変調技術の簡単さから殆どの場合に情報信号(変調信号)によって光の強さを変える光強度変調方式が採用されている。通常は送信側に発光素子として高速の光の強度変調が可能なレーザダイオードを備え、受信側に応答速度の速いホトダイオードを備え、かつ伝送媒体として光ファイバを使用した構成を有しており、送信側のレーザダイオードから出力される光パルスを光ファイバを通じて受信側へ伝送し、ホトダイオードによって伝送されて来た光パルスを電気信号に変換している。
図20は従来の光伝送路を用いた光伝送システムの一例を示す概略の回路構成図である。この光伝送システムは、光パルス送信装置101と、光パルス受信装置102と、これら送信装置101と受信装置102間を結合する光ファイバのような光伝送路109とによって構成されている。
【0005】
光パルス送信装置101は、受信装置側へ伝送すべき電気パルス信号を出力する主回路103と、この主回路103の出力端子103Aに入力端子が接続された駆動回路104と、この駆動回路104の出力端子と共通導体間に接続された半導体レーザのような発光素子105とを具備し、発光素子105は駆動回路104から与えられる電気パルス信号によって発光して光パルスを発生し、この光パルスは光コネクタ109Aを介して光伝送路109に送られ、光パルス受信装置102へ伝送される。
光パルス受信装置102は、ホトダイオードのような受光素子106と、この受光素子106に入力端子が接続された検出回路107と、この検出回路107の出力端子に入力端子が接続された主回路108とを具備し、光伝送路109を通じて伝送された光パルスは光コネクタ109Bを介して受光素子106に入力される。受光素子106は受光した光パルスを電気パルス信号に変換して検出回路107へ送り、検出回路(一般に電流−電圧変換増幅器によって構成される)107は供給された電気パルス信号を取り出して主回路108へ与える。主回路108は入力された電気パルス信号に基づいて各種の処理を実行する。
【0006】
一般に、発光素子105としてレーザダイオードが使用されているが、レーザダイオードは、良く知られているように、温度変化によって発光量が変動する欠点がある。図21はレーザダイオードの注入電流対出力光パワー特性を示す。図21に示す曲線Aは温度T1(℃)の場合の注入電流対出力光パワーの特性、曲線Bは温度T2(℃)(T1<T2)の場合の注入電流対出力光パワーの特性を示す。
図21から明らかなように、発光状態に至る電流値ION1とION2は周囲の温度によって変動する。この結果、駆動回路104において同一の尖頭値を持つ駆動電流IDによって発光素子105を駆動したとすると、発光素子105は図21に示すように温度がT1(℃)の場合にはOP1の光パルスを出力し、温度T2(℃)の場合には光パルスOP2を出力する。
図21から容易に理解できるように、従来は周囲の温度が変化すると、発光素子105から出力される光パルスの光パワーが変化する。従って、光パルスOP1と光パルスOP2を光パルス受信装置102で受信した場合、図22に示すように、受信信号の尖頭値の大小に応じて光パルスの受信を検出する閾値電圧ECを横切る光パルス波形のタイミングにずれΔt1,Δt2が生じる。即ち、温度変動がジッタとなって受信装置102に伝送される不都合が生じる。
【0007】
ジッタの発生が不都合となる実用例として、上述の光伝送方式を例えば半導体デバイス試験装置に適用した場合を挙げることができる。上記したように、半導体デバイス試験装置は、ソケットを装着したテストヘッドが試験装置本体と別体に構成されている。テストヘッドは被試験半導体デバイスに所定のパターンの試験信号等を印加するドライバと、被試験半導体デバイスの応答出力信号を受信して論理レベル判定を行なうコンパレータとを含み、かつ半導体デバイスとのインタフース動作を行なう。また、これら試験装置本体とテストヘッドとの間には多数の信号伝送路が設けられている。
これら信号伝送路として光ファイバのような光伝送路を使用し、高速信号(光パルス)を伝送できるように構成した場合には、光伝送路109は多チャネルが必要となる。このように多チャネルの光伝送路によって多チャネルの光信号を受授するシステムを構築した場合に、温度変動によって伝送されるパルスにジッタが生じ、さらに各チャネルごとにジッタ量のバラツキが生じた場合には、各チャネルの伝送路を通じて伝送される光信号の相互間にタイミング誤差が発生し、このタイミング誤差の発生に起因して半導体デバイス(IC)の試験を正常に実施できないという不都合が生じる。
【0008】
上記のような光伝送システムに使用される光強度変調装置の一例を図23に示す。この光強度変調装置は、ディジタル入力信号(電気パルス信号)の信号電圧と閾値電圧とを入力としてこれら電圧を比較する入力側比較器200と、この入力側比較器200の比較結果に応じてオン/オフする電流スイッチ回路201と、この電流スイッチ回路201のオン/オフによって生成される電流波形に基づいて駆動される半導体レーザ202とを具備する。電流スイッチ回路201は、エミッタが共通に接続された一対のトランジスタTR1、TR2と、ベースが共通に接続された一対のトランジスタ203、205とを含む。一対のトランジスタTR1、TR2のコレクタは半導体レーザ202の対応する端子にそれぞれ接続され、共通接続されたエミッタはトランジスタ203のコレクタに接続されている。
上記構成の光強度変調装置においては、電流スイッチ回路201を構成するエミッタ共通接続の一対のトランジスタTR1、TR2のうちの図において右側のトランジスタTR2がオンのときに、予めトランジスタ203によって制御された電流が半導体レーザ202に注入され、この注入電流の大きさに対応したレベルの光出力が半導体レーザ202から得られる。なお、半導体レーザ202を駆動するために必要な直流バイアス電流は、コレクタが半導体レーザ202の電流注入側端子に接続されているトランジスタ204によって制御される。
【0009】
上記光強度変調装置を使用して2値の光信号、即ち、光パルスを発生させることにより、光パルスを高速で伝送する光伝送システムを実現することができる。しかしながら、例えば前述した半導体デバイス試験装置においては、試験装置本体とテストヘッド間の光信号伝送路に、多数の周期のパルスが混在し、その上、光変調する際に非常に高いタイミング精度が要求される。従って、上述の光伝送システムを半導体デバイス試験装置に適用する場合には、次のような問題が生じる恐れがある。
(1)光強度は一般的にレベルが不安定である(低周波成分の揺らぎが大きい)ため、図24の下側に示すように、受信側において固定の識別レベルで2値の光信号を識別した場合にはデータ(0、1)やタイミングに図示するような誤りが生じてしまう。なお、図27の上側の波形は送信側の伝送すべき電気パルス信号を示す。
(2)半導体レーザのような発光素子の立上がり時間(発光遅延時間)は素子の温度によって変化し、かつ一般的には素子によって異なるため、温度変化によって、或いは各素子間において発光遅延時間に図25に示すような差が発生する。この発光遅延時間の差は上記のタイミング誤差の要因となる。
【0010】
上記(1)の問題を解決する方法として、発光素子の温度を一定に保つように温度制御を行なうことや、光強度をモニタして発光素子の出力を一定レベルに保持する(光強度を安定化する)ように制御することが提案されているが、いずれの解決方法においても伝送モジュールが高価になるので、半導体デバイス試験装置のように多数の伝送ラインを必要とする装置では実現できても価格の点で問題がある。さらに、光強度の安定化は、高速で光パルスを伝送する場合には実現が困難である。
また、上記(2)の問題を解決する方法として、2値の光信号を発光素子の発光と消光によって表わすのではなく、図26に示すように、発光素子をあるレベルの光(オフセット光)を発光した状態に常に駆動しておき、このオフセット光からの光強度の変化によって2値の光信号を表わす方法が提案されている。この場合には発光素子が常時発光しているので温度変化による影響や各素子間の発光遅延時間の差が生じ難い。しかしながら、2値データ「1」と「0」間の光強度の差が小さくなるから、S/Nが低下する。その上、2値信号の両データ「1」と「0」が光強度の変動の影響を受けるので、上記(1)の問題の解決が益々重要となる。
【0011】
なお、例えばATM(非同期転送モード)交換機のように多数の伝送ラインを必要とする技術分野において用いられている多チャネル伝送モジュールにおいては、図27の下側に示すように、受信側において光信号の適当な交流成分のみを取り出し(AC結合)、識別レベルを0Vにおいてこの2値信号を識別する方法を採用している。なお、図27の上側の波形は送信側の伝送すべき電気パルス信号を示す。
この方法によれば、確かに、比較的簡単にタイミングやデータの誤りを少なくすることができる。しかし、2値データ「1」と「0」の割合が一方のデータ値に片寄ると、識別レベルが片寄ったデータ値の側にずれてしまい、結果的にタイミングの誤りが生じることになる。また、長時間固定されたDC的なデータを識別することができないことは勿論であり、その上、いずれかのデータ値が長時間続いているという状態でさえ検出することができないという欠点がある。
【0012】
換言すれば、上記識別レベルを0VにおいたAC結合方法ではデータ値が一定の状態(例えば、信号のない状態)に放置された場合に、その間の雑音による低レベルの揺らぎを誤って2値信号の一方のデータ値として検出してしまう。従って、これを防止するために常に2値信号のデータ値を変化させなくてはならないという欠点がある。よって、例えば半導体デバイス試験装置において試験装置本体とテストヘッド間に信号を伝送する場合のように、多数の周期の信号が混在し、2値信号のデータ値が一方の値(0又は1)に著しく片寄るような事例には、即ち、直流成分が存在し、かつタイミング精度を重視するような事例には、利用できない。
【0013】
さらに、図28に示すように、2値の電気信号の立上がり及び立下がりエッジをそれぞれ検出し、各エッジの検出に対応するパルス信号に続けて極性の反転したパルス信号を生成し、即ち、立上がりエッジの検出時には正極性のパルス信号に続けて極性の反転した負パルス信号を生成して互いに極性の反転したパルス対とし、立下がりエッジの検出時には負極性のパルス信号に続けて極性の反転した正パルス信号を生成して互いに極性の反転したパルス対とし、これら極性反転パルス対に基づいて半導体レーザを駆動して同様に極性が互いに反転する光パルス対を発生させ、受信側へ伝送するという方法も提案されている。
この方法によれば、伝送される光パルス対は伝送すべき2値の電気信号の立上がり及び立下がりの個々のタイミングを指示する光信号であるから、受信側ではこのタイミングを指示する光信号を受光して立上がり及び立下がりのタイミングを識別し、元の2値の電気信号を再現することができる。従って、例えば半導体デバイス試験装置において試験装置本体とテストヘッド間に信号を伝送する場合のように、多数の周期の信号が混在し、2値信号のデータ値が一方の値(0又は1)に著しく片寄っているような事例にも、上首尾に適用することができる。
つまり、受信側では立上がり及び立下がりに関するタイミング信号として極性が互いに反転する光パルス対を受光するだけであるので、識別レベルがデータ値の片寄った側にずれてタイミングの誤りが生じたり、データ値の誤りが発生することはない。また、長時間固定されたDC的なデータ値についても正確に識別することができる。
【0014】
このように、2値の電気信号の立上がり及び立下がりエッジを検出し、各エッジの検出に対応して極性反転パルス対を生成し、半導体レーザを駆動する従来の駆動回路の一例を図29に示す。
この駆動回路は、一方の入力端子に伝送すべき2値の電気信号が入力されるオア(OR)回路300と、上記伝送すべき2値の電気信号を極性反転する第1の反転回路(インバータ)301と、この反転回路301からの出力信号を所定時間だけ遅延させて上記OR回路300の他方の入力端子並びにアンド(AND)回路303の一方の入力端子にそれぞれ供給する第1の遅延回路302と、この遅延回路302からの出力信号を極性反転する第2の反転回路(インバータ)304と、この反転回路304の出力信号を所定時間だけ遅延させて上記AND回路303の他方の入力端子に供給する第2の遅延回路305とを具備する。なお、OR回路300とAND回路303の出力信号はそれぞれ極性が反転されて半導体レーザ312に供給される。
【0015】
上記構成の駆動回路によれば、図30に示すように、入力された2値の電気信号の立上がり及び立下がりエッジ(a)〜(c)から、正論理のパルス波形(d)と負論理のパルス波形(e)が生成され、これらパルス波形が加算されて極性が互いに反転する極性反転パルス対(f)が生成されることが容易に理解できる。半導体レーザ312はこの極性反転パルス対(f)に基づいて駆動され、図19の下段に示したような極性が互いに反転する光パルス対を発生することになる。
しかし、2値の入力電気信号の立上がり及び立下がりエッジ(a)〜(c)から生成された正論理のパルス波形(d)及び負論理のパルス波形(e)を加算して極性反転パルス対(f)を生成する場合、この極性反転パルス対の極性反転部は正論理のパルス波形(d)及び負論理のパルス波形(e)の2つのパルス波形の継ぎ目となる。このため、上記従来の駆動回路では、高い精度が要求される極性反転パルス対の極性反転部が不連続なエッジとなる場合があり、タイミング精度が劣化する恐れがあった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の第1の目的は、上記従来技術の問題点を克服した光伝送システム及び光伝送方法を提供することである。
この発明の第2の目的は、タイミング精度が高く、しかも、周期が不定で直流成分が存在するような信号をも高い精度で高速に光伝送することができる光伝送システム及び光伝送方法を提供することである。
この発明の第3の目的は、上記光伝送システム又は光伝送方法を適用した半導体デバイス試験装置を提供することである。
この発明の第4の目的は、温度変動があっても受信側に伝送される信号にジッタが発生することのない光パルス信号伝送方法を提供することである。
この発明の第5の目的は、上記光パルス信号伝送方法を適用した光パルス検出方法を提供することである。
この発明の第6の目的は、極性が互いに反転する極性反転パルス対の極性反転部が不連続なエッジとならないようにした伝送波形変換方法を提供することである。
【0017】
この発明の第1の面によれば、送信側に、伝送すべき信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1及び第2のエッジ検出手段と、前記第1のエッジ検出手段による立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生する第1の伝送用パルス発生手段と、前記第2のエッジ検出手段による立下がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の伝送用パルス発生手段と、前記第1の伝送用パルス信号に基づいて第1の光強度変調信号を生成する第1の光強度変調手段と、前記第2の伝送用パルス信号に基づいて第2の光強度変調信号を生成する第2の光強度変調手段とを具備し、受信側に、前記第1の光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した第1の受信信号を得る第1のAC結合受信手段と、前記第2の光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した第2の受信信号を得る第2のAC結合受信手段と、前記第1の受信信号から立上がりタイミングを識別する第1の識別手段と、前記第2の受信信号から立下がりタイミングを識別する第2の識別手段と、前記識別された立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号の波形に関する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する信号再生手段とを具備する光伝送システムが提供される。
【0018】
前記第1の識別手段は、前記第1の受信信号の極性が反転するタイミングを立上がりタイミングとして識別し、前記第2の識別手段は、前記第2の受信信号の極性が反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別する。
また、前記第1の識別手段は、立上がりタイミング識別の基準となる立上がり識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベルとに基づいて、前記第1の受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ動作状態とされ、この動作状態中に前記第1の受信信号が前記立上がり識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、前記第2の識別手段は、立下がりタイミング識別の基準となる立下がり識別基準レベルと、立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、前記第2の受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ動作状態とされ、この動作状態中に前記第2の受信信号が前記立下がり識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する。
【0019】
前記信号再生手段は、前記第1の識別手段にて識別された立上がりタイミングをセット信号とし、前記第2の識別手段にて識別された立下がりタイミングをリセット信号とする非同期SRフリップフロップ回路により構成されている。
この発明の第2の面によれば、送信側に、伝送すべき信号波形から立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1及び第2のエッジ検出手段と、前記第1のエッジ検出手段による立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生する第1の伝送用パルス発生手段と、前記第2のエッジ検出手段による立下がりエッジ検出タイミングを境として、前記第1の伝送用パルス信号とは互いに極性が反転した関係にある、極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の伝送用パルス発生手段と、前記第1及び第2の伝送用パルス信号に基づいて光強度変調信号を生成する光強度変調手段とを具備し、受信側に、前記光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した受信信号を得るAC結合受信手段と、前記受信信号から、前記極性反転の関係に基づいて、前記第1及び第2の伝送用パルス信号に関係する信号を区別するとともに、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを識別する識別手段と、前記立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて、前記伝送すべき信号の波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する信号再生手段とを具備する光伝送システムが提供される。
【0020】
前記識別手段は、前記受信信号のうち前記第1の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が正極性から負極性へ反転するタイミングを立上がりタイミングとして識別する第1の識別回路と、前記受信信号のうち前記第2の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が負極性から正極性へ反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別する第2の識別回路とからなる。
また、タイミング識別の基準となる識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベル及び立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、立上がりタイミングを識別する際は、前記受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点で前記第1の識別手段が一定の時間だけ動作状態とされると同時に、前記第2の識別手段が動作不能状態とされ、第1の識別手段が動作状態中に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、立下がりタイミングを識別する際は、前記受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点で前記第2の識別手段が一定の時間だけ動作状態とされると同時に、前記第1の識別手段が動作不能状態とされ、第2の識別手段が動作状態中に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する。
【0021】
前記信号再生手段は、前記識別手段にて識別された立上がりタイミング、立下がりタイミングをそれぞれセット信号、リセット信号とする非同期SRフリップフロップ回路により構成されている。
この発明の第3の面によれば、請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか1項に記載の光伝送システムを備え、2値信号を送出する試験装置本体と前記2値信号を受信するテストヘッドとが光ファイバにより接続され、前記試験装置本体と前記テストヘッドとの間において前記光伝送システムを用いた光伝送が行われる半導体デバイス試験装置が提供される。
この発明の第4の面によれば、伝送すべき信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジを検出し、これらエッジの検出タイミングを境にして立上がりタイミング及び立下がりタイミングを示すタイミング信号を光伝送ライン上に送出する送信工程と、前記光伝送ライン上に送出されたタイミング信号を受信し、この受信信号の立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する受信工程とを有する光伝送方法が提供される。
【0022】
この発明の第5の面によれば、伝送すべき信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1の工程と、前記立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生するとともに、前記立下がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の工程と、前記第1の伝送用パルス信号に基づいて第1の光強度変調信号を生成すると共に、前記第2の伝送用パルス信号に基づいて第2の光強度変調信号を生成し、これら変調信号を別々に光伝送ライン上に送出する第3の工程と、前記第1及び第2の光強度変調信号をそれぞれ受信して、それらの交流成分のみを取り出した第1及び第2の受信信号を得る第4の工程と、前記第1の受信信号から立上がりタイミングを識別すると共に、前記第2の受信信号から立下がりタイミングを識別し、この識別した立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する第5の工程と、を有する光伝送方法が提供される。
【0023】
前記第5の工程における立上がりタイミング及び立下がりタイミングの識別を、前記第1の受信信号の極性が反転するタイミングを立上がりタイミングとし、前記第2の受信信号の極性が反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別することにより行う。
また、立上がりタイミングを識別する場合には、立上がりタイミング識別の基準となる立上がり識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベルとに基づいて、前記第1の受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点から一定時間内に前記第1の受信信号が前記立上がり識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、立下がりタイミングを識別する場合には、立下がりタイミング識別の基準となる立下がり識別基準レベルと、立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、前記第2の受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点から一定時間内に前記第2の受信信号が前記立下がり識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する。
【0024】
