JPH07238105A - 高架橋ポリマー粒子およびその製造方法 - Google Patents

高架橋ポリマー粒子およびその製造方法

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JPH07238105A
JPH07238105A JP21801294A JP21801294A JPH07238105A JP H07238105 A JPH07238105 A JP H07238105A JP 21801294 A JP21801294 A JP 21801294A JP 21801294 A JP21801294 A JP 21801294A JP H07238105 A JPH07238105 A JP H07238105A
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JP
Japan
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polymer particles
weight
particles
polymerization
parts
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JP21801294A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Kasai
澄 笠井
Masayuki Hattori
雅幸 服部
Masahiro Miyamoto
昌宏 宮本
Hiroshi Tadenuma
博 蓼沼
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 平均粒子径が0.1〜2.5μmの範囲にあ
りかつ粒子径分布が比較的狭く均一の粒子径を有し、さ
らに耐熱性や耐溶剤性に優れた高架橋ポリマー粒子なら
びにその製造方法を提供する。 【構成】 高架橋ポリマー粒子は、少なくともジビニル
ベンゼンを10重量%以上含む重合性モノマーのポリマ
ーからなり、かつ、平均粒子径(rm)が0.1〜2.
5μm、平均粒子径(rm)の±10%の範囲の粒子径
を有する粒子の含有率が10重量%以上である。この高
架橋ポリマー粒子は、重量平均分子量が500〜15,
000の範囲にあるポリマー粒子1重量部をシード粒子
として含む水性分散体に、少なくともジビニルベンゼン
を10重量%以上含む重合性モノマー3〜19重量部を
添加し、シード粒子に重合性モノマーを吸収させて乳化
重合することによって製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、比較的粒子径が小さく
かつ粒子径分布が狭く、さらに耐熱性,耐溶剤性の優れ
た高架橋ポリマー粒子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、架橋度が高く優れた耐熱性を
有する微少ポリマー粒子は、エンジニアリングプラスチ
ックスやポリアミドにおける有機フィラーとして有用で
あり、樹脂フィルムの光沢や表面滑り特性の改質剤とし
て要求されている。しかしながら、現在入手可能なポリ
マー粒子は、強度、耐熱性、粒子径および粒子径分布の
点で充分満足できるものとは言えない。
【0003】従来、架橋ポリマー粒子は以下に述べる方
法によって製造されていた。
【0004】(1)通常行われる手段として、多官能ビ
ニルモノマー等の架橋性モノマーを多量に含むモノマー
組成物を懸濁重合によって重合する技術がある。この方
法によれば、数百μm〜数μmの範囲の非常に粒子径分
布が広いポリマー粒子が得られる。
【0005】しかしながら、懸濁重合によって粒子径の
小さいポリマー粒子を得ることは非常に困難である。粒
子径が1μm以下のポリマー粒子を懸濁重合によって得
るためには、モノマーをホモジナイザー等により非常に
小さい粒子に微分散させる必要がある。
【0006】このようにすることにより、ポリマー粒子
を1μm以下の粒子径のものとすることが可能である
が、粒子径分布は非常に広いものとなる。
【0007】(2)一方、乳化重合によれば、1μm以
下の粒子径を有し、かつ比較的狭い粒子径分布のポリマ
ー粒子を得ることが可能である。しかしながら、乳化重
合は、重合初期に微小な核が形成され、これがモノマー
を吸収しながら成長するという重合機構であり、架橋度
の高いモノマー組成では核のモノマー吸収能力が低いた
めに正常な重合が進行せず、核が過多に生成して重合系
の安定性が大きく低下する。このために一般の乳化重合
では架橋度の高いポリマー粒子を得ることが極めて困難
である。
【0008】このように、1μm程度以下の粒子径を有
し粒子径分布が狭く、かつ架橋度の高いポリマー粒子を
得ることは、通常の方法では困難であった。
【0009】以上のような問題点を解決するために、以
下に述べるような試みがなされている。 (i) 懸濁重合によって得られたポリマー粒子を分級処理
する。しかしながら、現在の分級技術によれば、平均粒
子径が1μm以下であり、かつ平均粒子径の±10%の
範囲に80%以上の粒子が存在するようなポリマー粒子
を得ることは困難である。 (ii)小粒子径の架橋ポリマー粒子を製造する方法とし
て、いくつかのシード重合法が知られている。
【0010】これらの技術のうち代表的なものとして、
特開昭61−225,208号、同62−223,20
1号、同62−223,202号公報のものが知られて
いる。
【0011】これらの技術においては、軽度に架橋され
たシード粒子を用い、このシード粒子に架橋性モノマー
を吸収させて重合するものである。この方法において
は、架橋されたシード粒子を用いているため、シード粒
子におけるモノマーの吸収能力が低く、このためポリマ
ー粒子を特定の粒子径とするためには重合操作を繰返し
て行う必要があり、さらに得られるポリマー粒子の全体
に対して架橋度の低いシードポリマーの占める組成割合
が大きいために、ポリマー粒子の硬度並びに耐熱性の点
で限界がある。
【0012】また、特開昭61−241,310号公報
においては、乳化重合において重合収率が1〜40%に
達した時点で架橋性モノマーを添加し、さらに重合を続
ける方法が開示されている。しかしながら、この方法に
おいても、前記特開昭61−225,208号公報に開
示された技術と同様に、全ポリマー粒子に対して占める
架橋ポリマーの割合が小さく、その結果ポリマー粒子の
硬度並びに耐熱性が不十分となる問題点がある。
【0013】また、特開昭63−72,713号、同6
3−72,715号公報においては、シード重合法によ
って一定の粒子径を有する架橋ポリマー粒子および多孔
性の架橋ポリマー粒子の製造方法が開示されている。
【0014】しかしながら、得られるポリマー粒子の粒
子径は1〜30μmと大きく、そのため前述した有機フ
ィラーとして適用することが難しいという問題を有す
る。また、この技術においては、シード粒子にモノマー
を吸収させる工程を数段回に分けて行う必要があり、さ
らに吸収工程の第1段において用いられるモノマーの水
に対する溶解度が制限されているなど、種々の制約があ
る。
【0015】また、米国特許4,336,173号、同
4,186,120号および同4,694,035号明
細書においては、シードポリマーのモノマー吸収能力を
増大させるための技術が開示されている。しかしなが
ら、これらの技術においては、大粒径のポリマー粒子を
合成するためにモノマー/シード比率を増大させること
を主目的としており、その比率が20〜500と極めて
大きなものとなっている。そのため、重合におけるポリ
マー粒子の粒子径のコントロールが難しいだけでなく、
シード粒子に吸収しきれないモノマーが一部残存する。
特に、本発明において対象としている架橋性モノマーを
多量に用いる重合では、シード粒子に吸収されないモノ
マーの重合により系の重合安定性が悪化する傾向が大き
いという問題がある。
【0016】なお、架橋性モノマーが数重量%以下の通
常の乳化重合においては、重合により生成するポリマー
がさらにモノマーを吸収する能力を有するために、未吸
収のモノマーが残っていても重合の進行に伴ってこれが
生成したポリマーに吸収されていくため、上述の米国特
許の技術においても特に問題とはならないのである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
した技術の問題点を解決し、平均粒子径が0.1〜2.
