JP4108491B2 - アクリルアミド系水溶性重合体の製造方法 - Google Patents

アクリルアミド系水溶性重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、凝集剤、製紙工程用薬剤(例えば抄紙用粘剤、歩留向上剤等)、石油三次回収用薬剤等として使用されるアクリルアミド系水溶性重合体の製造方法に関し、残留アクリルアミドモノマー含有量の低いアクリルアミド系水溶性重合体を製造する方法に関する。特に、近年浄水処理分野で必要性が高まっている残留アクリルアミドモノマー含有量が非常に低いアクリルアミド系水溶性重合体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアクリルアミド、アクリルアミドとアクリル酸中和物やジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級塩などとの共重合体に代表されるノニオン、アニオン、カチオンあるいは両性のポリアクリルアミドは、凝集剤、製紙工程用薬剤、石油三次回収用薬剤などとして各種産業で広く使用されている。これらの用途においては、一般的に分子量が高いほど性能がよい場合が多く、1000万を超える非常に高い分子量を持つポリマーを要求されるケースは珍しくない。このような高分子量ポリマーの製造方法としては、一般的には、モノマー水溶液を適当な開始剤存在下においてラジカル重合を行ってゲル状重合体を得、これを乾燥、粉砕して製品化する方法が挙げられる。ラジカル重合法としては、レドックス開始剤やアゾ系開始剤を使用した重合法、光開始剤を使用した光照射による光重合法などが行われている。
【0003】
一方、アクリルアミドはその毒性が問題視される場合が多く、これらの重合体製造においては、残留アクリルアミドモノマー含有量低減が課題とされてきた。特に、わが国の浄水処理においては、アクリルアミド系重合体の使用は、アクリルアミドモノマーの毒性の観点から使用が許可されていなかったが、最近に至り、浄水用原水の水質悪化に対処するため、厚生省の規制が緩和され、処理水中の残留アクリルアミドモノマーを 0.00005 mg/L以下とすることを条件に、その使用が認められるようになった。凝集剤の使用量は処理水に対し通常 0.5 mg/L以下でよく、最大でも1 mg/L以下であるので、処理水中の残留アクリルアミドモノマーの規制値を満足するためには、最大使用時を考慮して、アクリルアミド系重合体中の残留アクリルアミドモノマー含有量を 50 ppm以下にしておくことが重要である。
【0004】
アクリルアミド系重合体中の残留アクリルアミドモノマー含有量を低減させる方法として、特許文献1にはレドックス開始剤とともに2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(10時間半減期温度65℃)および/または4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)(10時間半減期温度69℃)を使って重合し、重合後、一定の熱履歴を与える方法が開示されている。しかし、この方法では、乾燥時間を含めた熱処理時間が20〜40時間以上となり、生産性が極端に悪いとともに、残留アクリルアミドモノマー含有量は100〜900ppmと不十分なレベルに留まっている。
【0005】
また、特許文献2にはレドックス開始剤とともにアゾ化合物を加えておき、アゾ化合物が実質的に分解しない温度(50℃以下)で重合率が80〜90%以上となるまで重合せしめ、その後アゾ化合物が分解する温度(50〜70℃以上)に加熱する方法が開示されている。この方法では、反応熱による温度上昇を抑えてアゾ化合物の分解を抑えるために、冷却面積をできる限り大きくした重合反応装置を利用することが必須である等の設備的問題があり、コスト的にも不利となるだけでなく、残存アクリルアミドモノマー含有量も50ppm以上に留まっている。
【0006】
特許文献3、特許文献4および特許文献5には、光重合法で2段階の重合を行い、1段目と2段目で光開始剤の種類(特許文献3)や照射光の波長(特許文献4)、照射光の強度(特許文献5)を変えて、1段目でモノマーの大半を重合させ、2段目で残りのモノマーの重合をさらに進めるという方法が開示されている。しかし、光重合法であるため、光を照射する方向のモノマー水溶液の厚みに限界があり、生産性に問題があるだけでなく、残留アクリルアミドモノマー含有量は、300〜500 ppmであり十分低くなっているとは認められない。
【0007】
特許文献6には、重合終了後の重合体ゲルにアルカリ剤および亜硫酸系の塩を添加した後、乾燥するという方法が開示されている。この方法では、残留アクリルアミドモノマー含有量を低いレベルまで低減できるものの、亜硫酸塩から亜硫酸ガスが発生して装置を腐食したり、アルカリ添加による加水分解のために、ノニオン性やカチオン性の重合体の製造には適さないという問題点がある。
