JP3629215B2 - ポリマー粒子の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧料、情報材料、塗料、潤滑剤等に使用されるポリマー粒子の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
モノマーは溶解するが生成するポリマーは溶解しない溶剤中で、生成したポリマーを分散させる分散剤の存在下で重合し、ポリマー粒子を製造する方法は分散重合法と呼ばれ、粒径分布の狭いポリマー粒子が比較的短時間に高濃度で得られるという特徴を有している。
【0003】
架橋剤を用いた分散重合法に関しては、幾つか報告されており、一般に、架橋剤量が多いと粒子凝集や粒子表面の異形化が起こり、少ないと架橋が掛からず粒子の溶剤可溶分が多くなる。特開平7−149807号公報では、特定の分散重合溶剤(イソアルカノール溶剤)を使用し、架橋剤を時間制御及び監視下で添加することで球状の単分散重合体粒子を製造する方法を開示している。 しかし、他の溶剤中では、粒子凝集や粒子表面の異形化が起こり、粒子表面の滑らかな球状のポリマー粒子の製造は困難であった。
【0004】
本発明の課題は、溶剤中、粒子表面の滑らかな球状の且つ製品配合時の油分や溶剤可溶分が少ないポリマー粒子の製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶剤中、分散剤及び重合開始剤存在下にてビニルモノマー(以下モノマーという)を重合してポリマー粒子を得るに際し、モノマーの重合率が1〜100%の重合反応中に、モノマー100重量部に対して架橋性ビニルモノマー(以下架橋剤という)0.099〜47重量部(以下、重合架橋剤量という)を添加し、かつモノマーの重合率が、1〜X%(1<X≦97)の間に、重合架橋剤量の1〜10重量%を添加し、モノマーの重合率が、X〜Y%(30≦Y≦98)の間に、重合架橋剤量の10〜45重量%を添加し、モノマーの重合率が、Y〜Z%(50≦Z≦100)の間に、重合架橋剤量の45〜89重量%を添加する(但し、X<Y<Zである)ポリマー粒子の製造法を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
[モノマー]
本発明においてモノマーは、通常のラジカル重合性ビニルモノマー(α置換体を含む)が好適に用いられる。モノマーの具体例として、スチレン、炭素数1〜22のアルキル(メタ)アクリレート(ここで「アルキル(メタ)アクリレート」とは、アルキルアクリレート又はアルキルメタクリレートを意味し、以下同様の意味で「(メタ)」を用いる。)、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上を混合して(共)重合することができる。
【0007】
また、生成する粒子の表面特性を制御したり、反応性を付与したりする目的で、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、無水マレイン酸、クロロメチルスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン等のモノマーを単独重合又は共重合させることもできる。
【0008】
本発明における好ましいモノマー濃度は、重合の遅延、分散不安定化、粒径分布の拡大、重合反応の暴走等の問題を引き起こさないために、反応系中1〜50重量%が好ましく、2〜30重量%が更に好ましい。モノマー濃度もまた粒子径を変化させる因子であり、一般には高いほど粒径が大きくなる傾向がある。
【0009】
モノマーは、使用するモノマーの全量もしくはその一部をあらかじめ他の成分と混合して使用するが、例えば高濃度の分散液を得る場合などには、連続的に反応系内にモノマーを供給しながら重合を行うことができる。通常、モノマーは生成するポリマーの良溶剤であるため、希釈せずにそのまま供給すると凝集を起こすことが多い。このような場合は、モノマーを溶剤で希釈して供給する。その特別な実施形態として、溶剤の還流下に分散重合を行い、凝縮液でモノマーを希釈して供給することができる。
【0010】
供給するモノマーの濃度は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。また、粒径分布の狭いポリマー粒子を得るためには、反応系内のモノマー濃度は30重量%以下、好ましくは20重量%以下で、なるべく急激なモノマー濃度の変化がないように制御することが望ましい。通常の分散重合においては、すでに生成したポリマー粒子の重量に比例して重合速度が増大していくことから、モノマーは初期は比較的ゆっくり、後半になるほど速く供給していくことが望ましい。
【0011】
[重合開始剤]
