JP3621554B2 - 水溶性重合体の製造方法 - Google Patents

水溶性重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凝集剤、抄紙用粘剤、製紙用歩留まり向上剤等に好適な高分子量で、溶解性が良好であり、且つ、残留単量体が僅かな水溶性重合体を光照射により製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
凝集剤用途等に使用される高分子量の水溶性ビニル系重合体、例えばポリアクリルアミド重合体やアクリルアミドの共重合体の多くは分子量が1,000万を超える。このような高分子量の重合体を得る手段としては、単量体を水溶液中で重合させ、得られる水性ゲルを粒状に解砕し、熱風で乾燥するのが一般的である。
【0003】
単量体を水溶液中で重合させる方法として、移動される基体上での光照射による連続重合方法がある。これは、例えば連続ベルト上の一端から単量体水溶液を供給し、光を照射して重合せしめ、得られた水性ゲルを他端から連続的に取り出す方法である。
【0004】
光照射によって開始ラジカルを発生する光開始剤を使用することによって、レドックスや熱開始剤を用いる場合より、短時間で高分子量の重合体が得られると言われている。
【0005】
凝集剤用途等にこれらの重合体を使用するにあたっては、重合体の水への溶解速度が速く、水不溶物を含まず溶解性の良いことが求められる。
【0006】
しかし、一般的に、重合体の分子量が高いほど重合体の水への溶解性が低下することが知られている。溶解性の低下は使用時の溶解時間を長くすることによってある程度解決されるが、溶解性の低下のはなはだしい場合は、水不溶の高架橋重合体となり膨潤するのみで溶解せず、粒子状に多く残ってしまい、凝集剤として使用する場合は低い凝集性能しか示さず、石油回収用増粘剤として使用する場合は浸透力低下、又、抄紙用粘剤の場合は抄紙上にフィッシュアイを生じる等の問題が生じる。
【0007】
一方、毒性の点から、重合体中の残留単量体を極力低減せしめることが要望されている。即ち、アクリルアミドを主成分とする場合には得られた重合体には毒性はないが、アクリルアミドの単量体は毒性があるため、残留単量体濃度を極力低減する必要がある。日本の業界における残留アクリルアミド単量体濃度の水準は、一般廃水処理用途の場合0.2重量%以下、上水道用途の場合は0.05重量%以下となっている。
【0008】
従来から提案されている残留単量体の低減方法としては、
(1) 重合時間の延長による低減方法
(2) 開始剤添加量の増大による低減方法
(3) メタノール等の溶媒を用いた抽出洗浄による低減方法
(4) 無害な付加体形成による低減方法
(5) レドックス開始剤と光開始剤の併用による低減方法
等が挙げられるが、いずれも充分な方法とは言えない。
【0009】
即ち、(1)の方法では著しい生産性低下を招いてしまう。(2)の方法では光開始剤を高濃度に添加し、重合後期で光強度を高める方法であるが、水溶性の低い光開始剤では単量体水溶液への溶解度が低いため高濃度添加が困難であり、水溶性光開始剤を高濃度添加すると残存単量体濃度は低減するが、高分子量重合体の場合、水溶解性が低下するため好ましくない。
【0010】
(3)の方法では多量の可燃性溶媒の使用と回収を必要とし、安全性、経済性から好ましくない。(4)の方法については特公昭61−23926号公報に見られるように移動される基体上でのUV照射による連続重合において重合後の水性ゲルシートの表面に亜硫酸アルカリ及び(又は)少なくとも1種のメタ重亜硫酸アルカリを塗布し粉砕・乾燥することによって、残留単量体を低減する方法が開示されているが、塗布装置等の設備が必要となり好ましくない。
【0011】
(5)の方法については特開昭57−121009号公報に見られるようにレドックス開始剤と光開始剤を併用し、重合率80%までは50℃以下でレドックス開始剤を用いて重合せしめ、以降紫外線を照射して残留単量体を低減する方法が開示されているが、重合率80%までは反応の制御が困難なことから、高分子量で溶解性の良い重合体を得難く、又、重合時間が数時間以上と著しく長くなるため生産性の面からも好ましくない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、光開始剤を含む単量体水溶液に光照射して重合を行い、得られる水性ゲルを加熱乾燥して例えばアクリルアミド系重合体等の水溶性重合体を取得する製造方式において、これらの従来技術で得られる重合体より、残留単量体を僅かしか含まず、高い分子量であっても水不溶物を含まず良好な溶解性を兼ね備えた水溶性重合体を生産性良く取得することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記、光照射によるアクリルアミド系重合体等の水溶性ビニル系重合体の製造方法について鋭意検討を行った結果、光の波長範囲を制御して多段で照射する方法によって残留単量体濃度が低く、且つ、高分子量で水溶解性の良い重合体が得られることを見出し、上記課題を全て解決する本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明の要旨は「光開始剤を添加したビニル系単量体水溶液を厚さ方向に光照射する光重合による重合体の製造方法において、第一段重合時に光開始剤の分解波長範囲において、光開始剤を添加した重合開始時の単量体水溶液の最も長波長側の極大吸収波長λ max における吸光度の半分の値となる長波長側の波長をλ 1/2 とし、λ max より短波長側においてλ max における吸光度の半分の値となる波長が存在する場合この波長をλ -1/2 としたとき、λ -1/2 〜λ 1/2 の波長範囲における光強度 Qu と、λ 1/2 より長い波長範囲及びλ -1/2 より短い波長範囲かつλ max における吸光度の半分の値となる波長範囲における光強度 Qv との割合 Qu Qv が0.2以下の光である条件、又、上記λ -1/2 に該当する波長が存在しない場合は、λ 1/2 より短い波長範囲の光強度を Qu ’とし、λ 1/2 より長い波長範囲の光強度を Qv ’としたとき、 Qu ’と Qv ’の割合 Qu ’/ Qv ’が0.2以下の光である条件も満たす光を照射して単量体の大半を光照射重合せしめた後、第二段以降に残存する光開始剤が分解する光を用いて光照射重合を行うことを特徴とする水溶性重合体の製造方法」にある。
【0015】
なお、本発明において、ここで、最も長波長側の極大吸収波長とは、650nm以下の波長範囲において光開始剤が吸収する最も長波長側の極大吸収波長をいう。これは通常光照射重合においては200〜650nmの領域の波長の光を発する光源が用いられるためである。
第一段重合時の光照射条件は使用する光開始剤の最も長波長側の極大吸収波長の光を実質的に含まない光を照射して、第一段重合時の照射によって光開始剤が一部分解して重合を開始して単量体の大半を重合せしめるが、光開始剤の少なくとも10%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは80%が分解しないで残存する条件とする。即ち、単量体の大半を重合せしめることができる光開始剤の分解波長範囲において、光開始剤を添加した重合開始時の単量体水溶液の最も長波長側の極大吸収波長λmaxにおける吸光度の半分の値となる長波長側の波長をλ1/2とし、λmaxより短波長側においてλmaxにおける吸光度の半分の値となる波長が存在する場合この波長をλ−1/2としたとき、λ−1/2〜λ1/2の波長範囲における光強度Quと、λ1/2より長い波長範囲及びλ−1/2より短い波長範囲かつλmaxにおける吸光度の半分の値となる波長範囲における光強度Qvとの割合Qu/Qvが0.5以下、好ましくは0.2以下の光である。又、上記λ−1/2に該当する波長が存在しない場合は、λ1/2より短い波長範囲の光強度をQu’とし、λ1/2より長い波長範囲の光強度をQv’としたとき、Qu’とQv’の割合Qu’/Qv’が0.5以下、好ましくは0.2以下の光である条件も満たす光をいう。
【0016】
光開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、及びアンスラキノン、アシルホスフィンオキサイド化合物、アゾ系開始剤等から、1種又は、最も長波長側の極大吸収波長がほぼ同程度であれば2種以上を添加する。参考までに、各種開始剤の最も長波長側の極大吸収波長λmaxと吸光度が半分となる波長λ−1/2、λ1/2を例示する。
アゾ系開始剤は最大吸収波長はアゾ部分の構造に由来するためλmax約360nm、λ−1/2約340nm、λ1/2約380nmとなる。このようなアゾ系開始剤として、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)ナトリウム塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等を例示できる。
その他の光開始剤については、
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン:λmax約320nm、λ1/2約350 nm
