JP3427532B2 - 塩化ビニル系重合体−ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents

塩化ビニル系重合体−ポリウレタン樹脂組成物

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JP3427532B2
JP3427532B2 JP00068395A JP68395A JP3427532B2 JP 3427532 B2 JP3427532 B2 JP 3427532B2 JP 00068395 A JP00068395 A JP 00068395A JP 68395 A JP68395 A JP 68395A JP 3427532 B2 JP3427532 B2 JP 3427532B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は異形押出し成形性に優れ
た、塩化ビニル系重合体(以下PVCと言う)、ポリマ
ーポリオールとイソシアネート基3個以上を有する化合
物とを反応することにより生成する網目構造を有した
リウレタン(以下PUと言う)、可塑剤及びステアリン
酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛よりなる群か
ら選ばれる1種以上の高級脂肪酸の金属塩からなるPV
C−PU樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平4−220416号公報では、塩
化ビニル樹脂100重量部に対し可塑剤を5〜100重
量部加えドライアップさせて得る塩化ビニル系樹脂組成
物、ポリマーポリオール、イソシアネート基3個以上を
有するイソシアネート化合物を剪断力下、加熱溶融混合
してなるゲル化溶融性及び表面平滑性に優れた塩化ビニ
ル系樹脂組成物が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法で
得られるPVC−PU樹脂組成物は、押出し成形時に、
金属粘着を起こすため異形押出し成形性に劣るものであ
った。
【0004】そこで、本発明はこの従来のPVC−PU
樹脂組成物における欠点を解決したPVC−PU樹脂組
成物、即ち金属に粘着せず異形押出し成形性に優れた、
PVC、PU及び可塑剤からなるPVC−PU樹脂組成
物の提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述のよう
な現状に鑑み、PVC−PU樹脂組成物に特定の高級脂
肪酸の金属塩を配合することにより金属粘着を防止し、
その結果異形押出し成形性が向上することを見い出し、
本発明を完成するに至った。
【0006】即ち本発明は、PVC、PU、可塑剤及び
ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛よ
りなる群から選ばれる1種以上の高級脂肪酸の金属塩か
らなり、その高級脂肪酸の金属塩が塩化ビニル系重合体
100重量部に対して3重量部以上9重量部以下であ
こと特徴とするPVC−PU樹脂組成物を要旨とするも
のである。
【0007】以下本発明に関して詳細に説明する。
【0008】本発明で用いるPVCとは、塩化ビニル含
有重合体であり、例えば塩化ビニル単独重合体、塩素化
塩化ビニル重合体、塩化ビニル単量体とこれと共重合し
得る単量体の1種以上とのランダム共重合,グラフト共
重合,ブロック共重合して得られる塩化ビニル共重合体
であり、さらにこれら重合体の2種以上の混合物を挙げ
ることができる。
【0009】塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体と
しては、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体であれ
ばいかなるものも使用することができ、例えばエチレ
ン、プロピレン、ブテン、ペンテンー1、ブタジエン、
スチレン、αーメチルスチレン、アクリロニトリル、塩
化ビニリデン、シアン化ビニリデン、メチルビニルエー
テル等のアルキルビニルエーテル類、酢酸ビニル等のカ
ルボン酸ビニルエステル類、メトキシスチレン等のアリ
ールエーテル類、ジメチルマレイン酸等のジアルキルマ
レイン酸類、フマル酸ジメチルエステル等のフマル酸エ
ステル類、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビ
ニルシラン類、アクリル酸ブチルエステル等のアクリル
酸アルキルエステル類、メタクリル酸メチルエステル等