【0008】
また、特許文献7には、水溶性ポリマーの含水ゲルを有機溶剤中で粉砕、洗浄することにより残留アクリルアミドモノマー含有量の低減を図る方法が開示されている。この方法においては、十分な残留アクリルアミドモノマー含有量の低減効果が発揮されるものの、有機溶剤の回収プロセスを必要とすることや危険物である有機溶剤に対する安全確保等により設備投資負担が増大する問題点がある。
【0009】
【特許文献1】
特開昭53−141388号公報
【特許文献2】
特開昭57−121008号公報
【特許文献3】
特開平10−279615号公報
【特許文献4】
特開平10−298215号公報
【特許文献5】
特開平11−35612号公報
【特許文献6】
特開平13−323017号公報
【特許文献7】
特開昭53−51289号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アクリルアミド系水溶性重合体の製造方法において、得られる重合体の分子量や水溶性を損なうことなく、ノニオン、アニオン、カチオン、両性のアクリルアミド系水溶性重合体に適用可能で、安全で、生産性よく、経済的に、重合体中の残留アクリルアミドモノマー含有量を低減させる方法の提供を課題とする。特に、浄水処理の分野において望まれている、重合体中の残留アクリルアミドモノマー含有量を50 ppm以下という非常に低いレベルまで低減させる方法の提供を課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため検討を重ねた結果、水溶液重合において特定のアゾ化合物を組み合わせて使用し、さらに得られたゲル状重合体に特定の熱処理を施すことにより、残留アクリルアミドモノマー含有量を大幅に低減させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0012】
1.アクリルアミドの単独重合により、あるいはアクリルアミドと共重合可能な少なくとも一種の他のモノマーとの共重合により、水溶液重合法でアクリルアミド系水溶性重合体を製造する方法において、モノマー水溶液に10時間半減期温度が30℃以上70℃未満の範囲にあるアゾ化合物少なくとも一種と、10時間半減期温度が70℃以上100℃以下の範囲にあるアゾ化合物少なくとも一種とを共存させて重合し、得られたゲル状重合体を下記に規定する熱履歴Hが5,000〜30,000となるように熱処理した後、乾燥、粉砕して粉末状重合体とすることを特徴とするアクリルアミド系水溶性重合体の製造方法、
熱履歴 H={熱処理温度(T)×熱処理時間(t)}の累計(℃×分)
熱処理温度(T): 70〜100(℃)
熱処理時間(t): 70〜100℃での処理時間(分)
2.水溶液重合法が断熱的重合法である前記1記載のアクリルアミド系水溶性重合体の製造方法、
3.レドックス開始剤により重合を開始させる前記1又は2記載のアクリルアミド系水溶性重合体の製造方法。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において適用するモノマーは、アクリルアミドを必須とし、メタクリルアミド、アクリル酸およびその中和塩、メタクリル酸およびその中和塩、アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸およびその中和塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートあるいはジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの三級塩あるいはハロゲン化アルキル、ジメチル硫酸、ベンジルハライド等による四級塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のモノマーを目的に応じて適宜適用できる。また、モノマーおよび得られる重合体の水溶性を損ねない程度であれば、他のモノマー、例えば、スチレン、アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸エステル等のモノマーを適宜適用してもよい。
【0014】
本発明においては、上記モノマーを水溶液中で重合させる。重合反応中に加熱したり、あるいは重合反応に伴い発生する反応熱を除去したりして水溶液重合を行っても、本発明の効果は十分に得られるが、本発明は、意図的に加熱や除熱を行わない、いわゆる断熱的重合法で行うのが好ましい。断熱的重合法においては、重合開始とともに反応熱により反応温度(水溶液の温度)は上昇し、重合がほぼ完結するとともに温度上昇は停止し最高温度に達する。本発明では、残留アクリルアミドモノマー含有量の低減を目的に、重合後に熱処理を行うが、断熱的重合法によれば、この温度上昇を熱処理に効率的に利用することができる。本発明においては、重合反応の最高温度が50〜90℃となるようにするのが好ましく、70〜90℃となるようにするのがより好ましい。この最高温度は、水溶液中のモノマー濃度と重合開始温度に直接関係する。重合するモノマーの種類にもよるが、モノマー濃度を15〜50 %の間で調合し、重合開始温度を -5〜30℃の範囲で調整するとよい。より具体的には、重合反応により発生するモノマー反応熱量をモノマー水溶液1kgあたり200〜400 KJ程度とし、重合開始温度を-5〜30℃の範囲に調整するとよい。
