JP4692335B2 - コア−シェル微粒子の製造方法及びその中間体としてのアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法 - Google Patents

コア−シェル微粒子の製造方法及びその中間体としてのアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法 Download PDF

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本発明は、リビングラジカル重合の開始基であるアルコキシアミン基によりアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子を製造し、それをコア微粒子としてグラフト重合するコア−シェル微粒子の製造方法及びその中間体としてのアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法に関するものである。
現在までに様々なポリマー微粒子が開発され、多くの分野に渡って使用されている。ポリマー微粒子は小さくなるにつれて粒子間で凝集しやすくなるため、扱いやすさなどの点からミクロンサイズ以上のポリマー微粒子が多く利用されてきた。しかし、近年のナノテクノロジーの進歩に伴い、ポリマー微粒子も更なる微粒子化が要求されている。例えば、サブミクロンサイズは可視光の波長領域であり、散乱や干渉など光学特性を生かした新しい微粒子の利用法が開発されつつある。その中でも、微粒子が三次元的に最密充填されたコロイド結晶の形成には、微粒子の粒度分布の狭い単分散性も要求されている。
一方、ポリマー微粒子の中でも、2種以上のポリマーが複合化されたコア−シェル微粒子は、機能性複合微粒子として、ポリマー微粒子表面の高性能、高機能化に大きな役割を果たす。ここで示すコア−シェル微粒子とは、シェルを形成するポリマー鎖の片末端を結合点として、十分な密度でコア微粒子表面に固定化された微粒子を意味する。コア−シェル微粒子の製造方法の中でも特に、ポリマー微粒子表面からリビングラジカル重合を利用してグラフト重合をした場合、高密度なグラフト鎖が形成されるため、近年注目されるようになってきた。高密度なグラフト鎖の形成は、その立体反発により粒子間の凝集を抑制することにも寄与する。
このような目的に沿って、コア−シェル微粒子の製造方法が検討されつつある(例えば、非特許文献1を参照)。すなわち、まずクロライドのような官能基を有する微粒子を予め製造し、それにニトロキシド化合物を反応させることにより、リビングラジカル重合の開始基であるアルコキシアミン基をポリマー微粒子表面に導入する。続いて、そのアルコキシアミン基に基づいてグラフト重合を行うことにより、コア−シェル微粒子が製造される。
また、原子移動ラジカル重合(ATRP)の開始基を含有する単量体と、ジビニルベンゼンとをアセトニトリル溶媒中で沈殿重合することにより、ATRP開始基を含有する微粒子を製造し、それに基づいてグラフト重合することにより、コア−シェル微粒子を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
J. Polym. Sci. Part A: Polym. Chem., 43, 2145−2154(2005) 特開2004−18556号公報(第2頁、第4頁及び第5頁)
しかし、非特許文献1に記載の方法では、コア微粒子に架橋剤が1〜2%しか含まれておらず、その架橋密度が低い。そのため、グラフト重合によってコア微粒子の表面にシェル層を形成したとき、シェル層を形成する単量体によりコア微粒子が膨潤してしまい、コア微粒子内部でも重合が起こる。従って、粒子径が目的とする粒子径よりも増大してしまい、数十μmのコア−シェル微粒子しか得ることができない。このように、シェル層の一部がコア微粒子内部にも浸入することから、コア微粒子の機能とシェル層の機能が明確に分離されない。そのため、コア−シェル微粒子を機能性複合微粒子として用いる場合、その機能を十分に発揮することができないという問題があった。
さらに、アルコキシアミン基をポリマー微粒子表面に導入する際に、予め製造した微粒子にニトロキシド化合物を反応させる。このため、予め製造した微粒子を再度分散させる工程や未反応試薬を除去する工程が必要であることから工業的に好ましくなかった。
一方、特許文献1に記載の方法では、高架橋密度を有するATRP開始基を含有する微粒子を得ているが、平均粒子径が2〜5μmというミクロンサイズの微粒子しか得ることができず、サブミクロンサイズの微粒子を得ることができない。さらに、コア微粒子とシェル層とがエステル結合によって結合した構造となるため、イオン反応に対して弱く、シェル層がコア微粒子から脱離しやすい。従って、コア−シェル微粒子としての物性を十分に発現することができないという問題があった。
そこで本発明の目的とするところは、コア微粒子が膨潤することなく、サブミクロンサイズの大きさに形成されると共に、コア微粒子とシェル層の機能が分離され、機能性複合微粒子としての機能を十分に発揮することができるコア−シェル微粒子の製造方法を提供することにある。また、リビングラジカル重合の開始基であるアルコキシアミン基を含有し、かつ粒子径の揃った高架橋密度を有する微粒子を簡便な方法により得ることができるアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明における第1の発明のコア−シェル微粒子の製造方法は、水性媒体に分散させた有機系単分散シード粒子にビニル基を複数個有する架橋性単量体15〜99質量%及び下記一般式(1)で表されるアルコキシアミン基含有単量体1〜85質量%を含有する単量体混合物を吸収させた後、該単量体混合物を重合開始剤により重合させてアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子を製造し、得られたアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子及び単量体を加熱してグラフト重合することを特徴とするものである。
Figure 0004692335
但し、式中、R〜Rはそれぞれ独立に選択されるものであり、水素、炭化水素基(−R)、エステル基(−COOR)又はホスホネート基(−PO(OR10)を表す。ここで、 、R 、R 10 はそれぞれ独立した炭素数1〜8の直鎖又は分岐の飽和の炭化水素基、又はフェニル基を表す。また、RとRが互いに連結した炭素数3〜12の環式構造を形成してもよい。但し、環式構造の場合には、未置換又は、ヒドロキシル基又はアセトキシ基で置換されたものである。R11は水素、t−ブチル基又はCOOR12基であり、ここでR12は炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
第2の発明のアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法は、水性媒体に分散させた有機系単分散シード粒子にビニル基を複数個有する架橋性単量体15〜99質量%及び下記一般式(1)で表されるアルコキシアミン基含有単量体1〜85質量%を含有する単量体混合物を吸収させた後、該単量体混合物を重合開始剤により重合させてアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子を製造することを特徴とするものである。
Figure 0004692335