5μmの範囲にありかつ粒子径分布が比較的狭く均一の
粒子径を有し、さらに耐熱性や耐溶剤性に優れた高架橋
ポリマー粒子あるいは多孔性の高架橋ポリマー粒子を提
供することにある。
【0018】さらに、本発明の他の目的は、上記高架橋
ポリマー粒子を比較的簡易なプロセスにより安定性よく
工業的に有利に製造できる製造方法を提供することにあ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともジ
ビニルベンゼンを10重量%以上含む重合性モノマーの
ポリマーからなり、かつ、平均粒子径(rm)が0.1
〜2.5μm、平均粒子径(rm)の±10%の範囲の
粒子径を有する粒子の含有率が10重量%以上であるこ
とを特徴とする架橋ポリマー粒子に関する。
【0020】本発明の架橋ポリマー粒子は、窒素ガス雰
囲気下においてポリマー粒子を300℃で5時間にわた
って加熱したとき、ポリマー粒子の減量割合は55重量
%以下であることが好ましい。
【0021】本発明の架橋ポリマー粒子は、窒素雰囲気
下において熱天秤により昇温速度10℃/分でポリマー
粒子を加熱したとき、ポリマー粒子の減量割合が10重
量%に達する温度は360℃以上であることが好まし
い。
【0022】さらに、本発明は、重量平均分子量が50
0〜15,000の範囲にあるポリマー粒子1重量部を
シード粒子として含む水性分散体に、少なくともジビニ
ルベンゼンを10重量%以上含む重合性モノマー3〜1
9重量部を添加し、シード粒子に重合性モノマーを吸収
させて乳化重合することを特徴とする前記架橋ポリマー
粒子の製造方法に関する。
【0023】また、本発明は、上記製造方法において前
記重合性モノマーのかわりに少なくともジビニルベンゼ
ンを10重量%以上含む重合性モノマーと非反応性溶剤
との混合物を3〜19重量部用い、かつ非反応性溶剤の
使用量を両者の比(非反応性溶剤/重合性モノマー)で
0.1〜2とすることを特徴とする製造方法に関する。
この方法によって、多孔性の高架橋ポリマー粒子を得る
ことができる。
【0024】本発明の架橋ポリマー粒子において前記減
量割合に関する条件は、樹脂フィルムの光沢や表面滑り
特性を改良するために、例えばエンジニアリングプラス
チックスやポリアミドの有機フィラーとして用いる場合
に要求されるものである。
【0025】以下、本発明について具体的に説明する。
【0026】(シードポリマー粒子)本発明の方法は、
特定の重量平均分子量を有するポリマー粒子をいわゆる
シードポリマー粒子として用いる点に特徴を有する。す
なわち、本発明において用いるシードポリマー粒子は、
重量平均分子量が500〜15,000、好ましくは7
00〜10,000、さらに好ましくは1,000〜
7,000であることが必要である。
【0027】本発明において、ポリマー粒子について
「重量平均分子量」とは、当該ポリマー粒子の溶液の粘
度測定あるいはゲルパーミエーションクロマイトグラフ
ィーなどの通常の方法で測定される重量平均分子量であ
る。
【0028】シードポリマー粒子の重量平均分子量が1
5,000を越えるときには、当該シードポリマー粒子
のモノマーおよび非反応性溶剤の吸収能力が小さく、モ
ノマーがシードポリマー粒子に吸収されないまま独自に
重合するため、目的とするものとは異なる粒子径のポリ
マー粒子が多量に生成される。特にこれらの異粒子は微
少でコロイド的に不安定であるために重合反応系の安定
性が悪くなり、重合時に凝固物が多量に発生するように
なる。
【0029】また、シードポリマー粒子の重量平均分子
量が500未満のときには、その分子量が小さすぎるた
めにやはりポリマーの吸収能力が小さく、上記と同様の
問題が生ずる。
【0030】また、シードポリマー粒子の粒子径および
粒子径分布が生成される架橋ポリマー粒子の粒子径およ
び粒子径分布に影響を与えるので、できるだけコントロ
ールされて狭い粒子径分布を有する、粒子径の揃ったシ
ードポリマー粒子を用いることが好ましい。具体的に
は、粒子径が0.05〜0.6μmのシードポリマー粒
子であって粒子径分布が狭いもの、例えばその変動係数
が10%以下のものが好適に用いられる。
【0031】シードポリマー粒子の組成は、重合に用い
るモノマーに溶解または膨潤するものであれば特に制限
されないが、通常、オレフィン系モノマーの重合体であ
るオレフィン系ポリマーであって、重合に用いるポリマ
ーと同系統のものであることが好ましい。具体的にはシ
ードポリマー粒子としては、スチレン、メチルアクリレ
ートやブチルアクリレートなどのアクリル酸エステル、
ブタジエンなどのモノマーを単独であるいは好ましくは
これらを2種以上組合わせて得られるポリマー粒子が好
ましく用いられる。
【0032】かかるシードポリマー粒子を得る方法は特
に制限されるものではないが、例示するならば、メルカ
プタン系の分子量調整剤を比較的多量に用いた乳化重合
法またはソープフリー重合法によって合成することがで
きる。このシードポリマー粒子の製造においては、その
粒子径をコントロールするために、シード粒子を用いた
シード重合法を利用することが好ましい。
【0033】(ビニルモノマー)本発明において、架橋
性ポリビニルモノマー(以下、「架橋性モノマー」とい
う)としては、ジビニルベンゼンが必須成分として用い
られる。その他の架橋性モノマーとしては、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロ
パントリアクリレートに代表される多価アクリレート化
合物などの、2個以上、好ましくは2個の共重合性二重
結合を有する化合物を好ましく用いることができる。
【0034】本発明に使用することができる多価アクリ
レート化合物の例としては、次の化合物を挙げることが
できる。
【0035】ジアクリレート化合物 ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチ
レングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリ
コールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアク
リレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、
2,2´−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニ
ル)プロパン、2,2´−ビス(4−アクリロキシジエ
トキシフェニル)プロパントリアクリレート化合物 トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロ
ールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタン
トリアクリレートテトラアクリレート化合物 テトラメチロールメタンテトラアクリレートジメタクリレート化合物 エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、
1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6
−ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチル
グリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコール
ジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタク
リレート、2,2´−ビス(4−メタクリロキシジエト
キシフェニル)プロパントリメタクリレート化合物 トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチ
ロールエタントリメタクリレート 以上のうち、エチレングリコールジメタクリレートまた
はトリメチロールプロパントリメタクリレートを用いる
ことが好ましい。またこれらの架橋性モノマーは、単独
あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0036】本発明においては、架橋性モノマーのうち
ジビニルベンゼンの割合を、全モノマーに対して10重
量%以上、好ましくは20重量%以上、さらに好ましく
は25重量%以上とすることが必要である。
【0037】ジビニルベンゼンの割合が10重量%未満
の場合には、得られるポリマー粒子は硬度、耐熱性、耐
溶剤性などの点で劣ったものとなる。
【0038】なお、架橋性モノマーの量は、希釈剤や他
の不純物を除いた純品換算による。
【0039】本発明においては、重合性モノマーは架橋
性モノマーのみからなることが好ましいが、重合性モノ
ビニルモノマーを併用することも可能である。架橋性モ
ノマーと共に用いられる重合性モノマーとしては、スチ
レン、エチルビニルベンゼン、α−メチルスチレン、フ
ルオロスチレン、ビニルピリジンなどの芳香族モノビニ
ル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど
のシアン化ビニル化合物、ブチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルエチルアクリレート、グリシジルアクリレ
ート、N,N´−ジメチルアミノエチルアクリレートな
どのアクリル酸エステルモノマー、ブチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、メチルメタク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリ
シジルメタクリレート、N,N´−ジメチルアミノエチ
ルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルモノマ
ー、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン
酸などのモノまたはジカルボン酸およびジカルボン酸の
酸無水物、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのア
ミド系モノマーを用いることができる。また、重合速度
および重合安定性の点で許容される範囲内において、ブ
タジエン、イソプレンなどの共役二重結合化合物や酢酸
ビニルなどのビニルエステル化合物、4−メチル−1−
ペンテン、その他のα−オレフィン化合物も使用でき
る。これらのうち、特にスチレン、エチルビニルベンゼ
ンが好ましい。これらの重合性モノマーは2種以上を使
用してもよい。
【0040】(非反応性溶剤)本発明においては、上記
重合性モノマーとともに非反応性溶剤を用いることによ
り、多孔性の高架橋ポリマー粒子を得ることができる。
このような非反応性溶剤は重合性モノマーと混合して用
いることが好ましい。
【0041】非反応性溶剤は、シードポリマー粒子に吸
収されるものであって、ラジカル重合に不活性でかつモ
ノマーの重合を阻害しないものであればよい。非反応性
溶剤の具体的としては、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの炭化水
素化合物、シクロヘキサノール、オクタノールなどのア
ルコール類、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチルな
どのエステル類、シクロヘキサノンなどのケトン類など
が挙げられる。
【0042】一般には、ポリマーと親和性の高い非反応
性溶剤を用いると微少な孔径の多孔粒子が得られ、重合
ポリマーと親和性の低い非反応性溶剤を用いると大きな
孔径の多孔粒子が得られる。このため、目的とする孔径
に合わせて非反応性溶剤を選択する。
【0043】例えば、重合ポリマーがジビニルベンゼン
系である場合に、非反応性溶剤として親和性の良いトル
