JP4571272B2 - 光信号伝送システムの校正方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光信号伝送システムの校正方法とその方法を用いた光信号伝送システム、特に光電変換を含む光信号伝送システムの校正方法とその方法を用いた光信号伝送システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
光信号伝送システムは一般に信頼性や伝送速度の面で優れており、各種信号伝送の手段として急速に利用分野が広がりつつある。半導体デバイス試験装置においても、本体ユニットと半導体デバイスがマウントされるテストヘッドの間の信号伝送に光ファイバを用いた光信号伝送システムが使用されることがある。最近の半導体デバイスの飛躍的な性能向上に伴い、そうしたデバイスを試験する装置の側にもきわめて高速かつ信頼性の高い動作が求められるためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
光信号伝送システムの基本動作原理のひとつは、電気信号を光信号へ変換し、この光信号を光ファイバの入力端へ印加し、その光ファイバの出力端に現れる光信号を光電変換によって電気信号へ戻すというものである。光ファイバの入力側における発光作用は、電流駆動型のレーザーダイオードで実現されることが多い。ここで問題になるのは、レーザーダイオードを駆動する電流とそのレーザーダイオードの光の明るさの関係にばらつきが存在することである。
【0004】
図1はレーザーダイオードの駆動電流と明るさの相関図である。ここでは、3通りの周囲温度T=T0、T1、T2について、レーザーダイオードの特性を描いている。同図のごとく、レーザーダイオードは電流がある値以下ではレーザー発振せず、電流がある値を超えると、ほぼリニアにその明るさが増加することがわかる。その値は閾値電流と呼ばれるが、周囲温度が高いほど閾値電流は大きくなるほか、レーザーダイオードの個体間にも閾値電流にばらつきが見られる。これらの影響により、たとえば高速のクロックを伝送すると、発光側と受光側で意図する信号のしきい値にずれが生じてクロックのデューティ比がくずれたり、本来同時変化を起こすべき多数の信号の間にスキューが生じる。こうした現象は伝送の高速化の足かせとなり、とりわけ直流から高周波に至る広範な動作が要請される半導体デバイス試験装置にとっては、高速化と各周波数における安定動作の両面で対処が難しい問題であった。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、光信号伝送システムにおける信号の伝送をより好ましい形で実現するための一連の技術、とくに、光信号伝送システムで伝送すべき信号に所望の調整を加えることが可能な校正技術と、その技術を利用した光信号伝送システムの提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本発明のある形態は、発光作用によって生成した光信号を光ファイバの入力端に印加し、前記光ファイバの出力端に現れる光信号を光電変換によって電気信号に戻す光信号伝送システムの校正方法であり、この方法は、前記光信号を前記光ファイバに入力して前記電気信号を生成する伝送段階と、前記発光作用に関連する電流または前記光電変換に関連する電流の少なくとも一方を前記電気信号の電流に応じて調整する調整段階とを含む。
【0007】
本発明の別の形態では、前記調整段階は、前記電気信号の電流の大きさと所定の参照電流の大きさが拮抗するよう前記発光作用を喚起する電流の大きさを調整する段階を含む。
【0008】
本発明のさらに別の形態では、前記調整段階は、前記参照電流を順次大小二通りの値に定め、前記大小二通りの値に応じて前記発光作用を喚起する二通りの電流の値をそれぞれ調整し、前記調整された二通りの値を個別に保持する段階を含む。
【0009】
本発明のさらに別の形態では、前記大小二通りの値のうち小さいほうの値は、前記光信号がゼロではない微弱な強度にある状態を想定して定められる。
【0010】
本発明のさらに別の形態では、前記調整段階で調整された前記発光作用を喚起する電流の大きさが所定の許容範囲にあるか否かを判定する段階をさらに含む。
【0011】
本発明のさらに別の形態では、前記調整段階は、前記伝送段階おいて生成された前記電気信号の電流の大きさと、前記電気信号の電流の大きさを把握するために用いる参照電流の大きさが拮抗するよう、前記光電変換に関連する回路において前記参照電流の大きさを調整する段階を含む。
【0012】
本発明のさらに別の形態では、前記調整段階は、前記光信号が表すべき二値を順に発生させて前記参照電流の二通りの値をそれぞれ調整し、前記調整された前記二通りの値を個別に保持する段階を含む。
【0013】
本発明のさらに別の形態では、前記調整段階はさらに、前記調整された前記二通りの値の中間値を生成する段階と、前記光信号が二値のいずれを示すかを前記中間値と前記電気信号の電流の大きさの比較をもとに判断する段階とを含む。
【0014】
本発明のさらに別の形態では、前記調整段階は、前記光信号が表すべき二値の一方を発生させて前記参照電流の値を調整し、前記調整された値を保持する段階を含む。
【0015】
本発明のさらに別の形態では、前記調整段階はさらに、前記調整された値をもとに、前記光信号が二値のいずれを示すかを判断するために前記電気信号の電流の大きさと比較すべき電流の値を設定する段階を含む。
【0016】
本発明のさらに別の形態では、前記調整段階で調整された値が所定の許容範囲にあるか否かの判定を行う段階をさらに含む。
【0017】
本発明のさらに別の形態は、発光回路を含み光ファイバへ入力すべき信号を加工する前処理回路と、光電変換回路を含み光ファイバから出力された信号を電気信号に戻す後処理回路とを有する光信号伝送システムであり、該システムは、前記電気信号の電流に応じ、前記前処理回路または前記後処理回路における電流を調整する電流制御回路を備える。
【0018】
本発明のさらに別の形態では、前記電流制御回路は、前記電気信号の電流に応じ、前記発光回路において発光作用を喚起する電流を調整する。
【0019】