のメタクリル酸アルキルエステル類等を挙げることがで
きる。
【0010】PVCの重合度は特に制限は無くいかなる
ものも使用できるが、成形加工性に優れる点から120
0以上4000以下のものが好適に使用される。
【0011】また、後述の本発明の樹脂組成物の製造に
際し、ポリマーポリオール及び可塑剤を含浸させる場合
は、PVCへの含浸が容易であることからPVCは懸濁
重合法により得られたものであることが好ましい。
【0012】さらに、PVCとしてエチレン−塩化ビニ
ル共重合体を用いると柔軟性に優れたPVC−PU複合
体が得られるのでこれを用いることが好ましい。
【0013】本発明でいうPUとは、ポリマーポリオー
ルとイソシアネート基3個以上有する化合物とを反応す
ることにより、生成した網目構造を有したPUである。
【0014】ポリマーポリオールとは、水酸基2個以上
を有するものであり、例えばポリエステル系ポリオー
ル、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポ
リオール、ビニル系ポリオール、ジエン系ポリオール、
ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ポリ
オレフィン系ポリオールまたはこれらの共重合体等が挙
げられ、これらの1種または2種以上が使用される。
【0015】ポリマーポリオールの分子量は特に制限は
なくいかなるものも使用できるが、ポリマーポリオール
の取り扱い易さ、低硬度で良好な圧縮永久歪を発現する
点から数平均分子量が500以上8000以下であるこ
とが好ましい。
【0016】ポリエステル系ポリオールは例えばジカル
ボン酸と短鎖ポリオールを縮合重合することによって得
られる。このときジカルボン酸成分としてはコハク酸、
グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ドデカン酸、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒド
ロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレ
イン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、これらの
1種または2種以上が使用される。一方短鎖ポリオール
成分としては、脂肪族,脂環式,芳香族,置換脂肪族若
しくは複素環式のジヒドロキシ化合物、トリヒドロキシ
化合物又はテトラヒドロキシ化合物等で、例えば1,2
−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4
−ブタンジオール、ブテンジオール、3−メチル−1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
1,10−デカメチレンジオール、2,5−ジメチル−
2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、
ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,
9−ノナンジオール、ビス(β−ヒドロキシエトキシ)
ベンゼン、p−キシレンジオール、ジヒドロキシエチル
テトラハイドロフタレート、トリメチロールプロパン、
グリセリン、2−メチルプロパン−1,2,3−トリオ
ール、1,2,6−ヘキサントリオール等が挙げられ、
これらの1種または2種以上が使用される。
【0017】ポリエステル系ポリオールを得る別の方法
として、β−プロピオラクトン、ビバロラクトン、δ−
バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε
−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、ジメ
チル−ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラ
クトン等のラクトン化合物の1種または2種以上を、前
記の短鎖ポリオール成分から選ばれる1種または2種以
上のヒドロキシ化合物と共に反応せしめる方法によるこ
とも可能である。
【0018】ポリエーテル系ポリオールとしてはポリテ
トラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコ
ール等が挙げられこれらの1種または2種以上が使用さ
れる。
【0019】ポリカーボネート系ポリオールとしては、
前記の短鎖ポリオールから選ばれるヒドロキシ化合物の