【0015】
本発明では、モノマー水溶液に10時間半減期温度(以下半減期温度と略する)が異なる範囲にある複数のアゾ化合物を共存させて重合させる。即ち、半減期温度が30℃以上70℃未満の範囲にあるアゾ化合物少なくとも一種と、半減期温度が70℃以上100℃以下の範囲にあるアゾ化合物少なくとも一種とを共存させる。半減期温度が30℃以上70℃未満の範囲にあるアゾ化合物としては、例えば2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)等があげられる。添加量としては、これらのアゾ化合物の中から少なくとも一種を、調合モノマーに対し合計で100 ppm以上の範囲で使用するのが好ましい。半減期温度が30℃以上70℃未満にあるこのアゾ化合物の果たす重要な役割は、高分子量ポリマーの生成を効率的に行うことにある。過剰に添加するとコスト高になるだけでなく、重合反応が加速されすぎて分子量が低下するなどの悪影響があり、また添加量が極端に少ない場合においては、反応が遅くなりすぎて生産性が悪いという問題が生じる。したがって、さらに好ましくは200〜2000 ppmの範囲で添加することが好ましい。
【0016】
半減期温度が70℃以上100℃以下の範囲にあるアゾ化合物としては、例えば1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシルエチル]-プロピオンアミド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]等があげられる。添加量としては、これらのアゾ化合物の中から少なくとも一種を、調合モノマーに対し合計で100 ppm以上の範囲で使用するのが好ましい。半減期温度が70℃以上100℃以下にあるこのアゾ化合物を使用する目的は、重合反応終期およびその後の熱処理を行う際に、多くのラジカルを発生させて残留アクリルアミドモノマー含有量を効率的に低減させることにある。添加量が極端に少ない場合には残留アクリルアミドモノマー含有量を十分に低減させることができない。一方、過剰に添加するとコスト高になるという弊害がある。したがって、さらに好ましくは200〜10000ppmの範囲で添加することが好ましい。水溶液重合法において、残留モノマー含有量の低減を目的に反応終期にアゾ化合物等のラジカル発生源となる化合物を追加添加する場合は、残留モノマー含有量の低減に関して効果が少ないばかりでなく、分子量の低下が顕著に現れる場合が多い。これは、アゾ化合物等がゲル表面に留まり、内部へ浸透しにくいことが関係していると考えられる。この点で、本発明においては、モノマー水溶液に反応初期から終期にかけての反応時に分解しにくい高温分解性のアゾ化合物を添加する工夫を施したことにより、また後述する熱処理を適正に行うことにより、問題の解決、即ち高分子量で水溶性良好な、残留アクリルアミドモノマー含有量が極めて低いアクリルアミド系水溶性重合体を得ることを可能としたのである。
【0017】
半減期温度が30℃以上70℃未満あるいは70℃以上100℃以下のいずれのアゾ化合物においても、アゾ化合物が非水溶性である場合には、モノマー調合液に直接添加した場合、本発明の効果が十分に得られないケースがあるが、連鎖移動性が比較的小さく且つ水に混合しやすいメタノール等の極性有機溶剤に溶解して添加すれば、目的の効果が得られる。添加にあたり水溶性アゾ化合物については、直接モノマー調合液に配合しても、水溶液にして添加してもよく、この点で水溶性のアゾ化合物が取り扱いに優れる点で好ましい。
モノマー調合液には、前述のモノマー、アゾ化合物の他、必要に応じて連鎖移動剤、pH調整剤を加えてもよい。
【0018】
窒素ガス等を用いてモノマー水溶液の脱酸素処理をした後、重合を開始させるが、重合開始方法として、レドックス開始剤を使用する方法、光開始剤存在下において光照射する方法が知られており、本発明ではそのいずれを採用してもよい。レドックス開始剤による方法は、通常用いられている酸化剤と還元剤の組み合わせでよく、例えば、酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリ、過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等を、還元剤としては、硫酸第一鉄、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミン等をあげることができる。使用量は、酸化剤、還元剤ともに調合モノマーに対し1〜200 ppmの範囲で使用するのが好ましい。