本発明のさらに別の形態では、前記電流制御回路は、前記電気信号の電流の大きさが所定の参照電流の大きさに拮抗するとき、前記電気信号の電流の大きさを保持する記憶回路を有する。
【0020】
本発明のさらに別の形態では、前記記憶回路は、大小二通りの前記参照電流の大きさにそれぞれ対応する二通りの前記電気信号の電流の大きさを個別に保持する回路を有する。
【0021】
本発明のさらに別の形態では、前記後処理回路は、前記電気信号の電流の大きさと前記参照電流の大きさを比較する比較回路を有し、前記電流制御回路は、前記発光作用を喚起する電流の大きさを単調に増加または減少させる回路と、前記電気信号の電流の大きさと前記参照電流の大きさの関係に逆転が生じたとき前記発光作用を喚起する電流の大きさを固定する回路とを含む。
【0022】
本発明のさらに別の形態では、前記電流の大きさを単調に変化させる回路は、インクリメント動作またはデクリメント動作をするカウンタ回路を含み、前記電流の大きさを固定する回路は、前記カウンタ回路のインクリメント動作またはデクリメント動作を停止するマスク回路を含む。
【0023】
本発明のさらに別の形態は、前記電流制御回路にて調整された前記発光作用を喚起する電流の大きさが所定の許容範囲にあるか否かを判定する回路をさらに含む。
【0024】
本発明のさらに別の形態では、前記電流制御回路は、前記電気信号の電流の大きさを計測する計測回路と、前記計測された前記電気信号の電流の大きさをもとに前記電気信号を二値化するための参照電流を設定する基準値生成回路とを備える。
【0025】
本発明のさらに別の形態は、前記参照電流をもとに前記電気信号を二値化する出力回路をさらに備える。
【0026】
本発明のさらに別の形態では、前記計測回路は、前記電気信号の電流の大きさを前記電気信号が表すべき二値のそれぞれについて個別に計測し、前記基準値生成回路は、前記参照電流としてその電流の大きさが前記個別に計測された前記電気信号の電流の大きさの中間値をとるものを生成する。
【0027】
本発明のさらに別の形態では、前記計測回路は、前記電気信号の電流の大きさを前記電気信号がとるべき二値の一方について計測し、前記基準値生成回路は、前記計測された前記電気信号の電流の大きさをもとに、前記電気信号が前記二値のいずれを示すかを判断するために前記電気信号の電流の大きさと比較すべき電流の値を設定する。
【0028】
本発明のさらに別の形態では、前記計測回路によって計測された前記電気信号の電流の大きさが所定の許容範囲にあるか否かを判定する回路をさらに含む。
【0029】
なお、以上の発明の概要は、本発明に必要な特徴のすべてを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明になりうる点に留意すべきである。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を図面を参照しながら説明するが、以下の実施の形態は請求の範囲に係る発明を限定するように解釈されるべきではなく、また実施の形態として説明されている特徴の組合せのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0031】
図2は、レーザーダイオードの駆動電流と明るさの相関をもとに、実施の形態に係る光信号伝送システムにおいて伝送すべき信号(以下この信号を「目的信号」と呼ぶ)を二値化する方法を示す。同図は温度T=T1のときの相関を示し、また閾値電流をIthで示している。この実施の形態においては、目的信号が「0」、「1」の二値をとるものとする。目的信号が受光側で最終的に「0」と判断されるために発光側においてレーザーダイオードに流すべき電流を低駆動電流(図中ILDL)、「1」と判断されるためにレーザーダイオードに流すべき電流を高駆動電流(図中ILDH)呼び、それらふたつの電流の差、すなわち低駆動電流に加えると高駆動電流が生ずるような電流を付加駆動電流(図中ILDA)と呼ぶことにする。この実施の形態では、駆動電流を最適値に設定すべく、目的信号の光の明るさを受光側で観察し、その観察結果をもとに発光側にて前記低駆動電流および高駆動電流を定め、その結果、システム全体の伝送特性を校正する。低駆動電流をゼロではない微弱な電流、ここでは閾値電流を越える値に設定するのは、駆動電流の変化に対するレーザーダイオードの明るさの反応性を高めるためである。
【0032】
図3は実施の形態に係る光信号伝送システム1の構成図である。まず全体の構成を説明し、後にその動作を説明する。同図のごとく光信号伝送システム1は主に、発光側にあって光ファイバ3に入力すべき信号を加工する前処理回路2と、受光側にあって光ファイバ3から出力された信号を加工する後処理回路4と、信号の伝送に異常が発生していないかどうかを確認する判定回路5を含む。ただし、光信号伝送システム1はこれらのうち前処理回路2、後処理回路4のいずれか一方だけで構成されてもよいし、光ファイバ3や判定回路5は必須ではない。この点は以降も同様である。
【0033】
前処理回路2はおもに、レーザーダイオード10で構成される発光回路11と、その発光回路11の駆動電流12を制御する電流制御回路13と、後述する電源電流の補償回路14を含む。
【0034】
電流制御回路13はまず、低駆動電流を流すための低駆動電流源16と、付加電流を流すための付加駆動電流源17をもつ。これらふたつの電流源がともにオンしているとき、駆動電流12として高駆動電流が流れる。前述の反応性の確保のために、低駆動電流は常に流れる構成とする。この結果、レーザーダイオード10は最も暗いときでもわずかに点灯した状態となる。
【0035】
付加駆動電流源17は前処理回路2で加工しようとする目的信号(図中X)が「1」のときだけオンする構成とする。具体的には、発光回路11と付加駆動電流源17の経路にトランジスタ25を間挿し、このトランジスタ25のベースにバッファ26を経た目的信号を入力する。目的信号が「1」のとき、バッファ26の正論理出力がハイになり、トランジスタ25がオンして付加駆動電流が流れる。一方、目的信号が「0」のときは付加駆動電流に相当する補償電流が補償回路14の側に流れる構成とする。これは目的信号の状態によらず電源電流を一定に保つことでシステム全体の特性を一定に保つための配慮であり、高速かつ多ビット伝送に必要になることがある。具体的には、電源につながる負荷抵抗28を介してトランジスタ27を付加駆動電流源17に接続し、バッファ26の負論理出力をトランジスタ27のベースに接続する。このため、目的信号が「0」のときは前記負論理出力がハイとなり、負荷抵抗28を介して補償電流が流れる。