1種または2種以上と、ジアリールカーボネート、ジア
ルキルカーボネートまたはエチレンカーボネートからエ
ステル交換法によって得られたものが使用される。例え
ば、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカーボネート)、ポ
リ(2,2’−ビス(4−ヒドロキシヘキシル)プロパ
ンカーボネート)等が工業的に生産されている。ポリカ
ーボネートポリオールを得る別の方法としては、いわゆ
るホスゲン法によることもできる。
【0020】その他、β−ヒドロキシエチルアクリレー
ト,β−ヒドロキシエチルメタアクリレート等のヒドロ
キシ基を持つアクリル単量体とアクリル酸エステルとの
共重合によって得られるアクリル系ポリオール等のビニ
ル系ポリオール、ポリ(1,4−ブタジエン),ポリ
(1,2−ブタジエン)等のジエン系ポリオール、ポリ
プロピレングリコールリシノレート等のひまし油系ポリ
オール、シリコーン系ポリオール、ポリオレフィン系ポ
リオール等も使用することができる。
【0021】イソシアネート基3個以上を有するイソシ
アネート化合物とは、例えばジイソシアネートのイソシ
アヌレート変性体、1,6,11−ウンデカントリイソ
シアネート、リジンエステルトリイソシアネート若しく
は4−イソシアネートメチル−1,8−オクタメチルジ
イソシアネート等のトリイソシアネート類又はジイソシ
アネートのビュレット変性体、アロファネート変性体、
アダクト体、ポリフェニルメタンポリイソシアネート等
の多官能イソシアネート類が挙げられ、これらの1種ま
たは2種以上が使用される。
【0022】ジイソシアネートとしては、2,4−若し
くは2,6−トリレンジイソシアネート、m−若しくは
p−フェニレンジイソシアネート、1−クロロフェニレ
ン−2,4−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジ
イソシアネート、メチレンビスフェニレン−4,4’−
ジイソシアネート、m−若しくはp−キシレンジイソア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイ
ソシアネート、4,4’−メチレンビスシクロヘキシル
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート又はト
リメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げるこ
とができる。
【0023】また、上記のジイソシアネート類を併用す
ることも可能である。ただし、この場合全イソシアネー
ト化合物のイソシアネート基モル数に対するイソシアネ
ート基3個以上を有するイソシアネート化合物のイソシ
アネート基モル数は0.25以上とすることが、本発明
のPVC−PU樹脂組成物に良好な圧縮永久歪特性を発
現させる上で好ましい。
【0024】また、イソシアネート化合物におけるイソ
シアネート基と上記ポリマーポリオールの水酸基のモル
比(NCO/OHモル比)は、良好な成形加工性、圧縮
永久歪特性を発現させる点から、0.3以上1.3以下
であり、好ましくは0.4以上0.8以下である。
【0025】上記のPUの生成反応は、ウレタン化反応
触媒の存在下で行わせることが好ましい。ウレタン化反
応触媒は特に制限はなく公知のものを用いることができ
る。例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン若
しくはN−メチルモルホリン等のアミン系触媒又はテト
ラメチル錫、テトラオクチル錫、ジメチルジオクチル
錫、トリエチル錫塩化物、ジブチル錫ジアセテート若し
くはジブチル錫ジラウレート等の錫系触媒等が挙げら
れ、これらの1種または2種以上が使用でき、ジブチル
錫ジラウレートが好適に使用される。使用する触媒量は
使用する触媒の活性により異なるが、ウレタン反応を完
結させるのに必要な量が良い。ジブチル錫ジラウレート
を例にすると生産性、加工性に優れる点からPVC、ポ
リマーポリオール、イソシアネート化合物及び可塑剤の
合計量に対して1ppm以上10000ppm以下の量
が望ましい。
【0026】本発明におけるPU量、即ちポリマーポリ
オールとイソシアネート化合物の合計配合量は、良好な
成形加工性、圧縮永久歪を発現させる点からPVC10
0重量部に対して30重量部以上600重量部以下が好
ましい。
【0027】また、本発明において用いる可塑剤として
は、例えばフタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−2−
