JP2003212917A - 水溶性重合体の製造方法 - Google Patents

水溶性重合体の製造方法

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JP2003212917A JP2002015084A JP2002015084A JP2003212917A JP 2003212917 A JP2003212917 A JP 2003212917A JP 2002015084 A JP2002015084 A JP 2002015084A JP 2002015084 A JP2002015084 A JP 2002015084A JP 2003212917 A JP2003212917 A JP 2003212917A
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Takeshi Takeda
健 竹田
Juichi Goto
寿一 後藤
Yoshio Mori
嘉男 森
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクリロイル基を有する水溶性単量体及びメ
タクリロイル基を有する水溶性単量体を含有する単量体
混合物を用いて、高分子量で、且つ不溶解分を殆ど含ま
ず水への溶解性に優れる水溶性重合体を、簡単な操作で
円滑に且つ生産性良く製造する方法の提供。 【解決手段】 アゾ系重合開始剤および無機リン化合物
の存在下に、アクリロイル基を有する水溶性単量体及び
メタクリロイル基を有する水溶性単量体を含有する単量
体混合物の水溶液に、光照射強度0.5〜7W/m2
条件下に光を照射して重合して水溶性重合体を製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水溶性重合体の製造
方法に関する。より詳細には、本発明はアクリロイル基
を有する水溶性単量体およびメタクリロイル基を有する
水溶性単量体を含有する単量体混合物の水溶液に光を照
射して水溶性重合体を製造する方法である。本発明の製
造方法による場合は、高分子量で、しかも水不溶解分
(以下「不溶解分」という)の含有量の少ない水溶性重
合体を、簡単な操作で円滑に製造することができる。本
発明により得られる水溶性重合体は、高分子凝集剤をは
じめとして種々の用途に有効に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】アクリロイル基を有する水溶性単量体と
メタクリロイル基を有する水溶性単量体を共重合して得
られる水溶性重合体は、凝集能に優れていることから各
種の廃水を凝集処理するための高分子凝集剤としてく用
いることができ、その他にも増粘剤、製紙用サイズ剤、
紙力増強剤、濾過促進剤、繊維改質剤、染色助剤などと
して有用である。
【0003】アクリロイル基を有する水溶性単量体およ
びメタクリロイル基を有する水溶性単量体を含む単量体
混合物をレドックス重合して水溶性重合体を製造するこ
とが知られているが、レドックス重合は長い重合時間を
要し、生産性に劣ることから、光重合による方法が採用
されるようになっている。しかしながら、アクリロイル
基を有する水溶性単量体とメタクリロイル基を有する水
溶性単量体とは反応速度に差があり、そのため両単量体
の混合物を用いて光重合を行ったときに、重合が均一に
進行せず、生成する水溶性重合体の分子量が十分に高く
ならなかったり、生成する水溶性重合体中に不溶解分が
多く含まれるなどの問題がある。具体的には、例えばア
クリルアミドなどのようなアクリロイル基を有する水溶
性単量体は重合初期には反応があまり進行せず、ある時
間経過後に急激に反応するのに対して、例えばジアルキ
ルアミノアルキルメタクリレートの塩などのようなメタ
クリロイル基を有する水溶性単量体は重合初期から重合
後期にわたって反応がゆっくり進行するため、両単量体
を含む単量体混合物を光重合したときに、高分子量の水
溶性重合体が生成しにくく、しかも生成した水溶性重合
体中に多量の不溶解分が含まれることが多い。
【0004】本発明者らは、アクリロイル基を有する水
溶性単量体とメタクリロイル基を有する水溶性単量体を
含む単量体混合物を光重合したときの上記した問題点を
解決すべく検討を重ねてきた。そして、該単量体混合物
を特定のアゾ系重合開始剤の存在下に第1段目で光照射
した後、全単量体の反応率が95%以下で且つ特定の範
囲内にあるときに第1段目の光照射強度の5倍以上の光
照射強度で第2段目の光照射を行って重合を行う方法を
見出して先に出願した(特開2001−355603
号)。
【0005】本発明者らの開発した前記方法は、反応速
度に差のあるアクリロイル基を有する水溶性単量体とメ
タクリロイル基を有する水溶性単量体を含む単量体混合
物を用いているにも拘わらず、不溶解分が少なく、しか
も高分子量の水溶性重合体が得られるという優れた特長
を有する。そして、前記方法によって実機で連続運転す
る場合には、光照射強度(特に第2段目の光照射強度)
の調整は、一般に、単量体混合物を含有する水溶液に対
する光源の種類を変えることによって行われている。す
なわち、実機においては、第1段目の光照射のための照
射強度の小さい光源(以下「光源1」という)と第2段
目の光照射のための照射強度の大きい光源(以下「光源
2」という)の2種類の光源を使用し、連続ベルトに沿
って、単量体水溶液投入口付近から、光源1を複数配列
して第1段目の照射条件を満たす第1区間を設け、その
後に光源2を複数配列して第2段目の照射条件を満たす
第2区間を設けて重合を行うが、第2段目における光照
射強度や積算光量の変更は、光源1から光源2に切り替
える位置の調整[すなわち第1区間の長さ(第1区間で
の光源1の取り付け個数)および第2区間の長さ(第2
区間での光源2の取り付け個数)の調整]により行って
いる。しかし、前記方法によって実機で連続重合する際
に、銘柄切り替え[例えばアクリロイル基を有する水溶
性単量体とメタクリロイル基を有する水溶性単量体の使
用割合(共重合割合)の変更など]を行う必要がある場
合には、銘柄切り替えのたびごとに、光源1から光源2
に切り替える位置を調整するために、光源の種類を光源
1から光源2に取り替えるか、または光源2から光源1
に取り替える必要があり、そのため重合操作が繁雑であ
り、実用面での改良の余地があることが判明した。
【0006】また、カチオン性(メタ)アクリル系単量
体またはそれを含む単量体混合物を次亜リン酸塩の存在
下に光重合して水溶性の(メタ)アクリル系重合体を製
造する方法が提案されている(特公昭54−39435
号公報、特公昭55−11684号公報、特公平5−5
3804号公報、特公平7−10896号公報)。しか
しながら、これらの方法では、単量体混合物中のメタク
リロイル基を有する水溶性単量体の含有割合が35モル
%未満である場合に、高分子量の水溶性重合体が得られ
ないという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アク
リロイル基を有する水溶性単量体およびメタクリロイル
基を有する水溶性単量体を含有する単量体混合物を用い
て、高分子量で、しかも不溶解分を殆ど含まず水への溶
解性に優れる水溶性重合体を円滑に製造する方法を提供
することである。さらに、本発明の目的は、アクリロイ
ル基を有する水溶性単量体およびメタクリロイル基を有
する水溶性単量体を含む単量体混合物を実機を用いて連
続重合によって水溶性重合体を製造する際に、銘柄切り
替え(特に単量体の共重合割合の変更)のたびごとに光
照射強度(光源の種類)を変える必要がなく、操作性に
優れ、しかも生産性の高い重合方法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
本発明者らが検討を重ねた結果、アクリロイル基を有す
る水溶性単量体およびメタクリロイル基を有する水溶性
単量体を含む単量体混合物の水溶液に光を照射して水溶
性重合体を製造するに当たって、光重合開始剤としてア
ゾ系重合開始剤を用いると共に連鎖移動剤として無機リ
ン化合物を用い、両者の存在下に、0.5〜7W/m2
という特定の低い光照射強度で光を照射して重合を行う
と、不溶解分を殆ど含まず、しかも分子量の高い水溶性
重合体が得られること、そしてそれにより得られた水溶
性重合体は凝集剤などとして好適に利用できることを見
出した。さらに、本発明者らは、この重合方法による場
合は、単量体混合物におけるメタクリロイル基を有する
水溶性単量体の含有割合が35モル%以下と少ない場合
であっても、高分子量で且つ不溶解分を殆ど含まない水
溶性重合体が得られることを見出した。
【0009】また、本発明者らは、この重合方法による
場合は、実機を用いて連続重合を行う際に、銘柄切り替
えのたびごとに光照射強度(光源の種類)を変更しなく
ても、簡単な操作で、高い分子量を有し且つ不溶解分を
殆ど含まない水溶性重合体を円滑に製造できることを見
出した。また、本発明者らは、この重合方法において、
アゾ系重合開始剤として10時間半減期温度が50℃以
上のものを用いることが、高分子量で且つ不溶解分を殆
ど含まない水溶性重合体の製造により好ましいこと、ま
た前記した光照射の後に更に特定条件下で第2段目の光
照射を行うと、未反応の単量体量を極めて少なくできる
ことを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成し
た。
【0010】すなわち、本発明は、 (1) アクリロイル基を有する水溶性単量体およびメ
タクリロイル基を有する水溶性単量体を含有する単量体
混合物の水溶液に光を照射して水溶性重合体を製造する
方法であって、アゾ系重合開始剤および無機リン化合物
の存在下で、光照射強度0.5〜7W/m2の条件下に
前記単量体混合物の水溶液に光を照射して重合させるこ
とを特徴とする水溶性重合体の製造方法である。
【0011】そして、本発明は、 (2) 単量体混合物におけるメタクリロイル基を有す
る水溶性単量体の含有割合が5〜35モル%である前記
(1)の水溶性重合体の製造方法; (3) 単量体混合物が、アクリルアミドと、ジアルキ
ルアミノアルキルメタクリレートの3級塩および/また
は4級塩を、前者:後者=90:10〜65:35のモ
ル比で含有する単量体混合物である前記(1)または
(2)の水溶性重合体の製造方法; (4) アゾ系重合開始剤として、10時間半減期温度
が50℃以上のものを用いる前記(1)〜(3)のいず
れかの水溶性重合体の製造方法;および、 (5) 前記した光照射強度0.5〜7W/m2の条件
下での光照射の後に、それよりも高い光照射強度で且つ
積算光量が70,000J/m2以上になる条件で更に
光照射を行うことを特徴とする前記(1)〜(4)のい
ずれかの水溶性重合体の製造方法;である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。なお、以下において、アクリルアミドおよびメタ
クリルアミドを総称して(メタ)アクリルアミドと、ア
クリレートおよびメタクリレートを総称して(メタ)ア
クリレートと、またアクリル酸およびメタクリル酸を総