但し、式中、R〜Rはそれぞれ独立に選択されるものであり、水素、炭化水素基(−R)、エステル基(−COOR)又はホスホネート基(−PO(OR10)を表す。ここで、 、R 、R 10 はそれぞれ独立した炭素数1〜8の直鎖又は分岐の飽和の炭化水素基、又はフェニル基を表す。また、RとRが互いに連結した炭素数3〜12の環式構造を形成してもよい。但し、環式構造の場合には、未置換又は、ヒドロキシル基又はアセトキシ基で置換されたものである。R11は水素、t−ブチル基又はCOOR12基であり、ここでR12は炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
の発明のアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法は、第2の発明において、前記アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子は、動的光散乱法によりテトラヒドロフラン中で測定した平均粒子径が50〜900nmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明のコア−シェル微粒子の製造方法においては、アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子及び単量体を加熱してグラフト重合することにより行われる。その場合、単分散架橋微粒子は有機系単分散シード粒子に架橋性単量体15〜99質量%及びアルコキシアミン基含有単量体1〜85質量%を含有する単量体混合物を吸収させた後、該単量体混合物を重合開始剤により重合させることにより製造される。このとき、架橋性単量体の含有量が多く、単分散架橋微粒子の架橋密度が高くなるため、コア微粒子中への単量体の浸入が抑えられる。従って、水性媒体に分散させた有機系単分散シード粒子を予めサブミクロンサイズの大きさに設定しておくことにより、そのサイズを維持することができる。その結果、コア微粒子が膨潤することなく、サブミクロンサイズの大きさに形成されると共に、コア微粒子とシェル層の機能が分離され、機能性複合微粒子としての機能を十分に発揮することができる。さらに、アルコキシアミン基含有単量体が、前記一般式(1)で表される単量体であることから、リビングラジカル重合の開始能を向上させることができる。
第2の発明のアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法では、水性媒体に分散させた有機系単分散シード粒子に架橋性単量体15〜99質量%及びアルコキシアミン基含有単量体1〜85質量%を含有する単量体混合物を吸収させた後、該単量体混合物を重合開始剤により重合させて行われる。この場合、有機系単分散シード粒子としてサブミクロンサイズで粒子径の揃ったものを予め調製すると共に、架橋性単量体を増量して重合を行うことにより、単分散架橋微粒子の粒子径、その分布及び架橋密度を容易に設定することができる。従って、リビングラジカル重合の開始基であるアルコキシアミン基を含有し、かつ粒子径の揃った高架橋密度を有する微粒子を簡便な方法により得ることができる。さらに、アルコキシアミン基含有単量体が、前記一般式(1)で表される単量体であることから、リビングラジカル重合の開始能を向上させることができる。
の発明のアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法では、アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子は、動的光散乱法によりテトラヒドロフラン中で測定した平均粒子径が50〜900nmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下である。このため、第2の発明の効果に加え、架橋微粒子はサブミクロンサイズに形成されると共に、粒度分布の狭い単分散なものに形成される。
以下、本発明の最良の形態と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態におけるコア−シェル微粒子の製造方法は、その中間体であるアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(以下、単に架橋微粒子ともいう)に単量体を配合し、加熱してグラフト重合する方法である。すなわち、架橋微粒子がもつアルコキシアミン基に基づいて単量体がリビングラジカル重合を開始し、コアとなる架橋微粒子に前記単量体がグラフト化され、その外周部にシェル層を形成する。なお、リビングラジカル重合は、ラジカル(活性種)同士の反応などの失活反応のないラジカル重合を意味する。
これを模式的に示すと、図1に示すように、単分散架橋微粒子11の外周面にはアルコキシアミン基12が高い密度で多数配向されている。この単分散架橋微粒子11に単量体混合物を配合して重合(リビングラジカル重合)させることにより、前記単分散架橋微粒子11がコア(コア微粒子)を形成し、その外周面のアルコキシアミン基12からグラフト重合が始まり、グラフト化された部分がシェル(シェル層)13を形成し、コア−シェル微粒子10が構成される。このグラフト共重合体では、コア微粒子が幹成分に相当し、シェル層が枝成分に相当する。
架橋微粒子の製造方法は、水性媒体に分散させた有機系単分散シード粒子にビニル基を複数個(2個以上)有する架橋性単量体15〜99質量%及びアルコキシアミン基含有単量体1〜85質量%を含有する単量体混合物を吸収(含浸)させた後、該単量体混合物を重合開始剤により重合させる方法である。この場合、単量体として、上記の架橋性単量体及びアルコキシアミン基含有単量体のほかに、必要に応じてその他の単量体を配合することができる。
まず、有機系単分散シード粒子(以下、単にシード粒子ともいう)の製造方法について説明する。シード(種)粒子は、水性媒体中で単量体を反応性乳化剤などを用いて重合することにより製造される。重合方法としては、ソープフリー(界面活性剤なし)乳化重合法、分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合方法が適用可能である。この中でも粒子表面がクリーンであること、さらに粒度分布が狭い単分散性を示すことから、ソープフリー乳化重合法を用いることが好ましい。シード粒子を製造するために用いられる分散媒は、油溶性である単量体やシード粒子が分散媒に溶解しないようにするために水性媒体が用いられる。水性媒体としては、通常水が用いられるが、水に低級アルコールなどを少量配合したものであってもよい。
シード粒子を形成するための単量体としては、スチレン、ブタジエン、(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。シード粒子を構成する重合体としては、スチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、メタクリル酸メチル重合体等の(メタ)アクリル酸エステル重合体及び共重合体等が挙げられる。従って、シード粒子は有機系のものである。また、前記重合体は非架橋粒子、又はジビニルベンゼン等のビニル基を複数個含有する架橋性単量体を2質量%以下配合して重合された微架橋粒子であることが好ましい。この場合、架橋微粒子を製造するときに、微粒子の架橋構造とその表面のアルコキシアミン基を有する架橋微粒子を容易に得ることができる。
シード粒子は、得ようとする架橋微粒子の平均粒子径に応じて適宜選択されるが、平均粒子径が通常10〜800nmであり、好ましくは30〜700nmである。シード粒子の粒度分布はCV値〔(粒子径標準偏差/平均粒子径)x100〕で表され、そのCV値は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。CV値を20%以下に設定することで、シード粒子の粒度分布を狭く、シャープなものにすることができる。ここで、単分散とは、粒子の粒度分布が狭いことを意味し、具体的にはCV値が上記のように小さいことを表す。
