JP3630307B2 - シートの搬送機構及びシートの搬送方法並びにこれらを用いた写真処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートの搬送機構及びシートの搬送方法に関するものであり、特に、写真処理装置に適したものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、写真処理装置、印刷装置等、シート状の被処理物を扱う装置にあっては、処理内容の異なる処理部を複数有し、各処理部間及び各処理部内で搬送機構により被処理物を搬送し、各処理部内で目的の処理を施した後、結果物として取り出す構成が採用されている。
【0003】
この場合、写真処理装置を例にとって概略を述べると、マガジンからロール状に巻回された長尺の感光材料(シート状の被処理物)を引き出し、所定長さに切断して露光部に搬送し、ここで露光処理を施こした後、現像処理部に搬送し、ここで現像処理を施した後に写真プリントとして排出するものであり、マガジンから排出までの感光材料の搬送は、搬送機構により行われる。
【0004】
搬送機構としては、複数対の圧着ローラ及び駆動ローラによって感光材料を挟持しつつ、該駆動ローラの回転をもって感光材料を送る方式、一対の駆動ベルトによって感光材料を挟持しつつ、該駆動ベルトの無端走行をもって感光材料を送る方式、挟持部材によって感光材料を挟持しつつ、該挟持部材の移動走行をもって感光材料を送る方式などがあり、これらの方式の搬送機構がそれぞれ単独であるいは複合的に装置内に組み込まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる搬送機構にあっては、感光材料が搬送機構内部で搬送方向(進行方向)に対して傾いた状態(いわゆる「斜行」した状態)や本来の位置から幅方向(搬送方向と直交する方向)にずれた状態(いわゆる「蛇行」した状態)となって搬送されることがある。特に、ローラ方式の搬送機構は、ローラの圧着力が幅方向において不均一になるなどの原因により、感光材料が斜行や蛇行する傾向が強い。そして、このような事態が生じると、例えば写真処理装置の場合、感光材料が斜行や蛇行した状態のままで露光部に搬送され、該露光部内において形成される画像が感光材料に対して傾いたり横ずれしたものとなってしまい、写真プリントの商品価値が損なわれてしまうこととなる。
【0006】
このため、かかる感光材料の斜行や蛇行を防止すべく、搬送機構、特にローラ方式の搬送機構には、感光材料の両側縁に摺接して幅方向の規制を加える一対のガイド部材(幅規制部材)が設けられることがある。しかしながら、通常、ガイド部材と感光材料の側縁との間にはある程度のクリアランスが設定されるため、この範囲内で感光材料が斜行や蛇行する可能性があり、クリアランスの程度によっては、斜行した場合の影響を無視することはできない。また、クリアランスを無くしたとしても、ローラ等の搬送力により方形状の感光材料の角が撓んでガイド部材間を斜行することもある。そして、感光材料には、常にローラ等の圧着力が付勢された状態であるため、ガイド部材が設けられているにも関わらず、一旦斜行や蛇行した感光材料の姿勢を矯正するのは困難である。
【0007】
そこで、本発明は、上記の如き問題点に鑑みてなされたもので、結果物の質に特に影響を与える搬送過程における被処理物の斜行を好適に矯正することができ、併せて、被処理物の蛇行をも好適に矯正することができるシートの搬送機構及びシートの搬送方法並びにこれらを用いた写真処理装置を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係るシートの搬送機構は、シート状の被処理物を挟持する姿勢と挟持しない姿勢とに変更可能な挟持手段を上下方向に適宜配置し、挟持手段によって被処理物を挟持しつつ、該挟持手段の駆動をもって被処理物を上方に位置する下流側の挟持手段に送り出すように構成されたシートの搬送機構において、所定の挟持手段は、上流側の挟持手段から抜けた被処理物を所定時間挟持しないように制御され、その際、該上流側の挟持手段は、抜けた被処理物が搬送方向と平行になるようにその下端を支持するようになっていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るシートの搬送方法は、上記シートの搬送機構に対応するもので、シート状の被処理物を挟持する姿勢と挟持しない姿勢とに変更可能な挟持手段を上下方向に適宜配置し、挟持手段によって被処理物を挟持しつつ、該挟持手段の駆動をもって被処理物を上方に位置する下流側の挟持手段に送り出すようにしたシートの搬送方法であって、被処理物が所定の挟持手段から抜けてから所定時間、該被処理物に掛かる下流側の挟持手段を挟持しない姿勢にしておき、その際、抜けた被処理物が搬送方向と平行になるようにその下端を前記所定の挟持手段で支持させ、しかる後、下流側の挟持手段を挟持する姿勢に変更すると共に、該下流側の挟持手段を駆動させて被処理物をさらに上方に送るようにしたことを特徴とする。
【0010】
これらの発明によれば、被処理物は、所定の挟持手段から抜けてから所定時間、何れの挟持手段にも挟持されていない自由な状態となって、その自重により挟持手段の上に乗り掛かる格好となる。この時、被処理物がそれまで傾いた状態にあれば、挟持手段との当接を受けてその姿勢が矯正されて、被処理物は搬送方向と平行に位置決めされる。従って、以後の被処理物は、搬送方向に沿って平行な状態で下流側に搬送されることとなる。
【0011】
また、請求項2記載の如く、挟持手段は、回転駆動制御される駆動ローラと、該駆動ローラに対して圧着・離間する圧着ローラとからなるローラ対である場合のシートの搬送方法は、請求項6記載の如く、挟持手段は、回転駆動制御される駆動ローラと、該駆動ローラに対して圧着・離間する圧着ローラとからなるローラ対であり、所定のローラ対における駆動ローラの回転に伴って被処理物の上端が下流側のローラ対に進入する際、該下流側のローラ対における圧着ローラを離間させ且つ該下流側のローラ対における駆動ローラを所定期間回転させておき、しかる後、所定のローラ対から被処理物が抜けると、該所定のローラ対における駆動ローラの回転を停止し、さらに、所定時間経過後、下流側のローラ対における圧着ローラを再度圧着させた後、該下流側のローラ対における駆動ローラを再度回転させて、被処理物をさらに上方に送るようにした構成を採用することができる。
【0012】
被処理物の上端が下流側のローラ対に進入する際、該下流側のローラ対における圧着ローラを離間させ且つ該下流側のローラ対における駆動ローラを所定期間回転させておくのは、被処理物の先端(上端)がローラ対に引っ掛かり、搬送性が阻害されることがあるからである。ローラ対から被処理物が抜けて、該ローラ対における駆動ローラの回転を停止すれば、被処理物は、挟持による拘束が解除された自由な状態であるため、ローラ対の駆動ローラ及び圧着ローラ間上で起立した格好となる。そして、この時、被処理物は、その後端(下端)がローラの軸方向に沿った格好となるので、搬送方向と平行に位置決めされている。従って、以後の被処理物は、搬送方向に沿って平行な状態で下流側に搬送されることとなる。尚、圧着ローラを再度圧着させる際に、対応する駆動ローラの回転を停止させた状態にしておくのは、駆動ローラが回転している状態で圧着ローラを圧着させると、その際に被処理物が搬送方向に対して傾いた状態になることがあるからである。
【0013】
また、本発明に係るシートの搬送機構は、請求項3記載の如く、搬送方向と直交する方向における被処理物の移動を規制する一対の幅規制部材をさらに備え、また、請求項4記載の如く、一対の幅規制部材は、搬送方向と直交する方向における搬送中心に対して左右対称に接離して、間隔が可変となるような構成を採用するのが好ましい。これにより、幅サイズの異なる各種の被処理物に対応しつつ、被処理物の蛇行(横ずれ)をも好適に矯正することができる。
【0014】
そして、本発明に係る写真処理装置は、被処理物は、露光部にて露光処理が施される感光材料であり、請求項1乃至4記載のシートの搬送機構が感光材料を露光部の上流側に設けられ、あるいは請求項5又は6記載のシートの搬送方法が露光部の上流側で実施されることを特徴とするものである。かかる構成からなる写真処理装置にあっては、感光材料を常に斜行あるいは蛇行の無い状態で露光部に供給することができるようになる。従って、常に品質の高い写真プリントを提供することができるのである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るシートの搬送機構を採用した写真処理装置の実施形態を図面を参酌しつつ説明するが、まず始めに、本実施形態に係る写真処理装置の概略構成について図1に基づき説明する。
【0016】
本実施形態に係る写真処理装置1は、機能上、装置本体の長手方向(横方向)の略中央部位を境として、上流側のプリンタ部Aと、下流側のプロセッサ部Bとに分けられる。プリンタ部Aでは、マガジン2から供給された感光材料Pを露光部5にて一定速度で搬送させながら、デジタル画像データに基づく画像の走査露光処理が施される。そして、プロセッサ部Bでは、露光処理された感光材料Pを発色処理タンク、定着処理タンク、安定処理タンク等の各種の処理タンク(図示しない)内の処理液に順次浸漬させて、現像、漂白、定着、安定化等の処理が施され、しかる後、乾燥処理が施され、さらにオーダー仕分部12にて乾燥された感光材料Pがオーダー毎に仕分けられる。
【0017】
プリンタ部Aには、長尺の感光材料Pをロール状に巻回して収納する一対のマガジン2,2が着脱自在に内装されている。選択された一のマガジン2から引き出された感光材料Pは、第一搬送ユニット3へと導かれる。第一搬送ユニット3内には、カッタ(図示しない)が配置されており、第一搬送ユニット3内に導かれた感光材料Pは、その幅方向(感光材料Pの搬送方向と直交する方向)に所定の長さに切断されて方形状となった後、本実施形態における特徴部分である第二搬送ユニット4(これについては、後述する)へと送り出される。第二搬送ユニット4は、下方位置にて受け取った感光材料Pを上方に位置する露光部5へと送り出す搬送ユニットであって、第一搬送ユニット3と同様、メンテナンス容易化のために、装置本体から引き出し可能に構成されている。
【0018】
露光部5は、感光材料Pに対してデジタル画像データに基づく画像の露光処理を行うもので、R,G,B各色に対応する波長のレーザー光のビームをポリゴンミラーを介して主走査方向(感光材料Pの搬送方向と直交する方向)に照射する露光ヘッド6と、該露光ヘッド6の露光ポイントを挟んで上流側及び下流側に配置された2対の副走査用ローラ対8,8を備えた第三搬送ユニット7とを備え、第二搬送ユニット4から受け取った感光材料Pを副走査用ローラ対8で副走査方向に一定速度で搬送させながらライン状の露光を行っていく、いわゆる走査露光方式を採用している。
【0019】
露光部5にて露光されて乳剤面に潜像が形成された感光材料Pは、次に、第四搬送ユニット9、第五搬送ユニット10に順次供給されてこれらを通過する。そして、第五搬送ユニット10から排出された感光材料Pは、第六搬送ユニット11へと送り出される。第六搬送ユニット11は、ここまで一列搬送されてきた感光材料Pを2列或いはそれ以上の列に振り分けて並列搬送された状態にする振り分け機構を備えている。
【0020】
図2及び図3に示す如く、第二搬送ユニット4は、搬送経路の上流側(下方側)から下流側(上方側)にかけて互いに適宜間隔を有する、第一ローラ対21、第二ローラ対22、第三ローラ対23、第四ローラ対24、第五ローラ対25、第六ローラ対26、第七ローラ対27、第八ローラ対28、第九ローラ対29からなる複数のローラ対を備え、駆動ローラ21a〜29a及び圧着ローラ21b〜29bによって感光材料Pを挟持しつつ、該駆動ローラ21a〜29bの回転をもって感光材料Pを下方位置から上方位置に搬送する構成となっている。
【0021】
また、第二搬送ユニット4は、幅方向に間隔を有して対向する一対の側板15,15と、該側板15の下端位置から上下方向の略中間位置にかけて一対の側板15,15間に跨って配設され、上下方向の略中間位置にて略く字状に屈曲された第一ガイド板16と、該第一ガイド板16の上端位置であって幅方向の略中間位置に接続され、そこから側板15の上端位置にまで延びる帯状の第二ガイド板17と、第一ガイド板16の屈曲下方側と所定の隙間を有して対向し、下端18aが側板15,15に回動自在に支持された第三ガイド板18と、該第三ガイド板18の上端位置にリンク部材を介して回動自在に接続され、第一ガイド板16の屈曲上方側と所定の隙間を有して対向する第四ガイド板19と、前記第二ガイド板17と所定の隙間を有して対向し、下端20aが側板15,15に回動自在に支持された第五ガイド板20とを備えている。