称して(メタ)アクリル酸と称することがある。本発明
で使用するアクリロイル基を有する水溶性単量体(以下
「水溶性アクリル系単量体」という)およびメタクリロ
イル基を有する水溶性単量体(以下「水溶性メタクリル
系単量体」という)は、アクリロイル基またはメタクリ
ロイル基を有し、水溶性で且つ光重合開始剤の存在下に
光照射すると重合する単量体であればいずれでもよい。
本発明で用い得る水溶性アクリル系単量体および水溶性
メタクリル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリ
ルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミドなどの
(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メ
タ)アクリレート、これらの塩酸塩や硫酸塩などの3級
塩、これらの塩化メチルなどのハロゲン化アルキル付加
物および塩化ベンジルなどのハロゲン化アリール付加物
などの4級塩;(メタ)アクリル酸およびこれらのナト
リウム塩などのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩;
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの
アクリルアミドアルカンスルホン酸およびそのアルカリ
金属塩またはアンモニウム塩;N−メチル(メタ)アク
リルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエ
チル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルア
ミドのN置換誘導体;N,N−ジアルキルアミノアルキ
ル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩や硫酸塩などの3級
塩、これらの塩化メチルなどのハロゲン化アルキル付加
物および塩化ベンゾイルなどのハロゲン化アリール付加
物などの4級塩;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒ
ドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどを挙げるこ
とができる。本発明では前記した(メタ)アクリル系単
量体の1種または2種以上を用いることができる。
【0013】上記した水溶性の(メタ)アクリル系単量
体のうちでも、本発明では、水溶性アクリル系単量体と
してアクリルアミドが、また水溶性メタクリル系単量体
としてジアルキルアミノアルキルメタクリレートの3級
塩および/または4級塩が、凝集性能に優れる水溶性重
合体が得られる点から好ましい。水溶性メタクリル系単
量体として好ましく用いられるジアルキルアミノアルキ
ルメタクリレートの3級塩および4級塩のうちでも、
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級塩
および3級塩の少なくとも1種が、凝集性能に優れる水
溶性重合体を生成することから特に好ましく用いられ
る。前記4級塩および3級塩は、一般に、塩化メチルな
どと反応させて得られる4級塩、および塩酸塩、硫酸
塩、酢酸塩などの3級塩の形態であることが好ましい。
【0014】単量体混合物における水溶性アクリル系単
量体と水溶性メタクリル系単量体の含有割合は特に制限
されない。本発明によれば、従来光照射により両単量体
の共重合が良好に進行せず、水溶性重合体中の不溶解分
の含有量が多く、しかも高分子量の水溶性重合体が得ら
れないとされてきた、水溶性アクリル系単量体:水溶性
メタクリル系単量体のモル比が、95:5〜65:35
である場合にも好ましく適用できる。
【0015】本発明では、得られる水溶性重合体の水溶
性を損なわない範囲(通常は単量体混合物中の全単量体
の合計モル数に対して10モル%以下の量)で、水溶性
アクリル系単量体および水溶性メタクリル系単量体と共
に、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸の
メチル、エチル、プロピルエステルなどの(メタ)アク
リル酸エステル、スチレンなどの非水溶性ビニル系単量
体、他の水溶性ビニル系単量体(例えばジメチルジアリ
ルアンモニウムクロライド等のようなジアルキルジアリ
ルアンモニウム塩など)の1種または2種以上を併用し
てもよい。
【0016】水溶性アクリル系単量体および水溶性メタ
クリル系単量体を含有する単量体混合物の水溶液におけ
る単量体の濃度は、光重合の円滑な進行、得られる水溶
性重合体の取り扱い性などの点から、20〜90質量%
であることが好ましく、25〜80質量%であることが
より好ましい。
【0017】本発明では、アゾ系重合開始剤として、光
照射強度0.5〜7W/m2の条件下に前記単量体混合
物を光重合し得るアゾ系重合開始剤であればいずれも使
用できる。アゾ系重合開始剤の具体例としては、 ・4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)(10時間
半減期温度69℃、以下括弧内の温度は同様の意味を示
す); ・2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)
−2−メチルプロピオンアミジン](57℃); ・ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート(66