1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン:λmax約280nm、λ−1/2約260nm、λ1/2約300nm
ベンゾインエチルエーテル:λmax約330nm、λ1/2約350nm
ベンゾインイソプロピルエーテル:λmax約330nm、λ1/2約350nm
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド:λmax約380nm、λ1/2約400 nm
【0017】
これらの中でも、水不溶性の重合体を形成しにくく、高濃度添加が可能な水溶性アゾ系開始剤が好ましく、その添加量は100〜1,000ppm程度が良い。
【0018】
アゾ系開始剤は、熱によって分解することが知られており、第一段の照射時にその大半が分解すると、高分子量の重合体が得難くなるため、10時間半減温度が重合時の最高温度より高いもの、好ましくは10℃以上高いものを選択する。アゾ系開始剤として例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)やその鉱酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)やそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、2,2’−アゾビス[2−ヒドロキシメチル(プロピオンニトリル)]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)やその水和物等が挙げられる。
【0019】
本発明で用いられる光としては、開始剤との組み合わせにより、各種の波長の光を用いうるが、単量体自身による吸収、光量子のエネルギーの2つからみて、200〜650nmの領域の波長が望ましい。200〜650nmの光を与える光源として公知である各種のものがあるが、その代表例としては、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光ケミカルランプ、蛍光青色ランプ等が挙げられる。
【0020】
各段において照射する光は特定の波長の光を照射しても良いが、経済性・簡便性を考えると第一段ではフィルター類などを通して最も長波長側の極大吸収波長の光を実質的に含まない光を照射することが好ましい。
【0021】
光開始剤としてアゾ系開始剤を用いる場合、第一段に照射する光として最も長波長側の極大吸収波長360nmの光を実質的に含まない可視光を照射することによって高分子量で水溶解性の良い重合体を得ることができる。この場合、波長360nmを含む光源であっても、上記したように適当なフィルターを用いて透過光が波長360nmを実質的に含まないように調整してやれば使用可能となる。ここでいう波長360nm以下を実質的に含まない可視光とは、光強度計UVR−40型(トプコン社製)を用いて測定した光開始剤の分解波長範囲において重合開始時の単量体水溶液の吸光度が最も長波長側の極大吸収波長λmaxにおける吸光度の半分となる波長380nm以上の光強度QvとUVR−36型(トプコン社製)で測定した波長380nm以下の光強度Quとの割合Qu/Qvが0.5以下である光を意味する。上記光強度比Qu/Qvは0.5以下である必要があり、好ましくは0.2以下である。光強度比Qu/Qvが0.5を超える場合には、高分子量で溶解性の良い重合体は得られない。
【0022】
第一段で照射する光強度は、一定でも重合途中で変化させても良く、開始剤種と目的とする重合体の分子量に依存する。
【0023】
第二段以降で照射する光は、残存する光開始剤が分解して単量体を重合せしめることができる光であればよいが,好ましくは最も長波長側の極大吸収波長を含む光を照射する.その強度は第二段以降の照射時間と目的とする残留単量体濃度に依存するが、概ね50〜2,000W/mが好ましい。
【0024】
第一段終了時の重合率は、第二段以降での照射による分子量の低下、あるいは溶解性の低下防止からも80%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。
【0025】
