JP3629737B2 - 塩化ビニル系重合体−ポリウレタン複合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、塩化ビニル系重合体(以下PVCと言う)、ポリウレタン(以下PUと言う)及び可塑剤からなる透明性に優れたPVC−PU複合体の製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公昭59−39464号公報では、PVCにポリオールを含浸せしめ、ついでこれにジイソシアネートを添加し、固体のPVC中でPUを生成せしめる方法が開示されている。これはPVC用の可塑剤を使用していないので可塑剤の溶出等の心配がないことを特徴としている。
【0003】
ゴム弾性を改良する方法として、特開平6−200106号及び特開平6−184383号公報には、圧縮永久歪特性に優れたPVC−PU複合体の製造方法が開示されている。
【0004】
また、特開昭61−250044号公報には、液状可塑剤の存在下でPVC、イソシアネート化合物、ポリオール及び必要に応じて添加剤を配合することを特徴としたPVC、PU及び可塑剤からなる可塑剤の移行性の抑制、耐摩耗性、耐寒性、耐油性を特徴としている成形用組成物の製造方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭59−39464号公報の方法で得られたPVCとPUとの複合体はゴム弾性に劣り、ゴム弾性を必要とする用途には適さない。また、この方法は生産性が悪い。そして、生産性を向上させるためにウレタン化反応触媒を用いた場合、ポリオール及びイソシアネートがPVC中に完全に含浸される前に、PU化反応が進行するために粘土状の半ゲル状となってしまうという問題が生じる。
【0006】
特開平6−200106号及び特開平6−184383号公報の方法により得られるPVC−PU複合体は、透明性が悪い。
【0007】
また、特開昭61−250044号公報による方法は、ポリオール、イソシアネート及び可塑剤の3種をPVCへ含浸させる必要があるため、PVCへの含浸の都合上その量には限界がある。そして、そのためゴム弾性が劣る、又は高硬度である等の問題が生じ、低硬度で、かつ圧縮永久歪に優れた材料を得るのが困難である。また、ポリオール、イソシアネート及び可塑剤を多量に配合する際、生産性を向上させるためにウレタン化反応触媒を用いると、ポリオール及び/またはイソシアネートがPVC中に完全に含浸される前にPU化反応が進行するために、粘土状の半ゲル状となってしまうという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、透明性に優れたPU、PVC及び可塑剤からなるPVC−PU複合体を生産性良く得る製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述のような現状に鑑み、PVC−PU複合体を製造方法について鋭意検討を行った結果、透明性に優れたPVC−PU複合体を製造する方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、PVC(1)、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート基3個以上を有するイソシアネート化合物(3)及び可塑剤(4)を剪断力下、加熱溶融混合してPVC−PU複合体を製造する方法において、予めPVC(1)にポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を含浸せしめた粉体状混合物を用いて剪断力下、加熱溶融混合することを特徴とする塩化ビニル系重合体−ポリウレタン複合体の製造方法等の提供を要旨とするものである。
【0011】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
【0012】
本発明で用いるPVC(1)とは、得られるPVC−PU複合体が柔軟性に優れるために、エチレン−塩化ビニル共重合体である。
【0014】
PVC(1)の重合度は特に制限は無くいかなるものも使用できるが、成形加工性の点から1200以上4000以下のものが好適に使用される。
【0015】
また、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、可塑剤(4)等を含浸させる観点からPVC(1)は懸濁重合法により得られたものであることが好ましい。
【0017】
本発明で用いるポリマーポリオール(2)とは、水酸基2個以上を有するものであり、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ビニル系ポリオール、ジエン系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール又はこれらの共重合体が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。
【0018】
ポリマーポリオール(2)の分子量は特に制限はなくいかなるものも使用できるが、ポリマーポリオールの取り扱い易さ、低硬度で良好な圧縮永久歪を発現する点から数平均分子量が500以上8000以下であることが好ましい。
【0019】
ポリエステル系ポリオールは、例えばジカルボン酸と短鎖ポリオールを縮合重合することによって得られる。このときジカルボン酸成分としてはコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。一方短鎖ポリオール成分としては、脂肪族,脂環式,芳香族置換脂肪族若しくは複素環式のジヒドロキシ化合物、トリヒドロキシ化合物又はテトラヒドロキシ化合物等であり、例えば1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ブテンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカメチレンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、p−キシレンジオール、ジヒドロキシエチルテトラハイドロフタレート、トリメチロールプロパン、グリセリン、2−メチルプロパン−1,2,3−トリオール、1,2,6−ヘキサントリオール等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。
【0020】
ポリエステル系ポリオールを得る別の方法として、β−プロピオラクトン、ビバロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン等のラクトン化合物の1種又は2種以上を、前記の短鎖ポリオール成分から選ばれる1種又は2種以上のヒドロキシ化合物と共に反応せしめる方法によることも可能である。
【0021】
ポリエーテル系ポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等が挙げられこれらの1種または2種以上が使用される。
【0022】
ポリカーボネート系ポリオールとしては、前記の短鎖ポリオールから選ばれるヒドロキシ化合物の1種または2種以上と、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートまたはエチレンカーボネートからエステル交換法によって得られたものが使用される。例えば、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカーボネート)、ポリ(2,2’−ビス(4−ヒドロキシヘキシル)プロパンカーボネート)等が工業的に生産されている。ポリカーボネートポリオールを得る別の方法としては、いわゆるホスゲン法によることもできる。
【0023】
その他、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタアクリレート等のヒドロキシ基を持つアクリル単量体とアクリル酸エステルとの共重合によって得られるアクリル系ポリオール等のビニル系ポリオール、ポリ(1,4−ブタジエン),ポリ(1,2−ブタジエン)等のジエン系ポリオール、ポリプロピレングリコールリシノレート等のひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール又はポリオレフィン系ポリオール等も使用することができる。