この発明の第6の面によれば、伝送すべき信号波形から立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1の工程と、前記立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生すると共に、前記立下がりエッジ検出タイミングを境として、前記第1の伝送用パルス信号とは互いに極性が反転した関係にある、極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の工程と、前記第1及び第2の伝送用パルス信号に基づいて光強度変調信号を生成し、この変調信号を光伝送ライン上に送出する第3の工程と、前記光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した受信信号を得る第4の工程と、前記受信信号から、前記極性反転の関係に基づいて前記第1及び第2の伝送用パルス信号に関係する信号を区別すると共に、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを識別し、この識別した立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する第5の工程とを有する光伝送方法が提供される。
【0025】
前記第5の工程における立上がりタイミング及び立下がりタイミングの識別を、前記受信信号のうち前記第1の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が正極性から負極性へ反転するタイミングを立上がりタイミングとし、前記受信信号のうち前記第2の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が負極性から正極性へ反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別する。
また、タイミング識別の基準となる識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベル及び立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、立上がりタイミングを識別する場合には、前記受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ立上がりタイミングの識別が行われるようにすると同時に、立下がりタイミングの識別が行われないようにし、この時間内に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、立下がりタイミングを識別する場合には、前記受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ立下がりタイミングの識別が行なわれるようにすると同時に、立上がりタイミングの識別が行なわれないようにし、この時間内に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する。
【0026】
この発明の第7の面によれば、送信側に設けた発光素子に電気パルスを与え、この電気パルスにより発光素子から光パルスを発光させ、この光パルスを光学送路を通じて受信側に伝送し、受信側に設けた受光素子によって電気パルスに変換し、この電気パルスを受信信号として取り込む光パルス伝送方法において、上記送信側において、上記発光素子に与える電気パルスを直流バイアス電流を中心に正と負に対称に変化する正負対称波形信号とし、光伝送路上の光の平均値を一定値に維持させることを特徴とする光パルス伝送方法が提供される。
上記第7の面においては、受信側で受信した正負対称波形信号の検出点を上記バイアス電流値を横切るゼロクロス点に規定する。
この発明の第8の面によれば、送信側に設けた発光素子に電気パルスを与え、この電気パルスにより発光素子から光パルスを発光させ、この光パルスを光学伝送路を通じて受信側に伝送し、受信側に設けた受光素子によって電気パルスに変換し、この電気パルスを受信信号として取り込む光パルス伝送方法において、上記送信側において、上記発光素子に与える電気パルスを前縁側及び後縁側の双方において、直流バイアス電流値を中心に正と負に対称に変化する正負対称波形信号とし、パルス幅が長いパルスを伝送しても上記光伝送路上の光の平均値を一定値に維持させることを特徴とする光パルス伝送方法が提供される。
【0027】
上記第8の面においては、受信側の受信検出点を上記前縁側及び後縁側で発生する正負対称波形信号の何れか一方のゼロクロス点によって規定する。
また、受信側に上記直流バイアス電流値に対応する直流電圧を発生する平滑化回路を設け、この平滑化回路で発生する直流電圧をヒステリシス特性を持つ電圧比較器の基準電圧として供給し、この基準電圧を中心に上記ヒステリシス特性のヒステリシス幅を越える電位変化を受信信号として検出し、上記電圧比較器から出力させる。
【0028】
この発明では無信号時でも一定の、しかも発光素子の発光開始点を与える閾値より大きい値を持つバイアス電流を発光素子に与え、発光素子を一定の発光量で発光させる。これと共に送り出そうとするパルスの極性とは逆極性のパルスを付加して、バイアス電流を中心に正と負に対称に振れる正負対称波形信号を生成させ、この正負対称波形信号によって発光素子を駆動する光パルス伝送方法を提案するものである。
さらに、この発明では受信側において、送信側から送られてくるバイアス電流に対応する電圧を信号の検出閾値として利用する光パルス検出方法をも提案する。
従って、この発明による光パルス伝送方法及び光パルス検出方法を採用することにより、送信側で温度変動により発光素子の注入電流対出力光パワー特性が変動しても、発光素子に流れるバイアス電流が変動し、このバイアス電流の変動が光の直流分として受信側に伝送される。
【0029】
受信側では送られて来た光の直流分をバイアス電圧として再生し、さらにこのバイアス電圧を基準電圧としてヒステリシス特性を持つ電圧比較器に与え、電圧比較器により正負に振れる正負対称波形信号の立上り及び立下りの変化点を検出する構成としたから、バイアス電圧が変動しても正負対称波形信号の検出点は時間方向に移動することはない。
その結果、この発明によれば、送信側で発光素子に温度変化が与えられ、発光素子の注入電流対出力光パワー特性が変動しても受信側で検出されるパルスの検出点は変動しない。つまり、ジッタの発生を阻止することができる。よって多チャネルを使ってデータを伝送する装置にこの発明を適用することにより、各チャネル間で信号にタイミング誤差が発生することがなく、正しいタイミングでデータを受授できる利点が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1はこの発明による光信号伝送システムの第1の実施例の構成を概略的に示すブロック図である。この光信号伝送システムは、送信側装置Tと、受信側装置Rと、これら両装置T及びR間を接続する光ファイバ6とによって構成されている。
送信側装置Tは、立上がりエッジ検出回路1と、伝送用パルス発生回路2と、光強度変調回路3とを備え、受信側装置Rは、AC結合受信回路4と、識別回路5とを備えている。
この光信号伝送システムにおいて伝送される信号は2値のデータではなくて2値信号の波形の立上がりのエッジ、即ち、伝送信号の立上がりの振幅値(レベル)が予め定められた振幅値(レベル)を越える時点を指示するタイミング信号である。なお、図1に示した実施例では、説明を簡単化するために、立上がりエッジのみが伝送される構成を示したが、実際には、図に点線で示すように、2値信号の波形の立下がりのエッジを伝送する同様の回路構成を含んでおり、波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ伝送する2系統の回路構成になっている。
【0031】
図2は図1に示す種々の回路の動作を説明するためのタイミングチャートであり、一例として波形の立上がりのエッジ(立上がりエッジの振幅値が50%を越える時点のタイミング)を検出し、伝送する場合の波形を示す。以下、図2を参照して各回路の動作を具体的に説明する。
立上がりエッジ検出回路1は、通常、論理回路等によって構成され、伝送波形(伝送しようとする信号の波形を言う)の立上がりのエッジ(タイミング)を検出して立上がり信号(a)を生成するものである。
伝送用パルス発生回路2は、立上がりエッジ検出回路1から出力される立上がり信号(a)の立上がりのタイミングに基づいて、対応する正極性のパルス信号に続けて極性の反転した負極性のパルス信号を生成して、立上がりのタイミングを境にして互いに極性の反転したパルス対を発生し、これを伝送用パルス信号(b)として出力する。
【0032】
この伝送用パルス信号(b)としては、その形状やパルス幅が元の伝送信号の波形の最小のパルス間隔よりも十分に短いものを用いる必要がある。言い換えれば、この伝送用パルス信号(b)のパルス幅によって元の伝送信号の波形の最小パルス間隔が制限されることになる。なお、この伝送用パルス信号(b)は、発生される際にある遅延を受けて、図に点線で示すように遅延したパルス(e)になっても、この遅延が常に一定で既知の値であれば、受信側ではタイミング信号として問題なく使用できる。
光強度変調回路3は伝送用パルス発生回路2から発生された伝送用パルス信号(b)に基づいて駆動され、従来から使用されている、オフセット光に光強度変調を行なう変調方法を用いて発光素子(図示せず)を駆動し、伝送用パルス信号波形の立上がりエッジの振幅値が予め定められた値を越えるタイミングで互いに極性の反転した光パルス対を光強度信号(c)として出力する。この光強度信号(c)は光ファイバ6を介して受信側装置Rに伝送される。
【0033】
AC結合受信回路4は、受信した光強度信号(c)を従来から使用されているAC結合の方法により検出する回路であり、図2の最下段に示す受信信号(d)のような信号が検出される。ここで、受信される光強度信号(c)は立上がりエッジを境にして極性が互いに反転する伝送用パルス信号(b)に基づいて変調された光パルス信号であるので、常に両極性のパルスが存在し、従って、検出される受信信号(d)は片方の極性に片寄ったパルスを多く含むというようなことはない。
識別回路5は、AC結合受信回路4にて検出された受信信号(d)から立上がりエッジ(予め定められた振幅値を越えるタイミング)を識別する。この立上がりタイミングの識別では、タイミング識別の基準となる識別レベルL1(図2参照)と、予めノイズと信号が分離できる程度の、十分に低いレベルに設定された、識別動作開始のタイミングを与える識別開始レベルL2(図2参照)とに基づいて、次のような識別動作が行われる。
【0034】
受信信号(d)の立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点Aで瞬間的に識別回路5を作動し、一定の遅延時間内に識別レベルL1を横切った時点Bを識別してタイミングパルスを発生する。つまり、立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点Aからパルス幅に相当する程度の時間だけ識別回路5の作動状態を保ち、受信信号(d)が識別レベルL1を横切った時点Bを識別タイミングと決定し、タイミングパルスを発生する。この識別動作によれば、パルスが存在しないときには識別回路5は作動しないから、ノイズによる低レベルの揺らぎを誤ってパルスと識別してしまうことはない。
なお、受信信号(d)から立下がりエッジを識別する動作も同様にして実行できることは明白であるので、ここではその説明を省略する。
【0035】
上記のように構成された光信号伝送システムでは、立上がり側の識別回路から発生されたタイミングパルス(立上がりタイミング)を、例えば非同期RS(セット−リセット)フリップフロップ回路のセット信号として用いれば、立上がりエッジが再現でき、さらに、立下がり側の識別回路から同様に発生されたタイミングパルス(立下がりタイミング)をリセット信号として用いれば、立下がりエッジが再現できる。よって、これら再現されたエッジより元の2値の伝送信号波形を再現することができる。
以上のように、第1の実施例では、伝送したい信号波形の立上がり・立下がりタイミングをそれぞれ別々に取り扱い、それぞれのタイミングに基づいて各タイミングを境にして極性が互いに反転するパルス対よりなる伝送パルス信号に変換し、この伝送パルス信号に基づいてオフセット光を強度変調して極性反転光パルス対を光強度信号として受信側装置へ伝送し、受信側装置では、伝送された光強度信号をAC結合受信し、パルスが存在する場合にのみ識別回路を動作させることにより立上がり・立下がりの識別タイミングを検出し、得られた立上がり・立下がりのタイミング信号から元の伝送信号波形を電気的に再現するように構成されている。
【0036】
従って、例えば半導体デバイス試験装置の試験装置本体とテストヘッドとの間において伝送される信号のように、多数の周期が混在し、伝送される2値データ値が一方の値(0又は1)に著しく片寄っている信号でも、信号波形の立上がり・立下がりタイミングをそれぞれ別々に伝送することで、高速の、かつ精度の高い光伝送が可能となる。
次に、上述した光信号伝送システムを実現する具体的な回路構成について説明する。ただし、以下に説明する回路構成は、本伝送システムを実現する回路構成の一例であり、本発明の構成を限定するものではない。
【0037】
図3は、図1に示した光信号伝送システムの具体的な回路構成の一例を示すブロック図である。送信側装置Tは、立上がりエッジ検出回路11a、伝送用パルス発生回路12a、バイアス固定LD駆動回路13aからなる第1の送信回路(立上がりエッジ送信回路)と、立下がりエッジ検出回路11b、伝送用パルス発生回路12b、バイアス固定LD駆動回路13bからなる第2の送信回路(立下がりエッジ送信回路)とが設けられ、受信側装置Rには、第1の送信回路から光ファイバを介して送出された光信号を受信するAC結合受信回路14a、このAC結合受信回路14aから出力される受信信号のAC成分から立上がりのタイミングを検出する識別回路15aからなる第1の受信回路(立上がりエッジ受信回路)と、第2の送信回路から光ファイバを介して送出された光信号を受信するAC結合受信回路14b、このAC結合受信回路14bから出力される受信信号のAC成分から立下がりのタイミングを検出する識別回路15bからなる第2の受信回路(立下がりエッジ受信回路)と、識別回路15aの出力をセット信号とし、識別回路15bの出力をリセット信号とする非同期RSフリップフロップ16とが設けられている。
【0038】
立上がり及び立下がりエッジ検出回路11a及び11b、伝送用パルス発生回路12a及び12b、AC結合受信回路14a及び14bは上述の図1に示した対応する回路と同様の回路構成を有し、かつ同様の動作を行なうものであるので、ここではそれらの説明を省略する。
送信側のバイアス固定LD駆動回路13a及び13bは発光素子であるレーザダイオード(図示せず)を駆動する回路であり、伝送用パルス発生回路12a及び12bが発生する、立上がり及び立下がりのタイミングを境にして極性が互いに反転するパルス対を駆動信号としてレーザダイオードを駆動し、光強度変調信号を発生させる。このバイアス固定LD駆動回路13a及び13bを使用して光強度変調信号を生成する際には、予めバイアス電流をレーザダイオードに印加して常にレーザダイオードを発光させておき(オフセット光)、駆動信号に応じた変調をレーザダイオードの駆動電流に加えるといった従来からの手法が用いられる。
【0039】
識別回路15aはタイミング識別用の比較器150a、この比較器150aを動作させるか否かを判別するための比較器151a、遅延調整回路152a、遅延・時定数調整回路153a及び154aから構成されている。同様に、識別回路15bはタイミング識別用の比較器150b、この比較器150bを動作させるか否かを判別するための比較器151b、遅延調整回路152b、遅延・時定数調整回路153b及び154bから構成されている。これら識別回路15a及び15bは共に同じ回路構成を有しているので、以下においては識別回路15aの構成についてのみ説明し、識別回路15bの説明は省略する。
識別回路15aにおいては、AC結合受信回路14aの出力が分岐され、その一方が比較器151aの一方の入力端子に、他方が遅延調整回路152aを介して比較器150aの一方の入力端子にそれぞれ供給される。比較器151aの他方の入力端子には識別開始基準電圧が入力されており、この識別開始基準電圧とAC結合受信回路14aからの入力電圧とを比較することにより、比較器150aを動作させるか否かを決定する。この比較器151aの出力は遅延・時定数調整回路153aを介して比較器150aのイネーブル(Enable)信号入力端子に入力され、比較器150aの動作を制御できるようになっている。
比較器150aの他方の入力端子は接地されており、接地電位とAC結合受信回路14aから遅延調整回路152aを介して供給される入力電圧とを比較することにより、立上がりのタイミングを判別する。この比較器150aの出力は遅延・時定数調整回路154aを介して非同期RSフリップフロップ16のS(セット)端子に入力される。なお、ここでは説明を省略したが、非同期RSフリップフロップ16のR(リセット)端子には、識別回路15bの比較器150bの出力が遅延・時定数調整回路154bを介して入力される。
【0040】
次に、図3に示す回路構成の光信号伝送システムの動作について説明する。立上がり及び立下がりエッジ検出回路11a及び11bに2値のディジタル信号波形(伝送信号波形)が入力されると、立上がりエッジ検出回路11aは入力された伝送信号波形の立上がりエッジを検出し、立下がりエッジ検出回路11bは入力された伝送信号波形の立下がりエッジを検出する。
立上がりエッジ検出回路11aで検出された伝送信号波形の立上がりエッジは伝送用パルス発生回路12aに供給され、この伝送用パルス発生回路12aは、入力された立上がりエッジのタイミングを境にして互いに極性の反転したパルス対を生成する。同様に、伝送用パルス発生回路12bは、入力された立下がりエッジのタイミングを境にして互いに極性の反転したパルス対を生成する。
バイアス固定LD駆動回路13aは、伝送用パルス発生回路12aから供給される極性反転パルス対を駆動信号としてレーザダイオードを駆動する。これによって駆動信号に応じた変調がレーザダイオードの駆動電流に加えられ、レーザダイオードから光強度変調信号が発生される。同様に、バイアス固定LD駆動回路13bは、伝送用パルス発生回路12bから供給される極性反転パルス対を駆動信号としてレーザダイオードを駆動し、レーザダイオードから光強度変調信号を発生させる。
【0041】
バイアス固定LD駆動回路13a及び13bによる対応するレーザダイオードの駆動により発生された光強度変調信号はそれぞれ、光ファイバを介して送信側装置へ伝送され、対応するAC結合受信回路14a及び14bにてそれぞれ受信される。
光強度変調信号を受信すると、各AC結合受信回路14a及び14bは、受信した光強度変調信号の交流成分のみを電気信号に変換する。これによって元の極性反転パルス対が生成され、これが受信信号として出力される。これらAC結合受信回路14a及び14bから出力された受信信号は識別回路15a及び15bに入力される。
識別回路15aに入力された受信信号はまず、比較器151aに入力される。比較器151aは入力された受信信号の電圧と識別開始基準電圧とを比較することにより、パルスが入力されたことを検知し、パルス状の信号を出力する。このパルス状の出力信号は、遅延・時定数調整回路153aで十分なパルス幅の信号に加工され、比較器150aのイネーブル信号入力端子に入力される。イネーブル信号が入力されると、比較器150aは動作を開始し、極性反転パルス対(受信信号)の中心部分、即ち、極性が反転するタイミングを識別し、この識別されたタイミングを示すパルス状の信号(タイミング信号)を出力する。
【0042】
なお、識別回路15aは、比較器150aの一方の入力端子に極性反転パルス対(受信信号)が到達するよりも速く比較器151aが作動するように、遅延調整回路152aと遅延・時定数調整回路153aとによってこれら比較器150a及び151aへの極性反転パルス対(受信信号)の入力経路の遅延時間が調節されている。
比較器150aから出力されたタイミング信号は、遅延・時定数調整回路154aで十分なパルス幅の信号に加工された後、非同期RSフリップフロップ16のS(セット)端子に入力される。
【0043】
上記と同様に、識別回路15bに受信信号が入力されると、この受信信号は比較器151bに入力される。比較器151bは入力された受信信号の電圧と識別開始基準電圧とを比較することにより、パルスが入力されたことを検知し、パルス状の信号を出力する。このパルス状の出力信号は、遅延・時定数調整回路153bで十分なパルス幅の信号に加工され、比較器150bのイネーブル信号入力端子に入力される。イネーブル信号が入力されると、比較器150bは動作を開始し、極性反転パルス対(受信信号)の中心部分、即ち、極性が反転するタイミングを識別し、この識別されたタイミングを示すパルス状の信号(タイミング信号)を出力する。
なお、識別回路15bは、比較器150bの一方の入力端子に極性反転パルス対(受信信号)が到達するよりも速く比較器151bが作動するように、遅延調整回路152bと遅延・時定数調整回路153bとによってこれら比較器150b及び151bへの極性反転パルス対(受信信号)の入力経路の遅延時間が調節されている。
比較器150bから出力されたタイミング信号は、遅延・時定数調整回路154bで十分なパルス幅の信号に加工された後、非同期RSフリップフロップ16のR(リセット)端子に入力される。
【0044】
上述のようにして識別回路15a及び15bからセット信号及びリセット信号が非同期RSフリップフロップ16に入力されると、この非同期RSフリップフロップ16は、セット信号の入力によって論理「1」に立上がり、これによって元の伝送信号波形の立上がりエッジを再現し、リセット信号の入力によって論理「0」に立下がり、これによって元の伝送信号波形の立下がりエッジを再現する。この回路では、立上がりタイミング伝送用と立下がりタイミング伝送用の2つの伝送・処理経路の間に生じる不要な時間差を遅延・時定数調整回路154a及び154bによって補償しており、これにより非同期RSフリップフロップ16にて再現された伝送信号波形は伝送前と同じ極性及びタイミングの2値信号となる。
以上説明した光信号伝送システムの回路構成は半導体デバイス試験装置にも適用することができる。次に、上記回路構成の光信号伝送システムを適用した半導体デバイス試験装置について図4及び図5を参照して具体的に説明する。
図4に示すように、試験装置本体側に立上がり及び立下がりエッジ検出回路11a及び11b(図示せず)、伝送用パルス発生回路12a及び12b、バイアス固定LD駆動回路13a及び13bから構成される送信部を設け、テストヘッド側にAC結合受信回路14a及び14b、識別回路15a及び15b、非同期RSフリップフロップ16から構成される受信部を設けて、これら送信部と受信部の間を光ファイバを用いて接続する。
【0045】
この構成によれば、半導体デバイス試験装置の試験装置本体とテストヘッドとの間において伝送される、多数の周期が混在し、かつ伝送される2値データが一方の値(0又は1)に著しく片寄っている信号は、送信部においてその信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジのみが予め定められた振幅値(レベル)を横切るタイミングを示す極性反転パルス対よりなる伝送パルス信号に変換されて伝送され、受信部では識別した立上がり及び立下がりタイミングから元の伝送信号波形を電気的に再現するので、極性及びタイミング誤りを生じることはなく、信号再生を行うことができる。
なお、半導体デバイス試験装置では、試験装置本体において発生される2値信号は立上がりエッジと立下がりエッジに分かれているので、図4には図示していないように、試験装置本体側から立上がり及び立下がりエッジ検出回路11a及び11bを省くことができ、低コスト化を図ることができる。
【0046】
以上説明した第1の実施例の光信号伝送システムにおいて、伝送信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジが予め定められた振幅値(レベル)を横切るタイミングを示す極性反転パルス対は、上述し、かつ図示したものに限定されるものではない。例えば立上がりタイミング用のパルス対と立下がりタイミング用のパルス対はそれらの極性が図5(a)〜(d)に示すような関係にあるものを使用することができる。なお、図5(a)は上記第1の実施例で使用された極性反転パルス対と同じである。
上述した第1の実施例の光信号伝送システムにおいては、伝送したい信号波形の立上がり及び立下がりタイミングをそれぞれ別々に取り扱い、それぞれのタイミングを示す極性反転パルス対を伝送する2つの伝送経路を設けたが、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを示す極性反転パルス対のそれぞれを、図5(b)及び(c)に示したような互いに極性が反転関係にあるパルス対として区別できるようにすれば、送信側と受信側との間の伝送経路を1つにすることができる。
【0047】
以下、送信側と受信側との間の伝送経路を1つにしたこの発明の第2の実施例の光信号伝送システムについて図6乃至図8を参照して説明する。
図6はこの発明の第2の実施例である、伝送経路を1つにした光信号伝送システムの概略の構成を示すブロック図である。本実施例の光信号伝送システムは、送信側装置Tに立上がり及び立下がりエッジ検出回路21a及び21bと、伝送用パルス発生回路22a及び22bと、光強度変調回路23とを備え、受信側装置RにAC結合受信回路24と、識別回路25a及び25bとを備えている。そして、送信側装置Tと受信側装置Rとが1つの光ファイバ26により接続された構成となっている。
上記構成の光信号伝送システムは、伝送用パルス発生回路22a及び22bにおける極性反転パルス対の生成動作と、識別回路25a及び25bにおける立上がり及び立下がりタイミングの検出動作が異なる以外は、前述の第1の実施例のシステムと基本的に同じ動作をする。
【0048】