本発明において重合開始剤として、例えば、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシド系開始剤、アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(ジメチルイソブチレート)、アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ系開始剤が好適に用いられる。
【0012】
一般に分散重合において、パーオキシド系開始剤は分散剤からの水素引き抜き作用により、グラフトポリマーを生成し、分散安定性を高めることが知られている。しかし、ポリシロキサン化合物を分散剤に用い、炭化水素及び/又はシリコーン溶剤中で分散重合を行うとアゾ系開始剤においても安定に分散を保つことができる。
【0013】
重合開始剤の使用量は、モノマーに対して0.03〜3モル%が好ましく、0.1〜1モル%が更に好ましい。
【0014】
重合開始剤はあらかじめ他の成分と混合溶解して使用されるが、残存モノマーを低減する目的から重合反応途中で溶剤等に希釈して、一括あるいは連続的に添加することが可能である。
【0015】
[溶剤]
本発明に用いる溶剤は、分散剤及びモノマーを溶解し、生成ポリマーを溶解しないものであれば特に制限はないが、非水系溶剤が好ましい。さらに好ましくは、炭化水素もしくはシリコーン又はそれらの混合物である。炭化水素系溶剤として、ヘキサン、ヘプタン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、イソオクタン、水添トリイソブチレン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が例示され、シリコーン系溶剤として、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン等が例示される。これらの中でヘキサンが特に好ましい。
【0016】
溶剤の種類は生成する粒子の大きさや分散安定性を左右する重要な因子である。一般に生成するポリマーとの親和性が高いほど大きな粒子ができる傾向がある。
【0017】
[分散剤]
本発明に用いる分散剤は、片末端にラジカル重合性基を有するポリシロキサン化合物が好ましく、片末端にラジカル重合性基を有するポリシロキサン化合物として一般式(I)で表される化合物が例示される。
【0018】
【化1】
【0019】
〔式中、
A:CH2=C(R1)COO−, CH2=C(R1)CONR2−又はCH2=CH−C6H4−で表される基を示す。ただし、R1=H又はCH3、R2=H又はCYH2Y+1 (Y=1〜4の整数)である。
B:−(CH2O)m−CnH2n− (m=0又は1、n=1〜10の整数)で表される基を示す。
E:CpH2p+1 (p=1〜4の数)で表される基を示す。
a:3〜1500の数を示す。〕
この中でも、本発明の目的を達成するために、一般式(II)で表されるポリシロキサンが特に好ましい。
【0020】
【化2】
【0021】
〔式中、
R1,B,a:前記の意味を示す。
R4:炭素数1〜4のアルキル基を示す。〕
このような片末端にラジカル重合性基を有するポリシロキサン化合物(以下、ポリシロキサン化合物と言う)は、例えばラジカル重合法による連鎖移動法を利用する方法、あるいはアニオンリビング重合による方法等から合成できる。
【0022】
本発明に用いる片末端にラジカル重合性基を有するポリシロキサン化合物の数平均分子量(Mn)は、生成するポリマー粒子の分散安定性及びポリマー粒子の製造時の操作性の点より、500〜100,000 が好ましく、1,000〜50,000がより好ましい。
【0023】
本発明において分散剤の使用量は、系の安定性及び生成する粒子に求められる特性(粒子径、表面特性等)により適宜選択されるが、分散安定性及び経済的な面からモノマーに対して0.1〜20重量%が好ましい。
【0024】
[架橋剤及びその添加法]
本発明に用いられる架橋性ビニルモノマーは、α置換体を含み、ジビニル系のジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリレート系のエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能性架橋剤、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートやテトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の多官能性架橋剤が挙げられる。これらの中で好ましい架橋剤は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートである。
【0025】