【0036】
電流制御回路13はさらに、低駆動電流源16が流すべき電流値をデジタル値で保持する第1カウンタ20と、第1カウンタ20に保持されたデジタル値をアナログ値へ変換する第1D/Aコンバータ21と、同様に、付加駆動電流源17が流すべき電流値をデジタル値で保持する第2カウンタ22と、第2カウンタ22に保持されたデジタル値をアナログ値へ変換する第2D/Aコンバータ23を有する。第1カウンタ20と第2カウンタ22が記憶回路30を構成し、校正の結果がこの記憶回路30に保持される。第1D/Aコンバータ21の出力45、第2D/Aコンバータ23の出力46はそれぞれ低駆動電流源16、付加駆動電流源17に接続され、これらに流れる電流を制御する。
【0037】
第1カウンタ20および第2カウンタ22は入力されたパルスのエッジを計数するタイプの素子である。ここではシステムの校正動作中に第1カウンタ20、第2カウンタ22をインクリメントするクロック信号32と、いずれのカウンタをインクリメントするかを選択するセレクト信号33と、インクリメント動作の許否を決めるカウント許可信号35が制御に関与する。クロック信号32は校正動作中のみ有効で、それ以外のときはローまたはハイに固定される。これは、通常動作中に誤ってインクリメント動作が生じないための配慮である。クロック信号32はともに3入力の第1ANDゲート36、第2ANDゲート37に入力される。後述のごとく、第1ANDゲート36、第2AND37ゲート37は、それぞれ第1カウンタ20、第2カウンタ22のインクリメント動作を許可および停止するマスク回路として機能する。
【0038】
セレクト信号33はバッファ40に入力され、バッファ40の正論理出力41は第2ANDゲート37へ、負論理出力42は第1ANDゲート36へそれぞれ入力される。カウント許可信号35は第1ANDゲート36、第2ANDゲート37の両方へ入力される。第1ANDゲート36の出力はカウントのトリガ信号として第1カウンタ20へ入力され、一方、第2ANDゲート37の出力は第2カウンタ22へ入力される。この構成において、カウント許可信号35が「1」であると仮定すれば、セレクト信号33が「0」の間はクロック信号32によって第1カウンタ20がインクリメントされ、第2カウンタ22は変化しない。セレクト信号33が「1」の間はクロック信号32によって第2カウンタ22がインクリメントされ、第1カウンタ20は変化しない。カウント許可信号35が「0」になれば、以降、いずれのカウンタも変化しなくなる。後述するが、カウント許可信号35の「1」から「0」への変化は校正動作の終了に対応する。
【0039】
判定回路5は、光ファイバ3またはその端部における伝送損失の検出を主な目的として設けられている。光ファイバ3は一般にコネクタ等によって前処理回路2および後処理回路4などと接続されるが、その接続部分にゴミの付着やよごれがあると伝送損失が大きくなる。この問題はシステムのメンテナンス上、重要な関心事項であり、工数を要するところである。ここでは、後述の校正の結果設定された駆動電流が大きすぎる場合、大きすぎる伝送損失が生じている異常状態と判断する。具体的には、判定回路5は、第1D/Aコンバータ21の出力45と所定の判定レベル48を比較するコンパレータ50と、コンパレータ50の出力をデータ入力とするフリップフロップ51を含む。このフリップフロップ51はネガティブエッジトリガタイプで、カウント許可信号35がそのトリガとして入力されている。したがって、カウント許可信号35がハイからローへ変化したとき、すなわち校正動作が終了したとき、第1D/Aコンバータ21の出力45が判定レベル48よりも高ければ異常検出信号53がハイとなり、異常が報告される。以上が前処理回路2および判定回路5の構成である。
【0040】
後処理回路4は、フォトダイオード60からなる光電変換回路61と、校正のために用いる参照電流63を生成する参照電流源64と、前述光電変換回路61で得られた電気信号(以下、再生電気信号65とよぶ)の電流を参照電流63と比較する電流入力差動コンパレータ66(以下「電流入力差動コンパレータ」を単に「電流コンパレータ」とよぶ)と、バッファアンプ68を含む。参照電流源64と電流コンパレータ66が比較回路70を形成する。電流コンパレータ66の出力が最終出力信号Yと同じ値をとり、バッファアンプ68の負論理出力がカウント許可信号35になる。
【0041】
この構成による校正の基本原理は、参照電流63を順次大小二通りの値に定め、それらの値のそれぞれに対して再生電気信号65の電流が参照電流63に一致するようカウント許可信号35によって前処理回路2の電流制御回路13を制御しすることにある。前記二通りの値の大きいほうの値(以下、高参照電流値という)は目的信号が「1」であることを想定して定められる値、小さいほうの値(以下、低参照電流値という)は同じく「0」であることを想定して定められる値である。再生電気信号65の電流が高参照電流と一致するよう校正を行ったとき、前処理回路2の電流制御回路13では高駆動電流が定まる。同様に、再生電気信号65の電流が低参照電流と一致するよう校正を行ったとき、電流制御回路13では低駆動電流が定まる。いま伝送すべき信号が複数存在するとき、図3の光信号伝送システム1はそれら複数の信号のそれぞれについて設けられる。したがって、後処理回路4も複数存在することになるが、ここではそれら複数の後処理回路4において、高参照電流値、低参照電流値をそれぞれすべて同一の値に設定することにより、発光回路11のレーザーダイオード10の特性のばらつき、伝送損失のばらつき、光電変換回路61のフォトダイオード60の特性のばらつきなど、およそ問題となりうるすべてのばらつきを一括して校正することができる。その結果、信号間のスキューを低減することができる。
【0042】
図4は、実施の形態に係る校正方法の概要を示すフローチャートである。同図のごとく、まず校正のために目的信号の伝送が行われ(S1)、後処理回路4の光電変換回路61で得られた再現電気信号65の電流と参照電流63の比較結果をもとに、発光側の発光作用に関連する電流、または受光側の光電変換に関連する電流を調整する(S2)。図3の構成では発光側の駆動電流が調整される。受光側における電流の調整は別の例で後述する。