酸化剤、還元剤の水溶液を重合開始の直前にモノマー水溶液に加えることにより容易に重合を開始させることができる。光開始剤による方法も、通常の方法でよく、例えば、光開始剤としては、ベンゾフェノン、アンスラキノン、アシルホスフィンオキサイド化合物、アゾ化合物等をあげることができる。これら光開始剤をモノマー水溶液に加え、光開始剤の最大吸収波長の光を含む光を照射することにより容易に重合を開始させることができる。本発明では、レドックス開始剤による方法、光開始剤による方法のいずれを採用してもその効果は顕著であるが、光開始剤による方法の場合、光照射を効率的に行うためには、光が照射される方向のモノマー水溶液の厚みを大きくすることができず、生産性に問題がある。そのため、レドックス開始剤による方法の方が、より好ましい。
また、前述したように重合後に行う熱処理を効率的に行うためには、重合反応は断熱的に行うことが好ましく、この場合、通常、重合反応は重合開始後30分〜5時間で50〜90℃の最高温度に達してほぼ完結する。得られる重合体を含む水溶液は、ゲル状の物質である。
重合は、適当な反応容器で回分的に行うこともできるし、ベルトコンベア等の上に連続的に流し込み、連続的に行うこともできる。
【0019】
本発明においては、前記の方法によって得られたゲル状重合体を下記に規定する熱履歴Hが5,000〜30,000となるように熱処理する。
熱履歴 H={熱処理温度(T)×熱処理時間(t)}の累計(℃×分)
熱処理温度(T): 70〜100(℃)
熱処理時間(t): 70〜100 ℃での処理時間(分)
【0020】
熱処理は、重合がほぼ完結したゲル状重合体に対して行う。重合がほぼ完結したことは、重合反応による発熱がほぼ認められなくなったことを確認することによって知ることができる。断熱的重合法の場合には、重合がほぼ完結すると同時に反応温度は最高温度に達するので、重合がほぼ完結したことを容易に知ることができ、この点、好都合である。本発明に従って重合方法が適正に行われていれば、重合がほぼ完結した時点での重合率は、少なくとも95%、通常は98%以上である。重合率が低いゲル状重合体に対して熱処理を行った場合、ポリマーの分子量が低下する等の悪影響が出やすいので、避けるべきである。
【0021】
熱処理によって、予めモノマー水溶液に添加しておいたアゾ化合物の未分解部分を分解させ、残留モノマー含有量を低減させることができるが、熱処理が不十分であると残留モノマー含有量の低減効果が十分に得られない場合が多く、また、熱処理を過大に行うと、生産性が悪化したり、用役費が不利になるなどのため好ましくない。
【0022】
熱処理温度(T)については、できるだけ高いほうが好ましいが、100℃以上にすると、残留モノマー含有量が十分低減する前に、ゲル中の水分蒸発が顕著となり、ゲルの膨張を招くため好ましくない。したがって、90〜100℃の範囲で熱処理を行うことが好ましく、また、90〜100℃の範囲にある熱源を使って加熱することが好ましい。
【0023】
熱処理時間(t)は、ゲル状重合体を70〜100℃で熱処理する時間であるが、その起点は、重合がほぼ完結した時点でのゲル状重合体の温度が70℃以上であれば、その時点を熱処理時間の起点とする。一方、70℃未満の場合は、後記するような手段による加熱処理を開始した時点を熱処理時間の起点とする。断熱的重合法の場合、最高温度が70℃以上となるようにモノマー濃度と重合開始温度を調整すれば、最高温度に到達した時点を熱処理時間の起点とすることができるので、好都合である。熱処理時間は、目的とする残留アクリルアミドモノマー含有量のレベルに応じて調整すればよい。熱処理温度が高いほど処理時間は短くてよく、熱処理温度が低いほど処理時間は長くなる。
熱処理は、残留アクリルアミドモノマー含有量の低減を目的としているが、同時にアクリルアミドモノマー以外の他の共重合モノマーの残留量も低減されるという効果も得られる。
【0024】
熱処理にあたっては、反応容器内やベルトコンベア上において加熱処理を行ってもよく、また適当な大きさに重合体ゲルを切断して、ビニール袋などに密着包装して、湯浴等の加熱浴にて熱処理を行ってもよい。熱処理にあたっては、発生させたラジカルによって残留モノマー含有量を低減させることが主な目的であるため、できるだけ空気の接触を避ける必要がある。そのため窒素雰囲気下の反応容器内やベルトコンベア上において熱処理したり、適当に裁断した重合体ゲルを密着包装して加熱処理を行う等の方法が好ましい。空気中において、重合体ゲルを細かく粉砕した後に熱処理を行った場合、ゲル表面積が大きくなって、酸素の影響を受けやすくなり、残留モノマー含有量の低減効果は十分には得られない。したがって、重合体ゲルの乾燥と粉砕は熱処理のあとに行う必要がある。
熱処理を終わった重合体ゲルを、通常の方法で、乾燥、粉砕すれば、粉末状のアクリルアミド系水溶性重合体が得られる。
【0025】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限定されるものではない。