シード粒子の粒子径は、重合温度、単量体の濃度、重合開始剤量、乳化剤(反応性乳化剤)量等を変えることにより調整することができる。例えば、反応性乳化剤としてp−スチレンスルホン酸ナトリウムを用い、その配合量を増加させることによってシード粒子の粒子径を小さくすることができる。
次に、アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法について説明する。この架橋微粒子を得るための重合は、前記シード粒子に単量体混合物を吸収させた後、単量体混合物を重合開始剤の存在下で行われる。この重合は、通常、水性媒体に、シード粒子、単量体混合物及び重合開始剤を配合して実施される。すなわち、まずシード粒子の懸濁液に単量体混合物を添加して吸収させる。一方、単量体を予め水性媒体に分散させ、そこへシード粒子の懸濁液を添加する手順でもよい。添加方式は、一括添加、分割添加及び連続添加のいずれの添加方式でもよく、特に制限されるものではない。
単量体混合物の配合量は、シード粒子100質量部に対して50〜2000質量部であることが好ましい。この配合量が50質量部より少ない場合、架橋成分が少なくなるため架橋微粒子の機械的強度が不足すると共に、アルコキシアミン基の含有量も少なくなってしまう。その一方、2000質量部を越える場合、架橋微粒子の粒度分布が広くなり、また凝集物の生成量が多くなるため好ましくない。
前記単量体混合物には、ビニル基を複数個有する架橋性単量体が15〜99質量%、好ましくは50〜97質量%、より好ましくは70〜95質量%含まれる。この架橋性単量体の含有量が15質量%より少ない場合、架橋微粒子の架橋密度が低くなり、機械的強度が不足する。さらに、コア−シェル微粒子の製造において、シェル層を形成する単量体によりコア微粒子が膨潤してしまい、コア微粒子内部でも重合することから、目的よりも粒子径が増大してしまう。しかも、シェル層を形成する単量体がコア微粒子内部にも浸入することから、コア−シェル微粒子が機能性複合微粒子としてその働きを発揮することができなくなる。その一方、架橋性単量体の含有量が99質量%より多い場合、相対的にアルコキシアミン基含有単量体の含有量が少なくなり、グラフト化効率が悪化し、所望とするシェル層が形成されなくなる。
架橋性単量体としては、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパン(メタ)アクリレート等の多官能性単量体が挙げられる。これらの架橋性単量体は単独又は2種以上が適宜組合せて使用される。
また、単量体混合物には、アルコキシアミン基含有単量体が1〜85質量%、好ましくは3〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%含まれる。係る単量体の含有量が1質量%より少ない場合、コア−シェル微粒子の製造において、グラフト化密度が小さくなり過ぎ、機能性複合微粒子としての効果を発揮することができなくなる。一方、85質量%を越える場合、相対的に架橋性単量体の含有量が減少して架橋微粒子の架橋密度が低下して好ましくない。
アルコキシアミン基含有単量体としては、公知の化合物を使用することができるが、下記一般式(1)で表される化合物が用いられる
Figure 0004692335
但し、式中、R〜Rはそれぞれ独立に選択されるものであり、水素、炭化水素基(−R)、エステル基(−COOR)又はホスホネート基(−PO(OR10)を表す。ここで、 、R 、R 10 はそれぞれ独立した炭素数1〜8の直鎖又は分岐の飽和の炭化水素基、又はフェニル基を表す。また、RとRが互いに連結した炭素数3〜12の環式構造を形成してもよい。但し、環式構造の場合には、未置換又は、ヒドロキシル基又はアセトキシ基で置換されたものである。R11は水素、t−ブチル基又はCOOR12基であり、ここでR12は炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
アルコキシアミン基含有単量体は、常法に従って容易に合成することができる。例えば、アルコキシアミン基含有単量体は、ジビニルベンゼンとニトロキシド化合物と有機過酸化物とを、有機過酸化物の熱分解温度まで加熱処理することによって製造される。アルコキシアミン基含有単量体として具体的には、2−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(4’−ビニルフェニル)エタノール、2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(4’−ビニルフェニル)エタノール、2−t−ブトキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−t−ブトキシ−1−(4’−ベンゾイルオキシ−2’,2’,6’6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−ベンゾイルオキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(4’−アセトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−(2’−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−メトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(3’−ビニルフェニル)エタノール、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−イソプロペニルフェニル)エタン、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(2’,2’,5’,5’−テトラメチル−1’−ピロリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−t−ブトキシ−1−(N,N−ジ−t−ブチルアミノオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−(N−t−ブチル−N−(2’−メチル−1−フェニルプロピル)アミノオキシ)−2−(4’−ビニルフェニル)エタノール、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(N−t−ブチル−N−(1’−ジエチルホスホノ−2’,2’−ジメチルプロピル)アミノオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン等が挙げられる。これらの単量体は単独で、又は2種以上を適宜選択して用いることもできる。
前記その他の単量体は、コア−シェル微粒子のシェル層を形成し、その機械的物性などを保持すると共に、機能性を発現するためのもので、単量体混合物に配合することが好ましい。その他の単量体としては、例えばスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2−ビニルナフタレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、エチルビニルベンゼン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物単量体;フマル酸ジメチル、フマル酸ジシクロヘキシル等のフマル酸エステル系単量体;(メタ)アクリル酸2−イソシアネートエチル、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等のイソシアネート基含有単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の窒素含有アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等の芳香族含窒素単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン単量体;酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体;ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、アクリロニトリル等が挙げられる。さらにその他の単量体として、必要に応じ水溶性単量体、イオン性単量体、官能基を有する単量体等、機能性単量体を用いることも可能である。これらの中でも、スチレン系単量体又は(メタ)アクリル酸エステル系単量体を使用することが好ましい。また、目的に応じて単独又は2種以上の単量体を組み合わせて使用することができる。