エチルヘキシル(以下DOPと言う)、フタル酸ジ−n
−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソオ
クチル、フタル酸オクチルデシル、フタル酸ブチルベン
ジル、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル等のフタル
酸系可塑剤;アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジ
ピン酸ジ−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、セバ
シン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシルな
どの脂肪族エステル系可塑剤;トリメリット酸トリオク
チル、トリメリット酸トリデシル等のトリメリット酸系
可塑剤;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘ
キシル、リン酸2−エチルヘキシルジフェニル、リン酸
トリクレジル等のリン酸エステル系可塑剤;エポキシ系
大豆油などのエポキシ系可塑剤;ポリエステル系高分子
可塑剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使
用できる。
【0028】また可塑剤の配合量は、柔軟性付与、ブリ
ードアウト防止の点からPVC100重量部に対して1
0重量部以上300重量部以下が好適に使用される。
【0029】本発明で用いる高級脂肪酸の金属塩とは、
ステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛よ
りなる群から選ばれる1種以上の高級脂肪酸の金属塩で
ある。高級脂肪酸の金属塩の金属元素が周期表の12〜
14族に属さない、及び/又は第4〜第6周期に属さな
い元素である場合、金属粘着が防止できないため、異形
押出し成形性の改良効果が少なく好ましくない。
【0030】そして、本発明で用いる高級脂肪酸の金属
塩の配合量はPVC100重量部に対して3重量部以上
9重量部以下である。3重量部未満では異形押出し成形
性の改良効果が少なく、9重量部を越えると滑性が強す
ぎて溶融混練ができなくなることがあり、その結果本発
明の樹脂組成物が製造できないことがあり好ましくな
い。
【0031】また、ここでいう高級脂肪酸の金属塩はこ
れらの2種以上の混合物であっても良い。
【0032】
【0033】本発明において用いる高級脂肪酸の金属塩
として、入手し易く、比較的安価であることから、ス
テアリン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、ラウリン酸亜鉛であ
、その中でも毒性が低いことから、ステアリン酸亜
鉛、ラウリン酸亜鉛がさらに好ましい。また、これらは
2種以上併用して使用してもよい。
【0034】また、後述のようにPUをPVC、ポリマ
ーポリオール、イソシアネート基3個以上を有するイソ
シアネート化合物、可塑剤、ウレタン化反応触媒及び高
級脂肪酸の金属塩を剪断力下、加熱溶融混合することに
より生成させる場合には、高級脂肪酸の脂肪鎖は、ウレ
タン化反応に影響を与えない飽和炭化水素であることが
好ましい。
【0035】本発明のPVC−PU樹脂組成物には、そ
の性能を極端に低下させない程度にPVCに通常添加さ
れる安定剤(例えばステアリン酸バリウム等の金属石
鹸、ラウリン酸錫等の有機錫系安定剤、テトラフェニル
ポリプロピレングリコールジフォスファイト等のフォス
ファイト系安定剤、過塩素酸処理ハイドロタルサイト等
のハイドロタルサイト系安定剤等が挙げられる)、滑剤
(例えばポリエチレンワックス等の炭化水素系ワック
ス、n−ブチルステアレート等の脂肪酸エステル系ワッ
クス等が挙げられる)、着色剤、炭酸カルシウム若しく
はタルク等に代表される無機充填材、三酸化アンチモン
若しくはホウ酸亜鉛に代表される難燃剤などを必要に応
じて添加することができる。
【0036】本発明では、PUがPVC、ポリマーポリ
オール、イソシアネート基3個以上を有するイソシアネ
ート化合物、可塑剤、ウレタン化反応触媒を剪断力下、
加熱溶融混合することにより生成したものである場合、
得られるPVC−PU樹脂組成物が引張強度に優れ好ま
しい。
【0037】PUをPVC、ポリマーポリオール、イソ
シアネート基3個以上を有するイソシアネート化合物、
可塑剤、ウレタン化反応触媒を剪断力下、加熱溶融混合
することにより生成させるには、例えばバンバリーミキ