【0024】
本発明で用いるイソシアネート基3個以上を有するイソシアネート化合物(3)とは、例えばジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート若しくは4−イソシアネートメチル−1,8−オクタメチルジイソシアネート等のトリイソシアネート類又はジイソシアネートのビュレット変性体、アロファネート変性体、アダクト体若しくはポリフェニルメタンポリイソシアネート等の多官能イソシアネート類が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。
【0025】
ここで、ジイソシアネートとしては、例えば2,4−若しくは2,6−トリレンジイソシアネート、m−若しくはp−フェニレンジイソシアネート、1−クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、メチレンビスフェニレン4,4’−ジイソシアネート、m−若しくはp−キシレンジイソアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又はトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0026】
また、上記のジイソシアネート類を併用することも可能である。ただし、この場合全イソシアネート化合物のイソシアネート基モル数に対するイソシアネート基3個以上を有するイソシアネート化合物(3)のイソシアネート基モル数は0.25以上とすることが良好な圧縮永久歪特性を発現させる上で好ましい。
【0027】
また、上記ポリマーポリオール(2)とイソシアネート化合物(3)におけるイソシアネート基と水酸基のモル比は、良好な成形加工性、圧縮永久歪特性を発現させる点から、0.3以上1.3以下の範囲が好ましい。
【0028】
本発明に用いられるポリマーポリオール(2)とイソシアネート化合物(3)の合計配合量は良好な成形加工性、圧縮永久歪を発現させる点からPVC(1)100重量部に対して30重量部以上600重量部以下が好ましい。
【0029】
また、本発明において用いる可塑剤(4)としては、例えばフタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(以下DOPと言う)、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル又はイソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸系可塑剤;アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル又はセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族エステル系可塑剤;トリメリット酸トリオクチル又はトリメリット酸トリデシル等のトリメリット酸系可塑剤;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸2−エチルヘキシルジフェニル又はリン酸トリクレジル等のリン酸エステル系可塑剤;エポキシ系大豆油などのエポキシ系可塑剤;ポリエステル系高分子可塑剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0030】
また、可塑剤(4)の配合量は柔軟性付与、ブリードアウト防止の点からPVC(1)100重量部に対して10重量部以上300重量部以下が好適に使用される。
【0031】
更に、本発明の製造方法においては一般的なウレタン化反応触媒(5)を用いることが好ましく、特に限定はなく公知のものを用いることができる。このとき用いられる触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン若しくはN−メチルモルホリン等のアミン系触媒又はテトラメチル錫、テトラオクチル錫、ジメチルジオクチル錫、トリエチル錫塩化物、ジブチル錫ジアセテート若しくはジブチル錫ジラウレート等の錫系触媒等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用でる。このうちジブチル錫ジラウレートが好適に使用される。使用する触媒量は使用する触媒の活性により異なるが、ウレタン反応を完結させるのに必要な量が好適に使用される。ジブチル錫ジラウレートを例にするとPVC(1)、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)及び可塑剤 (4)の合計量に対して10000ppm以下の量が好適に使用される。
【0032】
本発明によるPVC−PU複合体には、その性能を極端に低下させない程度にPVCに通常添加される安定剤(例えば、ステアリン酸亜鉛若しくはステアリン酸バリウム等の金属石鹸、ラウリン酸錫等の有機錫系安定剤、テトラフェニルポリプロピレングリコールジフォスファイト等のフォスファイト系安定剤又は過塩素酸処理ハイドロタルサイト等のハイドロタルサイト系安定剤等が挙げられる。)、滑剤(例えば、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックス又はn−ブチルステアレート等の脂肪酸エステル系ワックス等が挙げられる。)、着色剤、炭酸カルシウム若しくはタルク等に代表される無機充填材又は三酸化アンチモン若しくはホウ酸亜鉛に代表される難燃剤などを必要に応じて添加することができる。
【0033】
本発明では、予めPVC(1)にポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を含浸(含浸とはPVC粉体に液体を吸収させ粉体状混合物にすることを言う)せしめておくことを特徴とする。ここで、含浸せしめるポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)は使用するその一部又は全部のどちらでもよい。ポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を含浸せしめておくことにより、PVC−PU複合体の透明性が向上する。予めPVC(1)にポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を含浸せしめるには、例えばジャケット付きリボンブレンダー、ヘンシェルミキサ−(三井三池製作所製)またはスーパーミキサー(川田製作所製)等の混合機を用いて含浸せしめることができる。このような混合機を用いる場合、PVC(1)を混合機に投入し、撹拌下これに所定量のポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を添加し、樹脂温度が90〜150℃になるまで混合を続けることにより、PVC粉体にポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)が含浸されて流動性のある粉体状混合物が得られる。また、その時の樹脂温度は、得られるものの粉体流動性が良く、フィッシュアイ生成の可能性が低くなるため90℃〜150℃であることが好ましい。
【0040】
また、PVC用安定剤を添加する場合、安定剤はポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、可塑剤(4)等を添加する前にPVC(1)に添加しても良く、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、可塑剤(4)等がPVC(1)に含浸された後に添加しても良い。
【0041】
液状安定剤を使用する場合には予め、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、可塑剤(4)等中に添加しておいても良い。
【0042】