【0043】
図5は図4の手順をより詳細に示すフローチャートである。同図のごとく、まず低駆動電流に関する校正のための初期状態を設定する(S10)。ここでは、前処理回路2の第1カウンタ20、第2カウンタ22をともにゼロクリアし、セレクト信号33を「0」に設定する。また、目的信号Xを「0」に設定してトランジスタ25をオフし、低駆動電流源16に調整を加える際に電流が流れるべきでない発光回路11と付加駆動電流源17の経路を絶っておく。
【0044】
この状態で前処理回路2における低駆動電流を定めるべく、後処理回路4の参照電流源64において所定の低参照電流値を設定する(S11)。低参照電流値は、低駆動電流値(図2のILDLの値)が閾値電流値(同図Ithの値)をわずかに上回る値になるよう予め実験等で求めておく。
【0045】
ここまでの処理では、まだ第1カウンタ20、第2カウンタ22とも出力がゼロであり、低駆動電流源16、付加駆動電流源17とも電流を流していない。そのためレーザーダイオード10はまったく発光せず、光ファイバ3を伝わる光はない。したがって、光電変換回路61で得られた再現電気信号65の電流は低参照電流よりも小さくなり、比較回路70の正論理出力はロー、負論理出力はハイ、バッファアンプ68の負論理出力であるカウント許可信号35はハイになる。
【0046】
一方、セレクト信号33はいまローであるから、バッファ40の負論理出力42はハイになり、正論理出力41はローになる。したがって、第1ANDゲート36はクロック信号32を通過させ、第1カウンタ20はクロック信号32のエッジが到達するたびにインクリメントされる。一方、第2ANDゲート37の出力は常にローになるため第2カウンタ22の出力はゼロに固定される。
【0047】
第1カウンタ20のインクリメント動作により、第1D/Aコンバータ21の出力45の値が次第に増加していき、低駆動電流源16が制御され、低駆動電流が少しずつ大きくなる。すると発光回路11は発光を始め、光が光ファイバ3を伝わって後処理回路4へ届く。このため、再生電気信号65の電流が次第に増加し、その電流がある時点で低参照電流よりも大きくなる。その瞬間、比較回路70およびバッファアンプ68の出力が反転し、カウント許可信号35がハイからローへ変化する。この変化に伴い、第1ANDゲート36の出力がローになり、第1カウンタ20のインクリメント動作が禁止される。その結果、所望の低駆動電流が確定する(S12)。
【0048】
図6は判定回路5の動作を示すタイミングチャートである。判定回路5においては、コンパレータ50が第1D/Aコンバータ21の出力45と判定レベル48を常時比較しており、カウント許可信号35がハイからローに変化した瞬間(図中のt=t0のとき)にその比較結果がフリップフロップ51へ記録される。このとき、判定レベル48を越えるほど大きな低駆動電流が設定されていればフリップフロップ51の出力である異常検出信号53がアクティブ、すなわち「1」になり、正常であれば「0」のまま変化しない(S13)。
【0049】
つづいて、高駆動電流に関する校正のための初期状態を設定する(S14)。
ここではセレクト信号33を「1」に設定し、目的信号Xを「1」に設定してトランジスタ25をオンし、発光回路11と付加駆動電流源17の経路をつなぐ。
【0050】
この状態で後処理回路4の参照電流源64において所定の高参照電流値を設定する(S15)。高参照電流値は、目的信号Xが「1」を示すことに対応するため、高駆動電流値(図2のILDHの値)が十分に大きくなるよう定める。
【0051】
セレクト信号33はいまハイであるから、バッファ40の負論理出力42はローになり、正論理出力41はハイになる。したがって、第2ANDゲート37はクロック信号32を通過させ、第2カウンタ22はクロック信号32のエッジが到達するたびにインクリメントされる。一方、第1ANDゲート36のカウント値には変化がない。
【0052】
第2カウンタ22のインクリメント動作により、第2D/Aコンバータ23の出力46の値が次第に増加していき、付加駆動電流源17が制御され、付加駆動電流が少しずつ大きくなる。このとき、低駆動電流も定常的に流れているため、付加駆動電流と低駆動電流の合計が高駆動電流として発光回路11に流れる。発光回路11で生じた光は光ファイバ3を伝わって後処理回路4へ届く。再生電気信号65の電流は次第に増加し、ある時点で高参照電流よりも大きくなる。その瞬間、比較回路70およびバッファアンプ68の出力が反転し、カウント許可信号がハイからローへ変化する。この変化に伴い、第2ANDゲート37の出力がローになり、第2カウンタ22のインクリメント動作が禁止される。その結果、付加駆動電流が定まってその値が第2カウンタ22に保持され、低駆動電流と付加駆動電流の合計である高駆動電流が確定する(S16)。
【0053】
以上ですべての校正が終了する。以降の通常動作に際し、まず後処理回路4の参照電流63が低参照電流と高参照電流の中間値、たとえば中央値となるよう参照電流源64の制御を固定しておく。目的信号Xが「0」のときは、再生電気信号65の電流が低参照電流と等しいはずなので、前記中間値との比較により、確実に「0」として扱うことができる。一方、目的信号Xが「1」のときは、再生電気信号65の電流が高参照電流と等しいはずなので、前記中間値との比較により、確実に「1」として扱うことができる。この実施の形態によれば、伝送すべき複数信号間のスキューの軽減はもとより、前記中間値を適切に設定することで高速クロック信号を伝送したときであってもそのデューティ比を相当正確に維持することができる。これらの特徴は、光信号伝送システム1全体の高速化に好都合である。なお、校正動作は適宜行えばよく、レーザーダイオード10の特性を考え、たとえば光信号伝送システム1の周囲温度がある程度変化したときは行うことが望ましい。
【0054】