エンを用いると平均孔径が50〜100オングストロー
ムの多孔粒子となり、非反応性溶剤として親和性の低い
シクロヘキサノールを用いると平均孔径が500〜20
00オングストロームの大きな孔径の多孔粒子となる。
【0044】なお、非反応性溶剤は2種以上を混合して
使用することも可能であり、このようにすることは上記
ポリマーに対する非反応性溶剤の親和性をコントロール
する上で好都合である。
【0045】非反応性溶剤の使用量は、重合性モノマー
に対し両者の比(非反応性溶剤/重合性モノマー)で、
0.1〜2、好ましくは0.2〜2、さらに好ましくは
0.3〜1の範囲内である。非反応性溶剤の量を調節す
ることによって、得られる多孔粒子の空孔率をコントロ
ールすることができる。非反応性溶剤の比がモノマーに
対して0.1より少ないと、実質的に多孔粒子とはなら
ず単なる架橋粒子となる。一方、非反応性溶剤の比がモ
ノマーに対して2を越えると、多孔粒子の形状維持が困
難となる。
【0046】なお、この非反応性溶剤の使用量には一部
の架橋性モノマーのなかに希釈剤または不純物として含
有されている溶剤あるいは不活性成分も含まれる。
【0047】(モノマーの使用量)本発明において、重
合性モノマーの使用量は、シードポリマー粒子1重量部
に対し3〜19重量部、好ましくは4〜16重量部、さ
らに好ましくは5〜12重量部である。この使用量が3
重量部未満ではシードポリマー粒子の比率が大きすぎ、
得られるポリマー粒子の機械的強度および耐熱性が不十
分となる。また、重合性モノマーの使用量が19重量部
を越えると、シードポリマー粒子のモノマー吸収能力が
不足してシードポリマー粒子に吸収されないモノマー量
が増えるため、粒子径のコントロールが困難となって幅
広い粒子径分布を持つ粗大粒子が生成するか(油溶性開
始剤を使用した場合)、多量の微少粒子が発生して重合
系が不安定になる(水溶性開始剤を使用した場合)。
【0048】また、重合性モノマーとともに非反応性溶
剤を用いる場合には、重合性モノマーと非反応性溶剤の
総和が前記重合性モノマーの使用量の範囲となるように
設定される。
【0049】(重合法)本発明でモノマーおよび非反応
性溶剤を添加する方法としては、シードポリマー粒子の
水性分散体に対してこれらを一時に投入する方法、重合
を行いながらモノマーおよび非反応性溶剤を分割してま
たは連続的に添加する方法がある。本発明では、重合が
開始してシードポリマー粒子中において実質的に架橋が
生ずる前にシードポリマー粒子にモノマーを吸収させる
ことが必要である。
【0050】重合の中期以降にモノマーを添加すると、
モノマーがシードポリマー粒子に吸収されないため、微
少粒子が多量に生じて重合安定性が悪くなり、重合反応
を維持することができない。そのためシードポリマー粒
子に対してすべてのモノマーを重合開始前に添加する
か、重合収率が30%程度に達する前にすべてのモノマ
ーの添加を終了させておくことが好ましい。本発明で
は、特に重合の開始前にシードポリマー粒子の水性分散
体にモノマー(非反応性溶剤を併用する場合には両者)
を加えて撹拌し、シードポリマーにこれを吸収させた後
に重合を開始することが好ましい。
【0051】本発明においては、シードポリマー粒子の
量およびモノマーの量を調整することにより、最終的に
得られる架橋ポリマー粒子の粒子径をコントロールする
ことができる。具体的には、シードポリマー粒子の重量
をWs 、その数平均粒子径をDs 、モノマー量をM、非
反応性溶剤量をSとすると、得られる架橋ポリマー粒子
の数平均粒子径Dは次の数1で示される式で推定するこ
とができ、実際上も比較的高い精度で実現される。
【数1】 本発明で得られる架橋ポリマー粒子の粒子径は、上記の
ように用いるシードポリマー粒子の粒子径と使用するモ
ノマーおよび非反応性溶剤の量によってコントロールで
きる。
【0052】また、得られる粒子径の範囲は主として用
いるシードポリマー粒子の粒子径の大小で定まるが、通
常0.1〜2.5μmの範囲内において容易に合成でき
る。先に述べたように、この範囲の架橋ポリマー粒子を
得るには従来の通常の懸濁重合法では困難であり、従来
法で合成したもののなかから分級分離するか、あるいは
モノマーを高圧ホモジナイザーで微分散して重合する等
の、特殊な生産性の悪い操作をせねばならなかった。
【0053】本発明において、重合開始剤としては、一
般の水溶性ラジカル重合開始剤あるいは油溶性のラジカ
ル重合開始剤を用いることができるが、シードポリマー
粒子に吸収されないモノマーが水相で重合を開始するこ
との少ない点で水溶性の重合開始剤を用いることが好ま
しい。
【0054】水溶性のラジカル開始剤としては、過硫酸
カリウム、過硫酸ナトリウム、クメンハイドロパーオキ
サイド、過酸化水素、あるいはこれら還元剤の組み合わ
せによるレドックス系開始剤が挙げられる。
【0055】本発明に用いられる油溶性の重合開始剤と
しては、ベンゾイルパーオキサイド、α,α´−アゾビ
スイソブチロニトリル、t−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、3,5,5−トリメチルヘキサノ
イルパーオキサイドなどを挙げることができる。油溶性
の重合開始剤のなかでは、α,α´−アゾビスイソブチ
ロニトリルを好ましく用いることができる。
【0056】なお、重合反応においては、重クロム酸カ
リウム、塩化第2鉄、ハイドロキノンなどの水溶性の重
合禁止剤を少量添加すると、微少粒子の発生を抑制する
ことができるので好ましい。
【0057】重合反応においては、重合反応系の安定性
を高くするために、懸濁保護剤または界面活性剤を使用
するとよい。しかしながら、界面活性剤が多すぎる場合
には、微少粒子が生成して重合安定性を低下させる場合
があるので、その使用量はできるだけ少ないことが好ま
しい。特に水溶性重合開始剤を用いて重合を行う場合に
は、界面活性剤の濃度は臨界ミセル形成濃度(C.M.