本発明のPVC−PU複合体は、予めポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、可塑剤(4)、ウレタン化反応触媒(5)から選ばれる1種以上の原料を含浸させたPVC(1)及び必要に応じてPVCに含浸させなかったポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、ウレタン化反応触媒(5)、可塑剤(4)等を剪断力下、加熱溶融混合することにより製造される。剪断力下、加熱溶融混合するには、例えばバンバリーミキサー(ファレル社製),加圧ニーダー((株)森山製作所製),インターナルミキサー(栗本鉄工所製),インテンシブミキサー(日本ロール製造(株)製)等の機械加圧式混練機、ロール成形機若しくは押出し成形機等プラスチック又はゴムの加工に使用される混練成形機が使用できる。加熱溶融混合する温度はPVCの溶融が容易であり、PVCが熱分解を起こす可能性の低い90〜220℃であることが好ましい。
【0043】
本発明においては、少量多品種の少ロット生産を行うには機械加圧式混練機を用いることが好ましい。
【0044】
また、本発明においては、生産性を向上させるためには連続的に生産することが可能な押出し機を用いることが好ましい。押出し機としては、公知のものであれば特に制限は無く、例えば単軸押出し機、二軸押出し機、多軸押出し機等が挙げられ、好ましくは自己清浄性の二軸押出し機が使用される。この自己清浄性押出し機を用いることにより、PUがスクリューに巻き付き蓄積し押出し機を運転不能におちいらせることがなくなる。また押出し機の回転方向は異方向、同方向のいずれでも構わないが同方向が好ましい。更に押出し機のL/D(Lはスクリュー長さ、Dはスクリュー直径)は20以上100以下のものが好適に使用される。また押出し機には必要に応じて供給口、ベント孔を設けることができ、必要に応じて混練要素を有したスクリューを用いることができる。
【0045】
上述した原料の押出し機内の滞留時間は通常0.3分以上30分以下であり、好ましくは0.5分以上10分以下である。また押出し機を用いて剪断力下、加熱溶融混合行う際の温度条件は、PVCの溶融が容易であり、PVCが熱分解を起こす可能性の低い90〜220℃であることが好ましい。また、ウレタン化反応の進行状態及び完結は赤外分光光度計でイソシアネートの吸収からイソシアネート消費率として求めることができる。
【0046】
本発明の製造方法において押出し機を使用する場合、上述した原料を押出し機に投入する具体的な方法として例えば次の方法がある。
【0047】
1)予めポリマーポリオール(2)を含浸せしめたPVC(1)とイソシアネート化合物(3)を所定量同一供給口からそのまま又は均一混合後同一供給口より導入する方法。
【0048】
2)予めポリマーポリオール(2)を含浸せしめたPVC(1)と、イソシアネート化合物(3)を所定量それぞれ押出し機の異なる供給口から導入する方法。 上述の方法において、押出し機に安定的に原料を供給する観点から異なる供給口から導入する方法を採用することが好ましい。
【0051】
上述した1)〜2)の方法において、可塑剤(4)は他の原料と共にPVC(1)に含浸せしめて押出し機に導入しても、PVC(1)に含浸せしめることなく他の原料と共に混合しても、他の原料に含浸、混合せしめることなく単独で他の供給口から導入しても良い。またこれらの方法においてウレタン化触媒(5)を用いる場合、触媒として液状のものを用いることが好ましく、またこの触媒を押出し機に導入する方法については特に制限はないが、例えばPVC(1)に含浸せしめて導入したり、PVC(1)に含浸せしめることなく他の原料と共に混合せしめて導入しても良い。しかし、ウレタン化触媒(5)をポリマーポリオール(2)及びイソシアネート化合物(3)と同時に含浸せしめると、液体が吸収される前にウレタン反応が進行してしまい粘土状の半ゲル状となることがある。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0057】
実施例1及び比較例1において用いた押出し機は自己清浄性を有する同方向回転完全噛み合い型二軸押出し機((株)日本製鋼所製、商品名TEX30(D=30mm、L/D=42))であり、この押出し機は12個のバレルとダイスからなり、バレルはギアボックス側よりダイス側に向かってC1からC12とした。またC1には供給口が備えられており水冷し、C1以外のバレルとダイスは独立して温度制御ができるようになっている。C4、C5、C7、C9及びC11は必要に応じて供給口、ベント孔として使えるようになっており、必要がない場合には蓋をして使用した。更にスクリュー回転数30rpmとし、吐出量は3kg/hに設定した。
【0058】
イソシアネート消費率はフーリエ変換赤外分光光度計(ニコレー製、商品名FT−IR5DXスペクトラテック)を用いて測定した。また測定はスキャン回数100回、測定法は透過法、試料保持板はフッ化バリウムとした。二軸押出し機からサンプリングした試料は液体窒素に入れて反応の進行を停止させ保存した。また保存した試料の赤外吸収スペクトルを測定しイソシアネート基の特性吸収である2277cm−1の吸収を観察した。この時基準ピークとして可塑剤(DOP)のベンゼン環に由来する1600cm−1の吸収も同時に観察した。反応開始前の2277cm−1のピーク強度を1600cm−1のピーク強度で除した値をイソシアネート消費率0%とし、サンプリングした試料について得られた値を規格化してイソシアネート消費率を求めた。
【0059】
又、透明性の評価は全光線透過率及びヘーズを用いて行った。
【0060】
ここで、全光線透過率が同程度であれば、ヘーズ値が小さいほど透明性が優れる。
【0061】
実施例1
ポリマーポリオール(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量2000)80.0重量部とジブチル錫ジラウレート0.088重量部とを1分間混合したものを準備した。これと懸濁重合法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量部を内容積20リットルのヘンシェルミキサーに仕込み950rpmの回転速度で10分間撹拌した。混合物は容易に流動し得る粉末状混合物となった。さらにこの粉末状混合物を撹拌しながら安定剤としてステアリン酸バリウム2重量部、ステアリン酸亜鉛1重量部、をヘンシェルミキサーに加え冷却混合を行い、予めPVCにポリマーポリオールを含浸せしめた粉末状混合物を得た。
【0062】
ここで得られた粉末状混合物をC1の供給口より定量フィーダーを用いて押出し機に導入した。またヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)13.4重量部(NCO/OH比=0.85)とDOP(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)100重量部を均一混合したものを準備しC4の供給口より定量ポンプを用いて押出し機に導入した。
【0063】
押出し機の温度条件はC2からC12まで110℃、ダイス110℃とした。また、スクリューは長さの36%を占める混練要素を有したスクリューを用いた。 押出し物をサンプリングしイソシアネート消費率を求めたところ100%でありウレタン化反応は完結していた。
【0064】
押出し物を170℃のロール成形機にかけシートにしたのち、全光線透過率 (JIS K7105、1mm板使用)及びヘーズ(JIS K7105、1mm板使用)試験用に、試験片をプレス成形し全光線透過率及びヘーズを測定した。測定結果を以下に示す。
【0065】
全光線透過率 87%
ヘーズ 60%
本試料は、PVCにポリマーポリオールを含浸せしめたため、透明性に優れるものであった。
【0076】
比較例1