その他の単量体の含有量は、前記架橋性単量体及びアルコキシアミン基含有単量体の合計量100質量部当たり好ましくは500質量部以下、より好ましくは5〜300質量部、特に好ましくは10〜200質量部である。この場合、架橋性単量体、アルコキシアミン基含有単量体及びその他の単量体の合計量中に、架橋性単量体の含有量が15質量%以上、アルコキシアミン基含有単量体の含有量が1質量%以上であることが好ましい。その他の単量体の含有量が500質量部を越える場合には、相対的に架橋性単量体又はアルコキシアミン基含有単量体の含有量が少なくなり、架橋微粒子の架橋密度が低下したり、リビングラジカル重合の開始が遅れたりして好ましくない。
単量体混合物を重合する際に使用する重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤、すなわち公知の油溶性重合開始剤又は公知の水溶性重合開始剤を使用することができる。油溶性重合開始剤としては、例えばベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。水溶性重合開始剤としては、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、2,2’−アゾビス−2−アミノジノプロパン塩酸塩等が挙げられる。
油溶性重合開始剤を使用する場合には、油溶性重合開始剤を単量体混合物に溶解させ、水溶性重合性開始剤を使用する場合には水溶性重合性開始剤を水性媒体に溶解させて使用することができる。これら重合開始剤の含有量は、単量体混合物の種類、重合温度等により適宜設定されるが、単量体混合物100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。
単量体混合物には、必要に応じて乳化剤又は分散安定剤を配合することができる。乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、テトラデシル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。これらの乳化剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。分散安定剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、部分鹸化されたポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体及びこれらの中和物並びにポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸共重合体及びこれらの中和物等が挙げられる。これらの分散安定剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
単量体混合物の重合条件は、単量体の種類等に応じて適宜選択できるが、一般的には攪拌下に、重合温度30〜90℃で、3〜48時間の条件で行うことが好ましい。重合後の微粒子は遠心分離又は塩析後に濾過することにより、水層を除去し、水及び有機溶剤で洗浄した後、乾燥することにより精製及び単離を行うことができる。
こうして得られる架橋微粒子は、極性成分が表面に配向する傾向があるため、重合開始基であるアルコキシアミン基の多くが表面に配向している。この架橋微粒子は、動的光散乱法によりテトラヒドロフラン中で測定した平均粒子径が好ましくは50〜900nm、さらに好ましくは80nm〜800nmである。平均粒子径をこのような範囲に設定することで、架橋微粒子をサブミクロンサイズに設定することができる。平均粒子径が50nm未満の場合には、架橋微粒子の製造が困難になって好ましくない。一方、900nmを越える場合には、架橋微粒子がミクロンサイズになり、光の散乱や干渉などの光学特性を十分に発揮することができなくなる。
また、この架橋微粒子のCV値は、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。架橋微粒子のCV値を20%以下に設定することで、架橋微粒子の粒度分布を狭くすることができ、コア−シェル微粒子の特性を向上させることができる。CV値が20%を越える場合には、架橋微粒子の粒度分布が広くなり、コア−シェル微粒子の特性が弱くなったり、不安定になったりして好ましくない。さらに、架橋微粒子は、高密度な架橋構造が形成されているため、非常に良好な耐溶剤性を示す。従って、架橋微粒子は、スチレン、メタクリル酸メチル等の単量体、及びトルエン、テトラヒドロフラン、アセトン、ジクロロメタン等の有機溶剤に対して、溶解又は変形をしない。しかも、架橋微粒子は有機溶剤に対する膨潤も極わずかである。このため、コア微粒子の機能とシェル層の機能とを十分に分離することができる。
次に、コア−シェル微粒子の製造方法について説明する。その方法は、前記架橋微粒子の外周面に存在するアルコキシアミン基により、単量体をグラフト重合するものである。このグラフト重合によってコア微粒子の外周にシェル層が形成されたグラフト共重合体としてのコア−シェル微粒子が得られる。重合方法としては、塊状重合法、懸濁重合法、溶液重合法、乳化重合法等公知の方法が採用され、単量体の種類、重合温度、所望される分子量等によって適宜選択される。
例えば溶液重合法を採用した場合、溶剤としては、シェル層を形成する単量体及びその重合体を溶解する溶剤が選択される。そのような溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、イソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メタノール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエチレングリコール系溶剤、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のジエチレングリコール系溶剤、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコール系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等の窒素、硫黄含有有機化合物類等が挙げられる。これらの溶剤は単独で、又は混合物として用いられる。
コア−シェル微粒子の製造に用いられる単量体としては、前述した架橋微粒子を製造する際に用いられるその他の単量体の中から、コア−シェル微粒子に要求される物性に応じて適宜選択することができる。但し、コア−シェル微粒子を機能性複合微粒子として機能させるためには、コア微粒子とシェル層とで異なる単量体を選択することが望ましい。この単量体の含有量は、所望するシェル層の分子量により適宜設定されるが、通常は架橋微粒子100質量部に対して好ましくは10〜10000質量部、より好ましくは100〜2000質量部である。