図7は図6に示した光信号伝送システムの動作を説明するための波形図である。次に、この図7を参照して各回路の動作を具体的に説明する。
伝送用パルス発生回路22a及び22bは立上がり及び立下がりエッジ検出回路21a及び21bにて検出される立上がり信号(a)及び立下がり信号(b)のタイミングを境にして極性が互いに反転するパルス対よりなる伝送用パルス信号(c)及び(d)を発生する。この実施例では、伝送用パルス発生回路22aにて発生した伝送用パルス信号(c)と伝送用パルス発生回路22bにて発生した伝送用パルス信号(d)とは互いに極性が反転した関係になっており、どちらが立上がりタイミングを示し、どちらが立下がりタイミングを示すかが区別できるようになっている。
【0049】
これら伝送用パルス信号は、その形状やパルス幅が元の伝送信号波形とは独立の関係にあり、かつ固定であり、パルス幅が元の伝送信号波形の最小パルス間隔より十分に短く、かつ元の伝送信号波形の最小パルス幅に対して互いが重ならないようになっている。言い換えると、各伝送用パルス信号の幅が、伝送可能な信号波形の最小パルス間隔及び最小パルス幅を制限することになる。
光強度変調回路23及びAC結合受信回路24は前述の図1に示したものと同様の構成のものであるが、この実施例では光強度変調回路23は伝送用パルス発生回路22a及び22bからの各伝送用パルス信号を入力とし、これら入力に基づいて極性反転光パルス対(光強度信号(e))を出力し、一方、AC結合受信回路4は伝送されて来た光強度信号を受信して受信信号(f)を出力する。
識別回路25aはAC結合受信回路4にて検出された受信信号(f)から立上がりタイミングを識別し、識別回路25bは受信信号(f)から立上がりタイミングを識別する。これら識別回路25a及び25bでは、タイミング識別の基準となる識別レベルL1と、ノイズと信号とが分離できる程度ではあるが振幅を十分に低く設定した立上がり識別開始レベルL2及び立下がり識別開始レベルL3とに基づいて、次のような識別動作が行われる。
【0050】
立上がりタイミングを識別する場合には、受信信号(f)の立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点Aで識別回路25aを瞬間的に動作させると同時に、識別回路25bを瞬間的に動作不能にし、識別回路25aによって一定の遅延時間内に受信信号(f)の波形が識別レベルL1を横切った時点Bを識別し、この時点Bでタイミングパルスを発生させる。
立下がりタイミングを識別する場合には、受信信号(f)の立下がりエッジが識別開始レベルL3を横切った時点Cで識別回路25bを瞬間的に動作させると同時に、識別回路25aを瞬間的に動作不能にし、識別回路25bによって一定の遅延時間内に受信信号(f)の波形が識別レベルL1を横切った時点Dを識別し、この時点Dでタイミングパルスを発生させる。
【0051】
上記識別動作によれば、受信信号(f)の立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点Aから一定時間内は識別回路25bは動作不能状態にあるので、識別回路25aによって受信信号(f)の波形が識別レベルL1を横切った時点Bを識別した後、識別回路25bがさらに、受信信号(f)の波形が識別レベルL3を横切った時点C′を誤って識別することはない。
同様に、受信信号(f)の立下がりエッジが識別開始レベルL3を横切った時点Cから一定時間内は識別回路25aは動作不能状態にあるので、識別回路25bによって受信信号(f)の波形が識別レベルL3を横切った時点Dを識別した後、識別回路25aがさらに、受信信号(f)の波形が識別レベルL1を横切った時点A′を誤って識別することはない。
【0052】
なお、受信信号(f)のうちのパルス(交流成分)のない間は、各識別回路25a及び25bは共に動作状態にないから、ノイズによる低レベルの揺らぎを誤ってパルスと識別してしまうようなことはない。
上記のように構成された光信号伝送システムにおいては、識別回路25aから発生されるタイミングパルス(立上がりタイミング)を例えば非同期RSフリップフロップ回路のセット信号として用いれば、立上がりエッジを再現することができ、さらに、立下がり側の識別回路25bから同様にして得られたタイミングパルス(立下がりタイミング)を非同期RSフリップフロップ回路のリセット信号として用いれば、立下がりエッジを再現することができ、これにより元の2値の伝送信号変形を再現することができる。
【0053】
次に、上述した第2の実施例の光信号伝送システムを実現する具体的な回路構成について説明する。ただし、以下に説明する回路構成は、本伝送システムを実現する回路構成の一例であり、本発明の構成を限定するものではない。
図8は、図6に示した光信号伝送システムの具体的な回路構成の一例を示すブロック図である。この具体例では、送信側に、伝送信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジを検出する立上がり及び立下がりエッジ検出回路31a及び31b、これらエッジ検出回路31a及び31bの出力信号が入力される伝送用パルス発生回路32a及び32b、これら伝送用パルス発生回路32a及び32bの両出力信号を駆動信号とするバイアス固定LD駆動回路33が設けられる。
受信側にはAC結合受信回路34、このAC結合受信回路34の出力をそれぞれ入力とする識別回路35a及び35b、識別回路35aの出力信号をセット信号とし、識別回路35bの出力信号をリセット信号とする非同期RSフリップフロップ36が設けられ、これら送信側及び受信側間が光ファイバによって接続された構成となっている。
【0054】
立上がり及び立下がりエッジ検出回路31a及び31b、伝送用パルス発生回路32a及び32b、AC結合受信回路34は上述の図6に示したものと同様の回路構成を有し、かつ同様の動作を行なうので、ここではそれらの説明は省略する。
バイアス固定LD駆動回路33は発光素子であるレーザダイオード(図示せず)を駆動する回路であり、伝送用パルス発生回路32a及び32bが発生する、立上がり及び立下がりタイミングを境にして極性が互いに反転するパルス対を駆動信号としてレーザダイオードを駆動し、光強度変調信号を発生させる。このバイアス固定LD駆動回路33により光強度変調信号を発生させる際には、予めバイアス電流をレーザダイオードに印加してレーザダイオードを常に発光している状態に保ち、駆動信号に応じた変調電流をレーザダイオードの駆動電流に加えるといった従来からの手法が用いられる。
【0055】
識別回路35aはタイミング識別用の比較器350a、この比較器350aを動作させるか否かを判別するための比較器351a、遅延調整回路352a、遅延・時定数調整回路353a、354a、355aから構成されている。同様に、識別回路35bはタイミング識別用の比較器350b、この比較器350bを動作させるか否かを判別するための比較器351b、遅延調整回路352b、遅延・時定数調整回路353b、354b、355bから構成されている。
識別回路35aでは、AC結合受信回路34の出力が2つに分岐され、その一方が比較器351aの一方の入力端子に、他方が遅延調整回路352aを介して比較器350aの一方の入力端子にそれぞれ供給される。比較器351aの他方の入力端子には立上がり識別開始基準電圧が入力されており、この識別開始基準電圧とAC結合受信回路34からの入力電圧とを比較することにより、比較器351aは比較器350aを動作させるか否かを判別する。
【0056】
比較器351aの出力信号は遅延・時定数調整回路353aを介して比較器150aのイネーブル(Enable)信号入力端子に入力されると共に、遅延・時定数調整回路354aを介して比較器351bのディスエーブル(Disable)信号入力端子に入力されており、比較器350a及び351bの動作を制御できるようになっている。
比較器350aの他方の入力端子は接地されており、接地電位とAC結合受信回路34からの入力信号電圧とを比較することにより、比較器350aは立上がりタイミングを判別する。この比較器350aの出力信号は遅延・時定数調整回路355aを介して非同期RSフリップフロップ36のS(セット)端子に入力される。
【0057】
識別回路35bでは、同じくAC結合受信回路34の出力が2つに分岐され、その一方が比較器351bの一方の入力端子に、他方が遅延調整回路352bを介して比較器350bの一方の入力端子にそれぞれ供給される。比較器351bの他方の入力端子には立下がり識別開始基準電圧が入力されており、この識別開始基準電圧とAC結合受信回路34からの入力電圧とを比較することにより、比較器351bは比較器350bを動作させるか否かを判別する。
比較器351bの出力信号は遅延・時定数調整回路353bを介して比較器150bのイネーブル(Enable)信号入力端子に入力されると共に、遅延・時定数調整回路354bを介して比較器351aのディスエーブル(Disable)信号入力端子に入力されており、比較器350b及び351aの動作を制御できるようになっている。
比較器350bの他方の入力端子は接地されており、接地電位とAC結合受信回路34からの入力信号電圧とを比較することにより、比較器350bは立下がりタイミングを判別する。この比較器350bの出力信号は遅延・時定数調整回路355bを介して非同期RSフリップフロップ36のR(リセット)端子に入力される。
【0058】
次に、この第2の実施例の光信号伝送システムの動作について説明する。立上がり及び立下がりエッジ検出回路31a及び31bに2値のディジタル信号波形(伝送信号波形)が入力されると、立上がりエッジ検出回路31aは入力された伝送信号波形の立上がりエッジを検出し、立下がりエッジ検出回路31bは入力された伝送信号波形の立下がりエッジを検出する。
立上がりエッジ検出回路31aにて検出された伝送信号波形の立上がりエッジは伝送用パルス発生回路32aに供給されこの、伝送用パルス発生回路32aは、供給された立上がりエッジのタイミングを境にして極性が互いに反転する極性反転パルス対を生成する。同様に、伝送用パルス発生回路32bでは、供給された立上がりエッジのタイミングを境にして極性が互いに反転する極性反転パルス対を生成する。
【0059】
バイアス固定LD駆動回路33は、伝送用パルス発生回路32a及び32bにて生成された極性反転パルス対を駆動信号としてレーザダイオードを駆動し、極性反転光パルス対よりなる光強度変調信号を発生させる。この光強度変調信号は光ファイバを介して受信側へ伝送され、AC結合受信回路34で受信される。
光強度変調信号を受信すると、AC結合受信回路34は、受信した光強度変調信号の交流成分のみを電気信号に変換する。これによって元の極性反転パルス対が生成され、これが受信信号として出力される。このAC結合受信回路34から出力された受信信号は2つに分岐され、一方は識別回路35aに入力され、他方は識別回路35bに入力される。
【0060】
識別回路35aに入力された受信信号はまず、比較器351aに入力される。比較器351aは入力された受信信号の電圧と立上がり識別開始基準電圧とを比較することにより、パルスが入力されたことを検知し、パルス状の信号を出力する。このパルス状の出力信号は2つに分岐され、一方は遅延・時定数調整回路353aで、他方は遅延・時定数調整回路354aでそれぞれ十分なパルス幅の信号に加工され、比較器350aのイネーブル信号入力端子及び比較器351bのディスエーブル信号入力端子にそれぞれ入力される。
【0061】
イネーブル信号が入力されると、比較器350aは動作を開始し、極性反転パルス対(受信信号)の中心部分、即ち、極性が反転するタイミングを識別し、この識別されたタイミングを示すパルス状の信号(タイミング信号)を出力する。他方、比較器351bは、ディスエーブル信号が入力されると、一定時間動作不能になり、この動作不能の間、比較器350bが誤動作するのを防止する。
なお、識別回路35aは、比較器350aの一方の入力端子に極性反転パルス対(受信信号)が到達する前に比較器351aが動作するように、遅延調整回路352aと遅延・時定数調整回路353aとによってこれら比較器350a及び351aへの極性反転パルス対(受信信号)の入力経過の遅延時間が調節されており、その上、上記極性反転パルス対以降の信号が到達する前の比較器351bが動作不能となるように、遅延・時定数調整回路354aによって経路の遅延時間が調節されている。
【0062】
比較器350aから出力されたタイミング信号は、遅延・時定数調整回路355aで十分なパルス幅の信号に加工された後、非同期RSフリップフロップ36のS(セット)端子に入力される。
上記と同様に、識別回路35bに受信信号が入力されると、この受信信号は比較器351bに入力される。比較器351bは入力された受信信号の電圧と立下がり識別開始基準電圧とを比較することにより、パルスが入力されたことを検知し、パルス状の信号を出力する。このパルス状の出力信号は2つに分岐され、一方は遅延・時定数調整回路353bで、他方は遅延・時定数調整回路354bでそれぞれ十分なパルス幅の信号に加工され、比較器350bのイネーブル信号入力端子及び比較器351aのディスエーブル信号入力端子にそれぞれ入力される。
【0063】
イネーブル信号が入力されると、比較器350bは動作を開始し、極性反転パルス対(受信信号)の中心部分、即ち、極性が反転するタイミングを識別し、この識別されたタイミングを示すパルス状の信号(タイミング信号)を出力する。他方、比較器351aは、ディスエーブル信号が入力されると、一定時間動作不能になり、この動作不能の間、比較器350aが誤動作するのを防止する。
なお、識別回路35bは、比較器350bの一方の入力端子に極性反転パルス対(受信信号)が到達する前に比較器351bが作動するように、遅延調整回路352abと遅延・時定数調整回路353bとによってこれら比較器350b及び351bへの極性反転パルス対(受信信号)の入力経路の遅延時間が調節されており、その上、上記極性反転パルス対以降の信号が到達する前に比較器351aが動作不能となるように、遅延・時定数調整回路354bによって経路の遅延時間が調節されている。
【0064】
比較器350bから出力されたタイミング信号は、遅延・時定数調整回路355bで十分なパルス幅の信号に加工された後、非同期RSフリップフロップ36のR(リセット)端子に入力される。
上述のようにして識別回路35a及び35bからセット信号及びリセット信号が非同期RSフリップフロップ36に入力されると、この非同期RSフリップフロップ36は、セット信号の入力によって論理「1」に立上がり、これによって元の伝送信号波形の立上がりエッジを再現し、リセット信号の入力によって論理「0」に立下がり、これによって元の伝送信号波形の立下がりエッジを再現する。この回路では、立上がりタイミング伝送用と立下がりタイミング伝送用の2つの伝送・処理経路の間に生じる不要な時間差を遅延・時定数調整回路355a及び355bによって補償しており、これにより非同期RSフリップフロップ36にて再現された伝送信号波形は伝送前と同じ極性及びタイミングの2値信号となる。
【0065】
なお、上記第2の実施例のシステムを高速の2値信号の伝送に適用する場合には、各比較器及びその他の回路素子に対して、電気的な伝送方式の場合に使用される比較器及びその他の回路素子や前述の第1の実施例に使用される比較器及びその他の回路素子よりもさらに高速の動作性能が要求される。
以上説明した第2の実施例の光信号伝送システムの回路構成は半導体デバイス試験装置にも適用することができる。次に、上記回路構成の光信号伝送システムを適用した半導体デバイス試験装置について図9を参照して具体的に説明する。
図9に示すように、試験装置本体側に立上がり及び立下がりエッジ検出回路341及び31b(図示せず)、伝送用パルス発生回路32a及び32b、バイアス固定LD駆動回路33から構成される送信部を設け、テストヘッド側にAC結合受信回路34、識別回路35a及び35b、非同期RSフリップフロップ36から構成される受信部を設けて、これら送信部と受信部の間を光ファイバを用いて接続する。
【0066】
この構成によれば、半導体デバイス試験装置の試験装置本体とテストヘッドとの間において伝送される、多数の周期が混在し、かつ伝送される2値データが一方の値(0又は1)に著しく片寄っている信号は、送信部においてその信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジのみが予め定められた振幅値(レベル)を横切るタイミングを示す極性反転パルス対よりなる伝送パルス信号に変換されて伝送され、受信部では識別した立上がり及び立下がりタイミングから元の伝送信号波形を電気的に再現するので、極性及びタイミング誤りを生じることはなく、信号再生を行うことができる。
なお、半導体デバイス試験装置では、試験装置本体において発生される2値信号は立上がりエッジと立下がりエッジに分かれているので、図9には図示していないように、試験装置本体側から立上がり及び立下がりエッジ検出回路31a及び31bを省くことができ、低コスト化を図ることができる。
【0067】
次に、この発明の第3の実施例について図面を参照して説明する。
図10はこの発明による光信号伝送方法を実施する光パルス送信装置101の一具体例を示す。この例でもレーザーダイオードのような発光素子LDが使用され、この発光素子LDに定電流回路110A、110B、110Cを接続する。また、定電流回路110Aと110Bは、それぞれ電流スイッチ111Aと111Bを通じて発光素子LDに接続し、定電流回路110Cは直接発光素子LDに接続した場合を示す。従って、発光素子LDには常時定電流回路110Cを流れる電流Icが注入される。
【0068】
電流スイッチ111Aと111Bは制御電圧としてH論理(論理高レベル)が与えられるとオンに制御され、L論理(論理低れべる)が与えられるとオフに制御される。電流スイッチ111Aの制御端子は入力端子INに直接接続される。電流スイッチ111Bの制御端子はインバータ112と遅延素子113から成る直列回路を通じて入力端子INに接続する。
上記構成において、入力端子INに図11Aに示すような正極性のパルスPを与える。遅延素子113の遅延時間TdとパルスPのパルス幅Pwはここでは説明の都合によりPw=Tdであるものとして説明する。
【0069】
パルスPが入力端子INに入力されると、電流スイッチ111Aは図11Bに示すように直ちにオンの状態に制御される。電流スイッチ111BにはパルスPがインバータ112により極性反転され、さらに、遅延素子113で遅延されて供給されるから、電流スイッチ111Bは常時オンの状態に制御され、入力されたパルスPの立上りのタイミングでパルス幅Tdの時間だけオフの状態に制御される。
従って、発光素子LDに注入される電流は図11Dに示すように無信号時は定電流回路110Bと110Cを流れる電流IbとIcの和Ib+Icがバイアス電流として注入され、パルスPが入力端子INに入力されている期間は全ての定電流回路110A〜110Cを流れる電流Ia、Ib、Icの和Ia+Ib+Icが注入され、パルスPが立下がった後のタイミングでは電流スイッチ111Aと111Bが共にオフの状態に制御されるから、このタイミングでは定電流回路110Cを流れる電流Icだけが注入される。
【0070】
電流スイッチ111Bに入力されるパルスがパルス幅Tdを経過すると、電流スイッチ111Bはオンの状態に戻される。従って、発光素子LDに注入される電流は再びIb+Icの状態に戻る。
従って、図10に示す具体例では、発光素子LDに注入されるバイアス電流はIb+Icとなり、このバイアス電流Ib+Icを中心に正と負に振れる電流Ia+Ib+IcとIcが発光素子LDに注入される。発光素子LDの発光強度は図11Dに示す電流波形と同様の波形となる。電流Icは図11Dに示すように発光素子LDが発光を開始する閾値電流IONより大きい値であるものとする。
図12に受信装置102に設けられる検出回路107の一具体例を示す。この例では検出回路107を、受光素子PDから出力された受光電流信号を電圧信号に変換する電流−電圧変換回路107Aと、平滑化回路107Bと、ヒステリシスを持った電圧比較器107Cとによって構成した場合を示す。
【0071】
電流−電圧変換回路107Aは演算増幅器Aと帰還抵抗器Rとによって構成することができる。平滑化回路107Bは伝送されるパルスPのパルス幅Pwより充分大きい時定数を持つ時定数回路によって構成することができる。この平滑化回路107Bを通じて電圧比較器107Cの非反転入力端子に、送信側から送られてくるバイアス値に対応した基準電圧を与える。また、電圧比較器107Cの反転入力端子には電流−電圧変換回路107Aの出力信号をそのまま入力する。
このように構成することにより、平滑化回路107Bには常時送信側から送られてくるバイアス電流Ib+Icに対応する基準電圧が与えられる。従って、電圧比較器107Cは非反転入力端子に与えられる基準電圧を基準に反転入力端子に与えられる電圧が基準電圧より高いか低いかにより、出力端子107DにH論理かL論理の何れか一方を出力する。また、電圧比較器107Cは2つの入力端子の間に、ヒステリシス特性を持っていることから、両方の入力端子の電圧が基準電圧に揃ったとしても、過去に非反転入力端子が反転入力端子より負側に振れた状態から同一の基準電圧に戻った場合には、出力端子107DはL論理に保持され、正側に振れた状態から同一の基準電圧に戻った場合には、H論理に保持される。
【0072】
ここで、図12に示した受信装置に、図13Aに示す受光電流IPが受信されるものとすると、電流−電圧変換回路107Aは図13Bに示すバイアス電圧VBとパルス波形VPを出力する。平滑化回路107Bはパルス波形VPが入力されても、このパルス波形VPを平滑し、バイアス電圧VBに合致した基準電圧を電圧比較器107Cの非反転入力端子に供給し続ける。従って、パルス波形VPが電圧比較器107Cの反転入力端子に入力され、その電圧が正側のヒステリシス幅を越えると電圧比較器107Cの出力端子107Dは図13Cに示すようにH論理を出力する。
反転入力端子のパルス波形VPがバイアス電圧VBを横切って負側のヒステリシス幅より負側に振れると、電圧比較器107Cの出力端子107DはL論理となる。従って、電圧比較器107Cの出力端子107Dは図13Cに示すパルスPVを出力する。このパルスPVは受光電流信号IPのバイアス電流Ib+Icが変動しても、その立上りのタイミングは電圧比較器107Cの反転入力端子のパルス波形VPが正側のヒステリシス幅を越えるか否かによって決定されるため、パルス波形VPの立上りのタイミングはバイアス電流Ib+Icの値(バイアス電圧VBと同じ)が変動しても不動である。この結果、送信側において温度変化により発光素子LDの注入電流対出力光パワー特性が変動しても、伝送されるパルス信号の検出タイミングは変化しない。よって、ジッタのない信号を受授することができる。なお、電流−電圧変換回路107Aから出力されるパルス波形VPの波形中において、正から負(又は負から正)に振れるゼロクロス点は最も高速でバイアス電圧VBを横切る部分となる。従って、タイミングの検出点としては最も時間軸方向に対する変動の少ない位置になるものと考えられる。この結果、現実にはこのゼロクロス点に対応する、つまり、電圧比較器107Cが出力するパルス波形VPの後縁位置TOを信号の検出点として利用することになる。
【0073】
図14は光パルスを送信する装置の他の具体例を示す。この例では図10の例と同様にバイアス値を中心に正と負に振れる光パルスを発光させる機能に加えて、入力されるパルスのパルス幅を一定のパルス幅の光パルスに揃える機能(一般にパルサと呼ばれている)を持たせた回路構成とした場合を示す。
入力端子INに入力された電気パルスPは直接ノア(NOR)ゲート114の一方の入力端子に供給されると共に、インバータ112及び遅延素子113から成る直列回路を通じて他方の入力端子に供給される。さらに、インバータ112と遅延素子113から成る直列回路を通じて電気パルスPをナンド(NAND)ゲート115の一方の入力端子に供給し、インバータ116と遅延素子117で遅延させた信号をナンドゲート115の他方の入力端子に供給する。ノアゲート114の出力信号を電流スイッチ111Aに制御信号として与え、ナンドゲート115の出力信号を電流スイッチ111Bの制御信号として与える。
【0074】
ここで、入力端子INに入力するパルスPのパルス幅Pwが遅延素子113と117の遅延時間Tdより長いPw>Tdであるものとして以下にその動作を図15を参照して説明する。
図15Aは入力端子INに入力されたパルスPを示す。図15Bはインバータ112と遅延素子113を通じてノアゲート114とナンドゲート115の各一方の入力端子に供給されるパルスPBの波形を示す。ノアゲート114の出力には図15Dに示すパルスPDが入力され、このパルスPDがH論理に立上っている期間、電流スイッチ111Aがオンの状態に制御される。電流スイッチ111Aがオンの状態に制御される時間は遅延素子113の遅延時間Tdに等しい時間に規定される。
【0075】
図15Cはインバータ116と遅延素子117を通じてナンドゲート115の他方の入力端子に供給されるこのパルスPCの波形を示す。このナンドゲート115には図15Bに示したパルスPBと図15Cに示したパルスPCが供給されるから、その出力には図15Eに示すパルスPEが出力される。つまり、ナンドゲート115は常時H論理を出力しており、電流スイッチ111Bは常時オンの状態に制御されている。パルスPEはL論理に立下る極性のパルス信号で出力されるから、電流スイッチ111BはパルスPEがL論理に立下がった期間だけオフの状態に制御される。
この結果、発光素子LDに流れる電流Iは図15Fに示すように、Ib+Icを中心に電流スイッチ111Aがオンの状態でIa+Ib+Icが流れ、電流スイッチ111Aと111Bが共にオフの状態でIcが流れる。