分散重合において、溶剤中、モノマー、架橋剤、分散剤及び重合開始剤の存在下で重合を開始すると、核が析出し、次にモノマーや架橋剤が溶剤中から核に分配され、重合が進行し、ポリマー粒子が生成する。重合開始時に、モノマーに対して架橋剤量が多いとポリマー粒子の凝集や粒子表面の異形化が起こる。この凝集や粒子表面の異形化は重合開始時の核の不均一なモノマー吸収と核同士の合一が関与していると考えられる。また、重合開始後、重合率1%未満迄は、核部分やポリマー粒子は極めて不安定であり、架橋剤を添加することは好ましくない。
【0026】
従って、本発明においては、モノマーの重合率が1〜100%の重合反応中に、モノマー100重量部に対して架橋剤0.099〜47重量部(以下、重合架橋剤量という)を添加することにより、ポリマー粒子の異形化や凝集を発生させず且つポリマー粒子の製品配合時の油分や溶剤への可溶化量を少なくした分散重合を行うことができる。好ましくは、モノマーの重合率1〜100%の重合反応中に、モノマー100重量部に対して架橋剤0.99〜9重量部(以下、好ましい重合架橋剤量という)を添加する。
【0027】
さらに好ましくは、モノマーの重合率が、1〜X%(1<X≦97)の間に、重合架橋剤量の1〜10重量%を添加し、モノマーの重合率が、X〜Y%(30≦Y≦98)の間に、重合架橋剤量の10〜45重量%を添加し、モノマーの重合率が、Y〜Z%(50≦Z≦100)の間に、重合架橋剤量の45〜89重量%を添加する多段階添加製造法(1)である(但し、X<Y<Zである)。
【0028】
特に、好ましくは、モノマーの重合率が、2〜X%(2<X≦96)の間に、重合架橋剤量の2〜6重量%を添加し、モノマーの重合率が、X〜Y%(40≦Y≦97)の間に、重合架橋剤量の15〜35重量%を添加し、モノマーの重合率が、Y〜Z%(65≦Z≦100)の間に、重合架橋剤量の60〜83重量%を添加する多段階添加製造法(2)である(但し、X<Y<Zである)。
【0029】
上記、多段階添加製造法(1)、(2)において、重合架橋剤量が、好ましい重合架橋剤量であってもよい。
【0030】
重合初期に、架橋剤量を低濃度添加し、段階的に添加量を変え、重合後期に架橋剤量を高濃度加える上記多段階添加製造法により、ポリマー粒子の異形化や凝集をより抑制し、安定的な生産をすることが出来る。
【0031】
なお、モノマーの重合率は、式(III)により求めることができる。
【0032】
重合率(%)=(ポリマーに転化したモノマー量)×100/(全モノマー量) (III)ポリマーに転化したモノマー量は、全モノマー量から未反応のモノマー量(未供給量と反応系内に残存しているモノマー量の合計)を差し引いた、式(IV)から求められる。ここで反応系内に残存しているモノマー量は、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーで定量できる。またポリマーに転化したモノマー量はサンプリングした反応液の蒸発残量(100℃、1時間処理)を測定することで、近似的に式(V)からも求められるが、式(IV)の方が好ましい。
【0033】
ポリマーに転化したモノマー量=(全モノマー量−未反応のモノマー量) (IV)ポリマーに転化したモノマー量=(サンプリング液の蒸発残量−サンプリング液中の分散剤,架橋剤,重合開始剤,連鎖移動剤の理論合計量)×(反応槽液量)/(サンプリング液量) (V)
また、できるだけ均一に架橋するために、モノマーの重合率が1%以降に添加する架橋剤は、等量に多分割して添加するか、連続的に添加することが好ましい。その際に、溶剤で希釈することがさらに好ましい。溶剤の還流下に分散重合を行う場合は、その凝縮液で架橋剤を希釈して添加することができる。
【0034】
また、重合開始時に架橋剤量が少なすぎると、製品配合時の油分や溶剤に、ポリマーの核部分が可溶化されるので、モノマーの重合率が0%の時に、モノマー100重量部に対して架橋剤0.001〜3重量部、好ましくは0.01〜1重量部を、モノマーを含む他の成分と混合して存在させておけば、ポリマー粒子の凝集や粒子表面の異形化はほとんど発生せず、且つ核部分が油分や溶剤に可溶化される量が少ないので好ましい。
【0035】
架橋剤の合計量は、十分な架橋を行いポリマー粒子の溶剤可溶分を少なくし、また粒子の異形化又は凝集を防ぐために、モノマー100重量部に対して0.1〜50重量部が好ましく、1〜10重量部が更に好ましい。
【0036】
[連鎖移動剤]
本発明では、分子量あるいは粒子径制御の目的で連鎖移動剤を使用しても良い。かかる連鎖移動剤の具体例として、ブチルメルカプタン、メルカプトエタノール、チオグリコール酸、ドデカンチオール、メルカプト変性シリコーン等のメルカプタン類、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアニリン、クメン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0037】
[その他の反応条件]
本発明において、重合温度は重合開始剤の分解速度、モノマーと溶剤との親和性等によって選択され、好ましくは室温〜150℃、より好ましくは50〜120℃である。溶剤の還流下に反応を行うことは温度制御及び重合熱除去が容易にできる点で好都合である。重合時間は重合開始剤の半減期、モノマーの反応性によって適宜選択されるが、2時間〜48時間が好ましい。