C.)以下とすることが好ましい。
【0058】一方、油溶性重合開始剤を用いて重合を行
う場合には、モノマーおよび油溶性重合開始剤の水に対
する溶解度が十分に低ければ、界面活性剤の使用量が
C.M.C.以上の濃度であっても支障なく重合を行う
ことが可能である。
【0059】本発明において、界面活性剤としては通常
のものを用いることができ、例えばドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジアル
キルスルホコハク酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸
のホルマリン縮合物などのアニオン系乳化剤を例示する
ことができる。
【0060】さらに、ポリオキシエチレンノニルフェニ
ルエーテル、ポリエチレングリコールモノステアレー
ト、ソルビタンモノステアレートなどのノニオン系界面
活性剤を併用することも可能である。
【0061】本発明に用いることのできる好ましい懸濁
保護剤としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル
メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムあるいは
微粉末無機化合物などを挙げることができる。
【0062】本発明において、重合時の系の安定性を確
保しながら目的の粒子径で粒子径分布の狭い高架橋ポリ
マー粒子を再現性よくコントロールして得るための最も
好ましい重合開始剤と安定化剤の組み合わせは、重合開
始剤として水溶性重合開始剤を用い、安定化剤としてそ
の重合系でのC.M.C.濃度以下でかつその近傍濃度
(具体的にはC.M.C.濃度の0.3〜1.0倍)の
界面活性剤を用いるものである。
【0063】本発明において重合性モノマーとともに非
反応性溶剤を用いた場合には、得られる多孔性の架橋ポ
リマー粒子は、重合直後は、その粒子内部に非反応性溶
剤を含有したものとして得られる。そして、架橋ポリマ
ー粒子内部の非反応性溶剤はスチームストリップ、減圧
処理、乾燥、抽出などの操作によって除くことができ
る。本発明の高架橋ポリマー粒子は公知の方法、例えば
高架橋ポリマー粒子をシードとしてモノマーを重合する
ことにより、粒子表面を変性することもできる。
【0064】(架橋ポリマー粒子)本発明の方法によっ
て得られる高架橋ポリマー粒子および多孔性の高架橋ポ
リマー粒子はその架橋の程度が高く、したがって極めて
高い硬度、強度、耐熱性ならびに耐溶剤性を有し、かつ
従来得られなかったコントロールされた比較的微少粒子
径の架橋ポリマー粒子である。そしてこの架橋ポリマー
粒子は、そのような特性を利用して、種々の分野におい
て使用することができる。
【0065】本発明の高架橋ポリマー粒子の用途の例を
あげると、滑材、スペーサ、ブロッキング防止剤、粉体
の流動性改良剤、粉体潤滑剤、化粧品用粒子、研磨剤、
ゴム配合剤、プラスチックピグメント、ろ材およびろ過
助剤、離型剤、クロマトグラフィー用カラム充填剤、マ
イクロカプセル用粒子、合成繊維添加用粒子などであ
る。
【0066】特に、本発明の多孔性の架橋ポリマー粒子
は、クロマトグラフィー用カラム充填剤、マイクロカプ
セル用粒子、徐放性担体、滑剤、スペーサ、ブロッキン
グ防止剤、プラスチックピグメント、粉体の流動性改良
剤、粉体膨潤剤、光沢調整剤、合成繊維添加剤、フィル
ム添加剤、樹脂添加剤、塗料配合剤、ろ材およびろ過助
剤、化粧品用粒子などとして有用である。
【0067】また、本発明の高架橋ポリマー粒子は、特
に電子写真用トナーの助剤として有効であり、例えばト
ナーの製造時にベース樹脂および各種トナー添加剤とと
もに本発明の架橋ポリマー粒子を1〜10重量%添加し
て溶融および破砕すると、破砕性が向上するために破砕
に要するエネルギーが減少し、また破砕品の粒子径分布
が狭いものとなり、分級の負担が少なくなるなどの利点
がある。また、トナーとしての定着性と耐ブロッキング
性のバランスの向上を図ることができる。さらに、本発
明の架橋ポリマー粒子をトナーに0.05〜5重量%の
割合で乾式混合でブレンドすると、トナーの耐ブロッキ
ング性の向上、流動性の向上、感光ドラムへの汚染の低
減、さらにカブリの改良およびトナーの経時劣化による
画像濃度低下の防止を図ることができる。
【0068】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記載
において「部」は重量部を表す。
【0069】(実施例1) スチレン 98部 メタクリル酸 2部 t−ドデシルメルカプタン 10部 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.8部 過硫酸カリウム 0.4部 水 200部 以上の物質を容量2lのフラスコ中に入れ、撹拌しなが
ら窒素ガス中にて70℃に昇温して6時間重合を行っ
た。これにより、重合収率98%で平均粒子径0.17
μm、粒子径の標準偏差値が0.08μmのシードポリ
マー粒子Aを得た。ここに平均粒子径は透過型電子顕微
鏡写真により100個のポリマー粒子について計測した
値の平均値である。このシードポリマー粒子Aは、トル
エン溶解分98%、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィで測定した分子量が、 重量平均分子量 (Mw )=5,000 数平均分子量 (Mn )=3,100 であった。