従って、図10に示した具体例と同様に、パルスPが入力されるごとに発光素子LDは平均電流Ib+Icを中心に正方向と負方向に対称に振れる波形で流れ、平均電流値を変動させずに発光素子を駆動するから、この図14に示した具体例でも図10乃至図13で説明したのと同様の作用効果が得られることは容易に理解できよう。
【0076】
また、この具体例では入力するパルスPのパルス幅Pwが遅延素子113及び117の遅延時間Tdより長いパルス幅であっても、発光素子LDが発光する光パルスのパルス波形は遅延素子の遅延時間Tdによって決まる一定のパルス幅に制限される。よって、入力されるパルスPのパルスが長くても、出力する光パルスを一定値に制限するから、受信側においてパルス幅が長いパルスが送られてきたことにより平滑化回路107B(図12参照)が出力する基準電圧が変動するような不都合を回避することができるという利点が得られる。
さらに、図14に示した具体例では、伝送すべきパルスPの後縁側を検出して光パルスを発生させる構成としたから、信号の立上りの初期波形部分を利用する場合と比較して安定した状態で発光素子LDを発光させているから、発光素子LDを発光させるタイミング(図15Fの波形)を正確に規定することができるという利点も得られる。
図16は光パルス送信装置101のさらに他の具体例を示す。この例ではパルスのパルス幅を受信側に伝送しようとする場合を示す。つまり、伝送しようとするパルスPの立上りのタイミングと立下りのタイミングの双方において正側と負側に振れる正負対称信号を発生させて発光素子を発光制御する構成とした場合を示す。
【0077】
このためには電流スイッチ111Aの制御回路として、この例では2個のアンドゲート118、119とノアゲート120とによって構成し、アンドゲート118には、入力されるパルスP(図17A)と、インバータ112と遅延素子113を通過したパルスPB(図17B)を入力し、他方のアンドゲート119にはインバータ112と遅延素子113を通じたパルスPB(図17B)とインバータ116と遅延素子117を通じたパルスPC(図17C)を供給し、各アンドゲート118と119の出力をノアゲート120を通じて出力させる。この結果、ノアゲート120の出力に図17Dに示す負極性のパルスPDを得る。この負極性のパルスPDは入力パルスPの立上りのタイミングと立下りのタイミングの双方に発生し、電流スイッチ111Aに入力される。その結果、電流スイッチ111Aは入力パルスPの立上りと立下りの双方のタイミングにおいて、遅延時間Tdに等しい期間の間、オフの状態に制御される。
【0078】
電流スイッチ111Bの制御回路を、この例では2個のノアゲート121、122と1個のオアゲート123とによって構成し、一方のノアゲート121には入力パルスP(図17A)とインバータ112と遅延素子113を通じてパルスPB(図17B)を入力し、他方のノアゲート122にはインバータ112と遅延素子113を通じたパルスPB(図17B)と、インバータ116と遅延素子117を通じて取り出されたパルスPC(図17C)を供給し、各ノアゲート121と122の出力をオアゲート123を通じて出力させることにより、オアゲート123の出力に図17Eに示す正極性のパルスPEを得る。
電流スイッチ111Aと111BがパルスPDとPEによってオン、オフ制御されることにより、発光素子LDには図17Fに示す電流Iが注入され、この電流Iの値に対応した光パルスが出射される。
【0079】
図17Gは図12に示した受信装置によって図17Fに示した電流Iによって駆動された光パルスを受信した場合の電流−電圧変換回路107Aの電圧出力信号を示す。この受信された電圧出力信号の各ゼロクロス点間の時間は送信側の入力パルスPのパルス幅Pwに一致し、電圧比較器107Cの出力端子107Dには、この例では図17Hに示す負極性のパルスPHが出力され、送信側の入力パルスPのパルス幅Pwと同じパルス幅Pwを持つパルスPHを受信することができる。
この受信パルスPHのパルス幅Pwも、図10乃至図13を参照して説明した場合と同様に、平均電流Ib+Icを中心とする正負対称波形(図17F)で伝送されるから、光伝送路上の光の平均値は信号の有無に対応して変動することはない。従って、図10乃至図13で説明したのと同様に、電圧比較器107Cの前段に設けた平滑化回路107Bの平滑出力電圧は信号の受授に応じて変動することはなく一定値に維持される。また、温度変化等によって発光素子LDの注入電流対出力光パワー特性(図21参照)が変化し、伝送される平均電流値が変動し、平滑出力電圧が変動したとしても、この平滑出力電圧を中心に電圧比較器107Cのヒステリシス幅が追従するから、受信パルスPHのパルス幅は発光素子LDの特性の変動に関係なく送信側の入力パルスPのパルス幅Pwに正確に一致する。
【0080】
次に、この発明の第4の実施例について図面を参照して説明する。
まず、この発明の第4の実施例の光強度変調装置を用いた光伝送システムの概略構成について図18を参照して説明する。この光伝送システムは、送信側装置Tに光強度変調装置460を備え、受信側装置RにAC結合受信装置461、識別回路462を備え、送信側装置Tと受信側装置Rとが光ファイバ463により接続された構成を有している。
この光伝送システムでは、伝送されるのは2値信号のデータではなく、2値信号の波形の立上がり又は立下がりのエッジ、即ち、伝送信号の立上がり又は立下がりの振幅値(レベル)が予め定められた振幅値(レベル)を越える時点を指示するタイミング信号である。
図19は、図18の光伝送システムの動作を説明するためのタイミングチャートであり、一例として信号波形の立上がりエッジ(立上がりエッジの振幅値が50%を越える時点のタイミング)が示されている。以下、図19を参照して各回路の動作を具体的に説明する。
【0081】
光強度変調装置460は、2値のディジタル入力信号(a)の立上がりタイミングを境にして極性が互いに反転する極性反転パルス対(b)を発生する。この極性反転パルス対(b)としては、パルスの形状やパルス幅が元の伝送信号波形の最小パルス間隔より十分に短いものを用いれば良い。言い換えれば、この極性反転パルス対(b)のパルス幅によって元の伝送信号波形の最小パルス間隔が制限されることになる。
なお、この極性反転パルス対(b)は、発生される際にある遅延を受けて、図19に点線で示すように遅延したパルス(e)になっても、この遅延が常に一定で既知の値であれば、受信側ではタイミング信号として問題なく使用できる。
極性反転パルス対(b)が発生されると、光強度変調回路460はこの極性反転パルス対(b)に基づいて、従来から使用されている、オフセット光に光強度変調を行なう変調方法を用いて発光素子(図示せず)を駆動し、伝送用パルス信号波形の立上がりエッジの振幅値が予め定められた値を越えるタイミングで互いに極性の反転した光パルス対を光強度信号(c)として出力する。この光強度信号(c)は光ファイバ463を介して受信側装置Rに伝送される。
【0082】
AC結合受信回路461は、受信した光強度信号(c)を従来から使用されているAC結合の方法により検出する回路であり、図19の最下段に示す受信信号(d)のような信号が検出される。ここで、受信される光強度信号(c)は立上がりエッジを境にして極性が互いに反転する極性反転パルス対(b)に基づいて変調された光パルス信号であるので、常に両極性のパルスが存在し、従って、検出される受信信号(d)は片方の極性に片寄ったパルスを多く含むというようなことはない。
信号再生処理手段を構成する識別回路462は、AC結合受信回路461にて検出された受信信号(d)から立上がりエッジ(予め定められた振幅値を越えるタイミング)を識別する。この立上がりタイミングの識別では、タイミング識別の基準となる識別レベルL1(図19参照)と、予めノイズと信号が分離できる程度の、十分に低いレベルに設定された、識別動作開始のタイミングを与える識別開始レベルL2(図19参照)とに基づいて、次のような識別動作が行われる。
【0083】
受信信号(d)の立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点で瞬間的に識別回路462を作動し、一定の遅延時間内に識別レベルL1を横切った時点を識別してタイミングパルスを発生する。つまり、立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点からパルス幅に相当する程度の時間だけ識別回路462の作動状態を保ち、受信信号(d)が識別レベルL1を横切った時点を識別タイミングと決定し、タイミングパルスを発生する。個々のタイミングパルスに基づいて信号再生処理が行なわれる。この識別動作によれば、パルスが存在しないときには識別回路462は作動しないから、ノイズによる低レベルの揺らぎを誤ってパルスと識別してしまうことはない。
信号再生処理においては、識別回路462から発生されたタイミングパルス(例えば、立上がりタイミング)を、例えば非同期RS(セット−リセット)フリップフロップ回路のセット信号として用いれば、立上がりエッジが再現できる。
【0084】
なお、図18に示した構成では、光強度変調装置460は伝送信号の立上がり及び立下がりの双方のタイミングに基づいて、それぞれ極性反転パルス対を生成するようになっている(これら極性反転パルス対はそれらの極性が反転したものとなる)が、高速に光伝送を行う場合には、以下に記載するように、伝送信号の立上がりエッジ及び立下がりエッジを別々に伝送するような2系統の伝送系統を設けることが望ましい。
即ち、伝送信号の立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する検出回路(論理回路などで構成される)を個々に設け、これら検出回路毎に光強度変調装置を設げて、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを別々に伝送する。この場合、受信側も立上がりタイミング受信系統と立下がりタイミング受信系統の2系統の回路構成となり、個々の伝送系統で立上がり及び立下がりエッジに関するタイミングパルスが生成されて信号再生処理が行われる。
信号再生処理においては、各識別回路にて発生されたタイミングパルスをそれぞれ非同期RSフリップフロップ回路のセット及びリセット信号として用いれば、立上がりエッジ及び立下がりエッジが再現できる。これにより元の2値の伝送信号波形を再現することができる。
【0085】
【発明の効果】
以上の説明で明白なように、この本発明によれば、従来のように識別レベルが2値信号のデータ値の一方の片寄ってタイミングの誤りが生じるといったような欠点はなく、また、長時間固定されたDC的なデータをも正確に識別することができるので、タイミング精度が高く、しかも、周期が不定で直流成分が存在するような信号についても高い精度で光伝送することができる。
従って、半導体デバイス試験装置の試験装置本体とテストヘッドとの間において伝送されるような、多数の周期が混在し、2値データが一方の値(0又は1)に著しく片寄った信号についても正確に、高い精度で光伝送することができるという顕著な利点がある。
その上、データの極性が一定の状態(信号のない状態)で放置された場合に、その間のノイズによる低レベルの揺らぎを誤ってデータとして検出してしまうことはないので、信頼性の高い光伝送システム及び方法を提供することができるという利点がある。
【0086】
また、以上のような効果を奏する光伝送システムや方法が適用される半導体デバイス試験装置においては、伝送速度や周波数特性が一段と向上し、信頼性が高くなり、かつ軽量であるという利点が得られる。
さらに、この発明によれば、光伝送路を伝送する光パルスの波形をバイアス値から正極性と負極性の向きに等量ずつ振れ、平均するとパイアス値に等しくなる正負対称波形で伝送する伝送方法が提供されるから、信号の伝送密度が変わっても伝送路上の直流分が変動することはない。よって、伝送される信号に含まれる直流分が変動することに起因するジッタは発生しない。
また、伝送するパルス波形に直流分を付加し、受信側ではこの直流分によって平滑化回路107Bで基準電圧を発生させたから、仮に発光素子LDの注入電流対発光光バワー特性が変動したことにより、発光素子LDが出力する平均発光量が変動し、平滑化回路107Bが発生する基準電圧が変動したとしても、電圧比較器107Cは基準電圧を中心にヒステリシス幅を追従させて応動するから、ヒステリシス幅が一定値を維持すれば受信側で検出されるパルスの検出点は不動であり、ジッタの発生は抑えられる。
【0087】
その上、パルスの受信の検出点を正負対称波形のゼロクロス点に特定した場合には、受信信号中で最も高速でバイアス点を横切るから、このゼロクロス点で受信パルスを検出する構成とすることにより、最も正確な受信点の検出を行うことができるという利点が得られる。
さらにまた、この発明によれば、極性が互いに反転するパルス対を生成する際に、従来技術のように、極性反転部分において両パルス波形のエッジが不連続になることはないので、高いタイミング精度で信号の光伝送を行なうことが可能となる。
従って、上述のような効果を奏する光強度変調装置を使用した光伝送システムや半導体デバイス試験装置は、信号の伝送速度を高速にすることができ、また、周波数特性が向上し、かつ軽量で、信頼性が高くなる等の利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例の光信号伝送システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す回路の動作説明図である。
【図3】図1に示した光信号伝送システムの具体的な回路構成の一例を示すブロック図である。
【図4】この発明の第1の実施例の光信号伝送システムを適用した半導体デバイス試験装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】(a)〜(d)は、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを示す極性が互いに反転するパルス対の数例を示す波形図である。
【図6】この発明の第2の実施例の光信号伝送システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示した光信号伝送システムの回路動作を説明するための波形図である。
【図8】図6に示した光信号伝送システムの具体的な回路構成の一例を示すブロック図である。
【図9】この発明の第2の実施例の光信号伝送システムを適用した半導体デバイス試験装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の第3の実施例の光パルス送信装置の一具体例を示す回路図である。
【図11】図10の光パルス送信装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】この発明の第3の実施例の光パルス検出回路の一具体例を示す回路図である。
【図13】図12の光パルス検出回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図14】この発明の第3の実施例の光パルス送信装置の他の具体例を示す回路図である。
【図15】図14の光パルス送信装置の動作を説明するための波形図である。
【図16】この発明の第3の実施例の光パルス送信装置のさらに他の具体例を示す回路図である。
【図17】図16の光パルス送信装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図18】光伝送システムの一例を示すブロック図である。
【図19】図18の光伝送システムの動作を説明するための波形図である。
【図20】従来の光パルス伝送システムの一例の概略構成を示すブロック図である。
【図21】図20に示した発光素子の注入電流対出力光パワー特性の一例を説明するための特性曲線図である。
【図22】図20に示す従来の光パルス伝送システムで伝送されたパルスの波形を説明するための波形図である。
【図23】従来の光伝送システムに使用されている光強度変調装置の一例を示す回路図である。
【図24】固定識別レベルで2値信号を識別した場合のデータ及びタイミングの誤りを説明するためのタイミングチャートである。
【図25】発光素子の発光遅延時間と光強度の関係を示す特性図である。
【図26】オフセット光からの光強度変調を説明するための波形図である。
【図27】AC結合方式による2値信号の識別動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図28】2値の電気信号の立上り及び立下がりエッジに応じた極性反転パルス対でこの信号を光伝送する方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図29】従来の光伝送システムに使用されている光強度変調装置の他の例を示すブロック図である。
【図30】図29に示す光強度変調装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明の属する技術分野】
この発明は、電気信号パルスを光パルスに変換して高速で伝送することができる光パルス伝送システム、これ を利用する装置及び光パルス伝送方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体集積回路(IC)を始めとする各種の半導体デバイスを試験するための半導体デバイス試験装置(一般にICテスタと呼ばれる)には、半導体デバイスを試験するために搬送し、試験結果に基づいて試験済みの半導体デバイスを類別する半導体デバイス搬送処理装置(一般にハンドラと呼ばれる)を接続したものが多い。半導体デバイス搬送処理装置(以下、ハンドラと称す)を接続した形式の半導体デバイス試験装置は、被試験半導体デバイス(一般にDUTと呼ばれる)に所定のパターンの試験信号を印加するためのテストヘッドが半導体デバイス試験装置の本体から分離されて、ハンドラのテスト部に配置されている。このテストヘッドと試験装置本体間はケーブルのような電気信号伝送路によって接続されており、この電気信号伝送路を通じて試験装置本体側からテストヘッド側へ所定のパターンの試験信号を供給し、このテストヘッドに装着されたソケットを通じて被試験半導体デバイスに試験信号を印加している。また、被試験半導体デバイスからの応答信号はテストヘッド側から上記電気信号伝送路を通じて試験装置本体側へ伝送され、半導体デバイスの電気的特性が測定される。
近年、半導体集積回路(以下、ICと称す)は高速化され、また、パッケージから導出される端子(ピン)数も増加しているため、上述の半導体デバイス試験装置のように、ケーブルのような電気信号伝送路を通じて電気信号を伝送したのでは次のような欠点が生じる。
【0003】
(1)ケーブルのような電線では伝送する電気信号の周波数に限界があり、また、信号周波数が高くなると信号波形が劣化する恐れがある。このため、信号の伝送速度が制限され、高速のICを試験することが困難となる。
(2)ICの端子数の増加に伴ってケーブルの本数を増加させると、現在のケーブルの太さでは試験装置本体とテストヘッド間のケーブル束が太く、かつ重くなるため、非常に扱い難くなる。
上記問題点を解決するために、最近では、信号の伝送速度や周波数特性が上記したような電気的伝送方式よりも優れており、しかも伝送媒体として細くて軽量な光ファイバのような光伝送路を使用することができる光伝送方式が採用され始めている。次に、一般的な光伝送システムについて説明する。
【0004】
光を変調して2値のディジタル信号(光パルス)を生成する場合、変調技術の簡単さから殆どの場合に情報信号(変調信号)によって光の強さを変える光強度変調方式が採用されている。通常は送信側に発光素子として高速の光の強度変調が可能なレーザダイオードを備え、受信側に応答速度の速いホトダイオードを備え、かつ伝送媒体として光ファイバを使用した構成を有しており、送信側のレーザダイオードから出力される光パルスを光ファイバを通じて受信側へ伝送し、ホトダイオードによって伝送されて来た光パルスを電気信号に変換している。
図20は従来の光伝送路を用いた光伝送システムの一例を示す概略の回路構成図である。この光伝送システムは、光パルス送信装置101と、光パルス受信装置102と、これら送信装置101と受信装置102間を結合する光ファイバのような光伝送路109とによって構成されている。
【0005】
光パルス送信装置101は、受信装置側へ伝送すべき電気パルス信号を出力する主回路103と、この主回路103の出力端子103Aに入力端子が接続された駆動回路104と、この駆動回路104の出力端子と共通導体間に接続された半導体レーザのような発光素子105とを具備し、発光素子105は駆動回路104から与えられる電気パルス信号によって発光して光パルスを発生し、この光パルスは光コネクタ109Aを介して光伝送路109に送られ、光パルス受信装置102へ伝送される。
光パルス受信装置102は、ホトダイオードのような受光素子106と、この受光素子106に入力端子が接続された検出回路107と、この検出回路107の出力端子に入力端子が接続された主回路108とを具備し、光伝送路109を通じて伝送された光パルスは光コネクタ109Bを介して受光素子106に入力される。受光素子106は受光した光パルスを電気パルス信号に変換して検出回路107へ送り、検出回路(一般に電流−電圧変換増幅器によって構成される)107は供給された電気パルス信号を取り出して主回路108へ与える。主回路108は入力された電気パルス信号に基づいて各種の処理を実行する。
【0006】
一般に、発光素子105としてレーザダイオードが使用されているが、レーザダイオードは、良く知られているように、温度変化によって発光量が変動する欠点がある。図21はレーザダイオードの注入電流対出力光パワー特性を示す。図21に示す曲線Aは温度T1(℃)の場合の注入電流対出力光パワーの特性、曲線Bは温度T2(℃)(T1<T2)の場合の注入電流対出力光パワーの特性を示す。
図21から明らかなように、発光状態に至る電流値ION1とION2は周囲の温度によって変動する。この結果、駆動回路104において同一の尖頭値を持つ駆動電流IDによって発光素子105を駆動したとすると、発光素子105は図21に示すように温度がT1(℃)の場合にはOP1の光パルスを出力し、温度T2(℃)の場合には光パルスOP2を出力する。
図21から容易に理解できるように、従来は周囲の温度が変化すると、発光素子105から出力される光パルスの光パワーが変化する。従って、光パルスOP1と光パルスOP2を光パルス受信装置102で受信した場合、図22に示すように、受信信号の尖頭値の大小に応じて光パルスの受信を検出する閾値電圧ECを横切る光パルス波形のタイミングにずれΔt1,Δt2が生じる。即ち、温度変動がジッタとなって受信装置102に伝送される不都合が生じる。
【0007】
ジッタの発生が不都合となる実用例として、上述の光伝送方式を例えば半導体デバイス試験装置に適用した場合を挙げることができる。上記したように、半導体デバイス試験装置は、ソケットを装着したテストヘッドが試験装置本体と別体に構成されている。テストヘッドは被試験半導体デバイスに所定のパターンの試験信号等を印加するドライバと、被試験半導体デバイスの応答出力信号を受信して論理レベル判定を行なうコンパレータとを含み、かつ半導体デバイスとのインタフース動作を行なう。また、これら試験装置本体とテストヘッドとの間には多数の信号伝送路が設けられている。
これら信号伝送路として光ファイバのような光伝送路を使用し、高速信号(光パルス)を伝送できるように構成した場合には、光伝送路109は多チャネルが必要となる。このように多チャネルの光伝送路によって多チャネルの光信号を受授するシステムを構築した場合に、温度変動によって伝送されるパルスにジッタが生じ、さらに各チャネルごとにジッタ量のバラツキが生じた場合には、各チャネルの伝送路を通じて伝送される光信号の相互間にタイミング誤差が発生し、このタイミング誤差の発生に起因して半導体デバイス(IC)の試験を正常に実施できないという不都合が生じる。
【0008】
上記のような光伝送システムに使用される光強度変調装置の一例を図23に示す。この光強度変調装置は、ディジタル入力信号(電気パルス信号)の信号電圧と閾値電圧とを入力としてこれら電圧を比較する入力側比較器200と、この入力側比較器200の比較結果に応じてオン/オフする電流スイッチ回路201と、この電流スイッチ回路201のオン/オフによって生成される電流波形に基づいて駆動される半導体レーザ202とを具備する。電流スイッチ回路201は、エミッタが共通に接続された一対のトランジスタTR1、TR2と、ベースが共通に接続された一対のトランジスタ203、205とを含む。一対のトランジスタTR1、TR2のコレクタは半導体レーザ202の対応する端子にそれぞれ接続され、共通接続されたエミッタはトランジスタ203のコレクタに接続されている。
上記構成の光強度変調装置においては、電流スイッチ回路201を構成するエミッタ共通接続の一対のトランジスタTR1、TR2のうちの図において右側のトランジスタTR2がオンのときに、予めトランジスタ203によって制御された電流が半導体レーザ202に注入され、この注入電流の大きさに対応したレベルの光出力が半導体レーザ202から得られる。なお、半導体レーザ202を駆動するために必要な直流バイアス電流は、コレクタが半導体レーザ202の電流注入側端子に接続されているトランジスタ204によって制御される。
【0009】
上記光強度変調装置を使用して2値の光信号、即ち、光パルスを発生させることにより、光パルスを高速で伝送する光伝送システムを実現することができる。しかしながら、例えば前述した半導体デバイス試験装置においては、試験装置本体とテストヘッド間の光信号伝送路に、多数の周期のパルスが混在し、その上、光変調する際に非常に高いタイミング精度が要求される。従って、上述の光伝送システムを半導体デバイス試験装置に適用する場合には、次のような問題が生じる恐れがある。