【0022】
第二搬送ユニット4における搬送経路は、第一ガイド板16と第三ガイド板18との隙間、第一ガイド板16と第四ガイド板19との隙間、そして、第二ガイド板17と第五ガイド板20との隙間によって構成され、この互いに連続するガイド板間の隙間内を感光材料Pが通過するようになっている。尚、第三ガイド板18、第四ガイド板19及び第五ガイド板20は、対向するガイド板16,17と所定の隙間を維持するよう、側板15,15に係止されているが、この係止を解除すると、第三ガイド板18及び第四ガイド板19は、第一ガイド板16から離間するように回動し、第五ガイド板20は、第二ガイド板17から離間するように回動し、よって、搬送経路を開放させることができる。
【0023】
駆動ローラ21a〜25aは、それぞれ一の回転軸上に軸方向の間隔を有して配置される複数個のローラ体(図示しない)からなり、それぞれローラ体の一部が第一ガイド板16の対応箇所に形成された切欠窓(図示しない)を介して搬送経路内に臨出するよう、その回転軸が側板15,15に軸支されている。駆動ローラ26a〜28aは、それぞれ第二ガイド板17を挟み込むように配置される二個のローラ体からなり、それぞれローラ体の一部が搬送経路内に臨出するよう、その回転軸が側板15,15に軸支されている。駆動ローラ29aは、一の回転軸上に軸方向の間隔を有して配置される複数個のローラ体からなり、それぞれローラ体の一部が搬送経路内に臨出するよう、その回転軸が側板15,15に軸支されている。
【0024】
また、駆動ローラ21a〜23aは、それぞれの回転軸の端部に固着されたプーリ(図示しない)に巻き掛けられた一本のタイミングベルト(図示しない)を介して1個のモータ(図示しない)により同期駆動されるようになっている。駆動ローラ24a〜27aは、それぞれの回転軸の端部に固着されたプーリ(図示しない)に巻き掛けられた別の一本のタイミングベルト(図示しない)を介して1個のモータ30により同期駆動されるようになっている。駆動ローラ28a,29aは、それぞれの回転軸の端部に固着されたプーリ(図示しない)に巻き掛けられたさらに別の一本のタイミングベルト(図示しない)を介して1個のモータ31により同期駆動されるようになっている。
【0025】
圧着ローラ21b〜23bは、それぞれ駆動ローラ21a〜23aに対応した個数(図示しない)のローラ体からなり、それぞれローラ体の一部が第三ガイド板18の対応箇所に形成された切欠窓(図示しない)を介して搬送経路内に臨出するよう、その回転軸が第三ガイド板18に軸支されている。圧着ローラ24b,25bは、それぞれ駆動ローラ24a,25aに対応した個数(図示しない)のローラ体からなり、それぞれローラ体の一部が第四ガイド板19の対応箇所に形成された切欠窓(図示しない)を介して搬送経路内に臨出するよう、その回転軸が第四ガイド板19に軸支されている。圧着ローラ26b〜28bは、それぞれ駆動ローラ26a〜28aの二個のローラ体間の長さに対応した長さを有する1個(図3(ロ)参照)のローラ体からなり、該ローラ体の一部が第五ガイド板20の対応箇所に形成された切欠窓を介して搬送経路内に臨出するよう、その回転軸が第五ガイド板20に軸支されている。圧着ローラ29bは、駆動ローラ29aに対応した個数(図示しない)のローラ体からなり、それぞれローラ体の一部が第五ガイド板20の対応箇所に形成された切欠窓(図示しない)を介して搬送経路内に臨出するよう、その回転軸が第五ガイド板20に軸支されている。
【0026】