懸濁重合法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー(株)製、リューロンE−2800)100重量部、安定剤としてステアリン酸バリウム2重量部、ステアリン酸亜鉛1重量部、ポリマーポリオール(日本ポリウレタン (株)製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量2000)80.0重量部、DOP(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)100重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)13.4重量部(NCO/OH比=0.85)及び触媒としてジブチル錫ジラウレート0.088重量部を、1分間混合したものを準備した。得られたゾル状混合物を押出し機のC1の供給口より押出し機に導入した。押出し機の温度条件はC2からC12まで110℃、ダイス110℃とした。また、スクリューは長さの36%を占める混練要素を有したスクリューを用いた。
【0077】
押出し物をサンプリングしイソシアネート消費率を求めたところ100%でありウレタン化反応は完結していた。
【0078】
押出し物を170℃のロール成形機にかけシートにしたのち、圧縮永久歪(JIS K6301)、引張り強度(JIS K7113)、全光線透過率(JIS K7105、1mm板使用)及びヘーズ(JIS K7105、1mm板使用)試験用に、試験片をプレス成形し全光線透過率及びヘーズを測定した。測定結果を以下に示す。
【0079】
全光線透過率 88%
ヘーズ 80%
引張り強度 72kg/cm2
引張り破断伸び 330%
圧縮永久歪 36%
本試料は、ポリマーポリオールをはじめとするいずれの成分も含浸させることがなかったため、透明性の劣るものであった。
【0080】
比較例2
ヘンシェルミキサーを用いてPVC−PU複合体を得た。内容積10リットルのヘンシェルミキサーに懸濁重合法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量部、安定剤としてステアリン酸カルシウム1部を仕込み950rpmの回転速度で2分間撹拌した。またこれとは別にポリマーポリオール(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量2000)80.0重量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)13.4重量部(NCO/OH比=0.85)を1分間混合したものを準備した。これをヘンシェルミキサーに加え混合物の温度を110℃に保ちながら10分間撹拌混合を行った。混合物は容易に流動し得る粉末状混合物となった。さらにこの粉体状混合物を撹拌しながら、DOP10重量部で希釈されたジブチル錫ジラウレート0.008重量部を添加し混合物の温度を110℃に保ちながら10分間撹拌混合を行った。混合物は容易に流動し得る粉末状混合物となった。さらにこの粉末状混合物を110℃で撹拌混合し続けたところ、ウレタン化反応を完結せしめるのに60分を要した。次いで混合物を室温まで冷却すると粉末状のPVC−PU複合体が得られた。
【0081】
得られたPVC−PU複合体とDOP90重量部を170℃のロール成形機で剪断力下、加熱溶融混合したがロールへの巻き付きが悪く、ロールの回転比を上げるかまたはロール間隙を小さくし、高剪断力を与えなければ混練できず加工性が非常に悪いものであった。得られたシートを用いて圧縮永久歪(JIS K6301)、引張り(JIS K7113)、全光線透過率(JIS K7105、1mm板使用)及びヘーズ(JIS K7105、1mm板使用)試験用に、試験片をプレス成形し引張り強度、引張り破断伸び、全光線透過率及びヘーズを測定した。測定結果を以下に示す。
【0082】
全光線透過率 82%
ヘーズ 88%
引張り強度 75kg/cm2
引張り破断伸び 260%
本試料は、ウレタン反応が完結した後に、溶融混合を行ったために、透明性及び加工性の劣るものであった。
【0083】
実施例2
ポリマーポリオール(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量2000)80.0重量部とジブチル錫ジラウレート0.088重量部とを1分間混合したものを準備した。これと懸濁重合法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量部を内容積20リットルのヘンシェルミキサーに仕込み950rpmの回転速度で10分間攪拌した。混合物は容易に流動し得る粉体状混合物となった。さらにこの粉体状混合物を攪拌しながら安定剤としてステアリン酸バリウム2重量部、ステアリン酸亜鉛1重量部をヘンシェルミキサーに加え冷却混合を行い、予めPVCにポリマーポリオールを含浸せしめた粉末状混合物を得た。
【0084】
得られた粉体183.088重量部を容積1700cc、ケーシング温度150℃のバンバリー型ミキサーに仕込み一定回転速度で撹拌した。またこれとは別に、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)13.4重量部(NCO/OHモル比=0.85)、DOP100重量部を1分間混合したものを準備しバンバリー型ミキサー投入口より流し入れた。内容物は全量で1540gであった。剪断力下、加熱溶融混合をこれより15分間行った。
【0085】
得られたPVC−PU複合体をを170℃のロール成形機にかけシートにしたのち、全光線透過率(JIS K7105、1mm板使用)及びヘーズ(JISK7105、1mm板使用)試験用に、試験片をプレス成形し全光線透過率及びヘーズを測定した。測定結果を以下に示す。
【0086】
全光線透過率 87%
ヘーズ 59%
本試料は、PVCにポリマーポリオールを含浸せしめたために、透明性に優れるものであった。
【0091】
比較例3
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)13.4重量部(NCO/OH比=0.85)及びDOP50重量部を1分間混合したものを準備した。これと懸濁重合法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量部を内容積20リットルのヘンシェルミキサーに加え、950rpmの回転速度で撹拌混合を行った。混合物は容易に流動し得る粉末状混合物となった。これとは別にポリマーポリオール(日本ポリウレタン (株)製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量2000)80.0重量部、ジブチル錫ジラウレート0.088重量部及びDOP50重量部を1分間混合したものを準備した。これを先ほど得られた粉末状混合物に加え950rpmの回転速度で撹拌混合を行った。しかし、液状成分が多く、液体が吸収される前にウレタン反応が進行してしまい粘土状の半ゲル状となった。
【0092】
【発明の効果】
本発明による製造方法によると透明性に優れたPVC−PU複合体を製造することが可能となり、更に引張り特性、圧縮永久歪に優れたPVC−PU複合体を製造することが可能となる。
【産業上の利用分野】
本発明は、塩化ビニル系重合体(以下PVCと言う)、ポリウレタン(以下PUと言う)及び可塑剤からなる透明性に優れたPVC−PU複合体の製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公昭59−39464号公報では、PVCにポリオールを含浸せしめ、ついでこれにジイソシアネートを添加し、固体のPVC中でPUを生成せしめる方法が開示されている。これはPVC用の可塑剤を使用していないので可塑剤の溶出等の心配がないことを特徴としている。
【0003】
ゴム弾性を改良する方法として、特開平6−200106号及び特開平6−184383号公報には、圧縮永久歪特性に優れたPVC−PU複合体の製造方法が開示されている。
【0004】