(1)光強度は一般的にレベルが不安定である(低周波成分の揺らぎが大きい)ため、図24の下側に示すように、受信側において固定の識別レベルで2値の光信号を識別した場合にはデータ(0、1)やタイミングに図示するような誤りが生じてしまう。なお、図27の上側の波形は送信側の伝送すべき電気パルス信号を示す。
(2)半導体レーザのような発光素子の立上がり時間(発光遅延時間)は素子の温度によって変化し、かつ一般的には素子によって異なるため、温度変化によって、或いは各素子間において発光遅延時間に図25に示すような差が発生する。この発光遅延時間の差は上記のタイミング誤差の要因となる。
【0010】
上記(1)の問題を解決する方法として、発光素子の温度を一定に保つように温度制御を行なうことや、光強度をモニタして発光素子の出力を一定レベルに保持する(光強度を安定化する)ように制御することが提案されているが、いずれの解決方法においても伝送モジュールが高価になるので、半導体デバイス試験装置のように多数の伝送ラインを必要とする装置では実現できても価格の点で問題がある。さらに、光強度の安定化は、高速で光パルスを伝送する場合には実現が困難である。
また、上記(2)の問題を解決する方法として、2値の光信号を発光素子の発光と消光によって表わすのではなく、図26に示すように、発光素子をあるレベルの光(オフセット光)を発光した状態に常に駆動しておき、このオフセット光からの光強度の変化によって2値の光信号を表わす方法が提案されている。この場合には発光素子が常時発光しているので温度変化による影響や各素子間の発光遅延時間の差が生じ難い。しかしながら、2値データ「1」と「0」間の光強度の差が小さくなるから、S/Nが低下する。その上、2値信号の両データ「1」と「0」が光強度の変動の影響を受けるので、上記(1)の問題の解決が益々重要となる。
【0011】
なお、例えばATM(非同期転送モード)交換機のように多数の伝送ラインを必要とする技術分野において用いられている多チャネル伝送モジュールにおいては、図27の下側に示すように、受信側において光信号の適当な交流成分のみを取り出し(AC結合)、識別レベルを0Vにおいてこの2値信号を識別する方法を採用している。なお、図27の上側の波形は送信側の伝送すべき電気パルス信号を示す。
この方法によれば、確かに、比較的簡単にタイミングやデータの誤りを少なくすることができる。しかし、2値データ「1」と「0」の割合が一方のデータ値に片寄ると、識別レベルが片寄ったデータ値の側にずれてしまい、結果的にタイミングの誤りが生じることになる。また、長時間固定されたDC的なデータを識別することができないことは勿論であり、その上、いずれかのデータ値が長時間続いているという状態でさえ検出することができないという欠点がある。
【0012】
換言すれば、上記識別レベルを0VにおいたAC結合方法ではデータ値が一定の状態(例えば、信号のない状態)に放置された場合に、その間の雑音による低レベルの揺らぎを誤って2値信号の一方のデータ値として検出してしまう。従って、これを防止するために常に2値信号のデータ値を変化させなくてはならないという欠点がある。よって、例えば半導体デバイス試験装置において試験装置本体とテストヘッド間に信号を伝送する場合のように、多数の周期の信号が混在し、2値信号のデータ値が一方の値(0又は1)に著しく片寄るような事例には、即ち、直流成分が存在し、かつタイミング精度を重視するような事例には、利用できない。
【0013】
さらに、図28に示すように、2値の電気信号の立上がり及び立下がりエッジをそれぞれ検出し、各エッジの検出に対応するパルス信号に続けて極性の反転したパルス信号を生成し、即ち、立上がりエッジの検出時には正極性のパルス信号に続けて極性の反転した負パルス信号を生成して互いに極性の反転したパルス対とし、立下がりエッジの検出時には負極性のパルス信号に続けて極性の反転した正パルス信号を生成して互いに極性の反転したパルス対とし、これら極性反転パルス対に基づいて半導体レーザを駆動して同様に極性が互いに反転する光パルス対を発生させ、受信側へ伝送するという方法も提案されている。
この方法によれば、伝送される光パルス対は伝送すべき2値の電気信号の立上がり及び立下がりの個々のタイミングを指示する光信号であるから、受信側ではこのタイミングを指示する光信号を受光して立上がり及び立下がりのタイミングを識別し、元の2値の電気信号を再現することができる。従って、例えば半導体デバイス試験装置において試験装置本体とテストヘッド間に信号を伝送する場合のように、多数の周期の信号が混在し、2値信号のデータ値が一方の値(0又は1)に著しく片寄っているような事例にも、上首尾に適用することができる。
つまり、受信側では立上がり及び立下がりに関するタイミング信号として極性が互いに反転する光パルス対を受光するだけであるので、識別レベルがデータ値の片寄った側にずれてタイミングの誤りが生じたり、データ値の誤りが発生することはない。また、長時間固定されたDC的なデータ値についても正確に識別することができる。
【0014】
このように、2値の電気信号の立上がり及び立下がりエッジを検出し、各エッジの検出に対応して極性反転パルス対を生成し、半導体レーザを駆動する従来の駆動回路の一例を図29に示す。
この駆動回路は、一方の入力端子に伝送すべき2値の電気信号が入力されるオア(OR)回路300と、上記伝送すべき2値の電気信号を極性反転する第1の反転回路(インバータ)301と、この反転回路301からの出力信号を所定時間だけ遅延させて上記OR回路300の他方の入力端子並びにアンド(AND)回路303の一方の入力端子にそれぞれ供給する第1の遅延回路302と、この遅延回路302からの出力信号を極性反転する第2の反転回路(インバータ)304と、この反転回路304の出力信号を所定時間だけ遅延させて上記AND回路303の他方の入力端子に供給する第2の遅延回路305とを具備する。なお、OR回路300とAND回路303の出力信号はそれぞれ極性が反転されて半導体レーザ312に供給される。
【0015】
上記構成の駆動回路によれば、図30に示すように、入力された2値の電気信号の立上がり及び立下がりエッジ(a)〜(c)から、正論理のパルス波形(d)と負論理のパルス波形(e)が生成され、これらパルス波形が加算されて極性が互いに反転する極性反転パルス対(f)が生成されることが容易に理解できる。半導体レーザ312はこの極性反転パルス対(f)に基づいて駆動され、図19の下段に示したような極性が互いに反転する光パルス対を発生することになる。
しかし、2値の入力電気信号の立上がり及び立下がりエッジ(a)〜(c)から生成された正論理のパルス波形(d)及び負論理のパルス波形(e)を加算して極性反転パルス対(f)を生成する場合、この極性反転パルス対の極性反転部は正論理のパルス波形(d)及び負論理のパルス波形(e)の2つのパルス波形の継ぎ目となる。このため、上記従来の駆動回路では、高い精度が要求される極性反転パルス対の極性反転部が不連続なエッジとなる場合があり、タイミング精度が劣化する恐れがあった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の第1の目的は、上記従来技術の問題点を克服した光伝送システム及び光伝送方法を提供することである。
この発明の第2の目的は、タイミング精度が高く、しかも、周期が不定で直流成分が存在するような信号をも高い精度で高速に光伝送することができる光伝送システム及び光伝送方法を提供することである。
この発明の第3の目的は、上記光伝送システム又は光伝送方法を適用した半導体デバイス試験装置を提供することである。
この発明の第4の目的は、温度変動があっても受信側に伝送される信号にジッタが発生することのない光パルス信号伝送方法を提供することである。
この発明の第5の目的は、上記光パルス信号伝送方法を適用した光パルス検出方法を提供することである。
この発明の第6の目的は、極性が互いに反転する極性反転パルス対の極性反転部が不連続なエッジとならないようにした伝送波形変換方法を提供することである。
【0017】
この発明の第1の面によれば、送信側に、伝送すべき信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1及び第2のエッジ検出手段と、前記第1のエッジ検出手段による立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生する第1の伝送用パルス発生手段と、前記第2のエッジ検出手段による立下がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の伝送用パルス発生手段と、前記第1の伝送用パルス信号に基づいて第1の光強度変調信号を生成する第1の光強度変調手段と、前記第2の伝送用パルス信号に基づいて第2の光強度変調信号を生成する第2の光強度変調手段とを具備し、受信側に、前記第1の光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した第1の受信信号を得る第1のAC結合受信手段と、前記第2の光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した第2の受信信号を得る第2のAC結合受信手段と、前記第1の受信信号から立上がりタイミングを識別する第1の識別手段と、前記第2の受信信号から立下がりタイミングを識別する第2の識別手段と、前記識別された立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号の波形に関する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する信号再生手段とを具備する光伝送システムが提供される。
【0018】
前記第1の識別手段は、前記第1の受信信号の極性が反転するタイミングを立上がりタイミングとして識別し、前記第2の識別手段は、前記第2の受信信号の極性が反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別する。
また、前記第1の識別手段は、立上がりタイミング識別の基準となる立上がり識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベルとに基づいて、前記第1の受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ動作状態とされ、この動作状態中に前記第1の受信信号が前記立上がり識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、前記第2の識別手段は、立下がりタイミング識別の基準となる立下がり識別基準レベルと、立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、前記第2の受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ動作状態とされ、この動作状態中に前記第2の受信信号が前記立下がり識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する。
【0019】
前記信号再生手段は、前記第1の識別手段にて識別された立上がりタイミングをセット信号とし、前記第2の識別手段にて識別された立下がりタイミングをリセット信号とする非同期SRフリップフロップ回路により構成されている。
この発明の第2の面によれば、送信側に、伝送すべき信号波形から立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1及び第2のエッジ検出手段と、前記第1のエッジ検出手段による立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生する第1の伝送用パルス発生手段と、前記第2のエッジ検出手段による立下がりエッジ検出タイミングを境として、前記第1の伝送用パルス信号とは互いに極性が反転した関係にある、極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の伝送用パルス発生手段と、前記第1及び第2の伝送用パルス信号に基づいて光強度変調信号を生成する光強度変調手段とを具備し、受信側に、前記光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した受信信号を得るAC結合受信手段と、前記受信信号から、前記極性反転の関係に基づいて、前記第1及び第2の伝送用パルス信号に関係する信号を区別するとともに、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを識別する識別手段と、前記立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて、前記伝送すべき信号の波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する信号再生手段とを具備する光伝送システムが提供される。
【0020】
前記識別手段は、前記受信信号のうち前記第1の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が正極性から負極性へ反転するタイミングを立上がりタイミングとして識別する第1の識別回路と、前記受信信号のうち前記第2の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が負極性から正極性へ反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別する第2の識別回路とからなる。
また、タイミング識別の基準となる識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベル及び立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、立上がりタイミングを識別する際は、前記受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点で前記第1の識別手段が一定の時間だけ動作状態とされると同時に、前記第2の識別手段が動作不能状態とされ、第1の識別手段が動作状態中に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、立下がりタイミングを識別する際は、前記受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点で前記第2の識別手段が一定の時間だけ動作状態とされると同時に、前記第1の識別手段が動作不能状態とされ、第2の識別手段が動作状態中に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する。
【0021】
前記信号再生手段は、前記識別手段にて識別された立上がりタイミング、立下がりタイミングをそれぞれセット信号、リセット信号とする非同期SRフリップフロップ回路により構成されている。
この発明の第3の面によれば、請求の範囲第1項乃至第6項のいずれか1項に記載の光伝送システムを備え、2値信号を送出する試験装置本体と前記2値信号を受信するテストヘッドとが光ファイバにより接続され、前記試験装置本体と前記テストヘッドとの間において前記光伝送システムを用いた光伝送が行われる半導体デバイス試験装置が提供される。
この発明の第4の面によれば、伝送すべき信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジを検出し、これらエッジの検出タイミングを境にして立上がりタイミング及び立下がりタイミングを示すタイミング信号を光伝送ライン上に送出する送信工程と、前記光伝送ライン上に送出されたタイミング信号を受信し、この受信信号の立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する受信工程とを有する光伝送方法が提供される。
【0022】
この発明の第5の面によれば、伝送すべき信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1の工程と、前記立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生するとともに、前記立下がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の工程と、前記第1の伝送用パルス信号に基づいて第1の光強度変調信号を生成すると共に、前記第2の伝送用パルス信号に基づいて第2の光強度変調信号を生成し、これら変調信号を別々に光伝送ライン上に送出する第3の工程と、前記第1及び第2の光強度変調信号をそれぞれ受信して、それらの交流成分のみを取り出した第1及び第2の受信信号を得る第4の工程と、前記第1の受信信号から立上がりタイミングを識別すると共に、前記第2の受信信号から立下がりタイミングを識別し、この識別した立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する第5の工程と、を有する光伝送方法が提供される。
【0023】
前記第5の工程における立上がりタイミング及び立下がりタイミングの識別を、前記第1の受信信号の極性が反転するタイミングを立上がりタイミングとし、前記第2の受信信号の極性が反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別することにより行う。
また、立上がりタイミングを識別する場合には、立上がりタイミング識別の基準となる立上がり識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベルとに基づいて、前記第1の受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点から一定時間内に前記第1の受信信号が前記立上がり識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、立下がりタイミングを識別する場合には、立下がりタイミング識別の基準となる立下がり識別基準レベルと、立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、前記第2の受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点から一定時間内に前記第2の受信信号が前記立下がり識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する。
【0024】
この発明の第6の面によれば、伝送すべき信号波形から立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1の工程と、前記立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生すると共に、前記立下がりエッジ検出タイミングを境として、前記第1の伝送用パルス信号とは互いに極性が反転した関係にある、極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の工程と、前記第1及び第2の伝送用パルス信号に基づいて光強度変調信号を生成し、この変調信号を光伝送ライン上に送出する第3の工程と、前記光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した受信信号を得る第4の工程と、前記受信信号から、前記極性反転の関係に基づいて前記第1及び第2の伝送用パルス信号に関係する信号を区別すると共に、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを識別し、この識別した立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する第5の工程とを有する光伝送方法が提供される。
【0025】
前記第5の工程における立上がりタイミング及び立下がりタイミングの識別を、前記受信信号のうち前記第1の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が正極性から負極性へ反転するタイミングを立上がりタイミングとし、前記受信信号のうち前記第2の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が負極性から正極性へ反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別する。
また、タイミング識別の基準となる識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベル及び立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、立上がりタイミングを識別する場合には、前記受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ立上がりタイミングの識別が行われるようにすると同時に、立下がりタイミングの識別が行われないようにし、この時間内に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、立下がりタイミングを識別する場合には、前記受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ立下がりタイミングの識別が行なわれるようにすると同時に、立上がりタイミングの識別が行なわれないようにし、この時間内に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する。
【0026】
この発明の第7の面によれば、送信側に設けた発光素子に電気パルスを与え、この電気パルスにより発光素子から光パルスを発光させ、この光パルスを光学送路を通じて受信側に伝送し、受信側に設けた受光素子によって電気パルスに変換し、この電気パルスを受信信号として取り込む光パルス伝送方法において、上記送信側において、上記発光素子に与える電気パルスを直流バイアス電流を中心に正と負に対称に変化する正負対称波形信号とし、光伝送路上の光の平均値を一定値に維持させることを特徴とする光パルス伝送方法が提供される。
上記第7の面においては、受信側で受信した正負対称波形信号の検出点を上記バイアス電流値を横切るゼロクロス点に規定する。
この発明の第8の面によれば、送信側に設けた発光素子に電気パルスを与え、この電気パルスにより発光素子から光パルスを発光させ、この光パルスを光学伝送路を通じて受信側に伝送し、受信側に設けた受光素子によって電気パルスに変換し、この電気パルスを受信信号として取り込む光パルス伝送方法において、上記送信側において、上記発光素子に与える電気パルスを前縁側及び後縁側の双方において、直流バイアス電流値を中心に正と負に対称に変化する正負対称波形信号とし、パルス幅が長いパルスを伝送しても上記光伝送路上の光の平均値を一定値に維持させることを特徴とする光パルス伝送方法が提供される。
【0027】
上記第8の面においては、受信側の受信検出点を上記前縁側及び後縁側で発生する正負対称波形信号の何れか一方のゼロクロス点によって規定する。
また、受信側に上記直流バイアス電流値に対応する直流電圧を発生する平滑化回路を設け、この平滑化回路で発生する直流電圧をヒステリシス特性を持つ電圧比較器の基準電圧として供給し、この基準電圧を中心に上記ヒステリシス特性のヒステリシス幅を越える電位変化を受信信号として検出し、上記電圧比較器から出力させる。
【0028】
この発明では無信号時でも一定の、しかも発光素子の発光開始点を与える閾値より大きい値を持つバイアス電流を発光素子に与え、発光素子を一定の発光量で発光させる。これと共に送り出そうとするパルスの極性とは逆極性のパルスを付加して、バイアス電流を中心に正と負に対称に振れる正負対称波形信号を生成させ、この正負対称波形信号によって発光素子を駆動する光パルス伝送方法を提案するものである。
さらに、この発明では受信側において、送信側から送られてくるバイアス電流に対応する電圧を信号の検出閾値として利用する光パルス検出方法をも提案する。
従って、この発明による光パルス伝送方法及び光パルス検出方法を採用することにより、送信側で温度変動により発光素子の注入電流対出力光パワー特性が変動しても、発光素子に流れるバイアス電流が変動し、このバイアス電流の変動が光の直流分として受信側に伝送される。
【0029】
受信側では送られて来た光の直流分をバイアス電圧として再生し、さらにこのバイアス電圧を基準電圧としてヒステリシス特性を持つ電圧比較器に与え、電圧比較器により正負に振れる正負対称波形信号の立上り及び立下りの変化点を検出する構成としたから、バイアス電圧が変動しても正負対称波形信号の検出点は時間方向に移動することはない。
その結果、この発明によれば、送信側で発光素子に温度変化が与えられ、発光素子の注入電流対出力光パワー特性が変動しても受信側で検出されるパルスの検出点は変動しない。つまり、ジッタの発生を阻止することができる。よって多チャネルを使ってデータを伝送する装置にこの発明を適用することにより、各チャネル間で信号にタイミング誤差が発生することがなく、正しいタイミングでデータを受授できる利点が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1はこの発明による光信号伝送システムの第1の実施例の構成を概略的に示すブロック図である。この光信号伝送システムは、送信側装置Tと、受信側装置Rと、これら両装置T及びR間を接続する光ファイバ6とによって構成されている。