【0070】次に、 シードポリマー粒子A(固形分換算) 8部 ラウリル硫酸ナトリウム 1.0部 過硫酸カリウム 0.5部 水 500部 ジビニルベンゼン 100部 (市販品、純度55重量%、残余は1官能ビニルモノマー) 以上の物質を混合し、30℃で10分間撹拌してシード
ポリマー粒子にモノマーを吸収させた。なお、上記ラウ
リル硫酸ナトリウムの水に対する濃度は、25℃の水に
対するその石ケンのC.M.C.の87%である。
【0071】次に、系を70℃に昇温して3時間重合を
行ったところ、重合収率は99%であった。また、反応
生成物において、200メッシュのフィルター上に残る
重合凝固物は0.02%(対重合固形分)であり、良い
重合安定性でポリマー粒子が得られた。
【0072】このポリマー粒子を走査型電子顕微鏡で観
察したところ、平均粒子径が0.38μm、平均粒子径
の±10%の範囲内に属する粒子が全粒子の91重量%
存在し、かつ球形粒子であった。
【0073】この粒子1gをトルエン、シクロヘキサ
ン、テトラハイドロフラン、クレゾール、メチルエチル
ケトンの各々100mlに入れ24時間観察したとこ
ろ、粒子は全く溶解、膨潤の兆候を示さなかった。
【0074】さらに、前記ポリマー粒子の熱的性質を知
るために、窒素ガス雰囲気下において示差熱分析および
熱天秤分析を行った。
【0075】示差熱分析によれば、昇温速度10℃/分
で加熱したときに、常温から450℃にいたるまで溶融
ならびに軟化することがなかった。
【0076】また、熱天秤分析によれば、昇温速度10
℃/分で加熱したときに、ポリマー粒子が10重量%減
量する温度(以下、この減量開始温度を「T10」と表
す)は415℃であった。また、熱天秤分析において、
ポリマー粒子10gを300℃で5時間加熱したとき、
その減量割合は8重量%であった。
【0077】以上の結果を表1に示す。
【表1】 (実施例2)実施例1におけるジビニルベンゼン100
部のかわりにジビニルベンゼン(純品換算)20部と、
スチレン80部を用いた他は、実施例1と同様にして重
合を行った。その結果、平均粒子径が0.39μm、平
均粒子径の±10%の範囲に存在する粒子は89重量%
であった。また、ポリマー粒子の熱的性質を実施例1と
同様に測定したところ、T10は395℃であり、ポリマ
ー粒子を窒素ガス雰囲気下において300℃で5時間加
熱したときの減量割合は21重量%であった。
【0078】(実施例3〜6および比較例1,2)実施
例1におけるシードポリマー粒子の製造におけるt−ド
デシルメルカプタンの使用量を0部、2部、5部、20
部、50部、100部と変えた他は実施例1と同様にし
て、重量平均分子量がそれぞれ 120,000、15,000、 8,9
00、 3,050、710 および320 の合計6種のシードポリマ
ー粒子B〜Gを合成した。なお、シードポリマー粒子
C、D、E、Fは本発明の実施例に属し、シードポリマ
ー粒子B、Gは比較例に属する。そして、シードポリマ
ー粒子Aのかわりにこれらのシードポリマー粒子の各々
を用いたほかは実施例1と同様に重合し、架橋ポリマー
粒子を製造した。
【0079】以上の重合反応の各々における重合凝固物
の割合および重合収率、得られた架橋ポリマー粒子の平
均粒子径およびその±10%の範囲に存在する粒子の重
量割合(粒子径分布)並びに熱的特性値を表1に示す。
【0080】表1から明らかなように、比較例1および
比較例2では重合中に反応系がゲル化した。
【0081】比較例2ではシードポリマー粒子の分子量
が小さすぎてモノマーの吸収がかえって少なくなり、そ
の結果重合安定性が悪く、重合系がゲル化した。
【0082】また、実施例6では重合が達成されたもの
の生成凝固物量がやや多く、しかも得られたポリマー粒
子は、粒子径が約0.8μmの目標粒子径に近い粒子
と、粒子径が0.05〜0.1μmの多数の微少粒子
と、シードポリマー粒子に吸収されないモノマー液滴が
そのまま重合して生成した粒子径が10〜100μmの
粒子3種の混合物であり、粒子径分布がブロードなもの
であった。
【0083】(実施例7)実施例1のジビニルベンゼン
100部のかわりにスチレン60部とジビニルベンゼン
(純品換算)40部とを用いた他は実施例1と同様に重
合を行い、表1に示す架橋ポリマー粒子を得た。
【0084】(実施例8)実施例1の市販品ジビニルベ
ンゼンのかわりにジビニルベンゼン(市販品、純度95
重量%、残余は1官能ビニールモノマー)100部を用
いた他は実施例1と同様に重合を行い、表1に示す架橋
ポリマー粒子を得た。
【0085】(実施例9)実施例1におけるジビニルベ
ンゼンのかわりにスチレン90部およびジビニルベンゼ
ン(純品換算)10部を用いた他は実施例1と同様にし
て表1に示す架橋ポリマー粒子を得た。
【0086】(実施例10)実施例に1におけるラウリ
ル硫酸ナトリウムの使用量を2.0部に変えた他は実施
例1と同様にして重合を行った。このとき、ラウリル硫
酸ナトリウムの水に対する濃度は、25℃におけるその
石鹸のC.M.C.の170%である。
【0087】この例においては、重合時に用いる石鹸量
が過剰なため、重合安定性が損われ、得られるポリマー
粒子の粒子径分布がややブロードなものとなっている。
【0088】(実施例11,12)実施例1におけるシ
ードポリマー粒子の製造に用いるドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウムの使用量を2部および0.05部に変
え、シードポリマー粒子の使用量を12部としたほかは
実施例1と同様にして重合を行い、平均粒子径がそれぞ
れ0.08μmおよび0.45μmのシードポリマー粒
子I,Hを得た。
【0089】次にこれらのシードポリマー粒子I,Hを