【0038】
分散重合においてはモノマーに含まれる重合禁止剤や酸素の残存量が生成する粒子径を大きく変動させる場合があるので、通常のラジカル重合を行う場合以上にこれらの重合禁止(遅延)因子量を制御することが望ましい。
【0039】
撹拌条件は、速すぎても遅すぎても分散が不安定になりやすく、強い剪断がかからずに系全体が混合されるように行うのが好ましい。
【0040】
[その他の添加剤]
本発明の方法においては、機能性粒子の製造の目的で分散重合に悪影響を与えない範囲で各種添加剤を共存させることができる。かかる添加剤の具体例としては、可塑剤、染料、抗菌剤、香料等である。
【0041】
【実施例】
実施例1
4ツ口フラスコにn−ヘキサン560g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン(チッソ(株)製サイラプレーンFM−0725:数平均分子量1万,分散剤)4.8g、メタクリル酸メチル120g(1.2mol)、スチレン40g(0.38mol)、ラウロイルパーオキシド3.2g(0.008mol)を室温下で仕込み、窒素置換しながら攪拌を1時間程度行った。オイルバスを2時間で25℃から溶剤が還流する様に温度設定し、4ツ口フラスコを25℃のオイルバスに漬けた。約1時間後、系内が白濁し始め重合開始を確認した(重合率0.9%)。
【0042】
重合開始から2時間目に81%純度のジビニルベンゼン8.0g(対モノマー5重量%)をn−ヘキサン32gで希釈した溶液を4時間かけて連続滴下した。ジビニルベンゼン添加開始時の重合率は45%であった。重合開始から18時間後に反応を停止してスラリーを得た。
【0043】
実施例2
4ツ口フラスコにn−ヘキサン560g、実施例1と同じ片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン4.8g、メタクリル酸メチル120g(1.2mol)、スチレン40g(0.38mol)、ジビニルベンゼン0.032g(対モノマー0.02重量%)、ラウロイルパーオキシド3.2g(0.008mol)を室温下で仕込み、窒素置換しながら攪拌を1時間程度行った。オイルバスを2時間で25℃から溶剤が還流する様に温度設定し、4ツ口フラスコを25℃のオイルバスに漬けた。約1時間後、系内が白濁し始め重合開始を確認した(重合率0.8%)。
【0044】
重合開始から3時間目にジビニルベンゼン4.8g(対モノマー3重量%)をn−ヘキサン32gで希釈した溶液を3時間かけて連続滴下した。ジビニルベンゼン添加開始時の重合率は57%であった。重合開始から18時間後に反応を停止してスラリーを得た。
【0045】
実施例3
4ツ口フラスコにn−ヘキサン566g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン(チッソ株製サイラプレーンFM−0725:数平均分子量1万,分散剤)9.6g、メタクリル酸メチル180g、スチレン60g、81%純度のジビニルベンゼン0.04g、ラウロイルパーオキシド4.8gを室温下で仕込み、窒素置換しながら攪拌を1時間程度行った。オイルバスを2時間で25℃から溶剤が還流する様に温度設定をし、4ツ口フラスコを25℃のオイルバスに漬けた。約1時間後、系内が白濁し始め重合開始を確認した(重合率0.9%)。
【0046】
重合開始から1時間目にジビニルベンゼン0.17g(対モノマー0.07重量%,重合架橋剤量の2.4重量%)をn−ヘキサン12.5gで希釈した溶液の滴下を開始した(重合率2%)。重合開始から3.5時間目(重合率54%)に終了した。引き続き、ジビニルベンゼン1.80g(対モノマー0.75重量%,重合架橋剤量の25.0重量%)をn−ヘキサン6.5gで希釈した溶液の滴下を開始し、重合開始から4.5時間目(重合率82%)に終了した。引き続き、ジビニルベンゼン5.22g(対モノマー2.18重量%,重合架橋剤量の72.6重量%)をn−ヘキサン18.5gで希釈した溶液の滴下を開始し、重合開始から6時間目(重合率91%)に終了した。重合開始から18時間後に反応を停止し、スラリーを得た。
【0047】
実施例4
4ツ口フラスコにn−ヘキサン566g、片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン(チッソ株製サイラプレーンFM−0725:数平均分子量1万,分散剤)9.6g、メタクリル酸メチル180g、スチレン60g、ラウロイルパーオキシド4.8gを室温下で仕込み、窒素置換しながら攪拌を1時間程度行った。オイルバスを2時間で25℃から溶剤が還流する様に温度設定をし、4ツ口フラスコを25℃のオイルバスに漬けた。約1時間後、系内が白濁し始め重合開始を確認した(重合率0.9%)。