コア微粒子表面から均一にグラフト鎖が延びるように重合を行うため、またコア微粒子間の凝集を抑制するために、必要に応じて非ビニル型のアルコキシアミンを添加してもよい。そのようなアルコキシアミンとして例えば、2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−フェニルエタノール、2−(N−t−ブチル−N−(2’−メチル−1−フェニルプロピル)アミノオキシ)−2−フェニルエタノール、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(N−t−ブチル−N−(1’−ジエチルホスホノ−2’,2’−ジメチルプロピル)アミノオキシ)−1−フェニルエタン等が挙げられる。
コア−シェル微粒子を製造するための重合における重合温度は100〜180℃が好ましく、105〜140℃がさらに好ましい。重合温度が100℃未満の場合には、アルコキシアミンの分解速度が遅くなり、その結果として重合時間が長くなるため好ましくない。その一方、180℃よりも高い場合には、重合速度の制御が困難になるうえ、コア微粒子表面からの重合が均一でなくなり、その結果グラフト化密度が低くなるため好ましくない。重合後に遠心分離を行うことによって微粒子が取り出され、それを有機溶剤で洗浄した後、乾燥することによってコア−シェル微粒子が製造される。このような製造方法で得られたコア−シェル微粒子は球状又はそれに近い形状をなし、その粒子径がサブミクロンサイズ(0.1μmオーダー)であると共に、その大きさが揃った均一なものである。
さて、本実施形態の作用について説明すると、まずシード粒子は、水性媒体中で単量体を反応性乳化剤などを用いて重合することによって得られ、サブミクロンサイズの大きさで、単分散に形成される。次に架橋微粒子は、そのシード粒子に単量体混合物を吸収させた後、その単量体混合物を重合開始剤により重合させることにより製造される。このとき、架橋性単量体の含有量が単量体混合物中に15〜99質量%配合され、架橋微粒子の架橋密度が高くなるため、コア微粒子中への単量体の浸入が抑えられる。このため、架橋微粒子はシード粒子のサイズを維持することができる。
最後にコア−シェル微粒子は、架橋微粒子に単量体を配合して100〜180℃で加熱してグラフト重合を行うことにより製造される。このとき、架橋微粒子の外周面にはアルコキシアミン基が存在し、そのアルコキシアミン基に基づいてリビングラジカル重合が開始され、グラフト重合が速やかに進行し、架橋微粒子の外周にシェル層が形成される。このようにして、コア微粒子(架橋微粒子)の外周にシェル層が形成された構造を有するコア−シェル微粒子が製造される。この場合、コア微粒子は架橋密度が高く、緻密に形成されているため、単量体が浸入され難く、コア微粒子はその大きさを保持したまま、その外周に単量体の重合によるシェル層が形成される。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態のコア−シェル微粒子の製造方法においては、架橋微粒子及び単量体を加熱することにより行われる。その場合、架橋微粒子はシード粒子に架橋性単量体15〜99質量%及びアルコキシアミン基含有単量体1〜85質量%を含有する単量体混合物を吸収させた後、該単量体混合物を重合開始剤により重合させることにより製造される。従って、シード粒子を予めサブミクロンサイズの大きさに設定しておくことにより、そのサイズを維持することができる。その結果、コア微粒子が膨潤することなく、サブミクロンサイズの大きさに形成されると共に、コア微粒子とシェル層の機能が分離され、機能性複合微粒子としての機能を十分に発揮することができる。
・ また、架橋微粒子の製造方法では、水性媒体に分散させた有機系単分散シード粒子に架橋性単量体15〜99質量%及びアルコキシアミン基含有単量体1〜85質量%を含有する単量体混合物を吸収させた後、該単量体混合物を重合開始剤により重合させて行われる。この場合、有機系単分散シード粒子としてサブミクロンサイズで粒子径の揃ったものを予め調製すると共に、架橋性単量体を増量して重合を行うことにより、架橋微粒子の粒子径、その分布及び架橋密度を容易に設定することができる。従って、リビングラジカル重合の開始基であるアルコキシアミン基を含有し、かつ粒子径の揃った高架橋密度を有する微粒子を簡便な方法により得ることができる。
・ 上記アルコキシアミン基含有単量体が、前記一般式(1)で表される単量体であることにより、リビングラジカル重合の開始能を向上させることができる。
・ 得られる架橋微粒子は、動的光散乱法によりテトラヒドロフラン中で測定した平均粒子径が50〜900nmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下である。このため、架橋微粒子はサブミクロンサイズに形成されると共に、粒度分布の狭い単分散なものに形成される。
・ 加えて、架橋微粒子の製造に際し、有機溶剤や金属錯体などを使用することなく、また微粒子を再度分散させる工程や未反応試薬を除去するような煩雑な工程を必要としない方法により架橋微粒子を得ることができる。
・ コア微粒子とアルコキシアミン基が炭素−炭素結合により結合された単分散架橋微粒子を得ることができる。また、それをコア微粒子としてグラフト重合することにより、コア微粒子とシェル層がイオン反応に対して安定な炭素−炭素結合により結合されたコア−シェル微粒子を得ることができる。従って、コア−シェル微粒子を例えば塗膜として使用した場合、耐水性、耐酸性雨性、耐候性等に優れている。
・ 従来の架橋微粒子の製造方法においては多量の有機溶剤の使用は不可欠であったが、本実施形態の製造方法では有機溶剤を使用することなく行うことができるため、工業的に好ましい。
・ また、コア−シェル微粒子は単分散であることから、微粒子が三次元的に最密充填されたコロイド結晶の形成などに有効である。かつ、サブミクロンサイズを有することから、可視光の散乱や干渉を利用することができ、光学材料として有用である。
・ その上、コア微粒子又はシェル層に、機能性を有する単量体を重合させることも容易にでき、コア−シェル微粒子を生体医学診断薬用担体、化粧品用材料、塗料、粉末潤滑剤、マイクロカプセル、液体クロマトグラフィー用カラム充填剤等に利用することができ、多種の分野において極めて有用である。
以下、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。各例における平均粒子径、CV値及び重合転化率については、下記に示す方法によって測定した。
1)平均粒子径及びCV値
微粒子を水又はテトラヒドロフラン(THF)に分散させ、光散乱光度計ELS−8000(大塚電子(株)製)にて、動的光散乱法により測定した。
2)重合転化率
ガスクロマトグラフィー又は液体クロマトグラフィーにて残存する単量体を定量し算出した。
(実施例1)
<有機系単分散シード粒子(A1)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を装着した容量500mLの四つ口フラスコに、スチレン(St)10.8g、ジビニルベンゼン(DVB55、純度55%、エチルビニルベンゼン45%含有)0.108g、p−スチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)0.0216g及びイオン交換水320gを注入した。それを窒素気流下で攪拌混合し、75℃まで加温した。次いで、過硫酸カリウム0.0108gをイオン交換水30gに溶解させたものを上記反応液に添加し、75℃で7時間重合反応を行った後に室温まで冷却することにより、有機系単分散シード粒子(A1)の水分散液を得た。得られたシード粒子の平均粒子径(水中)は201nm、CV値は8%であった。
<アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B1)の製造>