℃); ・2,2’−アゾビルイソブチロニトリル(65℃); ・2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)(51℃); ・2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトチル)
(67℃); ・1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニ
トリル)(88℃); ・2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−
ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}(80℃); ・2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロ
キシエチル)プロピオンアミド](86℃); ・2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩
(56℃); ・2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダ
ゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩(41℃); ・2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イ
ル)プロパン]塩酸塩(44℃); ・2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イ
ル)プロパン]硫酸塩(47℃); ・2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラ
ヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]塩酸塩(58
℃); ・2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエ
チル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}塩酸
塩(60℃); ・2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−
イル)プロパン](61℃); ・2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドキシ
ム)ジヒドロクロライド(57℃); ・1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニ
ル)エタン(61℃);などを挙げることができる。
【0018】前記したアゾ系重合開始剤のうちでも、水
に対する溶解性が高い点、不溶解分を含有しないか又は
含有量の少ない水溶性重合体を生成する点、高分子量の
水溶性重合体を生成する点、水溶性重合体中の未反応単
量体が少ない点などから、アゾ系重合開始剤としては、
10時間半減期温度が50℃以上のアゾ化合物が好まし
く用いられ、10時間半減期温度が50〜90℃のアゾ
化合物がより好ましく用いられ、10時間半減期温度が
50〜70℃のアゾ化合物が更に好ましく用いられる。
本発明ではアゾ系重合開始剤として、前記したアゾ化合
物を単独で使用してもまたは2種以上を併用してもよ
い。そのうちでも、本発明ではアゾ系重合開始剤とし
て、2,2’−アゾビス[2−メチル−ン−(2−ヒド
ロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾ
ビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾ
ビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロ
ピオンアミジン]および4,4’−アゾビス(4−シア
ノ吉草酸)の1種または2種以上が、未反応単量体の含
有量のより低減された水溶性重合体が得られ、しかも水
溶性重合体の分子量が高く且つ水溶性重合体の水への溶
解性が良好であることから好ましく用いられる。
【0019】アゾ系重合開始剤の使用量は、単量体混合
物の水溶液の質量に基づいて、100〜10000pp
mであることが好ましく、200〜5000ppmであ
ることがより好ましく、500〜3000ppmである
ことがさらに好ましい。
【0020】本発明の目的を損なわない限りは、アゾ系
重合開始剤と共に、必要に応じて他の光重合開始剤、例
えばベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾインアル
キルエーテル系、アセトフェノン系、アシルホスフィン
オキサイド系などや、光増感剤、例えばトリエタノール
アミン、メチルジエタノールアミン等のアミン系光増感
剤などの1種または2種を併用してもよい。アゾ系重合
開始剤と共に1−ベンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘ
キサンなどの環状アルカノールを有するケトンを併用す
ると、未反応単量体の含有量が低減され、しかも高重合
度で、水溶性の高い水溶性重合体を一層円滑に得ること
ができる。その場合の環状アルカノールを有するケトン
の使用量は、アゾ系重合開始剤の質量に対して、0.5
〜30質量%であることが好ましい。
【0021】さらに、本発明では、アゾ系重合開始剤と
共に無機リン化合物を使用する。無機リン化合物は、連
鎖移動剤として機能する。アゾ系重合開始剤と共に無機