図7は別の実施の形態に係る光信号伝送システム100の構成図である。この光信号伝送システム100は、図4のS2において、受光側の光電変換に関連する電流を調整する例である。この実施の形態では、前処理回路101における低駆動電流と高駆動電流はそれぞれ固定値であるものとし、後処理回路102でそれらに一致するよう低参照電流と高参照電流をそれぞれ調整することにより、図3の構成同様の効果を得るものである。ここでは低駆動電流は閾値電流を越えているものとする。図7において図3と同じ構成には同じ符号を与え、適宜その説明を省略する。
【0055】
この実施の形態においても、光信号伝送システム100は主に前処理回路101、光ファイバ3、後処理回路102、および判定回路5を含む。ただし、判定回路5は後処理回路102に併設されており、その入力の論理が図3の場合と逆になっている。後処理回路102は、光電変換回路61と、参照電流63を調整する電流制御回路110と、その調整の準備として再生電気信号65の電流値を計測する計測回路111と、低参照電流および高参照電流の中間値を生成する基準値生成回路112と、バッファアンプ114をもつ。
【0056】
電流制御回路110はまず、低参照電流の値を保持する第3カウンタ120と、第3カウンタ120の出力をアナログ値へ変換する第3D/Aコンバータ121と、高参照電流の値を保持する第4カウンタ122と、第4カウンタ122の出力をアナログ値へ変換する第4D/Aコンバータ123をもつ。低参照電流源130は第3D/Aコンバータ121の出力125によって制御され、同じ特性をもつふたつの電流源である第1付加参照電流源133と第2付加参照電流源134は、ともに第4D/Aコンバータ123の出力126によって制御される。これら3個の電流源はいずれも参照電流を生成するものとして電流コンパレータ140の負入力に接続されているが、第2付加参照電流源134と前記負入力の間にそれらの経路を絶つためのスイッチ142が設けられている。これら3つの電流源およびスイッチ142が基準値生成回路112を形成する。電流コンパレータ140の正負の出力はそれぞれバッファアンプ114の正負の入力となる。
【0057】
電流制御回路110はさらに、第3カウンタ120および第4カウンタ122のインクリメント動作をそれぞれ制御する3入力の第3ANDゲート150、第4ANDゲート151を有する。クロック信号152は第3ANDゲート150、第4ANDゲート151に共通して入力され、インクリメントすべきカウンタを選択するセレクト信号155はバッファ156に入力され、バッファ156の正論理出力158は第4ANDゲート151へ、負論理出力159は第3ANDゲート150へそれぞれ入力される。第3ANDゲート150と第4ANDゲート151にはさらに、バッファアンプ114の出力であるカウント許可信号162が入力される。なお、バッファアンプ114の出力は光信号伝送システム100の最終出力信号Yと同じ値をとる。
【0058】
後処理回路102に関する以上の構成のうち、光電変換回路61およびバッファアンプ114以外の部分が電流制御回路110全体に相当し、電流制御回路110から電流コンパレータ140を除いた部分が計測回路111に相当する。ただし、いずれの回路要素をいずれの機能ブロックに含めるかについては、当然ながら相当の自由度があり、各機能ブロックについて限定的な解釈をすべきではない。
【0059】
判定回路5の構成は図3のものと同等であるが、コンパレータ50において判定レベル48と比較される対象は第4D/Aコンバータ123の出力126である。判定レベル48はコンパレータ50の正入力に、第4D/Aコンバータ123の出力126は同じく負入力に接続される。フリップフロップ51のトリガにはカウント許可信号162を用いる。ただし、後述するごとく、この部分に関する設計の自由度も大きい。
【0060】
図8は、以上の構成による校正動作を示すフローチャートである。同図のごとく、まず低参照電流に関する校正のための初期状態を設定する(S20)。ここでは、第3カウンタ120、第4カウンタ122をともにゼロクリアし、セレクト信号155を「0」に設定する。また、スイッチ142をオンにしておく。
【0061】
つづいて目的信号Xを「1」に設定する(S21)。トランジスタ25はオフになり、低駆動電流源16に起因する低駆動電流のみが発光回路11に流れる。発光回路11で生じた光は光ファイバ3を経て光電変換回路61に入り、再生電気信号65の電流が電流コンパレータ140の正入力に与えられる。初期状態において低参照電流源130、第1付加参照電流源133、第2付加参照電流源134はいずれも電流を流していないから、電流コンパレータ140の負入力に与えられる参照電流63はゼロである。したがって、電流コンパレータ140の正論理出力はハイ、負論理出力はローとなり、バッファアンプ114の出力であるカウント許可信号162はハイになる。
【0062】
セレクト信号155はいまローであるから、バッファ156の負論理出力159はハイになり、正論理出力158はローになる。したがって、第3ANDゲート150はクロック信号152を通過させ、第3カウンタ120はクロック信号152のエッジが到達するたびにインクリメントされる。一方、第4ANDゲート151の出力は常にローになるため第4カウンタ122の出力はゼロに固定される。
【0063】
第3カウンタ120のインクリメント動作により、第3D/Aコンバータ121の出力125の値が次第に増加していき、低参照電流源130が制御され、低参照電流が少しずつ大きくなる。低参照電流が再生電気信号65の電流を越えた瞬間、電流コンパレータ140およびバッファアンプ114の出力が反転し、カウント許可信号162がハイからローへ変化する。この変化に伴い、第3ANDゲート150の出力がローになり、第3カウンタ120のインクリメント動作が禁止される。その結果、所望の低参照電流が確定する(S22)。
【0064】
つづいて、高参照電流に関する校正のための初期状態を設定する(S23)。ここではセレクト信号155を「1」に設定する。また、目的信号Xを「0」に設定して(S24)トランジスタ25をオンし、発光回路11と付加駆動電流源17の経路をつなぐ。この結果、発光回路11には低駆動電流と付加駆動電流の合計である高駆動電流が流れる。発光回路11で生じた光は光ファイバ3を経て光電変換回路61に入り、再生電気信号65の電流が電流コンパレータ140の正入力に与えられる。この時点では、まだ低参照電流源130による低参照電流のみが電流コンパレータ140の負入力に与えられているため、電流コンパレータ140の正論理出力はハイ、負論理出力はローとなり、バッファアンプ114の出力であるカウント許可信号162はハイになる。