送信側装置Tは、立上がりエッジ検出回路1と、伝送用パルス発生回路2と、光強度変調回路3とを備え、受信側装置Rは、AC結合受信回路4と、識別回路5とを備えている。
この光信号伝送システムにおいて伝送される信号は2値のデータではなくて2値信号の波形の立上がりのエッジ、即ち、伝送信号の立上がりの振幅値(レベル)が予め定められた振幅値(レベル)を越える時点を指示するタイミング信号である。なお、図1に示した実施例では、説明を簡単化するために、立上がりエッジのみが伝送される構成を示したが、実際には、図に点線で示すように、2値信号の波形の立下がりのエッジを伝送する同様の回路構成を含んでおり、波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ伝送する2系統の回路構成になっている。
【0031】
図2は図1に示す種々の回路の動作を説明するためのタイミングチャートであり、一例として波形の立上がりのエッジ(立上がりエッジの振幅値が50%を越える時点のタイミング)を検出し、伝送する場合の波形を示す。以下、図2を参照して各回路の動作を具体的に説明する。
立上がりエッジ検出回路1は、通常、論理回路等によって構成され、伝送波形(伝送しようとする信号の波形を言う)の立上がりのエッジ(タイミング)を検出して立上がり信号(a)を生成するものである。
伝送用パルス発生回路2は、立上がりエッジ検出回路1から出力される立上がり信号(a)の立上がりのタイミングに基づいて、対応する正極性のパルス信号に続けて極性の反転した負極性のパルス信号を生成して、立上がりのタイミングを境にして互いに極性の反転したパルス対を発生し、これを伝送用パルス信号(b)として出力する。
【0032】
この伝送用パルス信号(b)としては、その形状やパルス幅が元の伝送信号の波形の最小のパルス間隔よりも十分に短いものを用いる必要がある。言い換えれば、この伝送用パルス信号(b)のパルス幅によって元の伝送信号の波形の最小パルス間隔が制限されることになる。なお、この伝送用パルス信号(b)は、発生される際にある遅延を受けて、図に点線で示すように遅延したパルス(e)になっても、この遅延が常に一定で既知の値であれば、受信側ではタイミング信号として問題なく使用できる。
光強度変調回路3は伝送用パルス発生回路2から発生された伝送用パルス信号(b)に基づいて駆動され、従来から使用されている、オフセット光に光強度変調を行なう変調方法を用いて発光素子(図示せず)を駆動し、伝送用パルス信号波形の立上がりエッジの振幅値が予め定められた値を越えるタイミングで互いに極性の反転した光パルス対を光強度信号(c)として出力する。この光強度信号(c)は光ファイバ6を介して受信側装置Rに伝送される。
【0033】
AC結合受信回路4は、受信した光強度信号(c)を従来から使用されているAC結合の方法により検出する回路であり、図2の最下段に示す受信信号(d)のような信号が検出される。ここで、受信される光強度信号(c)は立上がりエッジを境にして極性が互いに反転する伝送用パルス信号(b)に基づいて変調された光パルス信号であるので、常に両極性のパルスが存在し、従って、検出される受信信号(d)は片方の極性に片寄ったパルスを多く含むというようなことはない。
識別回路5は、AC結合受信回路4にて検出された受信信号(d)から立上がりエッジ(予め定められた振幅値を越えるタイミング)を識別する。この立上がりタイミングの識別では、タイミング識別の基準となる識別レベルL1(図2参照)と、予めノイズと信号が分離できる程度の、十分に低いレベルに設定された、識別動作開始のタイミングを与える識別開始レベルL2(図2参照)とに基づいて、次のような識別動作が行われる。
【0034】
受信信号(d)の立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点Aで瞬間的に識別回路5を作動し、一定の遅延時間内に識別レベルL1を横切った時点Bを識別してタイミングパルスを発生する。つまり、立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点Aからパルス幅に相当する程度の時間だけ識別回路5の作動状態を保ち、受信信号(d)が識別レベルL1を横切った時点Bを識別タイミングと決定し、タイミングパルスを発生する。この識別動作によれば、パルスが存在しないときには識別回路5は作動しないから、ノイズによる低レベルの揺らぎを誤ってパルスと識別してしまうことはない。
なお、受信信号(d)から立下がりエッジを識別する動作も同様にして実行できることは明白であるので、ここではその説明を省略する。
【0035】
上記のように構成された光信号伝送システムでは、立上がり側の識別回路から発生されたタイミングパルス(立上がりタイミング)を、例えば非同期RS(セット−リセット)フリップフロップ回路のセット信号として用いれば、立上がりエッジが再現でき、さらに、立下がり側の識別回路から同様に発生されたタイミングパルス(立下がりタイミング)をリセット信号として用いれば、立下がりエッジが再現できる。よって、これら再現されたエッジより元の2値の伝送信号波形を再現することができる。
以上のように、第1の実施例では、伝送したい信号波形の立上がり・立下がりタイミングをそれぞれ別々に取り扱い、それぞれのタイミングに基づいて各タイミングを境にして極性が互いに反転するパルス対よりなる伝送パルス信号に変換し、この伝送パルス信号に基づいてオフセット光を強度変調して極性反転光パルス対を光強度信号として受信側装置へ伝送し、受信側装置では、伝送された光強度信号をAC結合受信し、パルスが存在する場合にのみ識別回路を動作させることにより立上がり・立下がりの識別タイミングを検出し、得られた立上がり・立下がりのタイミング信号から元の伝送信号波形を電気的に再現するように構成されている。
【0036】
従って、例えば半導体デバイス試験装置の試験装置本体とテストヘッドとの間において伝送される信号のように、多数の周期が混在し、伝送される2値データ値が一方の値(0又は1)に著しく片寄っている信号でも、信号波形の立上がり・立下がりタイミングをそれぞれ別々に伝送することで、高速の、かつ精度の高い光伝送が可能となる。
次に、上述した光信号伝送システムを実現する具体的な回路構成について説明する。ただし、以下に説明する回路構成は、本伝送システムを実現する回路構成の一例であり、本発明の構成を限定するものではない。
【0037】
図3は、図1に示した光信号伝送システムの具体的な回路構成の一例を示すブロック図である。送信側装置Tは、立上がりエッジ検出回路11a、伝送用パルス発生回路12a、バイアス固定LD駆動回路13aからなる第1の送信回路(立上がりエッジ送信回路)と、立下がりエッジ検出回路11b、伝送用パルス発生回路12b、バイアス固定LD駆動回路13bからなる第2の送信回路(立下がりエッジ送信回路)とが設けられ、受信側装置Rには、第1の送信回路から光ファイバを介して送出された光信号を受信するAC結合受信回路14a、このAC結合受信回路14aから出力される受信信号のAC成分から立上がりのタイミングを検出する識別回路15aからなる第1の受信回路(立上がりエッジ受信回路)と、第2の送信回路から光ファイバを介して送出された光信号を受信するAC結合受信回路14b、このAC結合受信回路14bから出力される受信信号のAC成分から立下がりのタイミングを検出する識別回路15bからなる第2の受信回路(立下がりエッジ受信回路)と、識別回路15aの出力をセット信号とし、識別回路15bの出力をリセット信号とする非同期RSフリップフロップ16とが設けられている。
【0038】
立上がり及び立下がりエッジ検出回路11a及び11b、伝送用パルス発生回路12a及び12b、AC結合受信回路14a及び14bは上述の図1に示した対応する回路と同様の回路構成を有し、かつ同様の動作を行なうものであるので、ここではそれらの説明を省略する。
送信側のバイアス固定LD駆動回路13a及び13bは発光素子であるレーザダイオード(図示せず)を駆動する回路であり、伝送用パルス発生回路12a及び12bが発生する、立上がり及び立下がりのタイミングを境にして極性が互いに反転するパルス対を駆動信号としてレーザダイオードを駆動し、光強度変調信号を発生させる。このバイアス固定LD駆動回路13a及び13bを使用して光強度変調信号を生成する際には、予めバイアス電流をレーザダイオードに印加して常にレーザダイオードを発光させておき(オフセット光)、駆動信号に応じた変調をレーザダイオードの駆動電流に加えるといった従来からの手法が用いられる。
【0039】
識別回路15aはタイミング識別用の比較器150a、この比較器150aを動作させるか否かを判別するための比較器151a、遅延調整回路152a、遅延・時定数調整回路153a及び154aから構成されている。同様に、識別回路15bはタイミング識別用の比較器150b、この比較器150bを動作させるか否かを判別するための比較器151b、遅延調整回路152b、遅延・時定数調整回路153b及び154bから構成されている。これら識別回路15a及び15bは共に同じ回路構成を有しているので、以下においては識別回路15aの構成についてのみ説明し、識別回路15bの説明は省略する。
識別回路15aにおいては、AC結合受信回路14aの出力が分岐され、その一方が比較器151aの一方の入力端子に、他方が遅延調整回路152aを介して比較器150aの一方の入力端子にそれぞれ供給される。比較器151aの他方の入力端子には識別開始基準電圧が入力されており、この識別開始基準電圧とAC結合受信回路14aからの入力電圧とを比較することにより、比較器150aを動作させるか否かを決定する。この比較器151aの出力は遅延・時定数調整回路153aを介して比較器150aのイネーブル(Enable)信号入力端子に入力され、比較器150aの動作を制御できるようになっている。
比較器150aの他方の入力端子は接地されており、接地電位とAC結合受信回路14aから遅延調整回路152aを介して供給される入力電圧とを比較することにより、立上がりのタイミングを判別する。この比較器150aの出力は遅延・時定数調整回路154aを介して非同期RSフリップフロップ16のS(セット)端子に入力される。なお、ここでは説明を省略したが、非同期RSフリップフロップ16のR(リセット)端子には、識別回路15bの比較器150bの出力が遅延・時定数調整回路154bを介して入力される。
【0040】
次に、図3に示す回路構成の光信号伝送システムの動作について説明する。立上がり及び立下がりエッジ検出回路11a及び11bに2値のディジタル信号波形(伝送信号波形)が入力されると、立上がりエッジ検出回路11aは入力された伝送信号波形の立上がりエッジを検出し、立下がりエッジ検出回路11bは入力された伝送信号波形の立下がりエッジを検出する。
立上がりエッジ検出回路11aで検出された伝送信号波形の立上がりエッジは伝送用パルス発生回路12aに供給され、この伝送用パルス発生回路12aは、入力された立上がりエッジのタイミングを境にして互いに極性の反転したパルス対を生成する。同様に、伝送用パルス発生回路12bは、入力された立下がりエッジのタイミングを境にして互いに極性の反転したパルス対を生成する。
バイアス固定LD駆動回路13aは、伝送用パルス発生回路12aから供給される極性反転パルス対を駆動信号としてレーザダイオードを駆動する。これによって駆動信号に応じた変調がレーザダイオードの駆動電流に加えられ、レーザダイオードから光強度変調信号が発生される。同様に、バイアス固定LD駆動回路13bは、伝送用パルス発生回路12bから供給される極性反転パルス対を駆動信号としてレーザダイオードを駆動し、レーザダイオードから光強度変調信号を発生させる。
【0041】
バイアス固定LD駆動回路13a及び13bによる対応するレーザダイオードの駆動により発生された光強度変調信号はそれぞれ、光ファイバを介して送信側装置へ伝送され、対応するAC結合受信回路14a及び14bにてそれぞれ受信される。
光強度変調信号を受信すると、各AC結合受信回路14a及び14bは、受信した光強度変調信号の交流成分のみを電気信号に変換する。これによって元の極性反転パルス対が生成され、これが受信信号として出力される。これらAC結合受信回路14a及び14bから出力された受信信号は識別回路15a及び15bに入力される。
識別回路15aに入力された受信信号はまず、比較器151aに入力される。比較器151aは入力された受信信号の電圧と識別開始基準電圧とを比較することにより、パルスが入力されたことを検知し、パルス状の信号を出力する。このパルス状の出力信号は、遅延・時定数調整回路153aで十分なパルス幅の信号に加工され、比較器150aのイネーブル信号入力端子に入力される。イネーブル信号が入力されると、比較器150aは動作を開始し、極性反転パルス対(受信信号)の中心部分、即ち、極性が反転するタイミングを識別し、この識別されたタイミングを示すパルス状の信号(タイミング信号)を出力する。
【0042】
なお、識別回路15aは、比較器150aの一方の入力端子に極性反転パルス対(受信信号)が到達するよりも速く比較器151aが作動するように、遅延調整回路152aと遅延・時定数調整回路153aとによってこれら比較器150a及び151aへの極性反転パルス対(受信信号)の入力経路の遅延時間が調節されている。
比較器150aから出力されたタイミング信号は、遅延・時定数調整回路154aで十分なパルス幅の信号に加工された後、非同期RSフリップフロップ16のS(セット)端子に入力される。
【0043】
上記と同様に、識別回路15bに受信信号が入力されると、この受信信号は比較器151bに入力される。比較器151bは入力された受信信号の電圧と識別開始基準電圧とを比較することにより、パルスが入力されたことを検知し、パルス状の信号を出力する。このパルス状の出力信号は、遅延・時定数調整回路153bで十分なパルス幅の信号に加工され、比較器150bのイネーブル信号入力端子に入力される。イネーブル信号が入力されると、比較器150bは動作を開始し、極性反転パルス対(受信信号)の中心部分、即ち、極性が反転するタイミングを識別し、この識別されたタイミングを示すパルス状の信号(タイミング信号)を出力する。
なお、識別回路15bは、比較器150bの一方の入力端子に極性反転パルス対(受信信号)が到達するよりも速く比較器151bが作動するように、遅延調整回路152bと遅延・時定数調整回路153bとによってこれら比較器150b及び151bへの極性反転パルス対(受信信号)の入力経路の遅延時間が調節されている。
比較器150bから出力されたタイミング信号は、遅延・時定数調整回路154bで十分なパルス幅の信号に加工された後、非同期RSフリップフロップ16のR(リセット)端子に入力される。
【0044】
上述のようにして識別回路15a及び15bからセット信号及びリセット信号が非同期RSフリップフロップ16に入力されると、この非同期RSフリップフロップ16は、セット信号の入力によって論理「1」に立上がり、これによって元の伝送信号波形の立上がりエッジを再現し、リセット信号の入力によって論理「0」に立下がり、これによって元の伝送信号波形の立下がりエッジを再現する。この回路では、立上がりタイミング伝送用と立下がりタイミング伝送用の2つの伝送・処理経路の間に生じる不要な時間差を遅延・時定数調整回路154a及び154bによって補償しており、これにより非同期RSフリップフロップ16にて再現された伝送信号波形は伝送前と同じ極性及びタイミングの2値信号となる。
以上説明した光信号伝送システムの回路構成は半導体デバイス試験装置にも適用することができる。次に、上記回路構成の光信号伝送システムを適用した半導体デバイス試験装置について図4及び図5を参照して具体的に説明する。
図4に示すように、試験装置本体側に立上がり及び立下がりエッジ検出回路11a及び11b(図示せず)、伝送用パルス発生回路12a及び12b、バイアス固定LD駆動回路13a及び13bから構成される送信部を設け、テストヘッド側にAC結合受信回路14a及び14b、識別回路15a及び15b、非同期RSフリップフロップ16から構成される受信部を設けて、これら送信部と受信部の間を光ファイバを用いて接続する。
【0045】
この構成によれば、半導体デバイス試験装置の試験装置本体とテストヘッドとの間において伝送される、多数の周期が混在し、かつ伝送される2値データが一方の値(0又は1)に著しく片寄っている信号は、送信部においてその信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジのみが予め定められた振幅値(レベル)を横切るタイミングを示す極性反転パルス対よりなる伝送パルス信号に変換されて伝送され、受信部では識別した立上がり及び立下がりタイミングから元の伝送信号波形を電気的に再現するので、極性及びタイミング誤りを生じることはなく、信号再生を行うことができる。
なお、半導体デバイス試験装置では、試験装置本体において発生される2値信号は立上がりエッジと立下がりエッジに分かれているので、図4には図示していないように、試験装置本体側から立上がり及び立下がりエッジ検出回路11a及び11bを省くことができ、低コスト化を図ることができる。
【0046】
以上説明した第1の実施例の光信号伝送システムにおいて、伝送信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジが予め定められた振幅値(レベル)を横切るタイミングを示す極性反転パルス対は、上述し、かつ図示したものに限定されるものではない。例えば立上がりタイミング用のパルス対と立下がりタイミング用のパルス対はそれらの極性が図5(a)〜(d)に示すような関係にあるものを使用することができる。なお、図5(a)は上記第1の実施例で使用された極性反転パルス対と同じである。
上述した第1の実施例の光信号伝送システムにおいては、伝送したい信号波形の立上がり及び立下がりタイミングをそれぞれ別々に取り扱い、それぞれのタイミングを示す極性反転パルス対を伝送する2つの伝送経路を設けたが、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを示す極性反転パルス対のそれぞれを、図5(b)及び(c)に示したような互いに極性が反転関係にあるパルス対として区別できるようにすれば、送信側と受信側との間の伝送経路を1つにすることができる。
【0047】
以下、送信側と受信側との間の伝送経路を1つにしたこの発明の第2の実施例の光信号伝送システムについて図6乃至図8を参照して説明する。
図6はこの発明の第2の実施例である、伝送経路を1つにした光信号伝送システムの概略の構成を示すブロック図である。本実施例の光信号伝送システムは、送信側装置Tに立上がり及び立下がりエッジ検出回路21a及び21bと、伝送用パルス発生回路22a及び22bと、光強度変調回路23とを備え、受信側装置RにAC結合受信回路24と、識別回路25a及び25bとを備えている。そして、送信側装置Tと受信側装置Rとが1つの光ファイバ26により接続された構成となっている。
上記構成の光信号伝送システムは、伝送用パルス発生回路22a及び22bにおける極性反転パルス対の生成動作と、識別回路25a及び25bにおける立上がり及び立下がりタイミングの検出動作が異なる以外は、前述の第1の実施例のシステムと基本的に同じ動作をする。
【0048】
図7は図6に示した光信号伝送システムの動作を説明するための波形図である。次に、この図7を参照して各回路の動作を具体的に説明する。
伝送用パルス発生回路22a及び22bは立上がり及び立下がりエッジ検出回路21a及び21bにて検出される立上がり信号(a)及び立下がり信号(b)のタイミングを境にして極性が互いに反転するパルス対よりなる伝送用パルス信号(c)及び(d)を発生する。この実施例では、伝送用パルス発生回路22aにて発生した伝送用パルス信号(c)と伝送用パルス発生回路22bにて発生した伝送用パルス信号(d)とは互いに極性が反転した関係になっており、どちらが立上がりタイミングを示し、どちらが立下がりタイミングを示すかが区別できるようになっている。
【0049】
これら伝送用パルス信号は、その形状やパルス幅が元の伝送信号波形とは独立の関係にあり、かつ固定であり、パルス幅が元の伝送信号波形の最小パルス間隔より十分に短く、かつ元の伝送信号波形の最小パルス幅に対して互いが重ならないようになっている。言い換えると、各伝送用パルス信号の幅が、伝送可能な信号波形の最小パルス間隔及び最小パルス幅を制限することになる。
光強度変調回路23及びAC結合受信回路24は前述の図1に示したものと同様の構成のものであるが、この実施例では光強度変調回路23は伝送用パルス発生回路22a及び22bからの各伝送用パルス信号を入力とし、これら入力に基づいて極性反転光パルス対(光強度信号(e))を出力し、一方、AC結合受信回路4は伝送されて来た光強度信号を受信して受信信号(f)を出力する。
識別回路25aはAC結合受信回路4にて検出された受信信号(f)から立上がりタイミングを識別し、識別回路25bは受信信号(f)から立上がりタイミングを識別する。これら識別回路25a及び25bでは、タイミング識別の基準となる識別レベルL1と、ノイズと信号とが分離できる程度ではあるが振幅を十分に低く設定した立上がり識別開始レベルL2及び立下がり識別開始レベルL3とに基づいて、次のような識別動作が行われる。
【0050】
立上がりタイミングを識別する場合には、受信信号(f)の立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点Aで識別回路25aを瞬間的に動作させると同時に、識別回路25bを瞬間的に動作不能にし、識別回路25aによって一定の遅延時間内に受信信号(f)の波形が識別レベルL1を横切った時点Bを識別し、この時点Bでタイミングパルスを発生させる。
立下がりタイミングを識別する場合には、受信信号(f)の立下がりエッジが識別開始レベルL3を横切った時点Cで識別回路25bを瞬間的に動作させると同時に、識別回路25aを瞬間的に動作不能にし、識別回路25bによって一定の遅延時間内に受信信号(f)の波形が識別レベルL1を横切った時点Dを識別し、この時点Dでタイミングパルスを発生させる。
【0051】
上記識別動作によれば、受信信号(f)の立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点Aから一定時間内は識別回路25bは動作不能状態にあるので、識別回路25aによって受信信号(f)の波形が識別レベルL1を横切った時点Bを識別した後、識別回路25bがさらに、受信信号(f)の波形が識別レベルL3を横切った時点C′を誤って識別することはない。
同様に、受信信号(f)の立下がりエッジが識別開始レベルL3を横切った時点Cから一定時間内は識別回路25aは動作不能状態にあるので、識別回路25bによって受信信号(f)の波形が識別レベルL3を横切った時点Dを識別した後、識別回路25aがさらに、受信信号(f)の波形が識別レベルL1を横切った時点A′を誤って識別することはない。
【0052】
なお、受信信号(f)のうちのパルス(交流成分)のない間は、各識別回路25a及び25bは共に動作状態にないから、ノイズによる低レベルの揺らぎを誤ってパルスと識別してしまうようなことはない。
上記のように構成された光信号伝送システムにおいては、識別回路25aから発生されるタイミングパルス(立上がりタイミング)を例えば非同期RSフリップフロップ回路のセット信号として用いれば、立上がりエッジを再現することができ、さらに、立下がり側の識別回路25bから同様にして得られたタイミングパルス(立下がりタイミング)を非同期RSフリップフロップ回路のリセット信号として用いれば、立下がりエッジを再現することができ、これにより元の2値の伝送信号変形を再現することができる。
【0053】
次に、上述した第2の実施例の光信号伝送システムを実現する具体的な回路構成について説明する。ただし、以下に説明する回路構成は、本伝送システムを実現する回路構成の一例であり、本発明の構成を限定するものではない。
図8は、図6に示した光信号伝送システムの具体的な回路構成の一例を示すブロック図である。この具体例では、送信側に、伝送信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジを検出する立上がり及び立下がりエッジ検出回路31a及び31b、これらエッジ検出回路31a及び31bの出力信号が入力される伝送用パルス発生回路32a及び32b、これら伝送用パルス発生回路32a及び32bの両出力信号を駆動信号とするバイアス固定LD駆動回路33が設けられる。
受信側にはAC結合受信回路34、このAC結合受信回路34の出力をそれぞれ入力とする識別回路35a及び35b、識別回路35aの出力信号をセット信号とし、識別回路35bの出力信号をリセット信号とする非同期RSフリップフロップ36が設けられ、これら送信側及び受信側間が光ファイバによって接続された構成となっている。
【0054】
立上がり及び立下がりエッジ検出回路31a及び31b、伝送用パルス発生回路32a及び32b、AC結合受信回路34は上述の図6に示したものと同様の回路構成を有し、かつ同様の動作を行なうので、ここではそれらの説明は省略する。
バイアス固定LD駆動回路33は発光素子であるレーザダイオード(図示せず)を駆動する回路であり、伝送用パルス発生回路32a及び32bが発生する、立上がり及び立下がりタイミングを境にして極性が互いに反転するパルス対を駆動信号としてレーザダイオードを駆動し、光強度変調信号を発生させる。このバイアス固定LD駆動回路33により光強度変調信号を発生させる際には、予めバイアス電流をレーザダイオードに印加してレーザダイオードを常に発光している状態に保ち、駆動信号に応じた変調電流をレーザダイオードの駆動電流に加えるといった従来からの手法が用いられる。