リン化合物を用いることによって、不溶解分と分子量の
バランスのとれるようになり、不溶解分を殆ど含まな
い、高分子量の水溶性重合体が得られるようになる。無
機リン化合物としては、連鎖移動作用を有するものであ
ればいずれも使用でき、具体例としては、次亜リン酸;
亜リン酸;次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウ
ム、次亜リン酸アンモニウムなどの次亜リン酸塩;並び
に亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸ア
ンモニウムなどの亜リン酸塩などを挙げることができ、
これらの1種または2種以上を用いることができる。そ
のうちでも、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウ
ム、次亜リン酸アンモニウムなどの次亜リン酸塩が、得
られる水溶性重合体における不溶解分が少ないものなる
点から好ましく用いられる。
【0022】無機リン化合物の使用量は、単量体混合物
の水溶液の質量に基づいて、5〜500ppmであるこ
とが好ましく、10〜100ppmであることがより好
ましく、20〜80ppmであることがさらに好まし
い。
【0023】また、本発明では、本発明の目的を損なわ
ない範囲で、水溶性の有機溶媒、界面活性剤などの他の
成分を、必要に応じて使用してもよい。
【0024】本発明では、水溶性アクリル系単量体およ
び水溶性メタクリル系単量体を含有する単量体混合物の
水溶液中にアゾ系重合開始剤および無機リン化合物を存
在させた状態で、0.5〜7W/m2の光照射強度で該
水溶液に光を照射して単量体混合物を重合させる。光照
射強度が0.5W/m2未満であると、単量体混合物の
重合が十分に行われなくなったり、単量体混合物の水溶
液の上部と下部で重合度がバラつき均一な物性の水溶性
重合体が得られなくなり、また得られる水溶性重合体に
おける未反応単量体の含有量が多くなる。一方、光照射
強度が7W/m 2を超えると、高分子量の水溶性重合体
が得られなくなる。光照射強度は0.75〜7W/m2
であることが好ましく、1〜6W/m2であることがよ
り好ましい。
【0025】照射する光としては、紫外線および/また
は可視光線が用いられ、そのうちでも紫外線が好ましく
用いられる。光源としては、単量体混合物を光重合させ
得る紫外線および/または可視光線を放出し得るもので
あればいずれでもよく、例えば、蛍光ケミカルランプ、
蛍光青色ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ラン
プなどを使用することができる。
【0026】この光照射時の単量体混合物の水溶液の深
さは、水溶液の底部まで光が到達して水溶液全体で重合
が円滑に行われるようにするために、一般に100mm
以下であることが好ましく、20〜65mmであること
がより好ましい。本発明の方法による場合は、ビニル系
単量体の水溶液の液深が50mm以上であっても、水溶
液中全体でビニル系単量体の重合が円滑に行われて、目
的とする水溶性重合体を効率良く製造することができ
る。また、光照射による重合反応は、バッチ式で行って
もまたは連続式で行ってもよく、生産性に優れる点で連
続式が好ましい。本発明の方法は連続式による光重合に
適している。
【0027】光照射の開始時点では、単量体混合物の水
溶液の温度を0〜20℃、特に5〜15℃の範囲にして
おくことが、単量体混合物の水溶液の濃度を高くするこ
とができるうえ、単量体混合物の水溶液の突沸を防止で
きる点から好ましい。光照射によって単量体混合物が重
合し、その重合熱によって水溶液の温度は徐々に上昇す
る。光照射時間は、単量体混合物の水溶液中における単
量体の重合率が90%以上に達する時間が好ましく、9
5%以上に達する時間がより好ましく、99%以上の達
する時間が特に好ましい。単量体混合物に含まれる水溶
性アクリル系単量体および水溶性メタクリル系単量体の
種類、両単量体の割合などに応じて異なり得るが、一般
的には、光照射の開始から10〜200分経過した時点
(連続重合においては単量体水溶液が光源を通過する全
時間が10〜200分経過した時点)で、90%以上の
重合率に達する。通常、単量体混合物の水溶液の中心部
の温度がピーク温度に達すると、単量体混合物の重合率
は90%以上となっているので、該中心部の温度がピー
ク温度に達した時点までまたはそれよりも長い時間にわ
たって0.5〜7W/m2の光照射強度で光照射を行う
のがよい。
【0028】光照射強度0.5〜7W/m2の条件下で
の前記した光照射によって、高分子量で且つ不溶解分を
殆ど含まない水溶性重合体が生成する。生成した水溶性
重合体は、一般に含水ゲル状態となっているので、その
ままでそれぞれの用途に用いてもよいし、または適当な
大きさ(好ましくは1〜5mm程度)に細断した後に乾
燥して用いても良いし、或いは乾燥したものを更に粉砕
して粉末状にして用いてもよい。乾燥は一般に60〜1
30℃で行うことが好ましい。これにより得られる水溶
性重合体は、凝集剤やその他の用途に有効に用いること
ができる。
【0029】また、本発明では、光照射強度0.5〜7
W/m2の条件下で光照射することによって生成した前
記含水ゲル状の水溶性重合体を重合系から回収せずに、
必要に応じて、続けて前記よりも高い光照射強度で且つ
積算光量が70,000J/m2以上になるような条件
下に2段目以降の光照射をさらに行ってもよい。この2
段目以降の光照射を行う場合は、光照射強度0.5〜7