用いたほかは実施例1と同様にして2種の架橋ポリマー
粒子を得た。
【0090】表1にその結果を示すように、本発明によ
れば従来困難であった小粒子径で均一径の架橋ポリマー
粒子が安定性よく得られることが確認された。
【0091】なお、比較のために、各種高分子化合物に
おける前記熱的特性T10値および窒素ガス雰囲気下にお
いて300℃で5時間加熱した場合の重量減量割合の値
を表2に示す。対象とした高分子化合物は、ポリスチレ
ン、ポリメチルメタクリレート、ポリイソブチレン、ポ
リブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、
ポリアクリロニトニル、フェノール樹脂(ノボラッ
ク)、ベンゾグアナミン樹脂およびポリテトラフルオロ
エチレン(商品名:テフロン)である。
【表2】 これによると、本発明の架橋ポリマー粒子は、ポリ塩化
ビニリデンに匹敵するT10を有し、加熱時の重量減量割
合においてはポリ塩化ビニリデンに勝りテフロンに追随
するものであることが判る。
【0092】(参考例1〜10)架橋性モノマーの含有
割合が過大の重合性モノマーによれば、通常の乳化重合
を行うことが困難なことを示すために次の実験を行っ
た。
【0093】水500部、開始剤として過硫酸カリウム
0.5部および乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウムを用い、モノマーとしてスチレン、ジビニ
ルベンゼンおよびアクリル酸を合計100部用いた乳化
重合系により、窒素ガス雰囲気中、70℃で6時間重合
するという条件により、重合を行う操作を、乳化剤の量
およびモノマー成分の比率を変えて繰り返した。この重
合反応における重合凝固物の割合および重合収率を表3
に示す。
【表3】 参考例1〜6においては、スチレンとジビニルベンゼン
の比率を変えたが、ジビニルベンゼンの使用量が3部を
越えると重合安定性が悪くなって凝固物の生成量が過大
となるか、あるいは反応系がゲル化する。参考例7およ
び参考例8では、ジビニルベンゼンの使用量を3部とし
たまま乳化剤の使用量を増加したが、重合中に新たに発
生する異粒子の量が増え、これによりむしろ重合安定性
が悪くなった。参考例9および参考例10では、酸モノ
マーを併用することにより、粒子の安定性の向上を試み
たが、大きな効果は見られなかった。
【0094】以上のように、架橋性モノマーの多い重合
性モノマーを用いたときには、乳化重合を行うことが困
難である。
【0095】(実施例13) シードポリマー粒子A(固形分換算) 10部 ラウリル硫酸ナトリウム 1.0部 過硫酸カリウム 0.5部 水 500部 ジビニルベンゼン 50部 (市販品、純度55重量%、残余は1官能ビニルモノマー) シクロヘキサノール 50部 以上の物質を混合して30℃で10分間撹拌し、シード
ポリマー粒子にモノマーおよびシクロヘキサノールを吸
収させた。なお、上記ラウリル硫酸ナトリウムの水に対
する濃度は、25℃の水に対するその石ケンのC.M.
C.の87%である。
【0096】次に系を75℃に昇温して3時間重合を行
ったところ、重合収率99%、200メッシュのフィル
ター上に残る重合凝固物は0.02%(対重合固形分)
であり、良い重合安定性で架橋ポリマー粒子が得られ
た。
【0097】この架橋ポリマー粒子の分散体(固形分換
算で100g)に1%の硫酸アルミニウム水溶液(固形
分1g)を加えてろ過し、十分に水洗してシクロヘキサ
ノールを除去した後、減圧乾燥して粉体状の架橋ポリマ
ー粒子を得た。
【0098】この粒子を走査型電子顕微鏡で観察したと
ころ、平均粒子径が0.37μm、平均粒子径の±10
%の範囲に属する粒子は全体の92%を占め、粒子径の
揃った粒子であった。
【0099】さらに、粒子表面を拡大して観察したとこ
ろ、0.05〜0.1μmの粗な孔が一面に形成され、
多孔性であることが確認された。また、この多孔性の架
橋ポリマー粒子をB.E.T.の装置によりその比表面
積を測定したところ、105m2 /gと大きな値であっ
た。
【0100】さらにまた、架橋ポリマー粒子の熱的性質
を知るために、窒素ガス雰囲気下において、10℃/分
の昇温速度で熱天秤分析を行ったところ、減量開始温度
10が415℃であった。さらに、窒素ガス雰囲気下に
おいて300℃で5時間経過した時における減量割合を
測定したところ10重量%であった。これらの結果を表
4に示す。このように、減量開始温度、減量割合ともに
有機ポリマーとしては格別に高い耐熱性を示すことが判
明した。
【表4】 (実施例14)実施例13における市販品ジビニルベン
ゼン50部のかわりにスチレン25部および市販品ジビ
ニルベンゼン(純度55重量%)25部を用いた他は実
施例13と同様にして重合を行い、多孔性の架橋ポリマ
ー粒子を得た。このポリマー粒子に関する測定結果を表
4に示す。
【0101】(実施例15)実施例13におけるジビニ
ルベンゼン50部のかわりにスチレン40部および市販
品ジビニルベンゼン(純度55重量%)10部を用いた
他は実施例13と同様にして重合を行い、多孔性の架橋
ポリマー粒子を得た。このポリマー粒子に関する測定結
果を表4に示す。この粒子は架橋度が低いため耐熱性が
やや低い。
【0102】(実施例16)この例においては、油溶性
開始剤および懸濁保護剤を用いて重合を行った。
【0103】 シードポリマー粒子H(固形分) 7部 ポリビニルアルコール 10部 ハイドロキノン 0.05部 水 500部 α,α´−アゾビスイソブチロニトリル(モノマーに混合して使用) 1部 ジビニルベンゼン(市販品、純度55重量%) 50部 トルエン 50部 上記物質を混合し、30分間撹拌した後70℃に昇温し