サー(ファレル社製)、加圧ニーダー((株)森山製作
所製)、インターナルミキサー(栗本鉄工所製)、イン
テンシブミキサー(日本ロール製造(株)製)等の機械
加圧式混練機、ロール成形機、押出し成形機等のプラス
チック又はゴムの加工に使用される混練成形機が使用で
きる。加熱溶融混合する温度は、PVCが容易に溶融
し、PVCが熱分解を起こす可能性の低い90〜220
℃で行うことが好ましく、さらに好ましくは100〜1
50℃である。
【0038】この際、予め可塑剤をPVCに含浸せしめ
た粉体状混合物を用いて剪断力下、加熱溶融混合を行う
と押出し成形時の表面平滑性が良く好ましい。
【0039】ウレタン化反応触媒は、予め可塑剤と一緒
にPVCに含浸せしめておいてもそうでなくてもよい
が、取り扱い上含浸せしめておくことが好ましい。
【0040】さらに、液体成分が多い場合には、予めポ
リマーポリオール及び可塑剤、または予めポリマーポリ
オール、可塑剤及びウレタン化反応触媒をPVCに含浸
せしめた粉体状混合物を用いて剪断力下、加熱溶融混合
を行うと押出し成形時の表面平滑性が良くなるとともに
生産性が向上し、好ましい。この際、含浸させるポリマ
ーポリオール等は、その使用するものの一部又は全部の
どちらでも良い。
【0041】PVCに、予め可塑剤、ポリマーポリオー
ル、ウレタン化反応触媒等を含浸させるには、例えばジ
ャケット付きリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー
(三井三池製作所製)またはスーパーミキサー(川田製
作所製)等の混合機を用いればよい。このような混合機
を用いる場合、PVCを混合機に投入した後、撹拌下こ
れに所定量の可塑剤、ポリマーポリオール、ウレタン化
反応触媒等を添加し、樹脂温度が90〜150℃になる
まで混合を続けることにより、PVC粉体に可塑剤、ポ
リマーポリオール、ウレタン化反応触媒等が含浸されて
流動性のある粉体状混合物が得られる。樹脂温度が90
℃未満では粉体流動性が悪く、150℃を超えるとフィ
ッシュアイが生成するおそれがある。
【0042】可塑剤、ポリマーポリオール、ウレタン化
反応触媒のうち2種以上を含浸させる場合、予め混合し
た後に上記のヘンシェルミキサー等の混合機に投入して
も良いし、別々に投入しても良い。
【0043】またPVC用安定剤は、予め混合機を用い
てPVCに混合しておくことが好ましい。液状安定剤は
予め可塑剤中に添加しておいても良い。
【0044】PUをPVC、ポリマーポリオール、イソ
シアネート基3個以上を有するイソシアネート化合物、
可塑剤及びウレタン化反応触媒を剪断力下、加熱溶融混
合することにより生成させる一例としては、このように
して予めポリマーポリオール、可塑剤並びにウレタン化
反応触媒を含浸させたPVC、及びイソシアネート基3
個以上を有するイソシアネート化合物と場合によっては
PVCに含浸させなかった残りの一部のポリマーポリオ
ールを均一混合した液体を上記混練成形機に導入した
後、剪断力下、加熱溶融混合する方法を挙げることがで
きる。
【0045】本発明におけるPVC−PU樹脂組成物を
製造するには、PUがPVC、ポリマーポリオール、イ
ソシアネート基3個以上を有するイソシアネート化合
物、可塑剤、ウレタン化反応触媒を剪断力下、加熱溶融
混合することにより生成した後、高級脂肪酸の金属塩で
ありその金属が周期表の12〜14族に属し、かつ第4
〜第6周期に属する元素である高級脂肪酸の金属塩と溶
融混合しても良いし、PVC、ポリマーポリオール、イ
ソシアネート基3個以上を有するイソシアネート化合
物、可塑剤、ウレタン化反応触媒を剪断力下、加熱溶融
混合する際に、予めPVCと混合しておいても良いが、
製造上後者の方が簡便で好ましい。
【0046】溶融混合には押出し機、ロール混練機等の
プラスチックまたはゴムの加工に使用される混練機及び
/または造粒機が使用できる。
【0047】また、本発明により得られたPVC−PU
樹脂組成物は、従来の種々の成形方法により、ロール、
ホース、チューブ、ベルト、パッキン、シーラント、タ
イヤ、シート、振動吸収材、スポーツ用品、日用雑貨等
の成形品に成形することができ、射出成形、押出し成
形、発泡成形、ブロー成形等の加工方法が可能である。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0049】実施例1 内容積20リットルのヘンシェルミキサーに懸濁重合法
により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー
(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量
部、ステアリン酸亜鉛3重量部、安定剤としてステアリ
ン酸バリウム2重量部、過塩素酸処理ハイドロタルサイ
ト(日産フェロ有機化学(株)製、商品名BP−33
1)1.5重量部を仕込み950rpmの回転速度で1
分間撹拌した。またこれとは別にポリマーポリオール
(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン406
7;数平均分子量2000)50重量部、DOP100
重量部とジブチル錫ジラウレート(ウレタン化反応触
媒)0.15重量部を1分間混合したものを準備した。
これを上記ヘンシェルミキサーに加え混合物の温度が1
10℃をになるまで撹拌混合を行った。内容物は全量で
4000gであった。混合物は容易に流動し得る粉体状
混合物となった。
【0050】得られた粉体256.65重量部を容積1
700cc、設定温度150℃のバンバリー型ミキサー
に仕込み一定回転速度で撹拌した。またこれとは別に、
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変
性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートH
X)34重量部、80℃に加熱したポリマーポリオール
(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン406
7;数平均分子量2000)216重量部(NCO/O
Hモル比=0.65)を入れ1分間混合したものを準備
しバンバリー型ミキサー投入口より流し入れた。内容物
は全量で1540gであった。剪断力下、加熱溶融混合
を行い、溶融混合物の温度が175℃に到達したところ
で排出した。
【0051】得られたPVC−PU樹脂組成物を130
℃のロール混練機でシート状にした。冷却後、押出し成
形に用いるためシートをシートペレタイザーにかけ造粒
した。
【0052】得られたペレットを20mm単軸押出し機
((株)東洋精機製作所製、商品名ラボプラストミル)
を用いて押出し成形を行った。
【0053】ダイスはASTM D 2230−90に
記載されているガーベダイを用い、押出し条件はシリン
ダー温度170℃、ダイス温度180℃、スクリュー回
転数100rpmであった。押出し外観の評価はAST
M System Bで行った。
【0054】結果を表1に示す。
【0055】評価は1が最も悪く、10が最も良い。
【0056】実施例2 内容積20リットルのヘンシェルミキサーに懸濁重合法
により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー
(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量
部、安定剤としてステアリン酸バリウム2重量部、過塩
素酸処理ハイドロタルサイト(日産フェロ有機化学
(株)製、商品名BP−331)1.5重量部を仕込み
950rpmの回転速度で1分間撹拌した。またこれと
は別にポリマーポリオール(日本ポリウレタン(株)
製、商品名ニッポラン4067;数平均分子量200
0)50重量部、DOP100重量部とジブチル錫ジラ
ウレート(ウレタン化反応触媒)0.15重量部を1分
間混合したものを準備した。これを上記ヘンシェルミキ
サーに加え混合物の温度が110℃をになるまで撹拌混
合を行った。内容物は全量で4000gであった。混合
物は容易に流動し得る粉体状混合物となった。
【0057】得られた粉体253.65重量部を容積1
700cc、設定温度150℃のバンバリー型ミキサー
に仕込み一定回転速度で撹拌した。またこれとは別に、
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変
性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートH
X)34重量部、80℃に加熱したポリマーポリオール
(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン406
7;数平均分子量2000)216重量部(NCO/O
Hモル比=0.65)を入れ1分間混合したものを準備
しバンバリー型ミキサー投入口より流し入れた。内容物
は全量で1540gであった。剪断力下、加熱溶融混合
を行い、溶融混合物の温度が175℃に到達したところ
で排出しPVC−PU複合体を得た。
【0058】得られたPVC−PU複合体503.65