また、特開昭61−250044号公報には、液状可塑剤の存在下でPVC、イソシアネート化合物、ポリオール及び必要に応じて添加剤を配合することを特徴としたPVC、PU及び可塑剤からなる可塑剤の移行性の抑制、耐摩耗性、耐寒性、耐油性を特徴としている成形用組成物の製造方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公昭59−39464号公報の方法で得られたPVCとPUとの複合体はゴム弾性に劣り、ゴム弾性を必要とする用途には適さない。また、この方法は生産性が悪い。そして、生産性を向上させるためにウレタン化反応触媒を用いた場合、ポリオール及びイソシアネートがPVC中に完全に含浸される前に、PU化反応が進行するために粘土状の半ゲル状となってしまうという問題が生じる。
【0006】
特開平6−200106号及び特開平6−184383号公報の方法により得られるPVC−PU複合体は、透明性が悪い。
【0007】
また、特開昭61−250044号公報による方法は、ポリオール、イソシアネート及び可塑剤の3種をPVCへ含浸させる必要があるため、PVCへの含浸の都合上その量には限界がある。そして、そのためゴム弾性が劣る、又は高硬度である等の問題が生じ、低硬度で、かつ圧縮永久歪に優れた材料を得るのが困難である。また、ポリオール、イソシアネート及び可塑剤を多量に配合する際、生産性を向上させるためにウレタン化反応触媒を用いると、ポリオール及び/またはイソシアネートがPVC中に完全に含浸される前にPU化反応が進行するために、粘土状の半ゲル状となってしまうという問題が生じる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、透明性に優れたPU、PVC及び可塑剤からなるPVC−PU複合体を生産性良く得る製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述のような現状に鑑み、PVC−PU複合体を製造方法について鋭意検討を行った結果、透明性に優れたPVC−PU複合体を製造する方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、PVC(1)、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート基3個以上を有するイソシアネート化合物(3)及び可塑剤(4)を剪断力下、加熱溶融混合してPVC−PU複合体を製造する方法において、予めPVC(1)にポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を含浸せしめた粉体状混合物を用いて剪断力下、加熱溶融混合することを特徴とする塩化ビニル系重合体−ポリウレタン複合体の製造方法等の提供を要旨とするものである。
【0011】
以下、本発明に関して詳細に説明する。
【0012】
本発明で用いるPVC(1)とは、得られるPVC−PU複合体が柔軟性に優れるために、エチレン−塩化ビニル共重合体である。
【0014】
PVC(1)の重合度は特に制限は無くいかなるものも使用できるが、成形加工性の点から1200以上4000以下のものが好適に使用される。
【0015】
また、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、可塑剤(4)等を含浸させる観点からPVC(1)は懸濁重合法により得られたものであることが好ましい。
【0017】
本発明で用いるポリマーポリオール(2)とは、水酸基2個以上を有するものであり、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ビニル系ポリオール、ジエン系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール又はこれらの共重合体が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。
【0018】
ポリマーポリオール(2)の分子量は特に制限はなくいかなるものも使用できるが、ポリマーポリオールの取り扱い易さ、低硬度で良好な圧縮永久歪を発現する点から数平均分子量が500以上8000以下であることが好ましい。
【0019】
ポリエステル系ポリオールは、例えばジカルボン酸と短鎖ポリオールを縮合重合することによって得られる。このときジカルボン酸成分としてはコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。一方短鎖ポリオール成分としては、脂肪族,脂環式,芳香族置換脂肪族若しくは複素環式のジヒドロキシ化合物、トリヒドロキシ化合物又はテトラヒドロキシ化合物等であり、例えば1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ブテンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカメチレンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、p−キシレンジオール、ジヒドロキシエチルテトラハイドロフタレート、トリメチロールプロパン、グリセリン、2−メチルプロパン−1,2,3−トリオール、1,2,6−ヘキサントリオール等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。
【0020】
ポリエステル系ポリオールを得る別の方法として、β−プロピオラクトン、ビバロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン等のラクトン化合物の1種又は2種以上を、前記の短鎖ポリオール成分から選ばれる1種又は2種以上のヒドロキシ化合物と共に反応せしめる方法によることも可能である。
【0021】
ポリエーテル系ポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等が挙げられこれらの1種または2種以上が使用される。
【0022】
ポリカーボネート系ポリオールとしては、前記の短鎖ポリオールから選ばれるヒドロキシ化合物の1種または2種以上と、ジアリールカーボネート、ジアルキルカーボネートまたはエチレンカーボネートからエステル交換法によって得られたものが使用される。例えば、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカーボネート)、ポリ(2,2’−ビス(4−ヒドロキシヘキシル)プロパンカーボネート)等が工業的に生産されている。ポリカーボネートポリオールを得る別の方法としては、いわゆるホスゲン法によることもできる。
【0023】
その他、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタアクリレート等のヒドロキシ基を持つアクリル単量体とアクリル酸エステルとの共重合によって得られるアクリル系ポリオール等のビニル系ポリオール、ポリ(1,4−ブタジエン),ポリ(1,2−ブタジエン)等のジエン系ポリオール、ポリプロピレングリコールリシノレート等のひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール又はポリオレフィン系ポリオール等も使用することができる。
【0024】
本発明で用いるイソシアネート基3個以上を有するイソシアネート化合物(3)とは、例えばジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート若しくは4−イソシアネートメチル−1,8−オクタメチルジイソシアネート等のトリイソシアネート類又はジイソシアネートのビュレット変性体、アロファネート変性体、アダクト体若しくはポリフェニルメタンポリイソシアネート等の多官能イソシアネート類が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用される。
【0025】
ここで、ジイソシアネートとしては、例えば2,4−若しくは2,6−トリレンジイソシアネート、m−若しくはp−フェニレンジイソシアネート、1−クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、メチレンビスフェニレン4,4’−ジイソシアネート、m−若しくはp−キシレンジイソアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又はトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0026】