上記の有機系単分散シード粒子(A1)の水分散液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.325g)を加え、室温、窒素気流下で攪拌混合した。DVB(9.74g)に2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(3’−ビニルフェニル)エタノールと2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−(4’−ビニルフェニル)エタノールのm/p体混合物(下記に示す化合物D1、純度98%、m/p比=57/43、1.08g)を溶解させたものを徐々に加え、室温で1時間攪拌混合することにより、有機系単分散シード粒子に含浸させた。
Figure 0004692335
それを75℃まで加温し、過硫酸カリウム(0.108g)をイオン交換水(30g)に溶解させたものを、上記反応液に添加し、75℃で7時間重合反応を行った後に室温まで冷却した。すべての単量体において、重合転化率は95%以上であった。得られた重合反応液中の凝集物をナイロンメッシュで濾別することにより、微粒子分散液を得た。次いで、塩析後濾別し、水及びメタノールで洗浄した後に減圧乾燥し、アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B1)を得た。架橋微粒子の収率は92%、水中における平均粒子径は256nm、CV値は11%、及びTHF中における平均粒子径は259nm、CV値は11%であった。
(実施例2)
<有機系単分散シード粒子(A2)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を装着した容量500mLの四つ口フラスコに、St(10.8g)及びイオン交換水(320g)を入れ、窒素気流下で攪拌混合し、75℃まで加温した。次いで、過硫酸カリウム(0.0108g)をイオン交換水(30g)に溶解させたものを、上記反応液に添加し、75℃で7時間重合反応を行った後に室温まで冷却することにより、有機系単分散シード粒子(A2)の水分散液を得た。シード粒子の水中における平均粒子径は338nm、CV値は7%であった。
<アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B2)の製造>
上記の有機系単分散シード粒子(A2)の水分散液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.325g)を加え、室温、窒素気流下で攪拌混合した。DVB(30.8g)に前記化合物D1(1.62g)及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.0540g)を溶解させたものを徐々に加え、室温で1時間攪拌混合することにより、シード粒子に含浸させた。それを75℃まで加温し、75℃で7時間重合反応を行った後に室温まで冷却した。全ての単量体において、重合転化率は95%以上であった。得られた重合反応液中の凝集物をナイロンメッシュで濾別することにより、微粒子分散液を得た。次いで、塩析後濾別し、水及びメタノールで洗浄した後に減圧乾燥によりアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B2)を得た。得られた架橋微粒子の収率は85%、水中における平均粒子径は545nm、CV値は11%、及びTHF中における平均粒子径は558nm、CV値は10%であった。
(実施例3)
<有機系単分散シード粒子(A3)の製造>
NaSSの添加量を0.108gに代えた以外は、実施例1の方法に準じて実施することにより、有機系単分散シード粒子(A3)の水分散液を得た。得られたシード粒子の水中における平均粒子径は132nm、CV値は8%であった。
<アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B3)の製造>
前記化合物D1の代わりに、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(N−t−ブチル−N−(1’−ジエチルホスホノ−2’,2’−ジメチルプロピル)アミノオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン(下記に示す化合物D2、純度97%)を使用した以外は、実施例1の方法に準じて実施することにより、アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B3)を得た。得られた架橋微粒子の収率は90%、水中における平均粒子径は170nm、CV値は12%、及びTHF中における平均粒子径は177nm、CV値は14%であった。
Figure 0004692335
(実施例4)
<シード粒子(A4)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を装着した容量500mLの四つ口フラスコに、メチルメタクリレート(MMA)10.8g、エチレングリコールジメタクリレート(EGDM)0.0108g及びイオン交換水(320g)を入れ、窒素気流下で攪拌混合し、75℃まで加温した。次いで、過硫酸カリウム(0.0108g)をイオン交換水(30g)に溶解させたものを、上記反応液に添加し、75℃で7時間重合反応を行った後に室温まで冷却することにより、有機系単分散シード粒子(A4)の水分散液を得た。得られたシード粒子の水中における平均粒子径は482nm、CV値は6%であった。
<アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B4)の製造>
上記の有機系単分散シード粒子(A4)の水分散液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.325g)を加え、室温、窒素気流下で攪拌混合した。MMA(7.04g)、EGDM(2.71g)及びt−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート(0.0540g)に前記化合物D1(1.08g)を溶解させたものを徐々に加え、室温で1時間攪拌混合することにより、有機系単分散シード粒子に含浸させた。それを75℃まで加温し、75℃で7時間重合反応を行った後に室温まで冷却した。全ての単量体において、重合転化率は95%以上であった。得られた重合反応液の凝集物をナイロンメッシュで濾別することにより、微粒子分散液を得た。次いで、塩析後濾別し、水及びメタノールで洗浄した後に減圧乾燥によりアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B4)を得た。得られた架橋微粒子の収率は85%、水中における平均粒子径は613nm、CV値は9%、及びTHF中における平均粒子径は633nm、CV値は11%であった。
(実施例5)
<有機系単分散シード粒子(A5)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を装着した容量500mLの四つ口フラスコに、St(10.8g)、DVB55(0.0542g)、NaSS(0.0542g)及びイオン交換水(320g)を入れ、窒素気流下で攪拌混合し、75℃まで加温した。次いで、過硫酸カリウム(0.0108g)をイオン交換水(30g)に溶解させたものを、上記反応液に添加し、75℃で7時間重合反応を行った。その後、室温まで冷却することにより、有機系単分散シード粒子(A5)の水分散液を得た。得られたシード粒子の水中における平均粒子径は171nm、CV値は9%であった。
<アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B5)の製造>