【0055】
識別回路35aはタイミング識別用の比較器350a、この比較器350aを動作させるか否かを判別するための比較器351a、遅延調整回路352a、遅延・時定数調整回路353a、354a、355aから構成されている。同様に、識別回路35bはタイミング識別用の比較器350b、この比較器350bを動作させるか否かを判別するための比較器351b、遅延調整回路352b、遅延・時定数調整回路353b、354b、355bから構成されている。
識別回路35aでは、AC結合受信回路34の出力が2つに分岐され、その一方が比較器351aの一方の入力端子に、他方が遅延調整回路352aを介して比較器350aの一方の入力端子にそれぞれ供給される。比較器351aの他方の入力端子には立上がり識別開始基準電圧が入力されており、この識別開始基準電圧とAC結合受信回路34からの入力電圧とを比較することにより、比較器351aは比較器350aを動作させるか否かを判別する。
【0056】
比較器351aの出力信号は遅延・時定数調整回路353aを介して比較器150aのイネーブル(Enable)信号入力端子に入力されると共に、遅延・時定数調整回路354aを介して比較器351bのディスエーブル(Disable)信号入力端子に入力されており、比較器350a及び351bの動作を制御できるようになっている。
比較器350aの他方の入力端子は接地されており、接地電位とAC結合受信回路34からの入力信号電圧とを比較することにより、比較器350aは立上がりタイミングを判別する。この比較器350aの出力信号は遅延・時定数調整回路355aを介して非同期RSフリップフロップ36のS(セット)端子に入力される。
【0057】
識別回路35bでは、同じくAC結合受信回路34の出力が2つに分岐され、その一方が比較器351bの一方の入力端子に、他方が遅延調整回路352bを介して比較器350bの一方の入力端子にそれぞれ供給される。比較器351bの他方の入力端子には立下がり識別開始基準電圧が入力されており、この識別開始基準電圧とAC結合受信回路34からの入力電圧とを比較することにより、比較器351bは比較器350bを動作させるか否かを判別する。
比較器351bの出力信号は遅延・時定数調整回路353bを介して比較器150bのイネーブル(Enable)信号入力端子に入力されると共に、遅延・時定数調整回路354bを介して比較器351aのディスエーブル(Disable)信号入力端子に入力されており、比較器350b及び351aの動作を制御できるようになっている。
比較器350bの他方の入力端子は接地されており、接地電位とAC結合受信回路34からの入力信号電圧とを比較することにより、比較器350bは立下がりタイミングを判別する。この比較器350bの出力信号は遅延・時定数調整回路355bを介して非同期RSフリップフロップ36のR(リセット)端子に入力される。
【0058】
次に、この第2の実施例の光信号伝送システムの動作について説明する。立上がり及び立下がりエッジ検出回路31a及び31bに2値のディジタル信号波形(伝送信号波形)が入力されると、立上がりエッジ検出回路31aは入力された伝送信号波形の立上がりエッジを検出し、立下がりエッジ検出回路31bは入力された伝送信号波形の立下がりエッジを検出する。
立上がりエッジ検出回路31aにて検出された伝送信号波形の立上がりエッジは伝送用パルス発生回路32aに供給されこの、伝送用パルス発生回路32aは、供給された立上がりエッジのタイミングを境にして極性が互いに反転する極性反転パルス対を生成する。同様に、伝送用パルス発生回路32bでは、供給された立上がりエッジのタイミングを境にして極性が互いに反転する極性反転パルス対を生成する。
【0059】
バイアス固定LD駆動回路33は、伝送用パルス発生回路32a及び32bにて生成された極性反転パルス対を駆動信号としてレーザダイオードを駆動し、極性反転光パルス対よりなる光強度変調信号を発生させる。この光強度変調信号は光ファイバを介して受信側へ伝送され、AC結合受信回路34で受信される。
光強度変調信号を受信すると、AC結合受信回路34は、受信した光強度変調信号の交流成分のみを電気信号に変換する。これによって元の極性反転パルス対が生成され、これが受信信号として出力される。このAC結合受信回路34から出力された受信信号は2つに分岐され、一方は識別回路35aに入力され、他方は識別回路35bに入力される。
【0060】
識別回路35aに入力された受信信号はまず、比較器351aに入力される。比較器351aは入力された受信信号の電圧と立上がり識別開始基準電圧とを比較することにより、パルスが入力されたことを検知し、パルス状の信号を出力する。このパルス状の出力信号は2つに分岐され、一方は遅延・時定数調整回路353aで、他方は遅延・時定数調整回路354aでそれぞれ十分なパルス幅の信号に加工され、比較器350aのイネーブル信号入力端子及び比較器351bのディスエーブル信号入力端子にそれぞれ入力される。
【0061】
イネーブル信号が入力されると、比較器350aは動作を開始し、極性反転パルス対(受信信号)の中心部分、即ち、極性が反転するタイミングを識別し、この識別されたタイミングを示すパルス状の信号(タイミング信号)を出力する。他方、比較器351bは、ディスエーブル信号が入力されると、一定時間動作不能になり、この動作不能の間、比較器350bが誤動作するのを防止する。
なお、識別回路35aは、比較器350aの一方の入力端子に極性反転パルス対(受信信号)が到達する前に比較器351aが動作するように、遅延調整回路352aと遅延・時定数調整回路353aとによってこれら比較器350a及び351aへの極性反転パルス対(受信信号)の入力経過の遅延時間が調節されており、その上、上記極性反転パルス対以降の信号が到達する前の比較器351bが動作不能となるように、遅延・時定数調整回路354aによって経路の遅延時間が調節されている。
【0062】
比較器350aから出力されたタイミング信号は、遅延・時定数調整回路355aで十分なパルス幅の信号に加工された後、非同期RSフリップフロップ36のS(セット)端子に入力される。
上記と同様に、識別回路35bに受信信号が入力されると、この受信信号は比較器351bに入力される。比較器351bは入力された受信信号の電圧と立下がり識別開始基準電圧とを比較することにより、パルスが入力されたことを検知し、パルス状の信号を出力する。このパルス状の出力信号は2つに分岐され、一方は遅延・時定数調整回路353bで、他方は遅延・時定数調整回路354bでそれぞれ十分なパルス幅の信号に加工され、比較器350bのイネーブル信号入力端子及び比較器351aのディスエーブル信号入力端子にそれぞれ入力される。
【0063】
イネーブル信号が入力されると、比較器350bは動作を開始し、極性反転パルス対(受信信号)の中心部分、即ち、極性が反転するタイミングを識別し、この識別されたタイミングを示すパルス状の信号(タイミング信号)を出力する。他方、比較器351aは、ディスエーブル信号が入力されると、一定時間動作不能になり、この動作不能の間、比較器350aが誤動作するのを防止する。
なお、識別回路35bは、比較器350bの一方の入力端子に極性反転パルス対(受信信号)が到達する前に比較器351bが作動するように、遅延調整回路352abと遅延・時定数調整回路353bとによってこれら比較器350b及び351bへの極性反転パルス対(受信信号)の入力経路の遅延時間が調節されており、その上、上記極性反転パルス対以降の信号が到達する前に比較器351aが動作不能となるように、遅延・時定数調整回路354bによって経路の遅延時間が調節されている。
【0064】
比較器350bから出力されたタイミング信号は、遅延・時定数調整回路355bで十分なパルス幅の信号に加工された後、非同期RSフリップフロップ36のR(リセット)端子に入力される。
上述のようにして識別回路35a及び35bからセット信号及びリセット信号が非同期RSフリップフロップ36に入力されると、この非同期RSフリップフロップ36は、セット信号の入力によって論理「1」に立上がり、これによって元の伝送信号波形の立上がりエッジを再現し、リセット信号の入力によって論理「0」に立下がり、これによって元の伝送信号波形の立下がりエッジを再現する。この回路では、立上がりタイミング伝送用と立下がりタイミング伝送用の2つの伝送・処理経路の間に生じる不要な時間差を遅延・時定数調整回路355a及び355bによって補償しており、これにより非同期RSフリップフロップ36にて再現された伝送信号波形は伝送前と同じ極性及びタイミングの2値信号となる。
【0065】
なお、上記第2の実施例のシステムを高速の2値信号の伝送に適用する場合には、各比較器及びその他の回路素子に対して、電気的な伝送方式の場合に使用される比較器及びその他の回路素子や前述の第1の実施例に使用される比較器及びその他の回路素子よりもさらに高速の動作性能が要求される。
以上説明した第2の実施例の光信号伝送システムの回路構成は半導体デバイス試験装置にも適用することができる。次に、上記回路構成の光信号伝送システムを適用した半導体デバイス試験装置について図9を参照して具体的に説明する。
図9に示すように、試験装置本体側に立上がり及び立下がりエッジ検出回路341及び31b(図示せず)、伝送用パルス発生回路32a及び32b、バイアス固定LD駆動回路33から構成される送信部を設け、テストヘッド側にAC結合受信回路34、識別回路35a及び35b、非同期RSフリップフロップ36から構成される受信部を設けて、これら送信部と受信部の間を光ファイバを用いて接続する。
【0066】
この構成によれば、半導体デバイス試験装置の試験装置本体とテストヘッドとの間において伝送される、多数の周期が混在し、かつ伝送される2値データが一方の値(0又は1)に著しく片寄っている信号は、送信部においてその信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジのみが予め定められた振幅値(レベル)を横切るタイミングを示す極性反転パルス対よりなる伝送パルス信号に変換されて伝送され、受信部では識別した立上がり及び立下がりタイミングから元の伝送信号波形を電気的に再現するので、極性及びタイミング誤りを生じることはなく、信号再生を行うことができる。
なお、半導体デバイス試験装置では、試験装置本体において発生される2値信号は立上がりエッジと立下がりエッジに分かれているので、図9には図示していないように、試験装置本体側から立上がり及び立下がりエッジ検出回路31a及び31bを省くことができ、低コスト化を図ることができる。
【0067】
次に、この発明の第3の実施例について図面を参照して説明する。
図10はこの発明による光信号伝送方法を実施する光パルス送信装置101の一具体例を示す。この例でもレーザーダイオードのような発光素子LDが使用され、この発光素子LDに定電流回路110A、110B、110Cを接続する。また、定電流回路110Aと110Bは、それぞれ電流スイッチ111Aと111Bを通じて発光素子LDに接続し、定電流回路110Cは直接発光素子LDに接続した場合を示す。従って、発光素子LDには常時定電流回路110Cを流れる電流Icが注入される。
【0068】
電流スイッチ111Aと111Bは制御電圧としてH論理(論理高レベル)が与えられるとオンに制御され、L論理(論理低れべる)が与えられるとオフに制御される。電流スイッチ111Aの制御端子は入力端子INに直接接続される。電流スイッチ111Bの制御端子はインバータ112と遅延素子113から成る直列回路を通じて入力端子INに接続する。
上記構成において、入力端子INに図11Aに示すような正極性のパルスPを与える。遅延素子113の遅延時間TdとパルスPのパルス幅Pwはここでは説明の都合によりPw=Tdであるものとして説明する。
【0069】
パルスPが入力端子INに入力されると、電流スイッチ111Aは図11Bに示すように直ちにオンの状態に制御される。電流スイッチ111BにはパルスPがインバータ112により極性反転され、さらに、遅延素子113で遅延されて供給されるから、電流スイッチ111Bは常時オンの状態に制御され、入力されたパルスPの立上りのタイミングでパルス幅Tdの時間だけオフの状態に制御される。
従って、発光素子LDに注入される電流は図11Dに示すように無信号時は定電流回路110Bと110Cを流れる電流IbとIcの和Ib+Icがバイアス電流として注入され、パルスPが入力端子INに入力されている期間は全ての定電流回路110A〜110Cを流れる電流Ia、Ib、Icの和Ia+Ib+Icが注入され、パルスPが立下がった後のタイミングでは電流スイッチ111Aと111Bが共にオフの状態に制御されるから、このタイミングでは定電流回路110Cを流れる電流Icだけが注入される。
【0070】
電流スイッチ111Bに入力されるパルスがパルス幅Tdを経過すると、電流スイッチ111Bはオンの状態に戻される。従って、発光素子LDに注入される電流は再びIb+Icの状態に戻る。
従って、図10に示す具体例では、発光素子LDに注入されるバイアス電流はIb+Icとなり、このバイアス電流Ib+Icを中心に正と負に振れる電流Ia+Ib+IcとIcが発光素子LDに注入される。発光素子LDの発光強度は図11Dに示す電流波形と同様の波形となる。電流Icは図11Dに示すように発光素子LDが発光を開始する閾値電流IONより大きい値であるものとする。
図12に受信装置102に設けられる検出回路107の一具体例を示す。この例では検出回路107を、受光素子PDから出力された受光電流信号を電圧信号に変換する電流−電圧変換回路107Aと、平滑化回路107Bと、ヒステリシスを持った電圧比較器107Cとによって構成した場合を示す。
【0071】
電流−電圧変換回路107Aは演算増幅器Aと帰還抵抗器Rとによって構成することができる。平滑化回路107Bは伝送されるパルスPのパルス幅Pwより充分大きい時定数を持つ時定数回路によって構成することができる。この平滑化回路107Bを通じて電圧比較器107Cの非反転入力端子に、送信側から送られてくるバイアス値に対応した基準電圧を与える。また、電圧比較器107Cの反転入力端子には電流−電圧変換回路107Aの出力信号をそのまま入力する。
このように構成することにより、平滑化回路107Bには常時送信側から送られてくるバイアス電流Ib+Icに対応する基準電圧が与えられる。従って、電圧比較器107Cは非反転入力端子に与えられる基準電圧を基準に反転入力端子に与えられる電圧が基準電圧より高いか低いかにより、出力端子107DにH論理かL論理の何れか一方を出力する。また、電圧比較器107Cは2つの入力端子の間に、ヒステリシス特性を持っていることから、両方の入力端子の電圧が基準電圧に揃ったとしても、過去に非反転入力端子が反転入力端子より負側に振れた状態から同一の基準電圧に戻った場合には、出力端子107DはL論理に保持され、正側に振れた状態から同一の基準電圧に戻った場合には、H論理に保持される。
【0072】
ここで、図12に示した受信装置に、図13Aに示す受光電流IPが受信されるものとすると、電流−電圧変換回路107Aは図13Bに示すバイアス電圧VBとパルス波形VPを出力する。平滑化回路107Bはパルス波形VPが入力されても、このパルス波形VPを平滑し、バイアス電圧VBに合致した基準電圧を電圧比較器107Cの非反転入力端子に供給し続ける。従って、パルス波形VPが電圧比較器107Cの反転入力端子に入力され、その電圧が正側のヒステリシス幅を越えると電圧比較器107Cの出力端子107Dは図13Cに示すようにH論理を出力する。
反転入力端子のパルス波形VPがバイアス電圧VBを横切って負側のヒステリシス幅より負側に振れると、電圧比較器107Cの出力端子107DはL論理となる。従って、電圧比較器107Cの出力端子107Dは図13Cに示すパルスPVを出力する。このパルスPVは受光電流信号IPのバイアス電流Ib+Icが変動しても、その立上りのタイミングは電圧比較器107Cの反転入力端子のパルス波形VPが正側のヒステリシス幅を越えるか否かによって決定されるため、パルス波形VPの立上りのタイミングはバイアス電流Ib+Icの値(バイアス電圧VBと同じ)が変動しても不動である。この結果、送信側において温度変化により発光素子LDの注入電流対出力光パワー特性が変動しても、伝送されるパルス信号の検出タイミングは変化しない。よって、ジッタのない信号を受授することができる。なお、電流−電圧変換回路107Aから出力されるパルス波形VPの波形中において、正から負(又は負から正)に振れるゼロクロス点は最も高速でバイアス電圧VBを横切る部分となる。従って、タイミングの検出点としては最も時間軸方向に対する変動の少ない位置になるものと考えられる。この結果、現実にはこのゼロクロス点に対応する、つまり、電圧比較器107Cが出力するパルス波形VPの後縁位置TOを信号の検出点として利用することになる。
【0073】
図14は光パルスを送信する装置の他の具体例を示す。この例では図10の例と同様にバイアス値を中心に正と負に振れる光パルスを発光させる機能に加えて、入力されるパルスのパルス幅を一定のパルス幅の光パルスに揃える機能(一般にパルサと呼ばれている)を持たせた回路構成とした場合を示す。
入力端子INに入力された電気パルスPは直接ノア(NOR)ゲート114の一方の入力端子に供給されると共に、インバータ112及び遅延素子113から成る直列回路を通じて他方の入力端子に供給される。さらに、インバータ112と遅延素子113から成る直列回路を通じて電気パルスPをナンド(NAND)ゲート115の一方の入力端子に供給し、インバータ116と遅延素子117で遅延させた信号をナンドゲート115の他方の入力端子に供給する。ノアゲート114の出力信号を電流スイッチ111Aに制御信号として与え、ナンドゲート115の出力信号を電流スイッチ111Bの制御信号として与える。
【0074】
ここで、入力端子INに入力するパルスPのパルス幅Pwが遅延素子113と117の遅延時間Tdより長いPw>Tdであるものとして以下にその動作を図15を参照して説明する。
図15Aは入力端子INに入力されたパルスPを示す。図15Bはインバータ112と遅延素子113を通じてノアゲート114とナンドゲート115の各一方の入力端子に供給されるパルスPBの波形を示す。ノアゲート114の出力には図15Dに示すパルスPDが入力され、このパルスPDがH論理に立上っている期間、電流スイッチ111Aがオンの状態に制御される。電流スイッチ111Aがオンの状態に制御される時間は遅延素子113の遅延時間Tdに等しい時間に規定される。
【0075】
図15Cはインバータ116と遅延素子117を通じてナンドゲート115の他方の入力端子に供給されるこのパルスPCの波形を示す。このナンドゲート115には図15Bに示したパルスPBと図15Cに示したパルスPCが供給されるから、その出力には図15Eに示すパルスPEが出力される。つまり、ナンドゲート115は常時H論理を出力しており、電流スイッチ111Bは常時オンの状態に制御されている。パルスPEはL論理に立下る極性のパルス信号で出力されるから、電流スイッチ111BはパルスPEがL論理に立下がった期間だけオフの状態に制御される。
この結果、発光素子LDに流れる電流Iは図15Fに示すように、Ib+Icを中心に電流スイッチ111Aがオンの状態でIa+Ib+Icが流れ、電流スイッチ111Aと111Bが共にオフの状態でIcが流れる。
従って、図10に示した具体例と同様に、パルスPが入力されるごとに発光素子LDは平均電流Ib+Icを中心に正方向と負方向に対称に振れる波形で流れ、平均電流値を変動させずに発光素子を駆動するから、この図14に示した具体例でも図10乃至図13で説明したのと同様の作用効果が得られることは容易に理解できよう。
【0076】
また、この具体例では入力するパルスPのパルス幅Pwが遅延素子113及び117の遅延時間Tdより長いパルス幅であっても、発光素子LDが発光する光パルスのパルス波形は遅延素子の遅延時間Tdによって決まる一定のパルス幅に制限される。よって、入力されるパルスPのパルスが長くても、出力する光パルスを一定値に制限するから、受信側においてパルス幅が長いパルスが送られてきたことにより平滑化回路107B(図12参照)が出力する基準電圧が変動するような不都合を回避することができるという利点が得られる。
さらに、図14に示した具体例では、伝送すべきパルスPの後縁側を検出して光パルスを発生させる構成としたから、信号の立上りの初期波形部分を利用する場合と比較して安定した状態で発光素子LDを発光させているから、発光素子LDを発光させるタイミング(図15Fの波形)を正確に規定することができるという利点も得られる。
図16は光パルス送信装置101のさらに他の具体例を示す。この例ではパルスのパルス幅を受信側に伝送しようとする場合を示す。つまり、伝送しようとするパルスPの立上りのタイミングと立下りのタイミングの双方において正側と負側に振れる正負対称信号を発生させて発光素子を発光制御する構成とした場合を示す。
【0077】
このためには電流スイッチ111Aの制御回路として、この例では2個のアンドゲート118、119とノアゲート120とによって構成し、アンドゲート118には、入力されるパルスP(図17A)と、インバータ112と遅延素子113を通過したパルスPB(図17B)を入力し、他方のアンドゲート119にはインバータ112と遅延素子113を通じたパルスPB(図17B)とインバータ116と遅延素子117を通じたパルスPC(図17C)を供給し、各アンドゲート118と119の出力をノアゲート120を通じて出力させる。この結果、ノアゲート120の出力に図17Dに示す負極性のパルスPDを得る。この負極性のパルスPDは入力パルスPの立上りのタイミングと立下りのタイミングの双方に発生し、電流スイッチ111Aに入力される。その結果、電流スイッチ111Aは入力パルスPの立上りと立下りの双方のタイミングにおいて、遅延時間Tdに等しい期間の間、オフの状態に制御される。
【0078】
電流スイッチ111Bの制御回路を、この例では2個のノアゲート121、122と1個のオアゲート123とによって構成し、一方のノアゲート121には入力パルスP(図17A)とインバータ112と遅延素子113を通じてパルスPB(図17B)を入力し、他方のノアゲート122にはインバータ112と遅延素子113を通じたパルスPB(図17B)と、インバータ116と遅延素子117を通じて取り出されたパルスPC(図17C)を供給し、各ノアゲート121と122の出力をオアゲート123を通じて出力させることにより、オアゲート123の出力に図17Eに示す正極性のパルスPEを得る。
電流スイッチ111Aと111BがパルスPDとPEによってオン、オフ制御されることにより、発光素子LDには図17Fに示す電流Iが注入され、この電流Iの値に対応した光パルスが出射される。
【0079】
図17Gは図12に示した受信装置によって図17Fに示した電流Iによって駆動された光パルスを受信した場合の電流−電圧変換回路107Aの電圧出力信号を示す。この受信された電圧出力信号の各ゼロクロス点間の時間は送信側の入力パルスPのパルス幅Pwに一致し、電圧比較器107Cの出力端子107Dには、この例では図17Hに示す負極性のパルスPHが出力され、送信側の入力パルスPのパルス幅Pwと同じパルス幅Pwを持つパルスPHを受信することができる。
この受信パルスPHのパルス幅Pwも、図10乃至図13を参照して説明した場合と同様に、平均電流Ib+Icを中心とする正負対称波形(図17F)で伝送されるから、光伝送路上の光の平均値は信号の有無に対応して変動することはない。従って、図10乃至図13で説明したのと同様に、電圧比較器107Cの前段に設けた平滑化回路107Bの平滑出力電圧は信号の受授に応じて変動することはなく一定値に維持される。また、温度変化等によって発光素子LDの注入電流対出力光パワー特性(図21参照)が変化し、伝送される平均電流値が変動し、平滑出力電圧が変動したとしても、この平滑出力電圧を中心に電圧比較器107Cのヒステリシス幅が追従するから、受信パルスPHのパルス幅は発光素子LDの特性の変動に関係なく送信側の入力パルスPのパルス幅Pwに正確に一致する。
【0080】
次に、この発明の第4の実施例について図面を参照して説明する。
まず、この発明の第4の実施例の光強度変調装置を用いた光伝送システムの概略構成について図18を参照して説明する。この光伝送システムは、送信側装置Tに光強度変調装置460を備え、受信側装置RにAC結合受信装置461、識別回路462を備え、送信側装置Tと受信側装置Rとが光ファイバ463により接続された構成を有している。
この光伝送システムでは、伝送されるのは2値信号のデータではなく、2値信号の波形の立上がり又は立下がりのエッジ、即ち、伝送信号の立上がり又は立下がりの振幅値(レベル)が予め定められた振幅値(レベル)を越える時点を指示するタイミング信号である。
図19は、図18の光伝送システムの動作を説明するためのタイミングチャートであり、一例として信号波形の立上がりエッジ(立上がりエッジの振幅値が50%を越える時点のタイミング)が示されている。以下、図19を参照して各回路の動作を具体的に説明する。
【0081】
光強度変調装置460は、2値のディジタル入力信号(a)の立上がりタイミングを境にして極性が互いに反転する極性反転パルス対(b)を発生する。この極性反転パルス対(b)としては、パルスの形状やパルス幅が元の伝送信号波形の最小パルス間隔より十分に短いものを用いれば良い。言い換えれば、この極性反転パルス対(b)のパルス幅によって元の伝送信号波形の最小パルス間隔が制限されることになる。