重量部及びステアリン酸亜鉛5重量部を130℃のロー
ル混練機で5分間混練した後、シート状にした。冷却
後、押出し成形に用いるためシートをシートペレタイザ
ーにかけ造粒した。
【0059】押出し成形性の評価は実施例1と同様に行
った。
【0060】評価結果を表1に示す。
【0061】実施例3 ステアリン酸亜鉛5重量部の代わりにステアリン酸亜鉛
7重量部使用した以外は実施例2と同様に製造し評価を
行った。
【0062】評価結果を表1に示す。
【0063】実施例4 ステアリン酸亜鉛5重量部の代わりに、ラウリン酸亜鉛
5重量部使用した以外は実施例2と同様に製造し評価を
行った。
【0064】評価結果を表1に示す。
【0065】実施例5 ステアリン酸亜鉛5重量部の代わりに、ステアリン酸鉛
5重量部使用した以外は実施例2と同様に製造し評価を
行った。
【0066】評価結果を表1に示す。
【0067】実施例6 内容積20リットルのヘンシェルミキサーに懸濁重合法
により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー
(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量
部、ステアリン酸亜鉛3重量、安定剤としてステアリン
酸バリウム2重量部、過塩素酸処理ハイドロタルサイト
(日産フェロ有機化学(株)製、商品名BP−331)
1.5重量部を仕込み950rpmの回転速度で1分間
撹拌した。またこれとは別にポリマーポリオール(日本
ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4067;数
平均分子量2000)30重量部、DOP70重量部と
ジブチル錫ジラウレート(ウレタン化反応触媒)0.1
0重量部を1分間混合したものを準備した。これを上記
ヘンシェルミキサーに加え混合物の温度が110℃をに
なるまで撹拌混合を行った。内容物は全量で4000g
であった。混合物は容易に流動し得る粉体状混合物とな
った。
【0068】得られた粉体206.60重量部を容積1
700cc、設定温度150℃のバンバリー型ミキサー
に仕込み一定回転速度で撹拌した。またこれとは別に、
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変
性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートH
X)14.5重量部、80℃に加熱したポリマーポリオ
ール(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4
067;数平均分子量2000)115.5重量部(N
CO/OHモル比=0.50)を入れ1分間混合したも
のを準備しバンバリー型ミキサー投入口より流し入れ
た。内容物は全量で1540gであった。剪断力下、加
熱溶融混合を行い、溶融混合物の温度が175℃に到達
したところで排出した。
【0069】得られたPVC−PU樹脂組成物を130
℃のロール混練機でシート状にした。冷却後、押出し成
形に用いるためシートをシートペレタイザーにかけ造粒
した。
【0070】押出し成形性の評価は実施例1と同様に行
った。
【0071】評価結果を表1に示す。
【0072】実施例7 内容積20リットルのヘンシェルミキサーに懸濁重合法
により得られたエチレン−塩化ビニル共重合体(東ソー
(株)製、商品名リューロンE−2800)100重量
部、ステアリン酸亜鉛3重量、安定剤としてステアリン
酸バリウム2重量部、過塩素酸処理ハイドロタルサイト
(日産フェロ有機化学(株)製、商品名BP−331)
1.5重量部を仕込み950rpmの回転速度で1分間
撹拌した。またこれとは別にDOP120重量部とジブ
チル錫ジラウレート(ウレタン化反応触媒)0.10重
量部を1分間混合したものを準備した。これを上記ヘン
シェルミキサーに加え混合物の温度が110℃をになる
まで撹拌混合を行った。内容物は全量で4000gであ
った。混合物は容易に流動し得る粉体状混合物となっ
た。
【0073】得られた粉体226.60重量部を容積1
700cc、設定温度150℃のバンバリー型ミキサー
に仕込み一定回転速度で撹拌した。またこれとは別に、
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変
性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートH
X)14.5重量部、80℃に加熱したポリマーポリオ