また、図4にも示す如く、側板15,15には、圧着ローラ24b〜29bの回転軸にそれぞれ接離する複数のレバー32,…が回動自在に固着されており、また、これらレバー32,…は、側板15,15に軸支された回転軸の対応箇所に固着されたカム33,…によって揺動操作されるようになっている。カム33用の回転軸は三本設けられており、上流側二本の回転軸は、それぞれ端部に固着されたプーリ(図示しない)に巻き掛けられた一本のタイミングベルト(図示しない)を介して1個のモータにより同期駆動されるようになっている一方、下流側一本の回転軸は、別の1個のモータ34により駆動されるようになっている。
【0027】
そして、それぞれ回転軸に固着されたカム33は、二個のレバー32,32を同期的に揺動操作できるよう、カム33の形状及びレバー32の配置位置が設定されており、一本の回転軸が所定角度回転することによってカム33が所定角度回転すれば、一対のレバー32,32が揺動して圧着ローラ24b〜29bのそれぞれ回転軸のうちの互いに隣接する一対の回転軸に当接し、常時は駆動ローラ24a〜29a側に付勢されている圧着ローラ24b〜29bのうちの互いに隣接する一対の圧着ローラが駆動ローラから離間する(圧着解除する)ようになっている。具体的には、上流側二本の回転軸が同期回転するので、圧着ローラ24b〜27bが同時に圧着解除姿勢となり、下流側一本の回転軸が単独で回転するので、その際は、圧着ローラ28b,29bが同時に圧着解除姿勢となる。
【0028】
また、第二ガイド板17を中心として、幅方向位置には、該第二ガイド板17と平行にして互いに対向する一対のガイド部材35,35が設けられている。該ガイド部材35は、開放端が互いに対向する凹状のガイド部35a(図3(ハ)参照)が設けられており、それぞれガイド部35aが感光材料Pの両側縁を囲うことにより、感光材料Pに対して幅方向の規制を加えることができる。該ガイド部材35,35は、側板15,15に軸支されたボールネジ36に螺着されたナット37に固着されており、しかも、ボールネジ36は、左右が互いに逆ネジの関係となっている。上下一対のボールネジ3は、それぞれ端部に固着されたプーリ(図示しない)に巻き掛けられた一本のタイミングベルト(図示しない)を介して1個のモータ38により同期駆動されるようになっており、その結果、モータ38を駆動させれば、幅方向に一対のガイド部材35,35は、搬送中心に対して左右対称に接離する構成となっており、感光材料Pの各種の幅サイズに対応することができるようになっている。
【0029】
本実施形態に係る写真処理装置は、以上の構成からなり、次に、第二搬送ユニット4が受け入れた感光材料Pを露光部5に送り出す搬送態様について図5に基づき説明する。尚、一対のガイド部材35,35は、搬送される感光材料Pの幅サイズに対応した間隔(若干のクリアランスを考慮)に位置設定されているものとする。
【0030】
図5(イ)は、ローラ対21〜27の駆動に伴って搬送経路内を上昇してきた感光材料Pの先端がローラ対27を通過した時点を示す。この時点では、しかる後に、下流側のローラ対28やローラ対29に感光材料Pの先端が引っ掛かり、搬送性が阻害されるといけないので、圧着ローラ28b,29bを圧着解除姿勢にすると共に、駆動ローラ28a,29aを回転させておく必要がある。
【0031】
そして、しかる後、感光材料Pの先端が下流側のローラ対28あるいはローラ対29を通過した時点で、駆動ローラ28a,29aの回転を停止させる(図5(ロ))。これは、しかる後、圧着ローラ28b,29bを圧着姿勢に復帰させる際、駆動ローラ28a,29aが回転していると、感光材料Pに瞬間的な不均一の圧着力が働いて、該感光材料Pが搬送方向に対して傾いた状態になることがあるからである。
【0032】
次に、感光材料Pの後端がローラ対27を過ぎた時点(即ち感光材料Pがローラ対27を抜けた時点)で、駆動ローラ27a(駆動ローラ24a〜27a)の回転を停止させる(図5(ハ))。この時、下流側のローラ対28,29は、圧着解除しているから、感光材料Pは、その上流側のローラ対27上で起立した格好となる。ここで、特記すべきことは、ローラ対の駆動ローラ27aと圧着ローラ27bとは圧着状態にあり、その当接部位領域の上端縁は、ローラ対27の回転軸と平行、即ち搬送方向と直交ということである。下流側のローラ対28,29の圧着が解除された状態で、ローラ対27の駆動が停止されるということは、感光材料Pの後端がその当接部位領域の上端縁に乗る、即ち感光材料Pの後端縁と当接部位領域の上端縁とが一致するということを意味する。従って、それまでに感光材料Pが斜行した状態で搬送されてきたとすると、感光材料Pの姿勢は矯正されることになる。そして、ガイド部材35,35が設けられているから、姿勢が矯正される際に、感光材料Pの横ずれが生じることもない。
