JP2003040917A - 水溶性重合体の製造方法 - Google Patents

水溶性重合体の製造方法

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JP2003040917A
JP2003040917A JP2001228591A JP2001228591A JP2003040917A JP 2003040917 A JP2003040917 A JP 2003040917A JP 2001228591 A JP2001228591 A JP 2001228591A JP 2001228591 A JP2001228591 A JP 2001228591A JP 2003040917 A JP2003040917 A JP 2003040917A
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water
soluble polymer
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monomer
polymer
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JP2001228591A
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Tetsuya Tsuzuki
哲也 都築
Yoshio Mori
嘉男 森
Kenji Ito
賢司 伊藤
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高分子量で水に対する溶解性が良好でありかつ
残存モノマーの含有量が少ない水溶性重合体の製造方法
の提供。 【解決手段】(A)10時間半減期温度が70℃以上のア
ゾ系重合開始剤、(B)10時間半減期温度が70℃以下
でかつ(A)成分より15℃以上の低いアゾ系重合開始剤
及び(C)必要に応じてその他重合開始剤の存在下、水溶
液中でビニル系単量体を重合することを特徴とする水溶
性重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定2種のアゾ系
重合開始剤を使用する水溶性重合体の製造方法に関する
ものであり、高分子凝集剤等の用途に好適な高分子量の
水溶性重合体を得ることができるものであり、これら技
術分野で賞用され得るものである。
【0002】
【従来の技術】水溶性重合体は、廃水等の液体中の懸濁
物質を凝集させて沈降させる等の目的で使用される高分
子凝集剤の他、抄紙用薬剤及び増粘剤等に広く利用され
ているが、いずれの用途においても水溶性重合体の分子
量が高く、溶解性が良好であること、かつ残存モノマー
が少ないことが要求される。例えば、凝集剤の用途にお
いては、分子量が低い場合には凝集性能が低下し、水溶
性が不良の場合には溶解した純分が減少し凝集性能が悪
化するという問題が生じる。又抄紙用途では、高分子量
でないと紙の歩留まりが低くなり、水溶性の不良は紙表
面の品質不均一やザラツキの原因となる。増粘剤用途で
は、分子量が低いと増粘効果が低下し、水溶性が不良の
場合には均一な増粘効果が得られ難く、外観的にも不都
合である。残存モノマーが多い場合には、いずれの用途
においても水溶性重合体を扱う作業者の安全上の点、例
えば皮膚刺激性等で危険性があって好ましくない。
【0003】残存モノマーの含有量を低減する方法とし
て、従来、特定の光重合開始剤を使用する方法と光照射
工程の装置や条件を工夫する方法とが知られている。例
えば、特開昭57−115409号公報には、光重合開
始剤としてベンジルジメチルケタールを含有することを
特徴とする水溶性高分子量重合体の製造方法が開示され
ている。しかし、この方法により得られる重合体は、架
橋反応が生じ易いために溶解性が十分ではなく、又残存
モノマー含有量の低減の点でも満足できるものではなか
った。
【0004】一方、特開平10−279615号公報及
び特開平10−298215号公報には、1段目に特定
の波長を含まない光を照射した後、2段目以降に当該波
長を含む光を照射する方法が提案されている。しかし、
これらの方法では実質的にフィルター類を通じて特定の
波長を含まない光とする必要があり、装置が複雑になる
ばかりか、光エネルギーが無駄になり、かつフィルター
類が光エネルギーの吸収によって極度に過熱し、場合に
よっては火災の危険性があるため好ましくない。
【0005】上記以外の従来技術の中で、水溶性重合体
の製造に使用される光重合開始剤として、アゾ系化合物
を用いるものが古くから知られている。例えば特公昭5
3−22544号公報や特公昭57−19121号公報
には、特定組成のアゾ化合物を光重合開始剤として用い
た光重合方法が開示されているが、これらの方法ではい
ずれも高分子量の重合体が得られ難く、凝集剤等の用途
で満足できるものではなかった。又、特公平4−576
82号公報や特公平7−10895号公報にはベンゾイ
ン誘導体等特定の重合光開始剤とアゾ系光開始剤を併用
する方法が開示されているが、これらの方法により得ら
れる重合体は、架橋反応が生じ易いために溶解性が十分
とは言えず、又残存モノマーの低減という点でも不十分
であった。
【0006】一方、アゾ化合物を熱重合開始剤として用
いる水溶性重合体の製造方法も従来から知られている。
例えば、特開昭49−47482号公報や特開昭55−