また、上記のジイソシアネート類を併用することも可能である。ただし、この場合全イソシアネート化合物のイソシアネート基モル数に対するイソシアネート基3個以上を有するイソシアネート化合物(3)のイソシアネート基モル数は0.25以上とすることが良好な圧縮永久歪特性を発現させる上で好ましい。
【0027】
また、上記ポリマーポリオール(2)とイソシアネート化合物(3)におけるイソシアネート基と水酸基のモル比は、良好な成形加工性、圧縮永久歪特性を発現させる点から、0.3以上1.3以下の範囲が好ましい。
【0028】
本発明に用いられるポリマーポリオール(2)とイソシアネート化合物(3)の合計配合量は良好な成形加工性、圧縮永久歪を発現させる点からPVC(1)100重量部に対して30重量部以上600重量部以下が好ましい。
【0029】
また、本発明において用いる可塑剤(4)としては、例えばフタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(以下DOPと言う)、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベンジル又はイソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル酸系可塑剤;アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル又はセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族エステル系可塑剤;トリメリット酸トリオクチル又はトリメリット酸トリデシル等のトリメリット酸系可塑剤;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸2−エチルヘキシルジフェニル又はリン酸トリクレジル等のリン酸エステル系可塑剤;エポキシ系大豆油などのエポキシ系可塑剤;ポリエステル系高分子可塑剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0030】
また、可塑剤(4)の配合量は柔軟性付与、ブリードアウト防止の点からPVC(1)100重量部に対して10重量部以上300重量部以下が好適に使用される。
【0031】
更に、本発明の製造方法においては一般的なウレタン化反応触媒(5)を用いることが好ましく、特に限定はなく公知のものを用いることができる。このとき用いられる触媒としては、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン若しくはN−メチルモルホリン等のアミン系触媒又はテトラメチル錫、テトラオクチル錫、ジメチルジオクチル錫、トリエチル錫塩化物、ジブチル錫ジアセテート若しくはジブチル錫ジラウレート等の錫系触媒等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用でる。このうちジブチル錫ジラウレートが好適に使用される。使用する触媒量は使用する触媒の活性により異なるが、ウレタン反応を完結させるのに必要な量が好適に使用される。ジブチル錫ジラウレートを例にするとPVC(1)、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)及び可塑剤 (4)の合計量に対して10000ppm以下の量が好適に使用される。
【0032】
本発明によるPVC−PU複合体には、その性能を極端に低下させない程度にPVCに通常添加される安定剤(例えば、ステアリン酸亜鉛若しくはステアリン酸バリウム等の金属石鹸、ラウリン酸錫等の有機錫系安定剤、テトラフェニルポリプロピレングリコールジフォスファイト等のフォスファイト系安定剤又は過塩素酸処理ハイドロタルサイト等のハイドロタルサイト系安定剤等が挙げられる。)、滑剤(例えば、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸、ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックス又はn−ブチルステアレート等の脂肪酸エステル系ワックス等が挙げられる。)、着色剤、炭酸カルシウム若しくはタルク等に代表される無機充填材又は三酸化アンチモン若しくはホウ酸亜鉛に代表される難燃剤などを必要に応じて添加することができる。
【0033】
本発明では、予めPVC(1)にポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を含浸(含浸とはPVC粉体に液体を吸収させ粉体状混合物にすることを言う)せしめておくことを特徴とする。ここで、含浸せしめるポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)は使用するその一部又は全部のどちらでもよい。ポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を含浸せしめておくことにより、PVC−PU複合体の透明性が向上する。予めPVC(1)にポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を含浸せしめるには、例えばジャケット付きリボンブレンダー、ヘンシェルミキサ−(三井三池製作所製)またはスーパーミキサー(川田製作所製)等の混合機を用いて含浸せしめることができる。このような混合機を用いる場合、PVC(1)を混合機に投入し、撹拌下これに所定量のポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を添加し、樹脂温度が90〜150℃になるまで混合を続けることにより、PVC粉体にポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)が含浸されて流動性のある粉体状混合物が得られる。また、その時の樹脂温度は、得られるものの粉体流動性が良く、フィッシュアイ生成の可能性が低くなるため90℃〜150℃であることが好ましい。
【0040】
また、PVC用安定剤を添加する場合、安定剤はポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、可塑剤(4)等を添加する前にPVC(1)に添加しても良く、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、可塑剤(4)等がPVC(1)に含浸された後に添加しても良い。
【0041】
液状安定剤を使用する場合には予め、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、可塑剤(4)等中に添加しておいても良い。
【0042】
本発明のPVC−PU複合体は、予めポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、可塑剤(4)、ウレタン化反応触媒(5)から選ばれる1種以上の原料を含浸させたPVC(1)及び必要に応じてPVCに含浸させなかったポリマーポリオール(2)、イソシアネート化合物(3)、ウレタン化反応触媒(5)、可塑剤(4)等を剪断力下、加熱溶融混合することにより製造される。剪断力下、加熱溶融混合するには、例えばバンバリーミキサー(ファレル社製),加圧ニーダー((株)森山製作所製),インターナルミキサー(栗本鉄工所製),インテンシブミキサー(日本ロール製造(株)製)等の機械加圧式混練機、ロール成形機若しくは押出し成形機等プラスチック又はゴムの加工に使用される混練成形機が使用できる。加熱溶融混合する温度はPVCの溶融が容易であり、PVCが熱分解を起こす可能性の低い90〜220℃であることが好ましい。
【0043】
本発明においては、少量多品種の少ロット生産を行うには機械加圧式混練機を用いることが好ましい。
【0044】