W/m2の条件下で光照射することによって生成した水
溶性重合体に含まれている未反応単量体が更に重合する
ため、未反応単量体の含有量の極めて少ない水溶性重合
体を得ることができる。また、2段目以降の光照射は、
未反応単量体量の低減の外に、水溶性重合体の分子量を
一層高くし、且つ残存する光重合開始剤の分解にも機能
する。
【0030】2段目以降の光照射を行う場合は、その積
算光量は90,000J/m2以上であることが好まし
く、100,000〜2,000,000J/m2であ
ることがより好ましい。2段目以降の積算光量が2,0
00,000J/m2を超えると、得られる重合体の水
への溶解性が低下する場合がある。また、2段目以降の
光照射時の照射強度は、一般には、最初の光照射強度の
1.5倍〜3,000倍とすることが好ましく、3〜
1,000倍とすることがより好ましい。但し、光照射
強度があまりに高すぎると、生成した水溶性重合体の架
橋などを生じ易くなるので、2段目以降の照射強度は、
10,000W/m2以下であることが好ましい。積算
光量(J/m2)は、照射強度(W/m2)と時間(se
c)の積として求められることから、2段目以降の光照
射時間(sec)は、2段目以降の積算光量(J/
2)を2段目以降の照射強度(W/m2)で除すことに
よって求めることができる。
【0031】2段目以降の光照射は、光重合開始剤とし
て使用したアゾ系重合開始剤の10時間半減期温度より
も高い温度で行うことが好ましく、それによって未反応
単量体量の一層低減された水溶性重合体が得られる。2
段目以降の光照射時の温度の制御は、外部からの加熱に
よって行っても良いし、または外部から加熱せずに重合
熱による温度上昇を見込んで重合に供する単量体混合物
の水溶液の初期温度を調整することによって行っても良
い。一般的には、2段目以降の光照射は60〜100℃
の温度で行うことが好ましい。
【0032】2段目以降の光照射は、最初の光照射とは
別の反応器を用いて行ってもよいが、最初の光照射を終
了した後に、同じ反応器を用いて2段目以降の光照射を
継続して行うことが、2段目以降の光照射時の温度制
御、装置の簡便化、経済性などの点から好ましい。
【0033】2段目以降の光照射を終了して得られる水
溶性重合体は、最初の光照射により得られる水溶性重合
体と同様に、一般に含水ゲル状を呈している。得られた
含水ゲルはそのままでそれぞれの用途に用いてもよい
し、または適当な大きさ(好ましくは1〜5mm程度)
に細断した後に乾燥して用いても良いし、或いはそれを
更に粉砕して粉末状にして用いてもよい。含水ゲルの乾
燥は一般に60〜130℃で行うことが好ましい。これ
により得られる水溶性重合体は、高分子量で且つ水への
溶解性が良好で、しかも未反応単量体の含有量が著しく
低減されている。
【0034】本発明の製造方法を工業的に実施する場合
は、連続重合方法を採用することが好ましい。本発明の
方法による場合は、実機を用いて工業的に連続重合を行
う際に、銘柄切り替えのたびごとに光照射強度(光源の
種類)を変更しなくてすむので、高い分子量を有し且つ
不溶解分を殆ど含まない水溶性重合体を、簡単な操作で
生産性良く製造することができる。連続重合方法として
は、種々の方法が採用でき、そのうちでも、気密室内に
設置された液溜め部を有する連続ベルトと、気密室上部
に固定された光源からなる装置を使用する方法が好まし
く採用される。具体的には、連続ベルトの一方より、単
量体混合物の水溶液を目的の深さを維持するように連続
的に供給する。この場合、気密室内には、酸素による単
量体の重合阻害を防止するため、窒素などの不活性ガス
を連続的に供給することが好ましい。当該ベルトは単量
体混合物の水溶液と共に連続的に移動し、固定された光
源の下に単量体混合物の水溶液が供給される。単量体混
合物の水溶液は、当該光源から照射される光により重合
される。最初の光照射と2段目以降の光照射を行う場合
は、光源として、最初の光照射強度を満足する区間と、
2段目以降の光照射強度および積算光量を満足する区間
を設けて実施するのがよい。それにより得られる重合体
シートは、常法に従い切断、粉砕、乾燥されて粉末製品
となる。
【0035】本発明の方法により得られる水溶性重合体
は、各種の廃水を凝集処理するための高分子凝集剤、増
粘剤、製紙用サイズ剤、紙力増強剤、濾過促進剤、繊維
改質剤、染色助剤、その他の種々の用途に有効に用いる
ことができ、高分子凝集剤として特に適している。
【0036】
【実施例】以下に実施例などにより本発明について具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定され
ない。以下の例において、各例で得られた水溶性重合体
の0.5%塩粘度(mPa・s)、不溶解分(ml)お
よび未反応単量体の含有量は、以下の方法で求めた。
【0037】[水溶性重合体の0.5%塩粘度]]以下
の実施例または比較例で得られた水溶性重合体を、4質
量%塩化ナトリウム水溶液に溶解して0.5質量%濃度
の重合体水溶液を調製し、B型粘度計にて25℃で60
rpmの条件で撹拌し、撹拌を開始して5分後の粘度を
測定した。
【0038】[水溶性重合体の不溶解分]以下の実施例
または比較例で得られた水溶性重合体をイオン交換水に
溶解して0.1質量%濃度の重合体水溶液400mlを
調製し、この水溶液の全量を直径20cm、83メッシ
ュの篩で濾過した後、篩の上に残った不溶解物を集め
て、その容量(ml)を測定した。
【0039】[水溶性重合体の未反応単量体の含有量]
以下の実施例または比較例で得られた水溶性重合体2.