135104号公報等には、高分子量の重合体を得る目
的や残存モノマー量低減のため、特定アゾ系重合開始剤
を使用する方法が開示されている。しかしながら、これ
ら製造方法では、使用するアゾ化合物が低温で重合開始
するものでなく、重合開始温度を高くする必要があり、
このため水溶性単量体濃度を低くせざるを得ず、生産性
の点で満足するものではないうえ、重合体の重合度や残
存モノマー量は満足のゆくものでなかった。これら以外
にも、アゾ化合物と還元剤を併用する方法が知られてい
るが(特開昭52−82989号公報や特開昭54−1
45782号公報)が、これらの方法はいずれも重合開
始時間に長時間を要し、生産性の面で満足できるもので
はなかった。アゾ化合物とレドックス開始剤を併用する
方法も知られているが(特開昭52−15591号公
報、特開昭52−71586号公報)、レドックス重合
開始剤を用いるため低温での反応は速いものの、高分子
量の重合体が得られ難く、性能の点で満足できるもので
はなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高分
子量で水に対する溶解性が良好でありかつ残存モノマー
の含有量が少ない水溶性重合体の製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、10時間
半減期温度の異なるアゾ系重合開始剤を併用し、水溶液
中でビニル系単量体を重合すれば、一方の重合開始剤が
失活した後にも他方の重合開始剤の活性があるため、残
存モノマーを低減できるうえ、高分子量の重合体が得ら
れるのではないかとの着想のもと、種々の検討を行なっ
た結果、本発明を完成した。以下、本発明を詳細に説明
する。尚、本明細書においては、アクリルアミド又はメ
タクリルアミドを(メタ)アクリルアミドと表し、アク
リレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと
表し、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル
酸と表す。
【0009】
【発明の実施の形態】1.重合開始剤 本発明では、(A)10時間半減期温度が70℃以上のア
ゾ系重合開始剤、(B)10時間半減期温度が70℃以下
でかつ(A)成分より15℃以上の低いアゾ系重合開始剤
及び(C)必要に応じてその他重合開始剤を併用する。以
下それぞれの成分について説明する。
【0010】1-1.(A)10時間半減期温度が70℃以上
のアゾ系重合開始剤 (A)成分としては、10時間半減期温度が70℃以上の
アゾ系重合開始剤であれば種々の化合物が使用でき、1
0時間半減期温度が80℃以上のアゾ系重合開始剤がよ
り好ましい。(A)成分の具体例としては、2,2’−ア
ゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プ
ロピオンアミド)](10時間半減期温度86℃、以下
括弧内の温度は同様の意味を示す)、2,2’−アゾビ
ス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート(8
8℃)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−〔1,1
−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミ
ド](82℃)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−
〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシ
エチル〕プロピオンアミド](80℃)、1,1’アゾ
ビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(88
℃)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]
ホルムアミド(104℃)、2−フェニルアゾ−4−メ
トキシ−2,4−ジメチルファレロニトリル(122
℃)、2,2’アゾビス(2,4,4−トリメチルペン
タン)(110℃)及び2,2’アゾビス(2−メチル
プロパン)(160℃)等が挙げられる。これらの中で
も、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒド
ロキシエチル)プロピオンアミド)](86℃)、2,
2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイ
ドレート(88℃)、2,2’−アゾビス[2−メチル
−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プ
ロピオンアミド](82℃)及び2,2’−アゾビス[2
−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−
2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド](80℃)
が好ましい。(A)成分の割合としては、得ようとする水
溶性重合体の分子量や組成等を考慮して決定されるが、
使用するビニル系単量体全量に対して100〜2000
ppmが好ましい。又、後記(B)成分に対する(A)成分の