【0033】
そこで、所定時間経過後に、圧着ローラ28b,29bを圧着姿勢に切り替え、さらに、駆動ローラ28a,29aの回転を開始させる(図5(ニ))。この時、感光材料Pは、搬送方向と平行な状態を維持しつつ、露光部5に送り出され、露光部5においては、搬送方向と平行な状態に維持しつつ、副走査用ローラ対8により一定速度で搬送されながら露光処理が施されることとなる。
【0034】
以上のように、本実施形態に係る感光材料の搬送方法によれば、感光材料Pを下方から上方に搬送する過程において、該感光材料Pを露光部5に送り出す前に、感光材料Pが抜けたローラ対の駆動を所定時間停止して、該ローラ対よりも下流側に位置するローラ対であって感光材料Pに掛かるものの圧着状態を解除しておけば、感光材料Pはどのローラ対にも挟持されない自由な状態が得られて、それまで搬送方向に対して傾いた状態にある場合の感光材料Pは、その自重によりローラ対の間に添うようにしてその姿勢が矯正されるため、ガイド部材35,35の効果も併せれば、感光材料Pが斜行した状態や蛇行した状態のままで露光部5に搬送され、該露光部5内において形成される画像が感光材料Pに対して傾いたり横ずれしたものとなってしまい、写真プリントの商品価値が損なわれてしまうような事態を好適に防止することができるという効果を奏する。
【0035】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0036】
例えば、挟持手段としては、ローラ対以外にも、一対の駆動ベルト、所定区間を往復移動する挟持部材(搬送体)であってもよい。
【0037】
また、上記実施形態においては、第二搬送ユニット4における各ローラ対21〜29は、略垂直方向に配置されるようになっているが、これに限定されず、垂直方向に対して傾いた斜め方向に配置されるようにしてもよい。要は、被処理物の挟持状態が解除された状態において、下方に位置する挟持部材に被処理物の重力が作用して、その反力により被処理物の姿勢が矯正されるようになっていれば、本発明の意図する範囲である。従って、「上」、「下」は、そのような意味で使用される概念とする。
【0038】
さらに、上記搬送方法以外に、下流側のローラ対が感光材料を所定量だけ上方に移動させて上流側のローラ対との縁切りを行った後、上流側のローラ対及び下流側のローラ対の駆動を停止し、さらに、下流側のローラ対を圧着解除状態にして、感光材料を上流側のローラ対上に落とし込み、しかる後、下流側のローラ対を圧着状態にすると共に、駆動させて、感光材料を上方に搬送するといった方法を採用することもできる。
【0039】
また、被処理物が一切挟持されていない期間の何れかのタイミングで、ガイド部材35,35(幅規制部材)を被処理物の側縁に軽く当接するまで移動させれば、横ずれの矯正も行われることとなる。
【0040】
さらに、本発明は、写真処理装置のみに限定されず、また、写真処理装置の場合であっても、感光材料を露光部に供給するためのものに限定されないのは言うまでもなく、その適用箇所に制限は無い。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、被処理物が挟持手段から抜けてから所定時間、該被処理物に掛かる下流側の挟持手段を挟持しない姿勢にしておき、その際、抜けた被処理物が搬送方向と平行になるようにその下端を下方に位置する挟持手段で支持させるようにしたため、この間の被処理物は、何れの挟持手段にも挟持されていない自由な状態となり、自重により挟持手段の上に乗り掛かる格好となり、この時、被処理物がそれまで傾いた状態にあれば、挟持手段との当接を受けてその姿勢が矯正されて、被処理物は搬送方向と平行に位置決めされることとなる。従って、結果物の質に特に影響を与える搬送工程中のシート状の被処理物の斜行を好適に矯正することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す写真処理装置の全体概略図を示す。