【0065】
セレクト信号155はいまハイであるから、バッファ156の負論理出力159はローになり、正論理出力158はハイになる。したがって、第4ANDゲート151はクロック信号152を通過させ、第4カウンタ122はクロック信号152のエッジが到達するたびにインクリメントされる。一方、第3ANDゲート150の出力はローになるため第3カウンタ120のカウント値は変化しない。
【0066】
第4カウンタ122のインクリメント動作により、第4D/Aコンバータ123の出力126の値が次第に増加していき、第1付加参照電流源133および第2付加参照電流源134が同じ制御を受け、付加参照電流が少しずつ大きくなる。付加参照電流と低参照電流の合計である高参照電流が再生電気信号65の電流を越えた瞬間、電流コンパレータ140およびバッファアンプ114の出力が反転し、カウント許可信号162がハイからローへ変化する。この変化に伴い、第4ANDゲート151の出力がローになり、第4カウンタ122のインクリメント動作が禁止される。その結果、所望の高参照電流が確定する(S25)。
【0067】
カウント許可信号162がハイからローへ変化するとき、判定回路5において判定が行われる。伝送損失が大きい場合、確定した高参照電流は小さくなる。しがって、この高参照電流が所定の判定レベル48を下回るときには、フリップフロップ51の出力である異常検出信号53がハイになり、異常の存在が報告される(S26)。
【0068】
つづいて、低参照電流と高参照電流の中間値、望ましくは平均値に近い値を生成する(S27)。結論からいえばこのための操作はスイッチ142をオフすれば足りる。いま低参照電流をIrefL、付加参照電流をIrefA、高参照電流をIrefHと表記すれば、まず、
【0069】
IrefH=IrefL+IrefA (式1)
がなりたつ。第1付加参照電流源133と第2付加参照電流源134は同じ値の電流IrefA/2を流しているから、スイッチ142をオフにすることで参照電流63(Irefと表記)は、
【0070】
Iref=IrefL+IrefA/2 (式2)
となる。一方、低参照電流と高参照電流の平均値IrefAVEは、
【0071】
IrefAVE=(IrefH+IrefL)/2 (式3)
であり、式1から3を比較すれば参照電流63が前記平均値に一致すること、すなわち、
Iref=IrefAVE
がわかる。スイッチ142をオフのまま校正動作を終了すれば、以降の通常動作において、目的信号Xの「1」「0」を正しく識別することができる。この実施の形態でも、前処理回路101と後処理回路102の両方を考慮した校正が実現するため、図3の構成同様の効果を得ることができる。
【0072】
なお、ここでは判定回路5において第4D/Aコンバータ123の出力126を調べたが、これは第3D/Aコンバータ121の出力125であってもよいし、出力125と出力126をアナログ加算した値でもよい。その場合、当然ながら判定レベル48はより低い値に設定する。いままではシステムの異常として伝送損失を考えたが、逆に光ファイバ3に無用の光が混入するという故障モードを考えた場合、第3D/Aコンバータ121の出力125または第4D/Aコンバータ123の出力126をコンパレータ50の負入力に接続し、正入力には許容範囲の上限を示す判定レベルを与えることも可能である。もちろん、許容範囲の上下限の両方を確認するためにコンパレータをふたつ用いてそれらの出力をオアしてフリップフロップ51へ投入する構成であってもよい。
【0073】
図9は図7の後処理回路102に関する別の実施の形態の構成図である。この後処理回路200は、図7の後処理回路102において低参照電流に関連する回路をほぼ削除したものであり、その基本思想は高参照電流のみを確定し、後にその値からさきほどの中間値に相当する参照電流63を作るというものである。ここでも既出の構成には以前と同じ符号を与え、適宜説明を略す。
【0074】
この実施の形態における電流制御回路201は、電流コンパレータ140と計測回路202をもつ。計測回路202は、基準値生成回路203と、カウンタ206、D/Aコンバータ207、クロック信号209およびバッファアンプ114の出力であるカウント許可信号210を入力する2入力のANDゲート212をもつ。ANDゲート212の出力がカウンタ206のインクリメント動作のトリガ信号である。基準値生成回路203はふたつの参照電流源である第1参照電流源216と第2参照電流源217を含み、これらの電流源は参照電流を生成するものとして電流コンパレータ140の負入力に接続されている。ただし、第2参照電流源と前記負入力の間にはスイッチ220が設けられている。これらふたつの電流源に同じ制御を加えたとき、第2参照電流源217は第1参照電流源216のk倍の電流を流すものとし、両者の電流をそれぞれIref1、Iref2と表記する。
【0075】
以上の構成による動作は以下のとおりである。まず、カウンタ206をゼロクリアし、スイッチ220をオンにしておく。この時点では第1参照電流源216、第2参照電流源217とも電流を流していない。目的信号Xが「1」に設定されたとき、電流コンパレータ140の正論理出力はハイとなり、バッファアンプ114の出力であるカウント許可信号210がハイになる。その結果、クロック信号209がANDゲート212を通過し、カウンタ206のインクリメントが開始される。第1参照電流源216、第2参照電流源217は次第に電流を流し始め、参照電流63はある瞬間に再生電気信号65の電流を上回る。カウント許可信号210はハイからローへ変化し、カウンタ206のインクリメント動作が禁止される。目的信号Xは「1」であったため、この時点で参照電流63は高参照電流に設定され、その値は、
【0076】
IrefH=Iref1+Iref2 (式4)
となる。つづいて、スイッチ220をオフにする。第2参照電流源217が切り離され、参照電流63は、
【0077】
Iref=Iref1 (式5)
となる。Iref2=k・Iref1と仮定したから、式4、5と見比べて、