割合としては、(A)及び(B)成分の合計量に対して、(A)
成分が10〜90質量%であることが好ましく、より好
ましくは20〜80質量%である。(A)成分は、2種以
上を併用することもできる。
【0011】1-2.(B)10時間半減期温度が70℃以下
でかつ(A)成分より15℃以上の低いアゾ系重合開始剤 (B)成分としては、10時間半減期温度が70℃以下で
かつ(A)成分より15℃以上低いものであれば種々のも
のが使用できる。(B)成分の具体例としては、4,4’
−アゾビス(4−シアノバレリック酸)(69℃)、
2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチル
アミジン)(61℃)、2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリル(65℃)、2,2’−アゾビス(2−アミジ
ノプロパン)塩酸塩(56℃)、2,2’−アゾビス
(2−メチルブチロニトリル)(67℃)、2,2’−
アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパ
ン](44℃)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)(30℃)、2,2’−アゾビス
(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジハ
イドロクロライド(45℃)及び2,2’−アゾビス
(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジハ
イドロクロライド(45℃)等が挙げられる。これらの
中でも、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)
塩酸塩(56℃)、2,2’−アゾビス(2−メチルブ
チロニトリル)(67℃)及び2,2’−アゾビス[2
−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン](44
℃)が好ましい。(B)成分の割合としては、得ようとす
る水溶性重合体の分子量や組成等を考慮して決定される
が、使用するビニル系単量体全量に対して100〜20
00ppmが好ましい。(B)成分は、2種以上を併用す
ることもできる。
【0012】1-3.(C)その他重合開始剤 本発明においては、必要に応じて前記以外の重合開始剤
を併用することができる。(C)成分の好ましい具体例と
しては、レッドックス重合開始剤及び光重合開始剤等が
挙げられる。
【0013】本発明において、ビニル系単量体の重合を
熱重合により行なう場合、レドックス重合開始剤を併用
することが好ましい。レドックス重合開始剤としては、
下記に示す酸化剤と還元剤の組み合わせ等が挙げられ
る。酸化剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウ
ム及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、t-ブチルハ
イドロパ−オキサイド及びパーロイルSA等の有機過酸
化物、過酸化水素、並びに臭素酸ナトリウム等が挙げら
れる。又、還元剤としては、亜硫酸ナトリウム等の亜硫
酸塩、亜硫酸水素ナトリウム等の亜硫酸水素塩、アスコ
ルビン酸及びその塩、ロンガリット、亜二チオン酸及び
その塩、トリエタノールアミン、並びに硫酸第一鉄等が
挙げられる。レドックス重合開始剤の好ましい組み合わ
せとしては、過硫酸塩と亜硫酸塩、過硫酸塩と亜硫酸水
素塩等が挙げられる。レドックス重合開始剤の割合とし
ては、得ようとする水溶性重合体の分子量や組成等を考
慮して決定すれば良いが、使用するビニル系単量体全量
に対して10〜500ppmが好ましい。又、前記(A)
及び(B)成分に対するレドックス重合開始剤の割合とし
ては、前記(A)及び(B)成分の合計量に対して、レドック
ス重合開始剤が0.5〜50質量%であることが好まし
い。
【0014】本発明において、ビニル系単量体の重合を
光重合により行なう場合、光重合開始剤を併用すること
が好ましい。尚、前記アゾ系重合開始剤が光重合開始剤
としても作用する場合は、さらに配合する必要はないこ
とがある。光重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェ
ノン系、ベンゾイン系、ベンゾインアルキルエーテル
系、アセトフェノン系及びアシルホスフィンオキサイド
系等の光重合開始剤を挙げることができる。これらの中
でも、架橋を生じ難く、高重合度で溶解性に優れた重合
体が得られ易いこと、安価な汎用な化合物として市販さ
れている点において格別に好ましいものは、1―ベンゾ
イル−1−ヒドロキシシクロヘキサンである。この場
合、光増感剤をさらに併用することができる。光増感剤
としては、トリエタノールアミン及びジエタノールアミ
ン等のアミン系光増感剤等を挙げることができる光重合
開始剤の割合は、得ようとする水溶性重合体の分子量や
組成等を考慮して決定されるが、使用するビニル系単量
体全量に対して10〜500ppmが好ましい。又、前
記(A)及び(B)成分に対する光重合開始剤の割合として
は、前記(A)及び(B)成分の合計量に対して、光重合開始
剤が0.5〜50質量%であることが好ましい。
【0015】2.ビニル系単量体 本発明において用いられるビニル系単量体(以下、単に