【0048】
重合開始から2.5時間目にジビニルベンゼン0.17g(対モノマー0.07重量%,重合架橋剤量の2.4重量%)をn−ヘキサン12.5gで希釈した溶液の滴下を開始した(重合率53%)。重合開始から5時間目(重合率95%)に終了した。引き続き、ジビニルベンゼン1.80g(対モノマー0.75重量%,重合架橋剤量の25.0重量%)をn−ヘキサン6.5gで希釈した溶液の滴下を開始し、重合開始から6時間目(重合率96%)に終了した。引き続き、ジビニルベンゼン5.22g(対モノマー2.18重量%,重合架橋剤量の72.6重量%)をn−ヘキサン18.5gで希釈した溶液の滴下を開始し、重合開始から7.5時間目(重合率97%)に終了した。
重合開始から18時間後に反応を停止し、スラリーを得た。
【0049】
比較例1
4ツ口フラスコにn−ヘキサン560g、実施例1と同じ片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン4.8g、メタクリル酸メチル120g(1.2mol)、スチレン40g(0.38mol)、ジビニルベンゼン1.6g(対モノマー1重量%)、ラウロイルパーオキシド3.2g(0.008mol)を室温下で仕込み、窒素置換しながら攪拌を1時間程度行った。オイルバスを2時間で25℃から溶剤が還流する様に温度設定し、4ツ口フラスコを25℃のオイルバスに漬けた。約1時間後、系内が白濁し始め重合開始を確認した(重合率0.8%)。重合開始から18時間後に反応を停止してスラリーを得た。
【0050】
比較例2
4ツ口フラスコにn−ヘキサン560g、実施例1と同じ片末端メタクリロイル変性ポリシロキサン4.8g、メタクリル酸メチル120g(1.2mol)、スチレン40g(0.38mol)、ジビニルベンゼン8.0g(対モノマー5重量%)、ラウロイルパーオキシド3.2g(0.008mol)を室温下で仕込み、窒素置換しながら攪拌を1時間程度行った。オイルバスを2時間で25℃から溶剤が還流する様に温度設定し、4ツ口フラスコを25℃のオイルバスに漬けた。約1時間後、系内が白濁し始め重合開始を確認した(重合率0.7%)。重合開始から1時間後に系内に凝集物が生成したため、反応を中止した。
【0051】
実施例1〜4及び比較例1で得られたスラリーについて、下記の方法で粒子評価を行った。結果を表1に示す。
【0052】
<粒子評価方法>
(1)粒子形状(SEM観察):スラリーをn−ヘキサンで希釈洗浄し、得られた粒子を日立(株)製FE−SEM(S−4000形)で観察した。
【0053】
(2)溶剤可溶分:スラリー約3gから溶剤を留去し、スラリー固形分を精秤した(Ag)。アセトンをスラリー固形分に対し50倍量加え、超音波処理を30分間行った。その後、遠心分離し、全上澄み液を取り出した。上澄み液中のアセトンを蒸発させ、析出した固形分を精秤(Bg)し、下記式により溶剤可溶分を求めた。
溶剤可溶分(%)=B×100/A
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示されるように、本発明のポリマー粒子は、表面が滑らかな球形であり、ポリマー粒子の溶剤可溶分も少なかった。
【0056】
【発明の効果】
本発明の方法で得られたポリマー粒子分散液はそのまま、あるいは溶剤置換により他の溶剤への分散液にして用いることができる。さらに遠心分離、濾過等の固液分離や乾燥等の公知の方法により、粉体とすることができる。このポリマー粒子は、表面が滑らかな球状であり、化粧料に用いた時に手触りがよく好適である。また、ポリマー粒子の油剤や溶剤可溶分が少ないことから、化粧料等の溶剤や油分に対して安定であり、配合製品状態での保存安定性が良い。
Claims (4)
- 溶剤中、分散剤及び重合開始剤存在下にてビニルモノマー(以下モノマーという)を重合してポリマー粒子を得るに際し、モノマーの重合率が1〜100%の重合反応中に、モノマー100重量部に対して架橋性ビニルモノマー(以下架橋剤という)0.099〜47重量部(以下、重合架橋剤量という)を添加し、かつモノマーの重合率が、1〜X%(1<X≦97)の間に、重合架橋剤量の1〜10重量%を添加し、モノマーの重合率が、X〜Y%(30≦Y≦98)の間に、重合架橋剤量の10〜45重量%を添加し、モノマーの重合率が、Y〜Z%(50≦Z≦100)の間に、重合架橋剤量の45〜89重量%を添加する(但し、X<Y<Zである)ポリマー粒子の製造法。
- モノマーの重合率が0%の時に、モノマー100重量部に対して架橋剤0.001〜3重量部が存在する請求項1記載の製造法。
- 分散剤が、片末端にラジカル重合性基を有するポリシロキサン化合物である請求項1又は2記載の製造法。
- 溶剤が炭化水素もしくはシリコーン又はそれらの混合物である請求項1〜3のいずれかの項記載の製造法。
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