ール(日本ポリウレタン(株)製、商品名ニッポラン4
067;数平均分子量2000)105.5重量部(N
CO/OHモル比=0.70)を入れ1分間混合したも
のを準備しバンバリー型ミキサー投入口より流し入れ
た。内容物は全量で1540gであった。剪断力下、加
熱溶融混合を行い、溶融混合物の温度が175℃に到達
したところで排出した。
【0074】得られたPVC−PU樹脂組成物を130
℃のロール混練機でシート状にした。冷却後、押出し成
形に用いるためシートをシートペレタイザーにかけ造粒
した。
【0075】押出し成形性の評価は実施例1と同様に行
った。
【0076】評価結果を表1に示す。
【0077】実施例8 ステアリン酸亜鉛5重量部の代わりにステアリン酸亜鉛
3重量部及びラウリン酸亜鉛2重量部を使用した以外
は、実施例2と同様に製造し評価を行った。
【0078】評価結果を表1に示す。
【0079】比較例1 ステアリン酸亜鉛5重量部の代わりにステアリン酸亜鉛
2重量部使用した以外は実施例2と同様に製造し評価を
行った。
【0080】評価結果を表1に示す。
【0081】比較例2 ステアリン酸亜鉛5重量部の代わりにステアリン酸亜鉛
10重量部使用した以外は実施例2と同様に製造を試み
たがロールに巻き付かずロール混練できなかった。
【0082】比較例3 ステアリン酸亜鉛5重量部の代わりにステアリン酸カル
シウム5重量部使用した以外は実施例2と同様に製造し
評価を行った。
【0083】評価結果を表1に示す。
【0084】比較例4 ステアリン酸亜鉛5重量部の代わりにステアリン酸マグ
ネシウム5重量部使用した以外は実施例2と同様に製造
し評価を行った。
【0085】評価結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】本発明のPVC−PU樹脂組成物は、異
形押出し成形性に優れている。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−351650(JP,A) 特開 平4−220416(JP,A) 特開 平6−87999(JP,A) 特開 平6−306233(JP,A) 特開 平5−148394(JP,A) 特開 平1−141937(JP,A) 特開 平6−179788(JP,A) 特開 平3−252440(JP,A) 特開 平8−188692(JP,A) 特開 昭52−86441(JP,A) 特開 昭53−13659(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 27/06 C08L 75/04 - 75/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニル系重合体、ポリマーポリオール
    とイソシアネート基3個以上を有する化合物とを反応す
    ることにより生成する網目構造を有したポリウレタン、
    可塑剤及びステアリン酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリ
    ン酸亜鉛よりなる群から選ばれる1種以上の高級脂肪酸
    の金属塩からなり、その高級脂肪酸の金属塩が塩化ビニ
    ル系重合体100重量部に対して3重量部以上9重量部
    以下であことを特徴とする塩化ビニル系重合体−ポリ
    ウレタン樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリウレタンが塩化ビニル系重合体、ポリ
    マーポリオール、イソシアネート基3個以上を有するイ
    ソシアネート化合物、可塑剤及びウレタン化反応触媒を
    剪断力下、加熱溶融混合することにより生成させたもの
    である請求項1に記載の塩化ビニル系重合体−ポリウレ
    タン樹脂組成物。
  3. 【請求項3】ポリウレタンを生成させる際に、予め可塑
    剤を塩化ビニル系重合体に含浸せしめた粉体状混合物を
    用いて剪断力下、加熱溶融混合を行う請求項2に記載の
    塩化ビニル系重合体−ポリウレタン樹脂組成物。
  4. 【請求項4】ポリウレタンを生成させる際に、予めポリ
    マーポリオール及び可塑剤、または、予めポリマーポリ
    オール、可塑剤及びウレタン化反応触媒を塩化ビニル系
    重合体に含浸せしめた粉体状混合物を用いて剪断力下、
    加熱溶融混合を行う請求項2に記載の塩化ビニル系重合
    体−ポリウレタン樹脂組成物。
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