【0078】
Iref=IrefH/(1+k) (式6)
となる。ここで仮にk=1とすれば参照電流63は高参照電流のちょうど1/2になる。低参照電流がゼロではないことを考えれば、式6において、例えば、
【0079】
Iref=0.6・IrefH
となるようkの値を定める方法が考えられる。以上、この実施の形態の後処理回路200によれば、比較的簡単な構成で図7の後処理回路200に近い効果を得ることができる。
【0080】
図10はさらに別の実施の形態に係る後処理回路300の構成図である。この後処理回路300は光電変換回路61と、電流制御回路301とを含む。電流制御回路301は、再生電気信号の電流を受けた抵抗350に現れる電位352(以下、再生電気信号352とする)と参照電圧354を比較するコンパレータ306と、その出力を受けて再生電気信号352の電流を計測する計測回路302を含む。計測回路302はまず、コンパレータ306の正負の出力をそれぞれ正負の入力に受ける差動誤差増幅器315をもつ。コンパレータ306の正出力と差動誤差増幅器315の正入力を結ぶ経路には第1スイッチ310が間挿され、コンパレータ306の負出力と差動誤差増幅器315の負入力を結ぶ経路には第2スイッチ311が間挿されている。計測回路302はさらに、差動誤差増幅器315の出力335を受けるA/Dコンバータ320と、そのA/Dコンバータ320の出力データを保持するメモリ322と、そのメモリ322に保持されたデータをもとに、低参照電圧と高参照電圧の中間値を導出する中間値算出部323と、その中間値をアナログ値へ変換するD/Aコンバータ326をもつ。メモリ322と中間値算出部323が基準値生成回路304を形成する。第3スイッチ340は、D/Aコンバータ326の出力と差動誤差増幅器315の出力335の一方をコンパレータ306の負入力に接続する。
【0081】
以上の構成による校正動作を説明する。まず校正のための初期状態として、第1スイッチ310と第2スイッチ311をオンし、第3スイッチ340をA/Dコンバータ320の側に設定する。このとき、コンパレータ306から差動誤差増幅器315を経て再びコンパレータ306に戻るフィードバックループが形成され、コンパレータ306の正入力と負入力のイマジナリーショートにより、差動誤差増幅器315の出力335がコンパレータ306の正入力と同電位になる。この電位がA/Dコンバータ320でデジタル値に変換され、メモリ322へ出力される。
【0082】
この状態において、まず目的信号Xを「0」に設定する。再生電気信号352の電流と参照電圧354が一致し、参照電圧354の値が低参照電圧値になる。低参照電圧値、より正しくは、それに対応する差動誤差増幅器315の出力335の電圧がA/Dコンバータ320を経てメモリ322に格納される。
【0083】
つづいて、目的信号を「1」に設定する。その結果、高参照電圧値、より正しくは、それに対応する差動誤差増幅器315の出力335の電圧がA/Dコンバータ320を経てメモリ322に格納される。以上で校正に必要な情報が得られたことになる。
【0084】
つぎに、中間値算出部323は、メモリ322に保持された低参照電圧と高参照電圧の中間値、たとえば中央値を算出する。算出された中間値はD/Aコンバータ326を経てアナログ値へ変換される。D/Aコンバータ326がそのアナログ値を出力する状況が生じたとき、校正は完了する。
【0085】
この後、第1スイッチ310、第2スイッチ311をともにオフし、第3スイッチ340をD/Aコンバータ326の側に設定することにより、前記中間値が参照電圧354としてコンパレータ306の負入力に入力され、所期の目的が達成される。
【0086】
これまでにいくつかの実施の形態を説明したが、以下変更例を挙げる。
【0087】
まず、図3の前処理回路2において第1カウンタ20、第2カウンタ22はインクリメント動作をするものとしたが、これらはデクリメント動作をするものでもよい。その場合、再生電気信号65の電流は校正開始直後に最大になるため、インクリメント動作のときとカウント許可信号35の論理が逆になる。したがって、カウント許可信号35としてバッファアンプ68の負論理出力ではなく、正論理出力を用いればよい。同様の変更は、図7の後処理回路102の第3カウンタ120、第2カウンタ122についても可能である。その場合もカウント許可信号162の論理が逆になるため、バッファアンプ114に負論理出力を設け、それをカウント許可信号162として利用する。
【0088】
他の変更例として、図3の前処理回路2において、第1カウンタ20、第2カウンタ22のカウンタ動作を禁止するために、クロック信号32をマスクする構成としたが、たとえばカウント許可信号35をそれらのカウンタのカウントイネーブル信号として利用してもよい。その場合、校正動作中以外のときでもクロック信号32を停止する必要がなくなる。同様の変更は、図7の後処理回路102の第3カウンタ120、第2カウンタ122についても可能である。
【0089】
以上、本発明の実施の形態といくつかの変更例を説明したが、本発明の技術的範囲は以上の記載の範囲には限定されない。さらに別の変更または改良が可能なことは当業者には理解されるところである。そうした変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、光信号伝送システムで伝送すべき信号に所望の校正を加えることが可能になる。とくに、光信号伝送システムで伝送すべき複数の信号のスキューを軽減したり、信号のデューティ比を維持することが容易になる。これらの特徴は、光信号伝送システムによる伝送の高速化に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 レーザーダイオードの駆動電流と明るさの相関図である。
【図2】レーザーダイオードの駆動電流と明るさの相関をもとに、目的信号を二値化する方法を説明する図である。
【図3】 ひとつの実施の形態に係る光信号伝送システムの構成図である。
【図4】 実施の形態に係る光信号伝送システムの校正方法の概要を示すフローチャートである。
【図5】図4の手順をより詳細に示すフローチャートである。
【図6】判定回路の動作に関するタイミングチャートである。
【図7】 別の実施の形態に係る光信号伝送システムの構成図である。