また、本発明においては、生産性を向上させるためには連続的に生産することが可能な押出し機を用いることが好ましい。押出し機としては、公知のものであれば特に制限は無く、例えば単軸押出し機、二軸押出し機、多軸押出し機等が挙げられ、好ましくは自己清浄性の二軸押出し機が使用される。この自己清浄性押出し機を用いることにより、PUがスクリューに巻き付き蓄積し押出し機を運転不能におちいらせることがなくなる。また押出し機の回転方向は異方向、同方向のいずれでも構わないが同方向が好ましい。更に押出し機のL/D(Lはスクリュー長さ、Dはスクリュー直径)は20以上100以下のものが好適に使用される。また押出し機には必要に応じて供給口、ベント孔を設けることができ、必要に応じて混練要素を有したスクリューを用いることができる。
【0045】
上述した原料の押出し機内の滞留時間は通常0.3分以上30分以下であり、好ましくは0.5分以上10分以下である。また押出し機を用いて剪断力下、加熱溶融混合行う際の温度条件は、PVCの溶融が容易であり、PVCが熱分解を起こす可能性の低い90〜220℃であることが好ましい。また、ウレタン化反応の進行状態及び完結は赤外分光光度計でイソシアネートの吸収からイソシアネート消費率として求めることができる。
【0046】
本発明の製造方法において押出し機を使用する場合、上述した原料を押出し機に投入する具体的な方法として例えば次の方法がある。
【0047】
1)予めポリマーポリオール(2)を含浸せしめたPVC(1)とイソシアネート化合物(3)を所定量同一供給口からそのまま又は均一混合後同一供給口より導入する方法。
【0048】
2)予めポリマーポリオール(2)を含浸せしめたPVC(1)と、イソシアネート化合物(3)を所定量それぞれ押出し機の異なる供給口から導入する方法。 上述の方法において、押出し機に安定的に原料を供給する観点から異なる供給口から導入する方法を採用することが好ましい。
【0051】
上述した1)〜2)の方法において、可塑剤(4)は他の原料と共にPVC(1)に含浸せしめて押出し機に導入しても、PVC(1)に含浸せしめることなく他の原料と共に混合しても、他の原料に含浸、混合せしめることなく単独で他の供給口から導入しても良い。またこれらの方法においてウレタン化触媒(5)を用いる場合、触媒として液状のものを用いることが好ましく、またこの触媒を押出し機に導入する方法については特に制限はないが、例えばPVC(1)に含浸せしめて導入したり、PVC(1)に含浸せしめることなく他の原料と共に混合せしめて導入しても良い。しかし、ウレタン化触媒(5)をポリマーポリオール(2)及びイソシアネート化合物(3)と同時に含浸せしめると、液体が吸収される前にウレタン反応が進行してしまい粘土状の半ゲル状となることがある。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0057】
実施例1及び比較例1において用いた押出し機は自己清浄性を有する同方向回転完全噛み合い型二軸押出し機((株)日本製鋼所製、商品名TEX30(D=30mm、L/D=42))であり、この押出し機は12個のバレルとダイスからなり、バレルはギアボックス側よりダイス側に向かってC1からC12とした。またC1には供給口が備えられており水冷し、C1以外のバレルとダイスは独立して温度制御ができるようになっている。C4、C5、C7、C9及びC11は必要に応じて供給口、ベント孔として使えるようになっており、必要がない場合には蓋をして使用した。更にスクリュー回転数30rpmとし、吐出量は3kg/hに設定した。
【0058】
イソシアネート消費率はフーリエ変換赤外分光光度計(ニコレー製、商品名FT−IR5DXスペクトラテック)を用いて測定した。また測定はスキャン回数100回、測定法は透過法、試料保持板はフッ化バリウムとした。二軸押出し機からサンプリングした試料は液体窒素に入れて反応の進行を停止させ保存した。また保存した試料の赤外吸収スペクトルを測定しイソシアネート基の特性吸収である2277cm−1の吸収を観察した。この時基準ピークとして可塑剤(DOP)のベンゼン環に由来する1600cm−1の吸収も同時に観察した。反応開始前の2277cm−1のピーク強度を1600cm−1のピーク強度で除した値をイソシアネート消費率0%とし、サンプリングした試料について得られた値を規格化してイソシアネート消費率を求めた。
【0059】
又、透明性の評価は全光線透過率及びヘーズを用いて行った。
【0060】
ここで、全光線透過率が同程度であれば、ヘーズ値が小さいほど透明性が優れる。
【0061】
実施例1
ポリマーポリオール(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量2000)80.0重量部とジブチル錫ジラウレート0.088重量部とを1分間混合したものを準備した。これと懸濁重合法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量部を内容積20リットルのヘンシェルミキサーに仕込み950rpmの回転速度で10分間撹拌した。混合物は容易に流動し得る粉末状混合物となった。さらにこの粉末状混合物を撹拌しながら安定剤としてステアリン酸バリウム2重量部、ステアリン酸亜鉛1重量部、をヘンシェルミキサーに加え冷却混合を行い、予めPVCにポリマーポリオールを含浸せしめた粉末状混合物を得た。
【0062】
ここで得られた粉末状混合物をC1の供給口より定量フィーダーを用いて押出し機に導入した。またヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)13.4重量部(NCO/OH比=0.85)とDOP(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)100重量部を均一混合したものを準備しC4の供給口より定量ポンプを用いて押出し機に導入した。
【0063】
押出し機の温度条件はC2からC12まで110℃、ダイス110℃とした。また、スクリューは長さの36%を占める混練要素を有したスクリューを用いた。 押出し物をサンプリングしイソシアネート消費率を求めたところ100%でありウレタン化反応は完結していた。
【0064】
押出し物を170℃のロール成形機にかけシートにしたのち、全光線透過率 (JIS K7105、1mm板使用)及びヘーズ(JIS K7105、1mm板使用)試験用に、試験片をプレス成形し全光線透過率及びヘーズを測定した。測定結果を以下に示す。
【0065】
全光線透過率 87%
ヘーズ 60%
本試料は、PVCにポリマーポリオールを含浸せしめたため、透明性に優れるものであった。
【0076】
比較例1
懸濁重合法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー(株)製、リューロンE−2800)100重量部、安定剤としてステアリン酸バリウム2重量部、ステアリン酸亜鉛1重量部、ポリマーポリオール(日本ポリウレタン (株)製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量2000)80.0重量部、DOP(フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)100重量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)13.4重量部(NCO/OH比=0.85)及び触媒としてジブチル錫ジラウレート0.088重量部を、1分間混合したものを準備した。得られたゾル状混合物を押出し機のC1の供給口より押出し機に導入した。押出し機の温度条件はC2からC12まで110℃、ダイス110℃とした。また、スクリューは長さの36%を占める混練要素を有したスクリューを用いた。
【0077】
押出し物をサンプリングしイソシアネート消費率を求めたところ100%でありウレタン化反応は完結していた。
【0078】
押出し物を170℃のロール成形機にかけシートにしたのち、圧縮永久歪(JIS K6301)、引張り強度(JIS K7113)、全光線透過率(JIS K7105、1mm板使用)及びヘーズ(JIS K7105、1mm板使用)試験用に、試験片をプレス成形し全光線透過率及びヘーズを測定した。測定結果を以下に示す。
【0079】
全光線透過率 88%