本発明で用いる水溶性ビニル系単量体としては、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの酸のアルカリ塩、アンモニウム塩、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなアクリルアミドアルカンスルホン酸及びそのアルカリ塩、アンモニウム塩等が挙げられる。さらにアクリル酸及びメタクリル酸の各種のジアルキルアミノアルキルエステル及びこれらの3級塩、4級塩、あるいはN,N’−ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、N,N’−ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド及びこれらの3級塩、4級塩やジアルキルジアリルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0026】
又、用途によっては生成重合体の水溶性を損なわない範囲で、アクリロニトリル、アクリルアミドのN−置換誘導体、スチレン等を使用することもできる。これらの単量体は、1種あるいは2種以上を共重合しても良い。
【0027】
特にアクリルアミド系単量体によって得られる重合体は、高分子量化が可能であり、廃水処理等に用いられる高分子凝集剤として高い凝集性能を示す。この目的で用いられるアクリルアミド系重合体としては、アクリルアミド単独あるいはアクリルアミド25モル%以上とこれと共重合可能な単量体の少なくとも1種から重合されたものが好ましく用いられる。アクリルアミドと共重合可能な水溶性単量体としては上記水溶性ビニル系単量体やアクリロニトリル、アクリルアミドのN−置換誘導体、スチレン等を併用することもできる。
【0028】
ビニル系単量体水溶液の単量体濃度は、生産性および乾燥効率の面からも高いほど望ましく、20〜80重量%の範囲であるが、層厚が増すにしたがって重合熱の除去が困難になることから、沸騰しない程度にする必要がある。例えば、アクリルアミドやアクリル酸の重合では、層厚30mm以上で生産性良く高分子量の重合体を得るには20〜40重量%程度で重合を行うことが好ましい。
【0029】
単量体水溶液の層厚は、生産性を高めるためには厚い方が良く、一方向から照射する場合、5mm以上、好ましくは30〜200mm、両方向から照射する場合、好ましくは60〜400mmである。
【0030】
重合はバット様の容器で回分操作で行うこともできるが、工業的生産の場合には、連続ベルト上での重合が有利である。この方法は、エンドレスベルトの一端より単量体溶液を供給し、シート状となし、固定された光源の下をベルトとともに通過させることにより重合させるものである。流動しなくなった時点以降は、ローラコンベアー上に連続的に移動させ、光照射を続けることも可能である。この場合には、上記、上方と下方の両方から光照射を行うことが出来る。
【0031】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下において、部は重量部を示す。
なお、以下の実施例1、2では第1段の照射時においてλ1/2より短波長の光は実質的に含まない条件としている。
【0032】
実施例1
アクリルアミド25部を純水に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを9に調整した。次に、遮光下で2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド](最も長波長側の極大吸収波長約360nm、λ−1/2約340nm、λ1/2約380nm)の2重量%水溶液2.15部を添加し、純水を加え100部とした。次に、窒素ガスで、溶存酸素を置換しつつ、液温を10℃に調整した。その後、窒素ガスで密閉されている箱形(縦250mm、横250mm、高さ130mm)で上面がガラス板となっている重合装置に単量体水溶液を単量体水溶液層厚100mmとなるよう供給した。
【0033】
重合装置の上方に20W蛍光灯型青色ランプ(東芝製 FL−20S−B)の前面にアクリル板(旭化成製 #999、3mm厚)を取り付けた光源を、重合装置上面ガラス下部でUVR−40を用いて測定した光強度が42W/mとなるよう設置した。光強度比Qu/Qvは0.1であった。光を20分照射し重合を行った。この時の重合率は97%であり,開始剤の残存率は87%であった。次に、光源を1kwメタルハライドランプ(コスモ技研製 CUVH01−MA/N)に変え、重合装置上面ガラス下部でUVR−40を用いて測定した光強度が160W/mとなるよう設置し、光を40分照射した。この時の光強度比Qu/Qvは5.3であった。得られた重合体は透明で弾力のある水性ゲル状となっていた。
【0034】