【図8】図7の光信号伝送システムにおける校正動作を示すフローチャートである。
【図9】図7の後処理回路に関する別の実施の形態の構成図である。
【図10】さらに別の実施の形態に係る後処理回路の構成図である。
【符号の説明】
1,100 光信号伝送システム
2,101 前処理回路
3 光ファイバ
4,102,200,300 後処理回路
5 判定回路
10 レーザーダイオード
11 発光回路
12 駆動電流
13,110,201,301 電流制御回路
14 補償回路
16 低駆動電流源
17 付加駆動電流源
20 第1カウンタ
21 第1D/Aコンバータ
22 第2カウンタ
23 第2D/Aコンバータ
25,27 トランジスタ
26 バッファ
28 負荷抵抗
30 記憶回路
32,152,209 クロック信号
33,155 セレクト信号
35,162,210 カウント許可信号
36 第1ANDゲート
37 第2ANDゲート
40,156 バッファ
41 バッファ40の正論理出力
45 第1D/Aコンバータ21の出力
46 第2D/Aコンバータ23の出力
48 判定レベル
50 コンパレータ
51 フリップフロップ
53 異常検出信号
60 フォトダイオード
61 光電変換回路
63 参照電流
64 参照電流源
65,352 再生電気信号
66,140,306 電流コンパレータ
68, 114 バッファアンプ
70 比較回路
110,201 電流制御回路
111,202,302 計測回路
112,203,304 基準値生成回路
120 第3カウンタ
121 第3D/Aコンバータ
122 第4カウンタ
123 第4D/Aコンバータ
125 第3D/Aコンバータ121の出力
126 第4D/Aコンバータ123の出力
130 低参照電流源
133 第1付加参照電流源
134 第2付加参照電流源
142,220 スイッチ
150 第3ANDゲート
151 第4ANDゲート
158 バッファ156の正論理出力
206 カウンタ
207 D/Aコンバータ
212 ANDゲート
216 第1参照電流源
217 第2参照電流源
310 第1スイッチ
311 第2スイッチ
315 差動誤差増幅器
320 A/Dコンバータ
322 メモリ
323 中間値算出部
326 D/Aコンバータ
340 第3スイッチ
350 抵抗
352 抵抗350によって生ずる電圧
354 参照電圧

Claims (6)

  1. 発光作用によって光信号を生成するための低駆動電流及び高駆動電流を制御する電流制御回路と、
    光ファイバの入力端に前記光信号を印加することにより前記光ファイバの出力端に現れる光信号を光電変換によって電気信号である再生電気信号に戻す光電変換回路と
    低参照電流、高参照電流及び参照電流を生成する参照電流源と、
    通常動作において、前記再生電気信号の電流の大きさと前記参照電流の大きさとを比較して前記再生電気信号を二値化する比較回路と
    を有する光信号伝送システムで前記低駆動電流及び前記高駆動電流の大きさを校正するための校正方法であって、
    前記通常動作に先立って、前記電流制御回路は前記低駆動電流及び前記高駆動電流の大きさを徐々に変化させつつ、前記光信号を前記光ファイバに入力して前記再生電気信号を生成する段階と、
    前記比較回路は、前記再生電気信号の電流の大きさ前記低参照電流の大きさとを比較して、電流の大小関係が逆転したときに前記低駆動電流を確定することで、前記低駆動電流の大きさを校正するとともに、前記再生電気信号の電流の大きさと前記高参照電流の大きさとを比較して、電流の大小関係が逆転したときに前記高駆動電流を確定することで、前記高駆動電流の大きさを校正する段階と、
    を含むことを特徴とする光信号伝送システムの校正方法。
  2. 前記低参照電流は、前記光信号がゼロではない微弱な強度にある状態を想定して定められることを特徴とする請求項1に記載の光信号伝送システムの校正方法。
  3. 校正された前記低駆動電流及び前記高駆動電流の大きさが、所定の許容範囲にあるか否かを判定する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光信号伝送システムの校正方法。
  4. 発光作用によって光信号を生成するための低駆動電流及び高駆動電流を制御する電流制御回路と、
    光ファイバの入力端に前記光信号を印加することにより前記光ファイバの出力端に現れる光信号を光電変換によって電気信号である再生電気信号に戻す光電変換回路と
    低参照電流、高参照電流及び参照電流を生成する参照電流源と、
    通常動作において、前記再生電気信号の電流の大きさと前記参照電流の大きさとを比較して前記再生電気信号を二値化する比較回路と
    を有する光信号伝送システムで前記低参照電流、前記高参照電流及び前記参照電流の大きさを校正するための校正方法であって、
    通常動作に先立って、前記光信号を前記光ファイバに入力して前記再生電気信号を生成する段階と、
    前記低参照電流の大きさを徐々に変化させて、前記比較回路は前記低駆動電流に対応する前記再生電気信号の電流の大きさ前記低参照電流の大きさとを比較して、電流の大小関係が逆転したときに前記低参照電流を確定することで、前記低参照電流の大きさを校正するとともに、前記高参照電流の大きさを徐々に変化させて、前記比較回路は前記高駆動電流に対応する前記再生電気信号の電流の大きさと前記高参照電流の大きさとを比較して、電流の大小関係が逆転したときに前記高参照電流を確定することで、前記高参照電流の大きさを校正する段階と、
    校正した前記低参照電流及び前記高参照電流から前記参照電流を生成することにより、前記参照電流を校正する段階と
    を含むことを特徴とする光信号伝送システムの校正方法。
  5. 前記参照電流は、前記低参照電流と前記高参照電流の中間値であることを特徴とする請求項4に記載の光信号伝送システムの校正方法。
  6. 校正された前記参照電流が、所定の許容範囲にあるか否かの判定を行う段階をさらに含むことを特徴とする請求項4または5に記載の光信号伝送システムの校正方法。
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