ヘーズ 80%
引張り強度 72kg/cm2
引張り破断伸び 330%
圧縮永久歪 36%
本試料は、ポリマーポリオールをはじめとするいずれの成分も含浸させることがなかったため、透明性の劣るものであった。
【0080】
比較例2
ヘンシェルミキサーを用いてPVC−PU複合体を得た。内容積10リットルのヘンシェルミキサーに懸濁重合法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量部、安定剤としてステアリン酸カルシウム1部を仕込み950rpmの回転速度で2分間撹拌した。またこれとは別にポリマーポリオール(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量2000)80.0重量部とヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)13.4重量部(NCO/OH比=0.85)を1分間混合したものを準備した。これをヘンシェルミキサーに加え混合物の温度を110℃に保ちながら10分間撹拌混合を行った。混合物は容易に流動し得る粉末状混合物となった。さらにこの粉体状混合物を撹拌しながら、DOP10重量部で希釈されたジブチル錫ジラウレート0.008重量部を添加し混合物の温度を110℃に保ちながら10分間撹拌混合を行った。混合物は容易に流動し得る粉末状混合物となった。さらにこの粉末状混合物を110℃で撹拌混合し続けたところ、ウレタン化反応を完結せしめるのに60分を要した。次いで混合物を室温まで冷却すると粉末状のPVC−PU複合体が得られた。
【0081】
得られたPVC−PU複合体とDOP90重量部を170℃のロール成形機で剪断力下、加熱溶融混合したがロールへの巻き付きが悪く、ロールの回転比を上げるかまたはロール間隙を小さくし、高剪断力を与えなければ混練できず加工性が非常に悪いものであった。得られたシートを用いて圧縮永久歪(JIS K6301)、引張り(JIS K7113)、全光線透過率(JIS K7105、1mm板使用)及びヘーズ(JIS K7105、1mm板使用)試験用に、試験片をプレス成形し引張り強度、引張り破断伸び、全光線透過率及びヘーズを測定した。測定結果を以下に示す。
【0082】
全光線透過率 82%
ヘーズ 88%
引張り強度 75kg/cm2
引張り破断伸び 260%
本試料は、ウレタン反応が完結した後に、溶融混合を行ったために、透明性及び加工性の劣るものであった。
【0083】
実施例2
ポリマーポリオール(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量2000)80.0重量部とジブチル錫ジラウレート0.088重量部とを1分間混合したものを準備した。これと懸濁重合法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量部を内容積20リットルのヘンシェルミキサーに仕込み950rpmの回転速度で10分間攪拌した。混合物は容易に流動し得る粉体状混合物となった。さらにこの粉体状混合物を攪拌しながら安定剤としてステアリン酸バリウム2重量部、ステアリン酸亜鉛1重量部をヘンシェルミキサーに加え冷却混合を行い、予めPVCにポリマーポリオールを含浸せしめた粉末状混合物を得た。
【0084】
得られた粉体183.088重量部を容積1700cc、ケーシング温度150℃のバンバリー型ミキサーに仕込み一定回転速度で撹拌した。またこれとは別に、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)13.4重量部(NCO/OHモル比=0.85)、DOP100重量部を1分間混合したものを準備しバンバリー型ミキサー投入口より流し入れた。内容物は全量で1540gであった。剪断力下、加熱溶融混合をこれより15分間行った。
【0085】
得られたPVC−PU複合体をを170℃のロール成形機にかけシートにしたのち、全光線透過率(JIS K7105、1mm板使用)及びヘーズ(JISK7105、1mm板使用)試験用に、試験片をプレス成形し全光線透過率及びヘーズを測定した。測定結果を以下に示す。
【0086】
全光線透過率 87%
ヘーズ 59%
本試料は、PVCにポリマーポリオールを含浸せしめたために、透明性に優れるものであった。
【0091】
比較例3
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)13.4重量部(NCO/OH比=0.85)及びDOP50重量部を1分間混合したものを準備した。これと懸濁重合法により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量部を内容積20リットルのヘンシェルミキサーに加え、950rpmの回転速度で撹拌混合を行った。混合物は容易に流動し得る粉末状混合物となった。これとは別にポリマーポリオール(日本ポリウレタン (株)製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量2000)80.0重量部、ジブチル錫ジラウレート0.088重量部及びDOP50重量部を1分間混合したものを準備した。これを先ほど得られた粉末状混合物に加え950rpmの回転速度で撹拌混合を行った。しかし、液状成分が多く、液体が吸収される前にウレタン反応が進行してしまい粘土状の半ゲル状となった。
【0092】
【発明の効果】
本発明による製造方法によると透明性に優れたPVC−PU複合体を製造することが可能となり、更に引張り特性、圧縮永久歪に優れたPVC−PU複合体を製造することが可能となる。
Claims (4)
- 塩化ビニル系重合体(1)、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート基3個以上を有するイソシアネート化合物(3)及び可塑剤(4)を剪断力下、加熱溶融混合して塩化ビニル系重合体−ポリウレタン複合体を製造する方法において、塩化ビニル系重合体(1)がエチレン−塩化ビニル共重合体であり、予めエチレン−塩化ビニル共重合体に、ポリエステル系ポリオール,ポリエーテル系ポリオール,ポリカーボネート系ポリオール,ビニル系ポリオール,ジエン系ポリオール,ひまし油系ポリオール,シリコーン系ポリオール,ポリオレフィン系ポリオール、これらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種以上のポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を含浸せしめた粉体状混合物を用いて剪断力下、加熱溶融混合することを特徴とする塩化ビニル系重合体−ポリウレタン複合体の製造方法。
- 剪断力下、加熱溶融混合を機械加圧式混練機を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル系重合体−ポリウレタン複合体の製造方法。
- 塩化ビニル系重合体(1)、ポリマーポリオール(2)、イソシアネート基3個以上を有するイソシアネート化合物(3)及び可塑剤(4)を剪断力下、加熱溶融混合して塩化ビニル系重合体−ポリウレタン複合体を製造する方法において、塩化ビニル系重合体(1)がエチレン−塩化ビニル共重合体であり、予めエチレン−塩化ビニル共重合体に、ポリエステル系ポリオール,ポリエーテル系ポリオール,ポリカーボネート系ポリオール,ビニル系ポリオール,ジエン系ポリオール,ひまし油系ポリオール,シリコーン系ポリオール,ポリオレフィン系ポリオール、これらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種以上のポリマーポリオール(2)又はイソシアネート化合物(3)を含浸せしめた粉体状混合物を押出し機の供給口から押出し機に導入することを特徴とする塩化ビニル系重合体−ポリウレタン複合体の製造方法。
- 押出し機が自己清浄性の二軸押出し機であることを特徴とする請求項3に記載の塩化ビニル系重合体−ポリウレタン複合体の製造方法。
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