「単量体」ということもある)としては、水溶性単量体
が好ましく、例えば(メタ)アクリルアミド、(メタ)
アクリル酸及びこれらの酸のナトリウム塩等のアルカリ
金属塩又はアンモニウム塩、アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスル
ホン酸及びそのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキ
ルアミノアルキル(メタ)アクリレート、これらの塩酸
塩及び硫酸塩等の3級塩又は4級塩、N,N'―ジアル
キルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド及びこれら
の塩酸塩及び硫酸塩等の3級塩又は4級塩、ジメチルジ
アリルアンモニウムクロライド等のジアルキルジアリル
アンモニウム塩等が挙げられる。又、得られる重合体の
水溶性を損なわない範囲で、水溶性単量体に、アクリロ
ニトリル、アクリルアミドのN置換誘導体、スチレン等
の非水溶性単量体を併用しても良い。これらの単量体
は、一種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用い
てもよい。
【0016】本発明において使用するビニル系単量体と
しては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレー
トの3級塩及び/又は4級塩のみからなるか、又はジア
ルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの3級塩及
び/又は4級塩を5モル%以上含む単量体混合物が好ま
しい。
【0017】3.水溶性重合体の製造方法 本発明は、(A)成分、(B)成分及び必要に応じて(C)成分
の存在下、水溶液中でビニル系単量体を重合する水溶性
重合体の製造方法である。
【0018】重合をレドックス開始剤を使用するか又は
熱重合で行なう場合は、ビニル系単量体を溶解した単量
体水溶液に、(A)成分、(B)成分及び必要に応じて(C)成
分を添加し、冷却又は加熱して重合する方法等が挙げら
れる。
【0019】又、重合を光重合で行なう場合は、ビニル
系単量体を溶解した単量体水溶液に、(A)成分、(B)成分
及び必要に応じて(C)成分を添加し、当該水溶液に光照
射して重合させる方法等が挙げられる。この場合、単量
体水溶液を容器に溜めて光照射することでバッチ式で重
合することも、連続的に重合することも可能であり、例
えば可動式ベルト上に単量体水溶液を連続的に供給し、
光照射することによってもできる。
【0020】光源としては、蛍光ケミカルランプ、蛍光
青色ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、
低圧水銀ランプ等を使用することができ、これらの光源
から得られる紫外線及び可視光線を利用できるが、30
0〜400nmの波長を選択的に含む光源を使用するこ
とが、光重合開始剤を効率的に作用させる点で好まし
い。
【0021】光照射の強度は、開始剤濃度、得ようとす
る水溶性重合体の分子量、重合時間等を考慮して決定さ
れるが、通常0.5〜100W/m2の範囲であること
が好ましい。照射強度は重合中一定としてもよく、重合
途中で変化させてもよい。この場合、第2段目の照射強
度を1段目の照射強度より高くすることが、得られる重
合体の残存モノマーをより好ましく低減できるため、好
ましい。第2段目の照射強度は、通常50〜2,000
W/m2の範囲で使用できる。光照射時間(連続式の場
合には滞留時間)は、第1段目においては通常0.5〜
120分間、好ましくは3〜90分間、さらに好ましく
は5〜60分間であり、第2段目においては、10分以
上が好ましく、さらに好ましくは10〜60分、特に好
ましくは10〜30分である。
【0022】光重合においては、深液が30mm以上、
好ましくは50mm以上である単量体水溶液を使用する
ことが、生産性に優れるため好ましい。
【0023】単量体水溶液中の単量体濃度は、通常20
〜90質量%の範囲とすることが好ましく、25〜80
質量%の範囲とすることがさらに好ましい。単量体濃度
が90質量%を超えると、重合熱の除去が困難となるこ
とがあり、重合反応を制御し難くなるので好ましくな
い。一方、単量体濃度が20質量%未満では、生産性及
び粉末状製品とする場合の乾燥効率が低くなることがあ
る。
【0024】重合開始時における反応系の好ましい温度
は40℃以下であり、25℃以下とすることが好まし
く、15℃以下の範囲とすることがさらに好ましい。重
合開始温度が40℃を超えると、枝分かれ反応の頻度が
増加して不溶解分が増加したり、あるいは平均分子量が
低下したりする場合がある。重合開始温度の下限は特に
限定されないが、操作性及びエネルギー効率の点から−
10℃以上であることが好ましい。又、重合中における
系内の到達最高温度は100℃未満とすることが好まし
く、95℃未満とすることがより好ましい。
【0025】本発明の製造方法によって得られる水溶性
重合体の分子量は、4質量%塩化ナトリウム水溶液中の
0.5質量%濃度の25℃における粘度(B型粘度計に
より測定された値。以下、「0.5%塩粘度」ともい
う。)によって表現され、その数値が10mPa・S以
上であることが好ましく、30mPa・S以上であるこ
とがより好ましい。このような高分子量の水溶性重合体