なお、この極性反転パルス対(b)は、発生される際にある遅延を受けて、図19に点線で示すように遅延したパルス(e)になっても、この遅延が常に一定で既知の値であれば、受信側ではタイミング信号として問題なく使用できる。
極性反転パルス対(b)が発生されると、光強度変調回路460はこの極性反転パルス対(b)に基づいて、従来から使用されている、オフセット光に光強度変調を行なう変調方法を用いて発光素子(図示せず)を駆動し、伝送用パルス信号波形の立上がりエッジの振幅値が予め定められた値を越えるタイミングで互いに極性の反転した光パルス対を光強度信号(c)として出力する。この光強度信号(c)は光ファイバ463を介して受信側装置Rに伝送される。
【0082】
AC結合受信回路461は、受信した光強度信号(c)を従来から使用されているAC結合の方法により検出する回路であり、図19の最下段に示す受信信号(d)のような信号が検出される。ここで、受信される光強度信号(c)は立上がりエッジを境にして極性が互いに反転する極性反転パルス対(b)に基づいて変調された光パルス信号であるので、常に両極性のパルスが存在し、従って、検出される受信信号(d)は片方の極性に片寄ったパルスを多く含むというようなことはない。
信号再生処理手段を構成する識別回路462は、AC結合受信回路461にて検出された受信信号(d)から立上がりエッジ(予め定められた振幅値を越えるタイミング)を識別する。この立上がりタイミングの識別では、タイミング識別の基準となる識別レベルL1(図19参照)と、予めノイズと信号が分離できる程度の、十分に低いレベルに設定された、識別動作開始のタイミングを与える識別開始レベルL2(図19参照)とに基づいて、次のような識別動作が行われる。
【0083】
受信信号(d)の立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点で瞬間的に識別回路462を作動し、一定の遅延時間内に識別レベルL1を横切った時点を識別してタイミングパルスを発生する。つまり、立上がりエッジが識別開始レベルL2を横切った時点からパルス幅に相当する程度の時間だけ識別回路462の作動状態を保ち、受信信号(d)が識別レベルL1を横切った時点を識別タイミングと決定し、タイミングパルスを発生する。個々のタイミングパルスに基づいて信号再生処理が行なわれる。この識別動作によれば、パルスが存在しないときには識別回路462は作動しないから、ノイズによる低レベルの揺らぎを誤ってパルスと識別してしまうことはない。
信号再生処理においては、識別回路462から発生されたタイミングパルス(例えば、立上がりタイミング)を、例えば非同期RS(セット−リセット)フリップフロップ回路のセット信号として用いれば、立上がりエッジが再現できる。
【0084】
なお、図18に示した構成では、光強度変調装置460は伝送信号の立上がり及び立下がりの双方のタイミングに基づいて、それぞれ極性反転パルス対を生成するようになっている(これら極性反転パルス対はそれらの極性が反転したものとなる)が、高速に光伝送を行う場合には、以下に記載するように、伝送信号の立上がりエッジ及び立下がりエッジを別々に伝送するような2系統の伝送系統を設けることが望ましい。
即ち、伝送信号の立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する検出回路(論理回路などで構成される)を個々に設け、これら検出回路毎に光強度変調装置を設げて、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを別々に伝送する。この場合、受信側も立上がりタイミング受信系統と立下がりタイミング受信系統の2系統の回路構成となり、個々の伝送系統で立上がり及び立下がりエッジに関するタイミングパルスが生成されて信号再生処理が行われる。
信号再生処理においては、各識別回路にて発生されたタイミングパルスをそれぞれ非同期RSフリップフロップ回路のセット及びリセット信号として用いれば、立上がりエッジ及び立下がりエッジが再現できる。これにより元の2値の伝送信号波形を再現することができる。
【0085】
【発明の効果】
以上の説明で明白なように、この本発明によれば、従来のように識別レベルが2値信号のデータ値の一方の片寄ってタイミングの誤りが生じるといったような欠点はなく、また、長時間固定されたDC的なデータをも正確に識別することができるので、タイミング精度が高く、しかも、周期が不定で直流成分が存在するような信号についても高い精度で光伝送することができる。
従って、半導体デバイス試験装置の試験装置本体とテストヘッドとの間において伝送されるような、多数の周期が混在し、2値データが一方の値(0又は1)に著しく片寄った信号についても正確に、高い精度で光伝送することができるという顕著な利点がある。
その上、データの極性が一定の状態(信号のない状態)で放置された場合に、その間のノイズによる低レベルの揺らぎを誤ってデータとして検出してしまうことはないので、信頼性の高い光伝送システム及び方法を提供することができるという利点がある。
【0086】
また、以上のような効果を奏する光伝送システムや方法が適用される半導体デバイス試験装置においては、伝送速度や周波数特性が一段と向上し、信頼性が高くなり、かつ軽量であるという利点が得られる。
さらに、この発明によれば、光伝送路を伝送する光パルスの波形をバイアス値から正極性と負極性の向きに等量ずつ振れ、平均するとパイアス値に等しくなる正負対称波形で伝送する伝送方法が提供されるから、信号の伝送密度が変わっても伝送路上の直流分が変動することはない。よって、伝送される信号に含まれる直流分が変動することに起因するジッタは発生しない。
また、伝送するパルス波形に直流分を付加し、受信側ではこの直流分によって平滑化回路107Bで基準電圧を発生させたから、仮に発光素子LDの注入電流対発光光バワー特性が変動したことにより、発光素子LDが出力する平均発光量が変動し、平滑化回路107Bが発生する基準電圧が変動したとしても、電圧比較器107Cは基準電圧を中心にヒステリシス幅を追従させて応動するから、ヒステリシス幅が一定値を維持すれば受信側で検出されるパルスの検出点は不動であり、ジッタの発生は抑えられる。
【0087】
その上、パルスの受信の検出点を正負対称波形のゼロクロス点に特定した場合には、受信信号中で最も高速でバイアス点を横切るから、このゼロクロス点で受信パルスを検出する構成とすることにより、最も正確な受信点の検出を行うことができるという利点が得られる。
さらにまた、この発明によれば、極性が互いに反転するパルス対を生成する際に、従来技術のように、極性反転部分において両パルス波形のエッジが不連続になることはないので、高いタイミング精度で信号の光伝送を行なうことが可能となる。
従って、上述のような効果を奏する光強度変調装置を使用した光伝送システムや半導体デバイス試験装置は、信号の伝送速度を高速にすることができ、また、周波数特性が向上し、かつ軽量で、信頼性が高くなる等の利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例の光信号伝送システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す回路の動作説明図である。
【図3】図1に示した光信号伝送システムの具体的な回路構成の一例を示すブロック図である。
【図4】この発明の第1の実施例の光信号伝送システムを適用した半導体デバイス試験装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】(a)〜(d)は、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを示す極性が互いに反転するパルス対の数例を示す波形図である。
【図6】この発明の第2の実施例の光信号伝送システムの概略構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示した光信号伝送システムの回路動作を説明するための波形図である。
【図8】図6に示した光信号伝送システムの具体的な回路構成の一例を示すブロック図である。
【図9】この発明の第2の実施例の光信号伝送システムを適用した半導体デバイス試験装置の概略構成を示すブロック図である。
【図10】この発明の第3の実施例の光パルス送信装置の一具体例を示す回路図である。
【図11】図10の光パルス送信装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図12】この発明の第3の実施例の光パルス検出回路の一具体例を示す回路図である。
【図13】図12の光パルス検出回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図14】この発明の第3の実施例の光パルス送信装置の他の具体例を示す回路図である。
【図15】図14の光パルス送信装置の動作を説明するための波形図である。
【図16】この発明の第3の実施例の光パルス送信装置のさらに他の具体例を示す回路図である。
【図17】図16の光パルス送信装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図18】光伝送システムの一例を示すブロック図である。
【図19】図18の光伝送システムの動作を説明するための波形図である。
【図20】従来の光パルス伝送システムの一例の概略構成を示すブロック図である。
【図21】図20に示した発光素子の注入電流対出力光パワー特性の一例を説明するための特性曲線図である。
【図22】図20に示す従来の光パルス伝送システムで伝送されたパルスの波形を説明するための波形図である。
【図23】従来の光伝送システムに使用されている光強度変調装置の一例を示す回路図である。
【図24】固定識別レベルで2値信号を識別した場合のデータ及びタイミングの誤りを説明するためのタイミングチャートである。
【図25】発光素子の発光遅延時間と光強度の関係を示す特性図である。
【図26】オフセット光からの光強度変調を説明するための波形図である。
【図27】AC結合方式による2値信号の識別動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図28】2値の電気信号の立上り及び立下がりエッジに応じた極性反転パルス対でこの信号を光伝送する方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図29】従来の光伝送システムに使用されている光強度変調装置の他の例を示すブロック図である。
【図30】図29に示す光強度変調装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
Claims (13)
- 送信側に、
伝送すべき信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1及び第2のエッジ検出手段と、
前記第1のエッジ検出手段による立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生する第1の伝送用パルス発生手段と、
前記第2のエッジ検出手段による立下がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の伝送用パルス発生手段と、
前記第1の伝送用パルス信号に基づいて第1の光強度変調信号を生成する第1の光強度変調手段と、
前記第2の伝送用パルス信号に基づいて第2の光強度変調信号を生成する第2の光強度変調手段
とを具備し、
受信側に、
前記第1の光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した第1の受信信号を得る第1のAC結合受信手段と、
前記第2の光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した第2の受信信号を得る第2のAC結合受信手段と、
前記第1の受信信号から立上がりタイミングを識別する第1の識別手段と、
前記第2の受信信号から立下がりタイミングを識別する第2の識別手段と、
前記識別された立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号の波形に関する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する信号再生手段
とを具備し、
前記第1の識別手段は、立上がりタイミング識別の基準となる立上がり識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベルとに基づいて、前記第1の受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ動作状態とされ、この動作状態中に前記第1の受信信号が前記立上がり識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、
前記第2の識別手段は、立下がりタイミング識別の基準となる立下がり識別基準レベルと、立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、前記第2の受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ動作状態とされ、この動作状態中に前記第2の受信信号が前記立下がり識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する
ことを特徴とする光伝送システム。 - 前記第1の識別手段は、前記第1の受信信号の極性が反転するタイミングを立上がりタイミングとして識別し、前記第2の識別手段は、前記第2の受信信号の極性が反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別することを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
- 前記信号再生手段は、前記第1の識別手段にて識別された立上がりタイミングをセット信号とし、前記第2の識別手段にて識別された立下がりタイミングをリセット信号とする非同期SRフリップフロップ回路により構成されていることを特徴とする請求項1記載の光伝送システム。
- 送信側に、
伝送すべき信号波形から立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1及び第2のエッジ検出手段と、
前記第1のエッジ検出手段による立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生する第1の伝送用パルス発生手段と、
前記第2のエッジ検出手段による立下がりエッジ検出タイミングを境として、前記第1の伝送用パルス信号とは互いに極性が反転した関係にある、極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の伝送用パルス発生手段と、
前記第1及び第2の伝送用パルス信号に基づいて光強度変調信号を生成する光強度変調手段
とを具備し、
受信側に、
前記光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した受信信号を得るAC結合受信手段と、
前記受信信号から、前記極性反転の関係に基づいて、前記第1及び第2の伝送用パルス信号に関係する信号を区別するとともに、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを識別する識別手段と、
前記立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて、前記伝送すべき信号の波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する信号再生手段
とを具備し、
タイミング識別の基準となる識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベル及び立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、
立上がりタイミングを識別する際は、前記受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点で前記第1の識別手段が一定の時間だけ動作状態とされると同時に、前記第2の識別手段が動作不能状態とされ、第1の識別手段が動作状態中に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、
立下がりタイミングを識別する際は、前記受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点で前記第2の識別手段が一定の時間だけ動作状態とされると同時に、前記第1の識別手段が動作不能状態とされ、第2の識別手段が動作状態中に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する
ことを特徴とする光伝送システム。 - 前記識別手段は、前記受信信号のうち前記第1の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が正極性から負極性へ反転するタイミングを立上がりタイミングとして識別する第1の識別手段と、前記受信信号のうち前記第2の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が負極性から正極性へ反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別する第2の識別手段とからなることを特徴とする請求項4記載の光伝送システム。
- 前記信号再生手段は、前記識別手段にて識別された立上がりタイミング、立下がりタイミングをそれぞれセット信号、リセット信号とする非同期SRフリップフロップ回路により構成されていることを特徴とする請求項4記載の光伝送システム。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の光伝送システムを備え、2値信号を送出する試験装置本体と前記2値信号を受信するテストヘッドとが光ファイバにより接続され、前記試験装置本体と前記テストヘッドとの間において前記光伝送システムを用いた光伝送が行われることを特徴とする半導体デバイス試験装置。
- 伝送すべき信号波形の立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1の工程と、
前記立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生するとともに、前記立下がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の工程と、
前記第1の伝送用パルス信号に基づいて第1の光強度変調信号を生成すると共に、前記第2の伝送用パルス信号に基づいて第2の光強度変調信号を生成し、これら変調信号を別々に光伝送ライン上に送出する第3の工程と、
前記第1及び第2の光強度変調信号をそれぞれ受信して、それらの交流成分のみを取り出した第1及び第2の受信信号を得る第4の工程と、
前記第1の受信信号から立上がりタイミングを識別すると共に、前記第2の受信信号から立下がりタイミングを識別し、この識別した立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する第5の工程と、
を有し、
立上がりタイミングを識別する場合には、立上がりタイミング識別の基準となる立上がり識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベルとに基づいて、前記第1の受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点から一定時間内に前記第1の受信信号が前記立上がり識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、
立下がりタイミングを識別する場合には、立下がりタイミング識別の基準となる立下がり識別基準レベルと、立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、前記第2の受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点から一定時間内に前記第2の受信信号が前記立下がり識別基準レベルを横切った時点を立下がりタイミングとして識別する
ことを特徴とする光伝送方法。 - 前記第5の工程における立上がりタイミング及び立下がりタイミングの識別を、前記第1の受信信号の極性が反転するタイミングを立上がりタイミングとし、前記第2の受信信号の極性が反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別することにより行うことを特徴とする請求項8記載の光伝送方法。
- 伝送すべき信号波形から立上がりエッジ及び立下がりエッジをそれぞれ検出する第1の工程と、
前記立上がりエッジ検出タイミングを境として極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第1の伝送用パルス信号を発生すると共に、前記立下がりエッジ検出タイミングを境として、前記第1の伝送用パルス信号とは互いに極性が反転した関係にある、極性が互いに反転する極性反転パルス対からなる第2の伝送用パルス信号を発生する第2の工程と、
前記第1及び第2の伝送用パルス信号に基づいて光強度変調信号を生成し、この変調信号を光伝送ライン上に送出する第3の工程と、
前記光強度変調信号を受信して、その交流成分のみを取り出した受信信号を得る第4の工程と、
前記受信信号から、前記極性反転の関係に基づいて前記第1及び第2の伝送用パルス信号に関係する信号を区別すると共に、立上がりタイミング及び立下がりタイミングを識別し、この識別した立上がりタイミング及び立下がりタイミングに基づいて前記伝送すべき信号波形に関係する立上がりエッジ及び立下がりエッジを再現する第5の工程
とを有し、
タイミング識別の基準となる識別基準レベルと、立上がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立上がり識別開始レベル及び立下がりタイミングの識別動作開始タイミングを与える立下がり識別開始レベルとに基づいて、
立上がりタイミングを識別する場合には、前記受信信号の立上がりが前記立上がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ立上がりタイミングの識別が行われるようにすると同時に、立下がりタイミングの識別が行われないようにし、この時間内に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立上がりタイミングとして識別し、
立下がりタイミングを識別する場合には、前記受信信号の立下がりが前記立下がり識別開始レベルを横切った時点から一定の時間だけ立下がりタイミングの識別が行なわれるようにすると同時に、立上がりタイミングの識別が行なわれないようにし、この時間内に前記受信信号が前記識別基準レベルを横切った時点を立ち下がりタイミングとして識別する
ことを特徴とする光伝送方法。 - 前記第5の工程における立上がりタイミング及び立下がりタイミングの識別を、前記受信信号のうち前記第1の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が正極性から負極性へ反転するタイミングを立上がりタイミングとし、前記受信信号のうち前記第2の伝送用パルス信号に関係する信号の極性が負極性から正極性へ反転するタイミングを立下がりタイミングとして識別することを特徴とする請求項10記載の光伝送方法。
- 送信側に設けた発光素子に電気パルスを与え、この電気パルスにより発光素子から光パルスを発光させ、この光パルスを光学伝送路を通じて受信側に伝送し、受信側に設けた受光素子によって電気パルスに変換し、この電気パルスを受信信号として取り込む光パルス伝送方法において、
上記送信側において、上記発光素子に与える電気パルスを直流バイアス電流を中心に正と負に対称に変化する正負対称波形信号とし、光伝送路上の光の平均値を一定値に維持させ、
受信側に上記直流バイアス電流値に対応する直流電圧を発生する平滑化回路を設け、この平滑化回路で発生する直流電圧をヒステリシス特性を持つ電圧比較器の基準電圧として供給し、この基準電圧を中心に上記ヒステリシス特性のヒステリシス幅を越える電位変化を受信信号として検出し、上記電圧比較器から出力させる
ことを特徴とする光パルス伝送方法。 - 送信側に設けた発光素子に電気パルスを与え、この電気パルスにより発光素子から光パルスを発光させ、この光パルスを光学伝送路を通じて受信側に伝送し、受信側に設けた受光素子によって電気パルスに変換し、この電気パルスを受信信号として取り込む光パルス伝送方法において、
上記送信側において、上記発光素子に与える電気パルスの立上がり及び立下がりの双方を、直流バイアス電流値を中心に正と負に対称に変化する正負対称波形信号とし、パルス幅が長いパルスを伝送しても上記光伝送路上の光の平均値を一定値に維持させ、
受信側に上記直流バイアス電流値に対応する直流電圧を発生する平滑化回路を設け、この平滑化回路で発生する直流電圧をヒステリシス特性を持つ電圧比較器の基準電圧として供給し、この基準電圧を中心に上記ヒステリシス特性のヒステリシス幅を越える電位変化を受信信号として検出し、上記電圧比較器から出力させる
ことを特徴とする光パルス伝送方法。
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