0gを80/20(容量比)のアセトン/水混合溶媒2
0ml中に入れて、25℃で16時間放置して抽出を行
った。抽出後の上澄み液を採取して、ガスクロマトグラ
フィーにて未反応単量体量を測定して、水溶性重合体に
対する未反応単量体の含有量(質量%)を求めた。
【0040】《実施例1》 (1) ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルク
ロライドによる4級化塩(以下「DMC」という)15
モル%およびアクリルアミド85モル%を含む単量体混
合物に、全質量が1100gで単量体濃度が37質量%
となるように蒸留水を加えた。これを内径146mmの
テフロン(登録商標)ライニング容器(反応器)に仕込
み、塩酸にてpHを4.0に調整した後、水溶液の温度
を5℃に保ちながら15分間窒素バブリングを行って、
単量体混合物の水溶液を調製した。このときの液深は7
0mmであった。 (2) 上記(1)の単量体混合物の水溶液に、単量体
純分に対する質量基準で、光重合開始剤として2,2’
−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチ
ル)−プロピオンアミド](和光純薬製「VA−08
6」、10時間半減期温度=86℃)700ppmおよ
び次亜リン酸ナトリウム60ppmを添加して、さらに
15分間窒素バブリングを行った。 (3) 次いで、反応器の上方から、10Wケミカルラ
ンプ(株式会社東芝製「FL10BL」)を用いて、
1.6W/m2の光照射強度で紫外線を120分間照射
して含水ゲル状重合体を得た。 (4) 上記(3)で得られた含水重合体を粒径3mm
程度の大きさに細断し、熱風乾燥機にて80℃で5時間
乾燥した後、粉砕機で粉砕して粉末状の重合体を得た。 (5) 上記(4)で得られた粉末状の重合体の0.5
%塩粘度および不溶解分を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0041】《実施例2》 (1) DMC15モル%およびアクリルアミド85モ
ル%を含む単量体混合物に、全質量が1100gで単量
体濃度が33質量%となるように蒸留水を加えた。これ
を実施例1で使用したのと同じ反応器に仕込み、塩酸で
pHを4.0に調整した後、水溶液の温度を5℃に保ち
ながら15分間窒素バブリングを行って、単量体混合物
の水溶液を調製した。このときの液深は70mmであっ
た。 (2) 上記(1)の単量体混合物の水溶液に、単量体
純分に対する質量基準で、光重合開始剤として2,2’
−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純
薬製「V−50」、10時間半減期温度=56℃)70
0ppmおよび次亜リン酸アンモニウム35ppmを添
加して、さらに15分間窒素バブリングを行った。 (3) 次いで、反応器の上方から、実施例1と同様に
して、1.6W/m2の光照射強度で紫外線を120分
間照射して含水ゲル状重合体を得た。 (4) 上記(3)で得られた含水重合体を実施例1に
おけるのと同様にして細断、乾燥および粉砕して、粉末
状の重合体を得た。 (5) 上記(4)で得られた粉末状の重合体の0.5
%塩粘度および不溶解分を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0042】《実施例3》 (1) 実施例1の(2)において、次亜リン酸ナトリ
ウムを35ppmに変更し、(3)において光照射強度
を4.2W/m2とした以外は、実施例1の(1)〜
(4)と同様の操作を行って、粉末状の重合体を製造し
た。 (2) 上記(1)で得られた粉末状の重合体の0.5
%塩粘度および不溶解分を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0043】《比較例1》 (1) 実施例1の(2)において、2,2’−アゾビ
ス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロ
ピオンアミド](和光純薬製「VA−086」)を70
0ppm添加し、次亜リン酸ナトリウムを添加しなかっ
た以外は、実施例1の(1)〜(4)と同じ操作を行っ
て、粉末状の重合体を製造した。 (2) 上記(1)で得られた粉末状の重合体の0.5
%塩粘度および不溶解分を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0044】《比較例2》 (1) 実施例2の(2)において、2,2’−アゾビ
ス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬製「V
−50」)を700ppm添加し、次亜リン酸アンモニ
ウムを添加しなかった以外は、実施例2の(1)〜
(4)と同じ操作を行って、粉末状の重合体を製造し
た。 (2) 上記(1)で得られた粉末状の重合体の0.5
%塩粘度および不溶解分を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0045】《比較例3》 (1) 実施例1の(2)において、2,2’−アゾビ
ス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロ
ピオンアミド](和光純薬製「VA−086」)の代わ
りに、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−
2−イル)プロパン]塩酸塩(和光純薬製造「VA−0
44」、10時間半減期温度=44℃)700ppmを
添加し、一方次亜リン酸ナトリウムを添加しなかった以
外は、実施例1の(1)〜(4)と同じ操作を行って、
粉末状の重合体を製造した。 (2) 上記(1)で得られた粉末状の重合体の0.5
%塩粘度および不溶解分を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0046】《比較例4》 (1) DMC15モル%およびアクリルアミド85モ
ル%を含む単量体混合物に、全質量が1100gで単量
体濃度が30質量%となるように蒸留水を加えた。これ
を実施例1で使用したのと同じ反応器に仕込み、塩酸で
pHを4.0に調整した後、水溶液の温度を5℃に保ち
ながら15分間窒素バブリングを行って、単量体混合物
の水溶液を調製した。このときの液深は70mmであっ
た。 (2) 上記(1)の単量体混合物の水溶液に、単量体
純分に対する質量基準で、光重合開始剤として1−ヒド
ロキシシクロヘキシル−フェニルケトン(チバスペシャ
リティ社製「イルガキュアー184」)50ppmを添
加して、さらに15分間窒素バブリングを行った。 (3) 次いで、反応器の上方から、実施例1と同様に
して、5W/m2の光照射強度で紫外線を120分間照
射して含水状重合体を製造した後、該含水重合体を実施
例1におけるのと同様にして細断、乾燥および粉砕し
て、粉末状の重合体を得た。 (4) 上記(3)で得られた粉末状の重合体の0.5
%塩粘度および不溶解分を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0047】《比較例5》 (1) 実施例1の(2)において、次亜リン酸ナトリ
ウムに代わりに、トリメタノールアミン(連鎖移動剤)
35ppmを添加した以外は、実施例1の(1)〜
(4)と同じ操作を行って、粉末状の重合体を製造し
た。 (2) 上記(1)で得られた粉末状の重合体の0.5
%塩粘度および不溶解分を上記した方法で測定したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0048】
【表1】
【0049】上記の表1の結果にみるように、実施例1
〜3では、水溶性アクリル系単量体(アクリルアミド)
および水溶性メタクリル系単量体(DMC)を含有する
単量体混合物の水溶液に、アゾ系重合開始剤および無機
リン化合物の存在下で、光照射強度0.5〜7W/m2
の範囲内の光を照射して重合を行ったことにより、0.