て4時間重合した。他は実施例13と同様にして多孔性
の架橋ポリマー粒子を得た。得られたポリマー粒子につ
いて実施例13と同様な測定を行った。その結果を表4
に示す。
【0104】(実施例17〜22)非反応性溶剤の種数
と量を表5のように変えたほかは実施例13と同様にし
て実施例につき6種のポリマー粒子を得た。なお、得ら
れたポリマー粒子の測定結果を表5に示す。表5には比
較のために実施例1および実施例13の結果も併せて記
載した。
【0105】実施例20においては、非反応性溶剤とし
てトルエンを用いており、ポリマー粒子は良好な多孔粒
子となるが、孔径は非常に小さいものであり、走査型電
子顕微鏡で粒子表面を拡大しても明らかな孔は見られな
かった。そこで、このポリマー粒子について水銀圧入ポ
ロシメーターで細孔径分布を調べたところ、孔径20〜
100オングストロームの細孔が全体の80%を占める
多孔粒子であることがわかった。
【表5】 (実施例23〜25)ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウムの使用量を0.05部に変えた他は実施例1の前
半と同様にして重合を行い、重合平均分子量3050、
平均粒子径0.31μmのシードポリマー粒子Jを得
た。
【0106】シードポリマー粒子および非反応性溶剤の
量を表6に示すようにかえ、次のようにして多孔性の架
橋ポリマー粒子を得た。
【0107】 シードポリマー粒子J(固形分) 変量 ポリビニルアルコール 10部 ハイドロキノン 0.05部 水 500部 ベンゾイルパーオキサイド(モノマーに混合して使用) 1部 ジビニルベンゼン(市販品、純度55重量%) 50部 シクロヘキサノール 50部 上記物質を反応器に入れ30分間撹拌し、その後70℃
に昇温して4時間重合を行った。その後実施例13と同
様に処理して実施例につき3種の多孔性の架橋ポリマー
粒子を得た。
【0108】さらに、得られた架橋ポリマー粒子につい
て実施例13に示すと同様の測定を行い、その結果を表
6に示した。
【表6】
【発明の効果】本発明の方法によって、従来困難であっ
た1μm以下の小粒子径で粒子径の揃った架橋ポリマー
粒子が容易に得られるようになった。
【0109】そして、この製造方法によれば、重合性モ
ノマーとともに特定量の非反応性溶剤を用いることによ
り、多孔性の架橋ポリマー粒子を得ることができる。そ
して得られる多孔性の架橋ポリマー粒子は比表面積が大
きい上に、用いる非反応性溶剤の選択によって孔径を比
較的自由にコントロールすることが可能である。
【0110】また、本発明の架橋ポリマー粒子は極めて
高度に架橋されたものであり、硬度、強度、耐熱性およ
び耐溶剤性に非常に優れている。
【0111】このため本発明の架橋ポリマー粒子は、樹
脂、フィルム、繊維へのブレンド用粒子などにも利用で
き、種々の用途において期待される特性が良好に発揮さ
れ、さらに新しい用途にも良好に使用されることが期待
される。さらに本発明の多孔性の架橋ポリマー粒子は、
クロマトグラフィー充填剤、マイクロカプセル粒子、徐
放性担体粒子などの内孔を利用する用途に用いることが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蓼沼 博 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともジビニルベンゼンを10重量
    %以上含む重合性モノマーのポリマーからなり、かつ、
    平均粒子径(rm)が0.1〜2.5μm、平均粒子径
    (rm)の±10%の範囲の粒子径を有する粒子の含有
    率が10重量%以上であることを特徴とする高架橋ポリ
    マー粒子。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 窒素ガス雰囲気下においてポリマー粒子を300℃で5
    時間にわたって加熱したとき、ポリマー粒子の減量割合
    は55重量%以下であることを特徴とする高架橋ポリマ
    ー粒子。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、 窒素雰囲気下において熱天秤により昇温速度10℃/分
    でポリマー粒子を加熱したとき、ポリマー粒子の減量割
    合が10重量%に達する温度は360℃以上であること
    を特徴とする高架橋ポリマー粒子。
  4. 【請求項4】 重量平均分子量が500〜15,000
    の範囲にあるポリマー粒子1重量部をシード粒子として
    含む水性分散体に、少なくともジビニルベンゼンを10
    重量%以上含む重合性モノマー3〜19重量部を添加
    し、シード粒子に重合性モノマーを吸収させて乳化重合
    することを特徴とする請求項1記載の高架橋ポリマー粒
    子の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の製造方法において、前記
    重合性モノマーのかわりに、少なくともジビニルベンゼ
    ンを10重量%以上含む重合性モノマーと非反応性溶剤
    との混合物を3〜19重量部用い、かつ非反応性溶剤の
    使用量を両者の比(非反応性溶剤/重合性モノマー)で
    0.1〜2とすることを特徴とする多孔性の高架橋ポリ
    マー粒子の製造方法。
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