上記の有機系単分散シード粒子(A2)の水分散液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.325g)を加え、室温、窒素気流下で攪拌混合した。ジビニルベンゼン(DVB:5.415g)に、2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(4’−アセトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン(下記に示す化合物D3、2.166g)及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.0540g)を溶解させたものを徐々に加え、室温で1時間攪拌混合することにより、シード粒子に含浸させた。
次いで、75℃まで加温し、75℃で7時間重合反応を行った後に室温まで冷却した。全ての単量体において、重合転化率は95%以上であった。得られた重合反応液の凝集物をナイロンメッシュで濾別することにより、微粒子分散液を得た。次に、塩析後濾別し、水及びメタノールで洗浄した後に減圧乾燥することによりアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B5)を得た。得られた架橋微粒子の収率は87%、水中における平均粒子径は195nm、CV値は13%、及びTHF中における平均粒子径は201nm、CV値は14%であった。
Figure 0004692335
(比較例1)
<アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B6)の製造>
冷却管、温度計、攪拌機及び窒素導入管を装着した容量500mLの四つ口フラスコに、イオン交換水(320g)を入れ、St(10.8g)、DVB(0.216g)に化合物D1(0.325g)を溶解させたものを加えた。それを窒素気流下で攪拌混合し、75℃まで加温した。次いで、過硫酸カリウム(0.0216g)をイオン交換水(30g)に溶解させたものを、上記反応液に添加し、75℃で7時間重合反応を行った後に室温まで冷却した。全ての単量体において、重合転化率は95%以上であった。得られた重合反応液の凝集物をナイロンメッシュで濾別することにより、微粒子分散液を得た。その微粒子分散液を水及びメタノールで洗浄した後、減圧乾燥することによりアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子(B5)を得た。得られた架橋微粒子の収率は30%、水中における平均粒子径は393nm、CV値は26%、及びTHF中における平均粒子径は525nm、CV値は38%であった。
以上の実施例1〜5及び比較例1の結果を表1にまとめて示した。表1における配合量は、シード粒子の製造ではスチレン又はMMAを100質量部、架橋微粒子の製造では架橋性単量体及びアルコキシアミン基含有単量体の合計量を100質量部とし、それを基準として他の成分を表した。
Figure 0004692335
表1に示した実施例1〜5の結果より、粒子がサブミクロンサイズで粒子径の揃ったアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子が得られることが明らかとなった。また、水中と良溶媒であるTHF中における平均粒子径がほぼ同じであることから、有機溶剤による膨潤も僅かであることが分かった。つまり、各架橋微粒子は架橋密度が高いことが示された。一方、比較例1では、有機系単分散シード粒子を使用しないことからCV値が大きく、収率も低い結果であった。しかも、架橋性単量体が少ないため、有機溶剤による膨潤も大きいことが明らかとなった。
(実施例6)
<コア−シェル微粒子(C1)の製造>
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF:4.88g)、St(6.39g)、n−ブチルアクリレート(nBA:3.37g)に2−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−2−フェニルエタノール(化合物E1:0.032g)を加えて溶解させた。次いで、実施例1で得られた微粒子(B1:0.70g)を加え、ホモジナイザーで30分混合して分散させた。得られた分散液を内容量20mLのガラスアンプルに注入し、窒素置換したうえで封管し、115℃で15時間重合を行った。重合転化率はStが45.7%、nBAが44.2%であった。内容物にTHF(15mL)を加え、遠心分離器により微粒子を分離した。得られた微粒子をTHFにより3回洗浄し、減圧乾燥することによりコア−シェル微粒子(C1)を得た(1.80g)。得られたコア−シェル微粒子のTHF中における平均粒子径は341nm(0.341μm)、CV値は14%であった。
このようにして得られたコア−シェル微粒子(C1)10について、電子顕微鏡写真を撮り、それを基にして模式的に図面化したものが図2である。その図2に示すように、コア−シェル微粒子10はほぼ球状で、平均粒子径がサブミクロンサイズであり、かつ粒子の大きさが揃った微粒子である。なお、このコア−シェル微粒子(C1)についての電子顕微鏡写真を、別途物件提出書にて提出する。
実施例7)
<コア−シェル微粒子(C2)の製造>
DMF(4.40g)、クロロメチルスチレン(CMS、m/p体混合物:8.81g)に実施例2で得られた微粒子(B2:1.00g)を加え、ホモジナイザーで30分間混合して分散させた。得られた分散液を内容量20mLのガラスアンプルに注入し、窒素置換したうえで封管し、115℃で9時間重合を行った。CMSの重合転化率は32.0%であった。内容物にTHF(15mL)を加え、遠心分離器により微粒子を分離した。得られた微粒子をTHFにより3回洗浄し、減圧乾燥することによりコア−シェル微粒子(C2)を得た(1.92g)。得られたコア−シェル微粒子のTHF中における平均粒子径は669nm、CV値は11%であった。
(実施例8)
<コア−シェル微粒子(C3)の製造>
DMF(5.10g)、nBA(10.20g)に2−イソプロピルオキシカルボニルオキシ−1−(N−t−ブチル−N−(1’−ジエチルホスホノ−2’,2’−ジメチルプロピル)アミノオキシ)−1−フェニルエタン(化合物E2:0.033g)を加えて溶解させた。次いで、実施例3で得られた微粒子(B3:0.70g)を加え、ホモジナイザーで30分間混合して分散させた。得られた分散液を内容量20mLのガラスアンプルに注入し、窒素置換したうえで封管し、115℃で15時間重合を行った。nBAの重合転化率は43.0%であった。内容物にTHF(15mL)を加え、遠心分離器により微粒子を分離した。得られた微粒子をTHFにより3回洗浄し、減圧乾燥することによりコア−シェル微粒子(C3)を得た(2.10g)。得られたコア−シェル微粒子のTHF中における平均粒子径は282nm、CV値は14%であった。
実施例9)
<コア−シェル微粒子(C4)の製造>
DMF(4.57g)、St(9.13g)に前記化合物E1(0.032g)を加え溶解させた。次いで、実施例4で得られた微粒子(B4:0.70g)を加え、ホモジナイザーで30分間混合して分散させた。得られた分散液を内容量20mLのガラスアンプルに注入し、窒素置換したうえで封管し、115℃で15時間重合を行った。Stの重合転化率は47.0%であった。内容物にTHF(15mL)を加え、遠心分離器により微粒子を分離した。得られた微粒子をTHFにより3回洗浄し、減圧乾燥することによりコア−シェル微粒子(C4)を得た(1.85g)。得られたコア−シェル微粒子のTHF中における平均粒子径は708nm、CV値は12%であった。
(実施例10)
<コア−シェル微粒子(C5)の製造>