実施例1
50重量%アクリルアミド水溶液(三井化学製)4700gと30重量%アクリル酸ナトリウム水溶液500gに蒸留水4800gを加え(モノマー濃度=25重量%)、希塩酸または苛性ソーダ溶液を用いてpHを7とした。これに2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(10時間半減期温度56℃/水)をモノマーに対し500 ppmと2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド](10時間半減期温度86℃/水)をモノマーに対し2000 ppmを加え、冷却して2℃とした。このモノマー調合液を発泡スチロール製の保温材にセットした20L容量の重合槽に投入して、窒素を10L/minの速度で導入し、十分脱酸素した後、温度が5℃となった段階で、過硫酸アンモニウム(1%溶液としたもの)をモノマーに対し5 ppm、硫酸第一鉄(1%溶液としたもの)をモノマーに対し3 ppmそれぞれシリンジに取り、これらを同時に重合槽に投入し、素早く攪拌して反応を開始させ、反応液内温度をモニターした。反応開始75分後に反応最高温度76℃を記録した。反応最高温度においてそのまま60分保持した後、ゲル重合物を取り出し、中心部を一辺が7〜10 cmのキュービック状に切断し、ポリエチレン製の袋に密着包装した。これを95℃湯浴に投入して100分熱処理した後に、約2〜3 mm径の粒状に粉砕し、このうち約50 gをシャーレにとって温風循環式乾燥機にて70℃条件下2時間乾燥させ、サンプルとした。25℃下このサンプルの1 mol%塩化ナトリウム中における0.1 %溶液粘度(以下0.1%塩粘度と略する)は、ブルックフィールド粘度計において5.7 mPa・sであった。また、ジャーテスターを用いてサンプルの0.1%蒸留水溶解液400gを調整して、150メッシュのステンレス製金網にてろ過を行い、200mLの脱イオン水で洗浄後、この金網を105℃ x 90分の条件で乾燥させて不溶解分を測定したところ、0.1%以下であった。さらに、20容量%の蒸留水を含有したメタノール溶液10mLとサンプル1gを用いてサンプル中のモノマーを30℃下24時間抽出し、サンプルに残留するアクリルアミド濃度を定量するべく上澄み液を高速液体クロマトグラフを用いて分析したところ検出されなかった。結果をまとめて表1に示す。
【0026】
実施例2〜10および比較例1〜10
実施例1に記載の方法に準じて行った他の実施例および比較例を、アニオン性のアクリルアミド系重合体については表1に、カチオン性のアクリルアミド系重合体については表2に、両性のアクリルアミド系重合体については表3にそれぞれまとめて示した。ただし、カチオン性および両性のアクリルアミド系重合体の場合には、残留アクリルアミドモノマーの抽出に、20容量%の蒸留水を含有したアセトン溶液を用いた。
【0027】
【表1】
Figure 0004108491
【0028】
【表2】
Figure 0004108491
【0029】
【表3】
Figure 0004108491
【0030】
【発明の効果】
表1〜3から明らかなように、本発明の方法によれば、残留アクリルアミドモノマー含有量が極めて低く、水溶性良好で、高分子量のアクリルアミド系水溶性重合体を、生産性よく、経済的に製造することが可能となり、関係産業分野における利用価値は大きい。特に、残留アクリルアミドモノマー50 ppm以下が要求される浄水処理の分野での利用価値は極めて大きい。また、本発明の主目的ではないが、アクリルアミドモノマー以外の他の共重合モノマーの含有量低減効果も同時に得られる。

Claims (3)

  1. アクリルアミドの単独重合により、あるいはアクリルアミドと共重合可能な少なくとも一種の他のモノマーとの共重合により、水溶液重合法でアクリルアミド系水溶性重合体を製造する方法において、モノマー水溶液に10時間半減期温度が30℃以上70℃未満の範囲にあるアゾ化合物少なくとも一種と、10時間半減期温度が70℃以上100℃以下の範囲にあるアゾ化合物少なくとも一種とを共存させて重合し、得られたゲル状重合体を下記に規定する熱履歴Hが5,000〜30,000となるように空気との接触を避けつつ熱処理した後、乾燥、粉砕して粉末状重合体とすることを特徴とするアクリルアミド系水溶性重合体の製造方法。
    熱履歴 H={熱処理温度(T)×熱処理時間(t)}の累計(℃×分)
    熱処理温度(T): 70〜100(℃)
    熱処理時間(t): 70〜100℃での処理時間(分)
  2. 水溶液重合法が断熱的重合法である請求項1記載のアクリルアミド系水溶性重合体の製造方法。
  3. レドックス開始剤により重合を開始させる請求項1又は請求項2記載のアクリルアミド系水溶性重合体の製造方法。
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