5%塩粘度が高くて高分子量であり、しかも不溶解分を
含まない水溶性重合体が得られている。それに対して、
比較例1〜3では、無機リン化合物を用いずに、アゾ系
重合開始剤のみを用いて光重合を行ったことにより、生
成した水溶性重合体は不溶解分を多く含んでいた。しか
も、比較例1で得られた水溶性重合体は、0.5%塩粘
度が低く、実施例1および実施例2で得られた水溶性重
合体に比べて分子量が低い。
【0050】また、比較例4では、アゾ系重合開始剤を
用いずに、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケ
トンを光重合開始剤として用いて無機リン化合物の不存
在下に光重合を行ったために、水溶性重合体は不溶解分
を多く含んでいた。さらに、比較例5では、実施例1と
同じアゾ系重合開始剤を用いているものの、連鎖移動剤
として無機リン化合物の代わりにトリエタノールアミン
を用いたことにより、生成した水溶性重合体は多量の不
溶解分を含有しており、しかも0.5%塩粘度が低く分
子量が小さい。
【0051】《実施例4》 (1) 実施例1の(1)〜(3)と同じ操作を行って
含水ゲル状重合体を製造した後、該含水ゲル状重合体を
反応器に入れたまま、続いて400Wブラックライト
(株式会社東芝製「H400BL−L」)を用いて、1
20W/m2の光照射強度で紫外線を30分間照射して
(積算光量=216,000J/m2)、含水ゲル状重
合体を得た。 (2) 上記(1)で得られた含水ゲル状重合体を、実
施例1の(4)と同様にして細断、乾燥および粉砕して
粉末状の水溶性重合体を得た。これにより得られた粉末
状水溶性重合体中の未反応単量体の含有量を上記した方
法で測定したところ0.16質量%であり、極めて微量
であった。
【0052】《実施例5》 (1) 実施例2の(1)〜(3)と同じ操作を行って
含水重合体を製造した後、該含水重合体を反応器に入れ
たまま、続いて120W/m2の光照射強度で紫外線を
30分間照射して(積算光量=216,000J/
2)、含水ゲル状重合体を得た。 (2) 上記(1)で得られた含水ゲル状重合体を、実
施例1の(4)と同様にして細断、乾燥および粉砕して
粉末状の水溶性重合体を得た。これにより得られた粉末
状の水溶性重合体中の未反応単量体の含有量を上記した
方法で測定したところ0.16質量%であり、極めて微
量であった。
【0053】
【発明の効果】本発明による場合は、不溶解分を殆ど含
まず水溶性に優れ、しかも高い分子量を有する水溶性重
合体を簡単な操作で生産性良く製造することができる。
本発明の重合方法による場合は、実機を用いて連続重合
を行う際に、銘柄切り替えのたびごとに光照射強度(光
源の種類)を変更しなくても、簡単な操作で、高い分子
量を有し且つ不溶解分を殆ど含まない水溶性重合体を簡
単に効率良く製造することができる。さらに、本発明に
おいて2段目以降の光照射を更に行った場合には、水溶
性重合体中の未反応単量体量を極めて少ない量に低減す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 嘉男 愛知県名古屋市港区船見町1番地の1 東 亞合成株式会社高分子材料研究所内 Fターム(参考) 4J011 SA79 SA84 UA06 VA06 WA10 4J100 AK03Q AK07Q AK08Q AL08Q AM15P AM17P AM19P AM21Q BA03Q BA31Q BA56Q CA04 DA38 EA03 FA03 FA17 JA11 JA13 JA18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリロイル基を有する水溶性単量体お
    よびメタクリロイル基を有する水溶性単量体を含有する
    単量体混合物の水溶液に光を照射して水溶性重合体を製
    造する方法であって、アゾ系重合開始剤および無機リン
    化合物の存在下で、光照射強度0.5〜7W/m2の条
    件下に前記単量体混合物の水溶液に光を照射して重合さ
    せることを特徴とする水溶性重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 単量体混合物におけるメタクリロイル基
    を有する水溶性単量体の含有割合が5〜35モル%であ
    る請求項1に記載の水溶性重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 単量体混合物が、アクリルアミドと、ジ
    アルキルアミノアルキルメタクリレートの3級塩および
    /または4級塩を、前者:後者=90:10〜65:3
    5のモル比で含有する単量体混合物である請求項1また
    は2に記載の水溶性重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 アゾ系重合開始剤として、10時間半減
    期温度が50℃以上のものを用いる請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の水溶性重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記した光照射強度0.5〜7W/m2
    の条件下での光照射の後に、それよりも高い光照射強度
    で且つ積算光量が70,000J/m2以上になる条件
    で更に光照射を行うことを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載の水溶性重合体の製造方法。
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