は、高分子凝集剤に使用した場合、廃水や汚泥に対して
少量の添加で優れた凝集性能を発揮することができる。
0.5%塩粘度の上限は特に限定されないが、通常は2
00mPa・s以下である。又、本発明の製造方法によ
って得られる水溶性重合体は、重合体サンプルをイオン
交換水に溶解して0.1質量%濃度の重合体溶液を40
0ml作製し、この溶液全量を83メッシュの篩で濾過
した場合において、篩上に残った不溶解分の容量が溶液
全量に対して5容量%以下であることが好ましく、1容
量%以下であることがより好ましく、不溶解分のないこ
とが最も好ましい。本発明によれば、上記のような高分
子量であっても、不溶解分がほとんど生成せず、単量体
のロスのない経済的なものとなり、かつ不溶解分がパイ
プ等に目詰まりすることがないため、製品の使用時に安
定な操業が可能となる。又、得られる水溶性重合体中の
残存モノマー量としては、0.2質量%以下が好まし
い。
【0026】得られた重合体の乾燥、粉砕等の工程につ
いては、常法に従って行えばよい。本発明により得られ
る水溶性重合体は、種々の用途に使用可能であり、具体
的には高分子凝集剤、抄紙用薬剤及び増粘剤等が挙げら
れ、特に、高分子凝集剤として好適に使用できる。
【0027】
【作用】本発明の製造方法により、高分子量でかつ残存
モノマー量の少ない水溶性重合体が得られる理由の詳細
は不明であるが、以下の様に推測している。まず、反応
開始時には10時間半減期温度の低い(B)成分からラジ
カルが発生し、単量体を重合し、高分子量の重合体を生
成する。重合の進行に伴い、単量体水溶液の温度が高く
なってくると、(B)成分が失活してくるが、10時間半
減期温度の高い(A)成分のラジカルが発生し始め、得ら
れた重合体中に存在する残存モノマーを消費する様にな
る。以上により、高分子量でかつ残存モノマー量の少な
い水溶性重合体が得られると考えられる。
【0028】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をよ
り具体的に説明する。 ○実施例1 ステンレススティール製デュワー瓶に、ジメチルアミノ
エチルアクリレート塩化メチル4級塩水溶液(以下DA
Cと表す)、アクリルアミド水溶液(以下AMと表す)
及びアクリル酸(以下AAと表す)を入れ、それぞれが
12.0モル%、86.0モル%及び2.0モル%の組
成で、全重量が1Kg、全単量体濃度が30質量%にな
るように蒸留水を加えた。この溶液のpHを3.3に調
節した。窒素ガスを溶液に吹込みながら溶液温度を10
℃に調節し、単量体混合物の水溶液を得た。この時の液
深は150mmであった。次いで、単量体水溶液に、こ
の中の全単量体重量を基準として、(A)成分の2,2’
−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチ
ル)プロピオンアミド)]〔10時間半減期温度86
℃、和光純薬(株)商品名VA−086、以下VA−0
86という〕を900ppm、(B)成分の2,2’−ア
ゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩〔10時間半減
期56℃、和光純薬(株)商品名V−50、以下V−5
0という〕を300ppm、(C)成分の過硫酸アンモニ
ウム((NH4228))を10ppm及び亜硫酸水
素ナトリウム(NaHSO3)を10ppm、並びに塩
化第二銅を銅イオンとして0.3ppmとなるように加
えて、重合を開始した。静置状態で3時間重合を続け
た。その後、得られた含水ゲル状の重合体をデュワー瓶
から取出し、細断した。これを80℃で5時間乾燥後、
粉砕して目的の高分子重合体を得た。
【0029】得られた重合体を用いて、以下の物性を測
定した。それらの結果を表2に示す。
【0030】[0.5%塩粘度]得られた重合体を4質
量%塩化ナトリウム水溶液に溶解して0.5質量%濃度
の重合体溶液を作製し、B型粘度計にて25℃、60r
pmの条件で5分後の粘度を測定した。
【0031】[不溶解分]得られた重合体をイオン交換
水に溶解して0.1質量%濃度の重合体溶液を400m
l作製し、この溶液全量を直径20cm、83メッシュ
の篩で濾過した後、篩上に残った不溶解物を集めてその
容量を測定した。
【0032】[残存モノマー量]得られた重合体2.0
gを80/20(体積比)のアセトン/水混合溶媒20
mlに加えて16時間以上放置して抽出を行った。抽出
後の上澄み液を採取し、ガスクロマトグラフィーにて残
存モノマー量を測定した。
【0033】○実施例2及び同3 使用する重合開始剤を表1の通りに変更する以外は、実
施例1と同様にして水溶性単量体の重合を行なった。得
られた重合体を実施例1と同様に評価した。それらの結
果を表1に示す。
【0034】○比較例1及び同2 使用する重合開始剤を表1の通りに変更する以外は、実
施例1と同様にして水溶性単量体の重合を行なった。得
られた重合体を実施例1と同様に評価した。それらの結
果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1における1)〜3)は、以下の意味を
示す。 1)括弧内の温度は、10時間半減期温度を意味する。 2)VA−080:2,2’−アゾビス[2−メチル−N
−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキ
シエチル〕プロピオンアミド](10時間半減期温度8
0℃、和光純薬(株)商品名VA−080 3)VA−044:2,2’−アゾビス[2−(2−イ
ミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩、10時間半
減期温度44℃、和光純薬(株)商品名VA−044
【0037】○実施例4 ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩
(以下DMCと表す)水溶液60モル%、AM水溶液4
0モル%の単量体混合物に、全重量1100g、単量体
濃度65質量%となるように蒸留水を加えた。これを内
径146mmの円筒型ガラス容器(反応器)に仕込み、
pHを4.0に調製した後、水溶液の温度を10℃に保
ちながら30分間窒素バブリングして単量体水溶液を得
た。このとき液深は70mmであった。次いで、この単
量体水溶液に、単量体純分に対して重量基準で、(A)成
分のVA−086を300ppm、(B)成分のV−50
を300ppm、(C)成分の光重合開始剤として1−ベ
ンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキサン〔チバ・スペ
シャルティ・ケミカルズ(株)商品名Ig−184〕5
0ppmを添加し、さらに2分間窒素バブリングした。
その後、反応器の上方から、10Wブラックライト蛍光
ランプ〔(株)東芝製、商品名「FL10S・BL
B」〕を用いて、0.4mW/cm2の照射強度で60
分間照射し、続いて100Wブラックライト〔(株)東
芝製、商品名「H100BL」〕を11.6mW/cm
2の照射強度で30分間照射して含水ゲル状の重合物を
得た。この含水ゲルを粒径3mm程度の塊に細断し、次
いで熱風乾燥機にて80℃で5時間乾燥した後、粉砕機
で粉砕して粉末状の重合体を得た。得られた重合体を使
用し、実施例1と同様の方法により評価した。それらの
結果を表2に示す。
【0038】○実施例5及び同6 使用する重合開始剤を表2の通りに変更する以外は、実
施例4と同様にして水溶性単量体の重合を行なった。得
られた重合体を使用し、実施例1と同様の方法により評
価した。それらの結果を表2に示す。
【0039】○比較例3及び同4 使用する重合開始剤を表2の通りに変更する以外は、実
施例3と同様にして水溶性単量体の重合を行なった。得
られた重合体を使用し、実施例1と同様の方法により評
価した。それらの結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】表2における1)〜3)は、以下の意味を
示す。 1)括弧内の温度は、10時間半減期温度を意味する。 2)VA−080:2,2’−アゾビス[2−メチル−N
−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキ
シエチル〕プロピオンアミド](10時間半減期温度8
0℃、和光純薬(株)商品名VA−080 3)V−59:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロ
ニトリル)(10時間半減期温度67℃、和光純薬
(株)商品名V−59
【0042】
【発明の効果】本発明の水溶性重合体の製造方法は、高
分子量でありながら不溶解分が少なく、かつ残存モノマ
ーが低減された重合体を得ることができるため、広い用
途、特に高分子凝集剤の用途に好適な水溶性重合体を得
ることが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 HA02 HB14 HB22 4J015 AA01 AA04 AA05 AA07 CA02 CA03 CA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)10時間半減期温度が70℃以上のア
    ゾ系重合開始剤、(B)10時間半減期温度が70℃以下
    でかつ(A)成分より15℃以上の低いアゾ系重合開始剤
    及び(C)必要に応じてその他重合開始剤の存在下、水溶
    液中でビニル系単量体を重合することを特徴とする水溶
    性重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】(A)成分が、80℃以上の10時間半減期
    温度を有するものである請求項1記載の水溶性重合体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】(C)成分がレドックス重合開始剤である請
    求項1又は請求項2記載の水溶性重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】(C)成分が光重合開始剤である請求項1又
    は請求項2記載の水溶性重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】前記ビニル系単量体が、ジアルキルアミノ
    アルキル(メタ)アクリレートの3級塩及び/又は4級
    塩を含むものである請求項1〜請求項4のいずれかに記
    載の水溶性重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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