DMF(3.80g)、CMS(5.59g)、nBA(2.01g)に実施例5で得られた微粒子(B5:1.00g)を加え、ホモジナイザーで30分間混合して分散させた。得られた分散液を内容量20mLのガラスアンプルに注入し、窒素置換したうえで封管し、115℃で9時間重合を行った。重合転化率はCMSが44.3%、nBAが38.8%であった。内容物にTHF(15mL)を加え、遠心分離器により微粒子を分離した。得られた微粒子をTHFにより3回洗浄し、減圧乾燥することによりコア−シェル微粒子(C5)を得た(1.98g)。得られたコア−シェル微粒子のTHF中における平均粒子径は308nm、CV値は15%であった。
(比較例2)
<コア−シェル微粒子(C6)の製造>
アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子を前記B6に代えた以外は、実施例5の方法に準じて重合を行った。重合転化率はStが45.2%、nBAが43.2%であった。内容物にTHF(15mL)を加え、遠心分離器により微粒子を分離した。得られた微粒子をTHFにより3回洗浄し、減圧乾燥することにより、コア−シェル微粒子(C5)を得た(1.95g)。得られたコア−シェル微粒子の平均粒子径は3120nm、CV値は40%であった。以上の実施例6〜10及び比較例2の結果を表2にまとめて示した。表2における配合量は、架橋微粒子を100質量部とし、それを基準として他の成分を表した。
Figure 0004692335
表2に示した実施例6〜10の結果から、粒度分布の狭い単分散なコア−シェル微粒子が得られることが明らかとなった。一方、比較例2では、シード粒子を用いず、さらにコア微粒子を形成するためのその他の単量体(St)が多く、相対的に架橋性単量体の含有量が少ないため、単量体によりコア微粒子が膨潤し、コア微粒子の内部でも重合が進むことから、目的とするサブミクロンサイズの微粒子が得られないことが明らかとなった。
なお、本実施形態は、次のように変更して実施することも可能である。
・ 架橋性単量体として、ビニル基を2個有する2官能性単量体及びビニル基を3個以上有する多官能性単量体を複数種類組合せて使用し、架橋性微粒子の架橋密度を調整することができる。
・ アルコキシアミン基含有単量体を複数選択して使用し、リビングラジカル重合の開始能を調整することもできる。
・ コア−シェル微粒子の製造において、重合開始剤又は重合活性触媒を配合し、重合速度を速くするように構成することもできる。重合活性触媒としては、有機スルホン酸類、有機カルボン酸類などのブレンステッド酸、又は酸無水物、酸塩化物などのアシル化剤が用いられる。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
・ 前記グラフト重合の温度は100〜180℃であることを特徴とする請求項1に記載のコア−シェル微粒子の製造方法。この製造方法によれば、請求項1に係る発明の効果に加えて、グラフト重合を迅速かつ均一に行うことができ、シェル層のグラフト化密度を高めることができる。
・ 前記シード粒子は、平均粒子径が10〜800nmであり、平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であることを特徴とする請求項2又は請求項に記載のアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法。このように構成した場合、請求項2又は請求項に係る発明の効果に加えて、架橋微粒子の粒度分布を狭く、しかも平均粒子径をサブミクロンサイズにすることができる。
・ 前記シード粒子は、非架橋粒子、又は架橋性単量体を2質量%以下配合して重合された微架橋粒子であることを特徴とする請求項2又は請求項に記載のアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法。このように構成した場合、請求項2又は請求項に係る発明の効果に加えて、目的とする架橋微粒子を容易に製造することができる。
アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子からコア−シェル微粒子を製造する過程を模式的に示す説明図。 コア−シェル微粒子の電子顕微鏡写真を図面化した説明図。
符号の説明
10…コア−シェル微粒子、11…アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子、12…アルコキシアミン基。

Claims (3)

  1. 水性媒体に分散させた有機系単分散シード粒子にビニル基を複数個有する架橋性単量体15〜99質量%及び下記一般式(1)で表されるアルコキシアミン基含有単量体1〜85質量%を含有する単量体混合物を吸収させた後、該単量体混合物を重合開始剤により重合させてアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子を製造し、得られたアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子及び単量体を加熱してグラフト重合することを特徴とするコア−シェル微粒子の製造方法。
    Figure 0004692335
    但し、式中、R〜Rはそれぞれ独立に選択されるものであり、水素、炭化水素基(−R)、エステル基(−COOR)又はホスホネート基(−PO(OR10)を表す。ここで、 、R 、R 10 はそれぞれ独立した炭素数1〜8の直鎖又は分岐の飽和の炭化水素基、又はフェニル基を表す。また、RとRが互いに連結した炭素数3〜12の環式構造を形成してもよい。但し、環式構造の場合には、未置換又は、ヒドロキシル基又はアセトキシ基で置換されたものである。R11は水素、t−ブチル基又はCOOR12基であり、ここでR12は炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
  2. 水性媒体に分散させた有機系単分散シード粒子にビニル基を複数個有する架橋性単量体15〜99質量%及び下記一般式(1)で表されるアルコキシアミン基含有単量体1〜85質量%を含有する単量体混合物を吸収させた後、該単量体混合物を重合開始剤により重合させてアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子を製造することを特徴とするアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法。
    Figure 0004692335
    但し、式中、R〜Rはそれぞれ独立に選択されるものであり、水素、炭化水素基(−R)、エステル基(−COOR)又はホスホネート基(−PO(OR10)を表す。ここで、 、R 、R 10 はそれぞれ独立した炭素数1〜8の直鎖又は分岐の飽和の炭化水素基、又はフェニル基を表す。また、RとRが互いに連結した炭素数3〜12の環式構造を形成してもよい。但し、環式構造の場合には、未置換又は、ヒドロキシル基又はアセトキシ基で置換されたものである。R11は水素、t−ブチル基又はCOOR12基であり、ここでR12は炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表す。
  3. 前記アルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子は、動的光散乱法によりテトラヒドロフラン中で測定した平均粒子径が50〜900nmであり、かつ平均粒子径に対する粒子径標準偏差の百分率を表すCV値が20%以下であることを特徴とする請求項2に記載のアルコキシアミン基含有単分散架橋微粒子の製造方法。
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