【図2】同実施形態の第二搬送ユニットの概略側面図を示す。
【図3】(イ)は、図2のA−A線断面図、(ロ)は、(イ)のB−B線断面図、(ハ)は、(イ)のC−C線断面図を示す。
【図4】同実施形態の圧着解除機構の概略側面図であって、(イ)は、圧着状態、(ロ)は、圧着解除状態を示す。
【図5】同実施形態の第二搬送ユニットにおける下流側の搬送系の概略側面図であって、(イ)は、上流側に位置するローラ対を圧着状態にて駆動すると共に、それよりも下流側に位置するローラ対を圧着解除状態にて駆動している状態、(ロ)は、感光材料が下流側に位置するローラ対に差し掛かって該ローラ対を駆動停止した状態、(ハ)は、上流側に位置するローラ対を駆動停止している状態、(ニ)は、下流側に位置するローラ対を圧着状態にて駆動している状態を示す。
【符号の説明】
1 写真処理装置
4 第二搬送ユニット
5 露光部
15 側板
16〜20 ガイド板
21〜29 ローラ対
21a〜29a 駆動ローラ
21b〜29b 圧着ローラ
32 レバー
33 カム
35 ガイド部材
36 ボールネジ
37 ナット
A プリンタ部
B プロセッサ部
P 感光材料
Claims (7)
- シート状の被処理物を挟持する姿勢と挟持しない姿勢とに変更可能な挟持手段を上下方向に適宜配置し、挟持手段によって被処理物を挟持しつつ、該挟持手段の駆動をもって被処理物を上方に位置する下流側の挟持手段に送り出すように構成されたシートの搬送機構において、所定の挟持手段は、上流側の挟持手段から抜けた被処理物を所定時間挟持しないように制御され、その際、該上流側の挟持手段は、抜けた被処理物が搬送方向と平行になるようにその下端を支持するようになっていることを特徴とするシートの搬送機構。
- 挟持手段は、回転駆動制御される駆動ローラと、該駆動ローラに対して圧着・離間する圧着ローラとからなるローラ対である請求項1記載のシートの搬送機構。
- 搬送方向と直交する方向における被処理物の移動を規制する一対の幅規制部材をさらに備えてなる請求項1又は2記載のシートの搬送機構。
- 一対の幅規制部材は、搬送方向と直交する方向における搬送中心に対して左右対称に接離して、間隔が可変となるように構成されてなる請求項3記載のシートの搬送機構。
- シート状の被処理物を挟持する姿勢と挟持しない姿勢とに変更可能な挟持手段を上下方向に適宜配置し、挟持手段によって被処理物を挟持しつつ、該挟持手段の駆動をもって被処理物を上方に位置する下流側の挟持手段に送り出すようにしたシートの搬送方法であって、被処理物が所定の挟持手段から抜けてから所定時間、該被処理物に掛かる下流側の挟持手段を挟持しない姿勢にしておき、その際、抜けた被処理物が搬送方向と平行になるようにその下端を前記所定の挟持手段で支持させ、しかる後、下流側の挟持手段を挟持する姿勢に変更すると共に、該下流側の挟持手段を駆動させて被処理物をさらに上方に送るようにしたことを特徴とするシートの搬送方法。
- 挟持手段は、回転駆動制御される駆動ローラと、該駆動ローラに対して圧着・離間する圧着ローラとからなるローラ対であり、所定のローラ対における駆動ローラの回転に伴って被処理物の上端が下流側のローラ対に進入する際、該下流側のローラ対における圧着ローラを離間させ且つ該下流側のローラ対における駆動ローラを所定期間回転させておき、しかる後、所定のローラ対から被処理物が抜けると、該所定のローラ対における駆動ローラの回転を停止し、さらに、所定時間経過後、下流側のローラ対における圧着ローラを再度圧着させた後、該下流側のローラ対における駆動ローラを再度回転させて、被処理物をさらに上方に送るようにした請求項5記載のシートの搬送方法。
- 被処理物は、露光部にて露光処理が施される感光材料であり、請求項1乃至4記載のシートの搬送機構が感光材料を露光部の上流側に設けられ、あるいは請求項5又は6記載のシートの搬送方法が露光部の上流側で実施されることを特徴とする写真処理装置。
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