この水性ゲルを数mm角に解砕し、60℃で16時間乾燥を行い、ウイレー粉砕器で2mm以下の粒径に粉砕した。4重量%の食塩水中に得られた重合体粉末を1重量%濃度となるよう溶解し、25℃でのブルックフィールド粘度(B型粘度計、ロータ回転数6r.p.m、ロータNo.3;以下4重量%食塩水中粘度と略す)を測定した。
【0035】
又、重合体粉末を純水500g中、0.1重量%濃度に溶解した後、80メッシュの金網で濾過し、溶解状態及び水不溶物を観察した。残留単量体濃度は、メタノール/水=80/20溶媒で16時間抽出後、液体クロマトグラフィーで測定した。得られたアクリルアミド重合体の4重量%食塩水中粘度は3,100mPa・sであり、水不溶物は全く含まれておらず、残留単量体濃度は、0.05%であった。
【0036】
比較例1
上記実施例1において蛍光灯型青色ランプのかわりに、20W蛍光灯型ケミカルランプ(東芝製 FL−20S−BL)として、重合装置上面ガラス下部でUVR−36を用いて測定した光強度が42W/mとなるよう設置する以外は同様に行った。第一段照射時における光強度比Qu/Qvは4.8であった。ケミカルランプ照射終了時における重合率は98%であり,開始剤の残存率は73%であった。
【0037】
得られたアクリルアミド重合体粉末の4重量%食塩水中粘度は2,100mPa・sであり、水不溶物は含まれていなかったが、残留単量体濃度は、0.08%であった。
【0038】
比較例2
上記比較例1において光強度が21W/mとなるよう設置する以外は同様に行った。第一段照射時における光強度比Qu/Qvは4.8であった。ケミカルランプ照射終了時における重合率は97%であり,開始剤の残存率は87%であった。
【0039】
得られたアクリルアミド重合体粉末の4重量%食塩水中粘度は2,950mPa・sであり、残留単量体濃度は、0.05%であったが、4時間撹拌後でも残存未溶解物が含まれていた。
【0040】
実施例2
上記実施例1において2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]のかわりに、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)ナトリウム塩(最も長波長側の極大吸収波長約360nm、λ−1/2約340nm、λ1/2 約380nm)とする以外は同様に行った。第一段照射時における光強度比Qu/Qvは0.1であった。青色ランプ照射終了時における重合率は97%でであり,開始剤の残存率は85%であった。
【0041】
得られたアクリルアミド重合体粉末の4重量%食塩水中粘度は2,900mPa・sであり、水不溶物は全く含まれておらず、残留単量体濃度は、0.05%であった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、残留単量体が僅かにしか含まない高分子量で水溶解性の良い重合体を効率的に得ることができる。

Claims (4)

  1. 光開始剤を添加したビニル系単量体水溶液を厚さ方向に光照射する光重合による重合体の製造方法において、第一段重合時に光開始剤の分解波長範囲において、光開始剤を添加した重合開始時の単量体水溶液の最も長波長側の極大吸収波長λ max における吸光度の半分の値となる長波長側の波長をλ 1/2 とし、λ max より短波長側においてλ max における吸光度の半分の値となる波長が存在する場合この波長をλ -1/2 としたとき、λ -1/2 〜λ 1/2 の波長範囲における光強度 Qu と、λ 1/2 より長い波長範囲及びλ -1/2 より短い波長範囲かつλ max における吸光度の半分の値となる波長範囲における光強度 Qv との割合 Qu Qv が0.2以下の光である条件、又、上記λ -1/2 に該当する波長が存在しない場合は、λ 1/2 より短い波長範囲の光強度を Qu ’とし、λ 1/2 より長い波長範囲の光強度を Qv ’としたとき、 Qu ’と Qv ’の割合 Qu ’/ Qv ’が0.2以下の光である条件も満たす光を照射して単量体の大半を光照射重合せしめた後、第二段以降に残存する光開始剤が分解する光を用いて光照射重合を行うことを特徴とする水溶性重合体の製造方法。
  2. 前記光開始剤がアゾ系開始剤である請求項1記載の製造方法。
  3. 第一段での重合率が80重量%以上である請求項1記載の製造方法。
  4. 前記水溶性ビニル系単量体がアクリルアミドの単独又は25モル%以上のアクリルアミドと、これと共重合可能な単量体の少なくとも一種からなる単量体混合物であるアクリルアミド系単量体である請求項1記載の製造方法。
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